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富栄養化対策を実施している貯水池における水質解析 

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Academic year: 2022

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富栄養化対策を実施している貯水池における水質解析 

東北大学大学院  学生会員  ○古屋  哲志 東北大学大学院    正会員    梅田  信  東北大学大学院  フェロー    田中  仁 

1.はじめに 

ダム湖における富栄養化現象に起因する藍藻類の異 常増殖(アオコ)は浄水ろ過障害や景観障害といった利 水及び環境面で問題視されている.その対策として曝 気循環施設が多くのダムにおいて設置されているが,

施設規模に関する定量的な評価方法はいまだ確立され ていないのが現状である.

現在の曝気循環施設の施設規模は流入栄養塩を考慮 した簡易モデルや経験的知見によって決定されている

1).アオコの発生は植物プランクトンが増殖過程で摂取 する栄養塩や貯水池内の水温,滞留時間及び表層水温 勾配2など多くの要因に影響を受けるため,これらの 相互作用を考慮した水質モデルを用いて施設規模を検 討する必要がある.

本研究では,貯水池内の流動解析モデルと水質モデル を組み合わせて貯水池内の水質解析を行い,実測値と 比較することで検証した.流動解析ではk-ε乱流モデ ル及び曝気流動に関する二重プルームモデルを採用し た.また,水質解析には植物プランクトンの消長に関 して窒素やリンの物質収支及び気象,水文条件を合わ せて考慮する低次生態系モデルを利用した.さらに,

数値シミュレーションから得られるクロロフィルaの 計算値を用いて曝気施設の設置条件に関する評価を行 った.

2.シミュレーションモデルの概要 

本研究における数値解析モデルは貯水池内流動解析 モデルと水質モデルを組み合わせることで解析を行っ ている.貯水池内の流動解析は梅田らによる鉛直二次 元数値解析モデルを採用した3).この数値モデルでは k-ε乱流モデルを用いており,圧力補正をSIMPLE法 によって行っている.曝気流動は二重プルームモデル を採用した.

水質モデルでは植物プランクトンの他に水質項目(懸 濁態有機物,懸濁態リン・窒素,溶存態有機物,溶存

態リン酸塩,亜硝酸態窒素,硝酸態窒素,アンモニア 態窒素及び溶存酸素)の相互作用を考慮して解析して いる.また,植物プランクトンは藍藻類,珪藻類,緑 藻類にわけて解析を行っている.植物プランクトンの 影響因子は増殖(日照強度,水温,無機態窒素,無機態 リン),細胞外分泌,呼吸による消費,枯死及び沈降で ある.

3.モデルの検証と施設規模の評価  3.1  三春ダム概要

本研究では福島県三春町の阿武隈水系大滝根川上に 位置する三春ダムを対象とした.総貯水量は 4,280 万 m3,有効貯水量は3,600万m3である.貯水池平面図(図 1) に示すようにやつで状の形状をしているため入り江 部などで水の流れが滞留しやすい貯水池であり,アオ コの発生など水質悪化が顕著に見られる.富栄養化現 象の対策として曝気循環施設が設置されている.

三春ダム管理所ではダム諸量(貯水位,放流量など)気 象条件(気温,湿度,日射量,風速など)が一時間毎に測定 されている.ダムサイト及び流入河川において自動観 測機による測定(水温)が行われている.また,月に 1

図 1  貯水池平面形状 

流入量(m3/s)

5 10 15 20 25 30

5/1 6/1 7/1 8/1 9/1 10/1

図 2  2008 年三春ダムにおける流入量  

キーワード  水質解析,アオコ,曝気循環施設,

宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉 06  TEL: 022-795-7453

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II-91

土木学会東北支部技術研究発表会(平成20年度)

(2)

度詳細な水質測定が行われており,今回の検証ではそ のデータを用いた.2008 年における三春ダムの流入 量を図 2に示す.

藍藻類 Anabaena spp. Phormidium  mucicol Phormidium  sp Microcystis  sp

5/1 6/1 7/1 8/1 9/1 10/1

(cells/ml)(cells/ml)

10-1 100 101 102 103 104

珪藻類   緑藻類

10-1 100 101 102 103 104

図 3  植物プランクトン細胞数   3.2  モデルの検証

本研究の計算期間は2008年5月1日〜9月12日を 対象とした.流入栄養塩は三春ダム湖の上流において 概ね月一回の頻度で測定されている.そこで,平成 8 年から約8年間の流入量と水質のデータからLQ式を 作成し,流入量から推定される窒素濃度及びリン濃度 を与えた.

図 3に2008年における植物プランクトンの細胞数の 実測データを示し,図 4にダムサイトにおけるクロロ フィルaの計算値及び実測値の時系列データを示す.

クロロフィル a の実測データが少ないため,これら 2 つのグラフを用いて植物プランクトンの種別の消長も 考慮の上で検証をした.図 3によると,この年の三春 ダムでは7月からアナベナの増殖とともにアオコが発 生し,8 月はミクロキスティスによるアオコが発生し ている.珪藻類及び緑藻類は,一年を通して顕著な増 殖は見られなかった.このような植物プランクトンの 種別の増減を考慮して,計算では種別に最大日増殖速 度や最適増殖水温を設定した.

クロag/l)

5/1 6/1 7/1 8/1 9/1 10/1

クロロフィルa 実測データ 藍藻類 珪藻類 緑藻類

0 10 20 30 40 50 60

図 4  クロロフィル a 計算値時系列データ  

ロロフィルag/l)

現状の稼働状況     曝気なし

0 10 20 30 40 50 60

ロロフag/l)

5/1 6/1 7/1 8/1 9/1 10/1

CASE1        CASE2

0 10 20 30 40 50 60

図 5  異なる曝気条件におけるクロロフィル a 計算値  本水質モデルを用いて次節において施設規模の検討

を行う.

3.3  施設規模の検討

本論文における施設規模の検討を行ったケースは曝 気を稼動しなかったケース,現状と同じ数の施設数を 大滝根本川上及び貯水池内に等間隔に配置したケース

(CASE1),現状の施設の数を倍にしたケース(CASE2)

のクロロフィルa時系列データを比較することで検討 を行った.

施設規模の検討に関して,CASE1では現状の設置条 件に対して夏季のクロロフィルaが高い値を示し,ア オコの集積の多いダムサイトにおいて効果が弱まって いることがわかる.CASE2の設置規模を倍増すること で植物プランクトンの増殖抑制を行えることを示唆し ている.

4.おわりに 

本論文では富栄養化している貯水池に対して水質解 析を行い.実測データ及び実現象と比較した.さらに,

水質モデルの利用として水質保全施設の設置規模決定

のツールとしての手法を提案した.

参考文献:

1) 小島貞男:カビ臭対策としての湖水人工循環 法の経験,用水と廃水,26,1984

2) 梅田信,古里栄一,浅枝隆:富栄養化したダ ム湖におけるアオコ発生指標としての水温 安定成層,ダム工学,16,2006.

3) 梅田信:曝気循環を考慮した貯水池内流動に 関する数値解析モデルの構築と検証,水工学 論文集,49,2005.

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土木学会東北支部技術研究発表会(平成20年度)

参照

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