Author(s)
山門, 健一
Citation
沖大経済論叢 = OKIDAI KEIZAI RONSO, 22(1): 29-35
Issue Date
2000-03-17
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12001/6807
「まちづくり講座」とまちづくりの実践
「まちづくり講座」と
まちづくりの実践
山門健一
(沖縄大学法経学部教授)
「街づくり」、「町づくり」ということばもある が、やはり「まちづくり」を使うことにした。 「むら」に対する「まち」、閉鎖的な「むら」に対 して開放的な「まち」を意識した。「まち」が成 立する大きな要素は、市だった。市には多くの異 なる人々、もの、情報が集まる。「市」は「交流 の場」といえる。 閉鎖的で、自給自足的な生活をしている「むら」 というのも過去のものになってしまった。商品経 済の網の目に組み込まれている今日、「むら」も 「まち」化している。地域間交流を村の振興策の 柱にする村も多い。だから村においても「まちづ くり」は存在する。 一昨年から今年にかけて、県教育委員会の「リ カレント講座」、那覇市都市計画課主催の「真和 志地域まちづくり講座」を実施した。また、個人 的には那覇市景観審議会委員、那覇市「緑の基本 計画」策定委員会委員長などを務め、那覇市の問 題にいかかわってきたが、大学と地域の関係を考 えるいい機会でもあった。そこで、まちづくりの 実践に焦点を当てながら、この間の取り組みを整 理してみることにした。 はじめに 一昨年から、「まちづくり」の講義を担当して いる。できるだけ具体的なまちづくりの事例を紹 介しつつ、また沖縄各地のまちづくりの現状分析 やまちづくりへの具体的な提案などを行ってきた。 またこの間、東村、伊平屋村、伊良部町、糸満市 その他の活性化の仕事にもかかわる機会があった。 学生にとっても身近な材料をもとに講義すること ができたように思う。 ところで、「まちづくり」によく似たものとし て「むらづくり」、「地域づくり」がある。ざらに これらと並んで、「むらおこし」、「まちおこし」、 「地域おこし」ということばもよく使われる。 「おこし」の方は「沖縄のシマおこし」運動が ルーツだといわれている。沖縄の日本復帰のころ、 八重山では、本土資本による大掛かりな土地買占 めがあった。そういう中で、青年たちを中心に、 自分たちのシマを守ろうと、「シマおこし」運動 が発生した。 「つくり」というと、建物を作るとか、橋を架 けるとかハード中心のニュアンスが感じられる。 それに対し、「おこし」の方は内から湧き上がっ てくるような感じがする。「このときの『シマお こし』の語感がぴったしだったことから,それに ならって「むらおこし』とか「まちおこし』「地 域おこし』といった言い方が全国にひろまっていっ た」(森巌夫「地域おこし最前線』)。また、1980 年大分県の安心院町で「ムラおこし」シンポジウ ムを仕掛けた猪爪範子も八重山の「シマおこし」 運動にヒントを得たと述べている(「まちづくり 文化産業の時代」)。1、「まちづくり講座」の実施
98年、99年の2年間、沖縄大学で、沖縄県教育 委員会の「広域学習サービス講座リカレントコー ス」を受け持った。 県教育委員会は、「いつでも、どこでも、だれ でも学べる」をキャッチフレーズに県広域学習サー ビス講座を実施した。県内の大学は「リカレント コース」を受け持ち、各大学は「法学、経済学、 29講座内容として開設する」ということが「基本的 な考え方」になっている。 98年度の場合、県教育委員会からの要請が夏 休み期間中にあり、しかも計画書の提出期限も夏 休み中ということもあって、余裕がなかった。そ れで、急いで地域研究所の「まちづくり研究班」 を中心に、講師陣を組むことにした。
「まちづくりの課題と方法」というテーマで、
10月24曰から1月30日まで、10回の講座を開い た。谷口正厚、南川忠嗣、上田不二夫、宇井純そ れに私の5人が、それぞつれが地域で取り組んで いるテーマで講義した。 また、毎回ゲストスピーカーをお願いした。そ れぞれの分野で、現場で実践している人を招いて 話してもらったが、これも好評だった。この種の 講座は、受講者数が、回を重ねるとともに減少し ていくケースが多いが、そういうこともなかった。 を実施した。(表1)2、講座の成果と今後の課題
99年度も「まちづくり講座」を実施すること にした。土曜教養講座でもこの種の講座がわりと 人気があったこと、98年の「まちづくり講座」 が、受講者には評判がよかったこと、また那覇市 が現在、まちづくり事業を展開していることなど を踏まえてのことだった。 99年度から人文学部福祉文化学科がスタート したこともあって、前半の5回は「福祉のまちづ くり」について、後半は緑化、「香りのまちづく り」をそれぞれ2回ずつ、最後は「エイサーと地 域おこし」でしめくくった。 いま沖縄のまちづくりが直面している課題に、 沖縄大学としても真剣に取り組み、市民とともに 表1 30 回 月日 講座内容 講師 1 6/12 まちづくり条例と沖縄大学 真喜志好一(建築研究室DAP)谷口正厚(沖縄大学法経学部教授) 2 6/19 バリアフリーからユニバーサルデザインヘ 谷口正厚(沖縄大学法経学部教授)村上有慶(沖縄職業能力開発短期大学校 助教授) 3 6/26 社会福祉士の仕事 谷口正厚(沖縄大学法経学部教授)島村聡(沖縄社会福祉士会副会長/ 那覇市障害福祉課主査) 4 7/3 沖縄演劇「丘の一本松」 谷口正厚(沖縄大学法経学部教授) あいとぴあ(小規模共同作業所) 5 7/10 シニアタウンづくり構想 -老人・障害者にやきしいまちづくり 南)||忠嗣(沖縄大学法経学部教授)備瀬知伸(都市科学政策研究所代表取締役) 6 7/17 街路樹を考える 吉田朝啓(沖縄大学人文学部教授)崎山正美(風水舎) 7 7/24 住まいの緑化 吉田朝啓(沖縄大学人文学部教授) 武田慶信(沖縄グリーンデザイン) 8 7/31 香りのまちづくり -園芸療法の実践一 高江洲義英(いずみ病院院長)山門健一(沖縄大学法経学部教授) 9 8/7 香りのまちづくり -香りの応用について- 池間洋一郎(TTC研究開発部次長)山門健一(沖縄大学法経学部教授) 10 8/14 エイサーと地域おこし 宜保榮治郎(沖縄大学法経学部教授)目取真武男(「琉球國祭り大鼓」演出) 與那嶺昭(「琉球國祭り大鼓」国際部委員長)「まちづくり講座」とまちづくりの実践 考え、実践するという意気込みで臨んだ。また講 座を契機に、まちづくりの運動、まちづくりのリー ダーが市民の間から生まれることを期待した。 講義方法にも工夫を加えた。講師陣は昨年と同 様、本学の教授と学外からのゲストスピーカーを 組み合わせた。映像等もできるだけ活用すること にした。また堅苦しい講演会形式ではなく、フォー ラム形式に近いものにし、受講者も自由に発言で きるように配慮した。じっきい受講者からの発言 は多かった。これらはおおむね成功したと考えて いる。 受講者はのべ645名。毎回、平均65名。ま た3回以上参加した人は那覇市民が30名、それ に周辺の市町村から28名、ざらに本部町3名、 名護市2名だった。 また、県内の各大学で実施した講座および受講 者数はIまつぎのとおりである。(表2) 講師陣はそれぞれ市民とともに考え、かつ実践 することを意識しながら臨んだが、吉田朝啓教授 の場合、講義の中で園芸クラブの結成を呼びかけ た。この呼びかけに応え、受講生が中心になって、 都市緑化に関する調査研究と実践を目的とする 「沖縄大学園芸クラブ」が誕生した。 11月の沖大祭には、園芸クラブは“世界の植 物展示バザー”を開いた(「沖縄の緑化推進と課 題」<沖縄タイムス99.12.27>)。これには卒業 生が経営する松永農園や「沖縄ツッジとツバキの 会」のメンバーらも協力してくれた。沖縄大学を 都市緑化の拠点にしようという吉田教授の呼びか けに学外からの反応が大きかった. 学生会員が4名、27名が社会人という、市民 中心のクラブである。毎月、学習会を開催してい るが、中部や名護市から通ってくる会員もいる。 那覇市のNPO活動支援資金など活用も検討して いる。
3、那覇市都市計画課主催「真和志地
域まちづくり講座」
那覇市は、アンケート調査や地域懇談会を重ね たうえで、昨年4月、「那覇市都市計画マスター プラン」を策定した。これは向こう20年間の都 表2平成10.11年度広域学習サービス講座リカレントコース実績状況 5,『’
(沖縄県教育委員会) 31 大学・短期大学名 平成10年度講座名 平成10年度受講者数 平成11年度講座名 平成11年度 受講者数 平成10.11年度 総受講者数 1 名桜大学 情報活用能力 育成講座 26 わかり易いパソコン 67 93 2 沖縄大学 まちづくりの 課題と方法 47 まちづくり 115 162 3 沖縄国際大学 沖縄の文学講座 27 逆転の発想 33 60 4 沖縄キリスト教 短期大学 カウンセリング 講座 35 カウンセリング 65 100 5 沖縄女子短期大学 女性のためのコンピュータ入門 30 コンピュータで 人生のパワーアップ 60 90 6 琉球大学 21世紀の 沖縄を考える 43 21世紀の沖縄を 考える 87 130 7 県立芸術大学 琉球舞踊概論講座 31 芸術のみなもとを 考える 42 73 合計 239 469 708講座のテーマとしては、「真和志の水と緑のま ちづくり」「ユニバーサルデザインの真和志をめ ざして」「通り会活動とまちづくり」としたいと いうことだった。 講座はきっかけづくりである。真和志地域に自 然や歴史を踏まえ、地域のニーズにあったきめ細 かい都市計画をするために、市民とともに「まち づくり計画」をつくっていこうというものである。 (表3) 計画づくりだけでなく、具体的に行動しようと いうことで、ちょっとした街角整備をするための 工事予算も準備されている。地域のグループが考 え、提案し、実行するために「緑のワークシヨッ プ」も呼びかけている。 また、1999年度から2001年度にかけて、那覇 市最大の住宅市街地「真和志地域」のまちづくり 計画をスタートさせることになったが、その背景 にはこういう事情がある。 那覇、小禄、首里などの地域は、中心市街地活 性化関連事業、歴史的地域環境整備、軍用地跡地 の土地区画整理事業や地区計画制度、都市景観形 成地区指定による街並みの誘導などによって、着々 とその都市基盤や環境を整えつつある。それに比 べて真和志地域は、十分な都市基盤施設の整備が 行われないままに、高密度な住宅市街地化が進行 した。いまなお高密化、スプロール化が進んでい る。広域幹線道路などの整備が着々と進みつつあ るものの、身近な住環境整備に対応するまちづく り事業はまだ緒についていない。 それで、都市計画マスタープラン地域まちづく り方針にもとづいて、「真和志地域まちづくり計 画」を作成し、実行力のある計画として新規事業 や市民活動としてのまちづくり事業の芽だしを図 ろうということになったのである。 またこの地域には、沖縄女子短期大学、沖縄大 学、沖縄看護大学の3大学がある。その中でも沖 縄大学は「地域に根ざし、地域に学び、地域とと もに生きる、開かれた大学」をテーマとしているd そこで継続的に地域まちづくりが展開されるため に必要な市民活動拠点のひとつとして「沖縄大学」 という施設(教室・講堂)、知識((教授・講師陣)、 行動力(学生)を活用したい。そこで手始めに真 和志地域を対象としたまちづくりを考える契機と して、真和志地域住民を対象とした全3回の「真 和志まちづくり講座」を沖縄大学で開催したい。 表3 都市計画課の要望に従って、1月21日から23 日まで、以下のような講座を実施した。 『真和志地域まちづくり講座』1N沖縄大学 テーマ1:水と緑とまちなみ、花香るまちへの提 案講師:山門健一 テーマ2:福祉のまち、大学と地域の役割 講師:谷口正厚 テーマ3:誇れるわがまち、参画するまちづくり 講師:南Ⅱ忠嗣 参加者は87名。真和志地域の市民が約50名, 市外からも約20名が参加した。新しい試みとし て手話通訳も設置、また市職員によるファシリテー ション・グラフィックによる講座内容の記録も行 うなど、よりわかりやすいものにした。 (真和志地域まちづくり通信「木漏れ日広場」創刊号より) 32 1年目 2年目 3年目 きっかけづくり 具体的なまちづくり計画の 作成実施 真和志地域まちづくり 計画を作成 ● まちづくり講演会とか ・地域宝物保存とか ● まちかどシンポルツリー植栽 と力ユ ● いろんな計画案を出し合い 現実的かどうか検討したり 役所に働きかけたり… ・計画書をかんせいさせて都市 ● 計画に反映きせたり まちづくり活動の手引きとし て活用したり…
「まちづくり講座」とまちづくりの実践 今回の講座について、都市計画課の「真和志地 域まちづくり講座in沖縄大学・実施報告書」 はつぎのように分析している。 かけた。 まちづくりの基本的な手法は、市民が自分たち の地域にある資源を発見し、それを最大限活用し ていくことだと思う。資源を発見して、地域を誇 りに感じたり、愛着を持つようになれば、もっと 地域をよくしていこうという行動につながる。そ れがまちづくりであろう。 1)開催曰の設定について 三日連続であったので、日を追うごとに参加人 数が減少していった。間隔をあけた日程の設定が よかったと考えられる。 2)講座の進め方について 質疑応答の際に、-人の質問に時間を取られす ぎたり,質問の意図がつかみにくかったりしたケー スが多々見受けられた。あらかじめ参加者に時間 配分を知らせておき,質疑に関してはKJ法の要 領で質問用紙に書かせ,それに対して答える方式 をとれば多くの質問に答えられたと思う。 3)テーマの設定 水と緑,福祉,まちづくり活動、いずれも生活 に身近なテーマであり、まちづくりのきっかけを 見つけるにはよいものだったと思う。 4)関心の高さ アンケート調査では、まちづくり全般に関心の ある結果が出たが、その中でも道路・交通環境、 歩行者空間、バリアフリーなど、生活環境に高い 関心が見られた。 5)まちづくり参加への理解について 参加者の中には、地域でやるべきことも行政に 求める方が-部にいたものの、アンケート調査の 結果を見ると、地域全体のまちづくりの認識がか なりできているようにみられた。 提案1:トポロチ通りをつくろう これについては、吉田朝啓教授のことからはじ めないといけない。琉球政府派遣医師としてボリ ビアのコロニアで医療活動にあたっていた吉田医 師のところに、琉球政府農林局次長の天野鉄夫氏 (故人)らが視察にやってきた。仕事のあと話題 になったのは、南米のきれいな花木だった。吉田 医師はトポロチがいいといってすすめた。天野氏 はこれにトックリキワタと命名した。繁多川の天 野家に庭に咲くのが沖縄第一号のトックリキワタ である。 農業技師の来問清典氏(現・宮古森林組合常務 理事)は枝を分けて欲しいとなんども天野家に通っ た。やっと手に入れた枝を別の種類のキワタに接 木することに成功した。 ところで、このトックリキワタは個体差が大き い。木によって開花時期がまちまちだという問題 がある。早いものは8月に、遅いものは12月ごろ 咲く。そこで開花時期をそろえようと、神原中学 校の10数本のトックリキワタに来問方式で改良 を加えたのが、武田慶信、崎山正美、小島裕の3 人だった。これは見事に成功した。毎年10月に いっせいに開花する。今ではトックリキワタの名 所になっている。昨年10月、神原中学校のPT Aが中心になって初めて「トックリキワタ祭り」を 開催した。 吉田教授は県教育委員会主催のまちづくり講座 の中で「植物にはそれぞれふるさとがある」といっ たが、私はそれに付け加えて、「植物には人間との かかわりの中で、ざまざまなストーリーがある」 と述べた。植物のふるさともストーリーも、地域 おこしを展開するうえで、貴重な資源だと思う。 また、トックリキワタの改良が神原中学校でと まってしまっているのがおかしい。与儀小学校か ら沖縄大学に向かう通りには約200本あるが、こ れに改良を加えトックリキワタあるいはトポロチ 通りにしようと提案した。このことはまた商店街 講座は午後7時から9時という時間帯に開催さ れたが、この時間帯にも問題があったかもしれな い。日を追うごとに参加人数が減少していくとい う問題もあった。これはやはり第2、第4土曜の 午後開催される土曜教養講座に組み込んで実施し た方がよかったと思われる。
4、真和志地域におけるまちづくり
の実践
私が担当した「水と緑とまちなみ、花香るまち への提案」についてふれてみるが、まず植物を通 して沖縄の地域特性を考え、さらに植物を活用し た各地の地域おこしの事例を紹介した。後半は具 体的な提案をいくつか行い、行動への参加を呼び 33市場では野菜として売っているという。花は豚肉 といっしょに妙めたり、卵とじのスープに入れた りする。ベトナムでもスープに入れるようだ。 ジャスミンもイエライシャンも挿し木で簡単に 増やせる。誰でもやれる「まちづくり」ではない か。 提案2:ピパーズをモノレールの橋脚に這わせよ う ピパーズと書いたが、地域によって呼び方は異 なる。ピパーズ、フイファチ(竹富島)、ヒハチ…… といったぐあいである。伊波普猷の「P音考」 (P音→F音→H音と変化していくという主張) の典型的なケースのようにも見える。しかし与那 国の場合、この法則から外れてチバティという。 和名はヒハツモドキ。中国の「畢擢」に似ている が違うということで、こういう名前がついた。実 は沖縄のものはジャワナガコショウ、中国のもの はおそらくインドナガコショウだと思われる。 若葉をてんぷらにしたり、ジューシーに入れた りする。コショウやピパーズかりんとうなどの特 産品もある。 吸盤を持っていて、壁も這い上がっていく性質 を持っているから、モノレールの橋脚に、はわせ たらどうだろうかと提案した。 このような提案を行ったが、私も顧問を勤める 沖縄大学園芸クラブと一緒に、これらの提案を実 現するようとりくんでいきたいと思う。また受講 者の中から賛同してくれる人が何人かいた。那覇 市の公園緑地課からも具体化したいという話があっ た。 おわりに 真和志地域に住む10名の建築士で構成する 「真和志地域まちづくり委員会」がある。昨年5 月に発足した。沖縄大学での講座のあと、できる ことからはじめようと、現在「花香る街角・真和 志あじまあ再生計画」にとりくんでいる。 「花香る街角」の「香り」には、クライミング・ イランイランも候補にあがっている。イランイラ ンという香水の原料にもなる有名な花がある。キャ ンパスにもある。その仲間にクライミング・イラ ンイランというのがある。これもキャンパスにあっ たが、3号館建設の犠牲になった。 半つる性の植物で、釣り針のような見事なフッ クを持っていて、これでまわりの木の枝を引っ掛 けながら、よじ登っていくことから、こういう名 前がついた。漢名は鶯爪花(オウソウカ)、和名 はまだない。 バンコクの街では、バス停に藤棚のようなもの をつくって、それに這わせている。陰をつくるだ けでなく、夕方になると花が開き、熱帯果樹のよ うな甘い香りが、仕事に疲れてバスを待つ人々の 頭上に降りかかるという仕掛けになっている。 この植物は、かつてゼミ生の高橋英世君がタイ に一年間留学したとき、見つけ、その活用方法と ともに持ち帰ったものだ。講座では、バンコクの 街のスライドを見せながら紹介したが、建築士た ちは「真和志あじまあ再生計画」にこれを使いた いという。風にも強い、年に数回花が咲き、香り を発する。 提案3:ジャスミン、イエライシャンを増やそう ジャスミンは、インドから中国をへて琉球に伝 わった。中国では、この花でお茶に香りをつける。 香片茶(シャンピエンチャ)ともいう。これが沖 縄の「さんびん茶」になった。ざんびん茶は最近 人気が高まってきている。また、朝、花を摘んで お茶に入れ、香りを楽しむ習慣が、しばらく前の 沖縄にはあった。 フィリピンではサンパギータ(スペイン語)と 呼ぶ。この花でレイをつくって首にかける。和名 はマツリカ。琉球に侵入した薩摩は、マツリカを 見つけた。これを幕府に献上した。しかし江戸で は、マツリカの強い香りは好まれなかったらしい。 いろんなストーリーを持つ花だが、知らない人が 多い。もっと増やすべきだろう。 イエライシャンは熱帯アジアあるいは中国南部 から八重山に伝わった。夜香木のことをイエライ シャンという人が多いが、これとは違う。 かつて朝日新聞の天声人語で紹介され、話題に なった。天声人語によれば「大昔、中国で戦乱が あり、ある軍隊が城を占領した。兵士たちは、ふ くいくたる夜来香の香りに包まれているうちに戦 意を失い、翌日の戦いで城を追われることになっ た」という伝説もある。 34
「まちづくり講座」とまちづくりの実践 これらの講座を通して、市民、それに行政も加 わったネットワークが形成きれたと思う。市民も 参加した沖縄大学園芸クラブ、吉田教授は将来的 にはハワイのTheoutdoorcircleのようなもの を目指しているが、これもまちづくりの重要な拠 点になりうると思う。 地域の中に自立的に展開していく「まちづくり 運動が」ビルトインされた、とはまだいいがたい 状況だが、この間のいくつかの「まちづくり講座」 はその「きっかけ」づくりの役割を果したと思う。 35