秋 田大学教育学部研究紀要 教育科学部 門
5 2 pp. l l‑ 2 0 . 1 9 9 7
中学生 に よ る電流 の理解 が機 械 的で あ る こ とにつ いて
山岡 剛 ・工藤 舞 *
Ont hef or mal i t yf ol l owl ngt Ounde r s t andi ng ofe l ec t r i cc ur r e ntbyj uni or‑ hi ghs c hools t ude nt s
Tsuyos hiYAMAOKA and M a主KuDO
Abs t ract
Nat ur eoft heconc e pt i onOfe l e c t r i cc ur r e nthe l dbyj uni or ‑ hi gh‑ s c hools t ude nt sandt ea c he r ' S ‑ c ol l e ge s t ude nt swasi nve s t i gat e dbyapape r ‑ and‑ pe nci lt e s t .Thes ubj e c t swe r e7 8 8and7 4 2e ac hoft he2 ndandt he 3 r dgr ades t ude nt sf r om丘Vej uni orhi ghs c hool si nAki t aPr e f e c t u r e, and7 8s t ude nt sofat eac he r ' scol l e ge, who we r enoti nt hes ci e nc ec our s e.
Que s t i onsgi ve nt ot hes t ude nt swe r easf ol l ows ,1 )Choi ceonemode loutoff ourone s ,whi c hde s c r i be s appr opr i at el yt hedi r e c t i onandt hei nt e ns i t yofc ur r e nti nac i r c ui tc ompos e dofad
ryba t t e r y, al i ghtbul band wi r e s ,Thef o urmodel swe r ebas i c al l yt hes ameast hos ede s c r i be dbyOs bor ne( 1 9 8 3 ) . 2 )Whi c hc ur r e nti smor e i nt e ns i ve,onei nt hec i r c ui tde s c r i be dabove( de t e r mi ne datapoi ntups t r e am oft hebul b)oronei nas ho r t c i r c ui twi t houtt hebul b?3 )Whi c hbat t e r yhasl onge rs e r vi ngl i f e ,onewhi c hi sconne c t e dt oandl i ghtt hebul b orano t he ronei nt hes hor tci r c ui t?4 )Cur r i c ul at er e s i s t anc eoft hec i r c ui tc ompos e dofabat t e r yandabul b wi t hg ive nval ue soft hec ur r e ntandt hevol t a ge.Que s t i ons2and3we r eofal t e r nat i ve‑ C hoi c es t yl eande ac h oft he m wasac c ompani e dwi t has pac ef orde s c r i pt i onofr eas onsf ort hec hoi c e.
Ther e s ul t ss howe dt hate ve nt hos e,whoc hos et hec or r e c tmodelatque s t i on1andus e dcor r e c t l yOhm' s l aw t oc ul c ul at et hec i r c ui tr e s i s t anc eatque s t i on4 ,ve r yf r e que nt l yhol de dt hei de at hatc ur r e nti sc ons ume d i nt hebul b.Ther at i oofr i ghtans we rwasmuc hl owe ri nt hec as e sofque s t i ons2and3t hani nt hecas e sof que s t i ons1a nd4 .Be s i de s , t heval ue sf orque s t i ons2and3we r es i gni Bc an
tl vl owe ri nt hec as eoft he3 r dgr ade s t ude nt st hani nt hatof2 ndgr adeone s .Theval ue swe r ee ve nl owe r ei nt hecas eofcol l a ges t ude nt st hani n t hec as eoft he3 r dgr ades t ude nt sofj uni orhi ghs c hool s .
Af ai r l yl ar genumbe roft hes t ude nt ss e e me dt ohavel e ar ne dc ur r e ntc ol l S e r Vat i onandOhm' Sl awbyr ot e.
I twasal s os ugge s t e dt hatt hebar el yac qui r e dr e co gni t i onwhi c hl e ds omeoft he2 nd‑ gr ades t ude nt st ot her i ght a ns we r sofque s t i ons2and3j us taf t e rt hel e s s onswasuns t abl eandhadc omeof fe as i l y.
Ani nt r oduc t or ycour s eofe l e c t r i cc i r c ui ti sr e qui r e d,whi c he nabl e ss t ude nt st oac qui r eac onvi nc i ng f r ame wor kofe s s e nt i alconc e pt ss uc hasc ur r e nt ,Pot e nt i al ,e ne r gy,powe r ,ands oon.
緒 言
筆 者 らの一 人は先 に, 小 中学生 の持 つ電流概 念 に関す る内外 の調査結果 を考察 し,生徒 たちが調査 の さいに選 択す る誤 ったモデルが,授業 あ るいは調査 その ものに よ って誘導 され た可能性 を論 じた
1)
。す なわ ち,生徒 たちは 電流が豆電球 において消費 され減 少 あ るいは消滅す る と い うイメー ジか ら脱却 で きない ままに,授業 で順次与 え*
平 成 8
年 度卒 業 生 (理 科 教 育研 究室 )れ るこ と等‑ を矛盾 な く受 け入れ よ うとす る結果,種 々 の誤 ったモデル をイ メー ジ しあ るいは選 択す る もの と主 張 した。優 勢 を 占め るモデルの学年進行 に ともな う変遷 が, この発想 の根拠 であった。
上記 の考察 にお いては,電流が消費 され減少す る とい うイ メー ジ (電流 の消 費 イ メー ジ) が,我 々の 日常経験 に根拠 を もつ 強 固な ものであ るこ とが前提 とされた。電 球 の点灯 とい う効果 の代償 に何 かが消 費 され るはずだ と い う考 えは, とっぴ な もの でない どころか健全 とも言 え
秋 田大学教 育学部研 究紀要 教育科 学部 門 第
5 2
集る ものであ る。電気,電流,電圧, 電力, 電気エ ネル ギ ー な どにつ いて学ぶ以前 の生徒 が, 電流 とい う用語 のみ に注 目す るよ う仕 向け られ て質 問 されれば, 電流が消費 され るのだ と考 え るのは 自然 の成 り行 きであ る。電流が 消 費 され るのではない こ とを生徒 た ちに納得 して もら う には,電流 ではな く何 が消 費 され るのか を示す必要 が あ る と考 え られ る。
この よ うに考 え る と, 電流が 回路 を通 じて一定 であ る こ とを電流計 を用 いて生徒 たちに示 した として も, それ だけでは彼 らが納得 す るに到 らないこ とが十分予想 され る
2)
。先 の考 察1)
で検 討 した諸報告 では,学年 の進行 ととだ もの一が優 勢 を 占め るよ うに なっていたが, それ を選 んだ生徒 たちの 中には, 電流の消 費 イ メー ジを放棄 す る こ とを納得 で きない まま結論 だけ を記憶 し再 生 した者が か な り含 まれて いた こ とが推察 され たO この点 をさ らに 検討す るため に筆 者 らは,中学校2,3年生 を主 な対象 と す る筆記形式の調査 を行 った。
調査の内容 と各 間の意図
調査 用紙 を縮小 した もの を本稿 の末 尾 に示 す。 元の判 型 は
B4
を横 に置いた もの であ る。なお,大学生 に対す る 調査 は理科教育学概論 の授 業の 中で行 った ものであ り, 内容 は全 く同一 であ るが文 言 をい くらか変 えてあ る。質問 は大 き く分 け て, Ⅰ
,
ⅠⅠ,Ⅰ王Ⅰの三つか ら成 る。 回 答者の学年 と性別 を問 うの を質 問 Ⅰとした。次 いで質問ⅠⅠとして
,Tas ke r
とOs bor ne 4)
の調査 と同様 の4
つ のモ デル を示 して選択 して もらった。質 問ⅠⅠⅠは,1個 の乾電池に豆電球 1個 をつ ないだ回路 と,導線 のみ で シ ョー トさせ た回路 のEgを示 してい くつ か の質 問 を与 え る もの で あ った。III‑1では両方の回路 を流れ る電流の強弱 を選 択肢 に よって問 い, さらに選択 の理 由 を記述 して もらった。III‑2では,どち らの電池が 早 くされ るか を選 択肢 で問 い,や は りその理 由 を記述 し て もらった。ⅠⅠⅠ‑3では,豆電球 をつ ないだ万の回路の電 流の強 さの値 を与 え,回路 の抵抗値 を算 出 して もらった。
質 問 ⅠⅠは, これ までにい くつ もの調査 で用 い られ て き た もの であ る。緒言 で述 べ た よ うに筆者 らの 目的 は, こ の間にお いて正 しいモデル を選択す る生徒 であって も, 電流の消 費 イ メー ジか ら脱却 してい る とは限 らないであ ろ うとの予測 を検証 す るこ とにあ った。 そ こで, シ ョー ト回路 との比較 とい う学校 の授業 ではほ とん ど扱 われ な い と思 われ る場面 を設定 して,生徒 たちの電流 イメー ジ を探 ろ うと試み た。
最後 の
I I I ‑3
は, 回路 の電圧 と電流 の値 を与 え られ た 際 に, オー ムの法則 を適 用 して抵抗値 を算 出で きるか どうか を調べ た ものであ る。ⅠⅠⅠ‑1やⅠⅠⅠ‑2‑ の回答 と照 ら し合 わせ るこ とに よって,電流の イ メー ジが誤 った まま であって もオー ムの法則 を機械 的 に適用 で きる生徒 が,
どの程 度 い るか を調べ よ うとしたの であ る。
実施 の概要
調査 の対象 は,秋 田県 内の五 つ の 中学校 の二年生788 名 と3年生 742名, それに秋 田大学教育学部 の,理科専 攻, 副専攻以外の2,3年生 78名 であった。調査 時期 は
1 996
年 の1
1月中旬 であ り, 中学校2
年 生 の 多 くは オー ムの法則 の学 習 を終 えていたが,学校 に よっては回路 の 学 習が オー ムの法則 の直前 まで進 んだ時点 での調査 とな った場合 が あった。その場合 は もちろん,質 問ⅠⅠⅠ‑3を回 答 の対象か ら除 いた。小学校 お よび中学校 の教科 書 には, シ ョー ト回路 に電 流計 をつ ないではな らない 旨の注意書 きが必ず掲載 され てい るo そ こで調査 に さい して,生徒 か ら質 問が あった 場合 には,仮 に測定 した とした らどの よ うな結果 にな る か を考 えて選択肢 を選 ぶ よ う回答 していただ くこ とをお 願 い した。実際 には,単
1
の乾電 池1
個 をシ ョー トさせ た ときの電 流 は2 A程 度 で あ り, レンジ を 3A
以上 に設 定 した電流計 で測定可能 であ る (結語 の末 尾 を参照 )Oなお秋 田市以外 に所在 の調査校 につ いては, 回答済み の用紙 を
1 2月 6日頃 までに返送す るよ うお願 い したが,
中学校 の 内の1
校 (以下 で述べ るE
校 )の場合 は,筆 者 らの元 に 回答済 みの用紙 が 返送 され たのか 1 997
年2
月 に なってか らであ った。 調査 その ものはお願 い した通 り に実施 され た との こ とであ り,本報告 ではそれ も含め て 考察 す る。 ただ し後 に述べ るよ うに, この学校 の2
年生の回答 内容 には他校 と異な る特徴 が 見 られ た。
調査の結果 および考察
1. 単純集計の結果
1. 1
電流 モデルの選択質 問 ⅠⅠに対す る回答 を中学校
2
年 生,3
年生 お よび大 学生 に分 けて集計 した結果 を表1
に示 す。選択肢
1
は,電 流が電 池の +極 か ら電球 まで流れ, 電 球 と電池の ‑極 の間には流れていない とす るモデルであ り, これ を選ぶ者 は電 流が 電球 で消 費 され尽 くす と考 え てい る もの と思 われ る。選択率 は中学2
年生 で 1.1%,2 年生 で0. 5%
とわずか であ り,大学生 では まった く見 ら れ なか った。実 際に電球 を点灯 させ て電 池 との接 点が2
箇所 必要 であ るこ とを経験 した後 では この モデ ル を選 ぶ 者 は ひ じょうに少 な くな る と考 え られ1 )
,予 想通 りの結山岡 ・工 藤 中学生による電流の理解が機械的であることについて
表 1
質問 ⅠⅠに対する回答の集計結果学
校
】学年1
選択の分布 (2 3
%)4
無答者数
回答巨 学校全体
】
J 2
つiO. 1. 5 5. 1 8ー 9 1 0 1 9. 7. 5 7 0 7 3. 2. 8 0ー 6 0‑ 9【7 5 7 4 8 8 2
】
巨 中 喜学
∃校
】L: ii
!
】 巨
2 】 0. 0 4. 4 8̲ 1 8 6. 9 0. 6い 6 0 C
2≡ 0 .0 7.
13
3. 3 5
9.
50 .0 4 2
3
F iO. 0 2. 9
ll. 8 8 5. 3 0 .0 3 4.
⊆ 2 2. 8 1 9. 9 2 4. 8 5 1. 8 0. 7い 4 1
Dl 弓
3 0. 7 5. 9 2 1. 6 7 1. 2 0. 7 1 5 3
E
2
1 .35. 3
20 .4 72.40. 7
2 1 5 23
0 .0 6. 3 1 7. 0 7 6. 1 0. 6 い 59
質問内容については、本稿末尾に示 した調査用紙 を参照。 果 であ るC
選 択肢
2
は電池の両極 か ら電流が流れ 出て電球 に到 る とす るモデルであ り, これ を選 ぶ者 の 多 くは, 電球 で出 会 った二つ の電流が光 に変 わ る とい うイ メー ジを持 って い る と考 え られ る。選択率 は 中学校2
年生 で8% ,3
年生 で6%
と少 な く,大学生 ではわずか に2%
であった。 D
中 学校 の2
年生 では2 0%
と目立 って選択率 が高か ったが,これ を学級別 に見 る と
,4
つ の学級 での選択率 は2 3%
,9
0/.,31 %,1 6%
とか な りの幅 を持 っていたD選択肢
3
は, 電球 の点灯 に ともなって電流が減少す る とい うイ メー ジを解 消 で きない まま, 電流 は電池の 十極 か ら出て ‑極へ 向か って流れ る とい う命題 を受 け容 れ よう として選 ばれ た もの と考 え られ る
1)
。 これ に対す る選 択率 は中学校2
年生 で1 8%
であった。 3
年生 の値 は1 9%
と
,2
年生 の もの とほぼ 同 じであ った。一 方大学生 では3 4%
と,中学生 に比べ てか な り大 きな値 が見 られ た。選 択肢2
に対す る中学生 と大学生 の選択率 の違 い と考 え合 れ る とい う命題 は学 習者 に とって比較 的受 け容 れや す い が, 電流 の強 さが一定 に保 たれ る とい う命題 はか な り納 得 しが たい ものであ るら しい と, 改め て感 じられ る。選択肢
4
は正 答 であ り,学習後 の 中学校2
年生 は7 3%
の選択率 を示 した
。 3
年生 での正 答率 は7 4%
であ り,2
年 生 と大差 なか った。大学生 では6 4%
とか な り減 少 してい たが, これは選択肢3
の選 択率 が高か った こ とに よる も の であ る。表2 質問 III‑1に対する回答の集計結果
l
⊆学 校 学年
1
選択の分布 (2 3
%)4
無答者数
回答【
【
E中学校全体
≡
i
【 2 3 2 2 8. 1̲ 6 5 6 6 4. 1. 9 6. 6 5̲ 1 9. 7 1 0. 8 0. 2 9. 4 7 6 7 8 4 2 8 3 2 7. 4 4 7. 1 3. 7 2 1. 0 0. 6 1 5 7
i
【
F
B2 3 3 2 2. 0. 1 5 9 6 4. 1. 6 4. 9 7. 1 8. 1 8. 2 1 4 1 0, 6ー 2 2 7 2 9 3 9 3
】
】 3
】 2 9. 4 6 4. 7 0. 0 5. 9 0. 0 3 4
/ D
∃】 】 2 3 2 1 8. 0. 6 6 3 6 0. 8. 3 8. 0 5. 5 9. 9 7̲ 2 0. 9 0 . 7 1 7 1 4 5 3 1
】 E
i 2 3 3 1 4. 8. 2 5 2 6 6. 8̲ 6 4. 6 6. 6 3ー 3 6. 9 0. 3 0. 6E1 6 1 i 5 5 2 9
質問内容については、本稿末尾に示 した調査用紙 を参照。
1. 2
シ ョー ト回路の電流の強 さの判断表2に,質問III‑1に対す る回答の集計結果 を示すO 選択 肢
1
は, シ ョー ト回路 の方が電球 をつ ないだ回路 よ り強 い電流が流れ る とい う内容 であ り,正 答 であ る。中学生 の正答率 は,
2 ,3
年生 ともほぼ2 0‑3 0%
の範 囲に あ ったO大学生 では1 6%
とやや低 目で あった。選択肢
2
は,両方 の電流 は同 じ強 さであ る とす る もの で, これが最 も多 く選 ばれ た選択肢 であった。選択 の理 由づ けにつ いては2. 1
で考察す る。
選択肢
3
は, シ ョー ト回路 の電流の方か弱 い とす る も ので,
C 中学校 の2
年生 の場合( 2 9%)
を別 にすれば,坐 体 に選 択率 は低 か ったo ただ し, シ ョー ト回路 には電流 が流れていない とす る選択肢4
に対す る選択率 を加 え る と, シ ョー ト回路 の方が電流が弱 い と答 えた者 の割合 は か な りの ものにな る。 これ らの選択 の理 由づ け につ いても
,2. 1
で考察す るoA
中学校 では2 ,3
年生 とも,選択肢4
を選 ぶ者 の割合 が他校 に比べ て著 し く高か った。 なお この傾 向は,学級 や 男女 の違 いに よ らない もの であ った。1. 3
電池 の寿命 の判断表3に,質 問ⅠⅠⅠ‑2に対す る回答の集計結果 を示す。
選択肢
1
は, 電球 をつ ないだ方 の電池が先 に きれ る と す る もの であ る。 中学校 の両学年 の生徒 と大学生 を通 じ て,これに対す る選 択率 が たい‑ ん高か ったが, E
中学校 の2年生のみは異 なっていた。 この グループは,質問ⅠⅠⅠ‑1に対す る回答 で もやや特徴 的 で あ ったが, ここでは 明確 に他 と異 な る特徴 を示 した。
秋田大学教育学部研究紀要 教育科学部門 第
5 2
集表
3
質問Ⅰ Ⅰ Ⅰ ‑2
に対する回答の集計結果学 校 学年
1
選択の分布 (2 3
%)無答 者数回答中学校全体
2 6 3. 1 2 5. 3 l l. 0 0̲ 6 7 8 8 3 7 4̲ 5 8. 9 1 4. 7 1. 9 7 4 2
中
校学釈内
A 2 6 2. 5 2 6. 9 9. 4 0. 1 1 6 0 3 7 2. 6 1 4. 0 1 2. 7 0. 6 1 5 7
B 2 7 1. 0 1 5. 4 1 3. 0 0. 7 2 9 3 3 7 9. 1 4. 2 1 4. 2 2̲ 5 2 3 9
C 2 8 5. 7 l l. 9 2. 4 0. 0 4 2 3 6 7. 6 8. 8 2 3ー 5 0. 0 3 4
D
2 7 0. 2 1 2. 8 1 6. 3 0. 7 1日l 3 7 2. 5 l l. . 1 1 3ー 7 2. 6 1 5 3
E 2 3 5. 5 5 7. 9 6. 6 0. 0 1 5 2 3 7 3. 0 8. 8 1 6. 4 1. 9 1 5 9
質問内容については、本稿末尾に示 した調査用紙 を参照。
選択肢
2
は, シ ョー トさせ た電池の方が先 に きれ る と す る もの で,正 答 であ る。 中学校2
年生全体 の正答率 はE
中学校 生 の値 の高 さに引 っ張 られ た きらいが あ るが, 各校 別 に見 て も2年 生 よ りも3年 生 の方 が正 答率 が低く,大学生 では さ らに低 い値 を示 した。
選択肢
3
は両 方の電池が 同時 に きれ る とい うもの であ る。 中学校2
年生 よ りも3
年生 の方が選 択率 がやや 高 く な る傾 向が見 られ, 大学生 におけ る選択率 は さらにやや 高 まって いた。シ ョー ト回路 中の電 池の寿命 を中学生 が どの よ うに考 え るか につ いては,す でに橋本 の報告 が あ る
5)
。筆 者 らの 今 回の調査 は,選択肢 の内容 にお いて橋 本 の もの と若干 異 な るが,生徒 の考 えの傾 向は一致 していた。なお,上 に述べ た
E
中学校2
年生 の回答 の特徴 点 につ いては,選 択理 由の記述 と関連 させ て3. 3
で考察す る。1. 4
オームの法則 を適用 した計算 問題 への回答 表4に,質問ⅠⅠⅠ‑3に対す る回答状況 の集計結果 を示 す。計算式 と結果 の両 方が正 しか った もの を正答 とし, それ以外 は誤答 とした。授業 の進度 の関係上,Cお よびD
中学校 の2
年生 の場合 は回答項 目か ら除いた。表 に見 られ るよ うに,中学生 の場合 は全般 的 に
7 0%
以 上 の正 答率 を示 したが,大学生 ではす でに忘 れて しまっ た者がか な りい るこ とが窺 われ た。2.
質問Ⅰ Ⅰ Ⅰ ‑1
およびⅠ Ⅰ Ⅰ ‑2
におけ る理 由づ け 電球 をつ ないだ回路 とシ ョー トさせ た回路 におけ る電 流の強 さ と電 池の寿命 を問 うた質 問では,選 択肢 に よる表
4
質問Ⅰ Ⅰ Ⅰ ‑3
に対する回答の集計結果学 校 学 年 正答回答状況 (誤答 i無答%) 者 数回 答 中学校全体
2 7 8. 8 7. 8 1 3
.46 0 5
3 8 2. 5 9. 0 8. 5 7 4 2
∃ 中 書 喜
!
岳 訳i
芦 A 2 9 1̲ 3 3̲ 1 5. 6 1 6 0
3 9 3. 6 5. 7 0. 6 1 5 7
B 2 7 2. 0 9. 2 1 8. 8 2 9 3 3 7 9. 9 1 0. 0 1 0. 0 2 3 9
C 2 ‑ ‑ ‑ ‑
3 9 4. 1 2. 9 2. 9 3 4
D 2 ‑ ‑ ‑ ‑
3 8 3. 0 5. 2 l l. 8 1 5 3
E 2 【 7 8. 9 9. 9 l l. 2 1 5 2 3
I I
7
2̲
31 5̲ 7 l
l.91 5 9
質問内容については、本稿末尾に示 した調査用紙 を参照。
質 問の他 に,選択 の理 由 を自由に記述 して もらう欄 を設 け た ところ,お よそ
8
割 の 回答者が記述 して くれて いた。その記述 内容 は,彼 らの考 え を詳 し く知 る上 で有意義 で あった。
それ らの記述 内容 をい くつか の項 目に整理 し,数 量的 に考察 した結果 を以下 に記す。
2. 1
質問Ⅰ Ⅰ Ⅰ ‑1
での選択 に対 す る理 由づ け電球 をつ ないだ回路 とシ ョー ト回路 の電流の強弱 を判 断 した理 由 として記 され た内容 を, 以下 の
9
項 目に分類して集計 した。
1
抵抗 が大 きい と電流は流れ に くい (小 さい と流れ やす い)。2
電球 (抵抗) で電 流が消 費 され るため, イの電 流 の方が強 い。3
7 には抵抗が あ る (イには抵抗 が ない) 。
4
シ ョー ト回路 だか ら。5
電球 の有無 にかか わ らず, 電 池 の電圧 が 同 じ1 . 5 V
だか ら。6
直列 回路 は, どこを測 って も電流 は一定 だか ら。7
電球 (抵抗) の手前 で電流 を測定 してい るか ら08
電球 を光 らせ るため に, アには イよ りも強 い電 流が必要 であ る。
9 1‑8
に整理 しきれ ない内容。表5に, 中学生全体 の質問ⅠⅠⅠ‑1に対す る回答別 の理 由の件数 を示 す。
山岡 ,工藤 .中学生による電流の理解が機械的であることについて 表
5
質問Ⅰ Ⅰ Ⅰ ‑
1における選択理由の,中学生 による記述内容の集計結果Ⅰ へ の Ⅰ
回答Ⅰ ‑1 1 2 3
理 由 の 記 述4 5
内 容6
の 分 布7 ( %) 8 9
無答 回答者数1 9. 6 1 6. 4 4 7. 5 5. 7 0. 8 0. 3 0. 3 0. 3 6. 8 1 2. 5 3 8 5 2 0 . 0 0. 1 2. 0 0 . 0 3 9̲ 4 7. 9 1 4. 6 0. 1 1 3. 3 2 2, 6 8 9 0 3
0 ̲01. 1 2 5. 6 0 .
03. 3 1. 1 0 .0 1 6. 7 1 2. 1 4 0. 0 9 0 4 0 . 0
0.06 3. 4 3. 9 0. 7 0 .0 0 .0
0.0l l. 8 2 0. 3 1 5 3
理由の分類については,1
4
頁を参照。表
6
質問Ⅰ Ⅰ Ⅰ ‑2
における選択理由の,中学生による記述内容の集計結果Ⅰ Ⅰ へ の
回答Ⅰ ‑2 1 2
理3
由 の 記 述4
内 容5
の 分 布6 ( %) 7 8
無答 唇 数1 0. 2 0. 2 1. 2 4 0. 7 4. 8 0 .0 3 6. 8 3. 4 1 2. 6 1 0 5 2 2 3 0. 0 0. 4
0.02. 7 0. 4 1 5. 6 1 6. 7 9. 1 2 5. 1 2 6 3
理 由の
1 ,2
は選択肢1
「シ ョー ト回路 の方が電流が強 い」を選 んだ回答者が 多 く記述 してお り,5,6は,選択 肢2
「両方 の電流が等 しい」を選 んだ者が 多 く記述 してい た。 また8
は,選択肢3
「電球 をつ ないだ回路 の電流 の方 が強 い」 を選 んだ者 が主 に記述 していた。選 択肢 の選択 と理 由の記述 に こ うした筋の通 った対応関係 が見 られ る こ とか ら,質 問 内容 は生徒 た ちに十分理解 され た と考 え られ る。ただ し以下 に述べ るよ うに, 回路 の電流 につ いての期 待 され る理解 とは食い違 った特徴 も見 られ た。
理 由
3
は「アの 回路 には抵抗 が あ り, イにはないか ら」とい う内容 であ るか ら,質 問1
1 Ⅰ ‑1で「イの電流 の方が強
い」 とい う正 しい選択肢1
を選 んだ者が記述す るの は理 解 しやす いが, 表5
に示 す よ うに, その他 に も選 択 肢3
「イの回路 の方が電 流が弱 い」を選 んだ者 の
2 6%,選択
肢4
「イの 回路 には電流が流れて いない」, を選 んだ者 の63%
が この理 由3を記述 して いたoこれ らの回答者 は,
抵抗 に よって弱め られ る分 を補 うよ うに, よ り強 い電流 が流れて来 る と考 えて いた もの と推察 され る。ⅠⅠ Ⅰ ‑1で
選択肢3
を選 び理 由の8
を記述 した者 の考 え も同様 であ ろ う。理 由
7を記述 した 1 31
名 の 内1 30
名 までが,ⅠⅠ Ⅰ ‑1で
選 択肢2
「両方の電流の強 さは等 しい」を選択 した者 であ った。 これ らの 回答者 は, アの 回路 の電 流の強 さは電球 を過 ぎる と変化す る (弱 まる)と考 えていた こ とに な る。以上,Ⅰ
1 1 ‑1で選 択肢 の 3あ るいは 4を選 んで理 由の 3
理由の分類については,本頁を参照。
あ るいは8を記 した者 と,選択肢 2を選 ん で理 由 7を記 した者 を合 わせ る と,中学生 の
17%,大 学生 の 25%
を 占 め る。 これ らの回答者 は この質 問の場 面で,電 流が電球
において消 費 され る とい うイメー ジに もとづ いて思考 し た もの と判 断 して よいであ ろ う。2. 2
質問Ⅰ Ⅰ Ⅰ ‑2
での選択 に対 す る理 由づ け質問1
1 1 ‑2
にお いて 中学生 が選択 の理 由 として記 した 内容 を, 以下 の8
項 目に分 類 して集計 した。1
イの電流が アの電流 よ り強 いか ら (アが イよ り弱 いか ら)02
7 とイの電流が同 じ強 さだか ら。3
7の電流が イの電流 よ り強 いか ら (イが ア よ り弱 いか ら)04
豆電球 が あ るか ら電池が消耗す る。5
イには電流が流れていないか ら, 電池が消耗 しない 。
6
イは シ ョー ト回路 だか ら。7
電球 が あ るか ら。8 1‑7
に整理 しきれ ない内容上記 の理 由
4
に分 類 した記述 には,
「電流が電球 で消 費 され る」 とい うものの他 に 「電球 で電 力が消 費 され る」「電球 が あ るので電 池が消耗 す る」 な どが あ った。
なお理 由
7
は,ⅠⅠ Ⅰ ‑2で選 択 肢 1
を選 ん だ者 が記述 し た場合 は理 由4と同 じ内容 と理解 すべ きであ ろ うが,Ⅰ Ⅰ 1
秋田大学教育学部研究紀要 教育科学部門 第
5 2
集‑2
で選 択肢2
を選 んだ者 が記 した場合 もあ ったの で, 分 けて集計 した。表
6
に,ⅠⅠ Ⅰ ‑2
に対す る回答別 の,選択理 由の分布 を示 す。質 問Ⅰ
Ⅰ Ⅰ ‑2
で選択肢2「シ ョー ト回路 (
イ)の電池の方 が先 に きれ る」あ るいは3
「同時 に きれ る」を選 んだ 回答 者 の場合,電流 の強 さ と直接 関連 させ た選 択理 由が 多 く 記 され ていた。表 には中学生 につ いての結果 のみ を示 し たが,大学生 の場合 も同様 に,選択肢2
を選 んだ者 では 理 由1
を記 した者が最 も多 く, 回答3を選 んだ者 では理
由2
を記 した者が最 も多か った。一方,質 問Ⅰ
Ⅰ Ⅰ 一2
で選 択 肢1を選 んだ者 は回答者全体
の70%
ほ どを占め たが,その内で理 由3を記 した者 は ご
く少数 であ り,大部分 は理 由4
あ るいは7
を記述 してい た。 それ らの 回答者 は回路 の電流の強弱 を根拠 とす るの でな く, 電流 な どが電球 で消 費 され る結果電池が消耗 す る との イ メー ジに もとづ いて選択肢 を選 んだ もの と考 え られ る。 このパ ター ンの 回答 を示 した人数 は,被験者 と なった中学生全体 の54%,大学生 の 61%
を占め ていた。なお,Ⅰ
Ⅰ Ⅰ ‑2で理 由 5を記 した中学生 51
名 の 内50
名 表7
質問 IIと質問I I I ‑
1に対する中学生の回答のクE=ス集計の結果
E 1
i 2 3 4
無答Ⅰ Ⅰ
2 2i2 5. 2 4 9. 5 1 3̲ 1 1 2̲ I
lo .o 1 0 7 r
4 ;2 4. 6 5 9. 0
5 . 11 0
.8 0
.4
' 1120
までが,Ⅰ
Ⅰ Ⅰ ‑1では選択肢 4を選 ん でい た。この こ とも,
生徒 た ちが質 問の 内容 を理解 した上 で真剣 に 回答 して く れ た こ とを物語 ってい る。ただ し,質 問Ⅰ
Ⅰ Ⅰ ‑1で選択肢 4を設け たか らには,Ⅰ Ⅰ Ⅰ ‑ 2
の 冒頭 の文 は 「この まま電流 を流 し続 け る と‑・」ではな く,
「この ままに してお くと‑」 とで もすべ きであ った。デー タの詳細 は割 愛 す るが,Ⅰ
Ⅰ Ⅰ ‑1で選 択 肢 4を選 ん だ
者 の約 1割 がⅠI I ‑2
では2を選 ん でいたD上 記 の不 用意
な質 問文 が この混乱 の要 因 とも考 え られ,反省 して い る。3.
ク ロス集計 によ る考察以上,単純集計 お よび,質 問Ⅰ
Ⅰ Ⅰ ‑1と Ⅰ Ⅰ Ⅰ ‑2
につ いては 選択理 由の記述 内容 との クロス集計 を行 った結果 に もと づ いて,被 験者 となった中学生 お よび大 学生 の 多 くが, 場面 に よっては電流の消費 イ メー ジに もとづ いて思考 す るこ とを述べ た0‑万 で質 問 IIやII I ‑3に対す る正解率
ががか な り高 いこ とか ら,形 の上 では電 流の保 存や オー ムの法則の公式 を理解 してい るよ うに見 えなが ら,電流 の消 費 イメー ジか ら脱却 で きないでい る者がか な りの割 合 で存在す る もの と考 え られ るO以下 に選 択肢 に よる各質 問‑ の回答 を クロス集計 した 結果 を示 し,上 記の推測 をさらに検討 す る。
3. 1
質問 IIとI I I llに対 す る回答 の ク nス集計
表7
に, 中学生 につ いての標 記の集計結果 を示す。質 問 ⅠⅠでは,正 答 であ る選択肢
4を選 んだ者が圧倒 的
とも言 え るほ ど多か ったが, それ ら正 答者 の質 問ⅠⅠ Ⅰ ‑1
に対す る正 答率 は,質 問 ⅠⅠにお いて誤 った選択肢 を選 ん だ者 よ りもか えって低 か ったO次 に,質 問 ⅠⅠにおいて
3
を選 んだ者 と4
を選 んだ者 に つ いてそれ ぞれ別個 に,表5
と同様 の集 計 を行 った。 そ の結果 を表8
に示す (質 問 ⅠⅠお よびⅠⅠ Ⅰ 一lに対 して無答
表
8
中学生の,質問 ⅠⅠへの回答,質問Ⅰ Ⅰ Ⅰ ‑
1への回答 とその理由づけのクロス集計の結果l 葛
ⅠI
への! 担l答 :
】
】Ⅰ
】 への】 回答Ⅰ ト 1 1 2 3
理4
由 づ∂
け の 分 布6 (
7%) 8 9
無答 】】 回答】 者数 E∃
】 1
ド 】 】 1 ∈ 8. 0 1 8. 7 4 6. 7 4. 0 0 .0 0 .0 1̲ 3 0. 0 2. 7 1 8. 7 1 7 5 2 0 . 0 0. 6 1. 2 0ー 0 2 9. 0 1. 8 星室 ⊥蔓 0. 0 1 0. 1 1 8. 9 1 6 9 3 ≡ i 0 ‑0 6‑ 3 6. 3
0 .00. 0 6. 3 0 .0 31. 3 1 2. 5 3 7. 5 1 6 F ,
】
1 4 0. 0 0. 0 7 0. 6
0 .00 . 0 0̲ 0 0 ,0 0 .0 5. 9 2 3. 5 1 7
2 0 . 0 0 .0 2. 1 0. 0 4 2. 7 1 0. 0 旦4 0. 2 1 3. 9 2 2. 1 6 61 3 0 .0 0. 0 2 9. 8
0 .03. 5 0̲ 0 0. 0 1 7. 5 1 4. 0 3 5. 1 5 7 4 0 .0 0. 0 6 3. 6 5. 0 0. 8 0. 0 0 .0 0. 0 1 3. 2 1 7. 4 1 21
理由の分類については,1
4
頁を参照。アンダー ラインを付 した数値については,1
7
頁の左段9
行 目を参照。LLl岡 ・工藤 :中学生による電流の埠解が機械的であることについて の者 につ いての表示 は省略す る)C
質 問
I I I ‑1
で選択肢1
(正答)を選 んだ者 の理 由づ けの 状 況 は,質 問 ⅠⅠで3
を選 んだか4
を選 んだか にかか わ ら ず よ く似通 っていたC一方I
I I ‑1にお いて選 択肢 2
「両 回路 の電流 の強 さは等 しい」 を選 んだ者の理 由づ け を見 る と, 質 問 ⅠⅠで3
を選 ん だ者 の場 合 は理 由7
「電球 の手前 で測定 してい るか ら」を記す割合 が
39%
で, 質 問 ⅠⅠで4を選 んだ者 の値 ( 9%)
よ り著 し く高か った (表 中の数値 にア ンダー ラインを付 した)C理 由7
は,電球 を通 った後 では電 流が 弱 まるこ と を合意す る ものであ るか ら, これ ら二つ の数値 の大小関 係 は筋の通 った玉里解 しや す い ものであ るO逆 に言 えば,質 問 ⅠⅠで選 択肢
4を選 んでお きなが らⅠ Ⅰ Ⅰ
‑1
で理 由 7を記述 した60
名 は,電 流の保 存 とい う結論 のみ を納得抜 きで l意え込 んだ典 型的 な事例 とい うこ とに な る。また,質 問 ⅠⅠで選択肢4を選 んで1 Ⅰ Ⅰ ‑1で 2を選 ん
だ者の4
割 以上( 282
名, 回答 した中学生全体 の1 8%)
が,理 由5
「直列 回路 は どこで も電流が一定」を記 してい た こ とも,理解抜 きの憶 え込み の一端 を示 してい るよ う に思 われ る。
同一 回路 内の問題 と別個 の回路 間の問題 を 混 同 して い る と考 え られ るか らであ る。数値 を示 す こ と は省略す るが, ここで問題 とした二つの事例 に該 当す る 回答 は,調査 をお願 い した全 ての学校 で万遍 な く見 られた 。
表
9
質問Ⅰ Ⅰ Ⅰ ‑1で選択肢 2を選び,理由5を記 した
中学生の,質問Ⅰ Ⅰ Ⅰ ‑3に対する回答の集計結果
学年 第2
学 年 弓 第3
学 年 ll
I I I ‑3
の回答 (o/0日
回答Ⅰ Ⅰ Ⅰ ‑3
の回答(%〕
回答男子
L7 0. 2 21. 3 8. 5 4 7
92 .6 7ー 4 0 . 0 】 6 8 1
表
1 0
質問 ⅠⅠと質問Ⅰ Ⅰ Ⅰ ‑3に対する中学生の
回答のクロス集計の結果I l l ‑3
の回答 (%) lt:̲答 一 誤答 無答3 8 0. 〔 ) 7. 8 1 2. 2 2 3 〔 ) ! 4 8 4. 7 7. 9 7. 3 l 1 0 2 2
無答】 3 0 1 0. 0 6 0. 0 1 0
3. 2
オームの法則の機械 的適用 につ いてここまでに, 単純 な回路 におけ る電流保 存の認識が理 解 抜 きの憶 え込 みに なって い るの ではをいか との予 想 を 検討 して きた。その結果 は予 想 を支持 す る もの であ った。
ここでは さらに,単純 な回路 に対す るオー ムの法則の 通 用が, 回路 につ いての イメー ジや理解 か ら切 り離 され た機械 的, 断片的 な憶 え込み に よって な されてい る怖 れ につ いて検討す るC
質問Ⅰ
Ⅰ Ⅰ ‑1にお いて選 択 肢 2を選 ん だ者 は, 電 流の強
さは回路 の構成 に よ らず電池の電圧 に よって決 まる と考 えた と思 われ る。 その 中で もと くに理 由5を記述 した者
につ いては, そ う判 断 して間違 い無 いであ ろ う。 その よ うな 回答 者 の質 問Ⅰ Ⅰ Ⅰ ‑3
に対 す る回答 状 況 を表9に示
す。正 答率 は平均 的 な値 よ りむ しろ高 い (表4
を参照 )。電流の強 さが 回路 の構 成 に よらず に電 池の電圧 のみに よ る と考 え る者 で も, 電圧値 と電流値 が与 え られれば オー ムの法則 を適用 して回路 の抵抗値 を 「正 し く」算 出す る の であ る
6)
O表
1 0には,質 問 Ⅰ
ⅠとⅠ Ⅰ 1 ‑3
に対す る中学生 の 回答の ク ロス集計 の結果 を示す。質 問 ⅠⅠにおいて選択肢3
を選 ん だ者 の80% ( 184
名 )がII I ‑3
に正 答 していた。 この1 84
名は, 電流の消 費 イメー ジを保持 した ままオー ムの法 則 を運用 していた こ とに な る。また質問 ⅠⅠにお いて選択肢
4を選んだ 中学生 であ って
も,Ⅰ Ⅰ Ⅰ ‑2
で1を選 択 しその理 由 として 4あ るいは 7を
記 した場合 は電 流の消費 イ メー ジを持 ってい る場合 が 多 い と判 断 され る( 2. 2
の末 尾の記述 を参照)。 それ らの者 の 内でⅠⅠ Ⅰ ‑3
に正 答 したの は合 わせ て505
名 であ り, 回 答 した中学生全体 の330
/.に上 ったO消 費 イ メー ジの保持 とオー ムの法 則の運用 との共存が, ここに も見 られ る。3. 3
E中学校の生徒のⅠ Ⅰ Ⅰ ‑2に対 す る回答 につ いて 1. 3
で述べ た よ うに,E
中学校 の2
年生 は質 問ⅠⅠⅠ ‑2
に おけ る回答状 況が他 の グルー プ と著 し く異 なって いた。
その点 を検討 す るため に, 回答理 由の 自由記述欄 におけ る 「シ ョー ト回路 だか ら」との理 由づ けの頻 度 を求め た。
結果 を表
1
1に示す。E
中学校 の2
年生 にお いて著 し く高 い値が観察 され, この グループは シ ョー ト回路 につ いて の何 らかの学 習経験 が あった もの と推 測 され る。表
1
1 質問Ⅰ Ⅰ Ⅰ ‑1および Ⅰ Ⅰ Ⅰ ‑2
における選択理由として「ショー ト回路だから」 と記述 されていた回答の数
【 学 年
2 3 2 ≒3 2 3 2 3 2 ≡3
≧ 回答数
I Ⅰ Ⅰ 一 一‑ 1 4 0 4 0 0 0 0 1 1 9 0
秋田大学教育学部研究紀要 教育科学部門 第 5 2
集4. 性 別 と回答 状 況 の関係
質 問 Ⅰでは性別 も記入 して もらったが, 中学生全体 に つ いて, 質 問 Ⅰ Ⅰ ,Ⅰ Ⅰ Ⅰ ‑ 1・ 2・ 3 の正 答率 ( %) を男女 別 に 求 め た ところ,以下 の よ うであ った 。Ⅰ Ⅰ: 男子 72,女 子 7 5( 以下 同順 ) ,Ⅰ Ⅰ 1 ‑ 1 二25 ,2 5 ,Ⅰ Ⅰ Ⅰ ‑2二1 7 ,1 7 ,Ⅰ Ⅰ Ⅰ ‑3:
67 ,7 5 。質 問 Ⅰ Ⅰと Ⅰ Ⅰ Ⅰ ‑3 , と くに後 者 で女 子 の正 答率 が高 か った。
その他 に気付 い た点 の ひ とつ を表 9 に示 す。電 流 の強 さが電 池 の電圧 のみ に よって決 まる と答 えた者 が女 子 に 多い。 またその よ うに答 えなが らオー ムの法 則 を機械 的 に通 用 してⅠ Ⅰ
Ⅰ‑ 3に「 正解 」した者 の割合 は, と くに
2年 生 の場 合 ,女 子 に 多か った。
5. 調査 と授 業 の 関係 につ いて
この調査 で場 面 設定 した シ ョー ト回路 は, 小 ・中学校 の理科教 科 書 で扱 われ て は い ない。 な じみ の薄 い状 況 に 置かれ た生徒 の 内に は, とま どった者 も多か った と思 わ れ る。
ただ しこれ までの文 中の何 箇所 か で述べ た よ うに, 回 答者 の考 えは それ な りの一 貫性 を もった もの であ る傾 向 が 強 く, 質 問 内容 は理解 され た もの と考 え られ る
。筆 者 らは 当初, 電球 をつ ないだ 回路 とシ ョー ト回路 の どち らの抵抗 が大 きいか を質 問項 目に加 え るこ と も考 え たが, 結局 それ は省 くこ とに した。 その こ とを意識す る 程 度 に理解 の進 ん でい る者 に とって は, あ えて問 うまで もない簡単 な事 項 で あ り, 集 計 ・分 析 業 を複雑 に して ま で加 え るこ とは ない と考 えたか らで あ る。 また, この調 査 の主 目的 を電 流 の消 費 イ メー ジの有 無 を見 るこ とに置 い たため,余分 な ヒン トを与 えて 回答 に影響 を与 え る結 果 を避 け る意 図が働 い たため で もあ る。 抵抗 につ いての 質 問 を加 えれば ,Ⅰ Ⅰ Ⅰ ‑ 1の正 答率 は上 昇 したで あ ろ う。そ して, 消 費 イ メー ジに もとづ く理 由 を記述 す る回答 は減 ったで あ ろ う。 しか しその イ メー ジが生徒 た ちの頭 か ら 消 え るわけ で は ない。 ここでは その イ メー ジの存在 とい う問題 点 を示 す こ とに力点 を置 いたわけ で あ る。ただ し, その イ メー ジ を匡 した り, あ るいは そ う した問題 を生 じ させ ず に 回路 の概 念 を学 ばせ た りす るため の授 業 を構 想 す る上 で, ここで用 いた調査 問題 は ヒン トを与 え る もの では あ る と考 え る。
結 語
以上 述べ て きた よ うに, 単純 な電気 回路 の電流 につ い て,正 しい とされ るモデ ル を選 択 した りオー ムの法 則 を 使 い こな した りで きる者 で も, 電 流が電球 な どで消 費 さ れ る との イ メー ジか ら脱却 で きないで い る場合 が普通 に
見 られ る。
質 問 Ⅰ Ⅰと Ⅰ Ⅰ Ⅰ ‑3 に対 す る正 答率 は全 般 的 に高 い上 3 年 生 で も維 持 され て いた ( 表 1 ,4) の に対 して ,Ⅰ Ⅰ Ⅰ ‑ 1と
Ⅰ Ⅰ Ⅰ ‑2 に対 す る正 答率 は全 般 的 に低 い上 , 学 習 直 後 の 2 年 生 に比べ て 3 年 生 では さ らに低 下 して いた ( 表 2 ,3 ) 0 I I ,I I I ‑1 ,I I I ‑2 ,I I I ‑3 のすべ てに正 答 した者 の数 は, 中学校 2 年生 で 6 4 名 ( 1 4. 5%) ,3 年 生 で 2 0 名 ( 2 . 7%) , 大 学生 で は 1名 ( 1 . 20 / .) で あ った。 中学校 2 年 生 の場合 , や や 特 別 な条件 の下 に あ っ た と思 われ る E 中学 校 の生 徒 が 34 名 を 占め て いた。 これ を除 いて ,I I I ‑3 まで回答 した他 の 2 校 ( A,B)につ いて見 て も, 2 年 生 の全 問正 答者 は 3 0 名 で母数 の 6. 6% を 占め てお り, 同 じ学校 の 3 年 生 の値 ( 1 5 名 ,3. 8%) は これ を下 回 って い た。
前稿 で論 じ 1) また緒 言 に も述べ た よ うに, こ う した事 態 は教 授 方針 の問題 点 を示 す もの と考 え る。 回路 につ い ての学 習 が, 電 流 ・電圧 ・電 力 とい った基本 的要素 につ いての イ メー ジを持 つ こ との で きない形 式的 な もの に偏 りが ちで あ る点 を改め るこ とが重要 と考 え る。 電流計 に よる 「 証 拠」 を繰 り返 し経験 したか ら とい って, 消 費 イ メー ジの放 棄 を納得 で きる もの では ない と考 え る2 ) ・ 7 ) 0
この よ うに考 えれ ば, 中学校段 階 で学 業 成績 が よか っ た は ず の 大 学 生 の正 答率 が 中学 生 の平 均 値 よ り低 い の も, 無理 か らぬ こ と と納得 され る
。小 ・中学校 の理 不 斗教 科 書 には, 電 池 に電 流計 だけ をつ ないでは な らない 旨の警告 が必ず掲 載 され て い る。 計 器 の損傷 を防 ぐ上 で必要 な,当然 の記述 と も考 え られ るが, 一 方本 調査 で用 いた場 面 設定 が 回路 の教 材 として有 意義 で あ る場合 も考 え られ,一 律 に禁 止 とす るこ とが適 当か ど うか につ いて検 討 の余 地 が あ る と思 われ る。教科 書 の 記述 は それ な りの権 威 を もってお り, 教 員 の発 想 を も縛
りが ちで あ る と考 え るか らで あ る。
調査 に協 力 いただ いた秋 田県 内の五 つ の 中学校 の諸先 生 と生徒 の皆 さん に感謝 いた します。
証
1 ) 山岡 刷 ( 1 9 9 7 ) 小 ・ 中学生が単純 な回路の電流について 抱 くモデル と授業 との関係の考察 秋 田大学教育学部研究 紀要 教育科学部 門第 5 1 集 1 1 ‑ 2 0 頁
2 ) この点は上記 1 ) で論 じたが,その後,下 記の文献の中で明 確 に指摘 されていることを知 った。
J o hs ua,S.a ndDupi n ,∫. J .( 1 9 8 7 )Taki n gi n t oac c o unt s t ude ntc o nc e pt i o nsi ni ns t r uc t i onals t r at e gy: Ane xam‑
pl ei nphys i c s .Co gni t i o nandI ns t r uc t i onvol . 4p p. 7 9 ‑ 9 4
鈴木宏昭,鈴木高士,村 山功,杉本卓 ( 1 9 8 7 ) 『 教科理解
の認知心理学
』 新 曜 杜の 1 4 6 ‑ 1 4 8 頁での村 山 」 功氏の紹
介による。原論文は未見。
山岡 ・工藤 :中学生による電流の理解が機械的であることについて
(校正 の段 階 で原論文 を読 む こ とが で きた。その記述 に よって, 電池の作用 を列車 を押す人 に曝 えるこ とがか な り有効 であ る と実感 で きた。ただ し,電球 の点灯 を列車 の 動 き とどの よ うに結 びつ けて理解 す るこ とを期待 したの かにつ いては疑 問が残 るがOこの論文 の記述 は,比倫 を呈 示 しその有効性 を考 察 させ るべ く生徒 た ちの討議 を組織 す る とい う教 師の活動 が有 意義 であ るこ とを主張 して い る。先 の報告 (上記註 1)で も論 じた ところであ るが,筆 者 らは,教 師の こ うした積極 的 な教授 活動 を重視 すべ き
と考 え る。)
3) Os bor n e,R. ( 1 983) Towar dsmodi f yi ngc hi l dr e n' si de as a boute l e c t r i cc ur r e nt .Re s e ar c hi nSc i e nc eandTe c hn0‑
1 0gl CalEduc at i onvo l .1 pp. 73‑82
4) Tas ke r
,R.andOs bor n e
,氏.( 1 985) Sc i e nc et e ac hi ng ands ci e nc el e ar ni ng ,I nLear ni ngi nSc i e nc e,Os bor n e , R.andFr ybe r g,P.( Eds . )He i ne mannpp. 1 5‑17
5)
橋 本高( 1 995)
理科嫌 い を克服 す るため の コン ピュー タの治療 的利用 の研 究 修士論文 (北海道教育大学)の
,82‑
84
頁6 )
質 問Ⅰ Ⅰ 1 ‑3
の文 は 「‑,豆電球 の抵抗 は‑」となってい る が, これ は 「‑, 回路 の抵抗 は‑」とすべ きで あった。前者 は電 流の消 費 イ メー ジ を強化 しかね ない表現 で あ り,不 適 切 で あ った と反省 してい る。7
) ご く最近 の下 記の報告 に も, 電流計 の使 用 に よって一 旦 改め られ た小学4
年生 の電流の イ メー ジが, 異 な る場 面 で 元 に戻 った こ とが述べ られてい る。木 村松 子
( 1997)
児童 の電流 に対す るイメー ジを大切 に した理科指 導一4
年生 「乾電 池 ・光電 池」の実践 を通 して‑理科 の教 育
46
巻 通巻537 号 ( 1997
年4月号) 48‑50
頁。なお この著者 は, 誤 ったイ メー ジを体 験 に よって訂 正 す るさ まざまな場 面 を繰 り返 し与 え るこ とに よってjEしい認 識 を形成 させ得 る と予想 してい るが,筆 者 らは,どの よ うな 体 験 をどの よ うに配置す るのが有効 か を,具体 的 に検 討す
る必要 が あ る と考 え る。
電流回路 に関する調査
秋田大学析 学部理科讐 芸究芸 これは.みなさんが旬気をどのようにとらえているかを調査する目的で行うものです.
テス トではあ りませんが,真剣に答えて ください.
Ⅰ あなたの学年 と性別 に○をつけてください.
学年 (
1 2 3)性別 ( 男 女)
Ⅱ 右の図のように、乾屯池が豆電球につながれてい て,豆電球が光 っています.
この回路 を流れ る馬流の強引 まどうなっているで しょうか.下に示 した①から④までの中か らあなた の考えに合 うものを 1 つだけ選んで、その番号を解 答掬に記入 して くだ さい.
③
電流は乾電池の+壇か ら豆電球に向か つて流れるが,豆電噂 を過ぎた後は弱 く
②
I i +
喝流は、乾電池の+極と一極から豆電 球 に向かって流れている。
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‑ = L ≒ J : ・ ‑ 電続は乾電池の+極か ら豆電球に向か って流れ,同じ強まで乾電池の一極に戻 って くる。
Ⅲ 1
.5 ボル トの乾電池 ( 新品)を 2 個用意 し、一方は豆電球をつないで光 らせました ( 図ア).他方は、斗線だけで+樋と一極をつなぎました ( 図イ).
そして、図アの
A点と図イの
B点とで電流の強さをはか りま した.
r一 一 心 ' ● '一 ‥ ‥ 一
章国ア / ⊃
「 .‑ "‑ . . . 暮
このふたつの図について、以下の質問 1‑3 に答えてください.
1
図イの
B点を流れる電流についてあなたの考えに合うものを次の中から
1つ選んで く ださい。
(1)図イの
B点には,図アの
A点よりも強い旬流が流れている。 回答額
(2)図イの
B点には、図アの
A点と同 じ強さの電流が流れている。
( 3) 国イの B 点には,国アの A 点よりも弱い電流が流れている.
( 4) 図イの B 点には電流は流れていない。
なぜそのように思うのですか。 一・ 一一1 一 ・ 一・ ・ ・ ・ . 一・ ・ ‑・ ・ ・ 一 一一・ 一‑
⊂ コ
2 このまま電流を流し続けると、どちらの乾電池が先にきれて しまうと思いますか。
(1)アが先
(2)イが先
(3)同時 なぜそのように思うのですか.
3 図アの A 点の旬流をはかると 0 . 3 アンペアで した。このとき、豆屯球の抵抗は何オー ムあることになりますか.
式 と答えを着いてください.
̀ 式) [ ̀ 答 え ) ロォ ‑ ム
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