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振動台を用いた模型地盤の液状化実験

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Academic year: 2021

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(1)

振動台を用いた模型地盤の液状化実験

―マンホールの浮上防止対策と地盤ひずみ測定法の基礎的検討―

Shake-table model test on liquefaction-induced uplift of sewerage -manhole and remediation by counterweights

Basic Studies on Countermeasures for Liquefaction-Induced Uplift of Manholes and Strain-Measurement in the Model Ground‐

土木工学専攻 6 号 遠藤大智 Daichi Endo 1.はじめに

近年の地震災害においては,地盤の液状化に伴うマンホールの浮 上り被害が多発している. 2004 年新潟中越地震においては埋戻し土 の液状化により, 1400 箇所以上のマンホールの浮上が見られた.こ れらはライフラインとしての下水道の流下機能の阻害ばかりか,車 両による緊急物資輸送の妨げなどを引き起こし,大きな社会問題に なった.

現状のマンホール浮上防止対策工法は原理を概略的に分類すれば,

1)ドレーン, 2)アンカー・杭, 3)重量化,4)地盤改良, 5)その他の 5

つに分類できる.その中でわれわれは,メカニズムが簡単で既設マ ンホールへの対策も容易な 3)重量化方式に着目した.本研究では発 表者らが開発中である,マンホール内壁にカウンターウェイトを取 り付け,見かけ比重を原地盤と同等にすることによる対策工法(イ ンナーウェイト工法) について縮尺1/6 の1G 振動台模型実験により,

対策・無対策の実験を行い,結果の比較を行った. 図-1 にインナー ウェイト工法の基本構造を示す.本稿ではマンホールの重心位置の 違いによる浮き上がりの比較や,地盤中の水位が地表面の場合とマ ンホールの重心位置まで下げた中間水位の場合との比較を行い,そ れに伴う間隙水圧や浮上量の比較・検討について述べる.

2.実験概要

内寸法 L1100 ×W600×H800mm の透明アクリル製土槽に珪砂 7 号を水中落下法により堆積させ水平地盤を作

製した.実験で用いた珪砂 7 号の土粒子密度は 2.681g/㎤,最大密度は 1.600g/㎤,最小密度は 1.247g/㎤である.その 際,砂をマンホール外径と同じ高さまで堆積させたところで 1/6 縮尺モデルのマンホール模型(高さ 52.0cm,直径

18.3cm)を設置し,さらに砂を加えて地盤を完成させた.なお地盤の相対密度は 30~40%程度の緩詰めである.そ

(インナーウェイト取付図) (重錘小版図)

図-1 インナーウェイト工法の基本構造

case2・5

32.04

case3

22.00

case1・4

30.34 52.0

18.3

単位(cm)

図-2 無対策・対策マンホール概要図

表-1 実験条件

Case1 Case2 Case3 Case4 Case5

無対策 地表水位

対策 地表水位

対策 地表水位

無対策 中間水位

対策 中間水位

408 390 454 325 322

599900 591600 578800 593700 602000

446900 441600 427100 436300 438900

1.00 1.00 0.98 0.97 0.95

1.84 1.84 1.85 1.85 1.86

32 31 36 38 41

17900 23380 23380 17900 23380

1.361 1.800 1.800 1.361 1.800

鉛直(cm)

※1

30.34 32.04 22.00 30.34 32.04

水平(cm)

※2

8.775 8.95 9.15 8.775 8.95

27 27 27 42.25 46.7

※1 マンホール天端を基準とした下向き方向の位置

※2 マンホールの外周側壁からの水平方向の位置

浮心(cm)

※1

実験ケース

マンホール重量(g) 最大加速度(gal)

ρ

sat

(t/m

3

) 相対密度(%)

設定比重 重心

細砂重量(g) 体積(cm

3

)

間隙比

(2)

して模型地盤を土槽長辺方向に周波数 3Hz,波数 30 波,加速

度 320~450gal で振動させ地盤を液状化させた.水位は地表

に一致させたケースと,無対策時のマンホール重心位置まで 下げたケースで行った. 図-2 に無対策・対策マンホールの概 略図, 表-1 にそれぞれの実験条件を示す.対策マンホールの 設定比重は 1.80t/m

3

で,模型地盤の密度 1.84t/m

3

-1.86t/m

3

にほ ぼ相当している. 図-2,表-1 から分かるように,マンホール の重心位置は実物との相似縮尺を考えて,鉛直方向には中心 高さより約 5cm 下方に,水平方向にも斜壁の影響を考えてわ ずかに偏心している.また,地下水圧による浮心は,水位が 地表面の場合はマンホール重心より高いが,水位を重心位置 まで下げた場合は,地表水位のときより 15cm 以上も低くな るため,液状化時の浮力により傾斜しやすい条件となること も考えられる.

3.実験結果と考察

3.1 対策の有無によるマンホールの挙動の比較

インナーウェイト工法の有効性を調べるために,マンホー ルの浮き上がりのみでなく対策の有無による傾斜の観点から も比較を行った. 図-3 に実験の概略図と水圧計の位置,また 図-4 に case2 (無対策) , case2 (対策重心下方) , case3(対策 重心上方)による過剰間隙水圧とマンホール浮上量の時刻歴 を示す.

はじめに case1 (無対策)について見てみると,振動開始 (1s)

とともに間隙水圧が上昇しそれとほぼ同時にマンホールは大 きな浮上が見られた.この浮上量は下図の case2,3 と比較して も明らかである.また,マンホール重心位置と底版に設置し た間隙水圧計は,浮上の途中で一転して減少に転じ,縦の破 線で示す加振終了後に一定値に収束ししばらくして再び減少 した.この過剰間隙水圧の一連の変化は,マンホールの浮上 と液状化地盤との相互作用が反映されていると考えられる.

次に case2 (対策重心下方)について見てみると,間隙水圧

は水平な破線で示す砂層の飽和密度からもとめた理論間隙水 圧付近まで上昇していることが分かる.それに対してマンホ ールの挙動はほとんど変化が見られなかった.マンホールの 設定比重に比べ地盤の飽和密度がわずかに大きいため振動初 期にはマンホールが若干浮く傾向にあったが,最終的にはわ

ずかに沈下しており,また傾斜もほとんど発生せず,確実な浮上防止効果が示された.

次に case3 (対策重心上方)について見てみると,振動開始後 8 秒後からマンホールは浮上しながら大きな傾斜

が生じ始め,振動終了時点からさらに傾き,最終的には 58°も傾く結果となった.また傾きの変化に伴い,マン ホール重心位置と底版に設置した間隙水圧計は case1 と同様の変化が見られた.ここでそれぞれのケースの傾斜

マンホール重心

マンホール直下地盤 マンホール底版

800 1100

183

500 683

:間隙水圧計

20

単位(mm)

地表水位

中間水位

加振方向

図-3 実験の概略図と水圧計の位置

0 50 100

-2 0 2 4

0 50 100

過剰間隙水圧

(kP a)

浮上量

(m m )

:マンホール重心過剰間隙水圧 (kPa)

:マンホール底版過剰間隙水圧 (kPa)

:マンホール浮上量 (mm)

case1

無対策

0 50 100

-2 0 2 4

0 50 100

過剰間隙水圧

(kP a)

浮上量

(m m )

case2

対策重心下方

0 50 100

-2 0 2 4

0 50 100

時刻

(s)

過剰間隙水圧

(kP a)

浮上量

(m m )

case3

対策重心上方

図-4 対策の有無による過剰間隙水圧とマンホ

ール浮上量の時刻歴

(3)

方向について見てみると,マンホールの水平面の重心は,実大マンホールの斜壁を考慮してあらかじめ偏心させ ているが,本実験ではこれを反映して, case1,3 が重心の偏心方向へ傾く結果となった.それに対し,case2 では

case1,3 と同様偏心させているにも関わらず安定を保持した.

以上より対策の有無によるマンホールの浮上の比較を行った結果,重錘の設置位置は,重心が無対策時よりも 下方へ移動するように配慮すれば,泥水状の液状化層の中で激しい振動を受けてもマンホールは安定性を保持し 得ることが分かった.一方無対策時や重心位置が無対策時よりも上方向にあると,激しい地震動で地盤が完全に 液状化した場合には,マンホールが傾く恐れがあることが分かった.

3.2 水位面の違いによるマンホールの挙動の比較

次に無対策マンホールと重心位置を無対策時より下方に設定した対策マンホールについて,地盤中の水位が地 表面の場合と無対策マンホールの重心位置まで

下げた中間水位の場合との比較を行った. 図-5 はマンホール重量と水位面がそれぞれ異なる case1,2,4,5 について図-3 に示す位置に取り付け た過剰間隙水圧の時刻歴を示す.はじめに対策 マンホール case2,5 を見てみると,振動開始直後 にすべての位置で理論間隙水圧付近まで上昇し ており,振動終了時点までは砂層の底まで完全 液状化状態が継続していることが分かる.その 後底面から水圧は序々に低下するが,マンホー ルの埋設深度ではさらに長時間液状化が継続し ている.

一方無対策マンホール case1,4 に関しては ,振 動直後にマンホールに取り付けた間隙水圧計が ピーク値を示した後振動終了にかけて減少に転 ずるが,これは先述した液状化に伴うマンホー ル浮上りが原因だと考えられる.また,地表水位 の case1,2 に比べ中間水位の case4,5 のほうが過 剰間隙水圧の値が全体的に大きい.これは水位 を下げたことによる有効応力差が原因である.

3.3 マンホール浮上量と浮上安全率の関係 次に図-5 でもとめたケースについて,振動開 始から直後にかけてのマンホール浮上量と地表 面沈下量の時刻歴の比較を図-6 のそれぞれの ケースごとの上段のグラフに示す.

はじめに case1,4 の無対策マンホールについ

て見てみると,地表水位のcase1のほうが中間水

位の case4 に比べ浮上速度が速く,最大浮上量も

case4 では 93mm であるのに対し case1 では

131mm と大きいことが分かる.ここで砂層とマ

ンホールの密度から計算したマンホール浮上量

0 50 100

0 2 4 6 8

過剰間隙水圧 

(kP a)

直下地盤底版 重心

case1 無対策 地表水位

0 50 100

0 2 4 6 8

直下地盤 底版 重心

時刻 (s)

case2 対策 地表水位

0 50 100

0 2 4 6 8

直下地盤 底版 重心

case4 無対策 中間水位

0 50 100

0 2 4 6 8

直下地盤

底版 重心

case5 対策 中間水位

図-5 水位面の違いによる過剰間隙水圧の時刻歴

0 5 10 15

0 1 2 3 4

浮き上がり安全率

時刻 (s) 振動開始

振動終了 浮き上がり安全率

0 5 10 15

0 2 4 6 8

0 50 100 150

過剰間隙水圧(kPa)

case1 無対策 地表水位

浮上・沈下量(mm)

:マンホール底版過剰間隙水圧 (kPa)  :マンホール浮上量 (mm)  :地盤沈下量(mm)

0 5 10 15

0 2 4 6 8

0 50 100 150

過剰間隙水圧(kPa)

case4 無対策 中間水位

浮上・沈下量(mm)

0 5 10 15

0 1 2 3 4

浮き上がり安全率

時刻 (s)

0 5 10 15

0 2 4 6 8

0 50 100 150

過剰間隙水圧(kPa)

case2 対策 地表水位

浮上・沈下量(mm)

0 5 10 15

0 2 4 6 8

0 50 100 150

過剰間隙水圧(kPa)

case5 対策 中間水位

浮上・沈下量(mm)

0 5 10 15

0 1 2 3 4

浮き上がり安全率

時刻 (s) 00 5 10 15

1 2 3 4

浮き上がり安全率

時刻 (s)

図-6 マンホールの過剰間隙水圧・浮上量,沈下量と

浮上安全率時刻歴

(4)

<参考文献>

1) (株)福原鋳物製作所 :

マンホールの浮上防止方法とそのマンホール,特許出願番号2008-248582,2008.9.26

2)

高橋,國生,遠藤,青野 : 重量化によるマンホール浮上防止効果の振動実験,第54回地盤工学シンポジウム,液状化,

2009,pp405-410 3)

遠藤,國生,高橋,相原 : 振動台実験による重量化マンホール浮上防止効果の実証,第

7回地盤工学会関東支部発表会,地盤と構造物,2010

の理論限界値を水平な破線でグラフ上に示 した結果, case1 はピーク値が理論値にほぼ 達しているが,case4 についてはピーク値が 理論値から少し離れていることが分かる.

これは不飽和層のせん断抵抗の影響が考え られ,またグラフから振動終了直前まで浮 上し続けていることより,振動継続時間を 増やすことによりさらに理論値に近づいて いくと考えられる.また, 両ケースについて 最大浮上量まで達した後のマンホールの状 態を見てみると,case1 では 25°まで傾い

て沈下するが,case4 はほとんど傾斜せずに状態を維持することが分かった.間隙水圧と比較すると,間隙水圧の上 昇とほぼ同時にマンホールの浮上も始まり,case1 では加振 1 秒後から急上昇しピークに達した後,傾斜を伴いな がら緩やかに沈下する.

一方 case2,5 の対策マンホールについて見てみると,case2 では振動開始から地盤の沈下が収束するまでマンホ

ールは浮上も傾斜もほとんどしなかった.また case5 は振動開始直後に浮力変動の影響により地表とともにわず かにマンホールが浮上したが,安定性は維持されていると見なしてよいと思われる.

以上図-5,図-6 で得られた結果を用いて,マンホールに作用する鉛直方向の力のつり合いを考えることにより,

浮上安全率を求め,振動開始から直後におけるマンホール浮上量と浮上安全率の時刻歴の結果を図-6 の下段のグ ラフに示す.通常の設計法での浮き上がり安全率 Fs の算定の考え方を図-7 に示している.中間水位で大きな浮 き上がりを示した case4 の場合には地表水位とは異なり,側面摩擦抵抗 Q

B

が関わってくる.実験結果より,浮き 上がり開始時点から終了時点で Fs  1.0 として水圧測定値をマンホール自重から Q

B

を逆算すると,中間水位条件 の case3 で Q

B

 0.08 kN が得られる.これより,静止土圧係数 K

0

 0.5 とした場合,図-7 の式により内部摩擦角が

  30°と算定される.これより  ≒30° として算定した中間水位の case4,case5 それぞれの安全率の時刻歴を図

-6 に示す.これより対策マンホールの場合,水位に関係なく振動開始直後に安全率が低下し,浮き上がりの境界 値である 1 で収束したが,マンホールは浮き上がらず,安定を保った.これはマンホールと地盤の密度を同程度 にする重量化工法の性質上当然の結果と言える.次に無対策マンホールの結果について見てみると,両ケースと もマンホールの浮上と安全率が 1 以下になる時刻がほぼ同時であった.これより,過剰間隙水圧を用いた安全率 の時刻変化は浮き上がり挙動と整合していると言える.

4.まとめ

・無対策マンホールの浮上り量は,砂層とマンホールの密度から計算した理論値で良く説明できた.

・重錘設置後の重心が無対策時よりも下方に設定し,埋め戻し土の密度とほぼ同等の平均密度にした対策マン ホールは,激しい振動による完全液状化の状態でも,水位が地表かそれより低いかに関係なく浮上も傾斜も せず安定を保持できることが分かった.

・間隙水圧の値を基に浮き上がり安全率を算定した結果, この安全率と浮き上がり挙動には整合性が見られた.

D

H

h

WB

QB

US UD

B B

S D

W Q Fs

U U

 

Fs:浮上量安全率 WB

:マンホール重量 [kN]

:マンホール底面に作用する静水圧による揚圧力 [kN]

US

<地下水位が地表面の場合>

<地下水位が中間水位の場合>

S w

UH A

S w

U  h A

H h A

:マンホール高さ [m]

:地下水位[m]

:マンホール底部面積[m2] UD

:マンホール底面に作用する過剰間隙水圧による揚圧力 [kN]

UD  u Au:過剰間隙水圧 [kPa]

QB

:非液状化層内でのマンホール側面の摩擦抵抗 [kN]

 

0 ' tan23 QBKv   D h

 

0 t h2 tan23

K   D h

     

K0

 '

v

2

t h

 

:静止土圧係数0.5

:内部摩擦角 22°

:マンホール側面中央 での有効上載圧 [kPa]

図-7 マンホール浮上安全率の算出法

参照

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