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日本内科学会雑誌第105巻第9号

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Academic year: 2021

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はじめに

 自己免疫機序により複数の骨格筋に炎症と破 壊 を 来 た す の が 多 発 性 筋 炎(polymyositis: PM),特徴的な皮疹を伴うものが皮膚筋炎(der-matomyositis:DM) で あ る. こ れ ま で, 成 人 PM/DM症例は膠原病内科,神経内科,皮膚科の 3 つの臨床科で診療が行われてきた.それぞれ に作法のようなものがあり,神経内科ではPMを 多発筋炎と呼ぶことが多いなど名称すらも統一 されていない.しかしながら,昨今,日本でも, また国際的にも 3 科で情報交換をしながら診 療,研究しようという気運が高まってきた.日 本では世界に先駆けて,日本リウマチ学会,日 本神経学会,日本皮膚科学会の 3 科の関連学会 が認証した治療ガイドラインが公表されたとこ ろである.また,四半世紀前に策定された日本 の診断基準が時代に合わなくなってきたため, 最近,3 科の共同作業により,厚生労働省難病 認定基準としての改訂が行われた.  治療の面では,長い間,高用量の副腎皮質ホ ルモン薬(ステロイド)が主体となってきたが, これでは不十分ないし不必要の病態も判明しつ つあり,様々な免疫抑制薬が効果的に使われる ようになってきている.  これら病態・診断・治療のアップデートをす ることが本講演の目的である.

1.定義

 前述の通り,筋症状のみの症例はPM,これに ヘリオトロープ疹,Gottron丘疹,Gottron徴候な どの典型的皮疹がある症例はDMである.これ らの皮疹のある症例で,筋力低下も筋検査異常 もないものは無筋症性皮膚筋炎(amyopathic dermatomyositis:ADM),筋力低下を伴わない が筋検査異常を伴うものはhypomyopathic der-matomyositis,筋力低下のない両者をあわせて 東京医科歯科大学大学院膠原病・リウマチ内科

113th Scientific Meeting of the Japanese Society of Internal Medicine:Educational Lacture:6. Pathology, diagnosis and treatment of

polymyo-sitis and dermatomyopolymyo-sitis.

Hitoshi Kohsaka:Department of Rheumatology, Graduate School of Medical and Dental Sciences, Tokyo Medical and Dental University(TMDU), Japan.

本講演は,平成28年4月15日(金)東京都・東京国際フォーラムにて行われた.

多発性筋炎・皮膚筋炎の病態・診断・治療

上阪 等 Key words 多発性筋炎,皮膚筋炎,炎症性筋疾患

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clinically amyopathic dermatomyositis(CADM) と呼ぶ(表 1).

2.疫学

 本疾患は,厚生労働省の特定疾患,現在の指 定難病として,臨床個人調査票による全国調査 が毎年行われてきた.2009年の臨床調査個人票 の解析結果によれば,日本の推定患者総数は約 17,000 人である.しかも,毎年,1,800 人程度 増加していたため,現在では20,000人を超える 患者が罹患していると考えられる.多発性筋 炎・皮膚筋炎はほぼ同数であり,男女比は 1: 3,発症ピークは 5~9 歳と 50 歳代にあった1)

3.病態

 筋組織や皮膚組織の構成成分に対する免疫寛 容の破綻が原因となる.生検筋の組織学的検討 が唯一の病因研究手段であった時代,DMで筋 傷害の主座にCD4陽性T細胞が多く,PMでCD8T 細胞が多いという報告が注目された.その後, PMで筋組織に浸潤するCD8T細胞は,キラーT細 胞による細胞傷害の際のエフェクター分子であ るパーフォリンを発現し,かつそれを筋線維に 向けて放出している像が組織学的に確認できる という報告がなされた.一方で,DMでは,血管 内皮に補体により形成される膜攻撃複合体が沈 着していることが多いことから,CD4T細胞がB 細胞を助けて自己抗体を産生させ,その抗体が 血管に沈着して血管障害が起き,これによって 筋壊死が起きるとの病態生理仮説が提唱され た.この仮説では,DM筋に多く認められる筋束 周囲壊死像(perifascicular atrophy)は,血管から の血流の障害により,中心部から遠い筋束周辺 であたかも分水嶺壊死のように壊死が起きたも のとされた.この仮説は,PMとDMはそれぞれ CD8 細胞とCD4 細胞という異なるT細胞系列に よって引き起こされているとするものであった.  しかし,報告されたCD4/8 細胞数の差はわず かであり,今では炎症局所におけるCD4/CD8T 細胞数比で病因T細胞がどちらかを推定するこ とはできないことも明らかとなった2,3).しか も,DM筋組織に病理学的血管炎像は希である. 血管内皮上に証明された膜攻撃複合体の病的意 義も不明である.DMでは血管内皮特異的自己 抗体の存在が想定されたが,精力的な検索でも 見出されなかった.疾患感受性遺伝子のゲノム ワイド研究でも,B細胞活性化に関わる遺伝子 は見つからない.そもそも,皮膚所見の全くな いPMの筋組織生検で,典型的な筋束周囲壊死像 を認めることもある.これらの事実は,PMと DMにおいて,単純に病因T細胞をCD4とCD8T細 胞に分けることに無理があることを示してい る.図1の通り,筋炎だけのPM,皮膚炎だけの ADMを両端とした特発性炎症性筋疾患スペク トラムであると解釈することがより適切と考え られる4) 表1 多発性筋炎・皮膚筋炎の定義 皮疹 筋症状 診断 筋力低下 検査異常 あり なし なし 無筋症性皮膚筋炎 amyopathic DM clinically amyopathic DM 皮膚筋炎 あり hypomyopathic DM あり (典型的な皮膚筋炎) なし 多発性筋炎

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4.臨床症状

1)全身症状  発熱,全身倦怠感,易疲労感,食欲不振,体 重減少など. 2)筋症状  体幹,四肢近位筋群,頸筋,咽頭筋の筋力低 下が緩徐に進行する.日常生活では,階段昇降, しゃがみ立ち,重量物の持ち上げ,仰臥位での 頭部挙上などが困難となる.嚥下筋の筋力低下 は,構音障害のみならず,誤嚥や窒息死の原因 となる.特に高齢者では繰り返す誤嚥性肺炎の 原因の 1 つとなる.筋痛を認めることもあり, 進行例では筋萎縮を来たす. 3)皮膚症状  特徴的症状としてのヘリオトロープ疹,Got-tron徴候,Gottron丘疹がある.ヘリオトロープ 疹は上眼瞼の浮腫性紅斑である,コーカサスの 場合にはヘリオトロープの花の紫色に似るとい う.Gottron徴候は手指関節背側および肘頭,膝 蓋,内果などの四肢関節背面の落屑を伴う角化 性紅斑であり,特に手指の指節間関節や中手指 節関節背側で丘疹となったものをGottron丘疹 と呼ぶ.手指皮膚の角化が母指の尺側,他の 4 指の橈側を中心に進むと機械工の手と呼ばれる 皮膚病変となる.日本人には,鼻唇溝などの脂 漏性皮膚炎の好発部位に脂漏部位紅斑が現れや すい5).他に,V徴候やショール徴候と呼ばれる 紅斑がそれぞれ頸部から上胸部,項部から肩の 後面にかけて現れることがある.1 カ所の皮膚 病変に色素沈着,色素脱失,血管拡張,表皮萎 縮などの多彩な皮膚病変が混在するものを多形 皮膚萎縮症と呼ぶ.また,皮膚は潰瘍に進むこ ともあり,小児例ではしばしば石灰化も伴う.  手指足趾にRaynaud現象を認めることもある. 4)肺病変  間質性肺炎(interstitial pneumonia:IP)を合 併すると,乾性咳嗽や呼吸困難などを生ずる. 5)心病変  不整脈,心不全などがみられることがある. 稀に心膜炎も認められる. 6)その他  多関節痛はしばしば認められる.時にリンパ 節腫脹をみる.悪性腫瘍は必ず検索すべき合併 症であり,一般人口と比してDMでは 2.5 倍前 後,PMでは 2 倍弱悪性腫瘍を伴いやすい6)

5. 症状・病態の基盤と考えられる

Köbner現象

 IPはPM/DMに合併しやすく,しばしば生命予 後を左右する病態である.特に急速進行性IPは 筋炎のないか軽度のCADM例で,抗MDA5抗体を もつ例に多い.また,PM/DMの診断に有用な筋 図1 Sontheimer提唱のPM/DMスペクトラム 筋炎 皮膚炎 PM DM amyopathic DM

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炎特異的自己抗体の 1 つとされる抗アミノアシ ルtRNA合成酵素(aminoacyl-tRNA synthetase: ARS)抗体の陽性患者は,筋炎に加えてIPを合 併しやすく,特に発熱,関節炎,Raynaud症状, 機械工の手と呼ばれる皮疹などを伴うものは, 抗ARS抗体症候群と呼ばれている.一方,その 後の研究で,抗ARS抗体陽性であることは筋炎 の存在よりもIPの存在に強く関連するという報 告がなされた.つまり,筋炎よりもIPのマーカー としての価値が高いというもので,実際,筋炎 を伴わないIP症例でも抗ARS抗体陽性であるこ とも少なくない.このように,PM/DMは筋,皮 膚,肺の 3 臓器に炎症を起こしやすい疾患と考 えることができ,3 つを結びつける異常に病態 解明の鍵があるように思われる.  こ の 点 で, 興 味 を 引 く の は,DMの 皮 疹 が Köbner現象といわれている点である.Köbner現 象とは,正常皮膚への搔爬・外傷・炎症・瘢痕 化刺激に続き,その部位に原病と同類の皮膚症 状が出現することであり,DMのほかに尋常性 乾癬,扁平苔癬,サルコイドーシス,モルフェ アなどの疾患でも認められる.皮膚病変を起こ す全身的素因に加えて,局所への機械刺激が加 わると病変を形成すると解釈できる現象であ る.Gottron丘疹・徴候は,関節伸側という機械 的刺激を受けやすく,また伸展されやすい皮膚 部位に生じ,ヘリオトロープ疹は,覚醒時は恒 常的に動く眼瞼に生じる.機械工の手も,物を つかむ際に物と接触する面に生じるKöbner現 象といえる.このように,DMでは,機械的刺激 や運動という局所因子が,皮膚病変の形成に寄 与していると考えることができる.  運動と機械的刺激を局所因子のキーワードと してとらえると,筋肉も絶えず運動している. 実際に,運動後にPM/DMの発症が増えていると いう疫学研究報告もある.また,肺も絶えず呼 吸運動し,また吸気内にある刺激物質にさらさ れている.  これらの事実を考えると,PM/DM病態は, Köbner現象を基盤として,筋,皮膚,肺の炎症 を伴う疾患複合体の一部であるという見方もで きる.3 つの炎症をもつ患者は,ベン図ではい びつに重なり合うように存在し(図 2A),病態 としては,IPの要素を一極に,筋炎の要素を一 極にもち,その中間に皮膚炎の要素が分布する とも考えられるだろう(図2B).いわば,第3の 図2 皮膚筋炎・筋炎・間質性肺炎複合体 PM/DMには,しばしば間質性肺炎を伴い,皮膚所見の強い症例で重い間質性肺炎 となることが多い(A).病態としては,抗ARS抗体や抗MDA5抗体を伴いやすい間 質性肺炎と筋炎を両極とするスペクトラムとも考えられる(B). 間質性肺炎 A B 間質性 肺炎 皮膚炎 皮膚炎 筋炎 筋炎 ADM DM CADM PM

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モデルである.

6.検査成績

 血清中の,筋逸脱酵素(クレアチンキナーゼ, アルドラーゼ,乳酸脱水素酵素,AST,ALT)や ミオグロビンが高値となる.心筋病変のある場 合には,CK-MBや心筋トロポニンが高値となる.  抗核抗体は患者の約 8 割で陽性であり,古典 的な筋炎特異的自己抗体である抗Jo-1 抗体は約 2 割で陽性である.近年,それ以外の筋炎特異 的自己抗体も同定されてきた.Jo-1 分子はARS の一種であるヒスチジルtRNA合成酵素である が,PM/DM患者には他のARSに対する抗体もよ り 低 い 頻 度 な が ら 認 め ら れ る( 抗PL-7, 抗 PL-12,抗EJ,抗OJ,抗KS,抗Zo,抗Ha抗体). また,抗シグナル認識粒子(signal recognition particle:SRP)抗体,抗ヒドロキシメチルグル タリルCoA還元酵素(hydroxymethylglutaryl-CoA reductase:HMGCR)抗体は重症難治性で病理学 的に壊死性筋症を呈する筋炎症例に多い.抗 MDA5 抗体陽性例は,半数強が急速に進行する 難治性IPを伴い,血清フェリチン値の高い症例 にその傾向が強い.抗transcriptional intermedi-ary factor(TIF)1-γ抗体陽性例は小児を除いて 悪性腫瘍を伴いやすく,抗Mi-2抗体陽例では典 型的DM皮疹が認められやすい.これらの抗体 は同一患者にオーバーラップすることが少な く,ほとんどのDM患者はいずれかの抗体が陽 性になると考えられている.  針筋電図では,罹患筋に線維自発電位や陽性 鋭波などの安静時自発電位や随意収縮時の低振 幅電位などの変化を認め,筋炎の部位診断にも 役立つ.さらに容易に部位診断を行うことがで きるのは磁気共鳴画像(MRI)である.罹患領 域は脂肪を描出するT1 強調画像で描出されず, 浮腫を描出するSTIR(short tau inversion recov-ery)画像で高信号となる.もしT1 強調画像で も高信号ならば脂肪変性を意味する.なお,検 査前 30 分程度は安静としガドリニウム造影は 行っても筋炎に関して得られる情報量にほとん ど変化はない.簡便に診断的価値の高い結果が 得られるため,早期診断,部位診断,および治 療効果判定に有用である.  筋生検では,筋組織への単核球浸潤と筋線維 の変性と再生像を認めるが,採取部位によって はこれらの所見が揃わぬ場合も多い.非壊死筋 線維内への単核球浸潤はPMに,筋束周囲萎縮は DMに多い所見とされるが特異的ではない.  IPを伴う例では,胸部X線撮影,胸部CT検査 では両側下肺野を中心に粒状・線状・網状影が みられる.肺機能検査では拘束性障害のパター ンを呈する.血清フェリチン値の高値は,急速 進行性IPないし血球貪食症候群を合併した際に 認められる.

7.診断

 国際的には,1975 年に発表されたBohanと Peterの診断基準7,8)が用いられ,現在,新たな 国際基準が策定中である.日本では,1992年に 厚生省(当時)自己免疫疾患調査研究班で,筋 炎特異的自己抗体である抗Jo-1 抗体や全身性炎 症所見,関節炎症状などの膠原病に認められる 項目を追加して診断基準が作成され,認定基準 として使われてきた9).2014 年に,この基準で はADMを診断できない点を考慮し,皮膚症状の 再定義,筋炎特異的自己抗体の追加,針筋電図 所見記載の明確化などともに難病認定基準とし ての改訂が行われた(表 2).

8.経過・予後

 急速進行性IPや悪性腫瘍を合併する症例は予 後が悪く,PM/DMの初発患者のうち約 10%は 死の転機を迎える.全症例の 5 年生存率は約 80%前後とされる.しかし,寛解導入に成功し ても維持療法移行の際ないし維持療法中に再燃

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しやすい.また,寛解導入治療後も約半数の症 例に筋力低下が残るとされる.

9.治療

 抗炎症効果と免疫抑制効果を併せもつステロ イドが第一選択となる.嚥下障害,急速進行性 IPのある症例では,強力かつ速やかに治療を開 始する.  以下に概要を述べるが,詳細は日本リウマチ 学会,日本神経学会,日本皮膚科学会承認の治 療ガイドラインを参照されたい10) 1)皮膚炎治療  皮膚炎主体の症例では遮光の推奨とステロイ ド外用薬治療が優先される.ステロイドのラン クとしては,顔面では「普通」クラス(ロコイ ド®など)を用い,体幹・四肢では「かなり強 力」クラス(リンデロンDP軟膏®など)以上が 必要となるが,無効の場合には,保険適用外な がらタクロリムス軟膏(プロトピック軟膏®)も 試される.難治であることも多い. 2)筋炎治療  筋炎に対しては,プレドニゾロン換算 1 mg/ 体重kgのステロイド高用量投与が基本とされ ている.重症例では,メチルプレドニゾロンに よるステロイドパルス療法を行う.  高用量ステロイドの副作用が懸念される場合 には,0.5 mg/体重kgの中等用量投与に免疫抑制 薬を加えてもよい.免疫抑制薬として,保険適 用のあるアザチオプリン(アザニン®,イムラ ン®),IP合併例で保険適用のあるタクロリムス (プログラフ®),保険適用外のメトトレキサート (メソトレキセート®),タクロリムスと同じカル シニューリン阻害薬であるシクロスポリンA (ネオーラル®)が用いられる.IP合併例では, 副作用としてIPを起こすメトトレキサートは避 けられることが多く,シクロフォスファミド(エ ンドキサン®)も用いられる.  治療効果の指標は,筋力回復や筋原性酵素値 の低下である.MRI画像上の筋炎所見も改善す 表2 厚生労働省難病認定のための診断基準(厚生労働省ホームページより) 1.診断基準項目 (1)皮膚症状 (a)ヘリオトロープ疹:両側又は片側の眼瞼部の紫紅色浮腫性紅斑 (b)ゴットロン丘疹:手指関節背面の丘疹 (c)ゴットロン徴候:手指関節背面および四肢関節背面の紅斑 (2)上肢又は下肢の近位筋の筋力低下 (3)筋肉の自発痛又は把握痛 (4)血清中筋原性酵素(クレアチンキナーゼ又はアルドラーゼ)の上昇 (5)筋炎を示す筋電図変化(随意収縮時の低振幅電位,安静時自発電位など) (6)骨破壊を伴わない関節炎又は関節痛 (7)全身性炎症所見(発熱,CRP 上昇,又は赤沈亢進) (8)抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体(抗Jo-1 抗体を含む)陽性 (9)筋生検で筋炎の病理所見:筋線維の変性及び細胞浸潤 2.診断 皮膚筋炎 (1)の皮膚症状の(a)~(c)の1項目以上を満たし,かつ経過中に(2)~(9)の 項目中4項目以上を満たすもの なお,皮膚症状のみで皮膚病理学的所見が皮膚筋炎に合致するものは無筋症性皮膚筋炎とする 多発性筋炎 (2)~(9)の項目中4項目以上を満たすもの 3.鑑別診断を要する疾患 感染による筋炎,薬剤誘発性ミオパチー,内分泌異常に基づくミオパチー,筋ジストロフィーその他の先天性 筋疾患,湿疹・皮膚炎群を含むその他の皮膚疾患

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る.この治療を4週間程度継続し,改善傾向が明 らかになったところで,ステロイドを漸減する.  治療において筋力回復を妨げる原因としてス テロイド筋症がある.高用量ステロイド 2 週間 以上の投与で発症し,検査値異常改善にもかか わらず,筋萎縮と筋力低下が進行する.  なお,ステロイドが効果不十分,精神症状な どの副作用により使えない,減量により再燃す るなどの症例では必然的に免疫抑制薬が併用さ れる.  免疫グロブリン大量静注療法は即効性のある 治療法ではあるが,持続性に乏しく,他剤で免 疫抑制を図る必要がある. 3)IP治療  急速進行性のIPを合併する症例では,当初か ら 高 用 量 ス テ ロ イ ド( プ レ ド ニ ゾ ロ ン 換 算 1 mg/体重 kg)と免疫抑制薬を併用する.免疫 抑制薬では,カルシニューリン阻害薬,シクロ フォスファミド,ないし両者の併用が行われる. 4)悪性腫瘍合併例の治療  腫瘍のある限り,良好な治療効果は得られに くい.そのため,悪性腫瘍検索を十分に行い, 可能な限り治療する.

まとめ

 今回紹介したように,日本では病態,検査, 治療などに関して関連 3 科の知恵が結集され, 科学的かつ包括的な理解が進みつつある.国際 的には 2015 年 5 月に 3 科の構成員からなる第 1 回国際会議が開催された.いまだ治療薬の大き な進歩は認められないPM/DMではあるが,この ような協調が進むにつれて必ずやパラダイムシ フトが訪れるものと信じている. 著者のCOI(conflicts of interest)開示:上阪 等;寄附 金(アステラス製薬,田辺三菱製薬,中外製薬) 文 献

1) Ohta A, et al : Prevalence and incidence of polymyositis and dermatomyositis in Japan. Mod Rheumatol 24 : 477―480, 2014.

2) Sugihara T, et al : A new murine model to define the critical pathologic and therapeutic mediators of polymyosi-tis. Arthritis Rheum 56 : 1304―1314, 2007.

3) Sugihara T, et al : Definitive engagement of cytotoxic CD8 T cells in C protein-induced myositis, a murine model of polymyositis. Arthritis Rheum 62 : 3088―3092, 2010.

4) Sontheimer RD : Skin manifestations of systemic autoimmune connective tissue disease : diagnostics and thera-peutics. Best Pract Res Clin Rheumatol 18 : 429―462, 2004.

5) Okiyama N, et al : Seborrheic area erythema as a common skin manifestation in Japanese patients with derma-tomyositis. Dermatology 217 : 374―377, 2008.

6) Sigurgeirsson B, et al : Risk of cancer in patients with dermatomyositis or polymyositis. A population-based study. N Engl J Med 326 : 363―367, 1992.

7) Bohan A, Peter JB : Polymyositis and dermatomyositis(first of two parts). N Engl J Med 292 : 344―347, 1975. 8) Bohan A, Peter JB : Polymyositis and dermatomyositis(second of two parts). N Engl J Med 292 : 403―407,

1975.

9) Tanimoto K, et al : Classification criteria for polymyositis and dermatomyositis. J Rheumatol 22 : 668―674, 1995.

10) 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業 自己免疫疾患に関する調査研究班 多発性筋炎皮膚筋炎分科会 編:多発性筋炎・皮膚筋炎治療ガイドライン.診断と治療社,2015.

参照

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