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思春期男子の形態変化モデルについて

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Academic year: 2021

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(1)Title. 思春期男子の形態変化モデルについて. Author(s). 北澤, 一利; 大川, 泰洋. Citation. 北海道教育大学紀要. 第二部. C, 家庭・養護・体育編, 44(2): 77-88. Issue Date. 1994-03. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/6730. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 平成6年 3月. 北海道教育大学紀要 (第2部C) 第44巻 第2号 2 44 I C) Vol i ion l ive i t i do Un tyof]&iucat lofHokka on(Sec Jouma rs ‐ ‐ , No. March ,1994. 思春期男 子の 形態変化モ デ ルにつ いて 北. 淫. 一. 利・大. 川. 泰. 洋. 北海道教育大学釧路校運動生理学研究室. A nnodelfor the nnorphological changes of pubescent boys.. Kazutoshi KITAZA WA a l ld Yasuhiro OHKAWA for l LaboratoryofHuman Per ro Cam 1 mance, Kushi pus , ion, Kushi i ido Uni Hokka tyofEducat ro085 vers. Abstract. The longi tudinal changes of the mLorphology 。f pubescent boys Were observed each. efound to have hadthe P O Lonth f。r one year. ln the observed group,7th grade boys wer i ing height and chest t t ic increase i s both s n hei ht The largestincrease i ・ 1 O Lost dranQat. g ‐ l 1 Lonthly b d h d i 8 t i h t r v e e boys‐4ththrough7th grade boys had a grater l o s e n r a e r e r W g g h l i d T h b h c h d i d8 n コ L o r o o t gra e oys. e increasein t hel p g al cha- ength/height rate t an eg l lows : efoundto be asfol ngesinthe pubescentboys wer. i ing heighttotheheightand chestgirthtothe height Were decrea‐ t The proportion ofs t lowingit. ing prior tothepeak ofthe height growth, but werefoundtoincreasefol s. は じ め に. 一般的に行われる年齢別調査資料に基づく個人の発育の相対的評価は、 子供の発育曲線が近似す )。 ところが身長は思春期において発育 ピー ク現象を示し、 それが発現する年 る事を前提している1 )。 これは思春期の子供はたとえ同じ年齢であっ たとし 齢には1~2年ほ どの個人差が認められる4 ても、 形態発育の観 点から見れば、 必ずしも同じ発育段階でない可能性が高いことを意味している。 そのためこのような同一年齢の横断的な評価 を思春期においても適用するのは、 先のような実情に 矛盾しており意味がない。 すなわちこの評価方法では、 思春期に見られる身長の差 が個人の発育量 の差異によるのか、 あるいは ピーク現象発現年齢の差異によるのかが明確にならないのである。 従来より形 態発育の個人差は著 しいことが指摘されてはいるもの の、 思春期において認 められる 先の二つの要因を内包 した個人差について、 それらがいかにしたら把握できるのかが明確に示され ( 77).

(3) . . 96. 北 樫 一 利・大 川. 泰 洋. ていない。 特に後者の個人差につ いては、 ピーク現象が過 ぎた後にそれま での発育過程を振り返り、 )。 事後的に把握するに留ま っ ている8 思春期の発育途上 で発育段階を特定すること、 すなわち個人別に想定される一連の発育過程のな かで、 「身長発育量が増加 している過程にあるのか、 あるいは減衰 し始め ているのか」 などを知る ことは、 個人に還元される発育に関する情報として重要であると考える。 そのため、 思春期の形態 変化を観察し、 この時期の発育を段階的に区別する必要がある。 そこで本研究では、 思春期の形態 発育の理論的モデルを構築 し、 個人の身長発育 ピークを特定する手がかりを得る事を目的とする。. 法. 方. 1) 研究の対象. 本研究の対象は、 北海道教育大学教育学部附属釧路小学校及び北海道教育大学教育学部附属釧路 中学校の健康な男子生徒 である。 被検者は小学校4年生から中学校2年生の各学年1 0名、 計50名を 無作為に抽出 した。 測定期間を通 じて一度 も欠席 しなかっ た生徒 は全体の約50%にあたる23人で あっ た (表1)。 Tabーe I Thecharacteri icsofthesubjects. st Theva1ues arethe averageS ofthesubjects atthef i rst measure工 1 【 lent{≦江)). ▲▼ にV RU II へ < . 138 2 ) .6( .7 138 9 5 6 ( ) . .. 34 5 ) .8( .2 37 5 ( I L2 ) .. 68 7 ) .5{ .3 1 7 5 9 4 ( } . .. 2 73 ) .9( .2 3 75 5 8 ( ) . .. 149 lo ) .9( .5. 44 7 } .2( .8 46 9 } .3( .3. 74 5 } .4( .5 75 4 } .2( .9. 80 5 } .0( .1 79 5 } .1( .0. 4 6 6 ) .0( .2. 3 76 } .3 .4(. 82 2 } .9{ .3. 151 11 ) .2( .8 157 6 3 9 ( . .). 2) 測定の実施 日 測定は、 平成2年6月 から翌年5月 にかけて1年間にわたり、 原則として毎月 の同じ日程を選ん で行なっ た。 なお小学生 は日程の都合上3月の測定が行なえなかっ た。. 3) 測定項目及び測定方法 1 2 を測定 した。 これらより、 座高/身長 (以下比 身長、 体重、 座高、 胸囲、 前腕長 ※ 、 下腿長※. 座高)、 胸囲/身長 (比胸囲)、 前腕長/身長 (比前腕長)、 下腿長/身長 (比下腿長) を算出し た。 さらに学年毎に一年間の増加量 (変化量) を相対値 (%) で求め、 また毎月の変化をグラフに 表 した。 全ての グラフの縦軸は同じ尺度にした。. 測定は予め各項目の手順に従い十分に熟練した後に、 一年間を通じて同一項目を同一検者が行 な っ た。. ※1: 肘頭から尺骨頭、 ※2: ひ骨頭から外果. ( 78).

(4) . 思 春期 男 子 の 形 態 変化 モ デル につ い て. 97. 4) 形態変化の標準値. )7 )より、 全国の年齢別形態の平均値 平成2年度と平成3年度の文部省学校保健統計調査報告書6 を標準値として用 い、 一年間増加量と比座高、 比胸囲を求めた。 比座高と比胸囲は、 小4の値を 100として相対値 で表した。 5) 研究の考え方 本研究は、同じ年齢の被験者群が、必ずしも同じ発育段階とは限らないという前提で行った。 従っ て、 各群間の測定値の量的相違を統計的手法 で比較検討する試みは無意味と判断した。 その上で、. 横断的 (断片的) 資料から概観した形態変化の連続性を、 今回対象とした被験者の経時的形態変化 データから帰納的にうらづ け、 その順序性を検討 し、 形態変化モデルの構築を試みた。. 結. 果. 1) ・ 標準値に見られる形態変化 文部省報告値か ら身長、 体重、 胸囲、 座高の一 年 間の増加量と形態変化を算出 したのがFig ‐1 である。 身長増加量は小6から中1が 目立っ て多く、 中2以降は急激に少なくなっ ている。 それと 比較して座高を見ると、 増加量は中1が最大 で身長と同じであるが、 それ以降身長よりもゆるやか に減衰している。 体重増加量は小6で著しく、 以後中1から中3までゆるやかに減衰している。 全国平均値から比座高と比胸 囲の年齢別比較をしたものがFig.1-bである。 比座高は小4から 中2まで同様の割合で減少を続け、 中2前後で減少から増加に転じ高校 で横 ばいを示している。 胸 囲比は小4から中2にかけてわずかに減少傾向を 示しているが、 中3から著しく増加を示 し以後増 加 し続ける傾向が認められる。 k ( ) g. 口S ITT IN IG GHE HT 鵬c HES TGIR TH 、 . WE IG HT □ HEIG HT. EI E2 E3 FA ” - ヒ- O E6. . . . J1 1つ “ v‘ J 3 HI. CHESTG IR T H S 1TT 1鵬 HE 1G HT H2. Fig- -a The growth ofthehe ight ight i ing he th andS t t ight ‐ , we ,Chestgir ( 79).

(5) . 北 津 一 利・大 川. 98. ・. ~ .. E4. 王5. E6. 泰 洋. J1. .. ・. J2. J3. …. .. 日2. ing height(S/ H)and chestgirth (C/ H). i t t Fig.1ーb Changesofthe proportion ofthes i l l s d b d ft h Fig.I Thestan ar 「 l r ・orplo ogy o e oysateach gradeinthecrosssectionalanaーys ・ h l h h i h i h i H J lementary, : jun or g , : g sc oo.) (E;e. 2) 一年間の形態変化 a, 対象被験者と標準値との比較 測定を行っ た被験者の一年間の形 態変化量を表 したのがFig‐2である。 身長増加量は、 中1が 最大で、 中2はそれに比べ40%程少なかっ た。 この傾向は標準値に類似 している。 体重増加量は中 1が中2より もやや少なく、 標準値と比べ ても少 なかっ た。 座高増加量に見られる一 連の傾向はほ ぼ同じである。 胸囲増加量の最大 を示したのが、 標準値では小6、 対象被験者では中2 という違い があるものの、 全体的な傾向は類似している。. □c H E TG I R T H S ● ・ ,. I 嚢 1. 園S E I G H T I T T I職H. t 盟潮騒 l i ; 1 灘綴 t i. -- T E 1 6 H 口H E I G H T. T 1 T T1 剥GH E 1 G H S E 4. E 5. T HE S TG I R C H E 6. I J. J 2. fthesubj h i i t i i t i i thands t nayear ft hehe t ec si t Fig‐2Thegrowtho nghe r . ghto gh gh ,we ,c estg. ( 80).

(6) . 99. 思 春期 男 子 の 形 態変 化モ デ ル につ い て. b, 座高および身長に対する比座高 (Fig‐3) 座高増加量も身長と同様に中1が最も多かっ たが、 中1と中2の差はわずか0 ‐1%であり、 この 差は、 身長増加量に見られた差と比較すると非常に小さい。 比座高は、 中2において他の学年に比べ顕著に増加 している。 中1は座高増加量は中2同様に認 められたが、 比座高増加にはそれが反映せず、 一年間ほとん ど変化していなかった。 小5は身長増 加量は小4とさほど変わ らないが、 座高増加 は少なく、 比座高が減少する傾向が認められた。 c, 胸囲および身長に対する比胸囲 (Fig .4) 胸囲増加は全ての学年に認められ、 その量は小4から中2まで少 しづつ多くなる傾向を示 し、 中 2が最も多かっ た。 比胸囲は小4から中1は全て減少 しており、 その傾向は中1で最も著しいくな るにもかかわ らず、 この中1と比べわずか0 ‐5%程多い年間増加量を示 した中2の胸囲比は、 逆に 増加 していた。. □ SITTINGHE IGHT . S州 S / H . . 1 10 ・0. ・i. 0 8 {0 .0 {0 0 0 6 ‐. JO 0 4 .0 40 2 0 ‐0. 」. 2 ‐ 0 0 .0. 2 J. I J. E 6. E 5. E 4. 0 4 ‐ 0 .0 0 - 0 0 . 6‐ .. ightt i ing he i ing heightand changes ofthe proportion ofs Fig.3The growth ofthes t t t t ight(S/ H)ofthesubjec tsin a year‐ othe he. □C E S H TGIRTH . C鼎 } C鼎 { % ÷」L÷ 「0 .2. ) ( m c 3‐. -・ ,”-”-- 2 10 ‐5 “--------一冊”----------M.--★」------- - 」- o .2. 2-. I. ,. ‐. 」‐ 0 ‐4. 1 .5 -. ‐ 0 ‐6 ‐ 0 .8. 0寺 1 E 4. E 6. !‐ I. .. ・. 1 E 5. J I. 2 J. Fig.4The growth ofthe chestgir th and changes ofthe proportion ofchestgi rthtoth ight(C/H)o ft hesubjectsin a year‐ e he ( 81).

(7) . . 北. 100. 揮. 一. 利・大. 川. 泰. 洋. d, 前腕長と下腿長及 びそれらの身長に対する比 (Fig ‐5) 前腕 と下腿の両方 とも中1が最も多く増加 していた。 この様子は、 身長増加量に見られる学年差 とよく類似している。 身長に対する比は両者で多少異なり、 比前腕長は中1、 2が多く増加 したの に対し、 比下腿長は小学生の増加が多い傾向が認められた。 また、 座高や胸囲と異なり どちらも減 少することがなく、 全ての学年で増加 していた。 □F ORE ^R一 ・ ^/H { % }. { % ). o 0 4 .o 0 3 5 0 .0 0 0 3 .0 2 0 0 5 ‐0 0 0 2 .0 0 0 1 5 .0 1 0 0 .0 0 0 0 5 .0 0. E4. E5. E6. JI. J2. Fig, : n 5‐a The growth oftheforear]m l ength and changes ofthe proportion off。rear] lengthtothehe ight(A / H)ofthesubjectsin a year‐. □L O舵RLEG ・ L州 協. ( % ). { % }. 2 1. o l s .o 14 o .0. =. 1 2 0 .0 1 0 ・0 0 0 8 .0 0 0 6 .0 0 0 4 .0 2 0 0 .0 0. E4. E5. E6. J I. J2. Fig. 5一b The growth 。fthelowerleglength and changes ofthe pr0porti0n of1ower ight(L/ H)ofthesubjec l tsin ayear engthtothehe eg l .. 3) 毎月 発育量の項目別比較 a, 比座高、 比胸囲の経時的変化 比座高は小4 (Fig.6 -a) で数 ヶ月 増加 した後に減少を続け、 小5ではばらつきはあるが、 一貫して減少傾向を示した。 これに対 し小6は年間を通じて緩やかに、 また中 “混まとんど一定 を 保っ た後に後半の3カ月 に増加 が認め られる。 中2 (Fig .6 ー e) は、 年間を通 じて増加傾向を 示 し、 その変化の傾きが前者よりも急で明確にそ れがうかがえるほどであっ た。 ( 82).

(8) . 101. 思春期男子の形態変化モデルについて 榊‐命ト-- s/日 ÷→ト÷ C/日. { % }. 。‐ 505 0 .5 0 495 . 0 49 . 485 、 0 . 0 .48. --窃ト-- s/日 ÷「ト÷ C/日. 0 475 . 3 。 5 ‐ 誓三豊 鱗 藁 韻 整 婆 壷 , thgr t F i ade 敦uden S g-6-a Chan9eSofthe4 .. 。 5 2 ‐ 肇. o 4 7 5 . 電 鴇 謎 国 曜 蛙. F i d Changesofthe7 thgr nmden t adeS s 9‐6- .. 0 5 ‐ 電 纏国 輔 鱈 鴇 ≦ 当. --@ ÷-- S/H ÷÷+÷ ÷÷ C/ H. i he5thgr t t F adeS uden s g.6-bChangesoft ‐. ÷÷ C/日 ”冊4トー S/日 ÷→ト Q54. { } %. { % }. 0 ‐538 0 .536 0 ‐534. 命 令- -. D.525. 0 51 .. 0 47 .. . 0‐ 505 F i t hgr t adeS山den s g-6-e changesofthe8 - 5 ◎- 0. 0. 495 0‐ 49 0‐ 485. 0 .532 0 ‐53. 0‐ 48. t F i t hgr ade 敏uden s g.6」c Changesofthe6 ‐. Fig.6 Changesoft 士 1eproport ionofs i ing he ightほう 士 1estg を 1e t t i } 1 t / /づめ andc (C/日)tot r height atevery ・nonth‐. (83).

(9) . . i02. 北 揮 一 利・大 川. --◆÷-- AJH ÷‐ ‐ ◆÷÷. 泰 洋. UH. --◎-- A′H ÷÷+÷÷ UH. 0‐ 195. O 149 .. 肇警抜纏 = 鱈孝三. t thgr F i S ade 顎uden -a Changesofthe4 g.7 ‐. ÷●÷ ÷÷ u日 --参-- AJH ÷÷. hgrades粗dents‐ F t i g , dchangesofthe7. --◎÷-- AJH ÷÷ ÷+÷÷. UH. 0195. 0 144 ‐. . hgr t F i he5 t ヒ s uden ade引 ーbchangesoft g.7 ‐ 0 2 O. 144 . 阻 〉 り o ‐ ← 〉 Q z m に 一 } く ≦ ヨ ヨ ヨ の o 2 o つ IL ≦ --令÷-- A′日 ÷÷+÷÷. 151 0 . 0 15 .. { % ). u日. hgradeStudents. F i t ‐ echangeSofthe8 g .7. { % } 0225 .. 0 149 . 、 ゑ 0‐ 148 ′ せ′ 、 0. 147 0‐ 146. 0. 215 0‐ 21 0. 205 0 2 . 0195. thgr t F i ade引山den s g.7ーcchangesofthe6 ・. Fig.7 Changesofthe proportion offorearm(A / H)andlowerl egtothe heightatevery lnonth.. (84).

(10) . 思春期男子の形態変化モデルについて. 103. 比胸囲は、 小4から中1 (Fi g.6-abcd) までは一時的に上昇を示すこともあるが、 全般的に 減少していく傾向が認められた。 これに対 し中2だけ増加する傾向が認められた。 従っ て、 胸囲増 加は全ての学年で認められたものの、 比胸囲の増加の傾向を連続して認めたのは中2 だけであった。. b, 比前腕長、 比下腿長の経時的変化 比前腕長と比下腿長は全ての学年で増加する傾向 が認め られた。 小5 (Fi g‐7 ーb) の比下腿 長の増加と、 中2 (Fig‐7- e) の比下腿長の増加は他と比較 してゆるやかな傾向が認められた。 両項目とも ばらつ きが多く、 滑 らかな変化曲線を観察するには至らなかっ た。. 察. 考. 1) 年齢別比較から概観される形態変化 標準値から (結果1) 身長発育ピーク前後で比座高と比胸囲が減少から増加に転じる可能性が示 された。 この傾向は今回算出 した標準値だけでなく、 すでに報告されている他の年齢別 データ でも )5 ) うかがうことができる3 。 ところが、 これらは各年齢でいず れも異なる標本集団を対象にしてい るため、 ある時点で横断的資料に示されていたある年齢の対象群 が、 将来的に別の年齢に達した と きにかつての 資料の同じ年齢群と同じ発育 を示すことを意味しない。 従っ て先に述べた比座高と比 胸囲の変化 が、 学年順に連続するかどうかは不明である。 また身長の発育と座高、 胸囲な どの各項 目の変化の因果関係 を分析することは困難である。 そこで本研究では先ず各学年の一年間の形態変化に注目し、 各項目変化の相互の関り を観察する (考察-2) 。 次に毎月 の連続した形 態変化の中に学年を越えて見られる共通項な どを類推的に照 合する (考察-3) 。 これによっ て、 先に述べた身長発育 ピーク前後の比座高 と、 比胸囲の変化が 連続して発現する可能性を裏付けることで、 思春期の形態変化のモ デルを構築する (考察-4)。 本研究の対象サンプル数が少ないため、 個体特性の影響を受け易いことが考えられるが、 標準値 との間に目立った差が認められず (結果2ー a) 、 対象となっ た子供達の形態変化を見る限り特別 なものではなく、 その可能性は少ないと考えられる。 2) 一年間の形態変化にみられる身長増加量と座高、 胸囲、 下腿長 身長と座高の2項目の 一年間の変化に注目すると、 身長の増加量に著 しい差が認められた中1と 中2の座高増加量がほとん ど変わらないことから、 両者の身長増加量の内訳に占める座高増加量の )。 そ してこれが、 間接的には中2の 座高比増加が大きいという結果に 割合が異なると推察される3 現れたと考え られる。 座高に見られた以上のような差に対し、 中1の下腿長の増加量は逆に中2よ )が報告した座高と下肢長の増加量変化を り5%以上多く、 比下腿長も著しく増加 していた。 松浦3 見ると、 座高増加量の ピークが身長増加量の ピーク年齢に比べわずかに後にずれている。 さらに、. 下肢長増加量は、 思春期前に増加のピークを迎えて、 思春期年齢では減衰過程にあり横ばいを示し ている。 これは本研究の結果を裏付けるものであるが、 これについて松浦は、 男子の身長発育の加 )。 しかし、 身長増加量の ピーク発現年齢 速は下肢長の発育に依存する率 が大であると述べている3 に近く、 かつ その加速に貢献すると考える とするならば、 彼の データからも、 本研究の結果からも、 下肢長増加よりも座高増加 が身長発育加速 (ピーク現象) に影響しているように思われる。 胸囲増加量は全ての学年に認められたが、 比胸囲の増加は中2 だ けであ った。 中2以外の学年で 胸囲増加が比胸囲の増加 となっ て現 れない理由として、 身長増加量がそ れを上回るほど著しいこと. (85).

(11) . 104. 北. 揮. 一. 利・大. 川. 泰. 洋. )、 身長増加の著しい中1で、 胸囲が増加 していながら、 比胸囲の顕著な減少を示 が挙 げられるが2 しているのはこの原因によるものと考え られる。 3) 形態変化の連続性の検討と各項目の相互関係の類推的分析 比座高と比胸囲の毎月 の形態変化を見ると、 Fig.1-bで示された標準値に見 られる一年間隔の 形態変化の連続性が、 本研究対象被験者の部分的に連続 したデータで証明されたと考えられる。 す なわち、 標準値の比座高推移に見られた小学生から中2にかけての減少傾向が、 本研究の小4と小 5に、 またその後の一過性の増加が小6から中2に連続 して認 められ、 比胸囲の減少傾向が小4か ら中1に、 増加傾向は中2に連続 して認め られた事によ っ て、 断片的な横断的資料 (Fig .1-b) の連続性を裏付けたと言える。 従っ て、 比座高と比胸囲は、 思春期の間に減少から増加に転じる可 能性が高いと言える。 ところで、 これら二項目の変化がどのようにして発現するの かを、 身長発育との相互関係から分 析することで思春期の形態発育をこれらの項目の変化で段階的に区別ができないかについて、 以下 に検討をつ づ ける。 「身長増加量 ピークの後に、 比座高が減少から増加に転 じる」 く 中2に見られる顕著な比座高増加は、 身長増加量の ピークを過 ぎていたため発現じたと考えられ る。 これを形態変化から裏付けることにする。 本研究の身長増加量の比較だけでは、 今回対象となっ た中2が身長増加の ピークを過 ぎていたた めに、 年間増加量が中1より少ないのか、 或は中1と中2の対象群の特性の差によるものなのかが 明確でない。 そのためこれだけでは中2がピークを過 ぎていた根拠にはならないd 仮に中2の身長 発育が ピークを過ぎておらず、 増加量が減少に転じていなかっ たとしても、 一年間の比座高増加は 小6から中2にかけて認められ、 小6から中2の毎月 変化には比座高が次第に増加する傾向が連続 して認められる (結果3- a) ので、 比座高はある程度増加する可能性はある。 一方、 下腿長増加量は小4、 小6、 中1で多いが、 中2では少なく、 また、-小4から中1の全て に共通して同程度認められた毎月 の比下腿長の増加の傾きが、 中2だけは緩やかである。 中2だけ )、 これが間接的に比座高増加をも に認められたこの現象を、 比下腿長増加率の衰退と解釈すると3 たらす背景の一因として影響するとも考えられる。 ところ で、 もし中2がこの様な形態変化をしつ つ、 身長増加量がピークを過ぎずに維持されていたとすれば、 身長増加のうち分けのうち下腿長増 加が減少 しながら、 座高増加量の増加がそれをかなりの割合で補わなければならないであろう。 と すれば、′それは直ちに比下腿長の減少として反映するはずであるが、 中2で見られた比下腿長の変 化は、 むしろ反対に緩やかな増加を示 している。 従っ て、 身長増加量の維持 (つまり ピーク ,を過 ぎ て減少に転じていないこと) と、 比下腿長増加率の減衰は両立しないと考えられる。 その上、 もし 中2の対象被検者群が身長増加の ピーク時期であっ たとしたら、 その小 4から中1までに見られる 比下腿長増加の傾きが、 その中2で緩やかになるとは考え難い。 従っ て中2では下腿長の増加が減 少 し、 身長の増加量も減少 していたと考えられる。 これらを総合 して考えるに、 中2で認められた比座高の増加現象は、 身長増加量に占める下肢長 )、 身長増加量の減少が原因すると推定できる。 増加量の減少による3 さらに、 中1の後半で認められる比座高の増加は、 やがて彼らが中2になっ たときに今回の中2 と同様な変化を示す兆候 としてうかがえる。 中1と中2で ・は身長の増加のうちわけに明確な違いが. あり、 これらの項目から、 形態発育を段階的に区別するための情報が得られる可能性が示唆されよ つo. (86).

(12) . 105. 思 春期 男 子 の 形 態変 化モ デ ル につ い て. 「身長発育 ピーク後に比胸囲の増加が見られる」 一年間の形態変化で、 比胸囲の増加が認められたのは中2だけであっ た。 胸囲の年間増加量は中 2で多いことから、 もし中2において身長増加量の減少に前後して、 胸囲増加量の増加が発現 して いたとすれば、 この中2の比胸囲の増加がより説明 し易いと考えられる。 ところが、 胸囲の増加は、 中2ほど多く はないにせよ、 どの学年にも同程度認められたため (結果2 ー c) 、 中2で胸囲増加 量が急激に増加 したかどうかは不明である。 しかしながら、 もし胸囲増加量が一定で、 特に増加し ていなかっ たと しても、 先に推測 した身長増加量の減少が、 比胸囲の増加に原 因すると考え られ )。 すなわち、 胸囲増加量の増加が身長増加 ピークに一致しているかどうかは不明であるが、 身 る2 長増加量の減少が比胸囲増加に影響すると考えられる。 4) 「身長発育 ピーク前後の形態変化のモデル」 身長発育量が ピークに達する以前は、 身長増加の内訳に下肢長の増加量が座高増加量よりも多く の割合を占めると思われる。 その後、 次第に座高増加量が増すにつれ両方の増加量が複合して ピー クを向える。 やがて下肢長増加量が減少し、 同時に身長増加量が減少し、 その内訳に座高増加が目 立つ ようにな っ て、 比座高が減少から増加へ反転すると考えられる。 また、 同じ時期に比胸囲の増 加も発現する。 これらの項目に示される相互の関係より、 思春期の形態変化をモデルにして表 した の がFig.8 で あ る。. H C S TG I R T H/H E I G H T E. N R E A S E 工 C. SITTINGH E I G H T′H E I G H T. P E R KG醐唾 針. T G R O W H . ・ . . . ‐ ‐. ‐. ‐ ‐‐. .・ . ・ .. N. . . ・ . . . ・ . ・ ・. N. R T - - ‐ . . - - -”- -[HESTG I H. ~ 雷電 日 T 滞 ~. T工ME Fig.8 The m lofthe mLorphologicalchanges ofthe pubescentboys‐ Lode. ま. と. め. 思春期男子の形態は、 身長発育量の一過性の急激な増加を発現するが、 その過程において、 比座 高と比胸囲が減少から増加に転じる連続的過程が証明された。 そしてその転機には、 身長増加量が ピークを過 ぎて減少に転ずることが原因していると考え られる。 さらに、 これらの二項目を短い周. ( 87).

(13) . 106. 北 様 一 利・大 川 泰 洋. 期で観察することで、 身長増加量変化の傾向が把握でき、 思春期の形態変化の段階的区別を行うこ とが可能 であると考える。 このよう な区別は、 誤差が予想される個人の形態測定値の正確な蓄積と 処理、 短い周期の測定を前提しなけれ ばならない。 しか しもしこれが可能ならば、 もはや身長発育 ピークの概念すら必要なくなるであろう。 そもそも通常行われる身長増加量 ピークの観察 には一年 間の増加量が用いられるが、 この暫定的な一年 という期間が正確な ピーク増加量を求 めるために、. 各個人の身長発育曲線中の適切な部分の一年間である可能性は低いので、 それ自体何の意味も持た ないのである。 以上から、 思春期の形態変化を身長発育量の観点から段階的に区別する指標として、 比座高と比胸囲が有効であることが示された と考える。. 辞. 謝. 本研究を進めるに当たり、 北海道教育大学釧路分校附属中学校の永井勝正教諭、 村山恵子教諭、 同附属小学校藤原節男教諭、 工藤洋子教諭ならびに生徒の皆様には、 多大なご協力を賜りましたこ とをここに深謝致します。 また一年間にわたり正確な測定◆ のために膨大な御尽力を頂いた、 佐々木厚志氏、 鈴木義幸氏、 小. 野泰章氏、 佐藤貴之氏には心よりお礼申し上げます。. 引 用 文 献. 9 8 ) 我が国における学齢期小児の身体発育評価基準に関する研究 第 1 7 1) 菊田文夫、 高石昌弘 ( 1報. 横断的資料に基 づく 身長と体重のパ ーセ ンタイル曲線およびその年次推移. 小児保健研. 究, 46 ( 1 ):27‐33. 2 2) 松浦義行, ( 198 ) 体力の発達‐ 朝倉書店. 東京 31‐34 2 3) 前掲書2) 71‐8 2 4) 武藤芳照 ( 1988 ) 子供の成長とスポー ツの しかた‐ 築地書店, 東京 67一7 5) 森田憲導 ( 1989 ) 身体発育と遺伝・環境要因. ぎょうせい, 東京 188一211. 1 91 ) 平成2年度学校保健統計調査報告書 6) 文部省 大臣官房調査統計課 ( 9 2 7) 文部省 大臣官房調査統計課 ( 1 9 9 ) 平成3年度学校保健統計調査報告書 8) 高石昌弘 ( 1 983 ) 思春期発育と成長促進現象. 13:38一4 3 からだの科学 1. ( 88).

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参照

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