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[講演録]沖縄の産業振興 : (株)トロピカルテクノセンターとの関わり: 沖縄地域学リポジトリ

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Title

[講演録]沖縄の産業振興 : (株)トロピカルテクノセンター

との関わり

Author(s)

照屋, 輝一

Citation

南方資源利用技術研究会誌 = Journal of the society tropical

resources technologists, 8(1): 15-30

Issue Date

1992-03-20

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/14054

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Vol.8 No.1 1992

沖 縄

の 産

-(秩)トロピカルテクノセンターとの関わ り照 屋 輝 -(秩)トE)ピカルテクノセンター はじめに ご紹介のございました株式会社 トロピカルテ クノセンターに、県から正式に6月15日付で辞 令が出まして出向させ られたばかりでございま す。実際には今年の初め境からいろいろと手伝 わされてまいりました。 この会社は、国の頭脳立地法という法律に基 づいて国や県、具志川市などの中城湾口周辺の 市町村、沖縄電力などの民間34社が加わって12 億8千2百万円という資本金で、沖縄の産業振 興、特に遅れている工業の振興に資するための 研究開発であるとか、人材育成であるとかを事 業の柱 とする第三セクター方式で設立された研 究開発型企業でございます。 というわけで、今日は "沖縄の産業振興"、 そして トロピカルテクノセンター

(

TTC)

と の関わりということで話をしろというご注文だ と存 じます。 産業 といいますと非常に幅広いものでもので ございますが、私の方でお話 したいのは "モノ'' づ くりの産業、いわゆる工業や農業 というとこ ろでございます。特に工業の振興ということで、 仕事の関係から考えていることなどをお話 させ ていただきたいと思います。 現在、産業分業論 ということで、何 も沖縄で 工業を興さないといけないということはないの じゃないか、日本全休の中で沖縄は沖縄の もっ ている特徴を生か した役割を担えばいいじゃな いかという意見 もございます。つまり、沖縄の 沖縄 の産業振興 地理的位置であるとか、亜熱帯の自然環境であ るとかを活用 した

光 ・リゾートに特化していっ てもいいのではないかというようなことがよ く 言われているわけでございます。それはそれで もっともであると思います し、観光 ・リゾー ト の振興に力を注 ぐことになん ら異論はございま せんが、それだけというのはどうで しょうか。 私は敢えて工業の振興に固執 しまして、そのお 話をさせていただきたいと思 っております。工 業振興は沖縄で可能であるのか、それに

TTC

がどういう関わり方をすればいいのか、どうい う関わり方をしたいのか、というお話をさせて いただきたいと思 っております。 1.沖縄経済の現状 そこで、産業振興、工業振興の必要性の背景 となります沖縄経済の現状に若干ふれなければ なりません。この研究会の特別講演会でも、 こ れまでも工業連合会の宮城弘岩副会長であると か、 (財)地域産業技術振興振協会の稲嶺恵一 理事長であるとか、いろんな方を引っ張 り出 し て参 りまして沖縄経済の話を してもらって きて おります。その引っ張 り出 し役とか、紹介役を 私 も何度か努めさせていただいておりますので、 沖縄経済の話は皆様 ももう耳にタコができてい ることとは存 じますが、ご辛抱いただいて一応 触れさせていただきます。 沖縄の場合には、復帰後、 2期にわたりま し て沖縄振興開発計画がたて られ、そして現在3

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凧 屋 輝 -期日の計画に入ろうとしているわけでございま す。社会資本はご案内のとおり大 きく進展 して まいりまして、経済規模 も全国を上回る成長率 で伸び続けております。昭和62年度の実績で県 民総生産は約2兆5千億円、これは実に復帰時 の5千億円の5倍 という伸びを示 しているわけ であります。 然 し、この経済発展の背景 といいますか、現 状をよくよくみてみますと全 く問題がないわけ ではありません。む しろ、大 きな問題を抱 えて いるわけでございます。 まず、全国平均の約

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倍に相当する財政投資 を受けての、土木 ・建設工事を中心 とする公共 事業に支えられてのもので、社会資本の整備 は 進んだ ものの、 "モノ"づ くりを中心 とす る経 済発展 とは言い難いものがあ ります。そ して、 日本全体が輸出の黒字で大変問題になっている 中で、沖縄は常に大幅な移輸入赤字で、円高の 影響で縮まってはきているものの、それで も5 千億円近い赤字になっております。産業構造で も、総生産の構成比は三次産業が77.3%と突出 し、これは実に全国平均を13.5ポイント上回 っ ております。一方、二次産業 は21.4%で全国平 均を15.9ポイ ント下拘 っていますo しか も、 こ の値は、全国平均の2倍という建設業に支え ら れているもので、工業のみでいいます と6.5% でございまして、全国平均を実に22.5ポイ ン ト も下回って しまいます。全国平均の1/ 4に も 逮 していないわけであります。 日本全休の経済 の方向は、2050年 ごろまで に、現在37%ぐらいの二次産業が30%ぐらい に下がってきて、一方64%ぐらいの三次産業が 70%台まで上がって くるものと予想 されていま す。確かに、日本全体が三次産業化が進みつつ あるのは事実です。三次産業化が進み、二次産 業が下がって到達する比率に比べて も、現在の 沖縄は10%近 くも低いという現状でありまして、 やはり沖縄の産業経済は第三次産業に偏重 した 消費経済的構造にあると言わざるを得 ません。 また、そのような現状の中で、復帰後、終始全 南方資源利用技術研究会誌 国平均の

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倍近い失業率を抱えてきている現実 も問題 と言わざるを得ません。 ですか ら、復帰後、経済が5倍にも伸びたと いって も、内実をよくみます と、経済不況であ るとか、内外で何かが起 こると、一気に崩れて しまいそうな砂上の楼閣的経済構造にあるよう な不安感を否めない現状である、ということに なります。 そこで、工業を、全国平均までという必要 は 無いにして も、やはりもうちょっと育ててい く 必要はあるだろう、育てていかなきゃならない だろうということであります。 2.工業振興の必要性 工業 は知識集約型の付加価値の高い産業 であ ります。雇用吸収力が大 きく、またいろいろな 形で他の産業に大 きな波及効果を有 してお りま す。例えば、物的にはその製品の供給でサー ビ ス産業、建設業、農林水産業への波及効果を、 また農林水産物や鉱物資源など地域資源の加工 により高い付加価値を付与 します。つまり、地 場の強力な工業の存在 は他の産業の価値を大 き く高めることが出来ます。 もし、沖縄に強力な工業が振興 されれば、観 光 ・リゾー ト産業はもちろんのこと農林水産業 も建設業 も、鉱業 も大 きく発展 し、足 ・腰 の強 い地域経済が実現出来 ることは言 うまで もない ことで しょう。 また、知識集約型の産業であることは、現今 の科学技術の時代にふさわ しい高度の人材 の集 積、つまり知恵の軍団が集積 されて くるとい う 知的波及効果 も見逃せません。これ らの人材 は 時代の先端をゆ く科学的、技術的立場か らもの を考え、農林水産業や建設業、観光 ・リゾー ト などのサービス産業に対 しま して も、常に時代 の進展にふさわ しい新 しい考え方や、革新的 シ ステムやモノを提供するという効果が期待 され ます。このような形で工業側か ら他産業に寄与 するところが大 きいということは、米欧の農業 や観光先進国が工業先進国で もあるという歴史

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VoL 8 No.1 1992 的、世界的事実 として も示されております。 従いまして、産業革命以前の中世の時代 に後 戻 りすることはもはや不可能な世界人口が

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億 にもなろうとしている現在、工業 といいますの は健全な地域経済の発展を促進するための産業 のバ ックボーンとして、強力に振興 してい く必 要があると考えたい訳であります。 工業を振興 したい、これはもう、明治以来常 に沖縄の振興が論 じられるたびに問われ続 けて きた問題であり、沖縄の歴史的悲願 とでもいう べきものであります。いつの時代にも、工業を 振興 しなくてはいけないと言われ続けなが ら出 来なかった。というところに沖縄工業の振興の 難 しさが現在 もあるわけではございますが、諦 めずに何とか出来ないものだろうか、という模 索から出てきた一つが株式会社 トロピカルテク ノセンターの誕生 ということになるのだと考え たいわけであります。実際、そういう重要な役 割がTTCに強 く期待されていることを着任後 感 じさせれております。そのような大 きな役割 を担い得るのか、果た し得るのかどうか大変不 安ではありますが、担 うべ くベス トを尽 くさな くてならないのだと心をひきしめているところ であります。 そういう意味か ら、今日の講演 も、TTCの 決意表明をさせるために私にお鉢が回って きた んではなかろうかと思 って、ひしひしと肩の重 荷を感 じさせ られているところでございます。 3.工業振興の課題 従来沖縄は、見るべき資源が無い、市場規模 が小さい、離島県で原材料の移輸入や製品出荷 のための輸送 コス トが割高になる、というよう なことが工業立地上の負の要因として上げられ、 だか ら沖縄では工業は駄目だというような悲観 論が歴史的に非常に強か ったわけであります。 重化学工業を中心 とする工業化社会が進展 して きた昭和40年代まではそれはそれで しかたがな かったかもしれません。 確かに、これ らのことは現在でも工業立地上 沖縄の産業振興 の重要な条件であり、なお沖縄の不利性だ と言 わざるを得ません。然 し、工業立地の条件 は必 ず しもそういうことだけではなく、私はむ しろ 真の要件 というのは実は技術力なのだと考えて います。よく、 "資源は南から、技術は北から" と言われます。実際、工業先進国というのは資 源的にあまり恵まれていない北側に位置す る場 合が多いのは事実です。あまり資源に恵まれて いるとは言えない我が日本が、経済大国と呼ば れるまでに成長 してきたということが一つの大 きな見本であろうと思います。 技術 というのは、見方を変えれば、負の要因 を克服 し、さらには正に転換 し得るところにそ の真髄があるとも言えましょう。特に、昭和50 年代か らは、昭手D40年代の公害問題、石油ショッ クに代表される資源の枯渇化、そういう現象を 背景に "ハイテク時代"に入 り、地域での技術 開発競争が始まり、技術力というものが地域の 産業の発展の、企業存続の最 も重要なキーワー ドとなってきたわけであります。 即ち、工業振興の真の課題は、如何に沖縄地 域の技術力を、技術集積を高めるかということ だと考えるわけであります。 沖縄でも、もし技術力が十分蓄積されま した ならば、おそらく先ほど申 し上げました工業立 地上の負の条件というのも克服出来ないもので はないと考えたい訳であります。例えば、市場 規模が小さいということであれば、低 コス トで の小規模生産技術の開発で克服 したい。 また、 離島県で輸送 コス トが割高になるということで あれば、製品価格中の輸送 コス トが問題にな ら ないような付加価値の高い製品を開発すればよ い。また、資源が無いと言いますが、実際には いろいろあるわけで、む しろそれらを高度 に利 用する地域独自の自前の技術開発が無さ過 ぎた と言 うべきで しょう。まあそういうことで、や り方によっては、努力によっては沖縄でも工業 の大きな発展が期待出来るのではないかと考え たいわけであります。

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照 崖 輝

-4.

工業振興のための中核的ターゲッ トの必要 性 然 し、工業立地が大 きく地域の技術集積に左 右されるようになりました今日、この面で歴史 的に立ち後れて来た沖縄の場合、このことが実 は沖縄の工業振興上ますます不利な状況を もた らしていることも事実であります。 工業的に沖縄の地域特性を生か し得るシーズ が今いろいろな形で出てきており、多 くの提言 がなされているのはご案内のとおりでございま す。ところが、それを生かすだけの技術集積 と 工業集積が不足 して、高度の展開がなかなか進 まない状況にあるというのが悲 しい現実であり ます。皆の努力で今少 しづっいい方向へ向かっ てはおりますが。然 し残念乍 ら、技術的先進地 域との格差は、同 じ条件で走 っていては、広が りはしてもなかなか縮まらないのが現実であり ます。 だいたい、この技術集積 と工業集積は全 く不 可分の関係にあるものです。工業集積 というの は言葉のとおり、工業がたくさんあるかどうか を、技術集積 というのはそれを支える大学 ・研 究機関や企業の研究開発力はどうかということ であります。工業が大 きく発展 しているところ は当然高い技術集積をもっております し、また その高い技術力は内外の経済環境や科学技術の 動向に即応 した新技術や新製品の開発によって ますます工業集積が高まっていきます。そして、 工業集積が高まると、その収益の遭元による新 たなる開発への需要によってさらに技術集積が 高まるという非常にいい循環を していくことに なります。乱暴な言い方かもしれもせんが、好 循環のパターンにもっていささえすれば、特に 政策的に何 もしなくても工業はどんどん発展 し ていくわけでございます。 ところが、沖縄のようにその逆の悪循環のパ ターンに陥っている場合は問題です。その悪循 環をどうしたら断ち切 って、好循環のパター ン へ移行せ しめるか、実はこれが我が沖縄にとっ ての本当の意味の工業振興の、産業振興の課題 南方資源利用技術研究会誌 だということになります。 じゃあどうしたらこの悪循環を断ち切れるの か。実際、この十年来 このことに散々悩んで き たわけですが、得 られた結論 は至って平凡なこ とでございます。 即ち、地域の力、いわゆる人 ・金 ・モノを、 総花的に、オールラウンド型であれにもこれに も使っていたんではとてもこの悪循環は断ち切 れない、とても技術先進地域には追いっけない、 ということであります。 何 らかの振興分野をターゲットとして選択 し、 地域の私達産官学がそれに向かって人 ・金 ・モ ノを集中的に投入 しない限 り、総力をあげない 限り、この悪循環は断ち切れないという訳であ ります。つまり、大事なことは地域の総力をあ げて人 ・金 ・モノをたたき込んでいける、地域 の総意の得 られるようなターゲ ットを見つけ、 そこへ地域の全力を投入出来ないかということ になる訳であります。 そういう意味で私はこれを中核的ターゲ ット と呼びたいのですが、その分野を選定 した ら、 全てというわけにはいかないにしても、産官学 に分散 している研究開発力 ・技術力を可能な限 り結集する。そ して、さらに産官学共にその分 野の施設 ・設備を優先的に整備 し、大幅な研究 開発費を投入 し、また強力に人材を養成、確保 する。そういうやりかたで、その分野の先導的 振興を実現 しまして、他の工業や農林水産業、 観光 ・リゾー ト産業などの振興 も誘導 していこ うというわけです。

5.

中核的ターゲッ トの選定 そこで、どういう条件を満たしておれば地域 の総意が得 られるターゲットになり得るかいう ことが問題です。それは、21世紀に向かって沖 縄での展開に最 も有利な条件を備え、大 きな発 展性を有 し、振興が可能な分野でなくてはな ら ないで しょう。即ち、沖縄の地域特性上有利な 展開が可能で、内外の経済環境や科学技術の動 向などからも将来的に有望で、また、現在の技

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Vo1 8 No.1 1992 術 ・情報 ・人材などの技術集積が比較的優位に あり、なんとか振興が可能でなくてはなりませ ん。また、その分野の振興が他の工業分野や他 の産業の発展にも大きな波及効果が期待出来 る 分野でなくてはなりません。 そこで具体的なターゲットに何を選択するか、 ということです。 工業開発は、皆様のお手元に配ってあります 図1にも示 してありますように、基本的に魅力 的な資源、即ち素材 ・条件を生か して、これを 市場が求める品質 ・機能、価格の製品に技術的 に高度に生産加工 し、そして強力な流通展開を 図ること、というように考えることが出来ます。 即ち、工業振興のための中核的ターゲットを地 域の資源的 ・技術的 ・市場的特性 という面か ら 探っていったら、ということで図 1を作ってみ たわけです。 まず、資源的特性をみてみますと、沖縄 は地 理的に広大な熱帯海域を有する亜熱帯性気候圏 に位置 し、独特の歴史的風土と自然環境に根差 した独特の伝統技術や文化などがあるわけで ご ざいます。これを工業資源という立場でみます と太陽エネルギーであるとか、バイオマスであ るとか、海洋資源というようなものが、内外の 経済環境や技術開発の動向からみても、21世紀 へ向かっての産業展開に有望な素材 ・条件 とし て見えてまいります。つまり、沖縄には、本土 の他府県以上に今後の工業開発上の有望な切 り 口をもっていると言えなくもありません。 図1をいろいろな角度から模索 した結果、時 間の都合でいろいろな分野についての比較検討 の過程は省略させていただき、結論だけを申 し ますと、熱帯 ・亜熱帯の生物資源、即ちバイオ マスの利用 というのが、沖縄での工業振興のた めの中核的ターゲットとしての条件を最 もよ く 具備するものだとの結論に達 しました。 バイオマスの利用という分野は、先はど申 し 上げました沖縄の地域特性である地理的な位置、 亜熱帯性の自然環境、広大でクリーンな海域な ど、そういう殆ど全ての特性を網羅 した資源的 沖縄の産業振興 特性を有する分野であり、またその地域特性を いろいろな形で発展的に利用出来る分野であ り ます。さらに、技術開発とか、市場展開の上で も他の分野に比べますと比較的有利な展開を可 能とする条件にあります。また、資源 ・エネル ギーや環境問題との関係や、バイオテクノロジー との密な関連性など内外の経済環境や科学技術 の動向か らみても重要な、有望な分野と言えま す。さらに、このバイオマス分野 というのは、 もう一つの "モノ"づ くりの産業であります農 林水産業の振興にも多大な複合的効果を発揮 し 得る分野でもあります。さらに、そのようなと ころか ら、バイオマス利用は農工複合の "みど り"の産業 として観光 ・リゾー ト資源 ともなり うるものであります。 まあ、そういうところからバイオマス分野が 工業振興のための中核的タ-ゲットとして沖縄 が選ぶに最 もよい条件をもっているんではなか ろうかと考えるわけであります。 6.中核的ターゲッ トとしてのバイオマス利用 の展開とTTCの関わ り 中核的ターゲットとしてバイオマス利用の分 野の選定理由をもう少 し整理 しておきたいと思 います。本研究会にお集まりの皆様には釈迦 に 説法でございますけれども。 沖縄は亜熱帯地域でございますから熱帯、温 帯の生物群の北限、南限が広 くオーバーラップ しております。従って、遺伝子源が多様で、ま たどんどん導入することも可能な条件を有 して いると言えます。また、降霜 ・降雪が無 く、年 中温暖でございますから、バイオマス確保の季 節的ハ ンディは殆どありません。例えば、ホテ イアオイなどにしましても冬は枯れて死んで し まうといったようなことは無いわけでございま す。光合成にしましても、日照時間は必ず しも 全国一 というわけじゃありませんが、総合的に は全国一 という評価を得ている訳でございます。 また、東南アジアなど熱帯のバイオマス保有国 と隣接 し、歴史的に緊密な交流があるという意

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将 星 輝 一 味から、遺伝子源の導入や、輸送価値を有する 一濃縮バイオマス"に半加工 して導入利用する 展開などで有利な条件があると言えます。 図

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には、具体的な沖縄のバイオマス資源に ついての活用の展望を示 してみました。他府県 では措けないような多彩なものと言えます。 こ のEgも若干古 くなって しまいました.最近では 海洋分野など、もっともっと面白いものが描 け る情報が集まって来ておりますが

、TTC

も第 三セクターではありますが、利益を強 く求めて いかなくてはならない株式会社でもあり、企業 秘密ということもあり、最近の資料は控えさせ ていただきました。とにか く、非常にいろんな 展開が、いろいろなことが出来そうだいうこと はこれでも印象的におわかりいただけると思い ます。 さて、El3-図7は図2に示 してあるバイオ マスの中から数例を選び、それらがどのような 利用展開が考えられるかを示 したものです。実 際、図2のそれぞれについてこのような総合利 用の展開図を描 くことが出来 るわけでございま す。私はこういうのを措 くのが好 きなものです からこういう図を沢山作って持 っているのでご ざいますが、今日はその中か らサ トウキビなど 5例を紹介させていただきます。具体的な中身 にについては皆様の方がご専門で、む しろ皆様 のご研究の成果や、そこか ら期待される展開な どを纏めてみたと言 った方が正 しい訳で、詳細 な説明は省略させていただきます。 (1) サ トウキビ 図3はサ トウキビの場合でございます。 ご案 内のとおり、サ トウキビは沖縄最大のバイオマ スということで、この研究会でも会が始まって 以来ずっと、サ トウキビについてはいろいろな 角度から取 り上げられ検討されているわけで ご ざいます。 ところで、沖縄県では平成元年度に 「沖縄県 産業振興基金」なるものが創設され、活用で き るようになっています。これは、沖縄電力㈱の 民営移行を機に沖縄県の産業振興を強力に推進 南方資源利用技術研究会誌 するために平成元年3月、沖縄開発庁か ら百億 円の国庫補助金の交付を受けて創設された もの です。 それか ら大体年6億円前後のフルーツが出ま して、いろいろなな産業振興に関わる事業が展 開されているわけでありますが、技術開発の関 係では2億円前後が (地域基盤技術研究開発事 業)というのに使われております。実は、 これ が

TTC

の自主研究費として毎年交付され、産 官学共同による大型研究を推進 させて もらい、 同時に く技術活性化高度化調査研究事業) とし て3千5百万前後の交付を受けて研究開発 に関 わる調査事業を実施 しております。 これ らの事業は平成2年度までは㈲地域産業 技術振興協会 (産振協)で管理運営されてまい りましたのを、我が社の設立を機に引き継がれ、 平成3年度か ら実施する運びになったわけで ご ざいます。今日、この会にご参加の多 くの先生 方に大変お世話になっているわけでございます。 さてサ トウキ ビで ございますが、実 はこの "サ トウキビ総合利用"に関する研究開発事業 は、本日ご出席の第-製糖の宮城貞夫先生を委 員長にお厭 い して (地域基盤技術研究開発事 莱)の一つとして進めている訳でございます。 宮城先生のグループは平成元年度か らの3ケ 年計画で、この図のケ-ンセパ レーションとい うところと、こちらに出てまいります糖密の高 度の利用展開を実現するための糖密 コンビナー トシステムの開発の研究を進めておられ、多大 の成果を上げつつあります。 なお、平成3年度か ら新規に我が社の方で独 自の企画により 「製糖副産物からのポ リウレタ ン製造技術研究開発事業」として糖蜜やバガス を用いた、従来のポ リウレタン原料よりも低 コ ス トで物性面で遜色無 く、しかも高い生分解性 を付与できるポリウレタン原料及びポリウレタ ン製品を開発 しようという研究に着手 してお り ます。 また、聞 くところによりますと、我が社 より 半年ばかり先に設立されました㈱サ トウキ ビ総

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VoL 8 No.1 1992 台利用研究所で も、キビ灰のファイ ンセラ ミッ クス原料 としての付加価値の高い利用を目的 と する研究が進め られているようです。 (2)パインアップル 次にEl4はパインアップルの場合です。 この 図はこの研究会の会長の当山清書先生が 「沖縄 農業」という琉球大学の放送公開講座でお使 い にな られた資料にちょっと加筆 させていただい たものです。 現在、パインアップルは海外 との競合の中で 非常に難 しい状況にあるわけで ございますが、 サ トウキビ同様にパインアップルも熱帯作物 と して沖縄を代表する、沖縄の顔になってきた作 物なわけで、その衰退傾向に何 とか歯止めをか けて、これか らも沖縄の顔であって欲 しいとい う気持ちで、こういう展開ができないものであ ろうか、という訳であります。 特に、私 はこのパインアップルの茎や葉 など の畑地残材の利用に興味がございます。確かに パインアップル農業 は斜陽化 してまいりま した が、それで も現在の作地面積か ら推定 して、 4

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万 トンぐらいの畑地残材 は出ている計算に なります。近い将来TTCで もその高度利用 の 研究開発に着手 したいと考えているところで ご ざいます。 茎や葉の搾汁液からのブロメラインは試薬ベー スでは-ワイの ドールが世界の市場を抑えてい るようですが、何か新規用途の開発、例えばク ルー ドの状態での用途開発などで市場開発が出 来ないかどうか検討 したいと考えているわけで す。 もう一つは、その搾汁残壇の繊維 としての利 用です。インドネシアとか南方では、古 くか ら 高級な繊維 として知 られているようで、沖縄で もアパ レル用の繊維 として利用が検討 されは じ めているようにも聞いております。また、私 の 手元にパイナップルの茎や葉 っぱの繊維で本土 のある紙業試験場で試作 されました紙がござい ます。これは、 じっにすぼらしい和紙だとの評 価がえ られてお ります。そういう利用が出来 な 沖縄の産業振興 いだろうかという事であります。

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ゲ ットウ 図5はゲットウでございます。これは、先程 のサ トウキビと同 じように平成元年度か ら産業 振興基金により産学官共同で総合利用の研究が 進められてきたもので、平成3年度か ら我が社 が産振協か ら引 きついでやっている事業で ござ います。 この共同研究は、私が工業試験場時代にコー ディネー トさせ られたもので、図5に示す総合 利用体系の確立を目的に研究が進め られて きて お ります。 琉球大学農学部では、先程議長をなされた農 学科の村山盛-先生の グループが栽培 の研究、 畜産学科の川島由次先生のグループが飼料化の 研究、農芸化学科の大屋一弘先生のグループが 肥料化の研究、同 じく多和田新吉先生のグルー プが農薬利用の研究、また安全性の研究 は医学 部の山本茂先生のグループ、ゲットウの葉 ・根 茎などに含まれる有用物質の検索 とその利用方 法の研究は工業試験場、ゲ ットウ葉の粉末製品 の開発研究は㈱サ ン食品 と、そういう7グルー プが研究開発を分担 して現在3年度に入 ってお り、着々素晴 らしい成果を上げっっあります。 (4) ギ ンネム 次に図6はギ ンネムでございます。ご案内の ように琉球大学の畜産の先生方のご苦労によ り まして、これまで飼料化を妨げておりま した ミ モシンの除去 ・無毒化技術が確立 されて、肥料 に出来 るところまできてお り、実際、本部 の方 で肥料への企業化が実現 しております。その際、 無毒化のために分離 しなければならない ミモ シ ンの利用 というあたりにTTCは熱い視線 を向 けたいと考えてお ります。

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5

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ホテイアオイ 図 7はホテイアオイの場合であります。時間 の関係で省略 させていただきますが、ホテイア オイなどもおもしろいんではないだろうか と考 えております。 (6)海洋生物

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府 屋 輝 一 以上は陸のバイオマスについて紹介させてい ただきましたが、今日は理学部の比嘉辰雄先生 や教養部の国吉正之先生 もお見えでございま し て、少々海の方にもふれないと後で片手落 ちと のお叱りを蒙るかも知れません。 実際、沖縄の海は付加価値の極めて高い素晴 らしい生物資源の宝庫であることを、この沖縄 のご出身で国際的にも著名でいらっしゃる東北 大学の安元健先生や、身近では比嘉先生や国吉 先生にいろいろとお教えいただいて、最近では 私 もすっかり沖縄のサンゴ礁域の生物資源に取 りつかれているところでございます。 近年、物質的に社会生活は大きく発展 してま いたわけでありますが、一方でガンやエイズな どの難病や、高齢化社会の進展の中で成人病が 大きな問題となってきております。沖縄のクリー ンで温かい広大な海、特にサンゴ礁域の生物に は、その予防、治療とかにに大 きな効果の期待 出来る付加価値の高い生理活性物質を含有する 生物が多彩な形で賦存 しているという訳であり ます。 研究用試薬として既に販売されているものを 和光やSIGMAなどのカタログで調べて見ま すと、大体1ミリグラムで数万円から数十万円、 キロ単位では数百から数千億円というもので、 沖縄のサンゴ礁生物に含まれていることのわかっ ているのが相当数掲載されております。これが 臨朱段階、医薬段階に入 りますと価格はもちろ ん相当安 くなりますが、使用量は トン単位にな るわけです。しかも、意外と化学合成の難 しい ものが多いようです。 そういうものを含む生物資源を沖縄の海で培 養、増殖する展開で沖縄に新 しいマ リンバイオ インダス トリーが育て られたら大変なことにな るわけで、TTCでは是非そういう展開のため の研究開発事業 も推進 したいものと考えてお り ます。 実は、そういう狙いもありまして、TTCで は比嘉先生や国吉先生、水産試験場の当真武増 殖室長などのご協力をいただきまして、平成3 南方資源利用技術研究会誌 年度か らの新規テーマとして、この関係のプロ ジェク トをひとっスター トさせました。 その他、いろいろとTTCが選ぶにふさわ し いテーマというのは沢山あるわけでございます。 TTCとしましては、沖縄のバイオマスとい うのをあまり限定せずに、広い意味で捉えて、 より産業効果の高い展開の方向を求めていきた いと考えております。 7.Jiイオマス活用の基本的方向と農工複合産 業のコンセプ ト 亜熱帯農業の持続発展のうえでも、サ トウキ ビだとか、パイナップル、パパヤ、ヒラミレモ ンなどというのは、沖縄でのバイオマス利用の 大 きなターゲットでありましょうし、また、ギ ンネムやゲットウであるとか、その他の未利用 資源 も、おもしろい展開によっては栽培作物へ の発展 も期待が出来るんではないかと思 うわれ ます。 何故、Eg3- 7のような絵を書 くのかといい ますと、バイオマスというのを利用するという 場合には、どうしても総合利用 というのが非常 に重要で、また展開の面白さがあると考えるか らであります。 例えば、日本は経済大国になって しまった。 で、わが沖縄 も復帰後はその経済大国の中での 格差是正が課題で、当然 これを求めて来ました。 即ち、本土並の賃金に近づけるという努力を強 力に進めて釆たわけです。当然、海外に比べて 原料の生産及び加工 というものは非常に高 いも のになって しまったわけです。ですか ら、経済 界や行政がバイオマス利用に速巡 しているのも、 「サ トウキビなど同様な資源を保有する東南 ア ジアなどの海外に比較 して、こんなに原料が高 く、人件費の高い沖縄では、やはりバイオマス の利用というのは無理なん じゃ

?

」というよう なところに大きな理由があるようです。 しか し、それ じゃあ止めよう、他にもっと良 い資源があるからというわけにもいかないわけ です。それをなんとかブレイク ・スルーしてゆ

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Vol.8 No.1 1992 くということが非常に大事だろうと思 うわけで す。 総合的に高度な利用を していくことで経済性 の成立を図 る。これが、ブレーク ・スルーの重 要な方向なわけです。例えば、先程のギ ンネム の例でいいますと、ギ ンネムをただ餌に利用す るということだけになります と、原料の栽培 、 収穫、移送、粉砕、 ミモ シン除去 、飼料加工 、 と全てが飼料生産 の方のコス トになり、極 めて 割高なもになる。ところが、 もし図6のように、 飼料にするためにどうしても邪魔になる ミモ シ ンの方が もっと高価な用途へ利用する方法が開 発されれば、飼料 コス トには ミモシン利用 の副 産物 として ミモシン除去以後の飼料加工のみ と なり極めて安価な供給が可能 となり、畜産沖縄 の振興に大 きく寄与 し得ることになりましょう。 即ち、総合利用によって、原料生産のコス ト や加工 コス トの分散を図 っていくという事が大 事であろうと思 うわけです。 そういう意味で、図8に一つの基本的展開手 法としての絵をつ くってみたわけであります。 先ずバイオマスが含有する付加価値の高い もの の分離利用か らはじめる。次に食品加工 とか製 材 とかいうような従来の利用を行い、さらにそ の加工残液 として出て くるものを織経であ ると か建材であるとか、あるいはエネルギー、化学 原料、化学製品、というようないろいろな形で 利用する。そのような利用か らはずれ るもの、 あるいはむ しろ餌に した方が トータル的に有利 なものを出来れば全部餌に したい、餌に してそ の家畜の排壮 したものを畑へ もっていく。餌 に も出来ないものは何 とか工夫 して肥料や土壌改 良材にしたい。 最終的に、このようなサイクルをっ くらない と、廃棄物や排水処理であるとかでコス トがか かって しまい、さらには環境破壊になる。そ う いうことか らも、総合利用 というものは大事で、 進めるべき方向であろうと考えるわけであ りま す。 もちろんこれは原則でありま して、途中のプ 沖縄 の産業振興 ロセスか ら有用物質を取 った方が低 コス トにな る場合 もあろうと思います。 さて、もしこのようなバイオマスの総合利用 が完成出来 るとすれば、図9に示 してあります ような一つの農工複合産業 というもののコンセ プ トも生まれて来 ることになります。勿論、工 業 と農業を完全に一体化 させるのは難 しい訳で、 あまりにも理想論に過 ぎるとのひん しゅくを買 うか も知れませんが、もし実現出来れば産業効 果だけでな く、他にも有難いことが多いわけで す。 即ち、バイオマスの利用の場合、出来 るだけ 原料に近い場所で加工 した方がいいという事 に なるわけですか ら、必然的に農 と工のフィール ドが接近 してまいります。農業 と工業、さらに それに出来た製品を流通するサービス業 という ようなものが、わ りと近いフィール ドの中に立 地 していくとしたら、そこには幼年、若年、壮 年、老年 といういろんな年齢層の人達の多 くが、 同 じ場所に住みなが ら生活を維持できるとい う 可能性が生まれます。これか らの高齢化社会を 迎える中で、過疎というお年寄 りだけの社会 じゃ なく、若い人が したがる仕事 とお年寄 りもで き る仕事が、出来 るだけ近いフィール ドの中に納 め られるのが農工複合産業ではなかろうか、 ア グリ・ビジネスではなかろうかと期待 している わけであります。 それか ら、このバイオマスというのは多 くが 植物で緑が多 くなるわけで、いわゆる緑の産業 というイメージが非常 に強 く出てまいります。 また、先はどちょっと触れました海洋生物 の利 用で も、ただ採 って利用するというのでは限界 があります し、環境保全の面か らも必ず問題 に なるわけで、やはり培養 ・養殖 というものでい かなくてほならないで しょう。 そ うします と、 サ ンゴ礁であるとか、そういう所が増々重要 に なります。 私、環境論 というもので、抵抗を感 じること があります。ただ自然をあるがままに守れ とい う事 じゃあないんではないかと。む しろ、そこ

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凧 屋 輝 一 に私達の生活、私達の産業に役に立っ、利用出 来るということがあってこそ、環境というもの、 資源というものは、よりいい形で守れるんでは ないかと考えることがあります。価値があるか ら、じゃあ、採 った後、もっと植えようじゃな いか、もっと殖やそうしゃないか、という展開 が生まれて来る。利用価値が低いと、どうして も収奪になりやす く、利用出来ない、利用 して はならないとなるとどうしても保全がおざなり になりやすい。というような考え方 も出来 るの ではないで しょうか。そういう意味から、む し ろバイオス産業 というのは、緑の産業 という位 置付けで展開 していけば環境保全につなが り、 且つ観光 リゾー ト産業にもつながっていくこと になります。 8.TTCの研究発開発事業の基本的方向 以上申し上げましたように、TTCの研究開 発事業は、熱帯 ・亜熱帯地域の特徴的生物資源 の工業的高度利用を促進 し、出来れば農工複合 産業のような形の地域産業の振興に強力に寄与 していけるようなものを展開 していきたいと、 研究開発事業の分野やテーマ、それを実現す る ための研究開発施設や設備、研究体制の整備を 検討 しているところでございます。 最後にそのあたりの考え方などをお話 したい と思います。 最初に申し上げましたように、TTCは国の 頭脳立地法に基づいて国や県、市町村、企業の 出資で設立されました、沖縄の産業振興、特に 遅れている工業の振興に資するための研究開発 であるとか、人材育成であるとかを事業の柱 と する第三セクター方式の研究開発型企業で ござ います。 頭脳立地法に基づき第三セクター方式による 会社は既に全国17地域 に設立 されてお ります。 然 しその殆どが情報産業やエ レク トロニクス、 メカ トロなどの集積 ・振興を目的とするもので、 TTCのように "化学型"の研究開発を中心 と する "地域資源の工業的高度利用"を目標 とし 南方資源利用技術研究会誌 ているところは皆無 といっても過言ではあ りま せん。そこに、沖縄地域の特殊性と特徴がある とも言えます。その是非はともか くとして、T TCの研究開発部 とその事業内容は全国に もあ まり類の無いものであり、大変な責任を、 リス クを負っていることにもなるわけであります。 具休的には、沖縄の地域特性に立脚 しまして、 熱帯

亜熱帯地域資源の工業的高度利用分野を メインとしてその関連する分野を含めて研究開 発事業のターゲットとしようというわけで、先 程より長々とのべてまいりました事 とっながる ことになるわけでございます。 即ち、TTCの研究開発事業の分野は、沖縄 の地域特性に立脚 した 「熱帯 ・亜熱帯地域資源 の工業的高度利用分野」として、産業的に最 も 大きなインパクトが期待できる、亜熱帯の豊か な太陽エネルギーと広大な熱帯海域を背景に、 我が国独特の自然環境に育まれた陸海の多彩な 生物資源 (バイオマス)を選定 し、その高度の 利用技術の開発と、その利用と直接、間接 に深 い関わりを有するバイオテクノロジーの研究開 発などを関連分野 として含めていこうと考えて います。 そして、長期的には、第三セクターとしての 視点に立 って、 リゾー ト&リサーチアイランズ のシンボル拠点であるとか、内外の研究者 に開 かれたグローバルなバイオ研究の南のメッカを 目指 したいというのが基本的理念であります。 然 し、先ずは株式会社の立場か ら、足元の沖 縄の産業振興のためのバイオマス利用の企業化 を促進することが最大の目模 となります。 TTCとしてやりたいことは沢山あります。 然 し、バイオマスの利用を工業的に実際に展開 出来る熟度までもっていくには、 『基礎一応用 -実証-企業化』という多数のステップ、また それぞれのバイオマスがもっている部位特性を 生か した利用の多様さ、と実に膨大な研究課題 に細分化されまして、逆にTTCの力ではとて も全部は出来ない訳でございます。 テーマの選択はさておき、問題はTTCでは

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Vol.8 No.1 1992 どの段階を重点的にやるかいうことです。 TTCは第三セクターではありますが、株式 会社でもあります。というよりも、先ずは株式 会社なのであって、単なる第三セクターではな いということを強調 しなければなりません。即 ち、TTCは株式会社 として先ずは地域産業の 振興に寄与できる研究開発を推進 しなければな りません。その結果か ら、第三セクターとして の長期的視点に立 った リゾー ト&リサーチアイ ランズのシンボル拠点であるとか、バイオ研究 の南のメッカということが生まれて くるもので なければなりません。従って、単なる学術研究 でおわるものでは許されません。 そこで、TTCはバイオマス利用の企業化促 進のための実証段階の研究を重点的に実施すべ きであろうと考えているわけです。即ち、大学 や研究棟関、あるいは県外、海外における研究 成果を活用 して、沖縄での企業化を実現す るた めの企業化研究を重点的に進めたいと考えてお ります。 以前、ある委員会で今座長をなさってお られ ます国府田先生がこういうことをおっしゃいま した

「私達は10年近 くもバイオマスについて、 いろいろな調査報告書を出 し、その中に沢山の プロジェク ト案を提案 してきたわけだが、企業 化や産業化はなかなか進まない。全ての企業が そうというわけではないれども、基礎 ・応用研 究の段階か らでは、沖縄の企業にはまだ固いの じゃないだろうか。固いお米、あるいはごほん の状態から "おかゆ''の段階にするような仕事 が必要かもしれない」と。 工業開発は、先はども触れましたように、基 本的に r基礎一応用・-実証一十企業化J)の研究開 発の過程を経て実現されます。沖縄県のように 殆どが中小 ・零細企業で占められている地域で は、基礎及び応用研究を大学、国 ・公設試験研 究機関へ依存するのは止むを得ないに して も、 企業が主体的に実施すべき (実証)以降の段階 についても、その十分な対応は殆どの企業で困 難な状況にあり、そのことが沖縄における工業 沖縄 の産業振興 の進展を大 きく阻害 しているように思われます。 TTCが企業化促進のための実証段階の研究 を重点的に実施 したいというのは、沖縄のバイ オマス利用においてもその必要性を痛感す るか らでございます。 然 し、だか らといって、TTCの研究開発事 業を実証段階の研究のみに限定するわけではも ちろんありません。 "おかゆ"を作るためには 硬 くても "お米"が必要です し、できれば "ど 飯"になったのがあればなお結構な訳であ りま す。もう一つの株式会社だが第三セクターなん だという公的な性格か らも、中 ・長期的な立場 か ら大学や研究機関との共同研究や委託研究な どを推進 して、実証段階の研究への、産業化の シーズになるような研究を育てていかなくては なりません。 即ち、実証段階の研究を、3-5年程度での 企業化の実現が目途づけられる短期的研究開発 事業 とすれば、企業化までに5- 7年程度を要 するような研究開発を中期的研究開発事業 とし て、大学、国 ・公設試額研究機関との連携 によ り 《基礎-応用〉の段階の研究の促進を図 るこ とも重要 と考えております。 また、長期的には、第三セクターとしての視 点に立 って、 リゾー ト&リサーチアイランズの シンボル拠点であるとか、内外の研究者に開か れたグローバルなバイオ研究の南のメッカを目 指 したいということと関連 して、沖縄の地域特 性に立脚 し、資源 ・エネルギー及び環境問題に 国際的に寄与 し、長期的には地域産業の発展へ の寄与が期待出来るようなナショナルプロジェ クトなども積極的に導入 し、TTCのインター ナショナルなイメージアップと研究機能の整備 強化を図ることも重要 と考えております。 また、これこそ最 も大事なことでございます が、TTCの有する施設 ・設備、研究陣容、そ の他の機能をフルに活用 して、企業の研究開発 を積極的に支援 していきたいと言 うことです。 即ち、企業 との共同研究や受託研究、技術指導 などを通 じてTTCの研究成果、並びに内外の

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県 展 輝 一 新技術の企業への技術移転 ・企業化の促進 を図 ることや、試験研究機器や研究室 (レンタル ・ ラボ)の貸与、技術者の養成、依頼試験分析、 技術情報の提供、技術相談など、きめ細か く企 業の研究開発を支援 していきたいと考えてお り ます。 とまあ、以上のことを研究開発事業の基本的 方向として、お手元にお配 りしてありますパ ン フレットにございますように、中城湾新港地区 に

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d

程の土地を確保いたしまして、 4千

d

位の施設を平成 4年秋着工、平成 5年秋オープ ンを目指 して基本構想の検討に入っているとこ ろです。 即ち、 (リサーチ ・イン・リゾー トのイメー ジによる研究環境)を構築 し

、 (

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1

世紀へ向け てのハイタッチの研究開発機器を整備) してい きたい考えております。 棲器は、生物資源の高度利用及びバイオテク ノロジー研究の高度の展開という目標に沿って、 汎用機器か らNMRをはじめとする最新鋭の高 精度高性能換器を リス トアップ、既に 2億円位 の機器を準備 し、工業試験場などに預けてお り ますが、オープン時にまでにさらに

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億円位、 最終的には10億円前後の機器を整備出来た らと 考えております。 実際、研究開発部長 として著任 してみますと、 TTCの整備方向であるとか、研究開発事業の 推進方策などであるとか、いろいろと現実の問 題にぶつかりまして、悩みも少なくありません。 やはり、何をおきましても産官学のご支援 ・ご 協力がなければ、TTCも単なる絵に書いた餅 にしかなりません。そういう意味でも、今 日こ ういった機会を与えていただきました当山会長 はじめ南資研の皆 さん方にお礼を申 し上げ、T TCの発展が沖縄の産業の、工業の発展につな がるという事で、いろいろとご指導 ・ご稚捲、 ご協力 ・ご支援をお願い申しまして、私の話を 終わらせていただきます。 南方資源利用技術研究会誌

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凧 屋 輝 -資 源 的 特 性 技 術 的 特 惟 生物資源 (バイオマス) 太陽エネルギー 海洋資源 鉱物資源 技術資源 (伝統食品 ・工芸)

南 方 資源利 用技 術研 究 会誌 市 場 的 特 性 海外資材 一台湾 ・中国 ・アセアン ・南米 内外の経済頚境、資源 ・エネルギー、科学技術の動向 中核的ターゲット

バ イ オ マ ス

図 1.沖縄地域の資源的 ・技術的 ・市場的特性か らの中核的 ターゲ ッ トの選定. 農産系植物 I サトウキビ イネ叫イ7'リっト'州 JV鵠 三†ツサバ シイ-タワーシャー ハすナナ、八〇八〇ィ†、マ ン コ〇一、クすヮハー 林産系働

二 ;;≡;7ご急 二ヌマキ'ヤマモモ 兼利用権物 引 ギンネム、マングロ ーブ . 未ティ7オィ.ゲットウ アオガンt:'、クワ1イモ サトウttlコシ、ステt:'7、 カンナ、ユーカリ,アオサンコ●、ァセロう i.一

一 -

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二 Elこ-三 水産的

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{ 琵 壷'R生物 その他

i

77lJカマイマイ ミミズ ハブ ウリミバエ (防除技術) - 微生

物」

:

讃蓋

堵納 生物 -{ 孟三豊孟孟 農産廃物 一一 { 竺芸芸芸 林産- -1 = 笠芸霊芝 畜産廃物 家畜糞尿 水産廃物 アラ、煮汁、骨 食品工- { 謹 ふ霊芝警 下水 下水汚泥 都市 ごみ 図2.沖 縄 地 域 の バ イ オ マ ス 資 源 の 活 用 の 展 望 エ ネル ギ ー源 ・化学原 料 水素、メタン、メタノ-ル、エタノール がソリン、炭化水素、植物油 繊 維 製 品 ・建 材 パルプ、洋紙 、和紙 ハoウイク帖●-ト◆、塊椎板 プラスチ ック、ハ●がスコンクl)小 a-セルロース、フルフラール、キシlJ・Jト 酢鼓、クエン酸、Tミノ酸 フ●タ/-ル、アセトン、エステル、液晶 1ルコール誘尊体 血圧降 下剤 、横尿病対応剤 助脈硬化治療薬、肝浪エキス コ-ル酸、急性肺炎治凍薬 抗嬢剤 、抗脂血症剤 抗ウルス剤 、血液凝固阻 止剤 健胃薬、- ・. 酸 素 ・生理 活性 物 質 フ◆ロメリン、ハ`ハ○ィン、トリ7.シン、キンUi,タ◆一七◆ マンノシダーセ●、がラクトシタ〇一七◆ク●リコシタ■-セ● ク■ルクt7ニタ●-セ◆、セルラー七.、テ●ィ ト七十--香 料 ・染料 ・色 素 食 品 ・食 品添加物 酢、ク●ルタミンl較ソづ一、イノシン敢 イタコン穀、Tコ二・Jト酸、しリシ●ン テ`キストリン、ヘミセルロース、クルラ、スt.P)チ 多糖類 、腰質、ミ朽ル、-I-・ 辞素1司料、フィッシュソt)ユフ●ル 飼料群母、SCP、†イトシ◆ 肥料・土壌 改 良材

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VoL 8 N81 1992 沖縄 の産業振興 図 3.サ ト ウ キ ビ の 総 合 高 度 利 用 体 系 . 」 汁 r (o完

,

13モ ミ';:;三:デ_ 搾汁粕 [ 讐(乾燥)- パインプラ二 二二霊 ,讐(飼料) 果皮 ・果芯L 搾 汁工 芸慧三一 三三ン賢二(発酵)- 酢酸、乳酸グルコン酸三三二: 茎葉- (破砕 ・圧搾,-農 芸二孟芸完'D忘.繊維 図4.パ イ ン ア ッ プ ル の 総 合 利 用 体 系 . (資料 :当山清書、 「沖縄 の農業」p.123、琉球大学 (昭和60年)/一部著者加筆)

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VoL 8 Na1 1992 沖縄の産業振興 図

5.

ゲ ッ ト ウ の 総 合 利 用 体 系 ギンネムの管理栽培 く機 械 収 穫 ) 一 三 三 --撃 I 」 ・ 一 図

6.

ギ ン ネ ム の 有 効 利 用 展 開 図 . ● [コ E j 富 表 図 7.ホ テ イ ア オ イ の 騰 合 利 用 体 系 .

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凧 呈 輝 - 南方資源利用技術研究会誌

8.

バ イ オ マ ス 資 源 活 用 の 基 本 的 展 開 フ ロ ー

図 9. 沖 縄 型 の 農 工 複 合 産 業 の コ ン セ プ ト .

参照

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