博士課程用(甲)
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(様式6-A)A. 雑誌発表論文による学位申請の場合
栁澤 晃広 氏から学位申請のため提出された論文の審査要旨
題 目 Simultaneous peripheral and central venous pressure monitoring for evaluating cardiac preload in critically ill patients.
(重症患者における心前負荷の評価のための、末梢静脈圧と中心静脈圧の同時測定) 雑誌名 Biomedical Research and Clinical Practice
2(3): 1-6, 2017Akihiro Yanagisawa, Tomonori Takazawa, Masafumi Kanamoto, Masaru Tobe, Hiroshi Hinohara, Shigeru Saito
論文の要旨及び判定理由
循環血液量を評価するうえで1回拍出量変動(SVV : stroke volume variation)は有用な動的指標の1つで ある。栁澤らは中心静脈圧(CVP : central venous pressure)と末梢静脈圧(PVP : peripheral venous pres -sure)を同時測定し、SVVとの相関性について検討した。1人につき10ポイントの同時測定を行い、対象患者を5 0人とした。500ポイント全体における、PVPとCVPの相関性は、r²=0.83であり、過去の報告よりも低かった。過 去の研究で、PVP値が低い時や、血行動態的に不安定な状況で、その相関性が下がることが知られており、本研 究ではその原因の解明を試みた。その結果、PVP-CVP値とSVVに相関性があることを発見し、normal-SVV(SVV≦1 0%)群とhigh-SVV群(SVV>10%)に分けて、PVPとCVPの相関性をみたところ、いずれの群も相関係数はr²=0.92 と上昇した。また、normal-SVV群とhigh-SVV群でのPVP-CVP値を比較したところ、有意差がみられた。さらに注 目すべき点として、normal-SVV群ではPVP>CVPとなり、high-SVV群ではPVP<CVPとなる傾向があることを見出した。
ROC曲線で、PVP-CVPのカットオフ値を0.5とすると、高い感度と特異度をもっており、AUCは0.93となった。この ことは、PVP-CVP値を計算することで、心前負荷の多寡(輸液反応性の有無)の評価ができる可能性を示してい る。またこの傾向は、挿管患者、非挿管患者のいずれの場合でも成立していた。SVV測定には、動脈圧ラインが 必要である。しかし今回の知見により、SVVが測定できないような環境でも、CVPとPVPを計測することができれ ば、輸液負荷をするべきか否かの判断をする際の有益な情報が得られる可能性が示された。また、心前負荷の評 価のための動脈圧ライン確保という侵襲を伴う作業を回避できる可能性がある。本研究は、新たな心前負荷評価 方法の可能性を見出し、効率的で安全な医療提供ができる可能性を示したと認められ、博士(医学)の学位に値 するものと判定した。