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博士(工学)太田利隆 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)太田利隆 学位論文題名

コンクリート橋の健全度に関する研究

学位論文内容の要旨

  日 本おけ る社 会基盤 整備も 急速に 進み,公共事業も次第に維持管理にその重心を移しつっある。

そ の維持 管理の なか で橋は 最も重 要な構 造物の ーっ であり ,それ が崩壊 した り,使用不能となる こ とは道 路利用 者の みなら ず,地 域社会 に与え る影 響が大 きい。 また補 修・ 補強・架換に多大の 費 用を要 する。 この ため橋 の健全 度は評 価する こと が重要 な課題 になっ てい る。コンクリート構 造 物は従 来から メン テナン スフリ ―とし て半永 久的 と言わ れてき たが, 最近 ,条件さえ重なれぱ 意 外と早 く劣化 する ことが 判明し ,問題 となっ てい る。コ ンクリ ート構 造物 が年月とともに劣化 し て 行 く 原因 と し て1.材 料 ・ 設 計 ・ 施工 に 内 在 する欠 陥,2.構 造物 が置か れる環 境,3.設 計 荷重を 超える 交通 などが 挙げら れる。

  本 研究は 長期 間にわ たるコ ンクリ ート 橋の耐 久性調 査,河 川改修 ・道 路改良などに伴い廃橋と な ったコ ンクリ ート 橋の解 体調査 ,静的 耐荷力 調査 ,更に 鉄筋コ ンクリ ート 桁,プレストレスト コ ンクリ ート桁 の海 岸長期 暴露試 験を行 って, 個々 の劣化 過程や 原因を 調査 し,コンクリート橋 の 健全度 確保に 必要 なデ一 夕を収 集・解 析する こと により ,今後 の設計 施工 および維持管理に寄 与 するこ とを目 的と したも のであ る。

  第1章 は北海 道にお ける コンク リ―ト 橋の現 状を述 べ, 本研究 の目的 と関連 する 既往の 文献の 調 査結果 ,本文 の構 成にっ いて述 べた。

  第2章 は昭和30年代 までに 建設さ れた鉄 筋コ ンクリ ート橋30橋の 解体調 査,載 荷試験 を行い , コ ン ク リ ー ト の 強 度 は 海 岸 橋の 場 合200〜400kgf/cnf, 内 陸 橋 の場 合150〜200kgf/ 甜 で 大 き な差が あるこ とを 述べて いる。 また多 数の非 破壊 試験結 果から 北海道 にお ける既設コンクリー ト 強度を 推定す る式 を提案 した。 鉄筋強 度は昭 和20年 代に製 造され たも のはばらっきが大きいの み ならず ,同一 の橋 に高張 力鋼と 普通鋼 が一緒 に使 用され ている ことが 判明 し,この年代の橋を 調 査 す る 際に は 供 試 体 数 を増や すな どの配 慮が必 要であ る。 鉄筋の 腐食量 は一部 かぷル コン ク リ ートが 剥離し てい ても断 面積の 腐食減 少量は10%以 下であ る。こ の程 度であれば荷重は床板,

横 桁など を通じ て荷 重分配 される ので橋 全体の 耐荷 カに影 響を及 ばすこ とは なく,健全度が維持

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されることが判明した。

  第3章はプレストレストコンクリート橋の耐久性にっいて述べている。北海道では昭和33年ご ろPC橋のシースに沿って縦ひび割れが多数発生していることが発見され,耐久性に与える影響 が問題となったが,以来30年にわたって,9橋にっいてひび割れ追跡調査を行った。その間,6 橋が廃橘となったが,そのうち5橋にっいて解体調査,載荷試験などを行うとともに,比較のた め,9橋と は条件の異なるPC橋9橋にっいても試験調査を行った。その結果,縦ひび割れが生 じているところでは,ほとんどの場合,シース憾腐食しており,特に水分の供給が容易で環境の 影響を受けやすい耳桁の被害程度が大きい。また当初からひび割れ長さ・幅が大きい場合はグラ ウトが硬化初期に凍結していることが多く,グラウト内に氷の結晶の痕跡があったり,ときには 粒状に粉砕している。この場合にはひび割れの経年変化も大きく,PC鋼線の腐食も進んでいる。

海岸橋の場合にはかぶりを十分確保し,ひび割れを生じさせないことが大切で,施工誤差などに よりかぷりが小さくなりがちなス夕―ラップにはエポキン樹脂塗装鉄筋を使用するなど防食対策 を行うことが望ましい。グラウトの品質が良く,十分シニス内に充填されているとPC鋼線の腐 食が防止できることが明らかとなった。グラウトが健全である割合は昭和33年以前で50%,昭和 34年以後で75%程度である。縦ひび割れが多数発生している橋の載荷試験の結果では橋全体の耐 荷カに影響するほど劣化したものは無かった。しかし今後の維持管理には十分留意する必要があ る。

  第4章は海岸に長期暴露試験を行った鉄筋コンクリート桁,プレストレストコンクリート桁の 解体調査 結果である。かぷり厚さ,ひびわれ幅,コンクリートの配合などを要因とするRC桁 の20年暴露試験結果では,かぷりが小さい時にはひびわれ幅はあまり鉄筋腐食に関係は無かった が,かぶりが大きくなるに従いひびわれいの影響が大きくなった。鉄筋の断面積減少量にして5

%を超えると縦ひび割れ発生の割合が大きくなるが,これを使用限界とする許容ひびわれ幅はか ぶり4 cmでO.1‑‑‑O.2mmである。混合セメントは比較的水セメント比(W/C)に無関係に塩化物 阻止能カが大きいので海岸構造物には有利な材料である。

  かぶり ,縦ひび割れ幅,グラウトの配合などを変えたPC桁の10年暴露試験結果では,PC鋼 線 の腐食はグラウトのW/Cの影響が大きかった。W7C =70%では材料分離によルシ ース内の 空隙が多くなり,PC鋼線の腐食が助長している。高性能減水剤などを利用してW/Cの小さい,

流動性の良いグラウトが望まれる。

  第5章では耐久性に優れたコンクリート橋として北海道におけるシンボル的存在である十勝大 橋にっいて考察した。十勝大橋は昭和16年9月に完成し,今日まで約50年間供用されている鉄筋

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コ ンクリ ート橋 である 。数 々の設 計,施 工上の 配慮が 橋の 耐久性 を向上 させている。設計では,

ゲ ルバー 部の詳 細設計 を特 に入念 にし, 橋脚・ 橋台の 可動 部には コンク リートロッカーを使用し て いるこ と,ま た太径 鉄筋 の重ね継手を避け,矢筈式鍛接を用いていることなどでひび割れ抑制,

施 工性向 上に対 応して いる 。施工 では砂 利の表 面水率 を一 定に保 ち,品 質管理に努めたほか,ひ び 割れ防 止のた めモル タル スペー サを用 いず, また内 部振 動機を 米国か ら輸人して使用したこと な どであ る。ま た最も 注目 されることは作業監督員にそれぞれの立場に応じ,作業必携をもたせ,

コ ンクリ ートの 取扱い にっ いて教 育した ことで ある。

  昭 和43年 のひび 割れ調 査では ,橋は 健全 である ことが 確認さ れ, また昭和59年には主桁で幅の 大 きいひ び割れ には補 修材 の注入,凍害を受けた高欄の補修を行ったのみで健全を維持している。

設 計 施 工 お よ び 維 持 管 理 が 健 全 度 を 維 持 す る た め に 重 要 で あ る こ と を 述 べ て い る 。   第6章 は 結 論 で あり , 前 章 ま で に得 ら れ た 結果を 総括 し,今 後の課 題にっ いて述 べて いる。

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 教授

佐伯 芳村 角田 鎌田

     昇      仁 輿史雄 英治

  近年 ,社会 基盤整 備も急 速に進み,公共事業も次第に維持管理にその重心を移しっっある。。そ の維持 管理 のなか で橋は 最も重 要な構 造物 のーつ である 。

  本論 文は長 期間に わたる コン クリー ト橋の 耐久性 調査, 河川 改修・ 道路改良などに伴い廃橋と なった コン クリー ト橋の 解体調 査,静 的耐 荷力調 査,更 に鉄筋 コン クリート桁,プレス卜レスト コンク リー ト桁の 海岸長 期暴露 試験を 行っ て,個 々の劣 化過程 や原 因を調査し,コンクリート橋 の健全 度確 保に必 要なデ ータを 収集・ 解析 するこ とによ り,今 後の 設計施工および維持管理に寄 与する こと を目的 とした もので ,6章から 構成さ れて いる。

  第1章では ,北 海道に おける コンク リー ト橋の 現状を 述ベ, 本研究 の目 的と関 連する 既往の 文 献の調 査結 果,本 文の構 成にっ いて述 べて いる。

  第2章は昭 和30年 代まで に建設 され た鉄筋 コンク リート 橋30橋 の解体 調査, 載荷 試験を 行い,

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多数の 非破 壊試験 結果か ら北海 道にお ける 既設コ ンクリ ート強 度を 推定す る式を提案している。

また鉄 筋の 腐食量 は一部 かぷル コンク リー トが剥 離して いても 断面 積の腐 食滅少量は10%以下で あり, この 程度で あれば 荷重は 床板, 横桁 などを 通じて 荷重分 配さ れるの で橋全体の耐荷カに影 響を及 ばす ことは 少ない ことを 指摘し てい る。

  第3章では ,プ レスト レスト コンク リート 橋の 耐久性 にっい て述べ てい る。北 海道で は昭和33 年 ごろPC橋 の シー ス に 沿 って 縦ひび 割れが 多数 発生し ている ことが 発見 され, 耐久性 に与え る 影響が 問題 となっ た。そ れ以来30年にわたって, 調査を行った結果,縦ひび割れが生じていると ころで は, ほとん どの場 合,シ ースは 腐食 してお り,特 に水分 の供 給が容 易で環境の影響を受け やすい 耳桁 の被害 程度が 大きい こと, 海岸 橋の場 合には かぶり を十 分確保 し,ひび割れを生じさ せない こと が大切 であり ,施工 誤差な どに よりか ぶりが 小さく なり がちな スターラップにはエポ キシ樹 脂塗 装鉄筋 を使用 するな ど防食 対策 を行う ことが 望まし い。 グラウ トの品質が良く,十分 シ ース 内 に 充 填 され て い る とPC鋼線 の腐食 が防 止でき ること が明ら かに されて いる。 グラウ ト が健全 であ る割合 は昭和33年以 前で50% ,昭和34年以 後で75% 程度 である 。縦ひび割れが多数発 生して いる 橋の載 荷試験 の結果 では橋 全体 の耐荷 カに影 響する ほど 劣化し たものは無かったが,

今 後 の 維 持 管 理 に は 十 分 留 意 す る 必 要 が あ る こ と な ど を 指 摘 し て い る 。   第4章では ,海 岸に長 期暴露 試験を 行った 鉄筋 コンク リー卜 桁,プ レス トレス トコン クリー ト 桁 の解 体 調 査 結 果を 述 べ て いる。PC桁の20年暴露 試験結 果では ,か ぶりが 小さい 時には ひび わ れ幅に 関係 なく鉄 筋腐食 が起こ り,か ぶり が大き くなる に従い ひび われ幅 によって腐食が制御さ れ るこ とが明 らか にされ ている 。また 鉄筋 の断面 積滅少 量にし て5%を超 えると 縦ひ び割れ 発生 の割合 か大 きくな るが, これを 使用限界とする許容ひびわれ幅はかぷり4 cmでO,1〜0. 2mmである こと, 混合 セメン トは塩 化物の 阻止能カが大きいので海岸構造物には有利ナょ材料であることなど が 明ら か に さ れ てい る 。 ま たPC桁 の10年暴 露 試 験 結 果で は ,PC鋼線 の 腐食 はグラ ウト の水セ メ ン ト 比W/Cの 影 響 が 大 き く ,W/C =70% で は 材料 分 離 に よ ルシ ー ス 内 の 空 隙が 多 く な り , PC鋼 線の 腐 食 を 助 長 して い る こ と から , 高 性 能 減水 剤 な ど を 利用 し てW/Cの 小 さ い , 流動 性 の良い グラ ウトを 使用す ること を提案 して いる。

  第5章では 耐久 性に優 れたコ ンクリ ート橋 とし て十勝 大橋に っいて 考察 してい る。十 勝大橋 は 昭 和16年9月 に完 成し, 今日ま で約50年間供 用され ている 鉄筋コ ンク リート 橋で, 数回の 調査 結 果から ,設 計,施 工に対 する配 慮,さ らに 維持管 理が健 全度を 維持 するた めに重要であることを 指摘し てい る。

  第6章 は 結論 で あ り , 前 章ま で に 得 ら れた 結 果 を総 括し, 今後の 課題 にっい て述べ ている 。

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  これを要するに,本論文は北海道のコンクリート橋の健全度を調査し,健全度を確保するため の設計,施工上の提案を行ったもので,コンクリ―ト橋の耐久性,耐荷カに関して多くの知見を えて,健全度を確保するための新たな提案をしており,コンクリート工学の進展に寄与するとこ ろが大である。

  よ っ て 著 者 は , 博 士 ( 工 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る 資 格 が あ る も の と 認 め る 。

参照

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