Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
Apert 症候群における頭蓋縫合早期癒合メカニズムの解
明
Author(s)
小倉, 弘之; 中村, 貴; 石井, 武展; 齋藤, 暁子; 小野
寺, 晶子; 山口, 朗; 末石, 研二; 西井, 康; 東, 俊文
Journal
歯科学報, 120(4): 486-486
URL
http://hdl.handle.net/10130/5393
Right
Description
Apert 症候群は FGF 受容体2遺伝子(FGFR 2)の機能亢進型変異に起因し,骨芽細胞分化亢進に伴う頭蓋 骨早期癒合と骨性合指を主徴とする遺伝性疾患であるが,効果的な治療法は未確立である。我々は本疾患の発 症メカニズムをより詳細に調べるため,患者由来口腔粘膜上皮より疾患特異的 iPS 細胞を樹立,骨芽細胞分化 および機能について解析を行った。しかしながら野生型細胞と比べて明確な異常は観察されなかった。一方, Apert 症候群における骨形成異常は頭蓋骨や手指に限局し全身性異常は観察されないことから,FGFR 2 変異 とは別の疾患部位特異的にはたらく未知因子の存在が示唆された。そこで我々は骨癒合部位の特徴から力学的 ストレスが骨形成異常の引き金となる可能性を考え,力学的ストレスと Apert 症候群発症の関連について調 べた。 まずはじめに正常ヒト間葉系幹細胞(hMSC)に細胞伸展システムを用いてストレス負荷を行い,FGFR2 内在リガンドの発現変動を調べた。その結果,ストレス負荷時において FGF 2 遺伝子の有意な発現上昇が観 察された。また,hMSC にストレス負荷を行って得た培養液(Conditioned medium)は hMSC に対する細胞 増殖促進効果を示し,FGF2中和抗体によってこの効果がキャンセルされたことから,力学的ストレスによ り誘導された FGF2が autocrine/paracrine に作用することで hMSC の増殖を促進していると考えられた。 さらに,骨芽細胞分化初期における FGF2依存的細胞増殖とそれに伴う細胞凝集体形成が石灰化結節形成に 重要であることも明らかとなった。そこで,Apert 症候群特異的 iPS 細胞と野生型 iPS 細胞をリコンビナント FGF2タンパク質存在下で前培養を行った後,骨芽細胞分化誘導を行った結果,野生型細胞と比較して Apert 症候群特異的 iPS 細胞で顕著な骨芽細胞分化促進と石灰化結節の増加が観察された。 本研究の結果,メカニカルストレス依存的な骨形成促進には FGF2依存的な細胞増殖が重要であること, さらに Apert 症候群では頭蓋縫合部などにおけるメカニカルストレスが FGF2の局所濃度を上昇させ,高い リガンド親和性をもつ変異型 FGFR2と協調的に FGF シグナルを過活性化させることで限局した骨癒合が起 こる可能性が示された。 ≪プロフィール≫ <略 歴> 2014年3月 北海道大学歯学部卒業 2020年3月 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正 学)修了 2020年4月 東京歯科大学歯科矯正学講座 臨床専門専 修科生