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Figure 1 Treatments protocols for severe trauma patients at our institution FAST;focused assessment with sonography for trauma IVR;interventional radi

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全文

(1)

循環動態不安定な重症鈍的腹部実質臓器損傷に

対する IVR 治療

はじめに

循環動態不安定な腹部実質臓器損傷に対する治療の原則 は一般に手術であると考えられており,北米のガイドラ インでは interventional radiology(IVR)治療は推奨され ていない1)〜 3)。一方,循環動態不安定と思われる脾損傷に

岡田 一郎

1)

,霧生 信明

1)

,米山 久詞

1)

,井上 和茂

1)

加藤  宏

1)

,森本 公平

2)

,一ノ瀬嘉明

2) 〔要旨〕【目的】初期輸液後に循環動態不安定な重症鈍的腹部実質臓器損傷に対する interventional radiology(IVR)治療の 治療成績を検討する。

【対象と方法】当施設で 5 年間において,循環動態が不安定であった The American Association for the Surgery of Trauma-Organ Injury Scale grade IV 以上の鈍的肝損傷,脾損傷および腎損傷の症例を,診療録を用いて後ろ向きに調査 した。循環動態不安定は初期輸液療法後に収縮期血圧 90mmHg 未満と定義した。

【結果】単独肝損傷は 8 例(grade IV 2 例,V 6 例)であった。治療は,経カテーテル的動脈塞栓術(trans-catheter arterial embolization;TAE)6 例,TAE と手術の併用(以下手術併用)2 例であり,2 例が死亡したが,preventable trauma death(PTD)および肝損傷が主因となる死亡はなかった。生存 6 例中 5 例に合併症(敗血症 2 例,胆汁漏 2 例, 仮性動脈瘤 1 例)を認めたが,短期間に治癒した。単独脾損傷は 13 例(grade IV 8 例,V 5 例)あり,治療は手術 5 例, TAE 7 例,手術併用 1 例であった。重症頭部外傷が主因である PTD 1 例を含む 2 例が死亡したが,脾損傷が主因となる死 亡はなかった。単独腎損傷は 6 例(grade IV 5 例,V 1 例)あり,治療は TAE 4 例,手術併用 2 例であった。重症頭部外 傷が主因である PTD が 1 例あった。3 例に合併症(急性腎不全 2 例,腎膿瘍 1 例)を認めたが,いずれも治癒した。肝損 傷(grade IV)と腎損傷(grade IV)の合併は 1 例あり,重症頭部外傷・胸部外傷も伴っていた。TAE と緊急開腹術を 行ったが,大量出血により死亡した。脾損傷(grade V)と腎損傷(grade V)の合併は 1 例あり,脳挫傷,頸椎骨折,多 発肋骨骨折を伴っていた。TAE と緊急開腹術を行い生存した。手術併用 7 例は,いずれも TAE を先行し,引き続き待機 することなく手術を実施した。TAE を施行した全 24 例において,来院から TAE 開始までの時間は中央値 59(15-194)分 であり,手技や虚血に関連する合併症は認めなかった。 【結語】IVR の迅速な実施と手術への円滑な移行が可能である診療体制構築を前提とすれば,初期輸液後に循環動態不安定 な重症実質臓器損傷に対しても TAE は有効な治療オプションと考える。 〔キーワード〕肝損傷,脾損傷,腎損傷,TAE 対して,手術ではなく IVR 治療を行った症例集積研究が 少ないながらも存在し4)5),腹部実質臓器損傷に対しても IVR 治療が有用な可能性が示唆されている。当施設では, 外傷外科医の待機下で 24 時間いつでも質の高い外傷 IVR が迅速に行える体制を構築しており,初期輸液に十分反応 せず循環動態不安定な重症腹部実質臓器損傷に対しても, 積極的に IVR 治療を行ってきた6)7)。本論文の目的は,そ の治療成績を検討することにある。

対象と方法

1.対象患者 2009 年 1 月 1 日〜 2013 年 12 月 31 日に当院救命救急セ ンターに入院した患者のうち,鈍的肝損傷,脾損傷,腎損 所属:独立行政法人国立病院機構災害医療センター 救命救急 センター1) 同 放射線科2) 著者連絡先:〒 190-0014 東京都立川市緑町 3256 独立行政法 人国立病院機構災害医療センター 救命救急センター 受付日:2016 年 3 月 9 日/採用日:2016 年 7 月 28 日

特集 1

腹部外傷─われわれの治療方針,手術か IVR か─

(2)

傷と診断された症例を対象とした。鋭的外傷症例と来院時 心肺停止症例は除外した。

2.調査項目と方法

年齢,性別,injury severity score(ISS),予測生存率 (probability of survival;Ps),損傷形態,循環動態,造影 CT(以下 CT)上の血管外漏出像(extravasation;EV) の有無,治療方法,来院から経カテーテル的動脈塞栓術 (trans-catheter arterial embolization;TAE)開始までの 時間,intra-aortic balloon occlusion(IABO)使用の有無, 転帰,合併症を,診療録を用いて後ろ向きに調査した。損 傷 形 態 は The American Association for the Surgery of Trauma-Organ Injury Scale に基づき8)9),手術症例は執刀

医が判断した。非手術症例では放射線科専門医 1 名以上が CT 画像を読影し,損傷形態と EV の有無を評価した。循 環動態は,初期輸液療法後に収縮期血圧 90mmHg 未満の 場合を不安定と定義した。転帰は,当院退院時における生 存または死亡とした。 3.当施設の外傷診療体制 初期診療は救急医が行っている。救命救急センター所属 の外傷外科医と,放射線科医が院内に常駐しており,重症 外傷患者搬入時は事前に連絡を受け,初期診療から参加す る(Figure 1)。手術,IVR は,ともに緊急に実施するこ とができる。CT 室および血管造影室は,初期治療室から 各々 15m,20m 離れた同一階に位置する。手術は初期診 療室もしくは別階にある手術室で実施する。腹部実質臓器 損傷の治療選択に関しては,外傷外科医を含む救急医と放 射線科医との協議により随時決定している。

結 果

期間中の全外傷患者は 2,789 例であり,鋭的損傷および 来院時心肺停止症例を除くと肝損傷 98 例,脾損傷 62 例, 腎損傷 45 例であった(重複あり)。 循環動態不安定な grade IV 以上の単独臓器損傷は 27 例 (肝損傷 8 例,脾損傷 13 例,腎損傷 6 例)であり,重複臓 器損傷は 2 例(肝+腎損傷 1 例,脾+腎損傷 1 例)であった。 単独肝損傷は 8 例(grade IV 2 例,V 6 例)であり, ISS 35(16-59)[中央値(最小値 - 最大値);以下同],Ps 0.778(0.229-0.983)であった。8 例全例に CT を施行し, いずれも EV を認めた。TAE 単独は 6 例,手術併用 2 例 (perihepatic packing 1 例,omental patch 1 例)であった。

死亡は 2 例であり,死因は多発外傷による出血死であっ た。preventable trauma death(PTD)および肝損傷が主 因となる死亡はなかった。生存 6 例中,5 例に合併症(敗 血症 2 例,胆汁漏 2 例,仮性動脈瘤 1 例)を認めた。胆汁 漏 2 例には経皮的腹腔ドレナージのみで自然治癒した。仮 性動脈瘤 1 例に対し第 11 病日に再度 TAE を行い治癒し た(Figure 2)。 単独脾損傷は 13 例(grade IV 8 例,V 5 例)であり, ISS 34(18-57),Ps 0.908(0.26-0.984)であった。初診時 に CT 室への移動が困難であった症例が 3 例あり,2 例は 初期診療室で緊急開腹術(脾摘術),1 例は不安定型骨盤 骨折に対して血管造影を実施した際に,脾損傷の合併が判 明して TAE を施行した。その他の 10 例は CT を施行し, 9 例で EV を認めた。TAE 単独を 6 例,脾摘術を 3 例に行っ た。他の 1 例は,TAE に引き続いて脾摘術を行った。多 発外傷を呈した 2 例が死亡し,1 例は重症頭部外傷を主因 とする PTD であった。脾損傷が主因となる死亡はなかっ た。生存 11 例中に合併症は認めなかった(Figure 3)。 単独腎損傷は 6 例(grade IV 5 例,V 1 例)であり, ISS 28(9-48),Ps 0.963(0.533-0.994)であった。全例に CT を施行し,いずれも EV を認めた。TAE 単独を 4 例, 他の 2 例は TAE に引き続いて腎摘除術を行った。重症頭 部外傷を主因とする PTD が 1 例あったが,開腹所見にて 腎損傷の出血は制御されていた。生存 5 例中,3 例に合併 Figure 1  Treatments protocols for severe trauma patients at

our institution

FAST;focused assessment with sonography for trauma IVR;interventional radiology

Figure 2  Treatment for hemodynamically unstable isolated severe hepatic injury(grade Ⅳ – Ⅴ)

(3)

症(急性腎不全 2 例,腎膿瘍形成 1 例)を認めた。急性腎 不全 2 例は人工透析を要したが,いずれも短期間に離脱し た。腎膿瘍を形成した 1 例は,第 16 病日に経皮的ドレナー ジを行い治癒した(Figure 4)。

肝損傷(grade IV)と腎損傷(grade IV)の合併は 1 例みられた。頭部外傷(急性硬膜下血腫,脳挫傷,頭蓋底 骨折)と両側多発肋骨骨折,多発脊椎骨折を合併した多発 外傷患者であり,ISS 41,Ps 0.088 であった。CT 施行後, まず肝,腎損傷に対し TAE を施行し,次いで緊急開腹術 (perihepatic packing)を行った。受傷当日に大量出血に より死亡した。 脾損傷(grade V)と腎損傷(grade V)の合併は 1 例 みられた。脳挫傷,第 2 頸椎骨折,多発肋骨骨折を合併 した多発外傷患者であり,ISS48,Ps 0.404 であった。CT 施行後,まず脾,腎損傷に対し TAE を施行し,次いで緊 急開腹術(脾摘術および腎摘除術)を行った。生存し,第 46 病日独歩退院した。 これら全 29 例(31 臓器)での各臓器損傷 grade 別の 治療法を Figure 5 に示す。3 臓器とも grade IV 損傷では TAE 単独の症例が多く,手術のみの症例は認めなかった。 一方, grade V 脾損傷と grade V 腎損傷では TAE 単独の 症例はなく,全例で摘出術を要した。 TAE は 24 例(26 臓器)に施行され,手術併用 7 例(8 臓器) はいずれも TAE が先行して行われた。来院から TAE 開 始までの時間の中央値は 59(15-194)分であった。TAE 24 例の死亡率 16.7%(4 例 /24 例)であった。死亡 4 例の ISS 45.5(34-59),Ps 0.268(0.088-0.887)であり,1 例は 重症頭部外傷を主因とする PTD であったが,当該臓器損 傷が主因となる死亡はなかった。生存 20 例中,1 例は Ps < 0.5 の症例であった。 IABO は 4 例 で 使 用 し た。ISS 33(18-50),Ps 0.68 (0.088-0.984)であり,治療は TAE 3 例,手術 1 例。生存 3 例, 死亡 1 例(TAE 症例)であった。

考 察

鈍的腹部実質臓器損傷に対する IVR 治療の大きなメ リットとして,低侵襲性と臓器温存可能な点があげられる。 その他に,複数の臓器に同一手技,体位でアプローチがで Figure 3  Treatment for hemodynamically unstable isolated

severe splenic injury(grade Ⅳ – Ⅴ)

Figure 4  Treatment for hemodynamically unstable isolated severe renal injury(grade Ⅳ – Ⅴ)

Figure 5  Treatment for unstable high grade abdominal solid organ injuries

TAE;trans-catheter arterial embolization TAE + Surgery;TAE combined with surgery

(4)

きる利点がある。しかしながら,放射線科医が 24 時間常 駐している施設はほとんどなく,IVR 治療開始までに時 間がかかること,血管造影室では迅速な蘇生処置が困難と なりやすいこと,止血困難な場合に速やかに手術に移行で きる体制を常に整えておくことが容易ではないこと,など が問題となってきた10) そこで当施設では,IVR 治療は重症外傷治療において 極めて有効で不可欠な止血法であるとの認識から,救命救 急センターと IVR 治療に精通した放射線科が共同で,24 時間いつでも外傷外科医の待機下で質の高い外傷 IVR が 行える体制を構築した。具体的事項を列挙すると, ①重症外傷患者発生の第 1 報を受けた時点で,救命救急 センター所属の外傷外科医と放射線科医に連絡する ②患者搬入時から外傷外科医と放射線科医が初期診療に 参画し,検査・診断・治療の方針を速やかに協議・決 定する ③ IVR が決定した時点で,複数名の放射線科医がそれ ぞれ術者,助手,指揮者の役割を担い,IVR チーム を組織する ④救急医がチームリーダーの指揮下に血管造影室内での 呼吸循環管理および血液凝固能のモニタリングを担う ⑤手術部と救命救急センターのスタッフに治療状況,緊 急手術の可能性や準備を逐次伝達する などがある。 また,IVR 治療を迅速に実施するため,定期的な検討 会をとおして,救命救急センターと放射線部の間で適応や 手順に関するコンセンサスを形成することに努めている。 本研究では,TAE 施行までの時間は中央値 59 分であった が,ここ数年は徐々に短縮傾向にある。循環動態不安定な 腹部実質臓器損傷に対する治療として,手術を前提としつ つも,CT 施行可能な程度の vital sign の場合は IVR 治療

を積極的に適用するに至っている6)7) 最近の米国での多施設のデータベースを用いた研究で は,血管造影までの時間は平均 3.5 時間となっており,多 くの施設で IVR がすぐに行えない現状があると推察され る11)。一方,オランダでは 24 時間迅速に TAE を行える システムを構築し,循環動態不安定な(来院時収縮期血圧 100mmHg 以下または心拍数 120 以上)脾損傷 16 例に対 して中央値 46 分の極めて短時間に TAE を行ったとの報 告がある12)。CT および血管造影が行える hybrid ER の使 用や,X 線写真を省略して CT 撮影を優先するなど,本研 究とは診療方法・施設面で違いがあるが,IVR 治療を有 効な治療と位置づけ,できるだけ短時間に実施することに 大きな重点をおいている点は共通するものといえる。 本研究では,29 例中 24 例(83%)で TAE が治療の第 一選択として施行されたが,当該臓器損傷を主因とする死 亡はなかった。また,生存例に重篤な後遺症はみられなかっ た。 肝損傷では生存 6 例中 5 例に合併症を認めたが,いずれ も治癒し重篤な後遺症は残さなかった。Abdelrahman ら は TAE 後のフォローアップ CT で広範な肝梗塞部が徐々 に治癒していく過程を報告しているが13),われわれも CT または超音波検査で肝損傷部および塞栓による梗塞部を定 期的にフォローし,徐々に治癒していく過程を確認してい る。また,重症肝損傷では程度の差はあるが胆汁漏が発生 していると思われるが,手術を要さず,経皮的ドレナージ や内視鏡的ドレナージで治癒することが多いとされてい る14)。本研究でも,臨床的に問題となった胆汁漏もドレナー ジのみで治癒している。肝静脈圧は 3-5cmH2O 程度であり, TAE で速やかに動脈性出血が制御でき,肝静脈本幹およ び門脈本幹損傷がなく,適切な輸液・輸血で凝固障害をき たさなければ,循環動態不安定な grade Ⅴ肝損傷でも理 論的には出血制御できる可能性はあると考えるが,今後の 検討を要する。 脾損傷では脾門部損傷(grade Ⅴ)は通常手術が必要 となる。本研究での脾門部損傷(grade Ⅴ)6 例は全例が 手術となったが,grade Ⅳ脾損傷では 8 例中 7 例が TAE で止血された。IVR 治療可能な程度の vital sign があれば grade Ⅳ脾損傷に TAE は非常に有効と考える。一方,脾 門部損傷の場合でも,TAE で出血制御を行った後に脾摘 術を行った例があった。手術が必要となった症例は全例脾 摘術を行った。重症外傷では脾部分切除等の脾温存術を行 うのは他臓器損傷,凝固障害との兼ね合いがあり難しく, 臓器温存,脾臓摘出後重症感染症予防の観点からは TAE が有用と考える15)。また,脾損傷に対する TAE の合併症 として脾梗塞,脾膿瘍が知られているが16),本研究では 1 例も認めなかった。当施設では,塞栓方法として脾門部損 傷を除いては,脾動脈本幹塞栓を用いることは少なく,可 能な限り選択的な TAE を行っている。そのため TAE 後 に広範な梗塞が発生することは少なく,問題となるような 脾梗塞・脾膿瘍を生じなかったと推察する。 腎損傷では,腎門部損傷(grade Ⅴ)は手術を前提とす べきだが,本研究での grade Ⅴ腎損傷 2 例は腎動脈本幹 からの大量出血に対し TAE を行い,その後に腎摘除術を 行った。腎臓は後腹膜臓器であり,早急な TAE を行えば 腎門部での動脈性出血も制御できる可能性がある。grade Ⅳ腎損傷は,TAE が有効と考える17)。合併症として 1 例 膿瘍形成をきたしたが,経皮的ドレナージと抗菌薬療法に て治癒した。その他,急性腎不全の合併症も一時的であっ たのは,選択的 TAE が行われたため腎梗塞の範囲が狭く, 腎機能が温存されたためと推察する。 これまでの報告では腹部実質臓器損傷で TAE から手術 へ移行した群は TAE あるいは nonoperative management

の不成功(failure)群として扱われることが多かった18)

本研究では TAE から手術への移行は循環動態の安定化を 図るために,血管造影室から手術室へ移動し,待機する

(5)

ことなく手術を行っている。われわれは手術への移行群を TAE の不成功群とは捉えず,治療の一貫の流れとし,手 術と TAE の組み合わせ治療と考えている。TAE を行っ たことで,出血制御がなされ術中操作が容易になることを しばしば経験する。本研究では,一般に手術が必要と考え られている grade Ⅴ脾損傷と grade Ⅴ腎損傷の合併症例も, TAE を先行し,出血制御した後に緊急開腹術へ移行し救 命している。われわれは手術と TAE を各々の長所を生か して,柔軟に組み合わせる治療戦略が予後の改善,合併症 の軽減につながると考えている。 近年,重症外傷にたいする IABO の有効性の報告が散 見される19)。本研究では,IABO は 4 例に使用した。当施 設では IABO での大動脈遮断下に TAE を行うことは肋間 動脈,腰動脈等の手術アプローチが困難な部位以外では原 則行っていない。血管造影室と手術可能な部屋が別であり, 大動脈遮断が必要な状態では,IVR は危険と判断している。 結果的に当施設では IABO はあまり用いていない。大動 脈遮断が必要な循環動態では,速やかな手術が必要である と考える。 最後に,現在の当施設の治療方針を述べる。CT 施行可 能な程度の vital sign の場合,初期輸液に十分反応せず循 環動態不安定な重症腹部実質臓器損傷でも積極的に TAE の実施を考慮している。一方,CT 施行が危険と思われ る vital sign の場合は躊躇なく緊急開腹術を行う。損傷形 態では,脾門部損傷,腎門部損傷は手術を前提とするが TAE 併用も考慮する。そして,TAE 中も,外傷外科医と 手術部スタッフが常に待機し,出血制御困難な場合はすぐ 手術に切り替える。 本研究は単施設の後ろ向き観察研究であり,症例数も少 ない。また,循環動態不安定の定義に共通した見解はなく, 本論文での定義の妥当性に関しては議論を要する。循環動 態不安定な重症腹部実質臓器損傷に対する IVR 治療の有 効性を明確に示すには,多施設研究が必要といえるが,手 術との併用や効率的な診療体制の構築も含めた包括的な検 討が重要であると考えられる。

結 語

初期輸液に十分反応せず循環動態不安定な重症腹部実質 臓器損傷に対しても,各診療科・診療部の協力下に,IVR の迅速な実施と手術への円滑な移行を可能とする診療体制 が構築できれば,TAE は有用な治療オプションと考える。 利益相反 本研究に対しての企業・組織または団体からの資金提供 はなく,筆者全員においては,発表内容に関係する企業・ 組織の利益相反はない。 文献

1)Stassen NA, Bhullar I, Cheng JD, et al: Nonoperative management of blunt hepatic injury: Eastern Association for the Surgery of Trauma practice management guideline. J Trauma Acute Care Surg 2012; 73: S288-S293.

2)Stassen NA, Bhullar I, Cheng JD, et al: Selective nonoperative management of blunt splenic injury: Eastern Association for the Surgery of Trauma practice management guideline. J Trauma Acute Care Surg 2012; 73: S294-S300.

3)Morey AF, Brandes S, Dugi 3rd DD, et al: Urotrauma: AUA guideline. J Urol 2014; 192: 327-335.

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TAE の方法.日腹部救急医会誌 2012;32:1175-1180. 7)Matsumoto J, Lohman BD, Morimoto K, et al: Damage

control interventional radiology(DCIR) in prompt and rapid endovascular strategies in trauma occasions (PRESTO): A new paradigm. Diag Interv Imaging 2015; 96:

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follow-up after non-operative management of biloma due to blunt liver injury. World J Surg 2015; 39: 179-183.

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17)van der Vlies CH, Olthof DC, van Delden OM, et al: Management of blunt renal injury in a level 1 trauma centre

(6)

Interventional radiology procedures in the treatment of

hemodynamically unstable patients with high-grade

(grade Ⅳ - Ⅴ) blunt injuries of abdominal solid organs

Ichiro Okada

1)

, Nobuaki Kiriu

1)

, Hisashi Yoneyama

1)

, Kazushige Inoue

1)

,

Hiroshi Kato

1)

, Kohei Morimoto

2)

, Yoshiaki Ichinose

2)

Department of Critical Care Medicine and Traumatology, National Hospital Organization Disaster Medical Center1)

Department of Radiology, National Hospital Organization Disaster Medical Center2)

Objective:To evaluate the treatment results of interventional radiology procedures for hemodynamically unstable

patients with abdominal solid organ injuries after initial fluid resuscitaion.

Materials and Methods:Over a 5-year period at our institution, we retrospectively reviewed the medical records of

hemodynamically unstable patients with blunt hepatic, splenic, or renal injuries that were higher than grade IV. We defined hemodynamically unstable patients as patients with hypotension(systolic blood pressure < 90 mmHg) after initial fluid resuscitation.

Results:First, there were 8 cases of hemodynamically unstable isolated hepatic injuries higher than grade IV(grade

IV, 2 and grade V, 6). Trans-catheter arterial embolization(TAE) was performed in 6 of these cases, and TAE combined with surgery(TAE + surgery) was performed in the remaining 2 cases. Although 2 deaths occurred, there was no preventable trauma death(PTD) nor death due to hepatic injury as the primary cause. Five out of the 6 survival cases developed acute complications(sepsis, 2; bile leaks, 2; and pseudoaneurysm, 1), but all healed. Second, there were 13 cases of hemodynamically unstable isolated splenic injuries that were higher than grade IV(grade IV, 8 and grade V, 5). Surgery was performed in 5 of these cases, TAE in 7 cases, and TAE + surgery in the remaining 1 case. Although 2 deaths occurred including a PTD due to severe head injuries, there was no death due to splenic injury as the primary cause. Third, there were 6 cases of hemodynamically unstable isolated renal injuries that were higher than grade IV(grade IV, 5 and grade V, 1). TAE was performed in 4 cases, and TAE + surgery was performed in the remaining 2 cases. A PTD occurred due to a severe head injury. Three cases developed acute complications(2 acute renal failures and 1 renal abscess), but all healed. One patient had hemodynamically unstable grade IV hepatic injury associated with an unstable grade IV renal injury, severe head injury, and severe thoracic injury. We performed an urgent laparotomy, followed by TAE; however, the patient died of a massive hemorrhage. Another patient received hemodynamically unstable grade V splenic injury associated with unstable grade V renal injury, cerebral contusion, cervical spine injury, and multiple rib fractures. We performed an urgent laparotomy, followed by TAE, and the patient survived. TAE was the first treatment administered in 7 TAE + surgery cases. The median time to TAE from arrival was 59(range, 15–194 ) min in 24 cases, and no procedure-induced complication developed.

Conclusions:If a system can be created wherein both high quality TAE and surgery can be performed 24/7, we

consider that TAE is an effective treatment option for hemodynamically unstable patients with abdominal solid organ injuries after initial fluid resuscitaion.

KeyWords:hepatic injury, splenic injury, renal injury, TAE

in view of the European guidelines. Injury 2012; 43: 1816-1820.

18)Boese CK, Hackl M, Muller LP, et al: Nonoperative management of blunt hepatic trauma: A systematic review. J Trauma Acute Care Surg 2015; 79: 654-660.

19)Morrison JJ, Galgon RE, Jansen JO, et al: A systematic review of the use of resuscitative endovascular balloon occlusion of the aorta in the management of hemorrhagic shock. J Trauma Acute Care Surg 2016; 80: 324-334.

Figure 2  Treatment for hemodynamically unstable isolated  severe hepatic injury(grade Ⅳ – Ⅴ)
Figure 4  Treatment for hemodynamically unstable isolated  severe renal injury(grade Ⅳ – Ⅴ)

参照

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4 Hopwood JJ, Elliott H: Detection of Morquio A Syndrome using radiolabelled substrates derived from keatan sulphate for the estimation of galactose 6- sulphate sulphatase.. 6 Doman

7 Photomicrograph in Case 5 upper showing the accumulation of many fibroblasts in the superficial layer of the fibrinous clot adhering to the subdural granulation tissue.. HE stain x

病状は徐々に進行して数年後には,挫傷,捻挫の如き

、術後生命予後が良好であり(平均42.0±31.7ケ月),多

 1)幼若犬;自家新鮮骨を移植し,4日目に見られる

 仙骨の右側,ほぼ岬角の高さの所で右内外腸骨静脈

「他の条文における骨折・脱臼の回復についてもこれに準ずる」とある

<警告> •