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英国在宅介護者協会 :在宅介護者化 の可能性

三 富 紀 敬

訳 出 に当 た って

ここに紹介す るのは、英国在宅介護者協会 (Carers UK,以前 の名称 はCNA)に提 出された

『 在宅介護者化 の可能性 に関す る報告書』(Mike George,It could be you,a report on the chances of becoming a carer,2001,pp.1‑14)の 全訳である。

この協会 は、1988年に結成 され る (詳しくは拙著『 イギ リスの在宅介護者』 ミネルヴア書房、

2000年484頁)。 会員 は、1万4,055人である。50人の職員を擁 し、年間の予算 は250万ポン ドであ る (National Council for Voluntary Organisations,The lVoluntary agencies directory 2002, NVCO Publications,p.82)。  協会 は、病気や障害を抱えあるいは年老 いた人 々の介護 に当たる 在宅介護者の援助を目的にする。在宅介護者への情報の提供 とともにサー ビス利用 に関わる助言の 活動を手がける。あわせて在宅介護者のユーズと直面す る諸問題 にづいての調査研究をお こない、

これをもとに政策 について提言 しその実現に向けた活動を行 う。

協会の提言が制度 として実を結んだ最近の例 としては、被介護者の死亡 とともに支給 のうち切 ら れていた介護者手当 (Invalid Care Allowance,ICA,但 し2003年 3月10日か らCarers Allowance, CAに名称を変更)が、死亡後8週間まで延長支給 されること、65歳になると支給が うち切 られて

いたこの手当が、65歳以後の在宅介護者にも支給されること(いずれも2002年 2月28日に実施)な どをあげることができる(Caring,Mttch/Apri1 2002,p.20)。

.        :

ここに紹介する報告書 は、そうした政策提言の最 も新 しい成果である。報告書 は、主 に 2つ の柱 か らなる。その一つは、在宅介護者 としての役割 にともなうその金銭上な らびに健康上の影響 につ いて検討することである。今ひとつは、在宅介護者の将来推計をおこない在宅介護者化の性別及び 年齢階層別の見通 しについて探 ることである。

このうち前者 は、 これまでにも多 くの成果がイギ リス内外で公刊 されている (最近の代表的な成 果 を示 す な らば次 の よ うで あ る。Emily HolzhauSen attd Vicky Peariman,Ctting on the breadline, the financial ilrlplications of caring, CNA, June 2000, Sandra Hutton and

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Michael Hirst,Caring relationships over tilne,end of proiect report, University of York, SPRU, Janet Fast, Jacquie Eales and Norah Keating, Econonlic impact of health, income security and labour policies on informal  regivers of frail seniors, Status of Women Canada,March 2001)。 これ に対 して後者 は、 イギ リスで も比較 的新 しい試 みで あ り、本報告書 が イギ リス国内は もとよ り海外 で もどのよ うに受 け止 め られ るか、興味のあるところであ る。

は じめ に

在宅介護者 は、疾病や虚弱あるいは障害を抱えるために援助を要する家族、配偶者 もしくは友人 の世話 に当たる。

英国では、毎年30万 1,000人を越す成人が在宅介護者 になる。 これは、我々の6.6パーセ ン トに相 当する人々が在宅介護者 になることと同義である%女性が、59歳以前 に少な くとも一度 はかな り の介護責任を負 う機会 に遭遇す る確率 は、五分五分である②。他方、男性がかなりの介護責任を負 う五分五分の確率 は、74歳以前 についてである。

1990年代 に行われた調査 によれば、英国には少な くとも600万人の在宅介護者がお り、女性の在 宅介護者が男性の在宅介護者より25パーセ ン ト多い9。

在宅介護者による援助が持つ保健上及び社会的な らびに経済的な価値 は、はかりしれな く大 きい。

国民保健サー ビス (NHS)や社会サ,ビス部及び他の公的機関は、在宅介護者の労働の結果 とし て少な くとも年に340億ポ ンドの費用を節約する°。政府が在宅介護者による援助に取 って代わ らな ければな らないとすれば、 この340億ポ ンドは、政府の負担 になろう。

在宅介護者によるこの莫大な額に相当する援助が、英国の保健・ 社会サービスの礎石であるにも かかわ らず、歴代の政府 は、協力的であるかのような美辞麗旬に見合 うほどに十分な支援をもって 対応 して こなか った。在宅介護者 は、全体 として多方面にわたり不利な立場に置かれ続 け、 とりわ け長期に介護を担い続 ける在宅介護者は、差別的な扱いを受 け、社会的・ 経済的な排除を経験する。

たとえば親たちが子供の保育費用を正式 に認め られて一定額の税額控除を受けるのに対 して、成人 の世話をする在宅介護者には、そうした租税や手当の制度がな く、 こうしたことか らすれば租税 と 手当の制度 は、在宅介護者 に不当に差別的である。

経済的・ 社会的な不公平の問題 は、英国の保健 と社会福祉政策の将来にも限 りな く重要な意味を 持つ。65歳以上の高齢者は、むこう30年間に人 口のおよそ17パーセ ントか ら24パーセン トに増加す る。 また、75歳以上の高齢者 は、同 じ期間に実数 にして300万人の増加である°。 より多 くの高齢者 が現在よりも元気で健康的であることを期待する。 しか し、私たちは、そのことにはっきりと確信 できるわけでない。保健サービスの改善 は、か ってよりも多 くの障害者が以前にも増 して長 く生 き る効果を もた らすであろう。

‑94‑一

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'加えて、家族の形成における変化、たとえば離婚率の上昇をはじめ一人親家庭の増加、家族員の 地理的な移動の増加 は、在宅介護者 になりうる人々を少な くす るであろう。

在宅介護者 を現在よりもはるかに良好 に処遇 しようという有力な議論が存在す るのも、そうした 事情を考えるともっともである。在宅介護者の良好な処遇 は、彼女や彼が援助を提供 し続 けること を考えれば、 もっぱ ら道義的あるいは機会の均等な保障にかかわるにとどまらず、経済的に必要で もある。 こうした認識 に沿 ちて施策を展開 しなければ、その付 けが国民保健サービスと他の諸施設 一多 くの障害者や虚弱者を収容する施設一 に戻 されるであろう。

政府 は、 コ ミユニテイケア政策を15年以上にわたって選択 し、古い病院や施設を閉鎖 してきた。

政府が理解 しなければならないと思える事 は、次のことである。すなわち、 コ ミユニテイケア政策 への信頼は、在宅介護者な しにはありえないこと、 これである。

政策の立案者 と管理者が、介護 に伴 う身体的・ 精神的な負荷を軽 くするための支援を行い得ない ようであるな らば、それは、危険 きわまりない。在宅介護者が健康であり続 けるように支援するこ とは、彼女や彼が被介護者に不可欠な援助を担い続 けるために決定的に重要である。それは、また、

人間 としての諸権利 にもかかわる。在宅介護者が他の不利益や排除に加えて相対的に しろ深刻な健 康上の問題を抱えがちであり、それは、容認 しがたい°。

1.在宅介護 者 にな る可 能性

英国在宅介護者協会あてに作成 された この報告書 は、介護 に携わる可能性 について明 らかにする べ く、公刊・ 未公刊の研究成果 と新 しい資料 との突 き合わせを行 う。報告書の後半では、むこう30 年間における在宅介護者化の可能性 について評定す るべ く、人 口統計学の知見を応用する。

10人7人以上の女性 と10人6人近 くの男性が、生涯のある時期に在宅介護者になるであろう。

女性 は、男性 よりも若 い年齢でかな りの介護責任 をおそ らく経験する。女性が59歳までにかな りの 介護責任を少な くとも1回経験する確率 は、五分五分である。 しか し、 この五分五分の確率 は、男 性 について74歳までのことである。一年間に在宅介護者 になる見込みは、女性 について7.25パーセ

ン ト、男性で5.8パーセ ントである°。

介護責任を負 う可能性 は、20歳代 は じめで最 も低 く、100人3人が一年間に在宅介護者 におそ らくなるであろう。 しか し、 この機会 もしくは危険は、13‑19歳で相対的に高い°。

介護体験のパ ターンは、明 らかに様々である。 ある在宅介護者が、一 日に僅かな時間を介護 に当 てるのに対 して、別の在宅介護者 は、数倍の激 しい介護体験あるいは時間的に長 く継続的な介護体 験のただ中に置かれる。 この要因 と他の要因とが相 まって在宅介護者の入れ替えが明 らかに起 きる。

すなわち、介護を担 う人口の半数以上 は、5年で他の在宅介護者 グループと交代する。。

しか し、 この入れ替えは、い くらかの注意を払いなが ら扱わなければならない。たとえば年老い

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た両親 の世話を した数年後 に彼女 もしく 在宅介護者 にとって決 して まれでない。

に さ らなる調査研究 を要す る。

は彼の配偶者あるいは親 しい友人の世話を経験することは、

連続する多数の介護体験の発生率 とその諸結果は、明 らか

2.介護 を担 う理 由

英国在宅介護者協会のこれまでの調査によれば、在宅介護者が被介護者の世話 に当たる理由とし て次のことをあげている。ちなみに回答の分布は、おおよそ同 じである。

在宅介護者 は、それを彼女あるいは彼の当然の務めであると理解するか ら。

  家族あるいは友人など被介護者 との関係か ら。

  他に選択で きる手段がないと理解するか ら00。

親戚 に当たる高1齢者の介護 は、社会規範の変化 にも関わ らず、実際には親戚関係一まず配偶者、

ついで同一世帯に暮 らす他の親戚、娘それか ら息子の妻、息子、他の親戚、最後に隣人一に基礎を 置 くピラ ミッ ド型の期待感に非常 に強 く影響 される。D。

3.在宅介護者 にな る可能性 に影響 を及 ぼす他 の諸 要 因

年齢 と性 は、在宅介護者になる可能性 に影響する諸要因の中で 2つ の最 も重要な要因である。 し か し、就業状態 という別の要因が、 この 2つ の要因の後をあたか もぴったりと追 うかのように強い 影響を及ぼす。

介護 と有給の仕事

有給の仕事に就 くことは、一般的にいって在宅介護者になる可能性を低 くする傾向にある。 しか し、 これは、仕事がパー トタイムなのかフルタイムなのかに左右 されるし、 ジエンダーや被介護者 との同居いかんにもよる。たとえば週30時間未満の仕事に就 く人 は、 フルタイムで働 く人に比べ る と在宅介護者になる可能性が高い。 この現象は、興味深いことに女性よりも男性により明白である。

在宅介護者になる可能性は、 フルタイムで働 く女性よりもパー トタイムで働 く女性に高いとはいえ、

その差 は、僅かである。 しか し、 この可能性 は、 フルタイムで働 く男性 と女性 とを比べると、女性 のフルタイマーにはっきりと高い。

男性が フルタイムで働 くときに、有給の仕事に対する彼の態度 もしくは男性の従業員に対する雇 い主の対応のゆえにT雇い主 は、調査結果によると従業員の在宅介護者 としてのニーズに気ずいて いない丁女性に比べると1介護責任を負 う余地に乏 しいのかどうか、 これは判然 としない。 自営業者 であることは、男女の別な く在宅介護者になる可能性を高める。 これは、次のことを示唆する。す なわち、彼 もしくは彼女の就業生活を直接にコントロールす る人々は、介護 と有給の仕事 とを両立 しやすいということ、 これである。次の事実 は興味深い。私たちが自営業者について見 る限 り、性

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別構成を含む在宅介護者の ジエ ンダー差 は、存在 しない。

在宅介護者 になる可能性 は、パー トタイムの就業状態 と全 くの不就業状態 とで有意な違いを持た ない。 この状態で在宅介護者になる可能性 は、男性 と女性 とで同 じである。

被介護者 との同居

様子 は、 自宅で被介護者の世話をするとなるとやや違 う。在宅介護者 は、幾つかの調査によれば 被介護者 と同居する場合にかなりの介護を担 いがちである。週50時間以上の介護を担 う者 は、被介 護者 と別の住居に住む在宅介護者 について僅かに2パーセ ン トにす ぎないのに比べて、同居の在宅 介護者 になると37パーセ ン トである.0。 提供す る介護時間が長 くなるにつれ仕事を断念す る在宅介 護者 も増える6同じように、週20時間以上 にわた って介護を担 う者 は、障害者あるいは疾病中の親 戚や友人を3年を越えて看ていると、有給の仕事 にとどまることもはっきりと少ない⑮。

在宅介護者になる可能性は、被介護者 と同居する場合にはフルタイムで働いているかどうか、パー トタイムの就労なのかどうか、あるいは有給の仕事に就いていないかどうかに密接に関係する。 こ れは、 とりわけ女性に当てはまる。男性が有給の仕事 に就いていない場合には、在宅介護者 になる 可能性 もはっきりと高 い。

もとより男女におけるこれ らの相違の幾つかは、年齢 によって説明される。たとえば老齢退職年 齢を越す男性 は、 この年齢 に満たない男性 よりも在宅介護者になる可能性を強 く持つ。一般的にい えば、被介護者 と同居する在宅介護者 になったり、あるいは、かな りの介護責任を負 った りする可 能性 は、有給の仕事 に就かないときに倍加す る

介護責任の水準と有給の仕事

かなりの介護責任を負 う場合についていえば、 この種の在宅介護者の63パーセ ントは、女性であ m。 女性が有給の仕事に就いていないとなると、在宅介護者 になる遥かに高 い可能性を持つ。 こ の可能性 は、彼女がパ ー トタイムの仕事 に就いているな らば低 くなるし、彼女が フルタイムの労働 者である場合 にもそうである。 しか し、同 じ事が男性 にも妥当す るか といえば、そうではない。男 性が有給の仕事に就いていない場合には、女性 と同 じようにおそ らくかなりの介護責任を負 うこと になろう。 しか し、彼が、パー トタイムもしくはフルタイムの仕事 に就いているときに、女性 と同 じようにかな りの介護責任を負 うことになるであろうかといえば、そうではない。その可能性 は、

女性 に比べると明 らかに低 い。

婚姻状態

他の要因は婚姻状態である。殆 どの援助 は、出生 もしくは婚姻のいずれかで関係を持つ人々、あ るいは同棲によってつなが りを持つ人々の間にも発生する。友人や隣人のための介護 も存在するが、

介護の大半 は、障害を持つ子供をは じめ配偶者やパー トナー及び高齢の親戚 に提供 され る もし結婚 し、あるいは同棲 した者同士 として暮 らすな らば、1配偶者やパー トナ=、 病気の子供 も

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しくは障害児の世話を事由に在宅介護者 になる可能性が高 く、 これ らは、同居 して介護関係を結ぶ 10のうち 7つ のケースを数える%加えて、たとえば結婚 し、 もしくは同棲 した場合には、在宅介 護を要する親を抱える可能性は、倍加する。たとえば別に住 まいを構える人の世話に当たる在宅介 護者の丁度半数 は、実の親 もしくは義理の親を看 る在宅介護者である四。

他方、結婚をせず、あるいは同棲 しない息子や娘 は、 とりわけ親の住まいに同居する場合にそう であるが、年老いた親の世話に当たりがちである。 しか し、実際のところ、既婚者 もしくは同棲者、

妻 あるいは夫をな くした寡婦や未亡人、離婚者が在宅介護者 になる可能性 は、7‑8パーセ ントで あるのに対 して、結婚の経験のない人々のそれは僅かに4‑5パーセ ントである。

三者の関係、すなわち婚姻状態 と性及び在宅介護者化の可能性の諸関係は、単純ではな く全 く複 雑極 まりない。たとえば次の例に示 される。

  既婚女性をはじめ未亡人及び離婚女性が在宅介護者になる可能性 は、同 じ状態にある男性に 比べてはっきりと高い。 しか し、妻を亡 くした男性 と独身男性が被介護者 と同居 して介護を 担 う可能性 は、同 じ婚姻状態の女性よりも高い。

 既婚者をはじめ離婚者および別居中の人々は、独身者 もしくは未亡人や男や もめよりもかな りの介護責任を負いがちである。

  未亡人や男や もめが介護責任を負 う可能性 は、独身者 もしくは結婚経験のない人々に比べる と但iい211。

社会・ 経済階級の諸結果

幾分小 さいとはいえ依然 として見落 とせないのは、社会・ 経済階級の影響である。我々が成人期 に在宅介護者化する可能性 は、専門職以外の階級で相対的に高い。 しか し、在宅介護者になる可能 性 と階級 とのこの関係 は、我々が年齢を重ねるにつれて弱まり、あるいはむ しろ逆転する。なんと なれば上層階級に属す る人々が別居の被介護者 (たとえば在宅介護者の住居 とは別に生活する両親 あるいは他の親戚)に対 して担 う介護の総量 は、増加するか らである。

階級 と介護 とのこの関係 は、被介護者 と同居 し重い介護責任を負 う場合にとりわけ顕著である。

そこでは、社会階級の上昇 につれて在宅介護者になる可能性は低下する。そ して、 この傾向は、女 性 よりも男性について際立つ。非肉体的な職業 に就 く男性が介護を担 う可能性は、社会的地位の低 い肉体的職業につ く男性はもとより非肉体的な職業を持つ女性に比べても低い②。

黒人 とエスニック・ マイノリテイにおける介護負担の可能性

最後 に、在宅介護者化の可能性 は、黒人 もしくはエスニック・ マイノ リテイの出身であることに も影響 される事を示す幾つかのソL候がある。イギ リスの多 くの異なるコミユニテイにおける介護に ついて、未だ十分に知 られていない。 しか し、黒人 もしくはエスニック・ マイノリテイに属する人々 は、全体 としてみると他のコ ミユニテイに属する人々と同 じように同居の被介護者の介護に当たる

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傾向にあり、かな りの介護責任を負いがちであることも殆 ど同 じである。

エスニ ック・ マイノ リテイに属する男性が在宅介護者になる可能性 は、同 じ出身の女性のそれに 比べると僅かに低いけれども、 これ らの男性が被介護者 と同居 して介護を担 う可能性についていえ ば、同 じように同居状態にあるエスニ ック・ マイノ リテイの女性 よりも高い。

しか し、かなりの介護負担を担 う可能性に限 っていえば、 エスニ ック・ マイノ リテイに属する女 性 について相対的に高 く、 これに比べて男性のそれはかな り低 い。

しか し、介護を担 う可能性 と年齢 との関わりは、定かでない。それというのも黒人 とエスニック・

マイノ リテイの年齢構成は、他の人種や民族 に属する人々の年齢構成やイギ リスの人口全体のそれ に比べて著 しく若いか らであるの。

4.担わ れ る介護 の量

在宅介護者への介護の影響 は、介護 に割かなければな らない各週の平均時間 と期間 とに決 して全 部ではないに しろ、主 として左右 され る。

在宅介護者であると自らの地位を認識す る人々の うちおよそ2人1人は、週平均10時間以上を 介護 に充てると答える∽。 もとよりこの時間の中に在宅介護者の自宅 と被介護者の住宅 とを行 き来 する移動の時間一 これは、 自宅以外の場所で介護 に当たる人々 (加えて在宅介護者の6パーセ ント に当たる人々は、 自宅で介護を担 う事 に加えて、時折 自宅以外の被介護者を看 る)にとって見落 と すわけにいかない要因である一が含まれるかどうか、定かでない。

いろいろな調査が、異なる結果を伝えている。 しか し、次の ことは明 らかである。すなわち、

150万か ら200万人の在宅介護者 は、週 に20時間以上 を介護 に充ててお り、さらに、推定で85万5,000 人の在宅介護者が、週50時間以上を介護の時間に充て る

週 に20時間以上を規則的に介護 に充て る者 は、一般 にかなりの介護責任を負 うと見なされる。 こ のかなりの介護責任を負 う可能性 は、我々がすべての在宅介護者に確認するように、広 くいえば年 齢に関係するパ ターンの概 して結果である。

しか し、女性がかなりの介護責任を負 う可能性 は、男性のそれに比べてかなり高い。 この可能性 は、 とりわけ50歳代中葉以降の年齢 について男性のそれに比べ ると3倍化す る。 これ らの性差 は、

70歳以降に少な くなる"。 また、在宅介護者 は、介護期間が長 くなるにつれて介護 に充てる時間を 増加 させる傾向にある°

幾つかの調査結果 は、次の事実を明 らかにす る。すなわち、別の家族を構成す る被介護者 に対 し てかな りの介護責任を負 う比率 は、男性 に比べると女性について過かに高い。他方、同 じ家に住む 被介護者にかな りの介護責任を負 う比率 は、男性 と女性 とでさ して変わ らない。 この傾向は、高齢 の被介護者を看 る在宅介護者にとりわけ妥当す る。

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介護の期間は、被介護者が親密な家族構成員である場合 に長 くなりがちである。 これ らの被介護 者の63パーセ ントは、配偶者や子供あるいは両親によって構成 されるい。

これ らを根拠に検討す ると150万人の在宅介護者が、5‑9年にわたって介護を担 う。類似の数 の在宅介護者が、少な くとも10年にわたって介護を担 うの(これ らの推計 は、前述 した移動率5年 という別の事実 と符合する)。

介護の財政上ならびに健康上の影響 は、我々が後 に見るようにかなり長 い期間にわたって在宅介 護者であり続 ける人々の中で最 も顕著である。

5。 介 護 の影 響 金銭上の影響

介護 に要する財政的な費用 は、多 くの調査研究が示すように大 きく、それゆえ在宅介護者 は不利 益を被 り、社会的な排除の状態に陥 りやすい。それは、一定の介護期間だけでな く介護の終了 した 後数年間にも尾を引 く問題である。長期にわたってかなりの介護負担を負 う在宅介護者の財政的な 境遇は、だか らこそ特別の関心を呼ぶ要因のひとつである。

非常に重 い介護負担を持つ在宅介護者の経験 について検討 した英国在宅介護者協会の最近の調査 によれば、回答者の77パーセントが、在宅介護者になって以降に財政的な悪化を経験 した、 と答え る。回答者の大多数 は、被介護者の障害 に関わる追加の出費をこの要因にあげるm。 在宅介護者の 10人4人は、 コ ミユニテイケア・ サー ビスの利用者負担を財政上の主たる問題 として指摘する。

英国在宅介護者協会によるこの調査は、次のことも伝え.る。在宅介護者の10人中およそ6人は、

介護のために仕事を辞め、 これによって直接的な収入の減少を経験することはもとより、年金の受 給資格あるいは高齢期にむけた貯蓄にも負の影響を受 ける。在宅介護者の60パーセントに当たる人々 は、稼得者のいない世帯に暮 らし、公的な給付 もしくは年金給付のいずれか一方あるいは双方をも とに暮 らしを営む。

この調査―非常 に貧 しい状態での介護 と題する一 に回答を寄せた在宅介護者の3人1人は、所 得や貯蓄を持つ ものの、それさえ低い金額であることか ら所得補助 (IS)の受給資格を有する。生 活は、 この人々にとりわけ困難である。たとえばそのおよそ60パーセ ントに当たる人々は、電気や ガスの料金の支払いを滞 る。同 じく55パァセ ントに当たる人々は、か って借金を したことがあった り、現 に借金を抱える。同 じく10人中およそ4人は、食費を切 りつめなければな らない6

問題 は、所得補助の資格を有する人々に限 られない。前述の調査に回答を寄せた在宅介護者のう 3人1人は、ガスや電気あるいは電話料金の支払いを滞 る。同 じく3人1人は借金の経験が あ り、あるいは現に借金を抱える。同 じく25パーセ ントに当たる人々は、友人や親戚に金銭的な援 助を申 し出る。同 じく10人1人を越す人々は、家賃や抵当権料を支払 うことさえ もできない。同

ニー100‑―

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じように40パーセ ントに当たる人々は、住宅に是非 とも必要な修繕を行 う金銭的な余裕 さえない。

同 じように、在宅介護者の5人4人近 くは、長い休暇を断念 しなければな らず、 これに近い数 の人々は、余暇活動を切 りつめなければな らない。在宅介護者の3人2人近 くは、衣服関係の支 出を削減 し、同 じくおよそ22パーセ ン トに当たる人々は、食費の削減を余儀な くされる。

在宅介護者のおよそ3人1人は、1・ポ ン ドの貯蓄 さえ持たない。 この比率 は、スコットラン ド の在宅介護者に限 っていえば50パーセント近 くに上昇する。イギ リス各地の在宅介護者の52‑62パ セ ントに当たる人々は、今後財政的な悪化を余儀な くされるであろうと自らの状態を予測する。

状態 は、在宅介護者の年齢 によってやや異なる。比較的若い在宅介護者 は、借金への依存度が相 対的にしろ高 く、就業を断念する比率 も高 い。比較的高齢の在宅介護者 は、財政的な困窮度がやや 薄い傾向にある。 しか し、次の ことに触れておかなければな らない。 この年齢層の在宅介護者 は、

コミユニテイケア・ サー ビスにかかわる地方 自治体などの利用者負担の故 に、貯蓄を取 り崩 さなけ ればな らない状態にある。

財政的な困窮度 は、介護 に携わる期間が長 くなるにつれて増加す るも これは、かな りの介護責任 を負 う在宅介護者 にとりわけ妥当す る。 たとえば介護費用同盟 (CCA)による調査一かな りの介 護負担を負 う在宅介護者か ら主 として回答を得ている (回答者の3人2人は週100時間以上 にわ たり介護を担 う)一は、次の事実を伝える鋤:

 在宅介護者の2人1人は、介護のために仕事を断念する。同 じく5人1人は、介護責任 の故にキヤ リアの形成をあきらめざるを得ず、労働時間の個別的な短縮を余儀な くされる。

 有給の仕事 に就 く在宅介護者のおよそ4人3人は、介護が所得水準に影響 したと認める。

 半数を超す在宅介護者 は、年金の受給資格を満たす ことがで きず、同 じく10人3人は、貯 蓄の機会を逸 したと答える。 さらに、在宅介護者の4人1人は、昇進の機会を逃 したと回 答す る。

 在宅介護者のおよそ4人1人は、介護を担 うために職業資格を労働市場で有効 に活用でき ない。

 仕事を持つ在宅介護者の半数以上 は、仕事 と介護 との両立の結果 として精神的なス トレスの 増大を経験 し、同 じく10人4人以上 は、次の年に働 き続 けられるかどうか定かでない、 と 答える。

 仕事を持たない回答者の3分2のうち、54パーセ ントに当たる人々は、家族に介護を要す る人々があり、 このことか ら在宅介護者になり仕事を離れなければならなか った、 と答える。

ほかの13パーセ ントに当たる人々は、有給の仕事を断念 した理由として自らの精神的なス ト レスや疾病をあげる。

仕事を離れた人々は、1995年の価格表示で週平均188ポ ン ドの稼得力を失 う。 これ らの在宅介護

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者の87パーセントに当たる人々は、仕事に戻 りたいと考えている。 しか し、そのうちの5人4人 は、仕事への復帰が難 しい、 もしくは不可能であると感ずる。

政策担当者 は、次のことを自覚 しなければならない。すなわち、在宅介護者は所得の低下を甘受 するにとどまらず、その87パーセ ントに当たる人々は、被介護者への援助を通 して、具体的には暖 房費や洗濯代あるいは介護機器代や住宅改造費用等の追加の支出を覚悟 しなければな らない。被介 護者 とともに家計収入 と支出とをその全部であれ一部であれ分かち合 うことは、それがコ ミユニテ イケア・ サービスの利用者負担であって も、 とりわけかなりの介護負担を負 う在宅介護者にとって めず らしいことでない●。

健康への影響

在宅介護者 として暮 らす ことは、健康 に影響を及ぼすであろうし、現に及ぼ している。 これは、

個人 としての在宅介護者にとって問題であるばか りでな く、介護作業をむずか しくするという今ひ とつの問題をも手む。在宅介護者が健康を損ねる結果 として仕事に就 くことができないならば、そ れは、在宅介護者を金銭的な窮状 に追 いやるばか りでな く、おそらくみずか らの疾病や障害の治療 にかかる追加の出費を覚悟 しなければな らないであろう。

政府でさえ も、 これ らの事実を認める。政府 は、『 在宅介護者全国戦略』m(1999年3月)の中で 調査結果によりなが ら、在宅介護者の51パーセ ントに当たる人々は、介護を担 って以来身体的な損 傷を受 け、同 じく52パーセ ントに当たる人々は、在宅介護者になってか ら精神的なス トレスに由来 す る疾病 に悩 まされる、 という事実を紹介するm。

他の調査研究によれば次のことが示 される。

 20時間以上 にわたって介護を担 う人の3人1人は、積年の疾病を抱えるm。

 65歳以上の在宅介護者の半数 は、慢性疾患を患 うm。

  在宅介護者の60‑65パーセ ントに当たる人々は、介護の結果 として自らの健康が損なわれて いる、 と感 じている。

  在宅介護者の24パーセントに当たる人々は、慢性的な疲労を抱え、 これを悩みの種にする。

おな じく30パーセ ントに当たる人々は、精神上の健康に関わる問題を抱える。

幾人かの論評者 は、在宅介護者 について伝え られる健康上の諸問題が介護責任よりもむ しろ彼女 や彼の年齢 に由来す る、 とやや論争的な議論を持ち出すが、調査研究の示すところは、そうした議 論にいかにも不利な内容である。

たとえば、在宅介護者の中には被介護者を定期的に抱え上げ移動 させ― これは、職業衛生及び安 全に関する法律な らびに同名の施行規則において危険と定められる作業である一なければならない。

在宅介護者の中には、痴呆症をはじめ重度の知的障害あるいは精神疾病を患 う人々の介護に精神的 なス トレスを感ずる人 もいる。非常 に多 くの在宅介護者は、 日々における時間管理の圧カー仕事上

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の責任をはじめ子供への対応、そ して介護の負担―にうまく対応 しなければな らない。在宅介護者 の中には、 1日24時間、週 に 7日 、年間52週にわたって介護を担い続 ける人 もいる。

在宅介護者 は、愛情、義務感、罪悪感、怒 り、憤通、深い当惑などしば しば相対立する感情の作 り出す精神的なス トレスを時折抱えなが ら生活す る。 とりわけかな りの介護責任を負 う在宅介護者 は、 日々、被介護者 とだけ暮 らす ことに由来する社会的な孤立にさいなまれる。

在宅介護者の多 くは、国民保健 サー ビス (NHS)に働 く職員か ら「在宅介護者ではないですか」

と尋ね られ、あるいは「 どのようにサー ビスを受 けた らよいか」などと話 しかけられるといった経 験を持たないm。 在宅介護者の健康 は、 これ らの事実を も加味 して考えなければな らない。

たとえば最近の調査の示す ところによれば在宅介護者のおよそ10人9人は、抱え上げの技法や 補助器具の正 しい使 い方 について国民保健サー ビス等の職員か ら情報や訓練を受 けていない。同 じ

4人3人は、関係職員による訪間を被介護者の病院か らの退院に当たって受 けていない。同 じ 10人7人は、 自宅で被介護者の世話 に当たる以外の選択肢について意見を交わす機会を持たな い、 と述べる%

病人や高齢者あるいは障害者の世話に当たる人々の半数以上 は、ただ一人で介護を担 う人々であ るにもかかわ らず、その4人3人は、保健あるいは社会サービスに携わる専門職員の定期的な訪 間を受 けていない。 これは、驚 くことにますます多 くの在宅介護者が、被介護者に薬などを与える 状況で起 きていることである帥

在宅介護者 は、介護作業を一時的に中断するわけにいかず、 ま して長い休暇を前 もって準備する こともできない。5年以上 にわたちてかな りの介護負担を担い続 ける人々の4人1人は、その間 にひとときの小休止 さえ取れないm。 手頃な費用で程良 い長 さの一時休息一 もしくは小休止― は、

在宅介護者の多様なニーズの中で も高い優先度を持ち続けるm。

6.現在 か ら2036/37年に至 る人 口上 の諸 変 化

イギ リスにおける人口の年齢構成 は、著 しく変化 してお り、 この傾向は、在宅介護者の供給 と需 要の両面 に影響を及ぼすであろう。

75歳以上の高齢者 は、公式の人 口推計によると現在の440万人か ら2017年510万人をへて2037年 760万人 に増加する°。

在宅介護者のおよそ半数が75歳以上 の高齢者の介護 に当たるとすれば御、75歳以上高齢者の2037 年 までの320万人の増加 という事実 は、将来 にわたって必要 になる在宅介護者の増加の可能性を示 唆す る。

加えて、45‑64歳層の人 ロー在宅介護者になる可能性の最 も高い年齢階層である― は、推計 によ れば増加す るとはいえ、増加の幅は大 きくない。すなわち、現在の1,410万人か ら2037年1,570万

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人への増加 に止まる。

75歳を越す人 口は、現在のところ45‑64歳層人 口の31パーセ ントに相当する。2037年には、 これ 48パーセ ン トに上昇するであろう。

以上の ことか ら次のように言えよう。45‑64歳層の人 口は、現在のところ75歳以上層の人口1人 につ き3.1人いる計算である。 これが、2037年になると2.1人に減少する。45‑64歳層の人 口が在宅 介護者化する可能性 は、2037年にはおおよそ48パーセ ントだけ上昇する。

.45‑64歳 層の人々がある年 に在宅介護者化す る可能性 は、現在のところ平均すると9.9パ‐セ ン トである。上に示 した人口構成の変化 は、 この可能性を高め、だいたい15パーセ ントの水準に至る。

よりはっきりとした傾向は、相対的に若い在宅介護者、すなわち30‑44歳層の在宅介護者 につい て読みとることができる。 この年齢層 は、現在のところ75歳以上の人口1人に対 して3.1人である。

これは2037年になると1.6人へ と低下する。 この年齢層が高齢者を看 る在宅介護者 となる可能性 は およそ倍加 し、平均すると現在の6パーセントちょうどか ら12パーセ ントヘ と上昇する。

在宅介護者の20パーセ ントに当たる人々は、配偶者の介護を行 う。 これ らの在宅介護者の一定数 は、75歳以上の被介護者の世話に当たる在宅介護者総数の半数の一員である。

人 口構成の変化に伴 う影響は、幾つかの方法によって例証することができる。たとえば次のよう にである。

  現在24歳の人がある年に在宅介護者になる可能性 は、ちょうど3パーセ ントである。 この人 は、2037年には59歳になる。ある年 に在宅介護者になる可能性 は、現在の傾向が続 くとして 59歳までに10。7パーセン トであろう。 また、 この人が配偶者の介護に当たって娘や息子一た とえば33歳の年齢の一か ら受 けるであろう支援の機会は、減少するであろう。何 となれば30‑

34歳層の人口は、現在よりも17パーセ ントほど少なくなり、 これとは反対に、55‑59歳層の 人 口は10パーセ ント方多 くなるか らである。

 30‑34歳層 の人 口は、55‑59歳層 の人 ロー人当たりおよそ1.4人である。2037年になると、

これは、1人を僅かに越す程度の割合である。 この結果、30‑34歳層の人々がある年 に在宅 介護者化す る可能性 は、同 じ期間に4.7パーセ ン トか ら6.6パーセ ン トに上昇する。30‑34歳 の年齢階層 は、育児負担が大 きい時期で もある。娘や息子 は、 この負担の故に彼女や彼の両 親 に手を貸す ことができない。結果 は明白である。高齢者の介護責任 は増大するであろうこ

と、 これである。

将来的に介護を要す るであろう人々の数 と年齢を算出することは、周知のようにむずか しい。 し か し、何 らかの推計 は可能である。次の表 は、長期の疾病 について推定 した1991年セ ンサスか ら作 成 した結果である。 この結果は、介護を要する人口数 に関する有益な指標ではあるものの完成 され た尺度 と見なすわけにいかない。重度の障害を持つ多 くの人々は、彼 もしくは彼女が長期の疾病を

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年齢 (歳)

口 数

(百万人)

長期疾病比率 (%) 16 ‑ 34

35‑44 45‑54 55‑64

65 ‑‑ 74 75歳以 上

15。1

7.6 6.3 5.6 4.9 3.5

3.8 6.4 11.9 23.6 32.4 48.7

患 っていない限 り、 自らを長期疾病の集団の一員に数えることはないであろう。 にもかかわ らず、

この人々は、友人や親戚による介護を受 けるであろう。 これとは反対の例であるが、長期の疾病を 患いなが ら、在宅介護者か らの援助を必要に しない人 も存在するであろう。前出の表に示 される計 数は、 こうした事情を加味 しなければならないとはいえ、在宅介護者か らの援助を要する一群の人々 を代理的に示す指標 として役に立つ。

上 の表 は、年齢階層別の人口について示す とともに 1つ もしくは 2つ 以上の長期疾病の平均的な 可能性 を、 これ も年齢階層別 に表示 している°

長期疾病 を患 う16以上の人口は、1991年642万人である。

長期疾病を患 う16歳以上人 口は、長期疾病の発症率が各年齢階層共に不変であると仮定すれば、

2037年1,020万人へ と増加する。各年齢階層別の人口は、次の通 りである。

16‑34歳   1,500万 35‑44歳    810万 45‑54歳    820万 55‑64歳    750万 65‑74歳    810万

75歳以上 760万 人

言 うまで もな く医学的な知見や経済的・ 社会的な変化 は、2037年における長期疾病の状態に影響 するであろう。人 口構成の変化を基調 に据えて考えるな らば、1,020万人の長期疾病者の存在を否 定するわけにいかないのであって、 これに促 されて在宅介護者への需要 もかなり増加することにな

ろう。

さらに、在宅介護者、の需要の高 まりは、在宅介護者比率の最 も高い45‑64歳層人口が僅かに11 パーセ ントしか増えない時期の現象である。

前述の注意、すなわち、長期疾病 は、55歳以降に目立つて増加するという事実に心を止めていた

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だきたい。55歳以上の年齢階層 に属するおよそ460万人 は、現在長期疾病を患 うと伝え られる。 こ うした状況 にある人 は、人口構成の変化をもとに考えると2037年810万人 に増える。

このことの意味は、在宅介護者 になる可能性の高い54歳以下の人々にとって重大である。30‑54 歳層の人口は、現在の2,170万人か ら2037年2,020万人へと僅かな変化であるにもかかわ らず、30‑

54歳層人 口と長期疾病を抱える55歳以上人口との比率 は、all的とも言えるほどに変化 し、現在のと ころ後者1人に対 して前者4。7人であるのに対 して、2037年には、後者1人に対 して前者2.5人であ る。

30‑54歳層の人口が高齢者を看 る在宅介護者化の潜在的な可能性 は、2037年までに少な くとも88 パーセ ントほど増加する。

在宅介護者の71パーセ ントに当たる人々は、65歳以上の高齢者を看 る。65歳以上人口は、現在か 2037年までに930万人か ら1,570万人へ と増加する。 これは、およそ69パーセ ン トの増加である。

以前 に用いた長期疾病に関する統計を もとにすれば、親戚や友人か らの援助、それゆえ在宅介護 者を必要にするであろう65歳以上の人 口は、現在の330万人か ら2037年630万人へ と増加する。

イギ リスの総人口は、現在の5,950万人か ら2037年6,490万人へ と増加すると見積 もられてお り、

この予測に従えば在宅介護者になりうる人口総数は、理論的には増加する。 しか し、介護を必要に する人々 も同 じ予測に従えばこれまた増加する。長期疾病を患 う人々は、一その多 くが親戚や友人 か らの介護を必要にする‑2037年までに370万人増加する。 これに対 して総人口の増加 は、540万 ほどである。 これ らの計数 は、見かけ上在宅介護者になる人々への圧力を縮減するよ うに映る。 し か し、 これは、人口の年齢構成、 とりわけ55歳以上の年齢階層における重要な変化を無視 している。

介護を要するであろう可能性 は、前出の表 に示すように55歳以上の人々により顕著である。イギ リスの人口の7パーセ ントが、現在のところ55歳以上であり、かつ介護を要する人々であるL長 の疾病を患 う55歳以上の人口は、2037年までにイギ リスの人 口の12パーセ ントを占めるであろう。

もとよりすべての在宅介護者が55歳以上の被介護者を看 るわけではないが、おそ らくその85パーセ ン ト以上が55歳以上の被介護者を世話するであろう。在宅介護者 に対する需要 は、55歳以上の年齢 階層だけを取 り出 して も将来にわたって大いに高まるように思われる。

45‑64歳層の人々は、在宅介護者化の可能性を最 も強 く持つ人々である。 この年齢層の5人1

人は、現に在宅介護者である。65歳以上の人々の13パーセントは、30‑44歳層人 口の10パーセント、

同 じく16‑29歳人口の6パーセ ントと同 じように介護の担い手である。在宅介護者の数は、 これ ら の比率に変動のないと仮定すれば現在の570万人か ら2037年700万人へ と増加するであろう。 しか し、長期疾病を患 うことか ら介護を要する人々は、増加する可能性を持つ ことも考慮 しなければな らない。在宅介護者 は、彼女や彼 に現在担われる介護の水準を維持 しようとすれば910万人でなけ ればな.らないであろう。言い換えれば340万人に上 る在宅介護者の増加である。 これは、210万人 に

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(15)

上 る在宅介護者の将来的な不足を意味する。その行 き着 くところは、親戚や友人に無償の介護を提 供する個人への介護負担の増加、 もしくは、 コ ミュニテイにおいて提供 される援助の拡充、 このい ずれかである。

イギ リスの18歳以上人口の13パーセ ン トは、現在在宅介護者である。 もし2037年までに総計910 万人が介護を担わなければな らないとすれば、およそ5,400万人の成人の17パーセ ン トが在宅介護 者になるであろう。 もとよりごく簡単な計算の結果であるが。 これは、次の ことを意味す る。すな わち、在宅介護者の比率 は、現在の成人8人1人か ら2037年には同 じく6人1人にまで上昇す ること、 これである。

人口統計上の予測 は、人口の健康状態の改善や新 しい医療技術など諸変数 における僅かな変化か ら強い影響を受 ける。被介護者 と在宅介護者 との諸関係 は、 この報告に述べ るように大変 に複雑で あ り、在宅介護者化の可能性 は、男性の寿命の延長をはじめ婚姻率、労働力率あるいは年齢構成な どによって変わ りうる。将来にわたる在宅介護者化の可能性 は、より複雑な数理作業を必要 にする。

しか し、 これまでに示 したことは、将来 における在宅介護者化の潜在的であれ追加的な圧力を示す 指標 として重要である。

7。  

在宅介護者をどのようにとらえるか、介護 に伴 う諸々の困難について新 しい思考が求 め られ る。

介護 は、枝葉 に属することが らではない。我々の多 くが人生において担 うことになろう。 さらには、

長い生涯において幾度か担 うこともあり得 る出来事である。英国在宅介護者協会が過去 におこなっ た調査研究 は、雇用・ 所得・ 社会的な接触などに及ぼす介護の否定的な影響 について明 らかに して きた。現在の政策が介護の性格をどのように考慮 しているか、また、政策当局者が在宅介護者のニー ズに十分な配慮を払っているかどうかについて、一層の研究が必要である。

在宅介護者 とな った個人への圧力 は、公的な介護が劇的に拡充 されない限 り大 いに増加す るであ ろう。人 口構成の変化を元 にする本報告の将来推計 は、 このことを教えている。在宅介護者への負 担が増えれば、それは、仕事の継続をはじめ年金権の確保、子供や家族 とす ごす時間や社会的な活 動 に費やす時間の配分にも重大な影響を及ぼす。それは、在宅介護を担 う個人 に重大な経済的・ 社 会的な影響を もた らすに止まらず、広 く地域 ひいてはイギ リス全体 にも影響を及ぼす。

8。 政 策 的 な含意

以上の分析 は、在宅介護者支援に関する新 しい展望を我々に提供する。幾つかの政策上の問題が ある。在宅介護者が、現在 と将来 にわたつて貧困 と社会的な排除におちい らないように適切な政策 が立案 され実施に移 されなければな らない。 これは、以下に示す機関や団体などの責任の合成であ

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る。

  政府

  サー ビス提供者、たとえば国民保健サービスや社会サービスの提供者

  地方 自治体

  雇い主

  在宅介護者の諸団体 と他の民間非営利諸団体

  諸個人

おのおのが、各 自の人生のある時点でおそ らく在宅介護者 になるであろうか ら、なお一層の自覚 が介護の影響について払われなければならない。我々は、 そうす ることによって適切な情報を手に することができ、 この情報を元 に して望ま しい時期に正 しい決定を下す ことがで きる。介護が健康 に及ぼす影響 と金銭的な結末は、問題の解決のうえで中心的な位置を占める。

9.幾つかの勧告

 介護が、人生のある時点で個人に影響を与えるであろうという意識を個人のレベルで高める こと。

 在宅介護者を確認 し支援することに関わる情報戦略は、非常 に多 くの在宅介護者が毎年介護 を始めるという事実をそのうちに含 まなければな らない。

  雇い主 は、仕事 と暮 らしの調和政策を採用 しなければな らない。 この政策には、在宅介護者、

とりわけ職業生活においてかなりの介護責任か ら最 も影響を受 けやすい女性の在宅介護者を 支援す るという明示的な方針を含まなければな らない6これ らの政策 は、在宅介護者が労働 市場 との関わ りを維持 しうるように保障するものでなければならない。

  雇い主による社員の採用 は、在宅介護者に親和的な人事管理手法の提案機会でなければな ら ない

  長期にわたる計画は、障害者 もしくは疾病を患 う人々及び在宅介護者に適切で十分な援助サー̀

ビスが提供 されるように保障する内容でなければならない。

 全ての保健・ 社会サー ビス戦略は、援助に関する在宅介護者のニーズが早期 に確認 されると ともに、適切な援助が早 くに提供 されて在宅介護者化 に伴 う負の影響を軽減するよう、保障 しなければな らない。

  政府の年金計画は、個人が人生の一時期に介護を経験するであろうと言 う事実を正式 に承認 して、 この認識を租税 と各種手当ての再編成 に活かさなければな らない。

  租税 と各種手当ての制度 は、在宅介護者が仕事 に止 まる機会をできるだけ広げられるように 保障 しなければな らない。

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参照

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