2012年度技術部活動報告集
著者 福井大学工学部技術部技術部活動報告集編集委員会
雑誌名 技術部活動報告集
巻 18 (2012年度)
発行年 2013‑03
URL http://hdl.handle.net/10098/8786
技術研究会等参加報告
LabVIEW 体験セミナー報告
第一技術室 機器開発・試作班 青山 直樹 第一技術室 機械システム班 高澤 拓也
日 時:2012年6月14日(木) 13:15~17:00
会 場:日本ナショナルインスツルメンツ(株) 大阪トレーニングセンター 内 容:はじめてのLabVIEW体験セミナー
1. 受講目的
今後の技術部業務品質の向上を目的とし,計測・制御システム作成ソフト『LabVIEW』の体験セミ ナーに参加し,ソフトウェア概要について学ぶと共に情報収集を行う.
2. 会社およびソフトウェア概要
今回,セミナーを受けた日本ナショナルインスツルメンツ株式会社(以下,日本NI)は,ナショナ ルインスツルメンツ(米国)が製作しているLabVIEWを始めとしたシステム開発ソフトウェア,およ
びPXIやCompactRIOなどのモジュール式専用ハードウェアより構成される共通開発プラットフォー
ムを提供するナショナルインスツルメンツの日本法人である.
日本NIの取引実績として,取引業界は自動車・通信から官公庁といった多業種にわたり,主要取引 先は本田技研やキャノン・パナソニックといった大企業や研究・教育機関である省庁・国公私立大学等 がある.また,ナショナルインスツルメンツの連結売上高は年々上り調子であることから,多くの業界 から注目されていることがうかがえる.
システム開発ソフトウェアであるLabVIEWは,開発効率化を目的とし,グラフィカルシステム開発 という手法を取り入れ,従来のプログラミング言語による開発ではなく,アイコンのような直観的にわ かるソースコードを用いて開発できるシステムになっている.つまり,信じがたいがプログラミング言 語の知識がない素人でもシステム開発ができてしまうというソフトウェアである.
3. 受講内容
受講したセミナーは,はじめてのLabVIEW体験セミナーと題されるように初心者向けのセミナーで あった.講義内容は会社およびソフトウェアの概要説明から始まり,講義の流れに沿って個々人がPC 操作を行い,計測システムを作成していくという講義スタイルであり,ソフトの操作や計測システムを 構築していく流れを体感することができ,非常にわかりやすく有益であった.
実際にセミナーで計測システムを作成した内容について報告する.作成したシステムは,数値演算プ ログラムと自動温度計測プログラムの2つ作成した.
1)数値演算プログラムの作成.ある数字を入力して,その数字にソフトが自動的にはじきだした乱数
を和算するといったシステムである.図1に数値演算プログラム概要を示す.
2)自動温度計測プログラムの作成.LabVIEW専用のハードウェアに取り付けられた熱電対に温度変 化を与えて,1秒毎に温度を計測するというシステムである.図2に自動温度計測プログラム概要 を示す.
LabVIEWによるシステム作成において3つの重要な基本性能がある.それは,信号入出力,信号処
理/解析,表示/保存である.当然のことであるが,これら3つの要素が整わないとシステム構築はでき ないということである.この内容をふまえて,数値演算プログラムおよび自動温度計測プログラムを作 成した.プログラム作成は,以下の図に示されるようにフロントパネルとブロックダイアグラムの2画 面上で行う.フロントパネルは表示および数値入力画面となっており,ブロックダイアグラムはプログ ラム用アイコンの配置や組合せによるプログラム作成画面となっている.これら2画面はリンクしてお り,フロントパネルにてあるプロジェクトを選択するとブロックダイアグラムの画面にも選択したプロ ジェクトのプログラム用アイコンが表示されるようになっており,表示画面の構成を考えながら簡単に プログラムを作成することができた.
4. 所感
LabVIEWは簡便性や操作性も良くプログラム作成のみを考えれば,便利なソフトであるのは間違い
ない.ただ,解析手法や計測センサーの選定などの計測における専門知識が乏しいとプログラムを作成 することは困難であると感じた.3次元CADで言い換えれば,3次元モデルをただ単に作成することは できるが,機構・構造計算をふまえた設計ができないということと同義であるといえるのではないか.
つまり,このソフトのパフォーマンスを十分発揮させるには計測・解析スキルの習得が必要になる.
また,SolidworksとLabVIEWとの連携によるPC上でのシミュレーションに関しては,本セミナー
では説明がなかったので引き続き調査が必要である.
図1 数値演算プログラム
図2 自動温度計測プログラム
精密旋盤加工技術セミナー受講報告
技術部 第一技術室 川崎孝俊
ポリテクセンター福井主催の能力開発セミナー・精密旋盤加工技術コースを受講したので報告する。
○概要
期間 平成24年6月19日~22日
場所 ポリテクセンター福井(福井県越前市行松町25-10) 対象者 汎用旋盤作業従事者、または従事予定者
○受講目的
現在の汎用旋盤加工技術は、諸先輩方々から受け継いだものであるが、技術を再確認し新しい加工ノ ウハウを取得することで、製作依頼、センター利用者への指導、新人への技術伝承等に活かす事を目的 とし、セミナーを受講した
○受講者
受講者は六名で、機械加工従事者ではあるが旋盤作業自体は初めてに近い方、NC旋盤のみ使用して いる方、私のように技術の再確認に来ている方まで、様々な習熟度であった。
○講義内容
初日の午前中は切削加工概論についての座学、残りは、ほぼ課題加工実習にあてられる実践的な内容 であった。講義では、切削送りと表面粗さの関係、表面粗さ記号の違い、荒・仕上げ加工における切込 み量・切削速度の大まかな値、ネジ切りの切込み量や下穴径の計算式、ハイス・超硬バイトの概略説明 等があり、旋削加工について理論的に学んだ。
課題加工実習では、普段はあまり使わない四つ爪チャックを終始使用した。四つ爪チャックでの加工 は、材料の芯出し段取りに多くの時間を取られていたが、短時間、且つ精密にだせる技術を得ることが 出来た。また、受講者それぞれのレベルに合った指導が行われ、その指導を聞くことも、勉強となり、
中には、旋盤に精通している方もおられ、その方の作業技法を聞く事は、大変参考となった。
○まとめ
汎用機では今まで回転数、切込み量共に、超硬バイトの能力を生かし切れていない条件で加工をして いたが、最適な条件での加工は、加工時間はもちろん、仕上げ面への影響が大きいことが実践的に知る ことが出来た。テーパー加工に関しては、現在、ほとんどの加工をNC機で製作しているが、光明丹を
使用しての内外テーパー当り面確認法は、参考になる作業であった。その他、ネジ切り加工の再確認等、
多くのことを学ぶことが出来た。
以上のように、理論的、実践的共に多くの知識・技術を得る事が出来る、有意義なセミナーであり、
センターメンバーにも勧められる内容であった。他のセミナーとして、フライス盤、仕上げ加工、数値 制御機器等、様々なテーマがあるので、機会が与えられれば、是非受講をしたいと思う。
課題図面
製作完成部品
LTspice IV セミナー(初級編) 参加報告
第三技術室 小林 英一
日 時:平成24年6月22日(金)10:00~12:30
会 場:東京エレクトロンデバイス株式会社 新宿オフィス 東京都新宿区西新宿3-7-1 新宿パークタワー S34階 講 師:東京エレクトロンデバイス株式会社 ECプロダクト統括本部
第1事業部 ハイエンドアナログ部 リニアテクノロジー担当FAE 堀 邦晴 様
1.はじめに
LTspice の基本操作および解析手法の基礎を学び、更に SPICE モデル(部品情報)に対する理解を
深めることを目的とし、本セミナーに参加した。
LTspiceとは米リニアテクノロジー社(Linear Technology, Corp. 以下LTC社と表記)が提供する無 償の回路シミュレータであり、素子数等の使用制限はなく実用性が高い。LTspice による設計検証技術 を習得することで、新規電子回路の1次試作製作における完成度を高めることができると期待される。
2.セミナーの内容
会社案内 1. LTC社
米国の高性能アナログICに特化した半導体メーカーであり、長期安定供給(原則:生産中止 をしない)および高信頼性を実現し、産業機器、宇宙軍需、車載分野においても高い信頼と 実績を得ている。製品ラインアップの約 6 割は電源マネージメント向けであり、売上比では 産業機器、通信、車載分野の比率が大きい。
2. 東京エレクトロンデバイス株式会社
半導体製品や一般電子部品等の購入・販売・設計・開発、ならびにネットワークやソフトウ ェア等の各ソリューションの購入・販売を行う技術商社。LTC社製品の販売代理店でもある。
3. 株式会社ビー・テクノロジー
SPICEモデリング事業を手掛け、国内販売の拠点も兼ねていたが、2012年12月11日から
日本市場における販売窓口(総代理店)は、マルツエレック株式会社となっている。
アジェンダ
1. ソフトウェアの入手方法 2. LTspice IVとは
3. SPICEモデルとは 4. GUIの設定と説明
5. シミュレーション回路の作成方法 6. 解析コマンド
7. 波形ビューワ/各種測定方法 8. シミュレーション項目の説明
電源回路シミュレーション(演習1、2)
OP-AMP回路シミュレーション
9. その他(SPICEコマンド、メーカー提供SPICEモデルの追加、モンテカルロ解析など)
参加者特典:ビー・テクノロジー社提供の無償SPICEモデル集(CD-ROM形態)
説明資料の一部抜粋
3.まとめ
本セミナーはLTspice IVをインストールしたPCの持参が必須とされ、演習を交えた形式でした。
今まで少し触れた程度では判らなかった様々な操作・解析方法がありフーリエ変換表示(周波数解析)
や電源回路効率の自動算出法など日常業務に直結する内容も多く習得でき、大変参考になりました。
図1.電源回路の効率の求め方
図2.フーリエ変換(FFT)表示
「電源回路設計・解析ツール Power Supply Designer 」セミナー 参加報告
第三技術室 小林 英一
日 時:平成24年6月22日(金)13:30~17:00 会 場:株式会社アイヴィス
神奈川県横浜市保土ヶ谷区神戸町134 横浜ビジネスパークイーストタワー 11F 講 師:株式会社アイヴィス 技術部 課長 真島 寛幸 様
1.はじめに
日常業務において電源トランスを設計・製作したいが、トランスの設計技術は職人技的となっており、
経験やカット・アンド・トライによる設計、または専業メーカーに仕様を伝え、外注するケースが多い。
現状ではトランス設計の支援ツールは少なく、スイッチング電源用トランス・コイルの SPICE モデル もあまり公開されていない。米Intusoft社の”Magnetics Designer” は数少ないトランス・コイル設計 用支援ツールであり、電源設計・解析ツールの特徴および操作方法の説明を受け、導入を検討する。
2.セミナーの内容
電源回路設計・解析ツール Power Supply Designer 下記のツール群を統合した、バンドル製品である。
① トランス・インダクタコイル設計ツール ”Magnetics Designer”
複雑なトランス・インダクタの SPICE モデルを容易に生成でき、7,000 種ものコア材料と 形状を装備している。講師の方が著者である入門書が2012年5月に発売開始されている。
② デジタル電源設計ツール “DSP Designer”
回路シミュレータICAP/4と組み合わせ、デジタル制御処理のリアルタイム検証を実行でき る。スイッチング電源評価ボードを、ターゲットDSP用のスタータ・キットに接続し、SPICE ライクな検証をすぐに実施でき、開発の容易化、信頼性のある製品開発ができるとのこと。サ ポートするDSPはMicroChip製とTI製の2社である。
③ SPICEシミュレータ ”ICAP/4 Windows”
SPICEベースのアナログ・デジタル混在の回路シミュレータ。SPICE 2および3と互換性
がある。21,000個以上のモデルライブラリ、IBISコンバータを装備している。解析中に、BJT
VbeやFET GMなど150種類以上のデバイスパラメータをモニタリングすることも可能。
④ SPICEモデル作成ツール “SPICEMOD-S”
デバイスのデータシートからSPICEモデルを簡単に作成できる。
各ツールの操作画面等の一部
3.まとめ
設計検証できる項目・内容はとても充実していたが、Power Supply Designerはスイッチング電源を 設計開発するメーカー向けであり、各パラメータの設定にはやはり専門職人的な知識が必要で、難易度 は高い。また、近年はLTspiceⅣなど無償のツールも多い中、初期投資額も大きく、導入は断念する。
図4.SPICEシミュレータ ”ICAP/4 Windows”
図3.デジタル電源設計ツール “DSP Designer”
図1.Magnetics Designer / Flyback SMPS Wizard 図2.Magnetics Designer / Bobbin設計画面
化学安全スクーリング 2012
―化学実験室における安全管理指導者の養成―に参加して
第二技術室 物理計測技術班 宮川しのぶ
1. はじめに
平成24年8月6日から7日の2日間、日本化学会 環境・安全推進委員会主催の「化学安全ス クーリング2012―化学実験室における安全管理指導者の養成―」が開催された。このスクーリング は化学実験を行う大学、研究所の研究者・学生ならびに技術職員、更には化学企業の研究所、プラ ント、生産現場で安全管理に関わる全ての方を対象としており、化学実験に関わる安全と衛生に関 して基本から事故事例、最近のトピックスを踏まえ、更に受講者からの質問・ケーススタディによ るディスカッションなど、総合的に学ぶ講習会となっていた。以下に講習内容等について報告する。
2. 講習概要について
会 期:平成24年8月6日(月)~7日(火)
会 場:化学会館会議室(東京都千代田区神田駿河台1-5)
主 催:日本化学会 環境・安全推進委員会
参 加 者:47名(大学等:23名、公的機関4名、企業20名)
プログラム:
8月6日(月)10:00~17:10
講演1 安全の基本(横浜国大環境情報)大谷 英雄
講演2 化学物質の潜在エネルギー危険とその取扱い(東大環境安全)新井 充
講演3 事故事例と教訓-化学実験における事故と化学物質の取扱い(災害情報セ)若倉 正英
講演4 化学物質における混合危険と具体的事例(産総研安全科学研究部門)松永 猛裕
講演5 実験環境・器具・装置と操作の安全(東大工・環境安全)土橋 律
意見交換会(質疑応答)
8月7日(火)10:10~16:30
講演6 化学物質の毒性と予防および救急(東大環境安全)刈間 理介
講演7 廃棄物の安全処理(東大環境安全)布浦 鉄兵
講演8 実験研究における安全管理と危機管理(東工大総合安全管理セ)小山 富士雄
講演9 大学での化学物質管理・教育(東大環境安全本部)林 瑠美子
意見交換会(質疑応答)
3. 講義内容について
●安全の基本(横浜国大環境情報)大谷 英雄
安全と危険の基本的な考え方から、リスクマネジメントまで幅広い内容となっており、特に安全 の部分で「墓標型安全管理(死亡事故に対して改善)」から「予防型安全管理(事故が発生しないよ うに改善)」を構築することが大事としていた。国際的には安全な状態とは、人への危害や災害など が起きていない状態を確保する対策・手段が講じられ、確実に実施されている状態としているが、
日本では危害や災害などが起きていなければ安全な状態としている。この時点で安全の基準が違う と説明があった。リスクマネジメントの具体的なものとしては、電気系の実験について毒物である ヒ素が用いられている例が挙げられていた。この場合はヒ素を使うことにより得られる電気的反応 を優先して、化学的リスクを後回しにしており、危険が伴っていることを認識する必要があること を報告していた。
●事故事例と教訓-化学実験における事故と化学物質の取扱い(災害情報セ)若倉 正英
最近、大学等で発生した事故を例に、事故発生状況及び原因について説明があった。 大学では取 り扱う化学物質は少量多種であるが、総量は多量という特徴がある。実際に発生した事故事例を見 ても、様々なものがあったが、化学物質の安全性の確認不足による火災・爆発事故、液体窒素・有 害ガスによる窒息事故は、本学でも起こり得るものであり、とても勉強になった。 また、物質毎に 挙げられた事故事例は、それぞれに事故を防止するポイントについても説明があった。現在、本学 では化学薬品による大きな事故の報告は無いため、他大学等の事故事例を教訓として活用できると 良いと感じた。講師からはヒヤリハットの情報が公開されている書籍が案内されていた。
●化学物質の毒性と予防および救急(東大環境安全)刈間 理介
化学物質の毒性については、生体内への吸収量によって障害の程度が変わるため、安全に取扱い、
有効に利用するために様々な基準が設けられている。大学内で発生し得るものとして酸・アルカリ による腐食が挙げられる。特にアルカリは時間をかけて進行するため、眼・皮膚に付いたときは 1 秒でも早く流水で 30 分洗浄が大事であると説明があった。また、受講者からの“最近問題になっ ていたジクロロメタンについて”の質問に対しては、“特定するにはまだ不十分であるが今後規制は 厳しくなると予想される”と回答があった。
4. まとめ
研修では、安全・衛生管理の基本から事 故事例に至るまで幅広い内容の講義が行わ れた。特に化学物質の取扱いについては引 火性物質の映像や毒物・劇物の管理におけ る具体例を示しながらの講義で、実際に起 こった事例からの教訓の説明もあった。更 に改善方法やその後の対策についても触れ られており、有意義な内容となっていた。
参加者は企業からも来ていたが、内容とし ては大学を中心に話されていたため、私と
しては理解しやすい講義と感じた。また、今回得られた内容は、化学物質の事故事例や実験器具の 安全操作を含め業務に反映しやすいものであった。
平成24年度 機器・分析技術研究会 大分大会 参加報告
第一技術室 機械システム班 髙澤 拓也
1. 開催概要
研究会名: 平成24年度 機器・分析技術研究会 大分大会
日時: 2012 年 9 月 6 日(木) 13:00~16:30(懇親会 18:30~20:30)
2012 年 9 月 7 日(金) 9:00~15:30
会場: 大分大学 旦野原キャンパス (大分県大分市大字旦野原 700 番地)
主催: 国立大学法人 大分大学
2. 目的
研究会での発表を聴講し分析機器や技術について学ぶこと、研究会メーリングリストへの登録 や参加者との交流を通して分析機器や技術に関する情報網を獲得することを目的に参加しました。
3. 研究会内容
全国の各大学の技術職員の方々が、分析に関わる業務や研究の成果をポスターもしくは壇上でのパワ ーポイントによって報告し合うという内容でした。参加者は発表者と聴講者を含めて約 200 名で、ポスター 発表者、口頭発表者、聴講者の内のどれかの枠で参加する形になっており、今回自分は初参加ということ で聴講のみの枠で参加をしました。今回聴講した主な発表を以下に、また、日程を図 1 に示します。
・X線光電子分光法による極薄膜厚さの
測定角度に関する調査
(名古屋大学 工学研究科・工学部技術部 高田 昇治)
・工作機械から作業者が受ける騒音の現状と対策 (信州大学 工学部技術部 梶田 昌史、原 宏)
・走査型電子顕微鏡用試料台の設計・製作
(徳島大学 大学院ソシオテクノサイエンス研究部 菅野 智士、宮本 康平、島村 豪敏)
・施設におけるマニュアル化の取り組み (鹿児島大学 農学部技術部 西谷 篤)
図 1:研究会プログラム
4. 所感
発表内容としては SEM や MASS、FT-IR といった分析機器を取り扱ったものが多く、測定精度や効率の アップ、新しい測定方法の検討といった分析業務における改善をテーマにしたものが殆どでした。一方で、
分析機器の学内での運用方法の見直しや安全衛生関連の報告、中には技術部での海外研修の報告と いったものもあり、分析とは直接的な関係がないように感じられる内容のものもあり、機器・分析という名前 でありながらも幅広いテーマを扱う研究会だという印象を受けました。なお、発表の前に行われた特別講 演については大雨の影響により電車が遅れたため、残念ながら聴講することはできませんでした。
自分はまだ本格的な分析業務が始まっておらず、分析装置に関する知識も少ないため内容を完全に 理解できた発表は多くありませんでした。しかし、どの様な分析機器が存在し、どういった問題があるのかと いう点については知ることができたので、研究会で得た情報を起点とし、知識を深めたいと思いました。
交流の面では懇親会を通して機器分析技術研究会のメーリングリストへの登録を行えたことに加え、若 手の機械系技術職員で SEM での分析を主業務としているという、自分と大変近い境遇の方とも知り合うこ とができました。また、その他にも他大学の様々な方から情報を得られ、コネクションを築く事も出来たため、
交流面では当初想定していたよりも多くのものを得ることができました。
以上より、分析機器の知識習得と情報網の獲得という目的が充分達成できたのではないかと感じてい ます。最後に本研究会への参加の機会を与えて頂いた皆様に深く感謝いたします。
図 2:大分大学入口 図 3:口頭発表の様子
図 4:懇親会の様子
設計・製造ソリューション展 調査報告
第一技術室 機器開発・試作班 青山 直樹
日 時:2012年10月5日(水) 10:00~17:00 会 場:インテックス大阪
内 容:設計・製造ソリューション展
1. 目 的
CAD・CAEに関する情報収集ならびに現在運用している3D-CADソリッドワークスとの機能評価を
実施する.また,外注試作メーカーやサプライヤーの情報収集を行い,試作業務ネットワークを構築し ていく.
2. 展示会概要
設計・製造ソリューション展は,CAD,CAE,生産管理システムなどの製造業向けのITソリューシ ョンが一堂に出展する西日本最大の専門展である.会場には,ITソリューションメーカーのほかに3D プリンタや3次元測定機,設計・製造のアウトソーシング業者なども出展している.
3. 調査報告
<CAD・CAE>
CATIA V5【DASSAULT SYSTEMES社】(図1)
ハイエンドCADと呼ばれ,高機能・高価格であり複雑な操作を要するCADである.(CAEも搭載す ることが可能)使用しているメーカーは,航空機・造船・自動車メーカー等,有名大企業はこのソフト を用いて商品開発を行っている.将来,これらの業界へ就職していく学生には役に立つソフトであると 考える.
ICAD/SX【富士通 社】(図2)
ミドルレンジCADで設計モデル要領の小ささやストレスを感じない高速動作が特徴である.この他
にも,SolidWorksだとパーツからアセンブリしていくのですが,ICADはアセンブリからパーツを作成
していくという特殊な手法がとられている.また,履歴や拘束といったものを考えずにモデル編集がで きるといったことも大きな魅力である.デメリットは,操作方法が一般的なCADと異なるため,使い 始めは戸惑ってしまうことがある.他にも,自由曲面をもつモデル(精密加工モデル)の作成が困難で あり,他ソフトとの相互互換性に不安がある.
<試作業者>
ダイテックス(図3)
株式会社ダイテックス殿は各種機械ならびに関連機器の設計や製図・技術コンサルティングを行って いる.設計・解析のみ行っており,製作は行っておらず外部に委託している.
担当者に教育・研究機関から依頼があるか聞いてみたところ,過去に装置試作の依頼はないようです が,CAD教育の依頼はあり,実施されているようである.
京都試作ネット(図4)
京都のモノづくり企業26社が提携し,試作ネットワークを構築している.試作の内容としては,メ カトロ設計試作や基盤設計,精密加工までと幅広い分野で対応している.この試作ネットの最大の魅力 は問い合わせに対するレスポンスの早さである.WEB上でフォーム送信をしてから2時間という早さ で対応してくれる.ただし,このネットワークはスピードに重点を置いているようなので,コスト面は 劣るようだ.短納期に対応するには良いシステムだと考えられる.
4. 所感
展示会はかなり盛況で,通路を歩くのも困難なくらい混雑していた.特にCADやCAEを取り扱うブ ースでは多くの人が集まり,新しいソフトウェアを探す方々が多く見受けられた.いくつか興味深い
CAD・CAEのソフトウェアがあったが,やはりソリッドワークスの操作性や多機能,また互換性など
を考慮すると,現業務には現ソフトが最も適しており良好であると考える.
設計・製造ソリューション展以外にも機械要素技術展や医療機器開発・製造展も開催されていた.特 に,機械要素技術展では今後の装置試作業務に役立つような部品の数々が展示されており,とても有益 であった.
図1 CATIA V5 図2 ICAD/SX
図4 京都試作ネット 図3 ダイテックス
第 71 回全国産業安全衛生大会
第一技術室 機械システム班 古屋 岳
はじめに
平成24年10月24~26日にかけ全国産業安全衛生大会が富山市で行われ,25,26日の2日間特 別研修として参加した。参加の目的は工学部技術部安全衛生管理チーム員として,安全衛生に関す る知識を深めるとともに,様々な会社で行われている安全衛生活動について知見を得ることである。
内容
本大会は10の分科会で構成され,富山駅周辺の8会場で報告および講演が行われた。聴講した 研究報告(講演)は以下のとおりである。なお,特別報告等を除く研究報告は1件20分であった。
労働衛生管理
1) 騒音化コミュニケーションのための防雑音ヘッドセットの導入 新日本製鐡(株)設備・保全センター/原田稔
2) 定期健康診所見の変化から見た小規模事業場男性労働者の健康実態 (公財)友愛健康医学センター/増田法子
3) 安全衛生委員会の効果的な進め方ポイント集(Q&A)の作成 神奈川労働衛生研究会執行部/石川末起子
4) 未経験者の疾病防止に向けた効果的な教育・訓練方法の構築 トヨタ自動車(株)/本間幸貴
5) 東日本大震災に伴う原発事故による放射性物質の汚染への対応 (講演) 中央労働災害防止協会/山田憲一
ゼロ災運動
1)KY定着と労働安全衛生マネジメントシステムのレベルアップを目指した活動 (株)IHIエアロスペース富岡事業所/飯島武彦
2)大鉄KY活動を労働災害防止に生かすために 大鉄工業(株)北陸支店 富山出張所/目黒裕 3)KY活動マンネリ化との闘い
マンパワーセキュリティ(株)/安野聖美 安全管理活動
1) 安全に王道なし~地道な不断の5S活動の重要性~ (特別報告) きむら5S実践舎/木村温彦
化学物質管理
1) インジウム・鈴酸化物の取扱作業者のばく露防護のための労働衛生保護具の選定 十文字学園女子大学大学院/田中茂
2) 化学物質のリスク低減活動~健康障害防止~
サンエイ(株)/塚田梨沙
3) 化学薬品を使用した貴金属のリサイクル(回収・精製)現場における安全への取り組み田中金 属工業(株)湘南工場/小林純
4) 製造課における化学物質リスクアセスメントの実践 (事例報告) DIC(株)北陸工場ポリマ製造部/長岡伸郎
5) MSDS作成のための文献情報の収集方法 (特別報告) 中央労働災害防止協会/松本道治
6) 自主的な化学物質管理に向けて (講演) 厚生労働省労働基準局安全衛生部/奈良篤
それぞれの報告・講演は非常に興味深いものであったが,特に印象的だった報告・講演について各 分科会1件ずつ報告する。
1. 未経験者の疾病防止に向けた効果的な教育・訓練方法の構築
本講演では健康障害の一つであるばね指の予防について研究報告であった。トヨタ自動車におい て健康相談の8割が新人や応援者などの経験の浅い作業員であり,報告される疾患は上肢や指に関 するものが多数である。その要因として経験の浅い作業者はインパクトレンチ等を用いた締め付け 作業において不必要に力を入れ工具を把持する傾向があり,指への負担が大きくなる事が挙げられ ていた。本報告で取られた対策は
a) 工具の把持力の可視化
b) 教育において原因と結果の因果関係を含めた詳細な説明を行う c) 実際の作業に則した時間設定での訓練
であった。それぞれ,“ニュアンスを伝えるのが難しい適切な力加減の理解”,“因果関係理解による 作業に対する意識の変化”,“実際の作業時間にあった訓練により無駄な力みを無くす”という効果 が紹介されていた。
2. KY定着と労働安全衛生マネジメントシステムのレベルアップを目指した活動
本報告はIHIエアロスペースが取り組んでいるKY活動についての紹介が主であった。IHIエア ロスペースでは2008年に発生した作業者の足の甲粉砕骨折という重大災害をきっかけに労働安全 マネジメントシステム(OSHMS)を導入し,全社を挙げてリスクの軽減に取り組み,重大事故リスク を50%低減することに成功したとのことである。しかし,この取り組みだけでは個人の経験不足な どにより危険認識できなかったことに起因する事故を完全に防ぐことはできず,軽微な事故が年に 数件程度発生していた。そこで従業員が危険に対する感性を高めるために,独自の自問自答1人 KYを構築し,実践しているとのことであった。KYTには4R法を含めた様々な手法があるが,自 問自答1人KYは切れすれ・はさみ・転倒・など決められた8項目について作業内容や作業現場に
危険があるかないかを判断し,危険がある場合はそれに対する対応を定めていく手法であり,比較 的現場で実践しやすいものである。IHIエアロスペースでは一般的な自問自答1人KYの項目以外 に作業現場で遭遇する危険性について項目を追加し,指差呼称項目を設定しているとのことであっ た。この結果,近年の事故件数は2年連続で1件にとどまっているそうである。このような各職場 にあったKYの作成は職場環境におけるリスクの低減に有効であるという印象を受けた。
3. 安全に王道なし~地道な不断の5S活動の重要性~
講師の木村氏は2003年より足利市にて5S運動に取り組み活動骨子として「足利5S学校(足利 学校)」,「5Sテーマパーク」を掲げている。5S活動は技術面の追求ではなく,マネジメントの視点 で行われるため,最近では自主活動により街中がつながり,異業種の交流や後継者へのバトンタッ チがスムーズに行われつつあるとのことであった。5S活動は整理,清掃(整列),整頓の3Sが全 体の70%を占め,重要なのは眼力と決断,順序,できることから行う,余計なことはやらないであ る。できることから行うことにより職場環境が改善され,できる範囲が広がりより改善がなされる というサイクルになるとのことであった。また,清掃については行うごとに初期清掃から点検清掃,
安全清掃にシフトしていき,より職場の安全性を高める効果があるとのことであった。
本講演では印象的な意見が2つあった。1つは「5S活動には期限を切らない」という意見である。
これは5S活動自体が期限内に終了することを目的とするのではなく,継続的に5S活動を行うこと により社内の環境を改善していくものである。また,他の繁忙業務がある場合はそちらの業務を優 先して行うことにより5S活動に対する精神的な負担を軽減する事が長く活動を行う上で有効であ るとのことであった。もう1つは「5S活動を仮に完璧に行ったとして完全な安全環境はできない」
との意見である。業務には人や物の入れ替わりがあるのが常であり,定常状態であることの方が稀 であること,人の感情は常に変化することからエラーは起きるものとしてとらえる必要がるためで ある。ただし,5S活動により判断力を向上させることにより対応力が増し,リスクの低減を図れる とのことであった。
4. インジウム・スズ酸化物の取扱作業のばく露防護のための労働衛生保護具の選定
本講演では酸化インジウムと酸化錫を高温で焼結した物(ITO)の研磨従事者が粒子の吸引による 疾病により死亡したことを発端とした暴露量に関する基準の決定やその後の動物実験等による目標 値の決定,日本バイオアッセイ研究センターによる暴露が許容される濃度の決定について詳しく紹 介されており,暴露に関する基準等の決定の流れを知る事が出来た。また,その後の作業者27人 について行われた暴露状況調査についても報告があり,41 %が目標濃度以上の作業環境であり,許 容される濃度以下の作業環境は0 %とのことであった。このことは目標値が定められたとしても,
すぐに作業環境の改善につなげる事は難しいことを示しているという印象であった。そのような環 境下で働くうえで,暴露防止のために使用されるマスクについて,防護係数の読み方や電動ファン 付呼吸用保護具の有効性について紹介があった。
まとめ
本大会では様々な職種で行われている安全衛生活動について聴講する事が出来た。トヨタ自動車 の報告で挙げられていた”経験の浅い者を教育する際には原因と結果の因果関係を含めた詳細な説 明が必要”との意見は毎年行っている寒剤の新規使用者に対する高圧ガス保安教育にもあてはまる 事柄であり,これまで行ってきた説明を振り返ると共に,来年度以降の説明会ではより分かりやす い内容で話ができるよう心がけたい。KYの実践について,私は昨年の東海北陸地区技術職員合同 研修会にて安藤専門職員と共に危険予知トレーニングを受講しており,技術部の安全衛生管理推進 チーム内において研修内容の報告を行っている。しかし,トレーニングとしては有効であっても実 際の現場に導入することは難しいという印象を持っていた。本講演でKYをそのまま導入するので はなく,職種に応じた手法へ柔軟に変更することで,より現場の状況にあった危険予知が可能とな るとの印象を受けた。5S活動については私自身があまり詳しくないため,今回の講演で5S活動の 全体的な流れや効果を知る事ができ,職場における整理整頓の参考になった。化学物質管理では危 険と思われる物質に関する調査や通達,暴露状況の調査等に関しての講演を聞くことができ,興味 深いものであった。今回,大会に参加した経験を今後の安全衛生業務に生かしていきたいと思う。
図1 会場にて 図2 講演風景
図3 KY実演風景
若狭湾エネルギー研究センター科学機器研修 参加報告
第一技術室 機械システム班 髙澤 拓也
1. 開催概要
研究会名: 科学機器研修
日時: 2012 年 10 月 25 日(木) 13:30~16:30_(表面分析机上講習会)
2012 年 11 月 27 日(火)~28 日(水) 9:30~17:00_(FE-SEM 研修)
2013 年 3 月 12 日(火)~13 日(水) 9:30~17:00_(試料前処理研修)
会場: 若狭湾エネルギー研究センター(福井県敦賀市長谷 64 号 52 番地 1)
主催: 日本電子株式会社
2. 目的
講習会及び実習会に参加しSEMおよびSEM試料作製についての知識を得ること。また、実 際に機器の操作及び試料作製を行い、SEMでの分析に必要な技能を習得する事を目的として参 加しました。
3. 講習会内容
○表面分析机上講習会
下記の内容で講習会が行われました。
・SEM の原理や用途の説明
・EPMA、AES、XPS の原理や用途による使い分けの説明
・CP、FIB、ミクロトームなど各種試料前処理装置の仕組みと特徴の説明 ・卓上 SEM、前処理装置など日本電子の新製品の紹介
机上講習会では SEM といった観察機器に加え、EPMA 等の分析装置、FIB や CP といった試料作製 装置の概要と原理についての説明が主でした。また、最後に日本電子が販売する新型の卓上 SEM や CP についての紹介がありました。
○FE-SEM 講習会
下記の内容で研修が行われました。
1日目
AM: SEM および EDS の原理と仕組み、観察時の機器操作のポイントの説明 PM: FE-SEM の基本操作実習および試料(高澤持参)の観察
2日目
AM: 試料(高澤持参)の観察および EDS 分析、試料(コートされた金属片断面)観察と分析 PM: ショート基板の鉛の観察分析、時計の竜頭の観察分析、白金蒸着装置の操作法紹介 FE-SEM 研修では初日の午前中に SEM に関する座学を行い、初日午後および 2 日目は各自が持 参した試料の観察を行いました。高澤が持参した、MSE 試験にて摩耗させた純銅の試験片の他、ショ ートした基板から漏れ出た鉛や、腕時計の竜頭などの観察を行いました。
○試料前処理研修
下記の内容で研修が行われました。
1日目
AM: SEM 観察に用いる各種試料作製ノウハウについての説明(座学)
PM: FE-SEM を用いた高澤持参試料の処理前観察、前処理(試料切断)
2日目
AM: ポンプシャフトの錆のEPMA観察、その他受講者持参試料の前処理 PM: 高澤持参試料の CP 処理、CP 処理後の試料観察
試料前処理研修では初日午前中に前処理についての座学を行い、初日午後および 2 日目に各自 が持参した試料の前処理と観察を行いました。錆が発生したポンプシャフトや繊維、基板など様々な試 料が持ち込まれており、高澤は FE-SEM 研修時と同様、純銅の MSE 試験片を持参しました。
4. 所感
表面分析机上講習会は今後実習会が行われる機器の概要説明といった印象を受けました。各項目 40 分 程の説明だったため詳しい内容には触れず、測定原理や使用目的など基本情報の説明のみに留まってお り、その分 EPMA や AES、前処理装置など使用経験のない機器の概要を把握する上では理解しやすく感じ ました。今回実習を受けなかった機器についても機会があれば今後の研修に参加し学びたいと思いました。
FE-SEM 研修では初日に座学と基本操作の学習、2 日目は各自が持参した試料の観察と分析という流れ で進みました。座学では SEM の原理について詳細な説明があった他、正確な観察画像を得るために必要な 機器の調整方法なども学ぶことができ、参考になりました。また実習では、得られた画像の解釈の仕方に加 え、EDS 分析での機器の適切な設定方法についても実際に機器を使用しながら学ぶことができたため大変 参考になりました。机上講習会に比べ内容も詳細で、自ら機器を操作しながら学べた他、疑問点についても メーカーの CS の方に答えて頂けたため、FE-SEM を学ぶ上で非常に効果的な研修だったと感じています。
試料前処理研修では初日に座学と持参試料の前処理、2日目は前処理の続きと前処理後の試料観察と いう流れで進みました。座学ではCPを用いた処理をはじめとする様々な手法が目的に合わせて紹介されて いたほか、試料の固定など基礎的な部分についても説明されていたので参考になりました。実習では参加 者5人中4人が試料を持参し、全ての試料の前処理および観察を並行して行ったため FE-SEM 研修時ほど 詳細な説明はなく、質問もあまりできませんでした。しかし、普段大学では行っていない CP 処理を通した観 察を行ったことで新たな発見もあり、前処理の効果を充分に感じることができた研修となりました。
以上の研修を通して前処理も含めた SEM 観察のノウハウと各機器の操作技術を得ることができたので、
目的は達成できたと感じています。今回、研修に参加する機会を与えて頂いた皆様に深く感謝いたします。
図1:表面分析机上講習会プログラム
図2:FE-SEM研修プログラム
図3:試料前処理研修プログラム
図4:若狭湾エネルギーセンター外観 図5:FE-SEM(日本電子㈱製JSM-6340F)
図6:白金蒸着装置(サンユー電子㈱製SC-701MCY) 図7:EPMA(日本電子㈱製JXA-8900RL)
図8:試料前処理座学の様子 図9:CP装置(日本電子㈱製SM-09020CP)
高圧ガス消費者保安講習会に参加して
第二技術室 物理計測技術班 宮川しのぶ 第三技術室 システム設計班 小林 英一
はじめに
平成24年11月19日に日本産業・医療ガス協会北陸地域本部主催の保安講習会を受講してきた ので報告する。この保安講習は産業ガス、医療ガスの安全確保の重要性から、ガス消費者の自主保 安の一層の充実を図るとともに管理及び技術担当者の知識、技能の習得・向上を目指して開催され た。
1. 受講目的
現在、工学部では多くの高圧ガスボンベを使用しており、学生等が安全に使用できるよう保安教 育を行っている。今回、高圧ガスボンベの安全管理について充分な知識を得るために、ガス消費者 向けに開催された講習を受講した。
2. 保安講習概要
会 期:平成24年11月19日(月)
会 場:福井県中小企業産業大学校(福井市下六条町16-15)
主 催:一般社団法人 日本産業・医療ガス協会 北陸地域本部 参 加 者:約50名
プログラム:
11月19日(月)13:30~16:30 1 高圧ガス保安法と自主保安について
福井県安全環境部危機対策・防災課 消防保安室 企画主査 岸本 昌代 2 ガスの組成と安全な取り扱いについて
日本産業・医療ガス協会 技術委員 谷屋 五郎 3 CE設備の構造及び保安管理について
日本産業・医療ガス協会 技術委員 瓦林 督弘 4 質疑応答
3. 保安講習内容
高圧ガス保安法と自主保安について
高圧ガスには圧縮ガス・液化ガス・溶解ガスがあり、可燃性・不燃性・毒性などに分類される。
ガスの燃焼には消防法が適用され、ガスを使用する職場の労働者の安全確保には労 働安全衛生法が
適用される。また、高圧ガスそのものについては高圧ガス保安法が適用される。各事業所はこの高 圧ガス保安法によりさまざまに分類される。分類としては圧力や状態を変化させたり、容器に高圧 ガスを充填したりする場合は製造者、それ以外は貯蔵所や消費者となる。これらの事業所は知事へ の届出や許可が必要で、本学でも届出を行っている。また保安係員を置き5年に1回、講習受講を 義務付けていることが説明された。
一方、各事業所では関係法令の遵守や設備の維持・管理により、自主保安を行っているが、事故 が無くなることはない。現在は、冷凍事業所での事故割合が多く、冬に向けて寒さによる金属収縮 などに注意が必要と説明していた。また災害・事故の改善についてはハード面(設備の維持管理)
とソフト面(操作ミスなどのヒューマンエラー)の両面からの提案が大事である。なお、 高圧ガス による災害や紛失・漏えい等の事故については、事故届を提出しなければならない。その内容によ り、新たな対策を行うことがある。先日の東日本大震災においては高圧ガスボンベ等に関して、新 たな義務付けを必要とする事故はなかったと説明があった。
ガスの組成と安全な取り扱いについて
一般に使用されるガスとして酸素、窒素、アルゴン、二酸化炭素が挙げられるが、これらは無色 無臭のガスである。そのため、各ガスの性質を知らずに使用した場合、事故につながる恐れがある。
そこで、ガスの性質・取扱いについて説明があった。二酸化炭素や窒素については多量に吸入する と窒息を起こすことは知られているが、濃度の高すぎる酸素も危険であると説明があった。 特に、
閉じられた作業場では、酸素濃度の確認や吸排気設備の確認を行うことがとても大事である。また、
ガスではないが昇華により体積が数百倍になるドライアイスの危険性も指摘していた。
CE設備の構造及び保安管理について
CE とはコールドエバポレーターの頭文字であり、超低温液化ガス貯槽のことを指す。今回はこ のCEの構造から保安管理、事故事例の説明があった。その中で過去最大という CEの破裂事故に ついて詳細の説明があった。事故は液体窒素貯槽に充填してから約 60 日後に起こった。貯槽は安 全弁の元弁が人為的に閉止されていたため、密封状態が続き、破裂圧約 7MPa(推定値)に至った とき内槽 7個、外槽 11個に破断し、約 350m 飛散した。幸いにも死傷者は出なかった。この事故 を受けて事故原因の究明・再発防止策の検討が行われた。
4. まとめ
講習を受講して高圧ガス保安法と事業所に必要な維持管理、更には事故事例まで幅広い説明があ った。ガスの安全管理の基本や特殊なコールドエバポレーターの事故事例に至るまで幅広い内容の 講習となっていた。特にコールドエバポレーターについては操作を行ったことがない初心者にも注 意点などが解り易く説明されていた。また、高圧ガスの事故災害防止として①取り扱う高圧ガスの 性質をよく理解すること②高圧ガス設備・容器等の正しい取り扱いに習熟すること③設備をよく点 検し、基準に合うように管理すること④万一の緊急時における処置方法について、訓練・理解する こと⑤取り扱う高圧ガスの貯蔵状況及び量を適正管理すること。を挙げていた。今回の講習は、本 学で行われている保安教育より専門的な内容が多く、実際の業務に反映できる内容であった。
平成 24 年度高エネルギー加速器研究機構技術職員シンポジウム参加報告
統括技術長 町原秀夫
平成25年1月16日、17日の両日、高エネルギー加速器研究機構(KEKと略)において国立大学、
高専、大学共同利用機関に働く技術職員の研修や組織のあり方をテーマに、13 回目となるシンポジウ ムが開催され、他大学・機関の状況調査と情報交換を目的に町原が聴講参加しました。
シンポジウムには37機関、約90名で、30大学、5高専、3機構から参加がありました。
シンポジウムのテーマは、①技術職員の研修について ②技術組織のあり方についてで、2日間で 14 人の発表が行われ、研修を軸にしたものでは海外での1年にわたる専門研修、人事交流を活用した 専門技術者の養成、大規模大学における学内共通機器研修、専門技術研修の成果と評価、組織マネジ メントに関する研修など、それぞれ視点が違うものの多彩な研修企画の存在と経験談を聞くことがで きました。
技術組織のあり方についての報告としては、組織化後の次の課題、昇格・職務評価・異動に係る人 事、地域貢献の位置付けと方法など、どれもこれからの組織運営に生かせる報告内容でした。
○ 各機関の発表から
特徴的な内容もしくは参考になると思われるものを以下に報告します。
KEKの報告は長期海外派遣制度による技術職員の専門研修プログラムについてで、今までに 8 名 派遣されており、受け入れ先との折衝などはすべて自分で行うようです。もともと機構内には外国人 研究者が多く、機構として英語を学ぶ研修プログラムがあるとのことでした。
東北大の報告は学内に置かれている大型のTEMやSEMの操作、試料作成を専門研修として行っ たというもので、学内 8 部局にある機器に関係する技術職員にアンケートを行い、研修内容を決めた こと、講義では観察データを観察例として出せなくて苦労したと話されていました。
分子科学研究所では 95 年より技術取得のための受け入れ研修制度を設けており、年間 10 人程度で はあるが旅費などの予算を獲得しているようです。これは課題解決型の研修としていくつかのテーマ があり、ウェブサイトで確認できます。
豊橋技術科学大学の報告は安全衛生に関するもので、第一種安全衛生管理者の資格を教員も含めて 取得率の向上をめざしているとのこと。教職員 334 名のうち 122 名がすでに取得しており、技術職員 は全員取得済みと報告していました。
鹿児島大からは技術組織および地域貢献事業の紹介があり、平成 26年に外部評価を受けることが決 定したため準備をしているとの報告がありました。
北海道大学は平成 25 年 4 月から教育研究支援部として全学組織に移行するようです。19 部局の技 術職員を 5 グループにわけ、職名も統一するとのこと。これからは全国研修として位置付けられるも のを調査していくこと。北海道地区技術職員研修では今後講義内容に安全保障や輸出管理を入れるこ となどの紹介がありました。
高専間の人事交流について、沖縄高専から状況報告がありました。沖縄高専は開校 10 年目であり、
技術職員は 10 名しかいないが、50 歳以上の熟練技術職員がいないこと、このまま異動がなければ 10 年後には老人ホームになりかねないので、人材育成策として人事交流を始めるようになったことが紹 介されました。
意見交換会では、大規模大学の技術組織で人事権の話がでており、参加者からは「人事権といって もいろいろあるが、今の組織体制ではそれをどのように使うのかイメージできない」「組織力を向上さ せるために人事異動をというが、技術者の場合そう簡単にいかない」など熱い議論が交わされました。
最後に主催者側から、「今回のシンポジウムは研修と組織のあり方をテーマにした。組織化後やるべ き課題がますます高度化しており、締めくくりとして簡単にまとめられない。今後一層の議論と蓄積 を」として閉会のあいさつとしました。
なお折角の機会なのでシンポジウム会場近くの機械工学センターを見学させていただき、共同研究 機構のようなところの工作施設と設備、製作依頼システムについて機械工学センター長の中山教授よ りお話を伺うことができました。
機械工学センターの業務 1 支援業務
製造支援: 各種部品の製作、測定、組立、設計等でリーダーが1人窓口となり、毎月の進捗状 況を点検しているようです。大小の依頼件数は大体400件、年間40件ほどのプロジェクトに関わっ ていると聞きました。依頼製作については材料費をのぞき、課金システムは採っていないとのこと です。その代わりに相応の運営経費が機構から配分されるため、煩わしい事務業務がないだけマン パワーを活用できると聞きました。
エンジニアリング支援: ここには17名の技術職員が配置されていますが、それぞれ研究プロジ ェクトに参加して装置・設備の設計や製作、実験などを行っており、なかなか、みんなが揃うこと は少ないと聞きました。そのこともあって、ユーザーズコーナーを設置してそこを開放することに より、工作機械の利用サービスを行っています。
2 研究開発
加速器科学に貢献するために機械工学分野の先進的な研究開発を行っています。加速器科学はプ ロジェクトによってはニオブやチタンなどの特殊材料が使われます。時には特定の加工のためだけ に必要な加工機が要求されるため、その機械購入を含めたプロジェクト経費の受け入れもあるよう で、そのために新しい加工技術、要素技術の調査が求められていると聞きました。これに類する装 置で、説明を受けたものに加速リングで使われる超伝導キャビティ製作のための加工機があります。
これは銅パイプを絞りと油圧を用いた膨張機構を利用し、二工程を一つの機械で済ませるものです。
また、精密インローハメ合いの後、高温水素雰囲気中で接合させる機械も見学できました。
3 教育・人材育成
その他、センターでは工作技術・機械製図講習会の開催をはじめ、開発された加工技術について は企業への技術移転を行っていると聞きました。
4 機械工学センターを支える教職員
センター長含む教員は3名(2名は助教)、技術職員は17名で、うち2名は嘱託職員です。その他 パート事務職員が1名です。今期ようやく高専卒の若手職員が1名採用されて23歳が一番若い人と なりましたが、その上の年齢層は43歳からで、この間実に20年の年齢差があります。
年齢構成のアンバランスについては他大学・機関でも同じような課題を持っているところはあり ますが、20年と聞いてびっくりしています。
レーザー安全公開シンポジウム 参加報告
第三技術室 小林 英一
日 時:平成25年1月30日(水)14:00 ~ 17:45
会 場:イーグレひめじ(兵庫県姫路市本町68番290) アートホール 主 催:一般社団法人レーザー学会 「レーザー安全教育」技術専門委員会 プログラム:
1)光・レーザーが皮膚に与える影響
〇今川孝太郎,宮坂宗男 (東海大学 医学部 外科学系形成外科)
2)光・レーザーが網膜に与える影響
尾花 明 (聖隷浜松病院・眼科)
3)眼のレーザー事故例について
植田俊彦 (昭和大学 医学部 眼科)
4)光・レーザーに対する安全めがね
石場義久 (山本光学株式会社 ビジョンケア・光研究所)
5)光・レーザーの安全対策
若木守明 (東海大学 工学部 光・画像工学科)
6)光・レーザーの安全基準
橋新裕一 (近畿大学 理工学部 電気電子工学科)
1.はじめに
近年、研究室所有のレーザー機器が増えており、工学部の一般ユーザーを対象にした安全教育の必 要性が高まっている。そこで、技術部内でレーザー安全教育が可能な人材を育成する為、本シンポジ ウムに参加にした。
2.講義内容(概略)
2-1「光・レーザーが皮膚に与える影響」
皮膚は表皮・真皮・皮下組織の3層構造で、光の各波長により皮膚組織内の深達度は変わり、照 射時間と出力により作用が変化する。太陽光においても、波長 700nm(赤)~1200nm(近赤外)は皮 膚内への深達度が大きく、皮下組織まで届いている。
2-2「光・レーザーが網膜に与える影響」
レーザー別では、Nd:YAG レーザー(波長 1064nm)の光路調整中の事故が多い。また、平成 24 年 5 月の金環日食で話題になった日食網膜症は全国で 958 例の報告があり、これらは急性障害という。
対する慢性障害として、高齢者で増加している加齢黄斑変性は様々な要因が関与するが、可視光、
特に青色光の影響が大きい(ブルーライトハザード)。光環境は白熱電球 ⇒ 蛍光灯 ⇒ LED へ急速 に移行しているが、LED 照明の発光スペクトルピークは約 450nm(紫)となり、従来の光源より青成 分が強い。但し、完全に青成分をカットすると睡眠リズムに影響するなどの弊害も考えられる。
2-3「眼のレーザー事故例について」
人は何か光るものがあると無意識につい中心窩で見極めようとする為、網膜の直径は 40mm あるの にも関わらず直径わずか 0.35mm しかない中心窩に傷害を受けやすい。事故事例では Nd:YAG やチタ ンサファイアレーザーが多い。加工機に用いられる炭酸ガス(CO2)レーザーは装置が閉じた状態で
しか出力しないよう安全設計がされている為か事故例は聞かない。最近はレーザーポインタによる 事故も増えており、子供の事故例が圧倒的に多い。レーザーによる事故が発生した場合、同じ眼科 医の中でもレーザーによる傷害の認知度は低いので、適切な診察(治療は不可)は大学病院の中で 網膜専門の眼科医に相談するとよい、との話があった。
図1.目の構造 図2.黄斑と中心窩
(出典:日本眼科学会 HP)
H25 年 1 月 31 日 16 時頃 日本眼科学会事務局へ電話し、久瀬様に掲載の了解取り付け OK 2-4「光・レーザーに対する安全めがね」
JIS C6802(レーザ製品の安全基準)によりレーザー製品クラス 3B 以上では保護具(安全めがね)
の装着が必須。レーザーの知識ならびに生体に与える影響(リスク)を正しく理解した上で、①適 切な選択 ②安全な使用 ③定期的な点検 を実施し、保護具の安全性を確保、管理する事が重要。
2-5「光・レーザーの安全対策」
レーザーの基本的性質から、主に大学の研究室(経験の浅い学生や、不慣れな訪問者がいる)を 想定した基本的なレーザー安全対策、ならびにレーザー装置安全管理の具体例の説明があった。
2-6「光・レーザーの安全基準」
日本におけるレーザーに関する規格・規制は国際規格に準じており、ほとんどが和訳したもの。
規格は絶えず更新され、常にそれらの情報を収集しておく必要がある。例えば、JIS C6802 は 2011 年 3 月の改正で全ての LED が対象外となり、LED は照明に移った。また 2010 年からクラス 1C(対象 は民生用レーザー脱毛機。医用について医師免許を有しない者のレーザー脱毛行為は違法)を設け る事が IEC(国際電気標準会議)で検討されていて、2014 年の IEC 大会は東京で開催される予定。
日本ではレーザーの標準化作業に携わる専門家があまりに少なく「安全」は重要と認識しながら 軽視されがちな状況にある。また日本では労災保険を適用しない(保険料が上がるので申告しない)
場合が多く事故事例のデータが集まりにくく問題である。尚、橋新先生が中心となって編集してい るレーザー安全教育用テキストおよび DVD はまだ作成中の段階にあり、発売時期も未定である。
3.まとめ
Nd:YAG やチタンサファイアでの事故例が多く、特に YAG は皮膚内に浸達しやすく損傷が大きい、と いう意見はどの講演者の方も一致していた。前半、眼科を専門とする先生方の講演で、レーザーを扱 う怖さを改めて認識した。企業からの聴講参加者も多く、医療・産業・研究など様々な分野に携わる 方々の話を拝聴でき、良い刺激になった。今回得た内容を今後の安全教育の指針としたい。
平成 24 年度愛媛大学総合技術研究会 参加報告
第一技術室 機器開発・試作班 青山 直樹
1. はじめに
2013年3月7日(木)~3月8日(金)に総合技術研究会が愛媛大学および愛媛県県民文化会館の2 会場で開催された.本研究会は全国の大学,高等専門学校及び大学共同利用機関の技術職員が,日常業 務で携わっている広範囲な技術的教育研究支援活動について発表する研究会である.発表プログラムは,
装置試作,実験・実習,安全衛生管理,施設管理と多岐にわたっており,口頭・ポスター発表者および 聴講者で約700名の参加があった.本研究会では,主に装置試作分野および実験・実習分野の調査や愛 媛大学の実験・実習棟の施設見学を行った.
2. 開会式および特別講演
愛媛大学学長の柳澤康信氏より,技術職員に求められる技術分野は高度化・多様化しており,医学・
農学・工学といった分野の多様な技術職員が交流し,技術の研鑽および向上を図ることは益々重要であ るとの挨拶があった.また,東日本大震災から丸2年を経過するということで,震災を経験した東北大 学工学研究科健康安全管理室の本間誠氏と神戸大学工学研究科技術室の大槻正人氏より,『大震災にお ける技術職員の役割』と題して,講演があった.講演の中で,震災対策において重要なことを挙げてお り,“安全衛生委員が定期的に構内を巡回し危険個所の調査を実施”,“棚はL型アングルを用いて固定 する”,“非常時通路の明確化”など,起こり得る災害を想定し目の前の問題を一つずつ解決していくこ とが大切であると説明されていた.また,四国地方は東南海地震が発生した場合,被災地となる可能性 があるので,日々の努力を怠らないでほしいという事を話されていた.
3. 装置試作分野
装置試作に関し,興味深い発表が数多くあった.中でも,岩手大学高度試作加工センターにて技術部 職員研修で行われた“射出成形金型の設計・製作”について報告する.発表の内容は材質ポリプロピレ ンに岩手大学のロゴの入っている簡易な成形品の製作であり,コスト面を考慮しモールドベースの製作 はせず,入れ子のみの設計・製作を行っていた.今後は,複雑形状の成形金型の製作に取り組むととも に,プレス金型についても挑戦してきたいと話されていた.
本学の先端科学技術育成センターは,樹脂成形機ではないがサーボプレスH1F150(コマツ産機)を 所有しており,塑性加工分野における教育支援および研究支援を行うには金型に関する知識の習得は必 須であると考えている.また,金型技術は日本のものづくりにおける基盤技術であり,設計・加工・組 立におけるノウハウが集約されている.今後の技術力向上を目的とした研修の選択肢の一つとして金型 製作を考えていきたい.