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在宅介護者のアセスメント請求権と一時休息請求権

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(1)

在宅介護者のアセスメント請求権と一時休息請求権

著者 三富 紀敬

雑誌名 静岡大学経済研究

3

1

ページ 75‑120

発行年 1998‑06‑10

出版者 静岡大学人文学部

URL http://doi.org/10.14945/00000651

(2)

在宅介護者 のアセスメン ト請求権 と一時休息請求権

は じめに

本稿 は、本誌 ほかの拙文で扱 って きたイギ リスの在宅介護者 についての作業の一部である。

コ ミュニテ ィーケア と在宅介護者

コ ミュニテ ィーケア・ サー ビスの定 めは、戦後 に限って も1948年に遡 る。国民扶助 に関す る 1948年法 は、障害者へのサー ビス給付 について定 める。保健サー ビス と公的保健 に関す る68年 な らびに国民保健サー ビスに関す る77年法 も、それぞれ高齢者 と病人 に対す るコ ミュニティーケ ・サー ビスの給付 について定 める。これ らの法律 は、サー ビスを要する人々の決定 とサー ビスの 給付 とを自治体 の社会サー ビス部(SSD)も し くは社会事業部(SWD)に義務づ ける。 しか し、義 務づ けは、 この限 りである。3つの法律 は、今 日アセスメン トと呼ばれ る状況の調査 と判定 とを 社会サー ビス部や社会事業部 に義務づ けない。 ここか ら次の問題が生ず る。すなわち、サー ビス を必要 にす る人々の特定 を遣 り過 ごし、 これ を基 にどのようなサー ビス も給付 しないのである。

T.クラーク (Tom Clarke)下 院議員 は、 この法律上の逃 げ道 をふ さぐべ く努力 を重ねた一人で ある。 この議員が個人 として提出 した法案 は、のちに障害者のサー ビスにかかわる諮問 と意思表 示 に関す る86年法 として実 を結ぶ。 この法律 は、障害者のアセスメン ト請求権 についてはじめて 認 め、サー ビスに関す るニーズの調査 と判定 とを社会サー ビス部 な どに義務づ ける。86年法 は、在 宅介護者のニーズについて も視野 を広 げ、一定の法的な位置づ けを与 える。すなわち、社会サー ビス部 な どは、在宅介護者が介護 を担い続 けられ るか どうかについて考慮 しなければな らない。

‑75‑―

(3)

この義務 は、在宅介護者 による請求の有無 にかかわらない。在宅介護者の性別 はもとより年齢 も 間わない。 もとよ りこの義務づ けは、すべての在宅介護者 を念頭 に措 くわ けではない。かな りの 量の介護 をいつ もの ように (substantial amounts of care on a regular basis)担 う在宅介護者 だけを対象 にす る。 また、すでに介護 を担 っている場合 に限 られ、 これか ら介護 を担お うとす る いわば潜在的な在宅介護者 は、除外 される。 しか も、介護 を担い続 けられ るか どうかに考慮 を払 うことであって、在宅介護者 とその介護 を取 りま く状況の全般的な調査 まで義務づけていない。

在宅介護者への関心 は、86年法の制定後 に広が りをみせ る。88年の『グ リフィス報告』は、在 宅介護者 にい くつかの言及 をした ことで も良 く知 られ る。 コミュニティーケアの原則 と目的 とを 確認す ることが まず もって重要である として、次の ように述べ る(1ヽ 1に、被介護者が、病院や 施設で介護 を受 けるよりもで きうる限 り自宅 に留 まるようにす ること。第2に、介護の負担 に窮 す ることのないように在宅介護者 を援助 し、息抜 きの機会 を提供す ること。第3に、ふ さわ しい 援助 を被介護者 に提供 し、 日常生活 に予想 され る混乱 をこれ によってで きうる限 り少 な くす るこ と。第4に、身体的 もしくは情緒的な不調か ら生ず る精神的な圧迫感や緊張感 を和 らげること。

5に、援助 され る人々のニーズに合致するよう最 も効率的にサー ビスを設計 し提供すること。

最後 に、地域内の全 ての資源 を援助 の為 に活用す ること。 ここにい う資源 には、在宅介護者 は も とよ り教会、ボランテ ィア団体 な ども含 まれ る。『グ リフィス報告』は、 こうした考 えを拠 り所 に さらに次のように指摘す る。在宅介護者 に適切 な水準の援助 をお こなうことなしには在宅介護者 自身の生活 の質 を損な うに とどまらず、被介護者 に提供 され る介護の水準 さえも低 めかねない。

これは、是非 とも避 けなければな らない。では、どうすれば良いであろうか3社会サー ビス部 は、

定期的な再調査 を含むアセスメン トと判定の責任 を負い、 これ を基 にコ ミュニティーケアのニー ズについて確認 し、所要のサー ビスを給付 しなければな らない。アセスメン トと判定 は、在宅介 護者 な どとの充分な相談 をへて しかるべ きである。『グル フィス報告』は、86年法の限界 を念頭 に 措 きなが らアセスメン トと判定の権限にはじめて言及す るのである。

89年の白書『人々の為の介護一次の10年とそれ以降のコミュニティーケアー』は、次の事実 を 政府 としてはじめて認 める。すなわち、地域 における介護 の大部分 は、在宅介護者 によって担わ れ る②。それゆえ社会サー ビス部 の重要な責務 のひ とつは、在宅介護者 を援助す ることである。こ の種の援助 は、 自書 によれば適切で根拠のある投資である。 白書 は、 このような理解 を出発点 に 次の提言 をお こなう。アセスメン トは、被介護者 と在宅介護者の希望な らびに在宅介護者の介護 継続の可能性 を重視 して こそ意義 を持つのであつて、で きうるな らば被介護者 と在宅介護者の活 発な参加 を得 て実施 されなければな らない。

(4)

国民保健サービスとコミュニティーケアに関する90年法は、被介護者のアセスメントに言及す るものの、在宅介護者のニーズ とアセスメン トには直接触れない。在宅介護者への言及は、社会 サービス部によるボランティア団体への諮間にかかわって、在宅介護者の利害を代表する団体 を これに含めると明示する限 りである

13b。

在宅介護者の法的な扱いは、保健省『90年法に関する政 策案内』に詳 しい。い くつかの重要な内容 をそこから読み取ることができる ヽ第1に、アセスメ ントは、在宅介護者か ら得 られる援助 を考慮に入れなければならない。第 2に 、在宅介護者は、

介護が自分自身 と公的な機関 との双方の責任のわかちあいによることを心に止めなければならな い。第 3に 、在宅介護者の意思 と選択は、考慮に入れられてしかるべきである。第 4に 、在宅介 護者の介護を担い続けたいとする意思は、なんの証拠 もなしに当然のことと決めてかかってはな らない。第 5に 、サービスの利用者 と在宅介護者への諮問は、アセスメントの一環でなければな らない。最後に、在宅介護者は、コミュニティーケア・ サービスのニーズを自分独自に持つ と判 断するならば、被介護者むけのそれ とは全 く別個のアセスメントについて求めることができる。

これらの内容は『政策案内』に明示されるように全ての在宅介護者に適用される。「かな りの量の 介護 をいつものように担 う」という86年法の限定は、 ここにはない。 もとより問題のないわけで はない。『政策案内』は、アセスメン ト請求 とサービス受給 を権利 として在宅介護者に認めるわけ ではない。アセスメン トの実施は、社会サービス部の裁量の範囲にある。アセスメントがなんら かの形で行われた場合でさえ、それが在宅介護者へのサービス給付 として実を結ぶか どうかも、

当局の判断に委ねられる。

保健省 (DH)は90年F政策案内』に続いて『在宅介護者に応える一サービス設計の為の案 内一刷 と題する冊子を翌91年に公刊 し、自治体に配布する。 この冊子は、バー ミンガム市やブ ライ トン市あるいはス トックポー ト市などの先駆例 を紹介 しなが ら在宅介護者のニーズ調査 と サービスの設計についてわか りやす く案内した ものである。冊子の終章に当たる第5章では、在 宅介護者にサービスを給付するに当たっての 3つ の基本的な考え方が改めて強調される。第 1に 、 サービスは、在宅介護者にふさわしい内容 と形態でなければならない。在宅介護者の希望するサー

ビスこそ提供されなければならないのであって、第3者の見込みや期待にそって給付されてはな らない。第 2に 、サービスは形式ばらないや り方で自在な融通 と好意 とをもって提供 されなけれ ばならない。第 3に 、在宅介護者むけのサービスを多様な媒体 を介 して広 く周知 しなければなら ない。冊子 は、サービスに要する時間 と経費について正当に指摘 して、自治体関係者の注意を喚 起する。「在宅介護者へのサービスの周知あるいは在宅介護者 と職業柄接する専門職者への同種の 広報は、時間の掛かる仕事であり、多少の資金の投入なしに行い得ない。 したがって、時間は予

‑77‑―

(5)

め見積 もられ、お金 も予算化 されなければな らない……」

0。

もっ ともな指摘である。

保健省 の『政策案内』とこれに続 く冊子 は、93年4月 に始 まる90年法の施行 に照準 を合わせて発行 され る。在宅介護者 は、これ らの文書 にそって従来 にない位置づけを与 えられる。少な くとも2つ ことは忘れずに述べておかなければな らない。まず、被介護者のニーズに関するアセスメン トは、彼 もしくは彼女の世話 に当たる在宅介護者のニーズを考慮 に入れなければな らない。さらに、在宅介 護者むけの援助 は、これ までにな く高い優先度が与 えられなければならない。か くして在宅介護者 は、政府の文書を読む限 り相応の援助 とこれに伴なう生活のかな りの変化 とを期待できるのである。

在宅介護者への援助 は、政府の文書通 りに進んだか といえば残念 なが らそうではない。下院保 健委員会(HC)は93年1‑3月の調査 を踏 まえて次のような状況 について公表する。在宅介護 者 のニーズは、折 りか らの厳 しい財政事情 の下で被介護者のそれに比べて軽 ん じられ る

0。

た とえ ば長期の居住介護施設 は、在宅介護者 とその負担 に何の配慮 も見せずに計画通 り次々 と閉鎖 され る。在宅介護者 は、施設か らしめ出され る被介護者 をこれ といった準備 もなしに自宅 に迎 え入れ なければならない。下院保健委員会のい う事情 は、90年法の施行 された93年4月以降にも確認 さ れ る。在宅介護者全国協会 (CNA)は93年末か ら94年はじめにかけて手掛 けた調査 に沿 って、

次の結論 を下す。「在宅介護者の大多数 は、93年のコ ミュニティーケア改革の下 にあるとはいえそ の暮 らし向 きになんの改善 も経験 しない。 これが、現在の状態である。サー ビスは、む しろ悪化 し、利用者の負担 も一段 と重 くなった と言 う者 もいる。社会サー ビス部が在宅介護者のニーズに かってな くていねいに配慮するようになった と述べ る者 は、ほんの僅かである。アセスメン トを 新 しく経験 した在宅介護者の半数以上 は、ニーズに合致す るサー ビスを提供 されない ことか ら、

至 って不満の様子である0」

94年4月 か ら翌95年3月 に至 る1年間は、90年法 の施行か ら数 えて2年目に当た る。 この

1

年 は、政府の財政補助 に重要 な変更が加 えられ る。政府 は、必要経費の9%に当たる額 を利用者 の負担 によって賄 な うよう自治体 の指導 に乗 り出す。利用者の負担 は、 自治体 の判断に委ね られ るとい う法的な定 めを熟知 した上での指導である。しか し、少な くない自治体 は、コミュニティー ケア・ サー ビスに利用料 を課 して経費の一部 を補てんすることにため らいを見せ る。必要経費の

9%に当た る額 を利用者負担 によって工面する自治体 は、全体の僅かに36%にす ぎない。利用者 負担 による経費の確保 は、この為 に全 ての自治体の平均で8%に とどまる。)。 ちなみにロン ドン自 治区の平均 は、6.85%である。同 じく自治都市のそれはt7.1%である。ことは、政府の目論見通

りに進 まなかったのである。 とりわ け大都市でそうである。

この結果 は、被介護者 と在宅介護者 に とって好都合 とばか り言 えない。利用者負担の引 き上 げ

(6)

が政府の計画通 りに進 まなかった ことか らすれば、 それは、利用者負担の抑制 に他な らない こと か ら確かに有益である。 しか し、 自治体への補助金 は、9%とい うガイ ドラインに沿 つて配分 さ れる。9%を下 まわ るか らといって補助金の増額 をあてにで きるわ けではない。自治体 の財源 は、

政府のガイ ドラインの下で9%を下 まわ る比率 に応 じて少な くなる。 自治体 は、財源 と地域住民 のニーズ とを見据 えなが らサー ビスに優先順位 を付 けざるを得ない。結果 は、サー ビスの給付 を 待 ち受 ける人々の増加である。

在宅介護者への援助 は、 こうした財政状況の下でその後 どの ように推移 したであろうか。 まず は、在宅介護者全国協会の94年調査(10に主 として拠 りなが ら検討 してみたい。

94年調査 は、2つの主な目的に沿 って実施 され る。その一つは、93年4月 以降 におけるコミュ ニテ ィーケアの在宅介護者への影響 を確かめることである。いまひ とつは、留意 を要する政策問 題 について見究 めることである。94年調査 は、これ らの課題 に迫 る為 に4つの今 日的な領域 に的 を絞 って設計 され る。第1に、知識 と情報である。 どれだけの在宅介護者が どのような手段 を介 して93年4月 か らの変化 について認識 しているであろうか。第2に、アセスメ ン トである。在宅 介護者 はアセスメン トをどの様 に、あるいはどの程度受 け、そのニーズは、アセスメン トを通 し て どの程度確かめ られたであろうか。第3に、サ=ビス とその充実である。在宅介護者 は、93年4 月以降に どの ようなサー ビスを受 けたであろうか。新 しいサー ビスの発展 は、確かめ られ るであ ろうか。充足 されないニーズの存在 も当然の ことなが ら問題 になる。最後 に、サー ビスの利用者負 担である。利用料 は、サービスの利用 にどのような影響 を及ぼ し、 これに対す る在宅介護者の態 度は、どの ように特徴づ けられ るであろうか。調査 は、94年の 11月 に実施 され る。調査票 は、在 宅介護者全国協会の会員名簿か ら選 ばれたイギ リス全上の在宅介護者 に送付 され、1,959通の調 査票が回収 され る。但 し、回答 を寄せた在宅介護者の全てが、調査項 目にもれな く記入す るわ け ではない。回答者 は、 この為 に調査項 目によってやや異なる。在宅介護者のサ ンプルは、無作為 抽 出によるわけでない ことか ら一定の限界 を持つ。 これは、在宅介護者全国協会の資金力か らし て無理か らぬ ことである。調査結果 は、無作為抽出による場合 に比べ ると2つの片寄 りを持つ。

1に93年4月 以降のコ ミュニティーケアについて相対的にしろ良 く知 り、援助 を受 けやすい 在宅介護者 にやや片寄 る結果である。調査対象 は、在宅介護者の団体 としてイギ リスで良 く知 ら れ る在宅介護者全国協会の会員である。会員 は、この団体 の発行す る月刊誌 を定期的に受 け取 り、

地域の在宅介護者 グループに属 してその会合 に顔 を出す人々である。情報の量 は、おのず と豊富 である。未組織 の在宅介護者 とはやや事情 を異 にす る。第2に、片寄 りは、在宅介護者 の属す る 世帯 の平均収入 と人種構成 にも見 られ る。平均収入 は、在宅介護者の属す る世帯の平均 よ り相対

‑79‑

(7)

的にしろ高い。人種の構成 は、自人 にはっきりと傾斜する。両者の片寄 りは、 これ も在宅介護者 全国協会の会員調査であることに由来す る。 この団体 は、あ くまで在宅介護者の中での ことなが ら所得水準のやや高い層 を組織する。また、人種別 にいえば白人 に影響力 をもつ とはいえ、少数民 族 に属する在宅介護者の組織化 になると、地 をはうような努力 と工夫にもかかわ らず実績 に乏 しい。

社会サー ビス部 の業務 のひ とつは、保健省の92年9月 25日 付の通達 に従 えばアセスメン トの 措置及 び介護サー ビスの周知である。在宅介護者へのサー ビスの周知 は、保健省 の自治体 むけの 冊子 にも極 めて重要であると指摘 され る(11ヽ しか し、現状 は、保健省の委託調査 (93年5月実施

)

も認 めるように期待 はずれの結果である。多 くの人々は、アセスメン トやサー ビスについて何 も 知 らない。 これが偽わ らざる現状 である。

では、在宅介護者全国協会の調査 に従 えば、 どのような状況であろうか。結果 は、表1の通 り である。90年法 について知 る在宅介護者 は、法律の施行か ら数 えて 5カ 月後の93年9月にお ける 73.0%か ら同 じく18‑20カ 月のちの94年9‑11月における84.8%へと増 える。しか し、73.9%

に当たる在宅介護者 は、法律 の施行か ら5カ 月の時点でアセスメン トを受 けていない。 この うち の過 半 は、アセ ス メ ン トを受 けない理 由 として アセ スメ ン トについて知 らな い と答 え る

(la

(55%)。 アセスメン トについて知 る在宅介護者 は、法律の施行か ら18‑20カ月後 になると表 に 示す ように78.2%にまで増 える。しか し、ここに言 うアセスメン トは、被介護者のそれである。

在宅介護者が知 るのは、 この種のアセスメン トである。在宅介護者 は、 自分 を対象 にす るアセス

[資

]Norman Wameri Community care;just a fairy tale?,report of a UK rescarch survey commissioned by CNA,cNA,1994,p.23,Norman Wanler,Better tomorrows,report of a national study of carers and the conlmunity care changes,CNA,1995,p.32よ り作成。

[注

](1)これ を除いてすべて94年9‑11月調査 の結果である。

(2)両者 の合計 は、調査 の質問項 目によって少 しずつ異 な る。

コミュニティーケアに関する90年法の施行に伴 う諸変化についての認知状況

(人

)

数 ②

(%)

知って い る (A)

知 らない

(B) (A) (B) コミュニティーケアに関する新しい法律

(93年

4月1日

rtf Tl

a。

1993年9月 調査

(D

b.1994年 9‑11月調査

社会サー ビス部 によるアセスメン トの実施

公的な資金による介護の受給要件としてのアセスメント アセスメン トの実施 される場所

在宅介護者 のニーズに関す る個別 のアセスメン トに ついての依頼可能性

病院の退院者の為の独 自の治療・ 介護計画の策定

311 1,650 1,505 1,225 1,257 734 929

1,164 978

73.0 84.8

78。

2

64,1 65.6 38,7 48.7

27.0 15.2 21.8 35,9 34.4 61.3 51.3

(8)

メン トとその依頼 の可能性 についてあまり知 らない。 これを知 らない在宅介護者 は、表 に示す よ うに3人2人近 くと多数である。

保健大臣は、 コミュニティーケアに関す る不服 申立ての手続 きとその扱いについて定式化す る ように自治体 に命ず る。90年 の ことである。自治体 は、手続 きの定式化 と周知 とを翌91年4月まで に完了す るように求 め られ る。不服 申立て手続 きに欠かせない要件のひ とつは、手続 きのわか り やす さと手続 き行使 の しやすさである。アセスメン トに納得で きない人々は、不服 申立ての手続 きに沿 って異議 を唱 えることがで きる。しか し、この手続 きを知 る在宅介護者 は、著 しく少ない。

この種 の情報 を得た在宅介護者 は、アセスメン トを受 けた場合 に限って も

29。

2%、 アセスメン ト を経験 しない場合 になると僅かに2.0%、平均23.3%である。4人3人強 に当た る在宅介護者 は、

この手続 きを知 らない計算 になる。社会サー ビス部 は、どの程度の広報 を手掛 けたのであろうか。

94年12月 に行われた別 の調査 による とイングラン ドとウェールズにある93の社会 サー ビス 部 の97.8%に当たる91の部 は、不服 申立 ての手続 きを在宅介護者 に周知 した と答 える(13、保健大 臣の命令 に反 して周知 を怠った社会サー ビス部 は、実数 にして僅かに

2、

比率 にして2.2%にす ぎ ない。社会サー ビス部 は、 この結果 を見 る限 り不服 申立てについて周知 を計 っている と受 け取 る ことがで きる。 しか し、4人3人強の在宅介護者が手続 きについて知 らない という別の事実 と 突 き合わせ るな らば、社会サー ビス部の情報 は、広報 にむけた努力 にもかかわ らず在宅介護者の 手 に届 いていない と判断せざるを得 ない。

保健省 は、周知 にむけた方法 として3つを示す。 まず、 リーフレッ トを作成 して手続 きについ てわか りやすい言葉で説明すること、 また、 自治体の庁舎の一角に掲示すること、 さらに、視覚 に訴 える表示や口頭 による提示 をボランティア団体や在宅介護者のグループに行 うこと、 これ ら である。しか し、これ らの方法 は、不服 申立て手続 きに関す る在宅介護者の認知状況 に照 らす時、

効果的である とは言いがたい。

援助 に関する通常の情報源 は、多岐 に亘 る。しか し、主な源泉 は、在宅介護者全国協会である。

5人4人以上の在宅介護者 は、 この源泉 をあげる(83.5%)。 次いで多いのは、在宅介護者のグ ループである(37.8%)。 社会サー ビス部か らの連絡や社会サー ビス部の印刷物 をあげる在宅介護 者 は、3人1人もしくは4人1人さえ下 まわ る(30.6%、 23.1%)。 その理由の一片 は、社会 サー ビス部 自身の対応か ら説明 され る。在宅介護者 とそのニーズに的を絞 った印刷物 は、3分 2の社会サー ビス部で作成 され提供 され るにす ぎない(66.7%)。 他 の3分1に当た る社会サー ビス部 は、 この種の印刷物 を作成 していない(33.3%)。 その他の情報源 は、在宅介護者全国協会 以外のボランティア団体 (20.6%)、 新聞 (20.1%)、 一般開業医 (17.5%)、 テレビ (16.2%)、

‑81‑―

(9)

雑誌 (14.2%)、 ラジオ (13.6%)などである (多重回答 による

)。

社会サー ビス部か らの情報 に目立 った改善 を期待する在宅介護者 は少ない。在宅介護者 は、か わって商店や医院の利用 による情報 の入手 について興味深 い提言 をす る。「殆 ん どの在宅介護者 は、買物 に出掛 けます。店舗で より多 くの情報 を入手で きると思います」。「繁華街 にある商店か ら情報 を得 られ るようにした らどうで しょう」。「医院で在宅介護者 グループについて知 らせた ら どうで しょう。医院や薬局 に リーフレッ トを置 けば持 って帰 ることがで きます」。いずれ も在宅介 護者の生活行動 とその場所 に着 目した示唆 に富む発言である。

マスメディアは、在宅介護者への情報源 として期待 される程の役割 を担っていない。その理由 は、2つ考 えられ る。一つは、マスメディアが在宅介護者の関心や援助 に充分 な配慮 を払 つてい ない ことである。いまひ とつは、在宅介護者全国協会の会員であるだけに、 この団体か らの情報 に信頼 を寄せ、あえてマスメディアをあてにしな くて も良い ことである。 しか し、マスメディア が、農村 に居住す る在宅介護者や介護 を担 う児童 あるいは少数民族の在宅介護者な どのいわば隠 れた人々に情報 を届 ける上で重要な役割 を担 うであろうことは、充分 に予想 され る。6人1人 強の在宅介護者 は、在宅介護者全国協会 の92年調査 によれば新聞やテ レビあるいはラジオ を介 し て介護者 としての自分の地位 について理解す るに至 る。の(17.0%)。 ちなみに他の媒体 は、在宅介 護者全国協会(24.0%)、 ソーシャル ワーカー(16.0%)、 一般開業医(15.0%)、 被介護者(14.0%)、

友人 (10.0%)、 地域看護婦や病院職員 (9.0%)な どである。

アセスメン トは、被介護者のニーズを確かめ、サー ビスに対す るなん らかの利用者負担 につい て調べ るとともに在宅介護者のニーズについて も別個 に調査す ることを目的 にす る。保健省 は、

アセスメン トの望 ましいあ り方 として次の8つの要件 を示 して、その実施 を社会サー ビス部 に求 める。(1)在宅介護者 は、介護 を担い続 ける意思 を持つ とはなか ら決 めてかか らない こと。(2)介 サー ビスについて入手 しやす く、かつ また理解 しやすい情報 を提供すること。(3)在宅介護者のア セスメン ト過程への参加 を被介護者の同意 を得て進 めること。(4)在宅介護者 と被介護者 とが、ニー ズに合 うようにサー ビスを選択で きる こと。(5)介護 は、責任 の分担である とい う受 け止 め方 を強 制せず に在宅介護者 の判断 に委ね ること。 )在宅介護者の求 めがあるな らば、そのニーズに沿 う 別個のアセスメン トを行 うこと。(7)出された不満 を記録す ることはもとより、不満への対応 を忘 れない こと。侶

)ア

セスメン トは、被介護者 な どの環境 に変化の生 じた時、再び実施す ること。

在宅介護者への別個 のアセスメ ン ト政策 は、社会サー ビス部 の回答 によれ ば80%以上 の社会 サー ビス部 によって立案 され実施 に移 される。アセスメン トの依頼か ら実施 までの平均期間 は、

これ も社会サー ビス部の回答 によれば 1カ 月未満が殆 ん どであ り(79.7%)、 1カ 月を超す場合で

(10)

あって も 3カ 月を超す ことはない(20.3%)。 在宅介護者へのアセスメン トは、 これ らの回答 を見 る限 り実 に望 ましい姿 を示す ように思われる。では、在宅介護者の 日常の経験 に照 らす時、 どの ような姿 を確かめることがで きようか。

アセスメン トを受 けた者の比率 は、90年法 の施行 された93年4月の前後で特 に これ といった 変化 を見せない。表2に示す通 りである。90年法 は、この結果 に照 らす限 り在宅介護者の 日常 に 殆ん ど何 の影響 も及 ぼさない と言 えそ うである。94年調査の対象 は、前 に も述べた ように一人残 らず在宅介護者全国協会の会員であるだけに関係す る情報 をより良 く入手で きる立場 にある。 し か し、そうした回答者でさえも3人1人強 は、アセスメン トの行われ る場所 について知 らない。

アセスメン トの依頼か ら実施 までの期間 は、在宅介護者の経験 に即す る限 り決 して短か くない。

被介護者 のアセスメン トについて依頼か ら 1カ 月以内の実施 は、93年調査で93%、94年調査 に従 えば56%とい う状況である(他のそれぞれ7%、 44%は、 1カ 月以 内に受 けていない、 もしくは アセスメン トについて知 らない)。 1カ 月以内の実施が減 るばか りでない。「被介護者のアセスメ ン トを得 るのがそ もそ もむずか しい」と答 える在宅介護者 は、22%(93年調査)か27%(94年

調査)へと僅 かなが ら増 える。アセスメン トを受 ける上での障害 は、93年4月以降の新 しい環境 の下で消滅す るであろうという議論 もある。90年法の適用 を好意的に評す る議論である。しか し、

上 に紹介す る結果 は、 この種の見通 しの底の浅 さを裏づける。

在宅介護者 の3人2人弱 は、被介護者のアセスメン トに関す る限 り被介護者のニーズに対応 す ると評する(64%)。 しか し、 自分 自身のアセスメン トになると、ニーズに対応すると好意的に 評す る在宅介護者 は、半数 を割 る(46%)。 さらに、在宅介護者 は、アセスメン ト結果の提供 をど

コミュニティーケアに関する90年法の施行前後におけるアセスメン トの経験等状況

(人

)

(1)

  (%)

受けたもしくは 知っている

(A)

受けないもしく

は知らない

(B)

(A) (B)

1993年 4月以降にアセスメン トを受 けたか どうか

a.被介護者 b.在宅介護者

1993年3月 以前にアセスメン トを受 けたか どうか

a.被介護者 b.在宅介護者

887 357

1,024 1,354

1,001 1.429

46.0 24.0 47.0 20.0

54.0 76.0 53.0 80.0 アセスメ ン トの行 われ る場所 を知 うてい るか どうか 11265

[資

]Norlnan Wamer,Better tomorrows,report of a national study of carers and the community care changes,Opo cit.,p.41よ リイ昔用。

[注

](1)表1、

[注

](2)に同 じ。

‑83‑―

(11)

のように評価するであろうか。 この種 の結果が提供 された と答 える在宅介護者 は、3人1人 にすぎない(37%)。 この比率 は、93年調査の結果(40%)よ りも3ポイン トの低下である。かわ りにアセスメン トが、社会サー ビス部 の自由にしうる財源 によって制限 されていると答 える在宅 介護者 は、半数 を超す(55%)。 この比率 は、93年調査の結果(51%)に比べ る と4ポイン トの上 昇である。

アセスメン トは、保健省の指導にもかかわ らず被介護者 な どの環境変化 に対応 して繰 り返 され ていない。アセスメン トが繰 り返 された とす る在宅介護者 は、5人2人さえ下 まわ る (38%)。

他の5人3人強 は、環境 の変化 にもかかわ らずアセスメン トを受 けていない と答 える (62%)。

保健省 の指導 と社会サー ビス部の実際 とは、かな りの隔た りを示す。在宅介護者が、環境 の変化 に伴 な うアセスメン トの再実施 とい う指導 を日常の経験 に即 して確信 しうるか といえば、残念な が ら程遠い状況 にある。

アセスメン トを経験 に照 らして積極的に評価する声 は、少数であるとはいえ確かに存在す る。

知的障害の息子 を看 る母親 は、次の ように言 う。「私 は、息子の一時休息の為のアセスメン トに掛 か り合いました。地域看護婦がアセスメン トを行い ました。それはもう申 し分のない程良い もの で した。彼女 は、私が尋ねなければな らない と思 っていた以上の ことを私 にたずねて くれ ました」。

アル ツハ イマー症 の夫 を世話す る高齢の在宅介護者 も、アセスメン トとその後のサービス受給 に 照 らして好意的に指摘する。「私 は、 ソーシャル・ワーカーを通 して大 を一時休息の施設 に入れ ま した」。しか し、この種 の積極的な指摘 は、少数である。ロン ドンに限っていえば皆無でさえある。

ロン ドンの在宅介護者 は、一様 に否定的な評価である。障害 を持つ夫の世話 に当たる黒人の在宅 介護者の声 に耳 を傾 けてみよう。「 アセスメン トは、あわただ しく行われ ました。アセスメン トの 写 しは、渡 され ませんで した」。高齢の父親 を看 る在宅介護者 も言 う。「父親 は、アセスメン トを 一年前 に受 けました。父 は、アセスメン トか ら 3カ 月のちにデイセ ンターに行 きました。 これは 有益で した。 しか し、父のニーズについて書面で示 されることは、一切 あ りませんで した。在宅 介護者のアセスメン トについて も何 も提案 され ませんで した」。精神病 を患 らう夫 を看 ると同時 に 子供の世話 をす る中年の在宅介護者 も指摘す る。「アセスメン トについて尋ね ようとは思い ませ ん。他で もあ りません。私たちには資力 もあ り、なにも提供するわけにいかない、 と病院 に告 げ

られたか らです」。

94年調査 は、在宅介護者のサー ビス利用にかかわ る93年4月か らの措置 について も尋ねる。そ の調査項 目は、週末 におけるサー ビスの利用 をはじめ一時休息 とその選択、居住介護施設 もしく はナー シングホームの利用、サー ビスに関す るニーズ と実際 との隔た り、社会サー ビスヘの信頼

(12)

度 と民間サー ビスの私的な利用状況 な どである。

93年4月 か らの措置が追い風 になった と好意的に評する在宅介護者 は、表3に示す ように5人 1人にさえ満たなぃ。多 くの在宅介護者 は、「法律 の変化 は私 に影響ない」と冷ややかな評価 を 下す。サー ビスの低下 を指摘す る声 さえも、表 に見 るように8人1人弱の在宅介護者 によって 上 げられ る。冷ややかな評価 は、居住介護施設の利用が93年4月 以降にむずか しくなった ことと 決 して無縁ではあるまい。

在宅介護者 は、介護か ら離れて休息 を取 らなければな らない。その社会的、情緒的なニーズは、

最近 まで完全 に見す ごされがちであ り、在宅介護者 は、押 し黙 つた まま一心 に動作 を繰 り返 すあ たか も機械であるかの ように見 られ ることも稀れではなかった。在宅介護者 は、ケン ト州一時休 息協会 (KARC)の調査(10に も示 され るように様々な理由か ら休息 を必要 にし、その取得 を求 め る。 それは、 くつろ ぐ機会 を得て自分の関心 を追い求 めることをはじめ、家族 と共 にす ごす時間 を得 ること、新 しい事 に取 り組 んだ り人々 と新 しい関係 を結んだ りする機会 を得 ること、外出す ることあるいは健康 を取 り戻すに必要な時間 を確保す ること、 これ らである。 しか し、全ての在 宅介護者が休息 を取れ るか と言 えば、残念 なが らそうではない。休息の取得 は、4人3人弱の 在宅介護者 に止 まる (71%)。 他の在宅介護者 は、 これ を取得で きない (29%)。 これ さえもアセ スメン トを受 けた在宅介護者 に限っての ことである。休息 を取得で きない比率 は、アセスメン ト を受 けない在宅介護者 になると5人2人近 くにまで上昇す る。 しか も、休息 を取得で きない在 宅介護者 は、アセスメン トを受 けた場合 に限って も20%(92年調査)か22%(93年調査)ヘ

コミュニティーケアに関する90年法の諸影響

[資

]NorFnan Wamer,community care;just a fairy tale?,report of a UK research survey commissioned by CNA,op.cit.,p.36 and p.39,Noman Warner,Better tomorrows,report of a national study of carers and the community care changes,op.cit.,pp.56‑57よ り作がこ

[注

](1)93年の調査 は、 この項 目を含 まない。

(人

)

(%)

19934「 19944F

1993生

1994準

法律 の変化 は、私 に影響ない サー ビスは、最近1年間に悪化 した

在宅介護者のニーズは、認 められやす くなった 社会サー ビス部か らの配慮 は、最近1年間に増 えた

(1)

337 34 55

79.1 8.0 12.9

69。0 12.1 9.0

9。

9 居住介護施 設 の利 用

a。

よ りむつか し くなった b. 変化 は′贅い

193 233

239 84

45。3 54.7

74.0 26̲0

100.0 100.0

‑85‑

(13)

と年 を追 って増 える(10。 94年の結果 は、92年の それのお よそ1.5倍で あ る。

休息の期間は、社会サー ビス部 のアセスメン トを受 けその結果 に即 して休息 を取得で きた在宅 介護者 に関す る限 り、確かに長 くなる傾向にある。例 えば「過去一年間に少な くとも毎週休 日を 享受 した」と答 えた在宅介護者 は、

15。

1%(93年調査)か36.4%(94年調査)に増 える。同 じ

く「過去一年間 に隔週で休 日を取得 した」とす る回答 も、

15。

1%か28.0%への増加である。他 方、「月 に10時間 もし くはそれ以下 の休息 を取得 した」 とす る回答 は、同 じ期間 に11.6%か 2.3%への低下である。

介護 は、一 日の体 み もな く週の うち丸々 7日 とも拘束 され る作業である。殆 ん どの社会サー ビ ス部 は、94年調査 によると週末 における援助 を強めて在宅介護者 に休息 を保障する考 えであると 言われ る(94.5%)。 介護の作業上の特性 を正当に踏 まえた喜 ばしい対応である。 しか し、週末 に サー ビスを得て休息 を取 る可能性 は、93‑94年にか けて僅かなが ら狭 め られ る。週末 にお ける サー ビスの取得がむずか しく、休息 も取れない と答 えた在宅介護者 は、16.4%(93年調査)か 22.3%(ア セスメン トを受 けた場合)も しくは24.0%(アセスメン トを受 けない場合、94年調査

)

へ と上昇 し、状況の悪化 を伺わせ る。

サー ビスは、社会サー ビス部 を介 した提供 に限 らない。社会サー ビス部 の関与 しないサー ビス も存在する。在宅介護者 は、そのニーズを社会サー ビス部 によって充足 されない時、別 の諸手段 の模索 に向かわなければな らない。ニーズを自制 して我が身の うちにしまい込む ことも考 えられ ないわけでない。しか し、それが長 く続かないであろうことは、容易 に想像 され る。め ぐりめ ぐっ て身体 の不調や疾病 として姿 を現わす ことも考 えられ る。在宅介護者の5人3人弱 は、社会サー ビス部以外か らの援助 を受 けない ものの、5人2人強 は、社会サー ビス部以外の援助 を受 ける (58.3%、 41.7%)。 これ をアセスメン トをへた在宅介護者 に絞 って言 えば、両者の比率 は措抗す (53.7%、 46.3%)。 社会サー ビス部以外か らのサー ビスの利用 は、性別では男性 よ り女性、就 業状態別では無業者 もしくは失業者 よ りも就業者、家計収入の水準別 には週当た り220ポン ド未 満 よ りも同 じく220ポン ド以上の世帯 な どで相対的に多い。ちなみに週当た り220ポン ドを超 す 世帯 の利用 は、同 じく120ポン ドにさえ満たない世帯のち ょうど倍である(56%、 28%)。 この種 の利用 は、社会サー ビス部 を介 したサー ビスの受給 に比べてその費用 もか さむだけに、家計収入 の水準や就業状態 に大 き く左右 され る。 この種の選択 によるニーズの充足 はtそうした意味か ら 万人 に開かれた方法 とは言いがたい。

ニーズの不充足 は、少な くない在宅介護者の経験するところである。アセスメン トに不満な在 宅介護者 にニーズの不充足 を間 うた ところ、回答比率の高い順 に「 自宅 における一時休息」49.6%、

(14)

「 自宅か ら離れての一時休息」48.3%、「 自宅 における看護以外の援助」44.5%、「 デイセ ンター での介護」26.4%ならびに「夜間の介護」26.4%などである

(1つ

。社会サービス部以外か らサー ビ スを受 ける在宅介護者 に、ニーズ とサー ビス との落差 を問 うた ところ、これ も回答の多い順 に「毎 年の体暇」44.0%、24時間開設のヘルプライン」40.2%、「週末 の休息」37.8%、「毎週の定期的 な休息」29.8%、「居住介護施設 の利用 による一時休息」27.7%などである。社会サー ビス部以外 のサー ビスを利用す る在宅介護者で さえ、その40%前後 に当た る人々 は、週末の休息や毎年の体 暇 を充分 には取れないのである。ニーズの不充足 の広が りを感 じさせ るに充分 な結果である。

ところで、社会サー ビス部の中には、利用者の負担 を93年4月以降 に10%以上引 き上 げた とこ ろもある(22.3%)。 在宅介護者 の8人1人は、利用者負担が94年 に入 ってかな り引 き上 げられ た と答 える(15.4%)。 これは、社会サー ビス部の動 きと内容の上で重な り合 う。利用者負担の引 き 上 げは、サー ビス利用の自制 を含 めて在宅介護者の家計 に影 を落 とす。在宅介護者の4人1人 強 は、負担 の引 き上 げに伴 なう経済的な欠乏 について訴 える(27.4%)。 この種の訴 えは、就業状 態別には就業者 より無業者 もしくは失業者 に多い(26.8%、 28.8%)。 家計の収入水準別 には週 当 た り220ポン ド以上で概 して少な く、同 じく120ポン ド以下で際立 って多い (18.1%、 46.0%)。

在宅介護者 は、90年法の下で被介護者 と同一の権利 を持 つわ けでない。公的な居住介護施設や ナー シングホームあるいはそれ らに代わ る施設 への入居やサー ビスの受給資格 を持 つ人々だ け が、90年法 に沿 ってアセスメン トの実施 を社会サー ビス部 に請求す ることがで きる。在宅介護者 は、 この権利 を持たない。在宅介護者が当てにしうるのは、保健省 の『政策案内』である。 しか し、 これ とてアセスメン ト請求権 を被介護者 にな らって在宅介護者 に付与す るわけではない。保 健省 は、在宅介護者 自身のニーズを社会サー ビス部 として独 自に調べ るよう促す にす ぎない。 ア セスメン トは、社会サー ビス部 の裁量の枠内に置かれ、在宅介護者の手中にはない。被介護者 と 在宅介護者 との異なる位置づ けは、アセスメン トの受給比率の格差 として現われ る。在宅介護者 の受給比率 は、前出の表2に示 した ように被介護者のほぼ半分である。 これは、90年法の施行 さ れた93年4月以降 も基本的に変わ らない。問題 は、アセスメン トの受給 にとどまらない。週 に一 度の休息や年 に一度の体暇 といった ご く基礎的なニーズ さえも充足 しえない在宅介護者 は、 これ も前述 した ように少な くないのである。 ここか ら、次のような疑間が生ず る。すなわち、在宅介 護者へのアセスメン トとサー ビスの受給 は、新 しい法的な権不Jの付与 に沿 って改善 の方向 を辿 る であろうか ということ、これである。94年調査 は、在宅介護者の法的な権利 を意識 しなが ら2つ の項 目を設 ける。 その一つは、在宅介護者のニーズに関す る別個 のアセスメン ト請求権 の是非で ある。いまひ とつは、一時休息の請求権 の是非である。殆 ん どの在宅介護者 は、いずれの請求権

‑87‑―

(15)

にも賛意 を表する (98.5%、 97.8%)。 この比率 は、93年調査 のそれに比べて も高い

(89。

4%、

90.4%(1。)。 在宅介護者の多 くは、請求権 に賛成する理由 として次の3つをあげる。それは、在宅 介護者のニーズが社会 にはっきりと受 け入れ られ ること、介護 を担 うことに伴なう自責の念 を僅 かな りとも軽 くすること、在宅介護者の申請が拒絶 されな くなること、 これ らの理由である。

在宅介護者の貢献 を社会的に承認 してそのニーズに応 えるには、いかなる課題があろうか。94 年調査 に照 らす時、次のように言 うことがで きよう。第1に、情報の提供である。アセスメン ト をはじめサー ビス及び不服 申立ての手続 きに関す る情報の提供 は、少な くない問題 を抱 える。在 宅介護者の認知 を格段 に高める為 に、新 しい取 り組 みが望 まれ る。第2に、在宅介護者のニニズ に関す る独 自のアセスメン トである。アセスメン トの現状 はもとより、請求権の法定 に関する在 宅介護者の賛成状況 に照 らす時、新 しい措置が考 えられて しか るべ きである。第3に、一時休息 を含む援助 の拡充である。在宅介護者の人間 としての ごく基礎的なニーズさえ充足 されていない。

一時休息請求権 についての回答状況 とあわせて考 えるならば、 これ も新 しい法的な対応 を含めて 拡充 されなければな らない。第4に、サー ビスの利用者負担である。 この種 の政策 は、 自治体 に よって様々である。 自治体間のちがいは、負担額 をはじめ負担能力の算定方法や算定結果の伝達 方法な ど多岐 に亘 る:利用者負担の引 き上 げが、利用の縮減 を招 くこととあわせて、保健省 によ る統一的で漸新 な対応の求め られ るところである。最後 に、在宅介護者 とそのニーズに関する調 査の実施である。在宅介護者全国協会の調査 は、94年調査 を含 めてある種の片寄 りを避 けるわ け

にいかない。 これは、他のボランテ ィア団体 の幾多の調査 も避 けて通れない課題である。調査 に は相応の経費 を伴 なうことも考 えると、政府 による年,回の定期調査が望 まれ る。

ここに述べ る課題 の一部 は、在宅介護者 とかかわ りを持つ医療職者や看護職者の団体 によって も独 自の調査 に即 して提言 され る(19。 在宅介護者の調査研究 に早 くか ら取 り組 み、イギ リスで高 い評価 を得ているブ リス トル大学のC。 ロビンソン教授等の最近の調査結果 とも内容 の上で重な

りあう

(20)。

 95年法の意義 と限界

在宅介護者の承認 とサー ビスに関す る95年法 は、在宅介護者全国協会 によって最初 に起草 さ れ、労働党所属の下院議員M.ウィック(Malcolm wicks)氏 によって議案 として提出され る。1ゝ 政府 は、 これ を議会で可決 し実施 に移すならばかな りの財政負担 を伴な うであろうか ら、議案の 通過 を妨害す るので はないか、 と一般 に受 け止 め られていた。 しか し、保健大臣は、 この法案の

(16)

目的におお よその ところ共鳴 しているという声 も伝 え られ る。95年はじめの頃である。その後、

保健省 は、90年法 に約束 された援助が在宅介護者 に届 いていない現状 を公の場で認 め、そうした 状況 を案 じさえす る。法案 は、政府 の支持 を得た ことか ら議会 を首尾良 く通 る。95年6月 25日 に 女王の裁可 を得て、翌96年4月 1日 に施行 され る。

在宅介護者 は、95年法 によるとかな りの量の介護 をいつ もの様 に (a substantial amount of care on a regular basis)担 う、 もしくは担お うと考 えている人 と定 められ る。賃金 を得て介護

を担 うA々あるいはボランテ ィア団体のボランティアは、 この要件 を満たす場合であって も、95 年法 にい う在宅介護者 に含 まれない。在宅介護者 は、担 っている介護 の状況 と担 い続 ける能力及 び意思 について独 自のアセスメン トを行 うよう社会サー ビス部 に請求す ることがで きる。但 し、

被介護者がアセスメン トを受 けていることを要件 にす る。社会サー ビス部 は、 この請求 に応 えて アセスメン トを行 う義務 を負 う。しか も、アセスメン トの結果 は、被介護者や在宅介護者へのサー ビスの決定 に当たって考慮 に入れ られなければな らない。 ここにい うサー ビスは、一時休息のよ うに在宅介護者 に直接かかわ る場合 もあれば、被介護者への給付 とその拡大 を介 して在宅介護者 に間接的に影響す る場合 もある。いずれにせ よサー ビスは、アセスメン トの結果 を考 えに入れて 決定 されなければな らない:社会サー ビス部 は、 この種 の請求権 に関す る情報 も提供 しなければ な らない。 この情報 は、アセスメン トの申込み方法 をはじめ請求者の要件、請求 を受 けつける時 間、利用で きるサー ビスの種類及 び不服 申し立 ての方法 な どを含 まなければな らない。95年法 は、

18歳未満で介護 を担 う児童 に も同 じように適用 され る。未成年者 に請求権 を認 めるのである。介 護 を担 う児童 は、児童 に関す る89年法の定 めるサー ビスの受給資格 もあわせ持つ:95年法 は、障 害児の両親でその介護 に当た る人々 にも同 じ く適用 される。地域的 にはイングラン ドとウェール ズそれにスコッ トラン ドに適用 されるものの、北 アイルラン ドは直接の適用か ら除かれ る。

95年法の定 めは、障害者 に関す る1986年法 と較べ るな らば、よ り正確 に理解 され よう。両者 に は幾つかのちがいがある。第1に、在宅介護者 による請求 の有無である。在宅介護者 の能力 を考 慮す ることは、86年法 による と請求のいかんにかかわ らない。しか し、95年法 に従 えば、在宅介 護者の請求が行われ る場合 に限 られ る。第2に、アセスメン トの実施である。社会サー ビス部 は、

86年法の下では在宅介護者の能力 に配慮すればそれで良い。95年法 による と、アセスメン トを実 際 に行わなければな らない。前者が、倫理的な努力 に関す る定 めであるのに対 して、後者 は、法的 な義務 である。第3に、在宅介護者の範囲 にかかわ るボランテ ィアの扱 いである。ボランテ ィア団 体 に雇われて介護 を担 う人々はもとより、この種の団体 に属するボランティア も86年法 に言 う在宅 介護者 に含 まれ る。しか し、95年法 に従 えば、すでに述べた ように除外 され る。第4に、これ も在宅

‑89‑―

表 4  アセスメン ト請求権 を持つ在宅介護者の要件に関する自治体別比較 (1) 自治体名 ̲介 護時間の基準 ロンドン ・ハマースミス ・フラム自治区 ロンドン ・ルーイッシャム自治区 ロンドン ・ニューアム自治区 ロンドン ・ベクスリー自治区 ロン ドン ・マー トン自治区 ロン ドン ・サ ッ トン自治区 ロ ッチデ ィニル市 ウ ィガ ン市 ソ リハル市 ブラ ッ ドフォー ド市 コールダーダル市 ブ リス トル市 ケ ンブ リッジシャー州 イース ト 0サ セ ックス州 ケ ン ト州 ランカ シ
表 5  在宅介護者むけアセスメン ト調査票ページ数の自治体別比較 (D 調査票ペ ー ジ数 ロ ン ドン・ バ ー ネ ッ ト自治 区 ロ ン ドン・ ブ レ ン ト自治 区 ロ ン ドン・ イー リング 自治 区 ロ ン ドン・ ヘ ー ブ リング 自治 区 ロ ン ドン 0キ ングス トン・ ア ポ ン・ テム ズ 自治 区 ロ ン ドン・ サ ッ トン自治 区 ロ ン ドン・ ウ ォ′レサ ム フォレス ト自治 区 トラ フ ォー ド市 セ フ トン市 ウ ィラフ レ i市 ロザ ラム市 リー ズ市
表 6  在 宅介護者 む けアセス メ ン トの調査項 目に関す る自治体等比較 (lXa 調査項 目 1.在 宅 介護 者 の氏名 2.被 介護 者 の諸属性 a.住 所 b.在 宅 介護 者 との関係 C.疾 病 、障害 の性 格 d。 一 般 開業医の氏名 と受診等 の状況 e.介 護 期 間 f.諸 手 当の受給状 況 g。 社 会 サ Tビ ス部 によるアセスメ ン トの有無 h.将 来必 要 な介護 3.在 宅 介護 者 と就 業及 び家族 a.就 業 /不 就業 の状 況 、就 業 の意 思
表 7 95年 法 に伴 う自治体社会サー ビス部の予算措置状況 (⇒ 自治体 (91年 の人口 ) ロン ドン ・ニューアム自治区 (212,170人 ) 一 つのサ ビ ス 締い咄 ロッチ・ ディール市 ノーズ リー市 ワイ ト島 レスター市 ヨーク市 (202,164人 )(152,091人)(1,009,950人)(645,166人)(1,541,547人)(124,577人)(270,493人)(98,754人) 算D ηO ・ 5バ ー ミンガム市     (961,041人)ベ ッ ドフォー
+4

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