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静脈血栓由来肺塞栓症の病態解明と予防・制御 : 治療薬開発への薬理学的アプローチ

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Academic year: 2021

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Title

静脈血栓由来肺塞栓症の病態解明と予防・制御 : 治療薬開

発への薬理学的アプローチ( はしがき )

Author(s)

松野, 浩之

Report No.

平成13年度-平成14年度年度科学研究費補助金 (基盤研究

(C)(2) 課題番号13670085) 研究成果報告書

Issue Date

2002

Type

研究報告書

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/621

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

はしがき

本報告書は、平成13年∼14年の2年間において文部科学省科学研究費補助金 基盤研究(C)(2)による援助によって遂行された『静脈血栓由来肺塞栓症の病態解

明と予防・制御:治療薬開発への薬理学的アプローチ』に関する研究成果高まとめた

ものである。 食生活の欧米化がよりいっそう定着し、若年層においてもファストフードなどに よって脂質摂取量の増加が社会現象として認識されている。さらに極端な高齢化社会 を迎える今世紀は、虚血性疾患である心筋梗塞・脳梗塞の原因と考えられる血管病変 の発症は増加するものと考えられ、これら疾患ゐ予防・治療はたいへん重要なものと 考えられる。また、最近ではこれら動脈血栓が主たる要因の疾患のみならず静脈血栓 の臨床的意義(エコノミークラス症候群、関節置換術後の肺梗塞、深部静脈血栓など) が注目されている。欧米諸国において静脈血栓は入院臥床後や外科的手術施行後約 10%の患者に見られ、これらが原因として誘発される肺塞栓由来の突然死も問題とさ れている(日本でも最近その増加が指摘されている)。これらの対処方法として従来、 へ/Ⅶンを中心とした凝固因子制御による静脈血栓治療の研究が基礎研究から臨床応 用を通して知られているが、線溶系因子についての細かい研究報告はまだ少ない。我々 は今までに小動物(ラット・ハムスター・マウス)における簡便で有用性の高い血管 病変モデル(血栓、血管肥厚、動脈硬化)を確立し、これらを用いて数多くの薬理・ 生理学的検討を重ね臨床における新たな治療方法の確立と新薬の可能性を示唆してき た。今回、これらの経験をふまえて特に静脈血栓の成因とその制御と静脈血栓由来の 肺塞栓の成因を線溶系ノックアウトマウスならびに各種単離培養細胞を用いて実験的 に研究した。さらに線溶系因子の阻害物質(nM-1,abba2--APなど)を制御するこ とが静脈血栓および血栓由来肺塞栓の予防・治療の新薬になりう.るかを分子薬理学・ 紳胞生物学の観点から実験した。 本研究は、現在なを継続中の研究であり各種虚血疾患における血小板・線溶系因 子の相互の関与がより臨床病態に近い状態で解明されつつある。本研究の成果は臨床 における新しい疾患予防・治療方法の確立に貢献できるものと考えられる。

(3)

研究実績の概要

1:動脈・静脈血栓の生理学的解析

従来より動脈血栓についての基礎医学的検討は動物モデルを含め多数行われており、 血管内皮細胞の障害から発生する血栓形成は詳細に研究されている。一方で、静脈血 栓については血流やレオロジーの観点からの研究が主であり、さらに塞栓については 今なをその形成に不明な点が多い。今回の研究において、小動物で同時に動脈・静脈 血栓を作成しその変化を比較し評価することに成功した。さらに、血栓形成・消失の 過程に関与する主な因子の同定と、高脂血症での病態の変化について小動物モデルに おいて明らかにすることに成功した。

2:静脈血栓における線溶系図子の役割

血栓を溶解する由子として線溶系の役割の重要性は確認されている。一方で、この線

溶系を制御する因子として代表的なα2-antiplasminとPlasminogenActivator Inhibitor-1(PAI-1)がある。今回の研究において、α2-antiplasminが静脈血栓の形

成ならびに血栓の自然融解に重要な役割を担っていることがa2-antiplasmin遺伝的

欠損マウスを用いた実験の結果証明された。さらに、虚血疾患においてVEGFとの 相互作用が心血管・肺循環において致死的な作用を示す可能性を世界で始めて見い出 し報告した。これらの結果によって、α2-antiplasminの作用を阻害することで、新 たな治療薬・治療方法の確立の可能性が示唆された▲ものと考えられる。 3‥血小板の活性化とp】asminの関与 線溶系の中心であるplasmin軋血栓形成を阻害する働きを有するが血小板において は局所に高濃度に存在すれば、むしろ逆に血小板の活性化を促進して血栓形成の triggerとなる血小板御集を増幅する可能性があることがα2-antiplasmin遺伝的欠損

マウスを用いたinvitroの実験系で示された○これらの結果は臨床において大量の血

栓溶解剤(tPA,uPA)-を短時間に用いた場合、血栓形成を局所的に活性化して再血

栓形成を引き起こす可能性を示唆するものと考えられる。実際、臨床での血栓溶解剤

投与後の再狭窄のメカニズムを考察する一つの可能性と考えられる。 4:静脈血栓由来肺塞栓モデル 総額静脈に持続的に血栓を作成することで、肺塞栓による致死的動物モデルの作成に 成功した。さらに、プラスミン関連物質が肺塞栓の誘発に深く関与していることを示

した。本モデルは、従来の塞栓をトロンピンなどでinvitroに作製し投与するものと

違いinvivoで形成される静脈血栓由来の塞栓でありより臨床病態に近いモデルと考 えられる。これから多数の医薬品について本モデルを用いて研究することで、肺塞栓 治療薬、方法を確立する重要な手段として研究に役立つものと考えられる。

参照

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