2019年下半期/2020年上半期
集中治療最新論文10選
練馬光が丘病院 総合救急診療科 集中治療部門
片岡 惇
浦添総合病院 救急集中治療科
岩永 航
毎週、毎月
新しい研究が発表
時代は変わる
今までの常識は正しい?
多施設ジャーナルクラブ
全国20施設webカンファで週1回
集中治療医学は 不変の生理学と
変化する
エビデンスの
融合
2019年下半期/2020年上半期
集中治療最新論文10選
練馬光が丘病院 総合救急診療科 集中治療部門
片岡 惇
浦添総合病院 救急集中治療科
岩永 航
1本目
COVID-19に対して レムデシビルは有効か?
ACTT-1研究
N Engl J Med 2020; 383:1813-1826
一般名 商品名 従来の適応症 特徴
レムデシビル ベクルリー🄬 エボラ RNA合成酵素阻害 ファビピラビル アビガン🄬 インフルエンザ RNA合成酵素阻害 ロピナビル・リトナビル カレトラ🄬 HIV プロテアーゼ阻害 イベルメクチン ストロメクトール🄬 疥癬 駆虫剤
カモスタット カモスタット
メシル酸塩🄬 慢性膵炎 蛋白合成阻害 ナファモスタット ナファモスタット酸
メシル🄬 急性膵炎 蛋白合成阻害 トシリズマブ アクテムラ🄬 関節リウマチ 抗IL-6受容体抗体 サリルマブ ケブザラ🄬 関節リウマチ 抗IL-6受容体抗体 アナキンラ キネレット🄬 関節リウマチ 抗IL-1受容体抗体 ヒドロキシクロロキン プラケニル🄬 SLE 免疫調整剤
IFNβ-1b ベタフェロン🄬 多発性硬化症 蛋白合成阻害,RNA切断
ステロイド プレドニン🄬 副腎皮質ホルモン
シクレソニド オルベスコ🄬 気管支喘息 吸入ステロイド
回復期血漿輸血 ポリオ 免疫反応強化
一般名 商品名 従来の適応症 特徴
レムデシビル ベクルリー🄬 エボラ RNA合成酵素阻害 ファビピラビル アビガン🄬 インフルエンザ RNA合成酵素阻害 ロピナビル・リトナビル カレトラ🄬 HIV プロテアーゼ阻害 イベルメクチン ストロメクトール🄬 疥癬 駆虫剤
カモスタット カモスタット
メシル酸塩🄬 慢性膵炎 蛋白合成阻害 ナファモスタット ナファモスタット酸
メシル🄬 急性膵炎 蛋白合成阻害 トシリズマブ アクテムラ🄬 関節リウマチ 抗IL-6受容体抗体 サリルマブ ケブザラ🄬 関節リウマチ 抗IL-6受容体抗体 アナキンラ キネレット🄬 関節リウマチ 抗IL-1受容体抗体 ヒドロキシクロロキン プラケニル🄬 SLE 免疫調整剤
IFNβ-1b ベタフェロン🄬 多発性硬化症 蛋白合成阻害,RNA切断
ステロイド プレドニン🄬 副腎皮質ホルモン
シクレソニド オルベスコ🄬 気管支喘息 吸入ステロイド
回復期血漿輸血 免疫反応強化
免疫調整作用
ウイルス合成過程の阻害
RNA合成酵素阻害薬
気道細胞
RNA合成阻害
レムデシビル ファビピラビル
レムデシビル Remdesivir
商品名 ベクルリー
特徴 唯一COVID-19に適応症あり(6/29時点)
従来の適応 エボラ出血熱
薬理作用 RNA合成酵素阻害作用にてウイルス増殖を抑制
用法用量 成人, 体重≧40kg
初日100mg/d iv, 2日目以降200mg/d iv (最大10日間) 副作用 肝機能障害, 下痢, 皮疹, 腎機能障害
これまで発表された
COVID-19に対するレムデシビルを 検討した主なRCT
中国多施設 N=237 国際多施設 N=1063
国際多施設 N=397 投与期間の検討
国際多施設 N=584 軽症肺炎に対する検討
COVID-19に対するレムデシビル
COVID-19に対して レムデシビルは有効か?
ACTT-1研究
N Engl J Med 2020; 383:1813-1826
多施設 二重盲検 無作為化 10か国60施設
P
成人COVID-19入院患者 1062名*1I
レムデシビル投与*2C
プラセボ投与O
臨床改善*4までの期間*1:以下のいずれかがあること
胸部X線で陰影, SpO2≦94%(室内気), 酸素需要/IPPV/ECMO
*2:1日目に200mg, 2日目以降100mg/d (最大9日間)
*3:状態を8つのカテゴリーに分類し, ①〜③を臨床改善とした
①外来+活動制限なし
②外来+活動制限あり
③入院+酸素需要なし+継続加療不要
④入院+酸素需要なし+継続加療必要
⑤入院+酸素需要あり
⑥入院+NIPPV or HFNC必要
⑦入院+IPPV or ECMO必要
⑧死亡
患者背景
レムデシビル(N=541) プラセボ(N=521)
年齢 58.6 ± 14.6 59.2 ± 15.4
白人 279 (51.6%) 286 (54.8%)
アジア人 77 (14.2%) 57(10.9%)
発症からの期間 9 (6-12) 9 (7-13)
高血圧 231 (49.3%) 229 (49.9%)
肥満 177 (37.7%) 165 (36.2%)
糖尿病 144 (30.6%) 131 (28.7%)
患者背景
カテゴリ レムデシビル(N=541) プラセボ(N=521)
酸素需要なし 75 (13.9%) 63 (12.1%) 酸素投与 232 (42.9%) 203 (39.0%) NPPV/HFNC 95 (17.6%) 98 (18.8%)
挿管
人工呼吸管理 ECMO
131 (24.2%) 154 (29.6%)
0 2 4 6 8 10 12 14 16
全患者
Remdesivir Placebo
臨床改善までの期間 全患者
11日
15日
RR=1.32 (95%CI 1.12~1.55) p < 0.001 有意差あり
0 5 10 15 20 25 30
R.A NC/Mask NIPPV/HFNC IPPV/ECMO
Remdesivir Placebo
臨床改善までの期間 カテゴリ別
RR=1.38 (0.94-2.03)
RR=1.47 (1.17-1.84)
RR=1.20 (0.79-1.81)
RR=0.95 (0.64-1.42)
有意差があるのは 酸素投与の患者のみ
0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20
全患者
Remdesivir Placebo
29日目までの死亡 全患者
10.9%
59/541例
14.8%
77/522例
HR=0.73 (95%CI 0.52-1.03) 統計学的有意差なし
29日目までの死亡 カテゴリ別
0 5 10 15 20 25
R.A NC/Mask NIPPV/HFNC IPPV/ECMO
Remdesivir Placebo
HR=0.82
(0.17-4.07) HR=0.30
(0.14-0.64) HR=1.02 (0.54-1.91)
HR=1.13 (0.67-1.89)
有意差があるのは 酸素投与の患者のみ
批判的吟味
•
アウトカムが入院加療継続必要の有無であり、効果が示され
ているのは酸素投与の患者のみにも関わらず、酸素投与についてのプロトコルもないので、主治医の裁量による主観的な もの
•
試験開始後にプライマリアウトカムが変更 変更前:8つのカテゴリスケールの比較 変更後:29日目までの回復時間の比較
•
死亡をprimary outcomeとした研究ではない
•
ランダム化時にプラセボ群でIPPV/ECMOがやや多い(プラ
セボ群ではやや重症?)
まとめ
•
中等症の患者において臨床症状改善までの期間は 短縮されるかもしれない
•
死亡率については現時点では有意差はでていないが, より大規模なデザインであれば低下する可能性も
•
現状RCTで効果が認められた唯一の抗ウイルス剤である
が, 最終的な結論は現在進行中の大規模研究の結果を待
つ必要がある
多施設 非盲検 無作為化 30か国405施設
P
成人COVID-19入院患者 11,330名I
レムデシビル、ヒドロキシクロロキン、ロピナビル+リ トナビル、インターフェロン-β1aC
標準治療O
28日死亡率This article was published on December 2, 2020, at NEJM.org.
28日死亡率
レムデシビル vs 標準治療
0 2 4 6 8 10 12
Remdesivir 標準療法
301/2743 11.0%
303/2708 11.2%
HR=0.95 (95%CI 0.81-1.11) p = 0.50 有意差なし
28日死亡率 カテゴリ別
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50
酸素なし 酸素投与 人工呼吸器
Remdesivir Control
HR=0.90 (0.31-2.58)
HR=0.85 (0.66-1.09)
HR=1.20 (0.80-1.80)
いずれのカテゴリでも 改善なし
192/1828 12.2%
219/1811 13.8%
その他の薬剤の結果
いずれも効果なし
WHOはレムデシビルの投与を
行わないことを推奨
HR=0.81 (0.66-1.00)
2本目
COVID-19に対して ステロイドは有効か?
RECOVERY研究
N Engl J Med 2019;380:1795-803.
多施設 非盲検 無作為化 P イギリス, 成人COVID-19入院患者
*1I デキサメサゾン投与
*2群 C 標準療法群
O
28日死亡率*1 イギリス内の176施設, 6425例を1:2にランダム割付 デキサメサゾン群:2104例, 標準療法群:4321例
*2 デキサメサゾン6mg/d(内服orIV) q24h 合計10日間
妊婦, 授乳婦:PSL40mgもしくはヒドロコルチゾン80mg q12hr
Recovery trialのランダム化について Adoptive clinical trial
Part A
ステロイド,ヒドロキシクロロキン、ロピナビル+リトナビル, アジスロマ イシン, 標準治療に、1:1:1:1:2にランダムに割付
Part B
回復期血漿, 標準治療に、1:1にランダムに割付
Second randomisation for patients with progressive COVID-19
上記に21日以内に組み込まれた患者で、低酸素血症および 高CRP血症(≧75mg/L)がある場合に、トシリズマブ, 追加治療なし, に1:1にランダムに割付
患者背景
ステロイド
(N=2104) 標準治療
(N=4321)
年齢 66.9 65.8
男性 1338 (64%) 2506 (58%)
発症から
薬剤投与まで 8 (5-13) 9 (5-13)
糖尿病 521 (25%) 1025 (24%)
心疾患 586 (28%) 1171 (27%)
慢性閉塞性肺疾患 415 (20%) 931 (22%) 併存疾患なし 1174 (56%) 2417 (56%)
患者背景
ステロイド
(N=2104) 標準治療
(N=4321)
酸素需要なし 501 (24%) 1034 (24%)
酸素需要あり 1279 (61%) 2604 (60%)
挿管
人工呼吸器管理 324 (15%) 683 (16%)
28日死亡率 全患者
ステロイド群で有意に改善
0 5 10 15 20 25 30
Dexamethasone Usual care 454/2104
(21.6%)
RR=0.83 (95%CI 0.74-0.92) p < 0.001 有意差あり
NNT=33
1065/4321 (24.6%)
28日死亡率 呼吸器サポート別 酸素投与、MV患者で有意に改善
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45
No oxygen Oxygen only IPPV
Dexamethasone Usual care
RR=1.22 (0.93-1.61)
p = 0.14 RR=0.80 (0.70-0.92) P = 0.002
RR=0.65 (0.51-0.82) p < 0.001
95/324 (29.3%)
283/683 (41.4%)
298/1279 (23.3%)
682/2604 (26.2%) 89/501
(17.8%)
145/1034 (14.0%)
批判的吟味
• Adaptive trial design
• 非盲検
• 標準治療群は、施設毎で標準化されていない
• 死亡率が他の報告と比較し高い
• 28日死亡率の結果→90日死亡率だとどうか?
PMID:32876689
PMID:32876697
PMID:32876695
PMID:32876694
ヒドロコルチゾン RCT
ヒドロコルチゾン RCT
デキサメサゾン RCT
全身ステロイド メタ解析
『重症COVID-19患者における全身ステロイドの効果』
WHOによるメタ解析
2020年2月26日〜6月9日の研究を以下より調査
Clinical Trials gov., Chinese clinical trial registry, EU trials register
前向きメタ解析 12カ国7つのRCT
*1P
重症COVID-19患者 1703例I
コルチコステロイド投与*2C
プラセボ投与O
28日死亡率*: デキサメサゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン
コルチコステロイドと28日死亡率
重症のCOVID-19患者を対象 ステロイドと28日死亡率
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45
全患者
Steroid Placebo
222/678 32.7%
OR=0.66 (95%CI 0.53~0.82) p < 0.001 有意差あり
NNT=12
425/1025 41.5%
これらを受けてWHOが推奨を発表
重症もしくは重篤なCOVID-19患者に
デキサメタゾン6mg/dayもしくはヒドロコルチゾン50mg 8hおきの 投与を7-10日間行うことを強く推奨
非重症患者には投与しない
3本目
ARDS患者の人工呼吸管理における 適切な酸素目標とは?
LOCO2試験
N Engl J Med 2020; 382:999-1008
高濃度酸素管理の害
•
フリーラジカル生成による細胞傷害やアポトーシ ス
•
吸収性無気肺
•
高CO2血症の悪化
•
気道障害や肺障害
•
心筋梗塞患者では、高濃度酸素投与により梗塞範 囲が増大
Cardiovasc Res. 2004;61(3):461-470.
Chest. 1985;88(6):900.
Circulation. 2015;131:2143-2150.
低濃度酸素管理の害 V.S.
高濃度酸素管理の害
低すぎる酸素管理は 不十分な酸素供給により
臓器障害を引き起こす
高すぎる酸素管理は 死亡率上昇の可能性
Crit Care Med 2017;45:187–195
14441名のICU患者 295079回の 血液ガスを解析
ICU入院中の 平均PaO2と ICU死亡率の
関係を調査
ICU患者における酸素管理目標 についての主なRCT
P
I C
PaO2 O
(mmHg)
SpO2
(%)
PaO2
(mmHg)
SpO2
(%)
OXYGEN- ICU
JAMA 2016
72時間 以上の ICU滞在
N=434
70-100 94-98 150以上
でも許容 97-100
ICU 死亡率
11.6 vs 20.2 P=0.01 ICU-ROX
NEJM 2019
48時間 以上の MV管理 N=965
- 91-96 -
91-100 FiO2 0.3が
下限
VFD 21.3
vs 22.1 差なし
ARDS患者を対象に
酸素目標を検討した初めてのRCT
ARDS患者の人工呼吸管理における 適切な酸素目標とは?
LOCO2試験
N Engl J Med 2020; 382:999-1008
多施設 RCT フランス13施設 P ARDS で挿管・人工呼吸管理と
なった患者
I 目標 PaO2 55-70mmHg
(SpO2 88-92%)
C 目標 PaO2 90-105mmHg
(SpO2 96% 以上 )
O 28 日死亡率
* 6時間おきにPaO2をcheckして調整(その間は5分おきにSpO2で調整)
患者背景
酸素制限群
N=99対照群
N=102平均年齢
63.0±
15.5 63.5±
14.5 SOFAスコア 9.3±
3.6 8.9±
3.6P/F比 117
±
47.4 120±
53.6 NAD投与量 0.47±
0.59 0.56±
0.64 PEEP(cmH2O) 6.2±
2.7 6.4±
3.5PaO2(mmHg) 90.3
±
38.8 92.3±
44.8 FiO2(%) 80.3±
18.4 80.1±
19.2患者背景
酸素制限群
N=99対照群
N=102平均年齢
63.0±
15.5 53.5±
14.5 SOFAスコア 9.3±
3.6 8.9±
3.6P/F比 117
±
47.4 120±
53.6 NAD投与量 78 (78.8%) 74(72.5%)PEEP(cmH2O) 6.2
±
2.7 6.4±
3.5PaO2(mmHg) 90.3
±
38.8 92.3±
44.8 FiO2(%) 80.3±
18.4 80.1±
19.2平均年齢 63歳 SOFA 9点
P/F=120
NAD 0.5γ程度のショック PEEP 6, FiO2 80
PaO2 90程度
FiO2は酸素制限群で 低く管理できている
酸素制限群
対照群
PaO2は両群とも
目標範囲内に見えるが・・・
対照群
90-105mmHg
酸素制限群
55-70mmHg酸素制限群の58名の患者は,2回程度
PaO2が55mmHgを下回った
一次アウトカム -28日死亡率-
0 5 10 15 20 25 30 35 40
全患者
酸素制限群 対象群
34/99 34.3%
両群差=7.8 (95%CI -4.8~20.6) 有意差なし
27/102 26.5%
一次アウトカム -28日死亡率-
0 5 10 15 20 25 30 35 40
全患者
酸素制限群 対象群
34/99 34.3%
両群差=7.8 (95%CI -4.8~20.6) 有意差なし
27/102 26.5%
酸素制限群で腸管虚血が6名に発生 90日死亡率は酸素制限群で有意に高く
安全上試験は早期中止となった
批判的吟味
•
非盲検
• P/F比を元に割り付け後の治療決定がなされてい
たため、酸素制限群で比較的低いPEEP、腹臥位 施行率が低かった(P/F比はFiO2に依存し、高い
FiO2ではPaO2が低くなる傾向)•
酸素制限群は、PaO2 55mmHg以下となってい た時間があり、それが酸素供給低下→腸管虚血に 繋がったか?
•
試験は早期中止(予定サンプルサイズは850名)
まとめ
ARDS患者において,
•
低酸素濃度管理の有用性は示されず,むしろ腸管虚 血が増えた
•
特にショックを合併している場合は,SpO
2による酸 素化モニタリングの信頼性が揺らぐ可能性がある
• ARDS患者におけるSpO2
の指標は,92-96%が無難 かもしれない
(PaO
2で言えば、70-100mmHg程度)
4本目
ストレス潰瘍予防では
PPIとH2ブロッカーどちらが優れている?
PEPTIC研究
JAMA. 2020; 323(7):616-626.
ICU患者のストレス潰瘍予防
PPIとH2RAはどちらが優れている?
• 消化管出血の予防効果は?
• CDIや肺炎はどうか?
• 死亡率に影響はあるのか?
SUPする → PPI or H2RA ?
JSEPTIC 簡単アンケート第71弾(2019年1月)より引用
PPI 70%
H2RA 20%
その他
10%クラスタークロスオーバーRCT 5か国50施設
P 挿管・人工呼吸管理をされている ICU 患者
I PPIによる潰瘍予防
C H2ブロッカーによる潰瘍予防
O 90日死亡率
施設単位で各群1:1になるようにランダム化
(コンピューターにより生成されたランダム化シーケンス)
- PPI群
:最初の6ヵ月PPI、次の6ヵ月H2RA
- H2RA群:最初の6ヵ月H2RA、次の6ヵ月PPI
患者背景
PPI群
N=13,436
H2RA群
N=13,392
平均年齢
58.6 (17.0) 67 (55-75)APACHEⅡ
18.7(8.3) 18.7(8.4)予定手術
4356(32.4%) 4459(33.3%)緊急手術
2490 (18.5%) 2456 (18.3%)PPI H2RA Both None
PPI群 82.5 4.1 1.9 11.5
H2RA群 20.1 63.6 5.1 11.2
実際の使用薬剤(投与期間は中央値2.7日)
0 10 20
90
日死亡率
PPI
群
H2RA群
一次アウトカム
90日死亡率
有意差なしも、PPI群でわずかに高い
2459/13415
18.3% RR=1.05
(1.00-1.10) P=0.054
2333/13356
17.8%
PPI H2RA ARR NNT/NNH 90日死亡率 18.3% 17.5% 0.8% 125
消化管出血
1.3% 1.8% 0.5% 200CDI 0.3% 0.43% 0.13% 769
VAE 6.5% 5.8% 0.7% 143
死亡/肺炎
GIB批判的吟味
•
非盲検
• PPI群でGIBは抑えられるが、死亡率が高い傾向
との結果だが、アウトカムの僅かな差は臨床的に 意味のあるものか?
• H2RA群の2割はPPIを使用→本来より差がある?
• 3日程度の潰瘍予防であり、長く行えばより差が
出てくる?
PPIの死亡率増加の可能性を気にして H2RAを使用する?
それとも、より潰瘍予防がある
PPIを使用する?
5本目
発症4.5時間以内の脳梗塞にt-PA投与せずに 直接血管内治療を行う手法は有効か?
DIRECT-MT研究
N Engl J Med 2020; 382:1981-1993
発症4.5時間以内で、tPA治療適応患者か?
発症6時間以内で、血管内治療適応患者か?
NO YES
tPA治療
血管内治療
適応 1. 発症前mRS 0-1 2. 内頚動脈またはMCA
M1領域の閉塞 3. 18歳以上
4. NIHSS score 6点以上 5. ASPECT 6点以上
6. 穿刺まで6時間以内
発症4.5時間以内で、tPA治療適応患者か?
発症6時間以内で、血管内治療適応患者か?
NO YES
tPA治療
血管内治療
適応 1. 発症前mRS 0-1 2. 内頚動脈またはMCA
M1領域の閉塞 3. 18歳以上
4. NIHSS score 6点以上 5. ASPECT 6点以上
6. 穿刺まで6時間以内
YES
DICRECT MT
発症4.5時間以内の戦略
tPA+MT vs direct MTtPA+MT
✓メタアナリシス結果から併用療法 の方が再開通率が高い可能性
✓症候性出血の頻度は同等
(有害事象はtPA併用でも同等)
✓tPAによる血栓回収中のmicro emboliを予防効果
✓発症4.5時間以内では、併用療法と同 等の効果が期待できる可能性
✓arterial puncture timeの短縮効果
(tPA省略による時間節約)
✓コスト削減
direct MT
多施設 非盲検非劣性RCT 中国41施設
P 発症4.5 時間以内の前方循環閉塞 による急性期脳梗塞患者
I 直接血管内治療
C tPA静注療法+血管内治療併用療法
O 90日後のmRS
患者背景
DIRECT-MT群 N=327
t-PA併用群 N=329
年齢
69 (61-76) 69 (61-76)NIHSS 17(12-21) 17(14-22)
心原性
146(44.6%) 144(43.8%)原因不明
121 (37.0%) 137(41.6%)発症〜ランダム化
167 (125-206) 177 (126-215)ランダム化〜穿刺
31 (20-45) 36 (22-51)患者背景
DIRECT-MT群 N=327
t-PA併用群 N=329
年齢
69 (61-76) 69 (61-76)NIHSS 17(12-21) 17(14-22)
心原性
146(44.6%) 144(43.8%)原因不明
121 (37.0%) 137(41.6%)発症〜ランダム化
167 (125-206) 177 (126-215)ランダム化〜穿刺
31 (20-45) 36 (22-51)69歳
NIHSS 17点程度 心原性が半分以下
発症からランダム化
まで4時間くらい
一次アウトカム 90日後mRS
非劣性マージン0.8に対して
血管内単独治療群は併用療法に対して非劣性を認めた
DIRECT -MT群
t-PA併用 群
36.4%
36.8%
90日後のmRS scoreの中央値は両群とも
3
OR=1.07 (0.81-1.40), p=0.04
0 5 10
症候性頭蓋内出血
DIRECT-MT 群
tPA 併用群
OR 0.70, p=0.30
(0.36-1.37)
両群で変わらず
二次アウトカム –頭蓋内出血-
4.3% 6.1%
批判的吟味
• 非盲検、中国のみでの試験
• t-PAの投与量が本邦より多い(0.9mg/kg)
• 再開通率は併用群で高い傾向も(79.4% vs
84.5%, OR=0.70(0.47-1.06))
まとめ
Pros Cons
✓最終的なoutcomeに差が無いが、
併用療法の方が再灌流率は高い傾 向にある
✓新規の血栓溶解薬やdeviceの発展
✓10%は血栓回収前に再灌流が得ら れている。
(侵襲的治療が避けられる可能性)
✓ Direct MTは、実施可能な施設が限 られてくる
✓Aspiration deviceも発展しており、
今後MTによる再灌流率の向上が期 待できる
✓最終的な神経学的outcomeに差が 無いのであれば、コスト削減になる