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IT融合による被災地のインフラ復旧支援とメンテナンス技術拠点の形成・展開

東京大学大学院情報学環(正会員)○鎌田貢,石川雄章 東北大学大学院工学研究科(正会員)久田真,石川弘子 東日本高速道路株式会社東北支社(正会員)曽田信雄 株式会社ネクスコ・エンジニアリング東北(正会員)桑澤庄次郎 株式会社復建技術コンサルタント(正会員)小早川正樹 ムラタオフィス株式会社(正会員)村田利文 ユーシーテクノロジ株式会社(非会員)峯岸康史

1. 目的

近年,インフラの老朽化が問題となっているが,東北地方は2年前に発生した東日本大震災の復旧復興業務を加 速させているため,インフラの維持管理の対策が停滞している状況である.そのような中,東北地方の地元企業と IT企業及び大学とが連携し,東北地方のインフラ復旧復興及び維持管理の効率化を目的とした「IT融合による 被災地のインフラ復旧支援とメンテナンス技術拠点の形成・展開(以下「本プロジェクト」)を実施した.

プロジェクトのうち,被災地のインフラ復旧支援は,現場点検業務の効率化,損傷評価の技術的な支援,インフ ラ長寿命化の基礎情報の蓄積を行うことで,有事の場合の早期復旧やインフラの維持管理を支援する.一方,メン テナンス技術拠点の形成・展開は,被災地での現象や対策等を蓄積しメンテナンス技術の集積・高度化を図るとと もに,広域的な技術共有の仕組みを備えた技術拠点を形成する.

本プロジェクトは7機関で締結したコンソーシアム(名称「東北インフライノベーションコンソーシアム」)で実 施しており,研究機関の東北大学,東京大学,インフラ関連企業の東日本高速道路,ネクスコ・エンジニアリング 東北,復建技術コンサルタント,IT関連企業のムラタオフィス,ユーシーテクノロジで構成している.

2.プロジェクトの概要

本プロジェクトでは,整備方針に基づき,必要な端末および各システムの整備及び拠点環境の整備を実施した.

本プロジェクトで開発したシステムの全体イメージは図1のとおりである.

(1)被災地のインフラ復旧支援として開発したシステム 現場点検業務支援端

末:点検員が現場で行 う業務を支援する端末

(図2)を開発し,現 場の点検結果をクラウ ド上のサーバーに集約 することで,その後の 点検調書作成までを効 率的に行う事ができる システムを構築した.

建設コンサルタントで 本システムを用いて,

実際の橋梁点検業務

(50橋)に試行した 結果,点検業務の作業 時間が従来より約2割 短縮された.

損傷評価支援システム:現場で点検した構造物の損傷写真から損傷判定技術を用いることで,登録している構造 物の損傷事例(写真含む)を比較することが可能となり,損傷判定や原因特定のバラツキを抑制できる(図3).コ ンソーシアムメンバーで本システムを100橋で試行した結果,損傷判定の作業時間が約1割減少し,損傷評価の バラツキ精度も約2割向上した.

キーワード インフラ,メンテナンス,技術拠点,ITシステム,被災地,自治体

連絡先 〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学大学院情報学環 03-5841-1556 図 1 システムの全体イメージ

土木学会第68回年次学術講演会(平成25年9月)

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図2 現場点検業務支援端末 図3 損傷評価支援システム

アセットマネジメントシステム:各自治体が管理するインフラの資産情報を登録し,自治体職員自らが容易に適 時適切な優先順位でインフラの補修・補強の長期的な計画を策定できる.本システムでは,自治体の長寿命化計画 で用いられているシステムと比較すると,自動で収集できるデータが多く,入力作業を減少させることができた.

また,東北地域特有の条件である凍害を加えた劣化予測も実施している.

開発した上記3システムは,開発前に業務の分析を十分に実施し,システム設計に反映させた事により,システ ムを導入した場合の時間短縮や業務精度向上などの業務効率が上がることが試算されている.

(2)メンテナンス技術拠点の形成・展開のシステム

技術者育成アーカイブシステム:東北地方の高速道路の実際の点検や損傷判定,会議等の状況をビデオコンテン ツとして記録・蓄積し,利用者が必要とする箇所をビデオの中から容易に検索できる(図4).本システムに21本 の学習用コンテンツを作成し,インフラ企業および建設コンサルタント職員39名により,技術者育成における有 効性の検証を実施した.

高速アクセス・マルチメディア・データベース:研究機関や土木分野の事業者が必要とするさまざまな形式の情 報(論文,画像等)を,専門用語や特定の事象(日付,地理情報,一般的な語彙等)の検索条件によって,迅速に 目的の情報を検索でき,技術的な判断の支援や技術流通を促進する(図5).従来は,必要なデータの抽出やデータ の保存・管理に手間が生じているため,本データベースにより技術者に気付きを与え,円滑な技術流通を促す異種 データ間技術流通基盤として活用が期待される.

図4技術者育成アーカイブシステム 図5高速アクセス・マルチメディア・データベース

3.今後の課題

(1)プロジェクトの事業化

本プロジェクトで開発した現場点検支援端末,損傷評価支援システム,アセットマネジメントシステムの精度向 上等の実証を重ね,技術者が少なく,インフラの管理施設が多い,市町村のインフラ業務の支援に繋がる仕組みづ くりが必要である.

(2)技術拠点の構築

平成25年4月より,東北大学にメンテナンス技術拠点の準備室が設置される.この技術拠点は,本プロジェク トで開発した技術者育成アーカイブシステム,高速マルチメディア・データベースを活用した技術の集積・高度化 及び広域的に技術流通できる仕組みを備えている.今後,地域の知の拠点である大学が産学官の連携の中核として,

取り組むための検討が必要である.

土木学会第68回年次学術講演会(平成25年9月)

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参照

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