• 検索結果がありません。

超伝導トランジスタに関する研究

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "超伝導トランジスタに関する研究"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

     博 士( 工 学 )吉 田 学 位 論 文 題 名

超伝導トランジスタに関する研究

学位論文内容の要旨

今日の情報化社会の発展に伴い、さらに超高速で大容量の情報を扱うための電子デバイス が必要となってきている。従来の半導体デバイスは微細化によって、これまで高速、大容量 のシステムサイドの要求を充たしてきた。しかしながらこのような微細化も限界が見え、半 導体デバイスだけではこの限界を越えられない可能性が大きい。このため、さまざまなデバ イスの提案がされてきた。中でも超伝導デバイスであるJosephson素子は、半導体素子に比べ て超高速かつ低電圧動作できる素子として期待されてきた。実際にゲート単体の性能では、

半導体デバイス凌駕している。しかし二端子素子であることから現われる、入出力分離がで きない、利得がなく動作マージンが小さい、などの本質的な問題点が、大きな回路を実現し ようとする時問題となってきている。このためJosephson素子とは違った、素子単体で入出 力分離機能、増幅作用があり、しかも超伝導のメリットを持つ三端子素子の出現が望まれ、

様々なタイプの超伝導トランジス夕構造が提案されている。零抵抗などの超伝導性を電子デ バイスに適用すれば、冷却が必要となったとしてもそのメリットは大きい。本論文では、超 伝導体を用いたトランジスタの必要性を明らかにし、いくっかのタイプの超伝導トランジス タについて、実際にデバイスを試作、評価することによってプロセス・構造を検討したもの である。

  本論文は、以下の7章で構成されている。

  第 1章 で は 、 本 研 究 の 背 景 と 目 的 、 本 論 文 の 構 成 に つ い て 述 べ る 。   第2章では、Josephson集積回路のプロセスマージンを評価するうえで重要なJosephson 接合の故障率の評価装置を開発し、接合の評価を試みており、プロセスマージンが直接デバ イス動作マージンにっながるというJosephson集積回路の問題点を述べている。そのーつの 解決方法として利得を持つ、入出力分離の可能な超伝導トランジスタの必要性を述べ、その 中でもJosephson素子に置き換わる高速、低消費電力素子として超伝導ベーストランジスタ、

あ る い は 誘 電 体 ベ ー ス ト ラ ン ジ ス 夕 構 造 の 可 能 性 を 指 摘 し て い る 。   第3章では、超伝導ベーストランジスタのコレクタノヾリアとして、InGaAs/lnAlGaAS/

InGaAs半導体ヘテロ接合を提案し、この構造を用いて三端子構造を作製した。コレクタ接合 は鳩Eで作製し、60meVの低いバリア高さを実現することができた。三端子素子の電流利得 はエミッ夕電流が300mAでコレク夕−ベース電圧が20n1Vのとき約0.45が得られた。この値

(2)

はこれまでのn‑InSbやp‑InSbをコレクタバリアとして用いた超伝導ベーストランジスタで得 られている値に比べて1‑3桁大きいことを示し、この構造の有効性を明らかにしている。

  第4章では、酸化物超伝導体材料において、プラズマ酸化で部分的に結晶内に酸素を導入 することで電気的特性を変え、電子デバイスを作製するとぃうモノリシックな作製プロセス を提案している。超伝導の多結晶薄膜や単結晶表面を窒素、アルゴン雰囲気中の比較的低温 アニールによって結晶構造を分解せずに還元し、半導体的な特性に変化できること、また低 温プラズマ酸化によって酸素を供給し、超伝導状態に可逆的に復帰できることを確認した。

さら に メ タル マ スク や レ ジス ト マス ク を 使っ た プ ラズ マ 酸化 に よ り、 半 導体 的 な YBaZCU307.エ(YBCO)薄膜中に超伝導体のパターンを形成できることを確認し、デバイスプロセ ス応用の可能性を得ている。

  第5章では、酸化物超伝導体を用いたトランジスタを実現するために誘電体ベーストラン ジスタ構造を用いることを提案している。このトランジスタを実現するために、YBCOと Sffi0ユチャネ ルの接合を評価した。Nbをドープしてn型半導体にしたSITi0ユと金属、

YBCOの接合を評価し、界面に何らかの低誘電率の薄い層が存在することを確認した。この 構造を用いてエミッ夕、コレク夕電極にYBCO超伝導薄膜を用いて誘電体ベーストランジス タを作製し、電界効果を用いた高温超伝導電極トランジスタとしては世界で初めて1以上の 電流電圧利得を得ている。

  さらに誘電体ベーストランジスタの性能向上には低誘電率で電子透過率の高い中間層がエ ミッ夕/ベース、コレク夕/ベース接合に必要であることから、YBCOあxidqSrTD3ダイオー ド構造を使ってartificialな中間層の材料を検討した。実際にNdGa0ユとMg0の中間層を使つ てトランジスタを試作し、エミッ夕電流密度に格段の改善が見られ、artificial中間層の有効 性 を 確 認 し 、 酸 化 物 超 伝 導 薄 膜 を 用 い た ト ラ ン ジ ス タ の 可 能 性を 示 して い る 。   第6章では、誘電体ベーストランジス夕構造の性能向上を目指して、エミッタ_コレク夕 電極間距離を短くしたトランジスタについて検討した。高ドープしたSrTi0ユ上に約50 nm に接近させたNb薄膜電極を作製して超伝導弱結合を実現し、この弱結合がJosephson素子 として動作していることより、初めてSrTi0ユ酸化物内に近接効果により超伝導電流を誘起 できることを示した。さらに絶縁性SrTi0ユの表面に薄い高ドープチャネル層を作製する技 術を開発した。この方法を用いて三端子構造を作製し、ゲート電極の電界によルチャネルの キャリア量をコントロールして、チヤネル抵抗を可変することができた。以上のことから酸 化物チャネルを用いた電界効果型トランジスタの超伝導電流制御の可能性を実証している。

  第7章は、本論文の結論であり、得られた成果をまとめている。

(3)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

超伝導トランジスタに関する研究

  今 日 の 情 報 化 社 会 の 発 展 に 伴 い 、 さ ら に 超 高 速 で 大 容 量 の 情 報 を 扱 う た め の 電 子 デ バ イ ス が 必 要 と な っ て き て い る 。 従 来 の 半 導 体 デ バ イ ス は 微 細 化 に よ っ て 、 こ れ ま で 高 速 、 大 容 量 の こ の よ う な シ ス テ ム サ イ ド の 要 求 を 充 た し て き た 。 し か し な が ら 微 細 化 に よ る 発 展 も 限 界 が 見 え 、 半 導 体 デ バ イ ス だ け で は こ の 限 界 を 越 え ら れ な い 可 能 性 が 大 き い 。 こ の た め 、 超 伝 導 デ バ イ ス で あ るJosephson素 子 は 、 半 導 体 素 子 に 比 べ て 超 高 速 か つ 低 消 費 電 カ で 動 作 す る 素 子 と し て 期 待 さ れ て き た 。 し か し 入 出 力 分 離 が で き な い 、 利 得 が な く 動 作 マ ー ジ ン が 小 さ い 、 な ど の 二 端 子 素 子 で あ る こ と に よ る 本 質 的 な 問 題 点 が 存 在 す る 。 こ の た め 、 素 子 単 体 で 入 出 力 分 離 機 能 、 増 幅 作 用 が あ り 、 し か も 超 伝 導 の メ リ ッ ト を 持 つ 三 端 子 素 子 の 出 現 が 望 ま れ 、 具 体 的 な 超 伝 導 ト ラ ン ジ ス 夕 構 造 が 提 案 さ れ て き た 。

    本 論 文 で は 、 こ の よ う な 背 景 の も と で 、 超 伝 導 体 を 用 い た ト ラ ン ジ ス タ の 必 要 性 を 明 ら か に し 、 超 伝 導 ト ラ ン ジ ス タ に つ い て 、 実 際 に デ バ イ ス を 試 作 、 測 定 、 評 価 す る こ と に よ っ て 作 製 プ 口 セ ス や 素 子 構 造 に つ いて 検討 を行 った もの であ る。 本論 文は 、 7章 か ら 構 成 さ れ て い る 。 以 下 に 各 章 の 概 要 を 示 す 。

  第1章 で は 、 本 研 究 の 背 景 と 目 的 、 本 論 文 の 構 成 に つ い て 述 べ て い る 。   第2章 で は 、Josephson集 積 回 路 の プ 口 セ ス マ ー ジ ン を 評 価 す る う え で 重 要 な 接 合 の 故 障 率 の 評 価 を 試 み 、 プ ロ セ ス マ ー ジ ン が 直 接 デ バ イ ス 動 作 マ ー ジ ン に つ な が る と い うJosephson集 積 回 路 の 問 題 点 を 述 べ て い る 。 そ の ー つ の 解 決 方 法 と し て 利 得 を 持 つ 、 入 出 力 分 離 の 可 能 な 超 伝 導 ト ラ ン ジ ス タ の 必 要 性 を 述 ベ 、Josephson素 子 に 置 き 換 わ る 高 速 、 低 消 費 電 力 素 子 と し て 超 伝 導 べ ー ス ト ラ ン ジ ス 夕 及 び 誘 電 体 ベ ー ス ト ラ ン ジ ス タ の 可 能 性 を 指 摘 し て い る 。

  第 3章 で は 、 超 伝 導 ベ ー ス ト ラ ン ジ ス タ の コ レ ク タ バ リ ア と し て 、 InGaAs/lnAIGaAs/ InGa船 半 導 体 ヘ テ ロ 接 合 を 提 案 し 、 こ の 構 造 を 用 い て 三 端 子 構 造 を 作 製 し た 。 コ レ ク 夕 接 合 は 分 子 線 工 ピ タ キ シ ャ ル 法 で 作 製 し 、60meVの 低 い バ リ

也一 只治 真 幸 利 完 城笠 西 栗武

,大 陽 授授 授授 教教 教教 査査 査査 主副 副副

(4)

ア高 さを実現 すること ができた 。さらに 電流伝達率はこれまでの超伝導ベーストラン ジ ス タで 得 ら れて い る値に比 べて1‑‑3桁大 きいこと を示し、 この構造 の有効性を 明 らかにしている。

  第4章 では、酸 化物超伝 導体材料 において 、プラズ マ酸化で部 分的に結 晶内に酸素 を導 入するこ とで電気 的特性を 変え、電 子デバイスを作製するというモノリシックな 作製 プロセス を提案し ている。 超伝導薄 膜や単結晶表面を還元雰囲気中の低温熱処理 によ って、半 導体的な 特性にで きること 、またその後低温プラズマ酸化によって、超 伝導 状態に可 逆的に復 帰できる ことを実 験的に確認し、さらにマスクを使ったプラズ マ酸化により、半導体的なYBa2CU3 0.エ(YBCO)薄膜中に超伝導体のバターンを形成で き る こ と を 確 認 し て 、 デ バ イ ス プ 口 セ ス 応 用 の 可 能 性 を 示 し て い る 。   第5章 では、酸 化物超伝 導体を用 いたトラ ンジスタ を実現する ために誘 電体ベース ト ラ ンジ ス タ とい う 新た な 構 造を 用 いる こ と を提 案し ている。 ベースにSri03高 誘 電 体 、エ ミ ッ 夕、 コ レク 夕 電 極にYBCO超 伝導 体 薄 膜を 用 いた 誘 電 体べ ー ス トラ ン ジス タを作製 し、高温 超伝導体 電極を用 いた電界効果型卜ランジスタとしては世界で 初 め て1以上 の 電 流電 圧 利得 を 得 てい る 。さ ら に エミッ 夕/ベー ス、コレク 夕/べ ー ス 間 に 低 誘 電 率 で 電 子 透 過 率の 高 いNdGa03やMgOの 中 間 層を は さむ こ と で、 エ ミッ 夕電流密 度に格段 の改善が 見られ、 酸化物超伝導体薄膜を用いた卜ランジスタの 可能性を示している。

  第6章 では、誘 電体ベー ス卜ラン ジス夕構 造の性能 向上を目指 して、エ ミッ夕―コ レク 夕電極間 距離を短 くした電 界効果型 トランジスタについて検討した。高ドープし たSrriOユ で 結合 し たNb薄膜 超伝導弱 結合を実 現し、こ の弱結合 がJosephson素子と し て 動作 す る こと よ り、初め てSrTi03酸化物 内に近接 効果によ り超伝導 電流を誘起 で き るこ と を 示し た 。さらに 絶縁性SrTi03の 表面に薄 い高ドー プチャネ ル層を形成 する 技術を開 発し、三 端子構造 を作製し て、ゲート電極の電界によルチャネルのキャ リア 量をコン ト口ール して、チ ャネル抵 抗を可変できた。これらから、酸化物チャネ ル を 用い た 電 界効 果 型ト ラ ン ジス タ の超 伝 導 電流 制 御 の可 能 性を 実 証 して い る。

  第 7章 は 、 本 論 文 の 結 諭 で あ り 、 得 ら れ た 成 果 を ま と め て い る 。   これ を要する に、著者 は、超伝 導体を用 いたトランジスタの実現のための構造、作 製方 法に関し て、多く の有用な 新知見を 得ており、電子工学の進歩に寄与するところ 大である。

  よって、著者は、北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める。

参照

関連したドキュメント

2001 年初上場以来、様々な種類の J-REIT

研究開発活動  は  ︑企業︵企業に所属する研究所  も  含む︶だけでなく︑各種の専門研究機関や大学  等においても実施 

図 2.5 のように, MG は通常 MGC#1 に帰属しているものとする.マルチホーミング によって, MGC#1 配下の全 MG が MGC#2 に帰属する場合, MGC#2

1)研究の背景、研究目的

This paper shows both theoretically and experimentally that the motor has an approximate first-order transfer function between phase shift input and rotational speed output in the

In this study,the questionnaire is done partially of the risk management research on the regional disaster prevention advancement to the earthquake tsunami dis- aster in the

man 195124), Deterling 195325)).その結果,これら同

5 On-axis sound pressure distribution compared by two different element diameters where the number of elements is fixed at 19... 4・2 素子間隔に関する検討 径の異なる