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転写因子Klf5は初期胚発生においてFgf-ERK経路の抑制により多能性幹細胞の発生を保障する

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Academic year: 2021

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(1)

転写因子Klf5は初期胚発生においてFgf-ERK経路の

抑制により多能性幹細胞の発生を保障する

著者

浅見 拓哉

発行年

2016

学位授与大学

筑波大学 (University of Tsukuba)

学位授与年度

2015

報告番号

12102甲第7839号

URL

http://hdl.handle.net/2241/00143594

(2)

審査様式2-1

-

-16/0

6/06

16/0

氏 名 浅見 拓哉

学 位 の 種 類

博士(医学)

学 位 記 番 号

博甲第 7839 号

学 位 授 与 年 月

平成 28 年 3 月 25 日

学位授与の要件

学位規則第4条第1項該当

審 査 研 究 科

人間総合科学研究科

学 位 論 文 題 目 転 写 因 子

Klf5 は 初 期 胚 発 生 に お い て Fgf-ERK 経 路 の 抑 制

により多能性幹細胞の発生を保障する

筑波大学教授 博士(医学) 大根田 修

筑波大学准教授 博士(農学) 中川 嘉

筑波大学助教 博士(医学) 西村 健

筑波大学助教 博士(医学) 水野 聖哉

論文の内容の要旨

(目的) Krüppel like factor (Klf) 転写因子は発生や細胞の分化、増殖、初期化等の様な生理機能に重要な 機能を果たしていることが報告されている。中でも、Klf5 は欠損 (KO)マウスが着床前に胚致死であり、 Klf5 KO 胚盤胞の内部細胞塊 (ICM)からは ES 細胞が樹立出来ないことから ES 細胞の樹立過程において も重要な機能を果たしていることが示唆されている。しかし、初期胚発生過程における Klf5 の機能は殆 ど明らかにされていない。著者は、本研究において Klf5 KO マウスおよび Klf5 過剰発現 (OE)マウスを用 いて、loss-of-function および gain-of-function の解析を行うことで、初期胚発生過程および多能性幹細胞の 維持における Klf5 の機能の解明を目的とした。 (対象と方法) Klf5 KO マウスおよび Klf5 OE マウスを用いて、初期胚発生過程における Klf5 の loss-of-function および gain-of-function の解析を行った。初期胚発生過程で Klf5 が制御する標的遺伝子の 同定し、ES 細胞における Klf5 の機能を、Klf5 KO ES 細胞および Klf5 OE ES 細胞を用いて解析した。 (結果)著者は以下の点について明らかにした。 1) E3.0 後期桑実胚期において、 Klf5 KO 胚では Fgf4 の発現が mRNA、タンパクレベルで共に上昇して おり、 Klf5 過剰発現 (OE)胚では Fgf4 の発現が抑制されていることが分かった。

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審査様式2-1

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6/06

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位な PrE 系列に分化が偏っていた。 3) 阻害剤を用いて Fgf-ERK 経路を遮断することにより表現型のレスキューを試みた結果、 Klf5 KO 胚における細胞数の減少や胚盤胞の形成が有意にレスキューされることが分かった。

4) PrE 系列へ分化傾向にある Klf5 KO 胚の ICM において、Nanog 陽性細胞が出現し、 野生型胚で Fgf-ERK 経路を遮断した場合と同様に Gata6 の発現はほぼ完全に消失していることを見出した。 5) Klf5 OE 胚では、野生型胚を Fgf-ERK 経路の阻害剤存在下で培養を行った際と同様に、Nanog の発現 上昇と、PrE 関連遺伝子の発現の抑制が明らかとなった 6) マウス ES 細胞においても、Klf5 は Fgf-ERK 経路を制御していることを見出し、さらに Klf5 は MEK 阻害剤に置き換わり、GSK3 阻害と協調して EpiSC の naïve 状態への初期化を促進する事を見出し た。

(考察) マウス初期胚発生における Klf5 の loss-of-function および gain-of-function の解析から、E3.25 の Klf5 KO 胚には既に PrE 系列に分化傾向にあり、一方 Klf5 OE 胚は Epi 系列に分化傾向にあることを明らかに した。加えて著者は、Fgf4 KO 胚では初期の Nanog と Gata6 の共発現状態に影響しないことから、Klf5 は Epi と PrE 分化を制御する上流因子であると考えた。Klf5 KO 胚盤胞期胚における PrE 分化の歪みは、1) MEK の阻害により Epi へ分化転換可能であったこと、2)E4.5 Klf5 OE 胚では Gata6 の発現が維持され ていたものの、PrE は形成されていなかった、以上の理由から、Klf5 は Fgf-ERK 経路を抑制することによ り、Epi と PrE の分化バランスを制御することで正常な胚発生を保障していることが示唆された。

マウス ES 細胞において、Klf5 は Fgf-ERK 経路の抑制に機能していることを見出した。しかし、Klf5 KO ES 細胞では Fgf4 の発現上昇は見られなかった。先に、マウス ES 細胞は E4.25 胚のエピブラストに相当 する発生段階にあることが報告されていることから、Klf5 は E3.0-3.25 において初期の Epi と PrE 分化を 制御する上流因子であることが示唆された。加えて、MEK を阻害することにより、Klf5 KO ES 細胞の増 殖能がレスキューされることから、Klf5 は Fgf-ERK 経路を抑制することでマウス ES 細胞の多能性を維持 していることが示唆された。

審査の結果の要旨

(批評) 著者は、詳細かつ論理的に解析を進め、Klf5 が Epi と PrE 分化のバランスを制御する上流因子 であり、かつ Fgf-ERK 経路を抑制することで多能性幹細胞の発生と維持を保障していることを初めて明 らかにしたことは、高く評価される。 平成 28 年 1 月 18 日、学位論文審査委員会において、審査委員全員出席のもと論文について説明 を求め、関連事項について質疑応答を行い、最終試験を行った。その結果、審査委員全員が合格と 判定した。 よって、著者は博士(医学)の学位を受けるのに十分な資格を有するものと認める。

参照

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