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九州大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験による既存工 業化学物質のリスク評価に関する研究

坪倉, 靖?

https://doi.org/10.15017/1932020

出版情報:Kyushu University, 2017, 博士(農学), 論文博士 バージョン:

権利関係:

(2)

氏 名 坪倉 靖祐

論 文 名 反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験による既存工業化学物質のリス ク評価に関する研究

論文調査委員 主 査 九州大学 教授 宮本敬久 副 査 九州大学 教授 下田満哉 副 査 九州大学 教授 佐藤匡央 副 査 九州大学 准教授 本城賢一

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

ヒトの生活に資する工業化学物質の安全性確保は重要な課題である。本研究は、これまで毒性情 報 の 得 ら れ て い な い 3 種 類 の 既 存 化 学 物 質 4-methoxy-2-nitroaniline ( 4M2NA )、

benzene,1,1´-oxybis-,tetrapropylene derivs.(BOTD)、および 1-tert-butoxy-4-chlorobenzene

(TBCB)について、ラットを用いた反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験(以下、併合試験と略す)

により無毒性量を求め、環境からの経口ばく露によるヒト健康へのリスクについて検討したもので ある。

まず、4M2NA について併合試験を実施した結果、雌の 450 mg/kg 体重(B.W.)/日投与群で網状赤血 球比率の高値並びに脾臓の髄外造血亢進およびヘモジデリン沈着を認めたことから軽度の貧血の発 生を推察している。これらの結果などから、無毒性量を反復投与毒性では 75 mg/kg B.W./日、生殖 発生毒性では、450 mg/kg B.W./日と推定している。

次に、同様に BOTD について試験した結果、200 mg/kg B.W./日以上の投与群の雄および 40 mg/kg B.W./日以上の投与群の雌で肝臓の重量増加を伴う小葉中心性肝細胞肥大、1000 mg/kg B.W./日投与 群の雌で γ-GTP の高値を認めたことから肝臓への毒性影響を推察している。また、200 mg/kg B.W./

日以上の投与群の雄で血液凝固への影響、1000 mg/kg B.W./日投与群で受胎率の低値を認めたこと などから、無毒性量を反復投与毒性では 40 mg/kg B.W./日、生殖発生毒性では 200 mg/kg B.W./日 と推定している。

さらに、TBCB についての併合試験の結果、500 mg/kg B.W./日投与群の雌雄で自発運動の低下、

呼吸数の減少および半眼等を認めたことから中枢神経抑制作用を推察している。また、哺育 0 日に 児動物の体重の低値が 500 mg/kg B.W./日投与群で認められたことなどから、無毒性量は、反復投 与毒性、生殖発生毒性ともに 100 mg/kg B.W./日と推定している。

最後に 3 物質について本研究で得られた無毒性量から一日耐用摂取量を算出し、類似物質の情報 に基づいて各物質のヒトばく露量の最大値を推定して検討した結果、現状では 3 物質ともに環境か らのばく露によるヒト健康へのリスクは非常に小さいと推定している。

以上要するに、本研究は、4M2NA、BOTD および TBCB の 3 種類の既存工業化学物質について併合試 験による無毒性量を初めて示したものであり、既存化学物質の安全性確保に大きく貢献するととも に食品衛生化学および化学毒性学の発展に寄与する価値ある業績と認める。よ っ て 、 本 研 究 者 は 博 士 ( 農 学 ) の 学 位 を 得 る 資 格 を 有 す る と 認 め る 。

参照

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