• 検索結果がありません。

博士(工学)梶原秀一 学位論文題名

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博士(工学)梶原秀一 学位論文題名"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

     博士(工学)梶原秀一 学位論文題名

周期入カによるメカニカルシステムの 動的安定化制御に関する研究

学位論文内容の要旨

  非線形なシステムを平衡点のまわりで線形化して制御モデルを作り,線形制御器を設計 して制御目的を達成することが多く行われてきた,しかし,非線形なシステムの中には線 形制御モデルが可制御とならないものや,従来知られている非線形制御でも制御目的が達 成できないものが存在する.このようなシステムの例として支点を鉛直軸方向に拘束して 動かす倒立振子の制御問題がある.これまで倒立振子の制御では,支点を水平方向に移動 させて振子を倒立させていた.この場合,振子が倒立する平衡点のまわりの線形近似モデ ルが可制御となるため,線形レギュレータにより簡単に倒立が実現でき,これまでにさま ざまなタイプの倒立振子が製作され,その制御方法が議論されてきた.ところが,支点を鉛 直軸方向に動かす場合には,線形近似モデルが不可制御となり,線形制御では制御するこ とができない.また,従来の非線形制御でも支点の位置制御と静止倒立とを同時に実現す る制御則は今のところ報告されていないようである.ここで,制御目的を静止倒立ではな く平衡点まわりに振子を安定化できればよいとすると,高い振動数で支点を上下させるだ けで,振子を平衡点まわりに動的に安定化することが可能となることが知られている.従来 の制御では平衡状態への漸近安定化が多く議論されてきたように思われるが,上述の倒立 振子のようにシステムに周期入カを加え,システムの「動的な状態」を実現することで制御 目的を達成できる場合があり,このような制御アプローチにより,これまで制御が難しい とされてきたシステムでも簡単に制御目的が達成できる可能性があると予想される.この ようなことから,本論文ではメカニカルシステムを制御する新しいアプローチとして,メ カニカルシステムに周期入カを加えて平衡点まわりで「動的な状態」を実現することで制 御目的を達成する制御方法を提案する.

  第1章では,序論であり,研究の背景と位置づけ,研究目的と研究方法,ならびに本論 文の構成について述べている.

  第2章では,周期的な入カによルシステムを「動的な状態」にすることで制御目的を達 成できる例として大道芸である皿まわしを取り上げる.周期入カにより皿まわしを実現で きる条件を皿まわしの竿のたわみも考慮した数理モデルにより解析する.その結果,安定 に皿を回すことができるタイミングの存在が明らかになる.さらに竿のたわみの作用によ り生じる周波数引き込み現象を利用すると,皿の回転周期が竿を振る周期に自動的に引き 込まれ,皿の回転運動を全く観測しないオープンループの制御でも安定に皿を回すことが できることを示す.

(2)

  第3章から 第6章まで の章では ,第2章に おいて皿まわしの運動を解析した手法,なら びに皿まわしを簡単に実現することを可能にした制御方法をもとに,メカニカルシステム に対する新しい制御アプローチを提案し,いくっかのメカニカルシステムの制御に本手法 を適用した結果について述べる.ここで提案するのは,システムに周期的な入カを加え,そ の動的状態を制御できるタイミングを解析した後,非線形現象である周波数引き込み現象 を 利 用 し て こ の タ イ ミ ン グ を 実 現 し , 制 御 目 的 を 達 成 す る 方 法 で あ る .   第3章では,周期入カを加えるとパラメータ励振現象が起こることで知られているブラ ンコの制御問題を取り上げ,ブランコの振れを大域的に制御できるタイミングをシステム のエネルギー変化率から解析する.さらに,周期入カとブランコの振れのタイミングを合 わせる方法として,非線形振動子の引き込み現象を利用することを考え,van der Pol方程 式に入カとしてブランコの角速度を加え,方程式の周期解で構成される非線形フィードバッ クによルブランコを制御する方法を提案する.

  第4章では ,第1リン クが非駆 動関節で ある2リンクの鉄棒ロポットの運動制御を取り 上げ,第3章で提案した制御アプローチを適用して,その運動解析及び制御系を設計する.

解析の結果,振り始めは共振現象,振れが大きくなった場合はパラメータ共振現象を起こ すタイミングで各リンクを同期させると効率よく第1リンクの運動を励起できることが明 らかになる,さらに,ブランコの制御方法を適用することにより,上記のタイミングで各 リンクを同期させてロボットを制御できることを示す.

  第5章では,支点を鉛直軸方向に動かす倒立振子について,周期入カによる振子の安定 性を平均化法の考え方を利用して解析する.解析の結果,振幅を変調した周期入カを加え るとシステムはブランコと同じパラメータ励振系となることが明らかになり,第3章の運 動解析の結果得られたブランコの振れを抑制するタイミングで周期入カの振幅を変調する と , 振 子 を 不 安 定 な 平 衡 点 に 漸 近 的 に 安 定 化 で き る こ と を 示 す .   第6章では ,第3章で 提案した 制御アプ ローチを回転型2重倒立振子の振り上げ制御問 題に適用する.まず,振子が1つの場合について,アームを周期的に動かしたときのエネル ギー変化率を調ベ,効率よく振子を励起できるタイミングを明らかにする.次に,振子が 2つの場合 について も解析し,2つの振子と一定の位相関係で同期させた周期入カにより 各振子を独立に制御できることを示す.その後,非線形振動子の引き込み現象を利用して アームと各振子を同期させることにより,2つの振子の振れを独立に制御できること,選 択的に振子を振り上げた後,倒立点まわりでは線形フイードバック制御に切り替えること により,簡単に振り上げ倒立制御が実現できることを示す.

  第3章から 第6章ではメカニカルシステムに周期的な入カをタイミングよく加え,シス テムを「動的な状態」にすることで制御目的を達成した.これらの制御では,周期入カと メカニカルシステムを同期させるタイミングは一定であったが,このタイミングを積極的 に変化させることで,希望するエネルギーを持っようにシステムを動的に安定化すること も簡単に実現できるのではないかと考えられる,・そこで,第7章では制御問題として倒立 振子の振り上げ制御を取り上げ,目標とするエネルギーを持っりミットサイクルに振子の 周期運動を安定化させて,リアプノフの意味での安定を実現する動的安定化制御にっいて 提案する.

  第8章では結論として,本研究により得られた成果のまとめ,および今後の課題にっい て述べる.

(3)

学位論文審査の要旨

     学位論文題名

周期入カによるメカニカルシステムの 動的安定化制御に関する研究

  非線形なシステムを平衡点のまわりで線形化して制御モデルを作り、線形制御器を 設計して制御目的を達成することが多く行われてきた。しかし、非線形なシステムの 中には線形制御モデルが可制御とならなぃものや、従来知られている非線形制御でも 制御目的が達成できなぃものが存在する。このようなシステムの例として支点を鉛直 軸方向に拘束して動かす倒立振子の制御問題がある。これまで倒立振子の制御では、

支点を水平方向に移動させて振,子を倒立させていた.。この場合、振子が倒立する平衡 点のまわりの線形近似モデルが可制御となるため、線形レギュレータにより簡単に倒 立が実現でき、これまでにさまざまなタイプの倒立振子が製作され、その制御方法が 議論されてきた。ところが、支点を鉛直軸方向に動かす場合には、線形近似モデルが 不可制御となり、線形制御では制御することができない。また、従来の非線形制御で も支点の位置制御と静止倒立とを同時に実現する制御則は今のところ報告されていな い。ここで、制御目的を静止倒立ではなく平衡点まわりに振子を安定化できればよい とすると、高い振動数で支点を上下させるだけで、振子を平衡点まわりに動的に安定 化できることが知られている。従来の制御では平衡状態への漸近安定化が多く議論さ れてきたようであるが、上述の倒立振子のようにシステムに周期入カを加え、ンステ ムの 「動的な状態Jを実現することで制御目的を達成できる場合があり、このような 制御アプローチにより、これまで制御が難しいとされてきたシステムでも簡単に制御 目的が達成できる可能性があると予想される。このような背景のもと、本論文ではメ カニカルシステムを制御する新しいアプローチとして、メカニカルシステムに周期入 カを加えて平衡点まわりで「動的な状態」を実現することで制御目的を達成する制御 方法を提案している。

  第1章では、序論であり、研究の背景と位置づけ、研究目的と研究方法、ならびに 本論文の構成について述べている。

  第2章では、周期的な入カによルシステムを「動的な状態」にすることで制御目的 を達成できる例として大道芸である皿まわしを取り上げ、周期入カにより皿まわしを 実現できる条件を皿まわしの竿のたわみも考慮した数理モデルにより解析を彳了ってい

189

士 脩

史 悟

武 公

谷  

  浪

   

   

ト −

(4)

る。その結果、安定に皿を同すことができるタイミングの存在を明らかにし、さらに、

竿 のたわみの作用により生じる周波数引き込み現象を利用すると、皿の回転周期が竿 を 振る周期に自動的に引き込まれ、皿の回転運動を全く観測しないオープンループの 制御でも皿を安定に回せることを明らかにしている。

  第3章か ら第6章までの 章では、 第2章にお いて皿ま わしの運動 を解析し た手法、

な らびに皿まわしを簡単に実現することを可能にした制御方法をもとに、メカニカル シ ステムに対する新しい制御アプローチを提案し、いくっかのメカニカルシステムの 制 御に本手法を適用した結果について述べている。ここで提案しているのは、システ ム に周期的な入カを加え、その動的状態を制御できるタイミングを解析した後、非線 形 現象である周波数引き込み現象を利用してこのタイミングを実現し、制御目的を達 成する方法である。

  第3章では、 周期入カを 加えると パラメータ励振現象が起こることで知られている ブ ランコの制御問題を取り上げ、ブランコの振れを大域的に制御できるタイミングを システ、ムのエネルギー変化率から解析している。さらに、周期入カとブランコの振れ の タイミングを合わせる方法として、非線形振動子の引き込み現象を利用することを 考 え、van der Pol方程 式に入カと してブランコの角速度を加え、方程式の周期解で 構 成される 非線形フイ ードバッ クによル ブランコ を制御す る方法を提案している。

  第4章で は、 第1リンク が非駆動 関節であ る2リンク の鉄棒ロボ ットの運 動制御を 取 り上げ、 第3章で提案 した制御 アプローチを適用して、その運動解析及ぴ制御系の 設 計を行っている。解析の結果、振り始めは共振現象、振れが大きくなった場合はパ ラ メータ共 振現象を起 こすタイ ミングで各リンクを同期させると効率よく第1リンク の 運動を励起できることを明らかにし、さらに、ブランコの制御方法を適用すること に より、上記のタイミングで各リンクを同期させてロポットを制御できることを示し ている。

  第5章では、 支点を鉛直 軸方向に 動かす倒立振子について、周期入カによる振子の 安 定性を平均化法の考え方を利用して解析している。解析の結果、振幅を変調した周 期 入カを加えるとシステムはブランコと同じパラメータ励振系となることが示され、

第3章の運動解析の結果得られたブランコの振れを抑制するタイ、ミングで周期入カの 振幅を変調すると、振子を不安定な平衡点に漸近的に安定化できることを示している。

  第6章で は、 第3章で提 案した制 御アプロ ーチを回 転型2重倒立 振子の振 り上げ制 御 問題に適 用している 。まず、 振子が1つの場合について、アームを周期的に動かし た ときのエネルギー変化率を調べ、効率よく振子を励起できるタイミングを明らかに し ている。 次に、振子 が2つの場 合につい ても解析 し、2つの 振子と一定の位相関係 で同期させた周期入カにより各振子を独立に制御できることが示されている。その後、

非 線形振動 子の引き込 み現象を 利用してアームと各振子を同期させることにより、2 つ の振子の振れを独立に制御できること、選択的に振子を振り上げた後、倒立点まわ り では線形フィードバック制御に切り替えることにより、簡単に振り上げ倒立制御が 実現できることを示している。

  第3章から第6章ではメカ ニカルシ ステムに 周期的な 入カをタ イミングよく加え、

シ ステムを「動的な状態」にすることで制御目的が達成されている。これらの制御で は 、周期入カとメカニカルシステムを同期させるタイミングは一定であったが、この タ イミングを積極的に変化させることで、希望するエネルギーを持っようにシステム を 動的に安定化することも簡単に実現できるのではないかと考えられる。そこで、第 7章 では制御 問題として 倒立振子 の振り上げ制御を取り上げ、目標とするエネルギー

190

(5)

  これを要するに、著者はメカニカルシステムを制御する新しいアプローチとして、

システムに周期的な入カを加えてシステムを動的に制御する方法を提案し、実際にロ ボットを使用してその有効性を実証したものであり、ロボティクス、制御工学の分野 に対して貢献するところと大なるものがある。よって著者は、北海道大学博士(工学)

の学位を授与される資格ある者と認める。

191

安   に の   題 で   課 味   の 意   後 の   今 フ   び ノ   よ プ   ぉ ア   ヽ り   め   

`   と て   ま せ   の さ。 果 化る 成 定い た 安て れ をし ら 動案 得 運提 り 期て ょ 周い に のつ 究 子に 研 振御 本 に制

、 ル化 て ク定 し イ安 と。 サ的 論る ト動 結い ツる はて ミす でベ リ現 章述 つ実 8て 持を 第い を定    つ

参照

関連したドキュメント

センサーやアクチュエーターの廉価化とネットワーク通信技術の発達に伴い,個々のシ

   上 記の こと を踏まえて、本論では、土留め壁の変形 を高精度に制御することができる遠心 場可 動土 留め 装置を開発し、従前の研究では行われて

   第5 章においては、降雨減衰特性に 影響を及ぼす可能性のあるもうーつの因子で

とが出来る 電流が速度 特性の悪化 に制御すれ 昇し、駆動 が磁化作用 させる方向 弱め界磁制 から、主磁 ることが出 ンストルク は、回転子 粟和の平方

     本論文は ,長波長帯半導体レーザの発振モードのふるまいおよぴ 応答特性を決定 す るレ ーザ の諸 パラ メー タのレーザ構造依存性,特に 歪導入と変調特性J

  

ベクト ルの測 定シ ステム を用い た応用 計沮IJ (その 3 )として,位置ベクトルと法線ベクトルに基 づく自 由曲面 加工

終着位置の振れ止めとト口リーの位置制御は必要のみでなく、走行時間の定量指定