は じ め に
南 太 平 洋 諸 国 は 、 そ の 多 く の 国 々 が 、 ま だ ら に 散 在 し た 島 々 か ら な る 領 土 を 有 す る 小 島 嶼 国 家 で あ り 、 広 大 な 領 海 及 び 排 他 的 経 済 水 域 (EE Z) を 有 す る 一 方 で 、 陸 地 の 割 合 が 低 く 脆 弱 な 環 境 に あ り 、 経 済 的 に は 諸 外 国 か ら の 政 府 開 発 援 助 (OD A) に 大 き く 依 存 し て い る 。 島 嶼 国 家 で あ る 南 太 平 洋 諸 国 は 、 物 資 や 旅 客 の 輸 送 の ほ と ん ど を 海 上 輸 送 に 依 存 し て い る が 、 こ れ ら 地 域 に お け る 造 船 ・ 修 繕 産 業 は 極 め て 小 規 模 で あ り 、 海 外 か ら 調 達 し た 数 少 な い 船 舶 を 長 期 間 に わ た り 使 用 し て い る か 、 小 型 木 造 船 を 使 用 し て い る の が ほ と ん ど で あ る 。
我 が 国 は 、 水 産 ・ 漁 業 の 分 野 で 太 平 洋 地 域 か ら 極 め て 大 き な 恩 恵 を 受 け て お り 、 こ れ ら 地 域 に 対 し て 様 々 な 経 済 協 力 を 実 施 し て き て い る が 、 水 産 業 、 教 育 、 保 健 ・ 医 療 等 の 分 野 を 中 心 と し た 援 助 を 実 施 し て き て お り 、 過 去 に 我 が 国 政 府 の O D A に よ り 援 助 し た 船 舶 案 件 も 多 少 存 在 す る も の の 、 こ れ ら の 地 域 に お い て 、 必 ず し も 基 礎 イ ン フ ラ と し て の 船 舶 が 十 分 に 整 備 さ れ て い る わ け で は な い 。
一 方 で 、 こ れ ら 南 太 平 洋 島 嶼 国 で は 人 的 資 源 も 限 ら れ て お り 、 安 全 性 確 保 に 関 す る 意 識 も 必 ず し も 高 く な く 、 本 調 査 期 間 中 に も バ ヌ ア ツ 共 和 国 と キ リ バ ス 共 和 国 に お い て 、 定 員 以 上 の 乗 客 乗 員 を 搭 載 し た 内 航 フ ェ リ ー が 転 覆 、 沈 没 す る 海 難 事 故 が 発 生 し 、 貴 重 な 人 命 と 数 少 な い 船 舶 を 喪 失 し て い る 。
海 洋 に 囲 ま れ て い る 南 太 平 洋 島 嶼 国 に と っ て 、 船 舶 は 同 地 域 の 文 化 、 生 活 に 不 可 欠 な ば か り で な く 、 観 光 産 業 等 に よ る 経 済 発 展 を 行 っ て い く た め に も 必 要 で あ り 、 今 後 、 様 々 な ニ ー ズ に 応 じ た 多 種 多 様 な 船 舶 が 必 要 と な る 可 能 性 が あ る 。 そ し て 太 平 洋 諸 国 に お け る 造 船 産 業 は 極 め て 限 定 的 で あ る こ と か ら 、 様 々 な ニ ー ズ に 応 じ た 優 れ た 船 舶 を 低 コ ス ト 、 納 期 厳 守 で 供 給 で き る 我 が 国 中 小 型 造 船 業 の 市 場 と な る 可 能 性 を 秘 め て い る 。 経 済 開 発 の 多 く を 諸 外 国 か ら の 開 発 援 助 に 頼 ら ざ る を 得 な い こ れ ら の 国 々 に と っ て 、 造 船 分 野 に お け る 援 助 は 、 当 該 諸 国 の 基 本 的 イ ン フ ラ を 整 備 す る こ と に 直 結 し 、 極 め て 有 意 義 な も の で あ る 。
本 調 査 で は 、 こ れ ら 諸 国 の う ち 、 フ ィ ジ ー 共 和 国 、 キ リ バ ス 共 和 国 、 パ ラ オ 共 和 国 、 ソ ロ モ ン 諸 島 、 バ ヌ ア ツ 共 和 国 に つ い て 、 海 事 産 業 の 状 況 、 新 規 造 船 需 要 の 動 向 及 び 経 済 協 力 の 可 能 性 に つ い て 、 文 献 調 査 、 実 地 調 査 等 に よ り と り ま と め た も の で あ る 。
ジ ェ ト ロ ・ シ ン ガ ポ ー ル 事 務 所 船 舶 部
( 一 般 社 団 法 人 日 本 中 小 型 造 船 工 業 会 共 同 事 務 所 ) デ ィ レ ク タ ー ( 船 舶 部 長 ) 鈴 木 長 之
目 次
太 平 洋 島 嶼 国 の 概 要 . . . 1
太 平 洋 島 嶼 国 調 査 対 象 5 ヶ 国 の 登 録 籍 船 . . . 3
1. フ ィ ジ ー 共 和 国 . . . 6
1 . 1 概 況 . . . 6 1 . 2 海 事 産 業 の 現 状 と 課 題 、 今 後 の 見 通 し . . . 1 3 1 . 2 . 1 海 上 輸 送 . . . 1 3 1 . 2 . 2 造 修 繕 業 . . . 1 7 1 . 2 . 3 港 湾 設 備 . . . 2 2 1 . 2 . 4 海 事 教 育 機 関 . . . 2 9 1 . 2 . 5 海 事 産 業 に 関 す る 政 府 の 方 針 、 今 後 の 計 画 等 . . . 3 2 1 . 3 経 済 協 力 . . . 4 0 1 . 3 . 1 経 済 協 力 の 現 状 . . . 4 0 1 . 3 . 2 日 本 の 経 済 協 力 の 現 状 . . . 4 1 1 . 3 . 3 経 済 協 力 の 可 能 性 . . . 4 2 2. キ リ バ ス 共 和 国 . . . 4 3 2 . 1 概 況 . . . 4 3 2 . 2 海 事 産 業 の 現 状 と 課 題 、 今 後 の 見 通 し . . . 4 9 2 . 2 . 1 海 上 輸 送 . . . 4 9 2 . 2 . 2 造 修 繕 業 . . . 5 2 2 . 2 . 3 港 湾 設 備 . . . 5 4 2 . 2 . 4 船 員 教 育 訓 練 機 関 . . . 5 7 2 . 2 . 5 漁 業 関 連 . . . 5 9 2 . 2 . 6 海 事 産 業 に 関 す る 政 府 の 方 針 、 今 後 の 計 画 等 . . . 6 2 2 . 3 経 済 協 力 . . . 6 5 2 . 3 . 1 経 済 協 力 の 現 状 . . . 6 5 2 . 3 . 2 日 本 の 経 済 協 力 の 現 状 . . . 6 6 2 . 3 . 3 経 済 協 力 の 可 能 性 . . . 6 8 3. パ ラ オ 共 和 国 . . . 7 1 3 . 1 概 況 . . . 7 1 3 . 2 海 事 産 業 の 現 状 と 課 題 、 今 後 の 見 通 し . . . 7 8 3 . 2 . 1 海 上 輸 送 . . . 7 8 3 . 2 . 2 造 修 繕 業 . . . 8 2 3 . 2 . 3 港 湾 設 備 . . . 8 2 3 . 2 . 4 海 事 産 業 に 関 す る 政 府 の 方 針 、 今 後 の 計 画 等 . . . 8 5 3 . 3 経 済 協 力 . . . 8 6 3 . 3 . 1 経 済 協 力 の 現 状 . . . 8 6 3 . 3 . 2 日 本 の 経 済 協 力 の 現 状 . . . 8 8
3 . 3 . 3 経 済 協 力 の 可 能 性 . . . 9 2 4. ソ ロ モ ン 諸 島 . . . 9 3 4 . 1 概 況 . . . 9 3 4 . 2 海 事 産 業 の 現 状 と 課 題 、 今 後 の 見 通 し . . . 9 9 4 . 2 . 1 海 上 輸 送 . . . 9 9 4 . 2 . 2 造 船 修 繕 業 . . . 1 0 7 4 . 2 . 3 港 湾 設 備 . . . 1 1 0 4 . 2 . 4 漁 業 . . . 1 1 5 4 . 2 . 5 政 府 の 海 事 産 業 に 関 す る 方 針 . . . 1 1 6 4 . 3 経 済 協 力 . . . 1 1 7 4 . 3 . 1 経 済 協 力 の 現 状 . . . 1 1 7 4 . 3 . 2 日 本 の 経 済 協 力 の 現 状 . . . 1 1 8 4 . 3 . 3 経 済 協 力 の 可 能 性 . . . 1 2 0 5. バ ヌ ア ツ 共 和 国 . . . 1 2 2 5 . 1 概 況 . . . 1 2 2 5 . 2 海 事 産 業 の 現 状 と 課 題 、 今 後 の 見 通 し . . . 1 2 8
5 . 2 . 1 海 上 輸 送 . . . 1 2 8 5 . 2 . 2 造 修 繕 業 . . . 1 3 3 5 . 2 . 3 港 湾 設 備 . . . 1 3 6 5 . 2 . 4 船 員 教 育 . . . 1 4 0 5 . 2 . 5 海 事 産 業 に 関 す る 政 府 の 方 針 、 今 後 の 計 画 等 . . . 1 4 2 5 . 3 経 済 協 力 . . . 1 4 6 5 . 3 . 1 経 済 協 力 の 現 状 . . . 1 4 6 5 . 3 . 2 日 本 の 経 済 協 力 の 現 状 . . . 1 4 8 5 . 3 . 3 経 済 協 力 の 可 能 性 . . . 1 4 9
太平洋島嶼国の概要
太 平 洋 島 嶼 国 は 、 西 は オ ー ス ト ラ リ ア 、 東 は 南 太 平 洋 の ピ ト ケ ア ン 諸 島 ( 英 国 領 ) ま で 広 が る 広 大 な 海 域 に 分 布 し て お り 、 こ の 地 域 に は 1 4 の 独 立 国 ( ク ッ ク 諸 島 、 ミ ク ロ ネ シ ア 連 邦 、 フ ィ ジ ー 共 和 国 、 キ リ バ ス 共 和 国 、 マ ー シ ャ ル 諸 島 共 和 国 、 ナ ウ ル 共 和 国 、 ニ ウ エ 、 パ ラ オ 共 和 国 、 パ プ ア ニ ュ ー ギ ニ ア 独 立 国 、 ソ ロ モ ン 諸 島 、 ト ン ガ 王 国 、 バ ヌ ア ツ 共 和 国 、 及 び サ モ ア 独 立 国 ) が あ る 他 、 フ ラ ン ス 領 ( フ ラ ン ス 領 ポ リ ネ シ ア 、 ニ ュ ー カ レ ド ニ ア 、 ワ リ ス 、 及 び フ チ ュ ナ ) 、 ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド 領 ( ト ケ ラ ウ ) 、 イ ギ リ ス 領 ( ピ ト ケ ア ン 諸 島 ) 、 及 び 米 国 領 ( 米 国 領 サ モ ア 、 グ ア ム 及 び 北 マ リ ア ナ 諸 島 ) が あ る 。
こ れ ら 全 て の 国 々 及 び 領 土 が 小 島 嶼 発 展 途 上 国 で あ り 、 パ プ ア ニ ュ ー ギ ニ ア を 除 い て 、 単 一 の 島 あ る い は ま ば ら に 散 在 し た 島 々 か ら 成 る 領 土 で あ る 。
太 平 洋 諸 島 は 便 宜 上 、 ポ リ ネ シ ア 、 ミ ク ロ ネ シ ア 、 メ ラ ネ シ ア の 3 地 域 に 区 分 さ れ て い る 。 ポ リ ネ シ ア は ハ ワ イ 、 ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド 、 イ ー ス タ ー 島 を 頂 点 と す る 三 角 形 の 地 域 の 内 部 、 西 側 の 残 り の 島 々 は 赤 道 以 北 が ミ ク ロ ネ シ ア 、 以 南 が メ ラ ネ シ ア で あ る1。
ミ ク ロ ネ シ ア は 小 さ な 島 々 と い う 意 味 で 、 太 平 洋 諸 国 の 中 で 日 本 に も っ と も 近 い と こ ろ に 位 置 す る 。 グ ア ム 、 サ イ パ ン な ど の マ リ ア ナ 諸 島 を は じ め 、 ミ ク ロ ネ シ ア 連 邦 共 和 国 、 キ リ バ ス 共 和 国 、 マ ー シ ャ ル 諸 島 共 和 国 、 ナ ウ ル 共 和 国 、 パ ラ オ 共 和 国 が 含 ま れ る 。 西 部 ミ ク ロ ネ シ ア と 、 東 部 ミ ク ロ ネ シ ア で は 言 語 及 び 文 化 が か な り 異 な っ て お り 、 「 ミ ク ロ ネ シ ア 人 」 と 呼 べ る 人 々 は 存 在 し な い 。
メ ラ ネ シ ア は 黒 い 島 々 と い う 意 味 で 、 面 積 の 大 き な 火 山 島 が 多 い 。 そ こ に 居 住 す る 人 々 は 、 メ ラ ネ シ ア 北 部 に 数 万 年 前 か ら 居 住 し て き た 旧 石 器 時 代 の 人 々 の 直 径 の 子 孫 あ る い は 混 血 で あ る 。 メ ラ ネ シ ア に 含 ま れ る 国 は フ ィ ジ ー 共 和 国 、 パ プ ア ニ ュ ー ギ ニ ア 独 立 国 、 ソ ロ モ ン 諸 島 、 及 び バ ヌ ア ツ 共 和 国 が あ り 、 他 に フ ラ ン ス 領 ニ ュ ー カ レ ド ニ ア も 含 ま れ る 。 太 平 洋 島 嶼 国2の 総 人 口 約 9 8 万 人 の う ち 、 約 8 5% に メ ラ ネ シ ア 諸 国 に 居 住 し て い る 。
ポ リ ネ シ ア は 、 多 く の 島 々 と い う 意 味 で 、 北 半 球 に は ハ ワ イ 諸 島 、 そ の 他 は 南 半 球 に 散 在 し て い る 。 西 か ら 、 ツ バ ル 、 ト ン ガ 王 国 、 サ モ ア 独 立 国 、 ニ ウ エ 、 フ ラ ン ス 領 ポ リ ネ シ ア ( タ ヒ チ 島 な ど が 含 ま れ る ) 、 ク ッ ク 諸 島 な ど の 島 々 か ら 成 る 。
パ プ ア ニ ュ ー ギ ニ ア を 除 く こ れ ら 発 展 途 上 国 や 領 土 は 、 排 他 的 経 済 水 域 (E E Z) に 対 す る 土 地 の 割 合 が 低 く 、 脆 弱 な 環 境 に あ る 。 経 済 的 に は 外 部 か ら の 開 発 援 助 に 大 き く 依 存 し て い る 。 都 市 化 の 進 行 に よ り 、 都 市 部 に お い て は 慢 性 的 に 食 糧 が 不 足 し て お り 、 地 域 に よ っ て は 深 刻 な 食 糧 不 足 問 題 を 抱 え て い る 。 都 市 部 は 失 業 率 が 高 く 、 地 方 で も 不 完 全 雇 用 の 問 題 を 抱 え 、 経 済 基 盤 は 脆 弱 で 、 経 済 活 動 の 多 角 化 が 進 ん で お ら ず 、 さ ら に 陸 上 に お け る 経 済 活 動 は ご く 限 ら れ て い る 。 こ の 為 、 太 平 洋 島 嶼 国 の 海 洋 資 源 は 同 地 域 の 文 化 や 生 存 、 及 び 経 済 発 展 に と っ て 重 要 で あ る 。 大 半 の 太 平 洋 島 嶼 国 に と っ て 、 海 洋
1 国 立 民 族 学 博 物 館
h t t p : / / w w w . m i n p a k u . a c . j p / m u s e u m / s h o w c a s e / f i e l d n e w s / t h e m e t o p i c s / i n t o h / t h e m e 0 4
2 独 立 国 の 人 口 合 計 。 外 国 領 土 の 人 口 を 含 ま な い 。
資 源 は 観 光 と と も に 社 会 的 、 経 済 的 発 展 を 維 持 し て い く た め に 欠 か せ な い 要 因 と な っ て い る 。
太 平 洋 島 嶼 国 立 地 図
註 : フ ラ ン ス 領 、 ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド 領 、 米 国 領 が 地 図 に は 明 記 さ れ て い な い 。
出 典 : 外 務 省 ウ ェ ブ サ イ ト3 出 典 :h t t p : / / w w w . i n f o p l e a s e . c o m / a t l a s / p a c i f i c i s l a n d s a n d a u s t r a l i a . h t m l
3 h t t p : / / w w w . m o f a . g o . j p / m o f a j / p r e s s / p r / w a k a r u / t o p i c s / v o l 8 9 /
太平洋島嶼国調査対象 5 ヶ国の登録籍船
本 調 査 の 対 象 で あ る 、 フ ィ ジ ー 共 和 国 、 キ リ バ ス 共 和 国 、 パ ラ オ 共 和 国 、 ソ ロ モ ン 諸 島 、 バ ヌ ア ツ 共 和 国 で 登 録 さ れ て い る 1 0 0 G T 以 上 の 鋼 製 自 航 船 の 船 団 規 模 は 、 表 1 の と お り で あ る 。 隻 数 、 総 ト ン 数 と も 、 バ ヌ ア ツ が 圧 倒 的 に 多 く 、 こ れ は バ ヌ ア ツ が 便 宜 置 籍 国 で あ る こ と に よ る 。 ま た 、 パ ラ オ 、 キ リ バ ス に つ い て も 、 第 二 船 籍 国 制 度 を 取 り 入 れ て お り 、 こ の 表 に 現 れ る ほ と ん ど の 船 舶 が そ れ ら の 国 に 登 録 さ れ て い る 外 航 船 と 考 え ら れ る 。 各 国 の 船 種 別 隻 数 内 訳 、 同 総 ト ン 数 は 表 2、3 の と お り で あ る 。
表 1 南 太 平 洋 5 ヶ 国 の 登 録 籍 船
貨 物 船 そ の 他 の 船 合 計
隻 数 総 ト ン 数 隻 数 総 ト ン 数 隻 数 総 ト ン 数 フ ィ ジ ー 3 8 5 2 , 5 7 2 9 0 1 7 , 1 4 9 1 2 8 6 9 , 7 2 1 キ リ バ ス 5 0 2 4 0 , 5 0 3 2 6 3 6 , 9 2 7 7 6 2 7 7 , 4 3 0 パ ラ オ 1 2 8 5 9 2 , 9 7 5 6 3 5 4 , 0 2 7 1 9 1 6 4 7 , 0 0 2 ソ ロ モ ン 諸 島 1 6 5 , 6 0 8 2 5 1 2 , 0 6 2 4 1 1 7 , 6 7 0 バ ヌ ア ツ 7 5 8 4 9 , 4 3 4 3 7 7 1 , 0 8 0 , 4 7 4 4 5 2 1 , 9 2 9 , 9 0 8 出 典 :W o r l d F l e e t S t a t i s t i c s 2 0 1 6 , I H S F a i r p l a y
表 2 南 太 平 洋 5 ヶ 国 の 船 種 別 登 録 籍 船
単 位 : 隻 数 フ ィ ジ ー キ リ バ ス パ ラ オ ソ ロ モ ン 諸 島 バ ヌ ア ツ
タ ン カ ー 1 1 2 2 2 3
L N G - - - - - - - - - -
L P G - - - - 1 - - - -
C r u d e o i l - - 1 1 - - - -
O i l P r o d u c t 1 8 9 - - - -
C h e m i c a l - - 3 1 0 - - 3
O t h e r L i q u i d s - - - - 1 - - - -
バ ラ 積 み 貨 物 船 4 1 5 1 2 2
B u l k D r y - - 4 8 - - 1 9
B u l k D r y / O i l - - - - - - - - - -
S e i f - D i s c h a r g i n g B u l k D r y - - - - - - - - 1
O t h e r B u l k D r y - - - - 7 1 2
そ の 他 の 貨 物 船 1 2 3 3 7 3 6 3 6
G e n e r a l C a r g o 6 2 4 6 5 5 2 4
P a s s e n g e r / G e n e r a l C a r g o 4 - - - - 1 3
C o n t a i n e r - - - - 5 - - - -
R e f r e g e r a t e d C a r g o 2 9 1 - - 8
Other Dry Cargo/Passenegr - - - - 2 - - 1
R O R O 船 1 8 1 5 4 5
R O R O C a r g o 8 - - 8 3 2
P a s s e n g e r / R O R O C a r g o 1 0 - - 7 1 3
旅 客 船 7 1 1 5 9
P a s s e n g e r C r u i s e 4 - - 1 - - 5
P a s s e n g e r 3 1 - - 5 4
漁 船 7 9 1 4 2 1 3 5 7
オ フ シ ョ ア 船 1 6 2 8 2 7 8
そ の 他 タ グ な ど 1 0 6 3 3 1 2 4 2
合 計 1 2 8 7 6 1 9 1 4 1 4 5 2
註 : 船 種 別 の 内 訳 に 含 ま れ て い な い 船 の 種 類 が あ る た め 、 表 1 と 表 2 の 合 計 が 一 致 し な い こ と が あ る 。
出 典 :W o r l d F l e e t S t a t i s t i c s 2 0 1 6 , I H S F a i r p l a y
表 3 南 太 平 洋 5ヶ 国 の 船 種 別 登 録 の 総 ト ン 数
単 位 : G T フ ィ ジ ー キ リ バ ス パ ラ オ ソ ロ モ ン 諸 島 バ ヌ ア ツ
タ ン カ ー 6 9 6 7 5 , 2 2 8 9 6 , 0 8 2 1 2 , 4 2 7
L N G - - - - - - - - - -
L P G - - - - 3 , 4 0 4 - - - -
C r u d e o i l - - 2 5 , 8 0 0 2 5 , 8 8 0 - - - -
O i l P r o d u c t 6 9 6 3 5 , 1 7 7 2 9 , 1 0 5 - - - - C h e m i c a l - - 1 4 , 2 5 1 3 7 , 1 9 4 - - 1 2 , 4 2 7
O t h e r L i q u i d s - - - - 4 9 9 - - - -
バ ラ 積 み 貨 物 船 4 4 , 5 9 1 1 0 7 , 9 1 4 4 4 8 6 5 0 , 8 9 8 B u l k D r y - - 4 4 , 5 9 1 9 9 , 3 0 1 - - 5 3 1 , 3 2 9
B u l k D r y / O i l - - - - - - - - - -
S e i f - D i s c h a r g i n g B u l k D r y - - - - - - - - 2 6 , 7 9 2 O t h e r B u l k D r y - - - - 8 , 6 1 3 4 4 8 9 2 , 7 7 7 そ の 他 の 貨 物 船 1 6 , 1 1 5 1 2 0 , 5 5 2 2 8 0 , 9 8 8 2 , 6 1 5 1 0 7 , 9 4 5 G e n e r a l C a r g o 1 3 , 5 1 2 8 4 , 4 1 0 2 2 1 , 3 6 7 1 , 9 5 0 5 0 , 5 0 3 P a s s e n g e r / G e n e r a l C a r g o 9 9 4 - - - - 6 6 5 6 6 9
C o n t a i n e r - - - - 4 5 , 5 1 8 - - - -
R e f r e g e r a t e d C a r g o 1 , 6 0 9 3 6 , 1 4 2 1 , 2 6 3 - - 4 7 , 2 4 2 O t h e r D r y C a r g o / P a s s e n e r - - - - 1 2 , 8 4 0 - - 9 , 5 3 1
R O R O 船 2 7 , 0 9 7 1 0 1 , 8 2 0 1 , 2 7 2 3 , 2 7 2
R O R O C a r g o 3 , 7 9 1 - - 3 1 , 2 8 7 1 , 1 3 4 1 , 8 9 6 P a s s e n g e r / R O R O C a r g o 2 3 , 3 0 6 - - 7 0 , 5 3 3 1 3 8 1 , 3 7 6
旅 客 船 8 , 6 6 4 1 3 2 4 9 1 1 , 2 7 3 7 4 , 8 9 2
P a s s e n g e r C r u i s e 7 , 7 3 1 - - 4 9 1 - - 7 1 , 4 1 3
P a s s e n g e r 9 3 3 1 3 2 - - 1 , 2 7 3 3 , 4 7 9
漁 船 1 3 , 8 6 0 2 1 , 7 0 8 4 0 1 9 , 5 1 6 4 6 , 4 9 5
オ フ シ ョ ア 船 1 3 4 4 , 6 1 9 2 6 , 3 4 5 9 9 9 , 6 0 9 そ の 他 タ グ な ど 3 , 1 5 5 1 0 , 6 0 0 2 7 , 2 8 1 2 , 5 4 6 3 4 , 3 7 0 合 計 6 9 , 7 2 1 2 7 7 , 4 3 0 6 4 1 , 3 2 2 1 7 , 6 7 0 1 , 9 2 9 , 9 0 8
註 : 船 種 別 の 内 訳 に 含 ま れ て い な い 船 の 種 類 が あ る た め 、 表 1 と 表 2 の 合 計 が 一 致 し な い こ と が あ る 。
出 典 :W o r l d F l e e t S t a t i s t i c s 2 0 1 6 , I H S F a i r p l a y
1. フ ィ ジ ー 共 和 国
1 . 1 概 況
< 一 般 事 情 >
フ ィ ジ ー 共 和 国 ( 以 下 、 フ ィ ジ ー ) は オ ー ス ト ラ リ ア の シ ド ニ ー の 北 東 約 3 , 0 0 0 k m、 及 び ハ ワ イ の 南 西 5 , 0 0 0 k m に 位 置 し て い る 。 フ ィ ジ ー に は お よ そ 3 3 0 の 島 々 が あ る が 、 人 が 住 ん で い る の は そ の う ち 1 0 0 島 程 度 で あ る 。 陸 地 面 積 は 、1 8 , 2 7 0 平 方 キ ロ メ ー ト ル で 、 ほ と ん ど の 国 民 が 1 0 , 4 2 9 平 方 キ ロ メ ー ト ル の ヴ ィ チ ・ レ ヴ 島 (V i t i L e v u)
と 5 , 5 5 6 平 方 キ ロ メ ー ト ル の ヴ ァ ヌ ア ・ レ ヴ 島 (V a n u a Le v u) に 住 ん で お り 、 経 済
活 動 も こ れ ら 2 島 に 集 中 し て い る 。 総 人 口 は 2 0 1 6 年 現 在 で 、 お よ そ 8 9 . 9 万 人 で あ る 。 首 都 ス バ は 、 太 平 洋 の 国 々 と 地 域 で 構 成 さ れ る 地 域 協 力 の た め の 国 際 機 関 、 太 平 洋 諸 島 フ ォ ー ラ ム (P a c i f i c I s l a n d s F o r u m , P I F) 事 務 局 や 南 太 平 洋 大 学 (U S P) 本 部 が 設 置 さ れ て お り 、 周 辺 自 治 体 を 含 め る と フ ィ ジ ー の 総 人 口 の 約 4 割 が 居 住 す る 南 太 平 洋 最 大 の 都 市 で あ る 。
図 1 - 1 フ ィ ジ ー の 地 図
出 典 : 国 際 機 関 太 平 洋 諸 島 セ ン タ ー
表 1 - 1 フ ィ ジ ー 概 要 一 般 事 情
面 積 1 万 8 , 2 7 0平 方 キ ロ メ ー ト ル ( 四 国 と ほ ぼ 同 じ 大 き さ ) 人 口 約 8 9 . 9 万 人 (2 0 1 6 年 、 世 界 銀 行 )
首 都 ス バ
人 種 フ ィ ジ ー 系 (5 7% ) 、 イ ン ド 系 (3 8% ) 、 そ の 他 (5% ) (2 0 0 7 年 、 政 府 人 口 調 査 )
言 語 英 語 ( 公 用 語 ) の 他 、 フ ィ ジ ー 語 、 ヒ ン デ ィ ー 語 を 使 用
宗 教 フ ィ ジ ー 系 は ほ ぼ 1 0 0% キ リ ス ト 教 、 イ ン ド 系 は ヒ ン ズ ー 教 、 イ ス ラ ム 教 。 全 人 口 に 占 め る 割 合 は キ リ ス ト 教 5 2 . 9% 、 ヒ ン ズ ー 教 3 8 . 2% 、 イ ス ラ ム 教 7 . 8%
政 治 体 制 ・ 内 政
政 体 共 和 国
元 首 ジ オ ジ ・ コ ヌ シ ・ コ ン ロ テ (J i o j i K o n u s i K O N R O T E) 大 統 領
(2 0 1 5 年 1 1月 就 任 )
議 会 1 院 制
議 員 数 5 0 名 、 任 期 4 年 ( 解 散 あ り )
政 府 首 相 ジ ョ サ イ ア ・ ヴ ォ レ ン ゲ ・ バ イ ニ マ ラ マ (J o s a i a V o r e q e B A I N I M A R A M A)
外 務 大 臣 首 相 が 兼 任 二 国 間 関 係
政 治 関 係 1 9 7 0年 1 0月 1 0日 フ ィ ジ ー 独 立 と 同 時 に 同 国 を 承 認 1 9 7 9 年 1 月 日 本 側 大 使 館 ス バ に 開 設
1 9 8 1 年 1 月 在 京 フ ィ ジ ー 大 使 館 開 設 1 9 8 7 年 1 2月 1 1日 新 政 府 承 認 ( 黙 示 )
1 9 9 0 年 7 月 在 大 阪 名 誉 領 事 任 命 (1 9 9 8 年 9 月 ま で ) 2 0 0 0 年 9 月 5 日 新 政 府 承 認 ( 黙 示 )
2 0 0 9 年 4 月 在 大 阪 名 誉 領 事 任 命 2 0 1 2 年 3 月 在 横 浜 名 誉 領 事 任 命 2 0 1 3 年 4 月 在 仙 台 名 誉 総 領 事 任 命 2 0 1 5 年 1 0月 在 別 府 名 誉 領 事 任 命 経 済 関 係 貿 易 額 (2 0 1 6 年 度 、 財 務 省 貿 易 統 計 )
フ ィ ジ ー か ら の 輸 入 4 1 . 0 億 円 フ ィ ジ ー へ の 輸 出 1 2 4 . 0 億 円 進 出 日 本 企 業 数
1 7 社 (2 0 1 6 年 1 0月 現 在 、 、 外 務 省 海 外 在 留 邦 人 調 査 統 計 ) 在 留 邦 人 数 4 0 9 名 (2 0 1 6 年 1 0 月 現 在 、 外 務 省 海 外 在 留 邦 人 調 査 統 計 ) 在 日 フ ィ ジ ー 人 数 2 3 0 名 (2 0 1 6 年 1 2 月 、 法 務 省 在 留 外 国 人 統 計 )
出 典 : 外 務 省
< 政 治 体 制 >
フ ィ ジ ー は 約 1 0 0 年 に 渡 っ て 英 国 の 植 民 地 で あ っ た が 、1 9 7 0 年 に 独 立 し た 。 フ ィ ジ ー は 主 に 先 住 民 フ ィ ジ ー 系 と 英 国 植 民 地 時 代 に 移 住 し て き た イ ン ド 系 住 民 か ら 成 る 社 会 で あ る が 、 政 治 面 で は フ ィ ジ ー 系 の 優 遇 政 策 が と ら れ て き た 。 そ の た め 、 民 族 間 の 政 治 的 対 立 が 存 在 し 、 独 立 以 来 、 現 在 ま で 数 度 に 亘 り 、 ク ー デ タ ー を 経 験 し て い る 。1 9 9 8
年 に 民 族 融 和 を 目 指 し た 新 憲 法 が 発 効 し 、1 9 9 9 年 に チ ョ ー ド リ ー 労 働 党 党 首 が 初 の イ ン ド 系 首 相 と し て 就 任 し た が 、2 0 0 0 年 に は 武 装 グ ル ー プ に よ る 国 会 占 拠 事 件 が 発 生 し 、 首 相 は 辞 任 。 商 工 次 官 、 フ ィ ジ ー 開 発 銀 行 総 裁 等 を 歴 任 し た ラ イ セ ニ ア ・ ガ ラ セ 氏 が 暫 定 文 民 政 府 の 首 相 に 就 任 し た 。 そ の 後 2 0 0 1 年 の 総 選 挙 、2 0 0 6 年 の 総 選 挙 で も ガ ラ セ 氏 が 再 選 さ れ 、 フ ィ ジ ー 系 、 イ ン ド 系 の 対 立 の 改 善 を は か る 姿 勢 を 見 せ た が 、2 0 0 0 年 の 国 会 占 拠 事 件 関 係 者 へ の 糾 弾 を 求 め る バ イ ニ マ ラ マ 国 軍 司 令 官 と 対 立 し 、2 0 0 6 年 1 2 月 に 同 司 令 官 が 無 血 ク ー デ タ ー を 断 行 し て 首 相 に 就 任 し た 。
2 0 0 9 年 7 月 、 バ イ ニ マ ラ マ 首 相 は 「 変 化 の た め の 戦 略 的 枠 組 み 」 (A S t r a te gi c
F ra m e w o r k f o r C h a n g e:2 0 1 4 年 9 月 の 総 選 挙 実 施 に 至 る ま で の ロ ー ド マ ッ プ ) を 発 表 し 、 こ の ロ ー ド マ ッ プ に よ り 、2 0 1 2 年 9 月 か ら 2 0 1 3 年 9 月 に か け て 新 憲 法 を 策 定 し 、2 0 1 3 年 9 月 か ら 約 1 年 間 か け て 総 選 挙 準 備 を 行 う と し た 。 計 画 通 り 、2 0 1 3 年 9 月 に フ ィ ジ ー 政 府 は 新 憲 法 を 公 布 し 、2 0 1 4 年 3 月 、 バ イ ニ マ ラ マ 首 相 が 国 軍 司 令 官 を 辞 任 、2 0 1 4 年 9 月 、 総 選 挙 が 実 施 さ れ た 。 バ イ ニ マ ラ マ 首 相 率 い る フ ィ ジ ー 第 一 党 が 過 半 数 の 議 席 を 獲 得 し 、 バ イ ニ マ ラ マ 首 相 が 再 任 さ れ た 。 そ の 後 、2 0 1 6 年 9 月 、 内 閣 改 造 に 伴 い , バ イ ニ マ ラ マ 首 相 は 外 相 も 兼 任 し て い る 。
2 0 1 3 年 の 新 憲 法 で は 、 議 会 は 一 院 制 、 定 員 は 5 0 名 と な っ て い る (1 9 9 7 年 憲 法 で
は 二 院 制 だ っ た4) 。 国 の 元 首 は 大 統 領 で 、 任 期 は 3 年 で あ り 、 国 会 が 大 統 領 を 任 命 す る 。 大 統 領 の 役 割 は 主 に 政 府 へ の 助 言 で あ り 、 政 治 の 実 権 は 首 相 に あ る 。
< 経 済 概 況 >
経 済 成 長 率 は 、2 0 0 6 年 1 2 月 の ク ー デ タ ー 直 後 の 2 0 0 7 年 に マ イ ナ ス 0 . 9% と な っ た 後 、2 0 0 8 年 に は 1 . 0% に 改 善 し た が 、2 0 0 9 年 は 砂 糖 産 業 の 衰 退 及 び 世 界 経 済 危 機 等 の 影 響 に よ り マ イ ナ ス 1 . 4% と 落 ち 込 ん だ 。2 0 1 3 年 以 降 は 3% ~5% 台 の 成 長 を 維 持 し て い た が 、2 0 1 6 年 の G D P は 前 年 比 0 . 4% と 伸 び 悩 ん だ 。1 人 当 た り の 実 質 G D P は 、
2 0 1 4 年 に は 4 , 0 8 4 米 ド ル と 4 , 0 0 0 米 ド ル 台 を 超 え 、2 0 1 6 年 は 4 , 1 9 6 米 ド ル だ っ た5。
雇 用 省 (M i n i s t r y o f Em p l o y m e n t) に よ る と 、2 0 1 7 年 1 2 月 現 在 の 全 国 失 業 率 は
5 . 5% と 低 く 抑 え ら れ て い る が 、1 5~2 4 歳 の 若 年 層 の 失 業 率 は 1 8 . 1% と 高 い 。 フ ィ ジ
ー 政 府 の 雇 用 政 策 の 最 優 先 事 項 は 、 青 少 年 の 失 業 問 題 に 取 り 組 む こ と だ と し て い る6。
4 h t t p : / / p i a . o r . j p /フ ィ ジ ー 憲 法 政 府 草 案 の 概 要 と 特 徴
5 h t t p s : / / w i t s . w o r l d b a n k . o r g / C o u n t r y P r o f i l e / e n / C o u n t r y / F J I / Y e a r / 2 0 1 6
6 1 4 D e c e m b e r 2 0 1 7、R a d i o N e w Z e a l a n d
図 1 - 2 フ ィ ジ ー の 実 質 G D P、G D P 成 長 率 推 移
出 典 : 世 界 銀 行
図 1 - 3 フ ィ ジ ー の 人 口 、1 人 当 た り 実 質 G D P 推 移
出 典 : 世 界 銀 行
< 主 要 産 業 >
2 0 1 6 年 の 産 業 別 G D P 構 成 比 を 見 る と 、 製 造 業 が 最 も 多 く 8 億 5 , 4 8 0 万 フ ィ ジ ー ド
ル で 全 体 の 1 2 . 7% を 占 め た 。 次 い で 、 卸 売 ・ 小 売 (7 億 9 , 0 2 0 万 フ ィ ジ ー ド ル 、
1 1 . 8% ) 、 農 林 水 産 業 (6 億 5 , 4 5 0 万 ド ル 、9 . 8% ) 、 金 融 サ ー ビ ス (6 億 2 , 9 5 0 万 フ
ィ ジ ー ド ル 、9 . 4% ) な ど が 続 い て い る 。
-2.0%
0.0%
2.0%
4.0%
6.0%
0 1,000 2,000 3,000 4,000
2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016
百万米ドル
実質GDP 成長率
3,200 3,300 3,400 3,500 3,600 3,700 3,800 3,900 4,000 4,100 4,200 4,300
800 820 840 860 880 900 920
2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016
US$千人
人口 1人あたり実質GDP
表 1 - 2 産 業 別 実 質 G D P 構 成 比 (2 0 1 6 年 暫 定 値 ベ ー ス ) 実 質 G D P
1 0 0 万 F $ 割 合
製 造 業 8 5 4 . 8 1 2 . 7 %
卸 売 ・ 小 売 7 9 0 . 2 1 1 . 8 %
農 林 水 産 業 6 5 4 . 5 9 . 8 %
金 融 6 2 9 . 5 9 . 4 %
教 育 ・ 保 健 6 2 2 . 4 9 . 3 %
公 共 サ ー ビ ス 6 0 7 . 7 9 . 1 %
輸 送 ・ 倉 庫 5 9 3 . 1 8 . 8 %
通 信 4 0 6 . 7 6 . 1 %
ホ テ ル ・ 飲 食 3 9 2 . 0 5 . 8 % ビ ジ ネ ス サ ー ビ ス 3 2 0 . 0 4 . 8 %
不 動 産 2 8 0 . 6 4 . 2 %
建 設 2 0 7 . 3 3 . 1 %
電 気 ガ ス 水 道 1 5 1 . 0 2 . 3 % そ の 他 サ ー ビ ス 1 4 2 . 3 2 . 1 %
鉱 業 5 7 . 9 0 . 9 %
合 計 6 , 7 1 0 . 0 出 典 :F i j i B u r e a u o f S t a t i s t i c s
フ ィ ジ ー の 基 幹 産 業 は 砂 糖 、 観 光 、 衣 料 で 、 農 林 水 産 業 も 盛 ん で あ る 。 そ の う ち 、 砂 糖 産 業 は フ ィ ジ ー の 社 会 経 済 開 発 に 重 要 な 役 割 を 果 た し 、2 0 万 人 以 上 の 国 民 の 生 活 を 支 え て い る 。EU が フ ィ ジ ー を 含 む ア ジ ア ・ カ リ ブ ・ 太 平 洋 (A C P) 諸 国 に 与 え て い た 砂 糖 輸 入 特 恵 制 度7を 2 0 1 7 年 1 0 月 に 廃 止 し た た め 、 フ ィ ジ ー は 自 由 化 さ れ た 欧 州 の 砂 糖 輸 入 市 場 で 激 烈 な 競 争 に さ ら さ れ る こ と と な る 。2 0 1 6 年 2 月 に フ ィ ジ ー を 襲 っ た サ イ ク ロ ン ・ ウ イ ン ス ト ン で は 、 フ ィ ジ ー の 砂 糖 産 業 の 被 害 額 が 約 8 , 0 0 0 万 米 ド ル に の ぼ っ た 。 サ ト ウ キ ビ 栽 培 の 被 害 面 積 は 農 地 の 4 5% に 相 当 す る 1 9 , 0 0 0 ヘ ク タ ー ル に 及 ん で い る 。E U は サ イ ク ロ ン ・ ウ イ ン ス ト ン で 壊 滅 的 な 被 害 を 受 け た 農 業 ・ 砂 糖 栽 培 部 門 の 復 旧 に 3 , 0 0 0 万 ユ ー ロ を 供 与 し た が 、 農 業 ・ 砂 糖 産 業 部 門 の 早 期 復 旧 が 急 務 と な っ て い る8。2 0 1 6 年 の サ ト ウ キ ビ 生 産 は 対 前 年 比 1 9% 減 の 1 4 . 3 万 ト ン だ っ た 。 サ ト ウ キ ビ 以 外 の 主 要 農 産 物 に は 、 キ ャ ッ サ バ (2 0 1 6 年 の 生 産 量 約 6 万 ト ン ) 、 タ ロ イ モ ( 同 4 . 3 万 ト ン ) 、 パ イ ナ ッ プ ル ( 同 0 . 7 万 ト ン ) 、 シ ョ ウ ガ ( 同 0 . 6 万 ト ン ) な ど で あ る 。
フ ィ ジ ー の 衣 料 産 業 は 多 国 間 繊 維 協 定 (M F A)9で 、 米 国 向 け の 輸 出 割 り 当 て を 与 え ら れ て お り 、 ウ ォ ル マ ー ト な ど の 量 販 店 向 け の 衣 料 品 を 生 産 し て 米 国 に 輸 出 し て い た が 、
7 欧 州 連 合 ( E U ) と ア フ リ カ ・ カ リ ブ 海 ・ 太 平 洋 諸 国 (A C P諸 国 ) と の 間 で 結 ば れ た 国 際 協 定 、 コ ト ヌ ー 協 定 (C o t o n o u a g r e e m e n t) に よ る も の 。E U が フ ィ ジ ー を 含 む A C P 諸 国 か ら の 砂 糖 に つ い て 、 特 恵 的 な 輸 入 価 格 を 設 定 し て い る 。
8 F i j i T i m e s / F e b . 3 , 1 7
9 多 国 間 繊 維 取 り 決 め 。G A T T( 現 W T O) 理 事 会 の 承 認 で 1 9 7 4 年 発 効 し た 繊 維 貿 易 に 関 す る 国 際 協 定 。 開 発 途 上 国 な ど の 安 い 繊 維 製 品 が 集 中 的 に 輸 入 国 に 流 れ 込 む こ と を 規 制 す る 。2 0 0 4 年 撤 廃 。
2 0 0 5 年 に M F A が 撤 廃 さ れ 、 割 り 当 て を 失 っ た 。 ま た 、 フ ィ ジ ー は 南 太 平 洋 地 域 貿 易 経 済 協 力 協 定 ( S P A R T E C A - So u th P a c i f i c R e g i o n a l T ra d e a n d E c o n o m i c
Co o p e ra t i o n A g re e m e n t) の 下 、 オ ー ス ト ラ リ ア と ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド か ら も 特 恵 扱
い を 受 け て お り 、 衣 料 品 を 無 税 で 輸 出 し て い た が 、 協 定 の 期 限 が 2 0 1 4 年 末 ま で と な っ た こ と と 、 中 国 な ど の ア ジ ア 諸 国 の 繊 維 産 業 の 台 頭 に よ り 、 オ ー ス ト ラ リ ア や ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド 向 け の 輸 出 も 打 撃 を 受 け た 。
観 光 業 は フ ィ ジ ー 経 済 の 主 要 セ ク タ ー の 一 つ で 、 外 国 人 訪 問 者 数 は 、2 0 0 7 年 の 約 5 4 万 人 か ら 2 0 1 6 年 に 7 9 . 2 万 人 と な り 、 観 光 収 入 は 1 6 億 フ ィ ジ ー ド ル を 超 え た 。 オ ー ス ト ラ リ ア 、 ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド 、 米 国 か ら の 訪 問 者 が フ ィ ジ ー を 訪 れ る 主 要 な 国 で あ る が 、 近 年 、 中 国 や イ ン ド な ど の 新 興 市 場 か ら の 訪 問 者 が か な り の 割 合 で 増 加 し て い る1 0。 フ ィ ジ ー 航 空 ( 旧 エ ア ・ パ シ フ ィ ッ ク ) は 、2 0 0 9 年 3 月 で 運 休 し た 成 田 空 港 - フ ィ ジ ー ・ ナ ン デ ィ 国 際 空 港 線 を 、2 0 1 8 年 7 月 に 約 9 年 ぶ り に 再 開 す る と 発 表 し た 。 週 に 3 往 復 す る 。 運 航 再 開 に よ り 、 日 本 と フ ィ ジ ー を つ な ぐ 唯 一 の 直 行 便 と な り 、 フ ィ ジ ー を 訪 れ る 日 本 人 観 光 客 や マ グ ロ の 対 日 輸 出 お よ び 地 元 輸 出 業 者 の 販 売 額 の 増 加 が 期 待 さ れ て い る1 1。
< 貿 易 動 向 >
フ ィ ジ ー の 貿 易 収 支 は 輸 入 超 過 が 続 い て お り 、2 0 1 6 年 の 輸 出 高 は 9 億 2 , 6 0 0 万 米 ド ル 、 輸 入 額 は 2 3 億 1 , 6 0 0 万 米 ド ル と 、1 3 億 9 , 0 0 0 万 米 ド ル の 輸 入 超 過 で あ っ た 。 主 な 輸 出 品 は ミ ネ ラ ル ウ ォ ー タ ー 、 魚 類 、 金 、 砂 糖 、 衣 類 で 、 主 な 輸 入 品 は 機 械 ・ 輸 送 機 器 、 工 業 製 品 、 食 料 品 、 鉱 物 燃 料 、 化 学 品 で あ る 。 主 要 輸 出 先 国 は 英 国 、 オ ー ス ト ラ リ ア 、 米 国 、 ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド で 、 こ の 4 ヶ 国 で 輸 出 全 体 の 5 3% を 占 め る 。 主 な 輸 入 元 は 、 中 国 、 ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド 、 シ ン ガ ポ ー ル 、 オ ー ス ト ラ リ ア 、 日 本 で こ の 5 ヶ 国 で 全 体 の 7 5% を 占 め て い る (2 0 1 6 年 ) 。
[補 説]正 式 名 称 は 、M u l t i - F i b e r A r r a n g e m e n t R e g a r d i n g I n t e r n a t i o n a l T r a d e i n T e x t i l e s
( 繊 維 製 品 の 国 際 貿 易 に 関 す る 多 国 間 取 り 決 め ) 。h t t p s : / / k o t o b a n k . j p / w o r d / M F A - 4 4 6 5 8 0
1 0 フ ィ ジ ー 経 済 省 「5 - Y e a r & 2 0 - Y e a r N A T I O N A L D E V E L O P M E N T P L A N」 よ り
1 1 R N Z I / D e c . 7 , 1 7
図 1 - 4 フ ィ ジ ー の 輸 出 入 額 推 移
出 典 : 世 界 銀 行
< 気 候 変 動 環 境 対 策 >
2 0 1 6 年 2 月 、 フ ィ ジ ー 政 府 は 、1 5 年 1 2 月 パ リ で 開 催 さ れ た 1 9 5 ヵ 国 が 合 意 し た
気 候 変 動 に 関 す る 「 パ リ 協 定1 2」 を 世 界 で 初 め て 批 准 し た 。 フ ィ ジ ー は 2 0 3 0 年 ま で に 、 電 力 の 1 0 0% を 再 生 エ ネ ル ギ ー で 賄 い 、 先 進 国 か ら の 気 候 変 動 対 策 援 助 資 金 を 条 件 に エ ネ ル ギ ー 部 門 の 排 出 ガ ス を 3 0% 削 減 す る こ と を 約 束 し て い る1 3。
2 0 1 7 年 1 1 月 に ド イ ツ で 開 催 さ れ た 国 連 地 球 温 暖 化 対 策 会 議 (C O P 2 3) で は 、 フ ィ
ジ ー が 議 長 国 を 務 め た 。 米 国 が パ リ 協 定 か ら の 離 脱 を 表 明 し た こ と に 対 し て 、 世 界 の 気 候 変 動 対 策 推 進 に 経 済 大 国 の 資 金 力 を 期 待 し て い る バ イ ニ マ ラ マ 首 相 は 、 中 国 の 太 平 洋 地 域 で の 役 割 が 大 き く な る と み て い る 。 フ ィ ジ ー は 中 国 が 推 進 す る 2 0 1 7 年 5 月 の シ ル ク ロ ー ド 経 済 圏 構 想 ( 一 帯 一 路 ) 会 議 に 太 平 洋 島 嶼 国 か ら 唯 一 招 か れ た 国 で あ り 、 出 席 し た バ イ ニ マ ラ マ 首 相 は 習 近 平 主 席 お よ び 李 克 強 首 相 と 個 別 に 会 談 し て い る 。
ド イ ツ の C O P 2 3 で は 、 フ ィ ジ ー 政 府 と 世 銀 が 共 同 で 新 方 式 に よ る 災 害 評 価 調 査 を 発 表 し た が 、 そ れ に よ る と 2 0 5 0 年 ま で に フ ィ ジ ー の 災 害 に よ る 金 額 的 損 失 は 現 在 よ り も 約 5 0% 増 加 す る と い う 。 フ ィ ジ ー の 嵐 、 洪 水 、 サ イ ク ロ ン な ど の 損 害 は 約 2 億 4 , 5 0 0 万 米 ド ル に の ぼ る が 、 自 然 災 害 に よ る 貧 困 者 は 約 2 6 , 0 0 0 人 で あ り 、2 0 5 0 年 ま で に そ の 数 は 約 3 2 , 0 0 0 人 に 増 加 す る と 予 測 さ れ て い る1 4。
1 2 第2 1 回 気 候 変 動 枠 組 条 約 締 約 国 会 議 (C O P 2 1) が 開 催 さ れ た パ リ に お い て 、2 0 1 5 年1 2 月1 2 日 に 採 択 さ れ た 、 気 候 変 動 抑 制 に 関 す る 多 国 間 の 国 際 的 な 協 定 。2 0 1 6年 1 0 月 の 欧 州 連 合 の 批 准 に よ っ て 同 年1 1 月 に 発 効 す る こ と に な っ た 。2 0 1 6 年1 1 月 現 在 の 批 准 国 、 団 体 数 は 欧 州 連 合 を 含 め て1 1 0 で あ る 。2 0 1 7 年6月 に 世 界 2位 の 温 室 効 果 排 出 国 で あ る 米 国 が 協 定 か ら の 離 脱 を 表 明 し た 。
1 3 R N Z I / F e b . 1 7 , 1 6
1 4 R N Z I / N o v . 1 0 , 1 7 0
500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500
2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 100万米ドル
輸入 輸出
1 . 2 海 事 産 業 の 現 状 と 課 題 、 今 後 の 見 通 し 1 . 2 . 1 海 上 輸 送
< 管 轄 す る 政 府 機 関 >
フ ィ ジ ー で 海 上 輸 送 を 管 轄 し て い る 省 庁 は 、 社 会 基 盤 ・ 運 輸 省1 5(M i n i s t r y o f I n f ra s t ru c t u re & T ra n s p o r t、M o I T) で あ る 。 社 会 基 盤 ・ 運 輸 省 の 中 に は 、 海 上 輸 送 に 関 連 す る 政 策 の 実 施 並 び に 船 舶 の 登 録 及 び 規 定 の 執 行 を 実 施 す る フ ィ ジ ー 海 上 安 全 庁1 6(M a r i t i m e Sa f e t y Au t h o ri t y o f F i ji、M S A F) が あ る 。M S AF の 局 長 は フ ィ ジ ー 船 舶 登 録 官 も 兼 務 し て い る 。
フ ィ ジ ー 国 内 に お け る 船 舶 の 登 録 と 運 航 に 関 す る 政 府 法 令 は 2 0 1 3 年 海 上 輸 送 法
(M a ri ti m e T ra n s p o r t A c t 2 0 1 3) 及 び 2 0 1 3 年 船 舶 登 録 法 (Sh i p Re g i s t r a ti o n
A c t 2 0 1 3) に 定 め ら れ て お り 、M S A F は こ れ ら 法 令 も 管 理 し て い る 。
< 登 録 船 舶 >
フ ィ ジ ー で は 、 他 の 太 平 洋 島 嶼 国 よ り も 多 く の 国 際 船 便 や 国 内 船 便 が 利 用 で き 、 接 続 も 便 利 で あ る 。 大 部 分 の 島 で は 、 人 の 移 動 、 物 資 や 薬 、 他 の 必 需 品 の 輸 送 は 船 舶 に 依 存 し て い る 。 貨 物 輸 送 の 約 3 分 の 1 と 旅 客 輸 送 の 約 8 9 %が 首 都 の ス バ と 離 れ た 小 島 と の 間 の も の で あ る 。 こ れ ら の 小 さ な 島 々 に は 代 替 の 輸 送 手 段 は 存 在 し な い 。
フ ィ ジ ー に お け る 沿 岸 及 び 島 嶼 間 の 船 舶 輸 送 の 大 部 分 は 、 民 間 企 業 に よ っ て 運 営 さ れ て い る 。 民 間 企 業 が 所 有 す る 船 は 、 他 の 太 平 洋 諸 国 で 運 航 す る 船 舶 よ り も 大 型 で 高 度 な 設 備 を 持 つ も の が 多 く 、 ま た 大 半 の 船 が 貨 物 と 乗 客 の 両 方 を 積 載 し て い る 。
2 0 1 7 年 1 1 月 現 在 、M S AF に 登 録 さ れ て い る 長 さ 1 5 m 以 上 の 大 型 船 舶 は 1 9 4 隻 で 、
う ち 、 漁 船 が 5 8% 、3 0 0 総 ト ン 未 満 の 船 舶 が 8 5% を 占 め る 。 長 さ 1 5 m 未 満 の 小 型 船 の 登 録 は 1 , 5 0 1 隻 あ り 、 う ち 、 旅 客 船 が 6 5% 、 漁 船 が 2 6% を 占 め る 。 フ ィ ジ ー で は 手 漕 ぎ ボ ー ト 等 小 型 船 も M S A F へ の 登 録 義 務 が あ り 、 小 型 船 の 場 合 は 、 船 舶 登 録 時 に 船 長 の 登 録 を 行 う た め 、 船 長 は 登 録 船 の み 操 船 が 可 能 と な る 。 小 型 船 の 検 査 は 年 2 回 、 大 型 船 は 年 1 回 、M S A F の 検 査 員 が F I J I 国 内 登 録 船 全 て の 検 査 を 行 う 。
1 5 h t t p : / / w w w . m o i t . g o v . f j /
1 6 h t t p s : / / m s a f . c o m . f j /
図 1 - 5 大 型 船 (L≧1 5 m 以 上 ) の 登 録 隻 数 ( 合 計 1 9 4 隻 )
出 典 : フ ィ ジ ー 海 上 安 全 庁 (M S A F)
図 1 - 6 小 型 船 (L<1 5 m 未 満 ) の 用 途 別 登 録 隻 数 ( 合 計 1 5 0 1 隻 )
出 典 : フ ィ ジ ー 海 上 安 全 庁 (M S A F)
図 1 - 7 フ ィ ジ ー 登 録 の 内 航 貨 客 船 と 漁 船 漁船,
114隻, 59%
貨客船, 42隻,
21%
観光用船, 23隻, 12%
上陸艇, 15隻, 8%
19~99GT, 58隻, 30%
100~ 299GT, 107隻, 55%
300~499GT, 13隻, 7%
500~ 999GT, 5隻, 2%
1000~ 2999GT,
9隻, 5%
3000GT~, 2隻, 1%
旅客船, 969隻,
65%
漁船, 390隻,
26%
プレジャー ボート, 75 隻, 5%
その他, 67隻,
4%
用 途 サ イ ズ 別
I H S フ ェ ア プ レ ー 社 の W o r l d F l e e t S t a ti s t i c s 2 0 1 6 に よ る と 、 フ ィ ジ ー の 登 録 籍 船 は 1 1 9 隻 、 総 ト ン 数 は 5 4 , 7 5 5 GT と な っ て い る 。 そ の 内 訳 は 、 隻 数 ベ ー ス で は 漁 船 が 最 も 多 く 、 全 体 の 6 2% を 占 め る も の の 、 総 ト ン 数 ベ ー ス で は 漁 船 は 2 0% を 占 め る に 過 ぎ な い 。 一 方 で R O R O 船 は 隻 数 で は 1 4 %に 過 ぎ な い が 、 総 ト ン 数 ベ ー ス で は 全 体 の 4 8% を 占 め て い る 。1 隻 当 た り の 平 均 総 ト ン 数 を 単 純 計 算 す る と 、R O R O 船 が 約
1 , 5 0 0 G T、 そ の 他 の 貨 物 船 が 約 1 , 3 0 0 G T、 旅 客 船 が 約 1 , 2 0 0 G T で あ る の に 対 し 、 漁
船 は 約 1 8 0 G T で あ る 。
な お 、W o rl d F l e e t S t a ti s t i c s に 含 ま れ る の は 1 0 0 G T 以 上 の 鋼 製 自 航 船 で あ る 。 図 1 - 8 フ ィ ジ ー 籍 船 の 内 訳 (2 0 1 6 年 )
出 典 :W o r l d F l e e t S t a t i s t i c s 2 0 1 6よ り 作 成
< 主 要 海 運 会 社 >
社 会 基 盤 ・ 運 輸 省 下 の 政 府 系 企 業 、 政 府 海 運 サ ー ビ ス 社 (Go v e r n m e n t S h i p pi n g
Se r v i ce、G S S) は 所 有 し て い る 船 舶 が 9 隻 あ り 、1 9 9 2 年 に 日 本 が 供 与 し た 貨 客 船
(6 9 3 G T) の 他 、 上 陸 艇 、 漁 業 監 視 船 等 が あ る 。 貨 客 船 や 上 陸 艇 は 主 に 民 間 で は 利 益
が 出 な い 離 島 へ の 非 商 業 航 路 で 運 航 し て い る 。 こ れ ら 政 府 系 船 舶 の 調 達 は 、 現 在 、 援 助 で は な く 自 前 で 新 造 船 を 調 達 す る こ と を 原 則 と し て お り 、 最 近 は マ レ ー シ ア の 造 船 所 に 発 注 し て い る 。
内 航 海 運 会 社 に は 民 間 企 業 が 圧 倒 的 に 多 い が 、 そ の 大 半 が 1 - 2 隻 の R O R O 船 を 運 航 し て い る 。 民 間 で 離 島 な ど 非 商 業 航 路 を 運 航 す る 海 運 会 社 に 対 し て 、 政 府 は 船 舶 フ ラ ン チ ャ イ ズ 制 度 (F r a n ch i s e S h i p pi n g S c h e m e) を 導 入 し て 、 補 助 金 を 拠 出 し て い る 。 補 助 金 を 受 け る に あ た っ て は 、 仕 向 け 地 と 航 行 回 数 、 輸 送 し た 貨 物 量 や 旅 客 数 が 考 慮 さ
れ 、1 - 2 年 の 実 績 に 応 じ て 、 更 新 さ れ る よ う で あ る 。
漁船 62%
RORO船 14%
その他の 貨物船
9%
タグなど 8%
旅客船 5%
オフショア船
1% タンカー
1%
RORO船 39%
その他 の貨物
船 23%
漁船 20%
旅客船 12%
タグなど 5%
タンカー
1% オフショア船
0%
隻 数 ベ ー ス 総 ト ン 数
ベ ー ス
表 1 - 3 大 型 船 (L > 1 5 m 以 上 ) を 3 隻 以 上 所 有 す る 船 主
社 名 船 種 所 有 隻 数
G o v e r n m e n t S h i p p i n g S e r v i c e1 7 貨 客 船 、 上 陸 艇 9 隻 S o u t h S e a C r u i s e s L t d1 8 観 光 船 5 隻 C a p t a i n C o o k C r u i s e F i j i1 9 観 光 船 4 隻
G o u n d e r S h i p p i n g L t d2 0 貨 客 船 3 隻
出 典 : フ ィ ジ ー 海 上 安 全 庁 (M S A F)
表 1 - 4 フ ィ ジ ー の 他 の 海 運 会 社
社 名 所 有 船 舶 航 路
B l i g h W a t e r S h i p p i n g L t d 小 型 ク ル ー ズ 船 S u v a t o V a n u a b a l a v u / C i c i a B l u e L a g o o n C r u i s e s2 1 小 型 ク ル ー ズ 船
C o n s o r t S h i p p i n g L i n e L t d 貨 客 船 S u v a t o K o r o I s l a n d , S a v u s a v u T a v e u n i a n d L a b a s a
F i j i S e a r o a d S e r v i c e2 2 R O R O 船
I n t e r l i n k S h i p p i n g L i n e L i m i t e d2 3 内 航 フ ェ リ ー b e t w e e n t h e i s l a n d s o f V i t i L e v u a n d V a n u a L e v u P a t t e r s o n B r o t h e r s S h i p p i n g2 4 R O R O 船 S u v a / L e v u k a / S u v a ,
S u v a / N a t o v i / N a b o u w a l u / L a b a s a S h i p p i n g S e r v i c e s ( F i j i ) L i m i t e d2 5 n . a . M a e r s k L i n e の 船 舶 代 理 店
S o l a n d e r ( P a c i f i c ) L t d2 6 1 3 隻 の 延 縄 漁 船 オ フ シ ョ ア 漁 業 V a n u a V a l e s a s a T r a n s p o r t
C o m p a n y2 7 貨 客 船 S u b a t o B a b a c e v a i n K a d a v u V e n u S h i p p i n g L i m i t e d2 8 客 船 N a r a i n s W h a r f , S u v a t o
K a d a v u a n d S a v u s a v u
V i c t o r i a M a r i n e L i m i t e d 貨 客 船 S u b a t o N o r t h e r n L a u / C i k o b i a i n V a n u a L e v u
1 7 w w w . g o v e r n m e n t s h i p p i n g . g o v . f j /
1 8 h t t p s : / / w w w . s s c . c o m . f j /
1 9 h t t p s : / / w w w . c a p t a i n c o o k c r u i s e s f i j i . c o m /
2 0 g o u n d a r s h i p p i n g . c o m /
2 1 h t t p : / / w w w . b l u e l a g o o n c r u i s e s . c o m /
2 2 h t t p : / / w w w . f i j i s e a r o a d . c o m /
2 3 w w w . i n t e r l i n k s h i p p i n g . c o m . f j /
2 4 w w w . f i j i . t r a v e l / u s / t r a n s p o r t / p a t t e r s o n - b r o t h e r s - s h i p p i n g
2 5 s h i p p i n g s e r v i c e s f i j i . c o m /
2 6 h t t p : / / s o l a n d e r . c o m . f j /
2 7 h t t p s : / / w w w . f a c e b o o k . c o m / V a l e s a s a T r a n s p o r t a t i o n L t d
2 8 h t t p : / / w w w . f i j i . t r a v e l / u s / t r a n s p o r t / v e n u - s h i p p i n g - l i m i t e d
< 観 光 ク ル ー ズ >
フ ィ ジ ー の 海 運 業 は 太 平 洋 諸 国 の 中 で も 独 特 で あ り 、 観 光 の た め の ク ル ー ズ 船 を 数 多 く 所 有 し て い る 。 長 さ 6 5 m の 宿 泊 施 設 を 有 し た 船 舶 か ら 長 さ 1 5 m の 双 胴 型 モ ー タ ー ボ ー ト ま で 、 様 々 な 観 光 用 客 船 や ク ル ー ズ 船 が あ る 。 フ ィ ジ ー の ク ル ー ズ 取 扱 企 業 に は 、 キ ャ プ テ ン ク ッ ク ・ ク ル ー ズ 社 (C a p ta i n Co o k C r u i s e s) 、 ブ ル ー ラ グ ー ン ・ ク ル ー ズ 社 (B l u e L a g o o n C ru i s e s) 、 サ ウ ス ・ シ ー ク ル ー ズ 社 (So u t h S e a C r u i s e s) な ど が あ る 。 い ず れ も ヴ ィ チ ・ レ ブ 本 島 の 北 部 を 拠 点 に 1~7 泊 の ダ イ ビ ン グ ス ポ ッ ト あ る い は マ マ ヌ カ 島 、 ヤ サ ワ 島 と い っ た 近 く の 島 へ の 周 遊 観 光 を 催 行 し て い る 。
< 海 洋 協 力 セ ン タ ー >
フ ィ ジ ー を 本 部 と す る 海 洋 協 力 セ ン タ ー (M a ri t i m e C o o p e ra t i o n C e n t r e) が 設 立 さ れ 、 太 平 洋 を 航 海 す る 船 舶 に 対 し て 膨 大 な 排 出 ガ ス を 削 減 す る よ う 求 め て い る 。 太 平 洋 共 同 体2 9(So u t h P a c i f i c Co o p e ra ti o n : S P C) は 、 地 域 で 最 大 の 排 出 ガ ス 物 体 は 老 朽 化 し た 船 舶 だ と し て い る 。S P C は 新 機 関 の 活 動 は 国 際 ネ ッ ト ワ ー ク の 一 環 で あ り 、 船 舶 企 業 に 炭 酸 ガ ス 排 出 に 対 す る 意 識 を 持 ち 、 排 出 ガ ス 削 減 技 術 開 発 促 進 を 啓 発 し て い く と し て い る 。 た だ 、 新 技 術 機 器 を 備 え た 船 舶 を 運 航 す る に は 島 嶼 国 の 小 さ な 船 舶 会 社 に と っ て 高 価 す ぎ る の が 難 題 で あ る3 0。
1 . 2 . 2 造 修 繕 業
フ ィ ジ ー で 大 型 船 舶 を 建 造 で き る 造 船 所 は な い が 、 特 筆 す べ き 船 舶 修 繕 会 社 は 、 フ ィ ジ ー 港 湾 公 社 (F i ji P o r t Co r p o r a ti o n L i m i t e d : F P C L) の 子 会 社 で あ る フ ィ ジ ー 船 舶 重 工 業 (F i ji S h i ps a n d H e a v y I n d u s t ri e s L t d: F S H I L) で あ る 。 首 都 ス バ に 所 在 す る 同 社 の 中 核 事 業 は 、1 , 0 0 0 t、5 0 0 t、2 0 0 t の 積 載 能 力 を も つ 3 つ の 船 台 を 活 用 し た 修 繕 事 業 で あ る 。 機 械 的 及 び 構 造 的 修 理 は す べ て 現 場 で で き る よ う に な っ て お り 、 国 際 基 準 に 合 致 し た 塗 装 や ブ ラ ス テ ィ ン グ も 可 能 で あ る 。 ま た 、 漁 船 の 整 備 点 検 の た め 、 国 内 船 だ け で な く 外 国 籍 の 漁 船 も 対 象 と し て い る 。 観 光 客 船 の 一 部 は F S H I L で サ ー ビ ス を 受 け 、 他 の 船 は オ ー ス ト ラ リ ア の ケ ア ン ズ に 送 ら れ て い る 。
ス バ に は F S H I L の 他 、3 0 0 0 総 ト ン ま で の 船 舶 修 繕 が 可 能 な 浮 き ド ッ ク を 有 す る イ ン ダ ス ト リ ア ル & マ リ ン ・ エ ン ジ ニ ア リ ン グ 社 3 1( I n d u s t r i a l a n d M a ri n e
E n gi n e e r i n g L t d、I M E L) 、1 0 0 総 ト ン ま で の 船 舶 修 繕 が 可 能 な 船 台 を 有 す る マ リ
ン ・ イ ン ダ ス ト リ ア ル & ス ト ラ ク チ ャ ル ・ エ ン ジ ニ ア リ ン グ 社 (M a r i n e I n d u s t r i a l a n d S t r u c t u ra l En gi n e e ri n g L i m i te d、M I S E L) が あ る 。 他 に 、 ア ル ミ 製 ま た は フ ァ イ バ ー グ ラ ス 製 の 小 型 ボ ー ト を 建 造 で き る 民 間 会 社 が 1 0 社 以 上 存 在 す る 。
2 9 1 9 9 8 年2月 に 南 太 平 洋 委 員 会 を 発 展 的 に 拡 大 し た 、 太 平 洋 の 島 嶼 国 を 中 心 と す る 地 域 協 力 機 構 で あ
る 。 加 盟 国 は 南 太 平 洋 委 員 会 の 加 盟 国 が そ の ま ま 引 き 継 が れ た 形 と な っ た 。
3 0 R N Z I / D e c . 1 8
3 1 同 社 の 親 会 社 C a r p e n t e r F i j i G r o u p は マ レ ー シ ア の 複 合 企 業M B f H o l d i n g s B e r h a d の 傘 下 企 業 と な る 。
表 1 - 5 フ ィ ジ ー の 主 要 船 舶 修 繕 所
社 名 所 在 地 事 業 内 容
F i j i S h i p s & H e a v y I n d u s t r i e s L t d
( F S H I L )3 2 W a l u B a y , S u v a 船 舶 修 繕 、 改 装 、 改 良 、 エ ン ジ ニ ア リ ン グ
I n d u s t r i a l & M a r i n e E n g i n e e r i n g L t d
( I M E L )3 3 W a l u B a y , S u v a 船 舶 修 繕 、 鋼 材 組 立 、 板 金 、 エ ン ジ ニ ア リ ン グ
M a r i n e I n d u s t r i a l a n d S t r u c t u r a l
E n g i n e e r i n g L i m i t e d ( M I S E L )3 4 W a l u B a y , S u v a 船 舶 修 繕 、 鋼 材 組 立 、 板 金 、 舶 用 エ ン ジ ン サ ー ビ ス
出 典 : 各 社 ウ ェ ブ サ イ ト
図 1 - 9 I M E L 社 の 浮 き ド ッ ク
出 典 :I M E L 社 ウ ェ ブ サ イ ト
図 1 - 1 0 M I S E L 社 の 船 台
出 典 :M I S E L社 ウ ェ ブ サ イ ト
3 2 w w w . f i j i p o r t s . c o m . f j / f i j i - s h i p s - h e a v y - i n d u s t r i e s - l t d /
3 3 h t t p s : / / w w w . c a r p e n t e r s . c o m . f j / s u b s i d i a r y / i m e l /
3 4 h t t p : / / w w w . m i s e n g i n e e r i n g l t d . c o m / H o m e . p h p
表 1 - 6 フ ィ ジ ー の 小 型 ボ ー ト 建 造 所
社 名 所 在 地 ボ ー ト タ イ プ
A d v e n t u r e M a r i n e L t d3 5 V e i t a r i , L a u t o k a F R P ボ ー ト B l u e w a t e r C r a f t3 6 N a v u a , C e n t r a l ア ル ミ ボ ー ト C o b r a B o a t s & M a r i n e E n g i n e e r i n g3 7 W a i l o a l o a , N a d i ア ル ミ ボ ー ト T h e F i b r e g l a s s S h o p3 8 L a m i , S u v a F R P ボ ー ト H a m m e r h e a d A l u m i n u m B o a t s L t d3 9 W a i l a d a , L a m i ア ル ミ ボ ー ト I n t e g r a t e d W e l d i n g I n d u s t r i e s4 0 W a l u B a y , S u v a ア ル ミ ボ ー ト L a l ' s B o a t B u i l d i n g C o V e l o v e l o , L a u t o k a F R P ボ ー ト S a f e w a y M a r i n e F i j i L t d4 1 V a t u w a q , S u v a F R P ボ ー ト S i l v e r w a t e r F i b e r g l a s s B o a t s & P r o d u c t s4 2 N a u s o r i , C e n t r a l F R P ボ ー ト
出 典 : 各 社 ウ ェ ブ サ イ ト
< フ ィ ジ ー 船 舶 重 工 業 >
同 社 は か つ て 1 0 0 %国 有 で あ っ た が 、2 0 1 5 年 1 1 月 に 民 営 化 さ れ 、 社 名 が フ ィ ジ ー ・ シ ッ プ ビ ル デ ィ ン グ ・ コ ー ポ レ ー シ ョ ン (F i j i S h i p b u i l d i n g C o r p o r a t i o n L t d、 F S C) か ら 現 社 名 の フ ィ ジ ー 船 舶 重 工 業 (F i j i S h i p s & H e a v y I n d u s t ri e s L t d、
F S H I L) に 変 更 さ れ た 。 以 前 、1 9 9 5 年 頃 ま で F S H I L の 前 身 の 国 営 造 船 所 は 、 長 さ
9 0 m ま で の あ ら ゆ る タ イ プ の 鋼 船 と ア ル ミ 船 を 建 造 す る 能 力 を 有 し 、1 9 3 0 年 代 か ら
1 0 0 隻 以 上 の 船 を 建 造 し て き た 。2 0 0 9 年 に フ ィ ジ ー ・ ポ ー ツ ・ コ ー ポ レ ー シ ョ ン
( FP C L )に 買 収 さ れ 、F P CL の 1 0 0% 子 会 社 と な っ た 。2 0 1 5 年 に フ ィ ジ ー 政 府 が
F P CL の 持 ち 株 3 9% を フ ィ ジ ー 国 家 年 金 基 金 (F i j i N a t i o n a l P r o v i de n t F u n d –
F N P F) 、2 0% を ス リ ラ ン カ の 複 合 企 業 Ai t k e n S p e n c e グ ル ー プ に 売 却 し 、 民 営 化
さ れ た 。2 0 1 7 年 1 1 月 現 在 、 新 造 船 の 建 造 に は 携 わ っ て い な い が 、 旧 国 営 造 船 所 が 建 造 し て い た 造 船 所 跡 地 を 活 用 し た 新 造 船 活 動 再 開 の 構 想 が あ る 。 改 修 コ ス ト は 4 , 0 0 0 万 フ ィ ジ ー ド ル と 見 込 ん で い る 。 本 計 画 は 、 以 前 、J I C A の 援 助 で 実 施 し よ う と し て 進 め て い た 経 緯 が あ っ た が 、 会 社 が 民 営 化 す る こ と と な っ た た め に 、J I C A の 計 画 は 頓 挫 し た も の で あ る 。
表 1 - 7 F S H I L 社 の 船 台
船 台 能 力 2 0 0 ト ン 5 0 0 ト ン 1 , 0 0 0 ト ン
対 応 で き る 船 舶 長 さ 2 3 m 4 6 m 6 5 m
対 応 で き る 船 舶 船 幅 7 m 1 1 m 1 3 m
出 典 : フ ィ ジ ー 船 舶 重 工 社 ウ ェ ブ サ イ ト
3 5 h t t p s : / / w w w . f a c e b o o k . c o m / a d v e n t u r e m a r i n e /
3 6 w w w . b l u e w a t e r c r a f t . n e t /
3 7 h t t p : / / w w w . m a r i n e p o w e r c o b r a b o a t s . c o m /
3 8 h t t p s : / / w w w . f a c e b o o k . c o m / T h e - F i b r e g l a s s - S h o p - 1 5 7 7 7 1 3 6 6 9 1 5 2 7 9 4 /
3 9 h t t p : / / h a m m e r h e a d b o a t s f i j i . c o m / i n d e x . h t m l
4 0 h t t p s : / / w w w . f a c e b o o k . c o m / I W I . B o a t s . T r a i l e r s /
4 1 h t t p : / / s a f e w a y . c o m . f j /
4 2 h t t p s : / / w w w . f a c e b o o k . c o m / S i l v e r w a t e r s - F i b r e g l a s s - F i j i - 1 5 3 1 2 0 1 8 7 7 1 8 3 1 4 0 /
図 1 - 1 1 F S H I L 社 の 船 台
出 典 :F S H I L 社 ウ ェ ブ サ イ ト
2 0 1 5 年 に は 1 3 5 隻 が 船 台 を 使 用 し 、 そ の 内 訳 は 2 0 0 ト ン 船 台 が 7 隻 で 5% 、5 0 0
ト ン 船 台 が 5 9 隻 で 4 4% 、1 , 0 0 0 ト ン 船 台 が 6 9 隻 で 6 9% を 占 め た 。2 0 1 6 年 の 船 台 利 用 隻 数 は 2 0 0 ト ン 船 台 が 1 5 隻 で 1 0% 、5 0 0 ト ン 船 台 が 6 3 隻 で 4 3% 、1 0 0 0 ト ン 船 台 利 用 が 6 9 隻 で 4 7% を 占 め た 。 船 台 別 の 収 益 は 、1 , 0 0 0 ト ン 船 台 が 6 1 4 , 3 5 1 フ ィ ジ ー ド ル で 船 台 収 益 全 体 の 5 7% を 占 め た 。
図 1 - 1 2 F S H I L の 船 台 使 用 比 率 及 び 船 台 別 収 入 内 訳 (2 0 1 6 年 )
出 典 :F i j i P o r t s C o r p o r a t i o n L i m i t e d
図 1 - 1 3 旧 国 営 造 船 所 が 新 造 船 建 造 し て い た 造 船 所 跡 地 200T
10%
500T 43%
1000T 47%
200T, F$48,825
500T, F$408,825 1000T,
F$614,351
< ハ ン マ ー ヘ ッ ド ・ ア ル ミ ニ ウ ム ・ ボ ー ツ >
ハ ン マ ー ヘ ッ ド ・ ア ル ミ ニ ウ ム ・ ボ ー ツ 社 (Hammerhead Aluminium Boats Ltd) は 、16 名 の フ ィ ジ ー 人 で ア ル ミ 船 を 年 間 数 隻 ~ 十 数 隻 建 造 し て い る 。 建 造 し て い る ア ル ミ 船 の 8 割 は 海 外 輸 出 向 け で 、 残 り は フ ィ ジ ー 国 内 向 け 。 こ れ ま で 、 ア ル ミ 船 を ソ ロ モ ン 諸 島 、 キ リ バ ス 、 マ ー シ ャ ル 諸 島 、 パ プ ア ニ ュ ー ギ ニ ア 、 サ モ ア 、 ト ン ガ に 輸 出 し た 実 績 が あ る 。 最 近 、 ツ バ ル 政 府 か ら も 5 艘 の ア ル ミ ボ ー ト の 発 注 が あ り 、2017 年 1 1 月 の 訪 問 時 に 建 造 中 で あ っ た 。 建 造 し て い る ツ バ ル 向 け ア ル ミ ボ ー ト 5 隻 ( 船 外 機 付 き )
は 、5 隻 で 83,000AUD( 約 730 万 円 ) 、 契 約 か ら 引 き 渡 し ま で 約 1.5 か 月 。 キ リ バ ス
に は ア ル ミ 製 上 陸 艇 10 隻 を 民 間 企 業 に 納 入 し た 。 フ ィ ジ ー で は 法 人 税 が 20% だ が 、 輸 出 品 に つ い て は 収 入 に か か る 税 率 が 半 分 の 10%と な る た め 、 輸 出 品 を 多 く 作 っ た 方 が 利 益 が 上 が る と の こ と で あ る 。 ま た 、 輸 出 に は 為 替 交 換 レ ー ト が 有 利 (1USD=2.2FJ D,
1AUD=1. 5FJD) で あ り 、 人 件 費 が 安 い た め 、 海 外 の 価 格 競 争 力 が あ り 、 海 外 か ら 多 く
受 注 出 来 て い る も の 。 こ れ ま で 単 胴 の ア ル ミ ボ ー ト の み な ら ず 、 水 先 案 内(pilot)船 、 カ タ マ ラ ン 、 上 陸 艇 等 様 々 な ア ル ミ 船 を 建 造 し て き た 。 建 造 後 は 海 ま で 道 路 輸 送 を 行 う が 、 道 路 事 情 の 都 合 で 建 造 可 能 な サ イ ズ は 15m が 最 大 と な っ て い る 。
材 料 の ア ル ミ 板 に つ い て は シ ン ガ ポ ー ル か ら 調 達 し て い る 。 オ ー ス ト ラ リ ア の 小 型 船 基 準 に 則 っ て 建 造 し て お り 、 完 成 時 に は 、 検 査 官 に よ る 検 査 を 受 け る 。 設 計 は 、 代 表 取 締 役 の An to n L e e 氏 が 行 う 。 フ ィ ジ ー に は 造 船 技 師 は ほ と ん ど い な い 。 ア ル ミ ボ ー ト の 輸 出 の 場 合 に は 、 コ ン テ ナ に つ め て 輸 出 す る こ と が 多 い が 、 輸 送 費 が 嵩 む の が 課 題 と な っ て い る 。 ツ バ ル や キ リ バ ス の 場 合 は 、 当 該 国 船 が フ ィ ジ ー に ド ッ ク 入 り 等 で ス バ に 来 た 際 に 積 ん で 持 っ て い て も ら う こ と も あ る 。
図 1 - 1 4 ハ ン マ ー ヘ ッ ド ・ ア ル ミ ニ ウ ム ・ ボ ー ツ 社
1 . 2 . 3 港 湾 設 備
フィジーの港湾はフィジー港湾公社4 3(Fiji Ports Corporation Ltd: FPCL)とフィ ジー道路局4 4(Fiji Roads Authority: FRA)等によって管理されている。フィジー政府 主導の官民連携(PPP)合意の下、FPCL の子会社でスバ港のターミナル管理を行う Fiji
Ports Terminal Limited(FPTL) は 、 ス リ ラ ン カ 企 業 Aitken Spence PLC(AS
PLC)社 51%出資、49%FPCL 社出資となり、ターミナル運営が大幅に改善された。こ
れを受けて、元来 100%フィジー政府系企業であった FPCL 社についても民営化を進める
べきということとなり、2015 年 11 月 に民間資本を受け入れることを決定した。現在 の
FPCL 社 の 資 本 比 率 は 、 フ ィ ジ ー 政 府 41%、 フ ィ ジ ー の 国 家 年 金 基 金 (Fiji National
Provident Fund – FNPF)4 5 39%、スリランカ企業(Aitken Spence PLC)20%とな
っ て い る 。FPCL は 国 際 港 湾 協 会 の メ ン バ ー で あ る と 同 時 に 南 太 平 洋 港 湾 協 会 (South
Pacific Ports Association)の事務局である。この他、3 つの船台を持ち、船舶修繕を行
っているフィジー船舶重工業(FSHIL)も FPCL の子会社となっている。
FPCL はフィジー最大のスパ港のキングス埠頭、ラウトカ港のクイーンズ埠頭を運営す
る他、オブラウ島のレブカ港を所有、運営している。そのほか、他の企業が所有するバヌ アレブ島のランバサ港マラウ埠頭、ロトゥマ島のロトゥマ港、バヌアレブ島のナンボウワ
ル港ワリキ埠頭、ビチレブ島のヴダ港についても運営と ISPS 要件の監督を行っている。
スバ港については、現在、専門家によるインフラの総点検を実施し、設備の劣化等の不具 合個所が指摘されてきているので、この改修を順次実施していくことになっている。
一 方 、F R A の 管 轄 下 に あ る 埠 頭 に は 、 ナ ト ヴ ィ ( N a to vi ) と ナ ボ ワ ル
(N a b o u w a l u) の 桟 橋 な ど 4 7 箇 所 の 国 内 桟 橋 と 埠 頭 が あ り 、 中 東 部 に 3 0 箇 所 、 西
部 に 4 箇 所 、 北 部 に 1 3 箇 所 所 在 す る 。 税 関 手 続 き 、 入 国 手 続 き 及 び 検 疫 施 設 は 各 港 に 整 っ て い る4 6。
F P CL と そ の 子 会 社 で あ る フ ィ ジ ー 船 舶 重 工 業 ( F i j i S h i ps a n d H e a v y
I n d u s t r i e s L t d) は 、2 0 1 6 年 に 連 結 決 算 で 税 引 き 後 利 益 2 , 6 3 0 万 フ ィ ジ ー ド ル を 計 上 し た 。 こ れ は 対 前 年 比 9 3% 増 と な り 、F P C L は 1 , 6 0 8 万 ド ル の 株 主 配 当 と 合 計
2 5 . 6 万 フ ィ ジ ー ド ル の 従 業 員 へ の 業 績 賞 与 を 支 払 う こ と が で き た4 7。
< ス バ 港 >
ス バ 港4 8は 取 扱 コ ン テ ナ 数 に お い て 国 内 最 大 の 港 で あ る 。 同 港 は F P C L が 所 有 し 、 キ ン グ ズ 埠 頭 の 貨 物 取 扱 い は 同 社 子 会 社 の フ ィ ジ ー ・ タ ー ミ ナ ル 社 (F i j i T e r m i n a l L i m i t e d、F T L) が 行 っ て い る 。
同 港 は 天 然 の 良 港 で あ り 、 在 来 船 が 入 港 す る に あ た り 、 船 舶 の 長 さ や 喫 水 に 関 す る 制 約 が な く 、 ま た 、 近 代 的 な 貨 物 取 扱 設 備 が 整 備 さ れ 、 処 理 時 間 が 短 く 、 貨 物 取 扱 い が 効 率 的 で 上 質 の サ ー ビ ス を 提 供 し て い る 。
4 3 h t t p : / / w w w . f i j i p o r t s . c o m . f j / f p c l /
4 4 w w w . f i j i r o a d s . o r g /
4 5 h t t p s : / / m y f n p f . c o m . f j /
4 6 1 9 J u l y 2 0 1 7、F i j i T i m e s及 び 1 8 O c t o b e r 2 0 1 7、F i j i T i m e s
4 7 2 6 O c t o b e r 2 0 1 7、F i j i T i m e s
4 8 h t t p : / / w w w . f i j i p o r t s . c o m . f j / p o r t - o f - s u v a /