平成 24 年度経済産業省委託調査
平成24年度我が国情報経済社会における基盤整備
(特定家庭用機器再商品化法における再商品化等基
準の見直し等に関する調査)報告書
2013 年 3 月 29 日
環境・エネルギー研究本部i
は じ め に
平成13年4月1日から施行された特定家庭用機器再商品化法(以下「家電リサイクル 法」という。)においては、「政府は、附則第一条ただし書に規定する規定の施行後五年を 経過した場合において、この法律の施行状況について検討を加え、その結果に基づいて必 要な措置を講ずるものとする」(附則第3条)と規定されている。 この規定に基づき、平成18年6月より、経済産業省は環境省と合同会合を開催し、制 度見直しについて議論等を行い、20年2月に「家電リサイクル制度の施行状況の評価・ 検討に関する報告書」が取りまとめられたところ。 そして、同報告書(以下「20年報告書」という。)においては、「今回の検討から5年 後を目途に、制度検討を再度行うことが適当である」とされており、今後、家電リサイク ル制度の見直し検討を進めていく上で必要な情報を把握していく必要がある。 特に、家電リサイクル法に基づきメーカーにより実施される再商品化等については、法 令により基準が定められており(法定義務率)、当該義務率の妥当性についてはメーカーに よるリサイクル技術の向上や対象品目の特質と、消費者が負担するリサイクル費用低減化 促進の両面を総合的に判断しながら検討を行う必要がある。このため、ブラウン管テレビ 等のリサイクルの技術的・経済的状況を含むメーカーによるリサイクル技術の動向、及び リサイクルシステムにおけるコストを把握する必要がある。 また、現行家電リサイクル制度の成果を検証するためには、家電リサイクル法ルートに 乗らず、現行の法制度等で十分に把握できていない特定家庭用機器の「見えないフロー」 について最新の状況を把握する必要がある。 更に、20年報告書を受け、小売業者が引き取った排出家電のメーカーへの円滑かつ適 正な引渡しを確保する観点から、指定引取場所の共有化が実施されたところ、その後の収 集運搬費用の実態等について把握し、当該共有化による効果を検証する必要がある。1
目 次
1. メーカーによるリサイクル技術の動向調査 ... 2 1.1 メーカーによるリサイクル技術の動向等に関する調査 ... 2 1.2 有機 EL テレビに関する調査 ... 24 1.3 再商品化等率の見直しの考え方の整理 ... 33 2. リサイクルシステムにおけるコスト調査 ... 40 2.1 コスト分析モデルの検討 ... 40 2.2 コスト分析に必要となるデータの収集 ... 41 2.3 コスト分析の実施 ... 42 3. 使用済み家電の流通フローに係る調査 ... 96 3.1 フローの推計方法 ... 96 3.2 消費者へのアンケート調査 ... 100 3.3 ヒアリング調査 ... 169 3.4 フローの推計 ... 185 4. 指定引取場所の共有化後の収集運搬費用の実態等調査 ... 199 4.1 指定引取場所の共有化後の収集運搬の実態等に係る調査... 199 4.2 指定引取場所の配置の改善方策等の整理 ... 215 参考資料:小売店調査個票2
1. メーカーによるリサイクル技術の動向調査
1.1 メーカーによるリサイクル技術の動向等に関する調査 (1) 調査概要 1)調査内容 メーカーによるリサイクル技術の動向に係る調査として、手解体による解体・分別、機械 破砕・選別及び回収物の実態を整理する。また、平成 21 年度から家電リサイクル制度の対 象となった液晶式テレビ・プラズマ式テレビ及び衣類乾燥機のリサイクルの技術的・経済的 状況について整理する。調査対象品目は以下のとおり。 <調査対象品目> ・ エアコン ・ ブラウン管式テレビ ・ 液晶式テレビ・プラズマ式テレビ ・ 冷蔵庫・冷凍庫 ・ 洗濯機・衣類乾燥機 <調査内容> ・ 最新のリサイクル技術・再商品化率を向上させるための取組 5 年前の家電リサイクル法の見直し以降、家電メーカー、再商品化施設等で取 り組んできた再商品化率を向上させるための取組(現在、研究開発中のものも 含む) 前処理・手分解・破砕処理・選別工程の変遷 最新のリサイクル技術(レアメタルリサイクル等)・適正処理技術の開発・ 導入実績 等 上記取組による改善内容 再商品化率 作業効率 等 ・ 追加品目(液晶式テレビ・プラズマ式テレビ、衣類乾燥機)の再商品化の状況 液晶式テレビ・プラズマ式テレビの再商品化のための取組 前処理・手分解・破砕処理・選別工程等の処理フロー 特徴的なリサイクル技術・適正処理技術(特にパネルの処理技術) 等 衣類乾燥機の再商品化のための取組 前処理・手分解・破砕処理・選別工程等の処理フロー 特徴的なリサイクル技術・適正処理技術 等3 ・ 家電製品由来の再生資源への取組状況 部材・部品のリサイクル方法・用途(例:エアコンのキャビネットの鉄は、手 解体により取り外し、鉄スクラップ材として再生利用されている 等) 再商品化率の低い素材(プラスチック)の再商品化を促進するための取組 ブラウン管ガラス等、再商品化が困難な素材のリサイクルを促進するための取 組 適正処理が難しい部品(水銀スイッチ、PCB、アンモニア冷媒等)の取り扱い 2)調査方法 調査にあたり、Aグループ・Bグループそれぞれのリサイクルプラントに対してヒアリン グを実施した。調査対象を以下に示す。ヒアリングには各グループの管理会社に加え、主要 な家電メーカーにも同席いただいた。 ヒアリングでは、リサイクル技術の動向に係る調査として、手解体による解体・分別、機 械破砕・選別及び回収物の実態把握を試みた。特に、5 年前の家電リサイクル法の見直し以 降の最新動向について確認した。 また、平成 21 年度から家電リサイクル法の対象となった液晶式テレビ・プラズマ式テレ ビ及び衣類乾燥機に関しては、リサイクルのフローを確認した。 なお、ヒアリングを行ったリサイクルプラント以外の動向に関しては、文献調査を行い、 情報を追加した。 <調査対象> ○A グループ ・ パナソニックエコテクノロジーセンター株式会社 ・ 平林金属株式会社 ・ ハリタ金属株式会社 ○B グループ ・ 株式会社ハイパーサイクルシステムズ ・ 株式会社関東エコリサイクル ・ グリーンサイクル株式会社
4 (2) 調査結果 1)各素材・部品の最終的な引渡先や引渡先での利用状況について ヒアリング結果に基づき、各品目のリサイクルフロー及び主な回収物と引渡先での利用・ 処理状況を以下のとおり整理した。なお、基本的に、リサイクルフローにおいては、リサイ クルプラント内での取り扱い内容と出荷先までを記載し、引渡し先での利用・処理状況に関 しては別表にて整理した。 a. 概況 家電リサイクルプラントにおける 4 品目のリサイクルプロセスは家電リサイクル法の見 直しが行われた 5 年前と比較して、大きな変化はない。いずれの品目ともに、手分解が可能 なものはできるだけ回収し、その後シュレッダーで破砕をした後、風力・磁力・渦電流選別 装置等により鉄、非鉄(銅、アルミ、ステンレス、真鍮等)、プラスチック、ダスト等に選 別されている。 新しい取組として、ミックスプラスチックや基板を再破砕し、選別をすることで回収物の 品位を高める事例がみられた。これらは再破砕・選別しなくても再商品化率にカウントされ ていたものであり、この取組による再商品化率の向上は見られない。このように、近年では、 再商品化率自体を向上するよりも、作業の効率化や回収資源の品位の向上(ひいては収益の 改善)への取組が積極的に行われていると言える。 b. エアコン エアコンについては、冷媒フロンを回収した後、外装を外して、手選別により熱交換器、 基板、コンプレッサー、モーター等を取り外した後、残りを破砕機に投入するのが一般的な リサイクルフローである。 近年はコンプレッサーを切断して、ローター内に含有されているネオジム磁石を回収する 事例も見られる。
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※ 赤斜字部が 5 年前から追加があった項目。 図 1-1 エアコンのリサイクルフロー(2013 年 3 月時点)
6 表 1-1 エアコンからの主な回収物と引渡先での利用・処理状況 部材・部品 主要素材 用途 キャビネット(室 外機) 鉄 ・ 鉄スクラップ材として再生利用されている。 キャビネット(室 内機) プラスチック ・ プラスチックリサイクル材として再生利用の ための各種技術開発が進められており、すでに 一部では、再生プラスチック製品の原料として 有償で売却されている。なお、一部家電製品向 けに再生利用している。 ファン プラスチック ・ ガラス繊維強化プラスチックであるため、再生 利用が困難となり、埋立か焼却処分されている ことが多い。 ・ 一部は、ファンへ再生利用されているが、バー ジン材に比べて品質が劣るため、少量である。 アルミ ・ アルミスクラップ材として再生利用されてい る。 熱交換器 銅、アルミ ・ 熱交換機を切断し、銅、アルミを分離後、また は、機能破壊後、銅、アルミスクラップ材とし て再生利用されている。 モーター 鉄、銅 ・ 手解体、分別後、または、機能破壊後、鉄、銅 スクラップ材として再生利用されている(国 内・海外)。 コンプレッサー 鉄、銅 ・ 外枠を切断し、手解体、分別後、または、機能 破壊後、鉄、銅スクラップ材として再生利用さ れている(国内・海外)。 ・ 一部は、切断後ネオジム磁石が回収されている。 冷媒配管 銅 ・ 銅スクラップ材として再生利用されている。 冷媒フロン HCFC22 ・ 回収後、破壊処理されている。 ・ 一部は、工業・医療家電品等に用いるフッ素樹 脂に再生利用されている。 冷凍機油 鉱物油 ・ 冷凍機油または燃料油として再生利用されてい る。 トランス 鉄等 ・ 鉄スクラップ材として再生利用されている。 ・ 一部は鉄、銅、アルミに分解され、それぞれス クラップ材として利用されている。 プリント基板 紙入り樹脂、電子 部品、はんだ等 ・ 非鉄製錬事業者にて非鉄金属回収されている。 ・ 市況によっては、品位の低い基板については値 段がつかない場合もある。 ・ 一部は、破砕・選別を行い、品位を高めてから 非鉄製錬事業者へ出荷されている。 コード 銅 ・ 銅スクラップ材として再生利用されている。 塩化ビニル等 ・ 被覆材へ再生利用されるか、焼却処理されてい る。 ※ 赤斜字部が 5 年前から追加があった項目。
7 c. ブラウン管式テレビ ブラウン管式テレビについては、バックキャビネットを取り外した後、手選別によりブラ ウン管を回収し、基板や電子部品等を取り外している。ブラウン管は熱線でパネルガラスと ファンネルガラスに分割(P/F 分割)する。分割する際は異物を減らすため、パネルガラス とファンネルガラスの接合部に付着しているシールをブラッシングで取り外す。 パネルガラスやファンネルガラスはシェイカーで角や異物を取り、海外の事業者や非鉄製 錬事業者へ引き渡されている。 ※ 赤斜字部が 5 年前から追加があった項目。 図 1-2 ブラウン管式テレビのリサイクルフロー(2013 年 3 月時点)
8 表 1-2 ブラウン管式テレビからの主な回収物と引渡先での利用・処理状況 部材・部品 主要素材 用途 ブラウン管 ガラス ・ パネルガラス・ファンネルガラスをP/F分割 し、ブラウン管ガラスの原料として売却してい る(海外(マレーシア))。 ・ 一部のパネルガラスは、ガラスメーカーで建築 用グラスウール等に再生利用している。引渡量 はパネルガラス全体の 10%にも満たない。 鉄(防爆バンド) ・ 鉄スクラップ材として再生利用されている。 鉄合金(シャドー マスク) ・ 鉄スクラップ材(合金)として再生利用されて いる。 ビリガラス ・ 非鉄製錬事業者にて鉛の山元還元が行われてい るほか、軽石の原材料として再生利用されてい るケースもある。 スピーカー 磁石、紙 ・ 金属くず等として売却されている。 消磁コイル 純銅 ・ 銅スクラップ材として再生利用されている。 偏向ヨーク フェライト、純銅 ・ 銅スクラップ材として再生利用されている。 放熱板 アルミ ・ アルミスクラップ材として再生利用されてい る。 キャビネット プラスチック、木 材 ・ プラスチックリサイクル材として再生利用のた めの各種技術開発が進められ、バックキャビネ ットを対象としたマテリアルリサイクルが行わ れており、家電製品のプラスチック部品原料へ 再生利用されているケースもある。 ・ 臭素系難燃剤が含有されているプラスチックに ついては再商品化手法の研究開発が行われてい るが、その多くは他のプラスチックと分別され、 処分されている。 ・ 非特定臭素系難燃剤を選別し、家電製品に再利 用しているケースもある。 ・ 木製キャビネットは埋立処分されている。 トランス 鉄等 ・ 鉄スクラップ材として再生利用されている。 ・ 一部は鉄、銅、アルミに分解され、それぞれス クラップ材として利用されている。 コンデンサ アルミ等 ・ アルミスクラップ材として再生利用されてい る。 ・ 一部は鉄、銅、アルミに分解され、それぞれス クラップ材として利用されている。 プリント基板 紙入り樹脂、電子 部品、はんだ等 ・ 非鉄製錬事業者にて非鉄金属回収されている。 ・ 市況によっては、品位の低い基板については値 段がつかない場合もある。 ・ 一部は、破砕・選別を行い、品位を高めてから 非鉄製錬事業者へ出荷されている。 コード 銅 ・ 銅スクラップ材として再生利用されている。 塩化ビニル等 ・ 被覆材へ再生利用されるか、焼却処理されてい る。 ※ 赤斜字部が 5 年前から追加があった項目。
9 d. 液晶式テレビ・プラズマ式テレビ 液晶式テレビ・プラズマ式テレビについては、手選別でプラスチック部品やプリント基板、 モジュール(パネル)を取り外した後に破砕機に投入されるのが一般的なフローである。 液晶モジュールに関してはパネルとバックユニット、蛍光管に分け、処理業者に出荷して いる。バックライトの蛍光管には水銀が使用されているため、専門業者による最終処分が必 要となっている。 プラズマモジュールは、そのまま非鉄製錬事業者へ出荷しているケースが多いが、一部家 電リサイクルプラント内で、熱をかけることでパネルとアルミシャーシを分離し、パネルは 非鉄製錬事業者へ、アルミシャーシは破砕後に非鉄製錬事業者へ出荷している例も見られた。 なお、プラズマパネルには銀が含まれているため、有価性がある。 なお、液晶式テレビ・プラズマ式テレビはビスの数が多いため、ブラウン管式テレビに比 べて解体時に工数がかかる。また、近年では大型の液晶式テレビ・プラズマ式テレビの排出 も徐々に出てきており、処理に手間がかかっている。 図 1-3 液晶式テレビ・プラズマ式テレビのリサイクルフロー(2013 年 3 月時点)
10 表 1-3 液晶式テレビ・プラズマ式テレビからの主な回収物と引渡先での利用・処理状況 部材・部品 主要素材 用途 キャビネット ( ス タ ン ド カ バ ー、バックキャビ ネット、フロント キャビネット) プラスチック ・ プラスチックリサイクル材として再生利用のた めの各種技術開発が進められ、マテリアルリサ イクルが行われている。 ・ フロントキャビネット等で、一部、塗装がある ものに関しては、処分をされている。 スピーカー 磁石、紙 ・ 金属くず等として売却されている。 プリント基板 紙入り樹脂、電子 部品、はんだ等 ・ 非鉄製錬事業者にて非鉄金属回収されている。 ・ 市況によっては、品位の低い基板については値 段がつかない場合もある。 フレーム(シャー シ) アルミ ・ アルミスクラップ材として再生利用されてい る。 液晶パネル ガラス ・ 非鉄製錬事業者等で処理されている。 バックライト(蛍 光管) ガラス、水銀 ・ 水銀を含むため、適正処理業者で処理されてい る。 プラズマパネル ガラス、銀 ・ 非鉄製錬事業者にて非鉄金属回収されている。 放熱板 アルミ ・ アルミスクラップ材として再生利用されてい る。
11 e. 冷蔵庫 冷蔵庫については、手選別によりトレイや野菜ケース等のプラスチック部品と扉部分のガ スケットパッキンを取り外す。また、コンプレッサーを取り外し、本体に含まれる冷媒フロ ンの回収を行う。ノンフロン(イソブタン等)の場合は、可燃性を有するため、安全性の観 点から大気放出している。その後、破砕機に投入し、金属・プラスチック等の選別を行う。 ※ 赤斜字部が 5 年前から追加があった項目。 図 1-4 冷蔵庫のリサイクルフロー(2013 年 3 月時点)
12 表 1-4 冷蔵庫からの主な回収物と引渡先での利用・処理状況 部材・部品 主要素材 用途 キャビネット 鉄 ・ 鉄スクラップ材として再生利用されている。 内装部品 プラスチック ・ プラスチックリサイクル材として再生利用のため の各種技術開発が進められ、棚板、野菜ボックス などの大型プラスチック部品を対象としたマテリ アルリサイクルが行われており、家電製品のプラ スチック部品原料へ再生利用されているケースも ある。 ・ 他には高炉還元剤として利用されている。 野菜ケース プラスチック ・ 冷蔵庫の野菜ケース等の庫内容器にクローズドリ サイクルされている例がある。 ・ 他には、冷蔵庫のセンター仕切り部品、エアコン の室外機カバー、エアコンの室外機の保護アミへ 再生利用されている。 ドアパッキン 磁石 ・ 磁石・マグネットへ再生利用されている。 塩化ビニル等 ・ 冷蔵庫のドア部分に付随している塩ビパッキンは 手分解後、更に塩化ビニル部分と磁石に選別され る。塩化ビニル部分は樹脂が含まれる四隅を残し、 建築メーカーにて窓枠材料へ再生利用されてい る。 モーター 鉄、銅 ・ 手解体、分解後、または、機能破壊後に、鉄、銅 スクラップ材として再生利用されている(国内・ 海外)。 断熱材 硬質ウレタン ・ 埋立あるいは焼却が主。 ・ 再生利用のための各種技術開発が進められてお り、圧縮固化し、燃料として、あるいは高炉還元 剤の原料として使用されている他、助燃材等に利 用されているケースもある。 断熱材フロン CFC11 ・ 回収後、破壊処理されている(既に使用が禁止さ れている物質である)。 冷媒フロン CFC12 等 ・ 回収後、破壊処理されている(既に使用が禁止さ れている物質である)。 放熱器 鉄 ・ 鉄スクラップ材として再生利用されている。 コンプレッサー 鉄、銅 ・ 鉄、銅スクラップ材として再生利用されている。 冷凍機油 鉱物油 ・ 冷凍機油または燃料油として再生利用されてい る。 トランス 鉄等 ・ 鉄スクラップ材として再生利用されている。 ・ 一部は鉄、銅、アルミに分解され、それぞれスク ラップ材として利用されている。 コード 銅 ・ 銅スクラップ材として再生利用されている。 塩化ビニル等 ・ 被覆材へ再生利用されるか、焼却処理されている。 プリント基板 紙入り樹脂、電 子部品、はんだ 等 ・ 非鉄製錬事業者にて非鉄金属回収されている。 ・ 市況によっては、品位の低い基板については値段 がつかない場合もある。 ・ 一部は、破砕・選別を行い、品位を高めてから非 鉄製錬事業者へ出荷されている。 ※ 赤斜字部が 5 年前から追加があった項目
13 f. 洗濯機・衣類乾燥機 洗濯機については、手選別により洗濯槽やプラスチック部品を手作業で取り外している。 洗濯槽に付属するインサート等は機械で打ちぬくことにより除去している。 近年ではドラム式洗濯機やヒートポンプ内蔵式洗濯機が徐々に増え、処理工程が一部追加 されている。ドラム式洗濯機にはコンクリートやガラス、ガラス繊維入りのプラスチック等、 再商品化が難しい材料が使われており、また重量も重いため、分解に要する手間が増加して いる。また、ヒートポンプが内蔵されているものは、冷媒フロンが含まれているため、回収 する必要がある。 衣類乾燥機については基本的な処理フローは洗濯機と変わらない。モーターやガラス部分 等を手作業で取り外し、その後、破砕・選別が行われている。 ※ 赤斜字部が 5 年前から追加があった項目。 図 1-5 洗濯機・衣類乾燥機のリサイクルフロー(2013 年 3 月時点)
14 表 1-5 洗濯機・衣類乾燥機からの主な回収物と引渡先での利用・処理状況 部材・部品 主要素材 用途 キャビネット 鉄 ・ 鉄スクラップ材として再生利用されている。 ガラス窓 ガラス ・ ガラスメーカーで再生利用されている。 ヒートポンプ(冷 媒フロン) 鉄、銅 ・ 外枠を切断し、手解体、分別後、または、機能 破砕後、鉄、銅スクラップ材として再生利用さ れている。 ・ 冷媒フロンは、回収後、破壊処理されている。 外水槽(洗濯機) 洗濯羽根 プラスチック ・ プラスチックリサイクル材として再生利用のた めの各種技術開発が進められ、マテリアルリサ イクルが行われており、家電製品のプラスチッ ク部品原料へ再生利用されているケースもあ る。 ・ 冷蔵庫の蒸発器カバー、ファンモータホルダー、 エアコンの室外機の保護アミへ再生利用されて いる。 洗濯・脱水槽(内 槽) プラスチック ・ プラスチックリサイクル材として再生利用のた めの各種技術開発が進められ、マテリアルリサ イクルが行われており、家電製品のプラスチッ ク部品原料へ再生利用されているケースもあ る。 ステンレス ・ ステンレス槽の場合は、鉄スクラップ材として 再利用されている。 バランサー プラスチック ・ 冷蔵庫の凝縮器のカバーへ再生利用 台枠等 プラスチック (PP) ・ 洗濯機(台枠)に再生利用されている。 モーター 鉄、銅 ・ 手解体、分解されるか、機能破壊後、鉄、銅ス クラップ材として再生利用されている(国内・ 海外)。 バランサー液 塩水 ・ 希釈等の処理後に排水される場合が多い。 ・ 一部、回収後、浄化し、塩水へ再生利用されて いる。 給・排水ホース 塩化ビニル ・ 埋立あるいは焼却が主であるが、リサイクル材 として再生利用のための各種技術開発が進めら れている。 トランス 鉄等 ・ 鉄スクラップ材として再生利用されている。 ・ 一部は鉄、銅、アルミに分解され、それぞれス クラップ材として利用されている。 コンデンサ アルミ等 ・ アルミスクラップ材として再生利用されてい る。 コード 銅 ・ 銅スクラップ材として再生利用されている。 塩化ビニル等 ・ 被覆材へ再生利用されるか、焼却処理されてい る。 プリント基板 紙入り樹脂、電子 部品、はんだ等 ・ 非鉄製錬事業者にて非鉄金属回収されている。 ・ 市況によっては、品位の低い基板については値 段がつかない場合もある。 ・ 一部は、破砕・選別を行い、品位を高めてから 非鉄製錬事業者へ出荷されている。 ※ 赤斜字部が 5 年前から追加があった項目。
15 2)最新のリサイクル技術について リサイクルプラントでは、手解体工程の見直しや破砕・選別工程への新たな設備の導入や、 再商品化物の品質向上のための取組が行われている。ヒアリング結果を元に、最新のリサイ クル技術の代表的な事例を図 1-6 に整理した。 ここでは「手分解・事前選別」「破砕・選別」「再生利用」の工程ごとに事例をまとめ、そ れぞれの技術の概要を示している。一部の技術の詳細に関しては、別途個票としてまとめた。 近年の傾向として、ミックスプラスチックの選別や、コンプレッサー・基板の処理におい て新しい技術が多く導入されていることがわかる。 前回見直しによって家電リサイクル法対象品目に追加された液晶式テレビにおいては、再 商品化処理ラインの構築などの処理の効率化に関する取組が行われていた。液晶パネルにつ いては、ガラスのリサイクルに関する技術開発が製造業者等によって継続的に行われている が、現状ではまだ再商品化率に計上できる状況ではないことが分かり、図中には整理してい ない。
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17 ① 薄型テレビ再商品化処理ラインの構築 技術の名前 薄型テレビ再商品化処理ラインの構築 技術開発主体 シャープ株式会社 技術開発・導入の目的 液晶式テレビは、「構造が複雑で部品点数・ビス数が多い」、「テレビの大型化に伴いビ スの視認性が悪い、表/裏の反転作業が一人では困難」、「蛍光管バックライトの破損」な ど、特有の課題があり、再商品化処理にあたっては安全で効率的な解体・回収技術の開発 が求められる。これらの課題の対応に向けて、“大型テレビを一人で解体(ユニバーサル)”、 “蛍光管の安全な回収(安全・安心)”をコンセプトに液晶式テレビリサイクル技術の開発 を推進した。 技術開発・導入の時期 2009 年 5 月(開発) 技術・工程の特徴 大型テレビの解体に関しては、使用済み製品を作業台に載置するための移載装置(図2) のほか、ビスの視認性の改善および表/裏反転作業の負荷を軽減するために傾斜・反転作業 台(図3)を開発した。 蛍光管バックライトの回収に関しては、蛍光管に直接触れることなく回収するために蛍光 管クリップ係止部切断用エアニッパ(図4)を、さらに蛍光管の万一の破損に備えて水銀 吸着装置を備えた蛍光管回収作業台(図5)を開発した。 これらの装置・作業台の導入により,重量物の搬送や腰曲げ作業が大幅に減少し,作業性 の改善による効率の向上と作業者の負荷軽減につながった。 技術・工程のイメージ図 技術開発・導入による成果 これらの装置・作業台の導入により,重量物の搬送や腰曲げ作業が大幅に減少し,作業性の改 善による効率の向上と作業者の負荷軽減につながった。 出典 http://www.sharp.co.jp/corporate/rd/36/pdf/101_09.pdf
18 ② 近赤外線を用いた高精度樹脂選別 技術の名前 近赤外線を用いた高精度樹脂選別 技術開発主体 パナソニック株式会社 技術開発・導入の目的 破砕後のシュレッダーダストやミックスプラスチックは、PP、PS、ABS が混合した形で 再生利用されることが一般的であった。新しい技術により、これら3 種類の樹脂を高精度 で選別し、リサイクル樹脂の再利用を加速することが目的である。 技術開発・導入の時期 2010 年 9 月(開発)、2012 年(導入) 技術・工程の特徴 近赤外線識別技術と高精度エア制御技術※1を用い、シュレッダーダストの樹脂片からPP・ PS・ABS を樹脂選別毎に、それぞれ 99%を超える精度で選別・回収が可能である。 また、RoHS 規制で示されている、難燃剤として樹脂に添加される臭素の混入も防ぐこと が可能な技術である点も特徴である。 システムとしてはコンパクト(7×13m)であり、他のリサイクル工場への展開も容易である と言える。加えて、全工程を廃水・廃液処理が不要な乾式で行なうため、リサイクル工程 での環境負荷の低減にも寄与している。 ※1:近赤外線センサーを利用し、樹脂材料ごとに異なる分子構造をもとにした吸光特性に よって樹脂種を選別。選別情報をもとにノズル吐出信号を送信し、対象樹脂がエアジェッ トノズルの下部に来るタイミングを予測してエアを吐出。 技術・工程のイメージ図 樹脂選別フロー 技術開発・導入による成果 現在、パナソニックは年間約10,000 トン(家電リサイクル以外を含む)の樹脂を再利用してい るが、今後は、適用商品を拡大して製品の再資源活用率を高め、より一層の環境負荷低減を図 る考えである。 PETEC においては、2011 年 9 月に冷蔵庫由来のミックスプラを対象とした設備を導入した。 今後はエアコンや洗濯機などのプラスチック処理も行うことを検討している。 出典 ヒアリング結果、家電リサイクル年次報告書(平成23 年度(第 11 期)) http://kaden.watch.impress.co.jp/docs/news /20100927_395713.html
19 ③ 中赤外光を用いたミックスプラの選別 技術の名前 中赤外光を用いたミックスプラの選別 技術開発主体 三菱電機株式会社、株式会社島津製作所 技術開発・導入の目的 従来の近赤外光を用いるプラスチック選別機では、使用済み家電製品から回収された「混 合破砕プラスチック(ミックスプラ)」に含まれる着色剤が阻害要因となり濃色のプラス チックの識別はできなかったため、それらを識別することが目的である。 技術開発・導入の時期 2012 年 12 月(開発) 技術・工程の特徴 近赤外光より波長の長い中赤外光を用いて、着色剤や添加剤の影響を受けず、濃色も含む プラスチックの種類を高速・高精度に識別する技術を開発した。プラスチックフレークの形 状の違いに影響されにくい光学系や、高感度に反射光を識別できる検出器の採用に加え、 同一フレーク内の反射光を 1 秒間で複数回測定したデータから総合的にプラスチックの 種類を識別するアルゴリズムを採用した。 また、穴を設けた円盤状の搬送板を傾斜させることにより、自重を利用してプラスチック フレークを 1 個ずつ穴に吸着させ、識別位置に自動搬送することで連続識別できる装置を 開発した。さらに識別したプラスチックフレークをエアガンで自動選別することで、プラ スチック純度検査の自動化を実現した。 技術・工程のイメージ図 技術開発・導入による成果 プラスチックの種類識別に関しては99%以上の精度を実現した。プラスチックフレークの識別 に関しては、試作装置を株式会社グリーンサイクルシステムズにおいて選別回収した破砕プラ スチックの純度検査に試験適用し、従来の手作業による検査と同等の精度が得られることを確 認した。 出典 ヒアリング結果http://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2012/pdf/1219-a.pdf
20 ④ 触媒反応による有機物分解リサイクル 技術の名前 触媒反応による有機物分解リサイクル 技術開発主体 パナソニック株式会社 技術開発・導入の目的 シュレッダーダストから単一プラスチックや混合プラスチックを選別した後の有機物を、 焼却せずに酸化チタンの触媒反応を用いて安全にガス化処理することが目的である。 技術開発・導入の時期 2013 年 9 月(改良機導入予定) 技術・工程の特徴 酸化チタンを用いた触媒反応を用いることで、燃やさずにシュレッダーダストの連続処理 が可能となった。 また、中和還元システムにより樹脂に添加される塩素、窒素を無害化し、ふるい機構によ ってシュレッダーダスト中の有価金属を連続回収することを可能にした。 加えて、温度・静圧自動制御システムにより、反応槽内の触媒反応を安定化している点も 特徴と言える。 技術・工程のイメージ図 システムフロー図 技術開発・導入による成果 焼却設備ではないため、設置許可が容易であり、触媒反応熱で処理するため、加熱、補助燃焼 が不要で省エネ処理を実現。 独自の撹拌方式により触媒反応を効率化、樹脂選別残渣を無害ガス化処理し、残渣中の金属を 連続回収可能になった。 出典 ヒアリング結果、家電リサイクル年次報告書(平成23 年度(第 11 期)) http://kaden.watch.impress.co.jp/docs/news/20100927_395713.html
21 ⑤ エアコン用コンプレッサーからのネオジム磁石回収技術 技術の名前 エアコン用コンプレッサーからのネオジム磁石回収技術 技術開発主体 パナソニック株式会社 技術開発・導入の目的 供給不安定や価格高騰などの課題から、レアアースの確保は極めて重要となってきた中で、 近年製造されたエアコン等にはネオジム磁石が使われていながら、これまでは回収ができ ていなかった。本技術は、これらを回収すること目的としている。 技術開発・導入の時期 2012 年 4 月(導入) 技術・工程の特徴 モーターのローター部分を装置にかけ、磁力を取り除いた上で、板状のネオジム磁石を回 収する。対象は、ネオジム磁石が用いられているエアコン用コンプレッサーである。 コンパクトで熱、ガスの発生をともなわない低環境負荷回収装置であることも特徴である。 技術・工程のイメージ図 PETEC に開発・導入したエアコンコンプレッサモータのネオジム磁石回収装置 技術開発・導入による成果 本装置の導入で、2012 年度は約 1.5 トンのネオジム磁石の回収を見込んでいる。また、同社で は、三菱マテリアル(株)との共同研究で、エアコンに加えてドラム洗濯機のモーターから、ネオ ジム磁石と非鉄金属を一貫して回収可能な装置を開発・導入した。これまで、金属では鉄、銅、 アルミなど比較的多く使われる資源を回収していたが、今後は、ネオジム磁石のような取り出 しにくいものもできるだけ回収して再利用できる資源に戻していく意向である。 出典 ヒアリング結果 http://panasonic.co.jp/eco/factory/recycle/
22 ⑥ コンプレッサーからのネオジム磁石分離・回収装置 技術の名前 コンプレッサーからのネオジム磁石分離・回収装置 技術開発主体 株式会社日立製作所 技術開発・導入の目的 従来手作業での分解が困難だったコンプレッサーについて、高効率で安全な分離・回収を 可能にすることが目的である。 技術開発・導入の時期 2009 年 10 月(開発開始) 技術・工程の特徴 まず切断装置でケーシングを切断したのち、手作業によりネオジム磁石を含むローター(回 転子)を露出させる。次に、ローター抜き取り装置で、ネオジム磁石を含むローターのみを 分離する。その後、強い磁力を持つネオジム磁石を安全に回収するために、共振電流によ り常温で磁場を減衰する装置を使い、磁力を弱める。最後に、 ネオジム磁石抜き取り装置 でローターに振動を与え、内蔵するネオジム磁石のみを分離・ 回収する。 技術・工程のイメージ図 コンプレッサーからの回収プロセス 技術開発・導入による成果 新たに切断装置や脱磁装置などを開発し、高効率で安全な分離・ 回収を可能にした。 出典 http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2010/12/1206.pdf http://www.hitachi.co.jp/environment/activities/ecoproducts/circu.html
23 ⑦ エアコン用ローターからのネオジム磁石回収技術 技術の名前 エアコン用ローターからのネオジム磁石回収技術 技術開発主体 三菱電機株式会社 技術開発・導入の目的 現在生産している多くのルームエアコン用圧縮機には省エネ性能を高めるなどのためネオ ジム磁石が使用されている。しかし、レアアース(ネオジム、ディスプロシウム、ロシウム など)はその調達が厳しくなってきている。貴重な資源であるレアアースを有効利用するた め、使用済みルームエアコンからネオジム磁石を回収する技術を開発し、あわせて国内循 環(リサイクル)体制を構築することを目的としている。 技術開発・導入の時期 2012 年 4 月(稼働開始) 技術・工程の特徴 「半解体圧縮機からローターを引き抜き、常温で脱離後、ローターと磁石に分離」という 工程を自動で行う。 技術・工程のイメージ図 技術開発・導入による成果 ルームエアコン用圧縮機のローター(回転子)に含まれるネオジム磁石を単体分離できる状態ま で自動解体する装置を開発し、グリーンサイクルシステムズ社に設置。 省スペース・省力化を実現した自動解体装置により、既設の圧縮機分解ラインに連動して作業 効率良くネオジム磁石を回収することが可能。 出典 http://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2012/pdf/0208.pdf
24 1.2 有機 EL テレビに関する調査 有機 EL テレビの出荷状況等について調査を行い整理した。なお、有機 EL テレビのリサイクル技術 について業界団体や研究開発中のメーカーにヒアリング調査を行ったところ、現段階で、有機 EL テレ ビの技術動向、リサイクルの課題等について公表可能な内容はないとのことから、現時点で収集するこ とができた、構造、素材構成、製造方法等の調査を行い、代替した。 (1) 有機 EL テレビの概要 1)構造 有機 EL テレビとは、有機 EL ディスプレイを用いたテレビであり、液晶式テレビやプラズマ式テレ ビに続く次世代テレビと考えられている。有機 EL は自発光であるため、液晶式テレビ等と異なりパネ ルの背面に光源が不要であり、その分薄く、また消費電力を抑えることが可能である点が特長である。 2)素材構成、製造方法 有機 EL の発光素材である有機物として、低分子を用いる場合と高分子を用いる場合があり、それぞ れ有機 EL ディスプレイの製造方法が異なる。 低分子素材の場合は、発光する有機物を蒸着させて発光層を作る方法(蒸着技術)を用いることが多 い。既にソニー株式会社の製品などで実用化されている。この方法は、製造コストが高く、また大型化 が困難であることが課題である。 一方、高分子素材の場合は、有機物をインク状にしてガラスやプラスチックに印刷する方法(印刷技 術)を用いることが多い。この方法は、先に挙げた蒸着技術に比べて製造コストが低く、また大型化に も優位である。一方で、低分子材料に比べて高分子材料は薄膜化・積層化が難しく、複雑な分子設計が 必要であるため、現時点では大型の有機 EL テレビが量産化できるまでには至っていない。 このように、有機 EL テレビに用いられる有機 EL ディスプレイの製造においては、未だに技術面や コスト面で課題が残っており、これらが有機 EL テレビの製品化が進んでいない要因と言える。 3)有機 EL の発光原理 有機 EL ディスプレイは、EL 現象(物質が電気的な刺激を受けて発光現象)を起こす性質を持つ有 機素材を薄い層状にして透明な基板ではさみ、そこに電圧をかけて発光させることで画像を表示してい る。 有機 EL の発光原理を以下に示す。
25 図 1-7 有機 EL の仕組み 出典:有機 EL テレビ・ナビ ウェブサイト, http://yuukiel.com/el-kouzou.htm [1] 有機層(発光層) 電圧がかかると発光する部分。比較的低い電圧でも発光をするため、テレビの消費電力を抑えること ができる。前述の通り、発光素材である有機物として、低分子を用いる場合と高分子を用いる場合があ る。 また、カラー化方式として、赤・緑・青の三原色の有機層を配置する RGB 方式と、白の有機層とカ ラーフィルターを配置するホワイト方式がある。 [2] 電極 電圧の ON/OFF や電圧を変化させることで、有機層の発光をコントロールする部分。電極にはアノ ード(陽極)とカソード(陰極)があり、有機層をはさむ形で配置されている。 電極材料としてカソードには銀やアルミニウムなどの光を反射する金属を、アノードにはインジウム- スズ酸化物(ITO)などの透明な物質を使うことで、ガラス(プラスチック)基板を透過させ外部に光 を得る仕組みである。 [3][4] 基板 有機層と電極を挟む板状の材料の部分。通常は薄いガラス板が使われるが、ディスプレイのサイズが 小さい場合等ではプラスチックが使われる場合もある。なお、ソニー株式会社の XEL-1 では、約 0.7 ミ リのガラス板が 2 枚使用されている。 4)外形、重量 有機 EL テレビは商品化されたものが少ないため、外形や重量に係るデータが限られている。ここで は 2007 年に既に商品化されているソニー株式会社の XEL-1 と、2013 年に商品化が発表された LG Electronics の 55EM9700 のデータを示す。
26 表 1-6 商品化された有機 EL テレビの概形、重量 ソニー株式会社 LG Electronics 機種名 XEL-1 LG 55EM9600 発売時期 2007 年 12 月 2013 年 3 月(予定)1 画面サイズ 11 型 55 型 デ ィ ス プ レ イの厚さ ・ 基板にはガラスが用いられてお り、厚さは約 3mm ・ 厚さは約 4mm 重量 ・ 重さは 2.0kg ・ 重さは約 7.5kg であり、同サイズ の液晶式テレビの半分程度 5)各社の動向 ソニー株式会社は 2007 年 12 月に 11 型の有機 EL テレビ(XEL-1)を発売開始したが、現在は放送・ 業務用途の有機 EL モニターのみで、有機 EL テレビは発売していない。また、LG Electronics は 2013 年 3 月から 55 型の有機 EL テレビ(55EM9700)の発売をアメリカで開始することを発表した。 前述の通り、現在有機 EL テレビの技術開発は高い技術を要することから、開発を手掛けている企業 は日系企業ではソニー株式会社やパナソニック株式会社、外資系企業では LG Electronics や Samsung Electronics 等に限られている。 各社の有機 EL テレビの研究開発に関する取り組みをまとめた。
1 LG Electronics ホームページ PRESS RELEASE, http://www.lg.com/us/press-release/oled-release なお、2013 年 3 月 21 日現在、発売は確認できていない。
27 表 1-7 各社の有機 EL テレビの研究開発に関する取り組み 代表的な取り組み 日 系 企 業 ソニー株式会社 ・ 2007 年に 11 型の有機 EL テレビ(XEL-1)を発売開始、価格は 20 万円程度 ・ 2011 年に放送・業務用途の 25 型、17 型モニターを発売 ・ 駆動素子として、酸化物半導体 TFT を利用 ・ 2013 International CES で、56 型 4K 対応有機 EL テレビの試作機 を参考出展 ・ 有機 EL パネルは、台湾 AUO 社との共同開発を行なっている ・ テレビ/大型ディスプレイ向け次世代有機 EL パネルに関し て、2012 年 6 月にパナソニック株式会社と共同開発を行うこと を発表 ・ 2013 年度にはパナソニック株式会社と共同出資会社(官民ファ ンドの産業革新機構)を設立する予定である パナソニック 株式会社 ・ 有機 EL テレビの量産体制に向けて、印刷技術を開発 ・ RGB オール印刷方式で 56 型の有機 EL パネルを開発し、2013 International CES で参考出展 その他の日本企業 ・ 有機素材については出光興産などが、製造装置についてはある バックやキヤノントッキなどが先端技術を有している 外 資 系 企 業 LG Electronics ・ 2013 年 3 月から 55 型の有機 EL テレビ(55EM9700)を発売開 始、価格は US$10,000~US$12,000 ・ 発光方式として、ホワイト方式を採用 ・ ホワイト方式を採用することで、大幅なコスト削減を実現 ・ 駆動素子は酸化物半導体 TFT を用いている Samsung Electronics ・ 2012 年 5 月に、55 型の有機 EL テレビ(KN55F9500)の発売を 発表したが、具体的な発売時期や価格、販売量、スペック等は 公表されていない ・ 発光方式として、RGB 方式を採用 出典:各社ホームページ等
28 図 1-8 ソニー(株)の発売した有機 EL テレビ(XEL-1) 出典:ソニー株式会社 ウェブサイト, http://www.sony.jp/oel/products/XEL-1/image.html http://www.sony.jp/oel/products/XEL-1/parts.html 図 1-9 LG Electronics の発売した有機 EL テレビ(55EM9700) 出典:KOREA IT TIMES ウェブサイト, http://www.koreaittimes.com/story/25403/lg-begins-rollout-eagerly-anticipated-oled-tv?utm_source=twitterfeed&ut m_medium=twitte
29 (2) 有機 EL テレビの出荷状況 1)出荷台数 現状では製品化された有機 EL テレビが少ないため、出荷台数はほとんどない。 有機 EL テレビの出荷台数は 2014 年以降に前年比 200%以上のペースで増加し、2017 年には 6,050 千 台に至ると予想されている。 参考として、液晶式テレビとプラズマ式テレビの出荷台数の予測を示す。液晶式テレビは 188,200 千 台(2010 年)から 276,700 千台(2017 年)に増加し、プラズマ式テレビは 18,100 台(2010 年)から 4,480 千台(2017 年)に減少すると予想されている。 この予測から、2017 年には有機 EL テレビの出荷台数はプラズマ式テレビの出荷台数を上回るものの、 液晶式テレビの出荷台数が最も多く、有機 EL テレビの 45 倍程度であることがわかる。 図 1-10 有機 EL テレビの出荷台数予測 出典:キメラ総研「2012 ディスプレイ関連市場の現状と将来展望」より作成 ※本集計には、モニタ TV (PC 用パネルを使用した TV)を含む 0 100 200 300 400 500 600 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 前 年 比 ( % ) 台数( 1, 000 台) 年次 有機ELテレビの出荷台数 前年比
30 図 1-11 液晶式テレビ・プラズマ式テレビの出荷台数予測 出典:キメラ総研「2012 ディスプレイ関連市場の現状と将来展望」より作成 ※本集計には、モニタ TV (PC 用パネルを使用した TV)を含む 2)売上 有機 EL ディスプレイ全体の売上で見ると、2009 年の段階で 8 億ドル程度だが、2017 年には、10 倍 の 80 億ドル程度になると予測されている。有機 EL テレビの売上は、そのうちの約 3 割程度と見込まれ ている。 図 1-12 アプリケーションごとの市場予測 出典: DISPLAY SEARCH「OLED Display and OLED Lighting Technology and Market Forecast」
0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 300,000 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 台数( 1, 000 台) 年次 液晶式テレビ プラズマ式テレビ
31 3)市場 有機 EL テレビの市場としては、日本やアジア諸国、北米諸国等が中心となると予想されている。 図 1-13 有機 EL テレビの市場予測 出典:キメラ総研「2012 ディスプレイ関連市場の現状と将来展望」より作成 ※本集計には、モニタ TV (PC 用パネルを使用した TV)を含む 4)シェア 現状では有機 EL テレビの出荷はほとんどないため、そのシェアに関する情報はない。また、前述の 通り、有機 EL テレビの製造技術は高度であり、研究開発を進めている企業は、ソニー株式会社やパナ ソニック株式会社、LG Electronics や Samsung Electronics 等に限られている。
参考として、液晶式テレビとプラズマ式テレビのシェアを示す。液晶式テレビは Samsung Electronics、 LG Electronics、ソニー株式会社が上位を占める。また、プラズマ式テレビは Samsung Electronics、パナ ソニック株式会社、LG Electronics が上位を占める。 ここから、有機 EL テレビの開発を進めている企業と、現状で液晶式テレビやプラズマ式テレビのシ ェアが上位である企業は同じであることがわかる。 0 100 200 300 400 500 600 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 前 年 比 ( % ) 台数( 1, 000 台) 年次 その他 欧州 中南米 北米 中国 アジア 日本 合計(前年比%)
32 図 1-14 液晶式テレビのシェア(2011 年、出荷台数ベース) 出典:キメラ総研「2012 ディスプレイ関連市場の現状と将来展望」より作成 図 1-15 プラズマ式テレビのシェア(2011 年、出荷台数ベース) 出典:キメラ総研「2012 ディスプレイ関連市場の現状と将来展望」より作成
18%
12%
10%
7%
7%
6%
5%
36%
Samsung LG Elevtronics ソニー 東芝 シャープ パナソニック TCL その他37%
29%
27%
4%
1%
1%
1%
Samsung パナソニック LG Elevtronics Changhong 日立製作所 Hisence その他33 1.3 再商品化等率の見直しの考え方の整理 特定家庭用機器の品目追加・再商品化等基準に関する報告書(平成 20 年 9 月)では「おわりに」とし て今後検討すべき事項を以下の通り整理している。 今後、法施行後約 10 年を経過するにつれ、家電リサイクル法施行後の環境配慮設計が反映され た製品の排出が増加すると予想されること、ミックスプラスチック(複数種類のプラスチックが 混合した状態で排出されるプラスチック)の分離・精製について、様々な技術開発が行われてい ること等から、こうした環境配慮設計の推進及びリサイクルの技術向上等も踏まえて、再商品化 等基準については、今後とも状況に応じて引き上げを検討することが適当である。 他方で、資源価格の下落等、将来におけるリサイクルコストの増加要因も考えられることから、 将来のある時点において過剰な社会コスト増加が予見された場合は、その時点で再商品化等基準 の引き下げ等により、排出者が負担するコスト増加を回避する可能性を検討することが適当であ る。 なお、製造業者等は、再商品化等基準を遵守するだけでなく、リサイクルの状況、リサイクルさ れた資源の行き先及び環境配慮設計の推進状況等について、必要に応じ、可能な限り透明化し、 消費者の理解を得ながら、再商品化を進めることが望ましい。 以上を踏まえ、再商品化等基準の引き上げ・引き下げの可能性についてリサイクル技術及びリサイク ルコストの観点から検証を行った。 (1) 使用済み家電 4 品目の再商品化実績の整理 家電製品協会データ(家電 4 品目のリサイクル実施状況)を用いてこれまでの再商品化率及び再商品 化等処理重量と再商品化重量、素材別再商品化の構成比率を以下の通り整理した。 品目別の再商品化率の推移を図 1-16 に示す。平成 23 年度の再商品化率は、エアコン 89%、ブラウン 管式テレビ 79%、液晶式・プラズマ式テレビ 83%、冷蔵庫・冷凍庫 79%、洗濯機・衣類乾燥機 87%とな り、家電リサイクル法に定められた再商品化基準値を上回る実績をあげている。
34 図 1-16 品目別の再商品化率の推移 出典:家電製品協会データ(家電 4 品目のリサイクル実施状況) 次に、平成 23 年度の使用済み家電 4 品目合計の再商品化重量を図 1-17 に示す。再商品化重量は家電 4 品目合計で約 55.6 万トンとなり、使用済み家電 4 品目合計の再商品化率は約 82%となった。 また、使用済み家電 4 品目における品目別の素材別再商品化実績を図 1-18 に示す。エアコンでは鉄、 当、アルミニウムを合計した構成比率が全体の約 50%を占める。また、ブラウン管式テレビはブラウン 管ガラスが全体の約 54%を占めるなど最も構成比率が高いことが製品特性として挙げられる。その他の 品目では鉄が構成比率の約半分を占めており、全体に占める割合が高い。 図 1-17 再商品化等処理重量と再商品化重量、再商品化率の推移(4 品目合計) 出典:家電製品協会データ(家電 4 品目のリサイクル実施状況) 78 78 81 82 84 86 87 89 88 88 89 73 75 78 81 77 77 86 89 86 85 79 74 79 83 59 61 63 64 66 71 73 74 75 76 79 56 60 65 68 75 79 82 84 85 86 87 45 50 55 60 65 70 75 80 85 90 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 再商品化率(%) (年度) エアコン ブラウン管式テレビ 液晶式・プラズマ式テレビ 冷蔵庫・冷凍庫 洗濯機・衣類乾燥機 <再商品化等基準> H20年度まで エアコン (60%以上) テレビ (55%以上) 冷蔵庫・冷凍庫 洗濯機 (50%以上) エアコン (70%以上) <再商品化等基準> H21年度より 洗濯機・衣類乾燥機 (65%以上) 冷蔵庫・冷凍庫 (60%以上) ブラウン管式テレビ (55%以上) 液晶式・プラズマ式テレビ (50%以上) 211 263 282 311 334 345 378 414 537 746 556 319 387 400 429 449 447 467 496 644 888 676 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 単位(千t) (年度) 鉄 銅 アルミニウム 非鉄・鉄等混合物 ブラウン管ガラス その他有価物 66% 68% 71% 73% 74% 77% 81% 83% 83% 84% 82% 再商品化率(%)=再商品化重量÷再商品化等処理重量
35 図 1-18 素材別再商品化の構成比率(品目別) 出典:家電製品協会データ(家電 4 品目のリサイクル実施状況) (2) 再商品化率の種類分け(製品種類・サイズ等)の必要性の検討 1.1 にて実施した家電リサイクルプラントへのヒアリング調査結果によれば、家電 4 品目の製品種類・ サイズにおける再商品化における差異は表 1-8 の通り。これより、液晶式テレビとプラズマ式テレビ、 洗濯機のうちドラム型洗濯機の再商品化率の種類分けの可能性が示唆されたが、家電リサイクルプラン トからの具体的な要望も踏まえながら引き続き検討を行うべきである。 表 1-8 家電 4 品目の製品種類・サイズにおける再商品化における差異 品目 製品種類 サイズ エアコン 特になし 特になし ブラウン管式テレビ 特になし 特になし 液晶式テレビ・プラズマ式テ レビ 液晶式テレビの液晶モジュー ルについては現状では再商品 化が困難 特になし 冷蔵庫・冷蔵庫 特になし 特になし 洗濯機・衣類乾燥機 ドラム型洗濯機については、ガ ラス繊維プラスチック等が使 用されている場合は、当該部品 の再商品化が困難 特になし 鉄 30% 銅 7% アルミ ニウム 13% 非鉄・ 鉄等混 合物 36% その他 の有価 物 14% エアコン 鉄 13% 銅 4% アルミニウ ム 0% 非鉄・鉄等 混合物 1% ブラウン管 ガラス 54% その他の有 価物 28% ブラウン管式テレビ 鉄 47% 銅 2% アルミニ ウム 5% 非鉄・鉄 等混合物 1% その他の 有価物 45% 液晶式・プラズマ式テレビ 鉄 52% 銅 2% アルミニウ ム 1% 非鉄・鉄等 混合物 16% その他の有 価物 29% 冷蔵庫・冷凍庫 鉄 51% 銅 2% アルミニウ ム 1% 非鉄・鉄等 混合物 14% その他の有 価物 32% 洗濯機・衣類乾燥機
36 (3) 素材回収効率の引き上げ・引き下げの必要性及び新たに再商品化基準の算定対象とすることが妥当 と考えられる部品・素材の検討 素材回収効率の引き上げ・引き下げの必要性及び新たに再商品化基準の算定対象とすることが妥当と 考えられる部品・素材の検討を実施した。なお、ここでの素材構成とは、家電製品を構成する各素材(金 属、プラスチック等)のうち、実際に再商品化することが可能な素材の割合(重量比)のことである。 1)金属(鉄・銅・アルミニウム・レアメタル) 前回見直しにおいて金属の素材回収効率は、95%と設定された。 1.1 にて実施した家電リサイクルプラントへのヒアリング調査結果によれば、非鉄選別機の導入など、 更に細かく金属を素材別に分離することで、単一素材として品位を高める取組が行われていたが、これ まで再商品化されていなかったものが再商品化可能となるよりも、既に再商品化されていたものの品位 を向上させ、売却単価を上げることが目的であった。 これより、前回見直し以降、金属については、主に品位を向上させるための取組が行われており、素 材回収効率については、前回見直し並の 95%との設定を継続すべきと考えられる。 なお、レアメタルについては、前回見直しにおいて、長期的な視野に立ち検討を進めつつ、技術開発 等の推進を行うことが重要であるとされていた。今回ヒアリングを実施した家電リサイクルプラントの 一部でエアコンのコンプレッサーのローター部分に使用されているネオジム磁石を取り出す事例が確認 できたが、取り出したネオジム磁石は現状では売却できておらず、保管しているとのことであり、再商 品化の事例を確認することができなかった。このため、レアメタルについても引き続き再商品化の実施 へ向けた検討を進めつつ、より一層の技術開発等の推進を行うことが重要と考えられる。 2)プラスチック 前回見直しにおいてプラスチックの素材回収効率は、当時のリサイクル技術水準等を勘案し、中・高 品質のプラスチックを対象に再商品化等基準に追加された。具体的には、中・高品質なプラスチックの 素材回収効率は、エアコンディショナーでは 2%、テレビにおいては 40%、冷蔵庫・冷凍庫では 20%、 洗濯機においては 40%と設定された。 1.1 にて実施した家電リサイクルプラントへのヒアリング調査結果によれば、ミックスプラスチックの 再破砕・選別等により、品位を高める事例が確認できたが、これまで再商品化されていなかったものが 再商品化可能となるよりも、既に再商品化されていたものの品位を向上させ、売却単価を上げることが 目的であった。また、ミックスプラスチックの再破砕・選別等が行われているのは、一部の先進的な家 電リサイクルプラントのみであり、全ての家電リサイクルプラントにて同程度の取組が行われているわ けではない。 これより、前回見直し以降、プラスチックについては、主に品位を向上させるための取組が行われて おり、素材回収効率については、前回見直し並の設定を継続すべきと考えられる。 3)基板 前回見直しにおいて薄型テレビに含まれる基板の素材回収効率は、液晶テレビ 24%、プラズマテレビ 20%と設定された。 1.1 にて実施した家電リサイクルプラントへのヒアリング調査結果によれば、一部の家電リサイクルプ
37 ラントにおいて基板破砕・選別機を導入し、基板を細かく砕き、選別を行うことで、回収物の品位を高 める取組が確認できた。ただし、この取組も金属やプラスチックと同様、既に再商品化されていたもの の品位を向上させ、売却単価を上げることが目的であった。 これより、前回見直し以降、基板については、主に品位を向上させるための取組が行われており、素 材回収効率については、前回見直し並の設定を継続すべきと考えられる。 4)液晶パネル・プラズマパネル 前回見直しにおいて、液晶式テレビ及びプラズマ式テレビは家電リサイクル法の対象品目として追加 されたが、液晶パネルやプラズマパネルの部分については、現時点においては、再商品化が困難である ことが想定されることから、品目追加当初においては、パネル部分を除いた再商品化等基準の設定が行 われていた。 1.1 にて実施した家電リサイクルプラントへのヒアリング調査結果によれば、液晶パネルは、全てのプ ラントにて、パネルとバックユニット、蛍光管に分け、処理費を支払い処理業者に出荷していた。一方、 プラズマパネルは、そのまま非鉄製錬事業者へ売却しているケースが多いが、一部家電リサイクルプラ ント内で、熱をかけてパネルとアルミシャーシを分離し、パネルは非鉄製錬業者へ、アルミシャーシは 破砕後非鉄製錬業者へ売却する等、全て売却されていた。 これより、プラズマパネルについては、新たに再商品化等基準に追加することが適当と考えられる。 また、液晶パネルについては、引き続き再商品化に向けた技術開発等をより一層推進していくべきと考 えられる。 (4) 現状達成可能と考えられる再商品化率の試算 以下、品目毎に現状達成可能と考えられる再商品化率の計算を行った。なお、ブラウン管テレビにつ いては、1.1 にて実施した家電リサイクルプラントへのヒアリング調査結果によれば、前回見直し時点と 同様、国際的にブラウン管式テレビから液晶式テレビ及びプラズマ式テレビへの転換が加速化している 状況の中、ブラウン管ガラスカレットの需要が減少傾向にあり、他のガラス用途への転用も技術的に課 題が大きいといったリスクがあることを踏まえ、再商品化等基準は、当面、現状を維持することが適当 と考えられるため、再商品化率の試算は行わなかった。 なお、製品寿命については、「みずほ情報総研株式会社:家電 4 品目の経過年数等調査報告書(平成 24 年 3 月)」の数値を用いた。 1)エアコン ○「鉄の含有率×素材回収効率 +銅の含有率×素材回収効率 + アルミの含有率×素材回収効率 + プラスチックの含有率×素材回収効率」の値を5%単位で切り上げ。 ○製品寿命(約 15 年)から、今後5年(2014~2018 年)に排出されるエアコンは 1999~2003 年の ものが主であると考えられるが、入手可能な組成データとして 2002 年と 2006 年の組成を用いる。 ○試算結果 ( 鉄 ) ( 銅 ) ( アルミ ) (プラスチック) 46%×95% +17%×95% +10%×95% + 18%×2% = 69.6%(2002 年値) 44%×95% +18%×95% +10%×95% + 17%×2% = 68.3%(2006 年値)
38 ○現状達成可能と考えられる再商品化率は、試算結果より、70%程度と考えられる。 2)液晶式テレビ・プラズマ式テレビ ○液晶式テレビについては、「金属(鉄・銅・アルミ)の含有率×素材回収効率 + プリント基板の含 有率×素材回収効率 + プラスチックの含有率×素材回収効率」の値を5%単位で切り上げ。 ○プラズマ式テレビについては、「金属(鉄・銅・アルミ)の含有率×素材回収効率 +プリント基板 の含有率×素材回収効率 + ガラスの含有率×素材回収効率 +プラスチックの含有率×素材回収 効率」の値を5%単位で切り上げ。 なお、ガラスの素材回収効率は、前回見直し時に検討に用いら れていた 80%を採用した。 ○製品寿命(約 6 年)から、今後5年(2014~2018 年)に排出される液晶式テレビ・プラズマ式テ レビは 2008~2012 年のものが主であると考えられるが、入手可能な組成データとして 2002 年の 組成を用いる。 ○試算結果 ( 鉄 ) ( 銅 ) (アルミ) (基板) (プラスチック) 液晶式テレビ : 30%×95% + 1%×95% + 4%×95% + 10%×24% + 40%×40% = 52.0% プラズマ式テレビ :17%×95% +1%×95% +14%×95% +12%×20% +29%×80% +10%×40% =68.4% ○現状達成可能と考えられる再商品化率は、試算結果より、液晶式テレビは 55~60%程度、プラズマ 式テレビは 70%程度と考えられる。 3)冷蔵庫・冷凍庫 ○「鉄の含有率×素材回収効率 +銅の含有率×素材回収効率 + アルミの含有率×素材回収効率 + プラスチックの含有率×素材回収効率」の値を5%単位で切り上げ。 ○製品寿命(約 16 年)から、今後5年(2014~2018 年)に排出される冷蔵庫は 1998~2002 年のも のが主であると考えられるが、入手可能な組成データとして 1996 年と 2002 年の組成を用いる。 ○試算結果 ( 鉄 ) ( 銅 ) ( アルミ ) (プラスチック) 49%×95% + 3%×95% + 1%×95% +43%×20% = 59.4%(1996 年値) 46%×95% + 3%×95% + 2%×95% +44%×20% = 57.6%(2002 年値) ○現状達成可能と考えられる再商品化率は、試算結果より、60%程度と考えられる。 4)洗濯機・衣類乾燥機 ○「鉄の含有率×素材回収効率 +銅の含有率×素材回収効率 + アルミの含有率×素材回収効率 + プラスチックの含有率×素材回収効率」の値を5%単位で切り上げ。 ○衣類乾燥機の製品寿命が電気洗濯機と同程度とすると、電気洗濯機の製品寿命(約 12 年)から、
39 今後5年(2014~2018 年)に排出される電気洗濯機・衣類乾燥機は 2002~2006 年のものが主であ ると考えられる。入手可能な組成データとして二層式洗濯機:1998~2007 年、全自動洗濯機:2001 年及び 2006 年、洗濯乾燥機ドラム式:2001 年及び 2006 年、洗濯乾燥機ヒートポンプ式:2006 年、電気衣類乾燥機:1996~2008 年、ガス衣類乾燥機:2001~2006 年 の組成を用いる。 ( 鉄 ) ( 銅 ) ( アルミ ) (プラスチック) 二層式洗濯機 :50%×95% + 3%×95% + 2%×95% + 45%×40% = 69.9%(1998~2007 年値) 全自動洗濯機 :53%×95% + 3%×95% + 1%×95% + 37%×40% = 69.1%(2001 年値) :49%×95% + 3%×95% + 1%×95% + 40%×40% = 65.9%(2006 年値) 洗濯乾燥機ドラム式:42%×95% + 1%×95% + 12%×95% + 31%×40% = 64.6%(2001 年値) :42%×95% + 1%×95% + 10%×95% + 33%×40% = 63.9%(2006 年値) 洗濯乾燥機ヒートポンプ式:43%×95% + 4%×95% + 14%×95% + 26%×40% = 67.9%(2006 年値) 電気衣類乾燥機:65%×95% + 4%×95% + 2%×95% + 25%×40% = 77.4%(1996~2008 年値) ガス衣類乾燥機 :82%×95% + 5%×95% + 1%×95% + 9%×40% = 87.0%(2001~2006 年値) ○現状達成可能と考えられる再商品化率は、試算結果より、洗濯機 70%程度、衣類乾燥機 80~90%程 度と考えられる。