2012年度技術部活動報告集
著者 福井大学工学部技術部技術部活動報告集編集委員会
雑誌名 技術部活動報告集
巻 18 (2012年度)
発行年 2013‑03
URL http://hdl.handle.net/10098/8786
研修参加報告
平成 24 年度 東海・北陸地区国立大学法人等 技術職員合同研修(電気・電子コース)
第三技術室 小林 英一
日 時:平成24年9月5日(水)~ 9月7日(金)
主会場:国立大学法人 名古屋大学(名古屋市千種区不老町) 工学研究科創造工学センター
1.はじめに
東海・北陸地区の国立大学法人等に所属する技術職員に対し、その職務遂行に必要な専門的知識お よび技術等を修得させ、技術職員としての資質の向上を図るとともに職員相互の交流に寄与する事を 目的として開催された。東海・北陸地区の大学・高専より23名の技術職員が参加した。
2.研修内容 2-1.講義
講義1「自然エネルギー100%の暮らしを実現する技術開発」 環境学研究科 高野雅夫 准教授 千年持続可能な社会をテーマに、らせん水車を用いた小水力発電で 30W 生活を実際に体験、伝 導型地中熱利用住宅を開発するなど、非常に面白い試みを実践されていた。
講義2「シンクロトロン光が拓くものづくりイノベーション」 馬場嘉信 センター長
シンクロトロン光(Synchrotron Radiation)とは、ほぼ光速で直進する電子を電磁石によって 進行方向を曲げた際に発生する光(電磁波)であり、様々な特長を持ち最先端の研究や分析技術 に応用できる。光源1つで様々な測定が可能であり、応用分野は材料開発系が多い。超伝導電磁 石を数多く用いているが、コンパクトな冷源を利用し、液体ヘリウムは不要となっている。
講義3「OPERA実験におけるニュートリノ研究」 理学研究科 中村光廣 准教授
“光速超えるニュートリノ”の誤報で渦中にあった際の貴重な体験談を聞くことができた。誤 差の主要因は光ケーブルの嵌合が緩く遅延が発生した為で、信号が来ていれば遅延は無いという 金属ケーブルの常識による思い込みが原因。測定できるところは全て測定しなければならない。
後で、素粒子を観察できる写真フィルム(原子核乾板)技術、ならびに素粒子飛跡を自動的に高 速で読み取る顕微鏡(飛跡読取装置)等、研究室内を見学させて頂きました。
講義4「短波レーダーによる地球電離圏研究」 太陽地球環境研究所 西谷望 准教授
約 10MHz の短波を用いた電離圏・熱圏・上部中間圏の研究。3.11 の東北地方太平洋沖地震
(M9.0)では地震表面波の振動が音波となり電離圏へ伝搬していた。(洋上地震でも震源を特定可)
2-2.実習(「USB 機器を作ろう」)
本研修では2つのテーマに分かれて実習を行い、当方は A コース「USB機器を作ろう」を受講し た。ブレッドボード上に配置したテスト回路(簡易機器)にUSB インターフェイスを持つPIC マ イコン(PIC18F2550)のモジュール基板を載せ、純正のプログラマ・デバッガ PICkit3 を使用す ることなく、USBを介した通信により、PC上のVisual Basic 2010 Expressでアナログ入力、デジ タル入出力、PWM出力、温度計測、データロガー/モータ制御等を実際に体験することができた。
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2-3.施設見学(あいち産業科学技術総合センター、あいちシンクロトロン光センター)
愛知県は愛・地球博跡地に次世代モノづくり技術の創造・発信の拠点として「知の拠点あいち」
を整備している。あいち産業科学技術総合センターにはAES, EPMA, SEM, TEM, XPS, TOF-SIMS, XRD, XRF, μCT, SPM, RAMAN, NMR, MALDI-TOFMS, LCMS, 電波暗室(3m)など数多くの 最新設備が揃っていた。隣接するあいちシンクロトロン光センターはシンクロトロン光の産業利用 を目的に、産・学・行政が連携した「地域共同利用施設」として設置された。
図1.シンクロトロン光センター内部 図2.実験ホール(1F)の縮図模型
3.まとめ
内容は若手の技術職員向けで、他大学・高専における電気・電子系の技術職員が多く参加していた。
受講者資格制限は特に無かった為か、機械・情報・生物・医学など別分野からの参加もありました。
講義はどれも興味深い内容の講演であり、装置開発等における技術職員の助力は不可欠との言葉も頂 きました。実習(USB機器を作ろう)では、主にPower Pointで進行・説明・講習を行い、時間配分 は適切で配布された補足資料も充実していた。また、各人が使用したブレッドボード、PIC マイコン モジュールやセンサ類含む電子部品は持ち帰ることができ、親切・丁寧でとても充実した研修でした。
平成 24 年度 東海・北陸地区国立大学等技術職員合同研修(機械系) 参加報告
第一技術室 東郷 広一 髙澤 拓也
1.はじめに
平成24年9月12日~14日の3日間、静岡大学主催の「24年度 東海・北陸地区国立大学等技術職員合同 研修[機械系]」(以下、研修会)が開催された。本研修会は全国の国立大学、高等専門学校等に勤務する技術系 職員の職務遂行に必要な一般知識、専門知識及び新たな専門技術等を学び、習得することを目的としている研 修会である。本研修会では、9月12日には「開講式」並びに、専門講義、参加者の紹介も含めた「プレゼンテーショ ン」を行い、9 月13 日には「CADの基本的な概要」に関する講義、並びに各々選択した「実習コース」への参加、
最終日となる9月14日には「実習コース」の後、株式会社テイボー殿の都田技術センターへ工場見学に行った。
本報告書では、本研修の内容、及び技術習得に関することについて記述する。
2.概要
詳細スケジュールについては、図1の「研修[機械コース]日程表」を見て頂きたい。本研修は、主に機械工学に 関する専門知識の習得、並びにソリッドワークスの知識・使い方を習得するための研修会であり、ソリッドワークス を初めて使う初心者から中級者までを対象とした研修会であった。研修会初日である9月12日には、「開講式」後、
「専門講義1:最近の構造物の非破壊検査法と応力・ひずみ測定技術」という題目で、「機械工学科 教授 桑原 不二朗様」より、講演があった。内容としては、熱力学におけるカルノーサイクルなどの理論を気象学的に証明して いるという内容のものであり、物理論的に天気予報の説明などを行っていて、とても興味深い内容であった。また
「専門講義2:自動車排熱利用技術」においては、「寄附講座 准教授 篠原竜太郎様」より講演があり、内容とし ては、「ゼーベック効果」と呼ばれる温度差から電流が流れる現象を利用して、LEDを点灯させる「ゼーベックラン タン」と呼ばれる蝋燭と熱電モジュール、ファンを組み合わせたものにおける構造説明、並びに、この熱電モジュ ール技術を利用してエンジンの排熱技術を改善させ、燃費の向上を目指していることなどの説明があった。「専 門講義3:熱処理に見る表面改質」においては「機械工学科 教授 坂井田喜久様」より講演があり、鉄の温度環 境により、BCC→FCCへの構造変化が起こり、その構造変化に伴い容積変化が起こることなど、主に金属の特 性に関する話があった。またこのような金属の状態変化を利用して、日本刀などのソリが入っているような工業製 品の製作などが行われているなど、社会へどのように貢献しているかなどの説明があった。またその後の「プレゼ ンテーション」においては、参加者全員の自己紹介も兼ねた、普段行っている業務の説明などがあった。特に興 味深かったのは、三重大学における工作センターの運営方法が特徴的で、快削材や難削材の種類によって、1 時間当たりの加工料金が異なるシステムで運営しており、また石川高専においては、安全面の工夫点として、旋 盤に切り屑飛散防止用の安全カバーを取り付け、安全カバーを空けると自動的に電源が切れるような仕組みにし ているところが興味深かった。また東郷は主に先端科学技術育成センターにおける業務内容を、高澤殿は分析 機器を活用した業務内容、及び大学紹介に関するプレゼンテーションを行った。
9月13日には、「CADの基礎・基本操作」という題目で、「機械工学科 准教授 柿本益志様」より講演があり、
内容として主にソリッドワークスにおける機能の紹介、並びに実際の活用事例などの話があった。その後、ソリッド ワークスの基本的な操作を学ぶ「実習1、2(基礎コース)」の後、応用編である「実習3(応用コース)」を受講した。
「実習1、2(基礎コース)」においては、基本的なソリッドワークスの使い方、並びにモデル作成の考え方などを学 び、「実習3(応用コース)」においては大きく分けて、「3次元加工コース」「アセンブリ図面作成コース」「エンジン解 析コース」の3種類があり、東郷は「3次元加工コース」、高澤殿は「エンジン解析コース」を受講した。「3次元加工コ
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ース」では、主にソリッドワークスにて3Dモデルを作成した後、Roland社の3Dプロッタ(MDX-40)を使用して、CA M作成後、ケミカルウッドをボールエンドミルにて切削した。またソリッドワークスにて作成したモデルへの、はめ合 い交差の指定方法、および交差指定後の部品組み立て時の干渉確認を行って、異常がないことを確認したり、ま た他には作成したモデルに、集中荷重などを印加させる、応力解析や、温度条件変化による選定材料の降伏応力 に対する、設計検証を行うなど、ソリッドワークスのモデル作成のみならず、解析機能についても学ぶことができた。
「エンジン解析コース」はソリッドワークス上のエンジンモデルで動きや干渉の確認を行った後、実際に自動車用 エンジンを分解、組立を行うという内容であった。解析は既存の 3D モデルを用い、距離測定や干渉認識、表示 非表示の切替え等アセンブリモデルの基本操作を学んだ。分解組立ではスズキ製の1200ccクラスの自動車用エ ンジンをシリンダーヘッドやシリンダーブロック等の単位まで分解、組立を行った。随時説明も入り、組立方法に加 えて各部位の役割や構造についても学ぶことができた。
また上記研修内容以外に休み時間などを利用して、「次世代ものづくり人材育成センター」を見学させて頂き、
最新の加工機械、並びにフォミュラーカープロジェクトなどへの参画など、センターの活用事例について話を伺う ことができた。
最終日である9月14日には、株式会社テイボー殿の都田技術センターの施設見学をさせて頂いた。株式会社 テイボー殿では主に筆ペンなどのペン先の製造などを手掛けており、通常業務とは異なる分野の知識を得ること ができて、とても面白かった。
3.まとめ
「平成 24 年度 東海・北陸地区国立大学法人等技術職員合同研修[機械コース]」に参加をして知識習得、プレ ゼンテーションを行った。研修会には、20人の技術職員が参加し、自己紹介も兼ねたプレゼンテーションでは、
様々な職務内容の発表があり、大変興味深く聴くことができた。また「実習コース」では、ソリッドワークスの技能習得 をすることができた。本研修に参加したことで、普段の仕事では会うことができないような他分野の方々とお会いす ることができ、見聞が広まって良かった。
最後になりますが、本研修会へ参加する機会を与えて頂きました関係者の皆様方に、感謝の意を表します。
図1.研修[機械コース]日程表
図2.実習風景