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ワイヤレスサーフェスコイルを用いた^31 P-MRSによるラット肝リン化合物の測定

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Academic year: 2021

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ワイヤレスサーフェスコイルを用いた^31 P-MRSに

よるラット肝リン化合物の測定

著者

生内 一夫

発行年

1992-03-23

(2)

氏名・(本籍)

学位の種類

学位記番号

学位授与の要件 学位授与年月日 学位論文題目 生 内 一 夫(岡山県) 博士(医学) 博士 第122号 学位規則第4条第1項該当 平成4年3月23日 ワイヤレスサーフェスコイルを用いた31p−MRSによるラット肝リン化 合物の測定 審 査 委 員 光 洋 宏 智   正 崎 村 玉 野 木 小 授 授 授 教 教 教 査 査 査 主 副 副 論 文 内 容 要 旨 〔日 的〕 核磁気共鳴装置の進歩に伴いi花UiUo31p−MRSによるエネルギー代謝の測定が行われるよう になり、生体での代謝機能が侵襲なく測定できるようになった。しかし、ラット肝では 31 P−MRSを用いてリン化合物を測定する場合、肝体積が小さく、通常全身麻酔下に開腹し肝表面 にサーフェスコイルを装置する必要があるため、繰り返し測定することは極めて困難であった。 そこで、植え込み塑ワイヤレスサーフェスコイルの手法を用い、31P−MRSによる肝リン化合物 の測定を無麻酔下に繰り返し行うことにより、測定法の有効性および31P−MRSの肝機能評価の 指標としての有厨性について検討した。 〔方 法〕 ワイヤレスサーフェスコイルは、鋼線およびキャパシターを用いた3重巻の単同調コイルで、 その中央部に標準試薬をキャピラリーに封入したものを置き、全体をシリコンに包埋して用いた。 レシーバー側のコイルには、鋼線で径5cmの1重コイルを作成したのち、ラット固定用アクリル 筒の外側に設置したものを用いた。 正常ラットを全身麻酔下に開腹し、従来より行われている有線サーフェスコイルと今回作成し たワイヤレスサーフェスコイルを用い、31P−MRSによる肝リン化合物を測定し両者の比較を行っ た。 実験群として、1)無処置ラットにワイヤレスサーフェスコイルを植え込んだ正常群、2)門 −136−

(3)

脈一下大静脈短絡を作成し亜時間後に肝動脈結禁を行った虚血性肝障害モデル群、3)四塩化炭 素を腹腔内に1.5ml/kg投与した薬剤性肝障害モデル群、4)同系同所性肝移植モデルの以上4 群を作成し、各々ワイヤレスサーフェスコイルを用いて31p−MRSによる肝リン化合物を測定し、 PME、Pi、PDE、β−ATP、およびβ−ATP/Piの変動について検討した。 31p−MRSの測定にはGENMRINSTRUMENTS社製の2T CSIOMEGAを使用し、共鳴周 波数34.6346MHz、パルス幅15〟SeC、繰り返し時間228msec、積算回数1,024で行った。測定 したスペクトルは複数の信号が重なりあっているため、スペクトル解析は個々の信号に分割して 定量化した。各成分の量は、全信号の合計面積に対するそれぞれの信号面積比(%)として求め た。

〔結 果〕 正常肝でワイヤレスサーフェスコイルを用いて測定した群と有線サーフェスコイルを用いて測 定した群では、いずれも同様のスペクトルがみられ、両者間におけるPME、Pi、PDE、β−ATP、 およびβ−ATP/Piの値に有意差は認められなかった。 1)正常群のラットにワイヤレスサーフェスコイルを装着し、7日間連日31P−MRSを用いリ ン化合物を測定したところ、経時的な変化はみられずコイルの長期植え込みによる影響は認めら れなかった。 2)虚血性肝障害モデル群では、門脈一下大静脈短絡作成後には、肝へ流入する門脈血がなく 肝動物のみの濯流であるにもかかわらず、β−ATPおよびβ−ATP/Piに変化はなかった。しか し、肝動脈結紫を付加すると直ちにβ−ATPおよびβ−ATP/Piが著しく低下した。 3)薬剤性肝障害モデル群では、投与3時間後よりPDEおよびPMEが上昇し、それに引き 続き6時間後よりβ一ATPが低下した。 4)同系同所性肝移植モデルでは、移植後6時間目には、βTATPの低値とPiの高値が認め られ、移植後24時間目には正常レベルに回復し以後8日目までの測定では変化がみられなかっ た。 〔考 察〕 ワイヤレスサーフェスコイルを用いた31p−MRSによる肝リン化合物の測定は、従来の有線サー フェスコイルによる測定と有意差がなかった。またワイヤレスサーフェスコイルを植え込んだ場 合には、1週間におよぶ無麻酔下の繰り返し測定が可能で、しかもスペクトルに変化はなくワイ ヤレスサーフェスコイルは長時間におよぶ測定に適したものと考える。 肝障害実験モデルにおける肝リン化合物の検討では、虚血性肝障害モデルのβ−ATPの減少は 酸素供給の低下によるものと考えられた。一方、薬剤性肝障害モデルのPDEの増加は細胞障害 による膜分解産物の上昇によるものであり、引き続き起こったβ−ATPの低下は肝細胞機能低下 によるエネルギー代謝の減少によるものと考えられた。同系同所性肝移植モデルでは、移植後6 −137一 ノ

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時間目には低値であったβ−ATPが、24時間目には正常レベルに回復したことよりグラフトが良 好に機能したことを示している。今後、31p−MRSは肝移植後の血流障害、primary non−functionあるいは拒絶反応等の早期診断に有用な桔梗となると考えられる。 〔結 論〕 無麻酔下のワイヤレスサーフェスコイルを用いた31P−MRSによるリン化合物の繰り返し測定 が可能となった。この手法は各種肝障害において異なった成分の変化がみられており、ラットの 肝障害の質的診断に適した評価法と考える。

学位論文審査の結果の要旨

本論文は、従来困難であったラット肝31P−MRSの反復測定を行うために、小型ワイヤレスサー フェスコイルの作成、および無麻酔下における非侵聾的な測定法の考察を行い、種々の肝障害モ デルで検討を行ったものである。 これらの手法を用いて得られたスペクトルより、Phosphomonoester(PME)、Inorganic phosphate(Pi)、Phosphodiester(PDE)、β−ATP、およびβ−ATP/Piの検討を行い、従来よ り行われている有線型サーフェスコイルと同精度の測定が可能であることを確認し、さらに独自 に考察した測定手技により無麻酔下での長期間の反復測定も可能であった。次に、虚血性肝障害 モデル、薬物性肝障害モデルで検索を行った結果、虚血性肝障害モデルでは酸素供給の低下によ るβ−ATPの減少とPiの上昇、薬剤性肝障害モデルでは肝機能低下によるβ−ATPの低下と細胞 変性による相対的PDEの増加等が判明し、肝細胞障害の種類により異なった成分の変化が示さ れ、核磁気共鳴装置を用いた肝障害の質的診断の有用性が示唆された。また、手術侵聾の極めて 大きなラット同所性肝移植モデルでの測定を試み、移植後β−ATPが正常レベルに回復する過程 が示された。従って本測定法は実験動物の肝リン化合物を生理的状態下で、非侵襲的に測定でき る方法と判断された。 以上今回検討された測定法は、臨床において核磁気共鳴装置を用いて急性、慢性の肝機能障害 の質的診断や、肝臓移植など外科的処置後の肝機能評価を行うのに有用な方法と考えられた。 本論文は31P−MRSによるリン化合物の新たな測定法の開発、ならびに薬物やマイクロサージャ リーの手技を用いたいくつかの実験モデルでの検討により、今後の発展性を示唆した研究で、博 士(医学)の学位の授与に値するものと認められる。 −138−

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