技術部活動報告集
著者 福井大学工学部技術部技術部活動報告集編集委員会
雑誌名 技術部活動報告集
巻 19 (2013年度)
発行年 2014‑03
URL http://hdl.handle.net/10098/8795
研修参加報告
平成 25 年度 東海・北陸地区国立大学法人等 技術職員合同研修(生物・生命コース)
井波 真弓*
1. 日時, 会場
平成25年7月3日(水)~5日(金)
自然科学研究機構 基礎生物学研究所・生理 学研究所
2. 目的
東海・北陸地区の国立大学法人等の技術職員に 対し,その職務遂行に必要な専門的地市区およ び技術等を修習させ,技術職員としての資質の 向上を図るとともに技術職員相互の交流し寄与 することを目的とする.
3. 研修内容
3.1. 講義1
「古典園芸植物・アサガオの分子生物学」
基礎生物学研究所 星野 敦 助教
ゲノムが頻繁に変化して,生物の着色を決める 遺伝子を調節すると,縞とか斑と呼ばれる模様 が現れる.模様は観察が容易なため,ゲノムの 変化と遺伝子の働きを知る上で都合の良い研究 対象である.アサガオには,既知の遺伝子の調 節機構では説明し難い模様がある.このような 模様の解析から,ゲノムの変化や遺伝子の調節 機構の解析を行っている.
図1 アサガオ変異株
3.2. 講義2
「脳機能解析に有用な新しい遺伝子導入技術 の開発」生理学研究所 小林 憲太 准教授
* 第2技術室 化学計測班
脳の中では無数の神経細胞が,シナプスと呼ば れる“つながり”をもって,複雑な神経回路をつ くり,その中で情報のやりとりをすることで高 次脳機能を生みだしている.これまでは,こう した神経回路の働きを調べるにはその一部を傷 つけたり薬で抑制したりする手法がとられてい たが,実際に神経回路を作っているある特定の シナプスがどのように脳機能と関係するのか,
その因果関係を明確にすることは難しい課題で あった.ウイルスベクターを用いた脳内への遺 伝子導入法を開発し,これにより光スイッチで 特定のシナプスの機能を自由自在にオン・オフ することに成功した.
3.3. 実習
「遺伝子組み換えマウスの作成」
遺伝子組み換えマウスとは,遺伝子工学を用い て人為的に外来の遺伝子を導入した動物である.
作成方法としては,受精卵に直接DNAを注入 して,外来遺伝子を染色体上の不特定に場所に 挿入する方法,胚性幹細胞(ES細胞)の特定の 遺伝子領域で騒動組み換えを起こさせ,キメラ マウスを介して子孫マウスに遺伝子変異を伝え る方法がある.これらのマウスがもたらす情報 は,脳神経機能の分子メカニズムや疾病に関す る遺伝子機能の解明に重要である.今回は,遺 伝子組み換えマウス作成に必須である基本的な 胚操作技術とES/iPS細胞培養技術について実 習を行った.
図2 実習の様子
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4. 見学会
実習結果の発表会後,基礎生物学研究所内の大 学連携バイオバックアッププロジェクト(BBP) の施設と東海光学の工場を見学した.BBPは東 日本大震災による生物遺伝資源の毀損・消失を 受け,無料で生物遺伝資源の保管や凍結保存技 術の研究開発を支援するものである.最先端の 液体窒素凍結保存システムは電気やガスの供給 がなくても3週間程度は温度を維持できるもの で,自然災害が起きた場合にも,速やかに研究 活動を再開するための体制を整備している.東 海光学は,基生研との共同研究により脳科学技 術を取り入れた遠近両用レンズを開発したメガ ネレンズ専業メーカーである.基生研の様々な 取り組みを体感でき,非常に興味深い見学会だ った.
表1 日程表
図3 液体窒素保存システム
図 1 発表風景
平成 25 年度 東海・北陸地区国立大学法人等技術職員 合同研修(情報処理コース)参加報告
第三技術室 小澤 伸也、廣木 智栄
日時:平成25年10月30日(水)~11月1日(金)
会場:国立大学法人 北陸先端科学技術大学院大学(石川県能美市旭台1-1)
1.はじめに
東海・北陸地区の国立大学法人等に所属する技術職員に対し、その職務遂行に必要な専門的知識及び 技術等を修得させ、技術職員としての資質の向上を図るとともに職員相互の交流に寄与する事を目的と して開催された。今回は「可視化」をテーマに東海・北陸地区の大学・高専より 20 名の技術職員が参 加した。
2.研修内容
講義(1)「可視化の楽しさ」宮地 英生 先生(サイバネットシステム(株))
宮地先生が過去に可視化にどのように携わってきたかについての紹介、そして次の講義から使用する AVS(Application Visualization System)を用いた可視化映像を紹介していただいた。可視化に関わった ことがない人でも、興味を持って聞くことができたと感じた。
講義(2-1)「AVSソフトウェア実習 前半」宮地 英生 先生
AVSの一種であるAVS/Expressについて簡単に説明をうけ、3DのデータをAVS/Expressにより画 面に表示するプログラムを作成した。プログラムは文字で書く必要のない GUI による操作で作ること ができる。そのプログラムを使うことで閲覧可能な 3D のデータを自由に作成し、3D データについて と、AVS/Expressの基礎的な使用方法の勉強をした。
講義(3)「可視化のすばらしさ」荒木 文明 先生(海洋開発研究機構 )
可視化は見た目が楽しいだけでなく、人が研究の結果を見るにはデータを直接見るよりも有効になる 可能性が高い手段である。しかし、データの見せ方によっては誤解されるような見せ方にもなってしま う可能性も高いため注意が必要である。可視化には様々な手段がある。ということを教えていただいた。
講義(2-2) 「AVSソフトウェア実習 後半」宮地 英生 先生、荒木 文明 先生 後半はデータから動きを知るためにデータに適切な
処理をほどこすための実習を勉強した。4人1組でグ ループを組み、どの班が与えられた1つのデータを正 確に調べ、発表することができるのかを競い合った(図
1)。AVS/Expressの理解の差がある中、非常に正確にデ
ータを読み取り、それを発表できているグループもあっ た。
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図 2 CAVE視聴風景 講義(4)「可視化とCAVE」松澤 照男 教授(北陸先端科学技術大学院大学 )
医療でも可視化は有効な手段となることがある。人体の構造を3Dデータにし、そのデータから計算 を行った結果を可視化すれば直感的に結果を知ることができる。それを没入してあらゆる方向から見る ことができる CAVE(多面立体視表示システム)ではより直感的に見ることができる。ということを教え ていただいた。
実習「CAVEによる可視化、実習」JAIST、海洋開発研究機構、サイバネットシステム(株)
前半ではCAVEを使用した様々な立体映像を見させていただいた。
鼻腔内の空気の流れや心臓から贈られる血液の流れ、地球上の雲の 動きや海流、そして太陽風が地球にあたった時の磁場の動き、など のシミュレーションを見させていただいた。(図2)
後半では講義(2-1)で作成した3Dデータと、講義(2-2)で使用した データをCAVEでいろいろな方向から見る操作をさせていただいた。
3.まとめ
データを可視化するとはどういうことかを学べたことで、データを扱う手段を増やすことができた。
また、映像の提示方法として、1画面のみの提示方法よりも、CAVEのように周りに立体映像で囲まれ る形になるものは、人間の3次元で見る力を発揮しやすくなることで、より直感的に見ることができる のであることを知ることができた。講義の内容も、交流を深めやすくなるように配慮されたものであっ た。この3日間、技術に関しても、人間関係に対しても多くのことを学べたと感じた。今回学んだこと を今後の業務に生かしていきたい。