管 原 正 志 1j
・
田井 村 明博 ‑')・
上 平 憲3'・伊藤 孝 1'1)長崎入学教fP石肌米健体育講座
2)長崎人草環境相学,t狛 '1然環 境保全講座 3)l封1irj(羊lFJi̲辛 ,11滴t;昧 検 査医 学 講座 4)H本体存 入学 衡′Ui・'守:衆衛′巨i':講座
(半 成12隼 3Jj15日Jl・押 )
The r mo r e gul a t i o n,pe r i phe r alv e s s e lv a s o mo t o rr e gul a t i o n,a nd ho r mo nalr e s po ns e sd ur l ngC O l de xpos ur ei nwhe e l c ha i ra t hl e t e s
andTakashiI TO
lJ1)DepartmentofExercisePhyslOIogy,FacultyofEducation,
NagasakiUnlVerSlty,Nagasaki852‑8521
2)NaturalEnvironmentalConservation,FacultyofEnvironmentalStudies,
NagasaklUniversity,Nagasak1852‑8521
3)DepartmentolLaboratoryMedicine,SchoolofMcdlCinc, NagasakiUnlVerSlty,Nagasaki85218523
4)DepartmelltOrPubllCHealthandPreventlVeMedlCine,
NipponSp()rtScienceUniversity,Tokyo158‑0081
(ReceivedMarch15,2000)
Abs t r ac t
Thepur pos eoft hi ss t udyi st oc l ar i f yt hec har ac t e r i s t i c soft he r mor e gul at i onand phys l Ol ogl C alr e s pons e sdur i nge xe r c i s ei nac ol de nvi r onme nti nwhe e l c hai rat hl e t e s wi t hs pl nalc or di nj ur y.Thes ubj e c t swe r emal ewhe e l c hai rat hl e t e swi t hs pl nalc or di n‑
j ur yandhe al t hymal ec ol l e ges t ude nt s .Themaxi maloxyge ni nt akeasapar ame t e rof e ndur anc ee xe r c i s eabi l i t ywashi ghe ri nt hewhe e l c hai rat hl e t e st hani nt hec ol l e ges t u‑
de nt s .Me as ur e me nt swe r epe r f or me datane nvi r onme nt alt e mpe r at ur eof1 2℃ wi t ha me anr e l at i vehumi di t yof60% atame anai rs t r e am of0. 5 m/s e c .Af t e rr e s tf or3 0mi n‑
ut e s ,t hes ubj e c t spe r f or me dar m c r anki nge xe r c i s eat2 0wat t s( 50r pm)f or6 0mi nut e s . Theme as ur e me nti t e mswe r et ympani ct e mpe r at ur e ,me ans ki nt e mpe r at ur e ,he atpr o‑
duc t i on,c at e c hol ami ne,andc ol d‑ i nduc e dv as odi l at i on.
Dur i nge xe r c i s eunde re xpos ur et oc ol d, t het ympani ct e mpe r at ur e ,he atpr oduc t i on
,2 菅 原 正 志 ・田井村 明 博 ・上 平 憲 ・伊 藤 孝
andc at e c hol ami nemor emar ke dl yl nC r e aS e di nt hewhe e l c hai rat hl e t e st hani nt hec oレ 1 e ges t ude nt s .Ther e s i s t anc ei nde xasaval ueofc ol d‑ i nduc e dv as odi l at i onwe r ehi ghe r i nt hewhe e l c hai rat hl e t e st hanc ol l e ges t ude nt sdur i ngc ol de xpos ur e .Ont heot he r hand,t hede c r e as ei nt heme ans ki nt e mpe r at ur ewass l i ght e ri nt hewhe e l c hai rat hl e t e s t hani nt hec ol l e ges t ude nt s .Thet he r mor e gul at i ons e ns i t i vi t yandhe atpr oduc t i onr e ‑ s pons e st oe xe r c i s ei nac ol de nvi r onme ntwe r emor emar ke dl yl nC r e aS e di nt hewhe e レ c hai rat hl e t e st hani nt hec ol l e ges t ude nt s .
Ⅰ. 緒 岩
一般 に運動 トレ‑ニ ングと寒冷 との間に交 叉適応が認 め られ ること1‑2や ,寒冷下の代謝 量 ,体温調節 反応 と持 久的体力水準 との間に関係 があ る日 '5)な ど,運動 トレーニ ングに よ
り寒冷 に対す る体温調節系の感受性 や熱産生反応の改善が認め られている。 菅原 ら6)は氷水 に よる寒冷血管反応
( c ol d‑ i nduc e dvas odi l at i on,CI VD)
と持 久的体力 の一指標であ る最大 酸素摂取量( 豆
02maX)
について検討 した結果 ,豆
02ma
Xの伸 び とCI VD
諸値 の克進 とに密 接 な関係が認め られ,慢性 的寒冷暴露等 の要因に加 え, さらに運動 トレーニ ングによってそ の強 さが決定 され るこ とを明 らか に してい る。 また豆
02ma
X水準別 に寒冷暴露下での体温 調節 反応 とCI VD
について比較検討 した結果 ,hunt i ng
反応 に よ り末梢血管抵抗 は減少す る ものの,皮膚血流量が増加 し指皮温 を上昇 ・維持 させ,耐寒性 を獲得 していることを明 ら か に した7)。近年,障害者の スポー ツ‑ の関心が増 し,様 々なスポー ツ種 目‑ の進 出が見 ら れ,中で も脊椎損傷者の車椅子 スポーツが盛 んになって きた。車椅子マ ラソンに関 しては,レース用車椅子 の性能 と競技者の競技力向上 に より,世界ではプロフェ ッシ ョナルな競技 と して行 われるようになっている。 そ して,車椅子競技者の運動時の生理的応答や トレーニ ン グ効果 に関す る報告8'9)10)は数多 くあ るが,寒冷刺激下での運動 中の体温調節 反応特性 や生 理学的反応 に関す る検討 は皆無である。
本研究では,脊髄損傷で車椅子マ ラソン競技者の寒冷環境下での運動時 における体温調節 反応特性 と生理学的反応 を明 らか に し,競技 人口が多 くな りつつある車椅子マ ラソン競技者
に対 しての基礎資料 を提供す る。
Ⅲ. 研 究 方 法
A.
被験者被験者は,研究の主 旨を十分 に説明 したうえで同意 を得 た,脊髄損傷の男子車椅子マラソン 競技 者
5
名( WCG)
と健常 な一般男子大学生5
名( USG)
である。 体格 とVo
2ma
XをTabl e
lに示 した
。豆
02ma
Xは,ar m c r anki ng
エルゴメータ運動 により漸増負荷法 によって求めた。B.
寒冷暴露 テス ト観察 は,食事後の特異動的作用 に よる代謝へ の影響 を考慮 し食後6時 間以上経過 した後, 平均気温
2 5
℃の室内に1
時間以上安静で滞在 させ, これ をc ont r ol
値 と した。 次 いで平均環 境温度1 2
℃,平均相対湿度60%
そ して平均 気流0. 5m/s e c
の測定室 に,長袖 シャツに トレーニ ングパ ンツで車椅子
( USG
は椅 子)にて30分間安静 で経 過 した時点 よ り,arm cranking エ ル ゴ メー タにて運 動 強 度20watts(50rpm)で60分 間運動 負荷 し, その 間以 卜の観察 を経 時 的 に実施 した。 皮膚 温 及 び鼓膜 温 (Tty)は 1分 間隔で連続 記録 し, 5分 間の 平均椎と した。皮膚 温の部位 は,勧 ・胸 ・腹
・ 背 ・
卜腕・
前腕 内面 ・手背 の7箇所 であ り,平均皮膚混( Ts k)
は,緒 方の方法11に よ り面
積比 率 を加重 負荷 して求 め た。 産熱 量( M)
は呼 気 ガス を 連続 分析 し5
分 間毎 の平均値 と して求め た。〕また, テ ス ト前後 に体重 を観察 した。C.
寒冷血 管反応 テス ト寒 冷血 管 反応 (CIVD)テ ス トは,寒 冷暴 露 後30分 間安 静 を経 過 した後 の30分 間 を観 察 し た。CIVDテ ス トはYoshimura法12に よ り,利 き腕 と反対側 の 中指 末節 背
部
に温 度計 サー
ミス タを装着 し, 防水 の ため に白色 ワセ リンを塗布 した後 ,浸 漬 前値 , 0℃氷 水 に浸 漬
中
(30分 間)の指 皮 温 を30秒 間隔 で記録 した。CIVD諸値 は,
浸
漬前指皮 温 (temperaturebe‑ forewaterimmersion,TBI),次 に指 を浸漬 させ 降 下す る指皮 温が最低 に達 し再 卜昇す る時 点 の反応発硯 温度 (temperature∈ltrirstrise,TFR)そ してTFRまでの反応発現 時 間 (time oftemperaturerise,TTR),浸漬5分 か ら30分 までの25分 間の平均 指皮温 (meanskintem‑perature
,MST)
お よび浸 漬中の最低指皮 温 と浸 漬5分 か ら30分 までの間の最高指 皮 温 との差
,す なわ ち反応 の 大 きさ (amplitudeoftemperature,AT)を求めた。 これ らの諸値 か ら, 中村法1こうによる抗 凍傷指 数 (resistanceindex,RI)を5点評点法で求め た。CIVDの観察 は, 運動 負荷 H以前 に行 った。D.
血液 テス ト採 血は,室温25℃安静 (control値 , 0分 ),寒 冷暴露後30分 (安 静 ),運動 開始後30分 そ し て運動終 7時 に行 い,bloodlactate
( LT)
,plasmaadrenaline( A)
,plasmanoradrenaline (NA),plasmadopamine(D)を観察 した。以 上 の観察時刻 は,10時 よ り15時 の間 に実 施 した。得 られ た全 ての数値 は, 各項 目ご とに 平均 と標準偏 差 を算 出 し,平均 値 の差 の検定 はt‑test,経 時変化 につ いて は くり返 しがあ る 分散分析 で行 った。
Tab一e1 Meanvaluesofphysiqueandmaximaloxygenintakeinthesubjectgroupswithwhee1‑ Chairgroup(WCG)andstudentgroup(USG上
Subject Characteristics Vo2maX
(P/min) (Ae/kg/min)
ェ叫..+.⁝
WCG (N=5)
Height Weight (cml rkEl
168.4 52.6** 3.34 63.5**
±2.5 ±5.7 ±0.84 二±8.9 USG 21.1 171.60 64.5 3.11 48.2 rN=51 ±2.1 ±2.8 ±4.6 ±0.46 ±4.9 Valuesaremeans±SD;**:p<0・01byトーestbehveenWCG andUSG・
4 菅 原 正 志 ・田井村 明 博 ・上 平 憲 ・伊 藤 孝
lJl
.結
果Tabl e
lに年齢 , 身長,体重,豆
02ma
Xを平均 値±SD
と して示 した。体重 と単位体重 当 た り豆
02ma
Xに統計 的 な群 間有意差( p<0. 0
1)があ った。Fi g.1
に安静 と通勤 中にお ける血 中乳酸 を示 した。WCG
,USG
ともに運動 開始 よ り有意( p<0.
001)に増加 し,WCG
とUSG
間の差 は,運動 開始3 0
分以降 に有意( p<0. 01)
であ っ た。Fi g. 2
はTt y
の推移 を示 した。寒冷暴露後安静 中は両群が緩 やか に低下 し,運動 開始 とともに上昇 したがc ont r ol
値 まで には達 しなか った。そ して運動直後 よ り運動終了時 までWCG
とUSG
との 間は有意( p<0. 00
1)であ った。Fi g. 3
はTs k
の推 移 を示 した。寒冷暴 露 とともに両群低T L,運動 開始3 0
分以降ではWCG
よりUSG
の低下が大 きかった。Fi g. 4
はM ( W /1 1 1 2 )
の推移 を示 した。寒冷暴露後両群 ともに代謝量 は克進 し, さらに運動 によ り 急激 に上昇 し,運動 開始3 0
分経過後 はWCG
とUSG
ともに定常状態 を示 している。運動 開 始1 0
分 より終始WCG
の代謝量が有意 に大 きかった( p<0. 00
1)。Fi g. 5
にA
,Fi g. 6
にNA
,Fi g. 7
にD
を示 した。A
は観察中変化 なか ったの に対 し,NA
,D
ともに寒冷暴露後3 0
分 には有意 に増加 し,運動 開始後 に更 に上昇 して運動終了時が最 も高 かった。そ して,
NA
とD
は運動 開始後3 0,6 0
分 においてWCG
がUSG
よ り有 意( p<0. 05‑p<0. 01 )
に高か った。Tabl e2
は,寒冷暴露3 0
分後 よ り3 0
分 間のCI VD
諸値 を示 した。MST
はWCG7. 35
±1 . 08℃
に対 し
USG5. 21
±1. 6 0℃ ( p<0. 0 5)
,TFR
はWCG4. 86
±1. 60
℃ に対 しUSG2. 8 4±1 . 03℃
( p<0. 05)
,RI
はWCG1 1. 3±1 . 3
に対 しUSG9
.4±1. 2( p<0. 0 5)
であ った。Fi g.8
に寒 冷 下での運動前後の体重減少量 を示 した。WCG
,USG
ともに,減少量 は少 なか った。(mmol/L)
a le 19 t!l POO lm 4 2 0
0 30 60 90 Exer ci se
Fi g.
1Bl o o dl a c t at ec hange sd ur i ngc o l dai r e xp o s ur ei nwhe e l c ha i rgr o up( WCG) a nds t ud e ntgr o up( USG) .
* * : p<0 . 0 1byt ‑ t e s tbe t we e nWCGand USG.
a Jn te Jo d E O t 3 Ju e d u ^ l1
o C
37. 4 37. 2 37. 0 36. 8 36. 6
4 ■ 6 3
一一一一
WCG
0
3060 9
0E x
ercis e
Fi g.2 Ti mec o ur e so ft ymp ani ct e mp e r at ur e
f o rt hewhe e l c ha i rgr o up( WCG)a nd
s t ud e ntgr oup( USG)dur i ngc o l da i r
e Xp O S ur e ・
aJnleJaduJaIu!qSu
eaM
40 35
30 25
20
o C
kk i c.G7,
E
x er ci s e
Fig.3 Timecouresofmean skintemperature forthewheelchairgroup(WCG)and studentgroup(USG)duringcoldair eXpOSure・
(nmoI・l‑1) aueuaJlPeeLLJSeld
1 0
0
30 60 90 Exerc i s e
Fig.5 PlasmaadrenalinechangesdurlngCOld airexposureinwheelchairgroup(WCG) andstudentgroup(USG).
(nmol・l‑1)
au!Eedope∈seld
0
30 60 90 ExerciseFig.7 Plasmadopaminechangesduringcoldair exposureinwheelchairgroup(WCG)and studentgroup(USG).
*:pく0.05byt‑testbetweenWCGandUSG.
LJ0!T3nPOJdteaLJ3ニOqeta≡
0 ●●
7
6 5
4
M
〇
WCG三「 min
0
30 60 90 Exer ci s e
Fig14 Timecouresofmetabolicheatproduc‑ tion forthewheelchairgroup(WCG) andstudentgroup(USG)duringcold airexposure.
(nmoH ‑1)
aUeUaJPeJOueLLISeld
30
20
0
0
30 60 90 ExerciseFig.6 Plasmanoradrenalinechangesduring coldairexposureinwheelchairgroup
(WCG)andstudentgroup(USG).
*:p<0.05, * *:p<0.01byt‑testbetween W CGandUSG.
6 管 原 正 志 ・田井村 明 博 ・上 平 憲 ・伊 藤 孝
△kg
2 4 6 ■ ■ ̲ 0 0 0 ■ 一 ■
s s o LJ6 !o
AFig.8 Weightlosschangesduringexercisein coldairexposureinthewheelchairgroup
(WCG)andstudentgroup (USG).
Table2 Meanvaluesofcold‑inducedvasodilatiopresponsesofwheelchairgroup(WCG)andstu‑
dentgroup (USG)inicewaterimmerslOnatcoldexposure.
CharacteristicsofCIVD inicewater
RI AT
r℃1
113+ 6.98
±1.3 ±3.07 9.4 5.19
±1.2 ±2.99
TBI MST m m
r℃ 1 r℃l r℃1 rmin1 WCG 25.81 735+
4 . 8 6 +
1132 (N=5) 士3.67 ±1.08 ±1・60 ±252USG 24.89 5.21 2.84 12.67 rN=51 ±2.18 ±1.60 士1.03 二土2.09 TBI:temperaturebefわrewaterim ersion・
MST:meanskirltemperature(valuesduringthefirstfive minutesofwaterimmersionareexcluded)I TFR:tempe ratureatfirstrkeafterwaterhlmerSk)n・
TTR:timeoftemperatureriseafterwaterimrrKrSion・
RI:resistanceindex.
AT:amplh deoftemperaturereaction.
ValuesaremeanS±SD;*p<0.05byHestbetweenWCG andUSG・
Ⅳ. 考 察
寒冷刺激が年齢 よって どの ように生理 的応答 を示す か は,Smolanderら14'に よる と,寒冷 下で 自転車 エル ゴメー タを用 い軽度 の運動 強度 で
3 0
分 間子供 と成 人につ いて直腸温 ,皮膚温 そ して代 謝量 を観察 し反応 は成熟度 によって部位 に差異 を認 め,またFa l k
ら151による と,莱 冷下での軽 い運動強度で,若年者 ,高齢者運動群 と高齢者非運動群 の3
群 を比較 し,高齢者 は運動 の経験 の有無 による差異 を認 めず , しか も産熱量 を高めて も直腸温 に反映 され なか っ た ことを報告 してい る。冷 に対 しての 自律性 体温調節 反応 を向上 させ る生理学 的調節能 は,代 謝 量す なわち熱産生の 増加 にあ った こ とを認 め た。 この事実 に対 しては,LangeAndersenら'は, ヒ トを長期 間 にわた り寒 冷下で運動 トレーニ ングす るこ とに よ り,ふ るえ熱 産生 を増 加 させ耐寒性 が 先進 した こ とや ,森 谷 ら5も7oCの寒冷環境 下でふ る えの程度 と持 久的運動 能力 , そ して代 謝量 とが密接 に関係 していると報告 したことからも明 らかであった。そのメカニズムとしてChinらlh
は,運動 トレーニ ングに よって カテ コールア ミンの作用が心拍 出量 の増加 ,酸 素摂取能 力の 促進 ,内臓 器官へ のlf山充量 の増 加 や骨 格筋血管収縮作用の抑制 とな って熱産生 の促進 に効果 があ り耐寒性 が高 まる こ とを認め てい る。
本観察で も産熱量 は,持 久的運動能 力水準が 高いWCGがUSGよ り寒冷下安静で増 加 し, それ は鼓膜 温の減 少 を低 く抑 え,そ して運動 開始 と同時 に急上昇 して鼓膜温 を高 く保つ結果
となってい る。 また平均 皮膚 温 について も寒冷下安静 では低下が 著 しいが,運動 後 はその低
観 察 を これ まで次 の よ うに報 告 して きた。 運動 経験 年 数が長 けれ ばRIが 高 く,寒冷暴 露 の 機会が 多い屋外 の運動種 目は屋 内の運動種 目に比べCIVD諸値 も高 い こ と。3年間の観察 で はRIとVo2maX (I‑‑e/kg/min)に関係 が あ り,CIVD値 の尤 進 と運動 能 力の向上 とは密接 な関係が認め られ,全身が寒 冷暴露下 にあ る時で もCIVD諸値 は持 久性 体力水準 に従 って尤 進 した こ とであ る。本観察 でのC1VDテス トは,寒冷暴露下であ り結 果は これ まで報 告 して きた こ とと同様 で持 久性 体力水準 が高ければ,す なわ ち,WCGがUSGよ りVo2maX (mF/ kg/min)が 高 い こ とが,CIVD諸
値
を高 く維持 してお り,手指 部 の末梢血管抵抗 は動 静脈 吻合の開張 に よ り側路血流 を増 や し指皮温 を 上昇 させ る こ とがWCGで も明 らか となった。Grahamら17.は,成 人男子 につ いて5℃寒冷暴 露下の運動 で カテ コールア ミンの増加 に伴 い代謝量 の克進 と平均 皮膚 温 の上 昇 を認 めてい る。本観察 では,NAとDは.control値 よ
り寒冷下安 静
中
そ して運動 中 に有意 な増加 を認 め, その程度 はWCGがUSGよ り増 加 して前者が後者 よ り増加が有意 に大 き く,両群の差異 も明確 であった。 本観察でのAについて, 安静 と運動 中でわずかの増 加であったのは,Pearsonら1t)が報 告 した ように,NAは長時 間の
に従 って漸減す る, と した結 果 と類似 していた。
以上 の よ うに,寒冷下運動 に対 して体温調節 の感受性 や熱産生 反応 の改善が車椅子競技 者 に見 られた。今後 は,脊椎損 傷者 の暑熱環境 にお ける生体応答の解析 を運動系 ・自律機能 ・ 免疫能 よ り行 う予定 であ る。
V. ま と め
本研 究の 目的 は、脊髄損傷 で車椅 [・マ ラ ソン競技 者の寒冷環境 下 での運動時 にお ける体混 調節 反応特性 と生理学 的反応 を明 らか にす るこ とである。 被験 者 は,研究 の主旨を十分 に説 明 した上 で同意 を得 た,脊髄損傷 の男子車椅子 マ ラソン競技 者 (車椅 子競技 者 )と健常 な 一 般 男 f一大学生 (大学生 )であ り、持 久的運動 能 力の指標 であ る最大 酸 素摂取量 は申椅 予競技
8 菅 原 正 志 ・田井村 明 博 ・上 平 憲 ・伊 藤 孝
者が大学 生 よ り大 きか った。測定 は,秋 よ り冬 にかけて平均 環境 温度12℃ ,平均 相対湿 度60
% そ して平均 気 流0.5m/secの測 定 室 で実 施 した。 測 定 の方 法 は、30分 間安 静 の後 ,arm crankingエ ル ゴ メー タ運 動 を20watts(50rpm)で60分 間負荷 した。測 定 項 目は,安 静 と通 勤 中の鼓膜温 ,平均 皮膚 温 ,産熱 量 そ して カテ コー ルア ミン,寒冷血管 反応 で あ る。
寒冷暴露 中の安静時鼓膜温 は,車椅子競技 者が緩 やか に低下 してい るの に対 し,大学 生 で は低 下が大 きか った。 また運動 中の鼓 膜温 は,車椅子競技 者 の上昇 は大 き く,運動 開始 後40 分以 降 は横這 いであ った。平均 皮膚温 は,寒冷暴 露後 の安 静で両群低 下 し,運動 開始後 よ り 30分 まで は,車椅子競技 者 よ り大学生 の低 下が大 きか った。産熱量 は,寒 冷暴 露後 の安静 で 両群克進 し, さ らに運動 に よ り急 上昇 したが ,終 始車椅子競技 者が大 きか った。 また運動 開 始30分経 過後 の産熱量 は,車椅子競技 者 と大学生 ともに定常状 態 であ った。 寒冷下 での寒冷 血管 反応 は,車椅子競技 者が大学 生 よ り抗 凍傷指 数が高か った。 カテ コー ルア ミンは, ノル ア ドレナ リン, ドーバ ー ミン ともに25℃ の安 静時 よ り寒 冷暴露後 (安 静状 態 )30分 ,運動 開 始後30分 そ して運動終了時 と高 くな り,その上昇 は,車椅子競技者が大学生 よ り大 きか った。
寒冷下 で の運動 に対 して体温調節 の感受性 や熱 産生反応 は,車椅子競技 者が一般大学生 よ り 優 れてい た。
本研 究 の一部 は,文部省科学研 究費 一般研 究C課題 番号10680039に よった。
文 献
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