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九州大学学術情報リポジトリ

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

デッドビート特性を用いるディジタル制御固有の線 形制御則に関する研究

清田, 高徳

https://doi.org/10.11501/3088215

出版情報:Kyushu University, 1991, 博士(工学), 論文博士 バージョン:

権利関係:

(2)

第7章 1型デッドビートサーボ系の設計法

7.1 まえがき

本章では, 有限時間でステッブ状外乱を抑制し出力をステップ状目標値に 整定させる1型デ、ッドビートサーボ系の設計法について述べる.

第7.2節では, 問題の設定を行う. 第7.3節では, 1型サーボ系の一般構 成について簡単に述べる. 第7.4節では, 偏差系が可到達かっ可観測で、ある ことを示す. 第7.5節では, 1型デッドビートサーボ系の一般形と整定時間 について述べる. まず, 偏差系のフィードバック系のシステム行列が相似とな

り得るすべてのベキ零ジヨルダン行列を求める相補的な二つの定理を導く.

これらの定理を用いれば, 1型デ、ッドビートサーボ系の一般形を求めることが できる. さらに,偏差系の可到達指数の族や最短整定時間についての考察を行う.

7.2 問題の設定

制御対象として, 第4章と同じ, 外乱を含む次の可到達かっ可観測な多入 力多出力線形定常テ守ィジタル制御系を考える.

x(t + 1) = Ax(t) + Bu(t) + d (7.1 )

y(t) = Cx(t) (7.2)

また,

rank B = m (7.3)

rank C = r (7.4)

とす る. なお, Aの正則性は仮定しない.

さらに, 第3章の[補題3. 1 ] と同様に, 制御対象の可到達指数の族を

nl +・・・+nmニη n :三nl :::三・・・> nmど1

(7.5) (7.6)

(3)

とする.

[定義7. 1] 制御対象に対し, 次のようなη個の零または正の整数を定 義する.

αi=日比B=m (7.7)

α� = rank [B AB AJー1B]

-rank [B AB ... AJ-2B] (j = 2,・・・,n) (7.8)

明らかに,

αi+・・・+α;1=n m=α?三・・・さα;1>O

(7.9) (7.10)

であり, J三n1 + 1ならばαj=0となる. なお, (η1, . ・川m)と(α1・・・341)の 関係は, 第6章のレギュレータの場合と同じである.

7.3 1型サーボ系の一般構成

式(7.21),(7.2)の制御対象に対する1型サーボ系の構成は, 第4. 2節と同じ であるので, ここでは簡単に述べる.

制御対象のr x 1ステッブ状目標値Ydがt= 0で与えられたとする. この とき, r x 1追従誤差e(t)は,

e(t) = y(t) -Yd (7.11)

となる. また, 1型サーボ系の構成条件は I A-In Bl

であり,

rank

I I

= n +ァ(行最大階数)

I C 0 I

r < m

となる. さらに, 拡大系は,

文(t +1)=A文(t) + Bu(t) + d

(7.12)

(7.13)

(7.14)

(4)

となる. ここで, 各行列は第4. 2節と同じとする.

次に, 拡大系の状態フィード、バックを

u(t) = K1x(t) + K2w(t) (7.15)

とする. ここで, m xη行列K1とm X r行列K2が設計パラメータである.

このとき,

K = [K1 K2] (7.16)

とおくと, 式(7.15)は

u(t) = K文(t) (7.17)

となる.

さらに, dの影響を除くために拡大系の偏差系が用いられるが, ここでは,

lステップごとの偏差を用いる. すなわち, 新しい状態の偏差会(t) と入力の 偏差白(t)をそれぞれ

会(t)=文(t+ 1)一文(t) 合(t)= u(t + 1) - u(t) とおくと,

全(t+1)=A念(t)+ Bû(t) 合(t)= K念(t)

を得る. このとき, 第4章の式(4.19)と同様に e(t) = [0 Ir] z(t) = C会(t) となり, 追従誤差e(t) は偏差系の出力となる.

7.4 偏差系の可到達性と可観測性

(7.18) (7.19)

(7.20) (7.21)

(7.22)

初めに, 偏差系の可観測性について調べる. 偏差系の可観測性行列の階数 を求めると,

C CA

rank I

。Ân+r-l

C Ir

= rank

I

CA + C Ir

(5)

= rank

Thoo

oc u

CAn+r-2 0

= n+ r (7.23)

となる. よって, 偏差系は可観測である.

次に, 偏差系の可到達性について調べる.

H(f) = [:8 ÄB ... Âfー1:8]

[

B AB

|

o CB ... CAf-2B +・・・+CB

I

= H1H2(f)H3(f) (7.24)

なる(n+r)xmf行列を考える. ここで,

可ム) 今ム ヴt

るな

ム」

T

+ η H

斗J9 1|」姐 O

TM

I 淵 o

B

O -

B

L m

m m o

到 一 C

1 1

3

・ ・

・ 一 口

A Illi----l引

「IL

-- 一一 切

= か

ハυ 封 H

H

H 偏 きりとよの件こ条のる性

であ達 到

(7.25)

rank H1 =η+r (7.26)

(7.27) rank H2 (n + r) = n + m

である. 明らかにH3(f)は常に正則であるから,

rank H(n + r) = rank H1H2(n + r) (7.28) が成り立つ. ここで, Sylvesterの不等式より,

rank H1 + rank H2(n + r) - (n + m)三 rank H1H2(n +ァ) ::; min(rar

(6)

が成立するから,

rank H(n + 1') = n +ア (7.30)

となる. よって, 偏差系は可到達である.

7.5 1型デッドビートサーボ系の一般形と整定時間

前章より, 式(7.20)と(7.22)で表わされる偏差系は可到達かっ可観測である から, 式(7.21)の偏差系の状態フィードバックにより会(t)を有限時間で零に 整定させることができる. なお, 1型デ、ッドビートサーボ系の目的は, 有限 時間で追従誤差e(t)を零に整定させることである. しかし, 偏差系は可観測 であるから, 偏差系の状態念(t)のすべてのモードは偏差系の出力e(t) に現れ る. そこで, 第4章でも述べたように, 制御対象が連続時間系からサンプリ ングにより 求められた場合も考えると, サンプル点聞の応答もデッドビート させるためには偏差系の出力e(t)だけではなく状態針。も整定させることが 望ましい. よって, 1型デ、ッドビートサーボ系の設計問題は, 偏差系の フィー ドバック系

念(t+ 1) = (A + BK)念(t) (7.31)

を考え, λ+ÎfKのすべての固有値を零に配置する偏差系のデ、ッドビートレ ギュレータを求める問題に変換される.

式(7.21)が偏差系のテ守ツドビートレギュレータ であるための必要十分条件 は, フィード、バック系のシステム行列A+BKが適当な (n+1')x(η+1')ベキ 零ジヨルダン行列に相似となることである. そこで, 互いに相似でないすべ てのい+1')x (n+1')ベキ零ジヨルダン行列の集合貨を偏差系の代表元系と呼 ぶ. なお, 偏差系の代表元系況の任意の元をJ, J のベキ零ジヨルダン細胞

(以後, 細胞と呼ぶ)の数をq, jの細胞の次数を順序付して

Pl+・・・+ 九=n+γ n+1'三点1三・・・三九三1

(7.32) (7.33)

とする. さらに, A+BK が相似となり得るすべてのjの集合介(代表元系 況の部分集合)を偏差系の解代表元系と呼ぶ.

偏差系は可到達でありBは最大階数mを持つので, 一意的に定まる偏差

(7)

系の可到達指数の族がm個存在する. この不変量を順序付けして

ぬ1+・・・+nm=n+γ (7.34)

n + r �三n1ど・・・;三合mど1 (7.35)

とする. さらに, 偏差系の式(7.20)は第4章の式(4.20)と同じであり, [補題4.

1 ]と同様に, 適当な座標変換

主(t)= SlZ(t) (7.36)

合(t)= S2Ü(t) (7.37)

により, 次のLuenbergerの可到達正準形に変換することができる.

z(t + 1) = (Jo + EA�)z(t) + Ëü(t) (7.38) ここで, 各行列は第4章の[補題4. 1 ]と同じとする.

式(7.38)を用いれば, 偏差系のデ、ッドビートレギュレータの長は次のよう に表わされる.

ここで,

ま=82(FG-1-Aづ51-1 m x (n+r)行列 Fと(η+r)x(n+ァ)行列 Gは

合1Jn1 F=

G=

合2Jn2 vmJTtm

V1 V1J V1jitt-1

Vm '‘

やmJ合m-1

(7.39) それぞれ

(7.40)

(7.41)

となる. ここで, Vj(j = 1, . . . , m)は, フィード、バック系の極CÂ+Bまの唯一 の固有値零)に無関係な1 x (n+r)設計パラメータベクトルである.

(8)

[定義7.2 ] jに対して, 次のような(n+ r)個の零または正の整数を定 義する.

内=rank JJー1- rank jj (7.42)

ここで, Jは正の整数とする. このとき, Jに含まれるj次の細胞の数は 内一&j+1 となる. なお, J = Joのときの向を特別に&?とする.

[定義7.3] 細胞の次数点はq個しか存在しないが, 統一的に取り扱う ためqくt三n+rなるtに対してふ=0とおき, n+ r個のふを導入する.

1型デ、ッドビートサーボ系の設計問題は, 偏差系のデ、ッドビートレギュレー タの設計問題に変換されたので, 次の二つの定理が成り立つ.

[定理7. 1 ] 制御対象が与えられると, n+ァ個の零または正の整数の組 (&�,. .・34+T)が求まる. このとき, Jが解代表元系決*の元であるための必要 十分条件は, 次のようになる.

&1+・・・+九+r= n + r (7.43)

mさ&1さ・・・さan+rどo (7.44)

&1+・・・+&3 54+・・・+

(j = 1,.・・?η+r) (7.45) 明らかに, 細胞の数はわとなり, 細胞の最大数はm, 最小数は1である. 圃

[定理7.2] 制御対象が与えられると, 偏差系の可到達指数の族 (1Î1 ,・・・,nm)が求まる. このとき, Jが解代表元系狩の元であるための必要十 分条件は, 次のようになる.

。1+・・・+ふ+r= n + r n+r三点1ど・・・ 三点n+rと0

P1+・・・+ふどn1+・・・+九 P1+・・・+ふ=n+r

(i = 1,.・・,m)

1

(i = m+1,. . .,n+r)

J

(7.46) (7.47)

(7.48) 明らかに, 整定時聞はぬとなり, 最短整定時聞はふ, 最長整定時間はη+r

である. .

(9)

なお,

(九..

., pq)が偏差系の解代表元系命の元jの細胞の次数となること は明らかである. また,R*の一つの元jに対して式(7.39)を求め,さらにそ れらの直和を求めると,それが1型デッドビートサーボ系の一般形となる.

ところで,一般形を求めるためには,偏差系の可到達指数の族が必要とな る. これらは,出力数と入力数が等しい場合と,出力数が入力数より小さい

場合とでは性質が異なる.

(1)

r=mのとき(出力数と入力数が等しいとき)

この場合に は,式(7.24)のH1は正則となり,またH3は常に正則である から,

0 1 ..;.

α� = rankB= m(=r)

&

j

= rank [Ê ÂÊ

= rank [B AB

λJ-1B]

- rank [13

ÂB AJ-2B]

- rank [B AB

- uJ。

-1 (j=2f・・,n+ 1)

ÄJ-2B]

A

J-

3B

]

(7.49)

を得る. さらに,偏差系は可到達であるから,J=n+2,・・・,n+mのとき

=0

となる. すなわち,

はα

j

より一意的に定まり,

r

m (j = 1)

=

α

?

-1 (j=2f-~n+1) (7.50)

l

0 (j = n + 2,・・.,n+m) となる.

よって,偏差系の可到達指数の族は,(n1+11・・・,nm + 1)となる . すなわ ち,r= mのときの偏差系の可到達指数の族は,制御対象の可到達指数の族 (η1, .・川m)より一意的に定まる.

制御対象の可到達指数の族同と指数α

?

を用いると,[定

7. 1 ]と[定理

7. 2 ]より 次の二つの定理が成立する.

[定理7.3]

制御対象が与えられると,(&if-\公)が求まる. このとき,

Jが解代表元系Wの元であるための必要十分条件は,次のようになる.

Q'1+・・・+&π+m= n+ m m:三&12::・・・さQ'n+m主0

(7.51) (7.52)

(10)

&1+・・・+&j 三m+α?+・・・+αj-I

&1+・・・+&j n + m

[定理7.4] 制御対象が与えられると, 可到達指数の族(n1' . .・川m)が 求まる. このとき, Jが解代表元系?の元であるための必要十分条件は, 次 のようになる.

長1+・・・+九+m= n+ m n+m�ih� ・・・�Pn+mど0

。1+・・・+広三n1+・・・+ni +i P1十・・・+ふ=n+m

明らかに, 最短整定時間はn1+ 1 となる.

+1,"',η+m)

}

(7.54) (7.55 ) (7.56)

[定理7. 3 ]と[定理7.4]より, 出力数と入力数が等しい場合には, 制 御対象のシステム行列A,B,Cが異なっても可到達指数の族(n1'・・・,nm)が同 ーならば, 解代表元系は同ーとなることは明らか である.

(2) r<mのとき(出力数が入力数 より小さいとき)

この場合, 司=mを除き,&jゃへはγ=mのときのように αjやmだけ からは一意的には定まらない. しかし, 最短整定時閣を表わす偏差系の最大

可到達指数合1に関して, 次のようなことがいえる.

まず, n1 n1 - 1と仮定する. 式(7.24)より,

(7.57)

であり, n1は偏差系の最大可到達指数なので,

rank H(nl) =η+r (7.58)

でなければならない. すなわち, H(n1)の(n+ァ)個の行ベクトルは互いに線 形独立でなければならない. ところが, 制御対象の最大可到達指数はn}であ るから,

rank [B AB ... Añlー1B]三rank [B AB ... A nl-2B]くη (7.59)

(11)

H(nl)の行ベクトルの中に, 線形従属な行ベクトルが となる. 式(7.59)より,

必ず存在するが, こ れは式(7.58)と矛盾する. よって,

(7.60)

でなければならない.

次に, 式(7.24)において, f = nl + 1とする. 制御対象の最大可到達指数は nlであるから,

合1どη1

(7.61) rank H2(nl + 1) = n + m

となる. 明らかに H3(f)は常に正則であるから,

(7.62) rank H(nl + 1) = rank H1H2(nl + 1)

こ こで, Sylvesterの不等式を用いれば,

が成り立つ.

(7.63) rank H(nl + 1) = n + r

となる. 偏差系の最大可到達指数九は, rank H (f) = n +ァなる最小のfであ るから,

(7.64) 合1::; nl + 1

となる.

よって, 式(7.60)と式(7.64)より, ぬ1はnlかη1+ 1となる. すなわち, 最短 整定時間はnlかnl+ 1となる. この場合, 偏差系の可到達指数の族 は制御対 象の可到達指数の族のみからは決定できず, 制御対象のシステム行列A,B,C の具体的な値によって変化する. さらに, 解代表元系やその元の数も制御対

象のシステム行列A,B,Cの具体的な値によって変化する(例題参照).

一般に, 積分特性を導入すると整定時聞が長くなると考えられていたが , 整定時間が変わらない場合が起こ り得るこ とが明らかとなった.

7.6 例題

次のような可到達な制御対象を考える.

nununut---

1inunununu

ハUハU唱inunu

,B=

ハUnununu--ーinunU噌inU

nu--nununU 10101

ーinU唱inunU

A=

(12)

このとき, 可到達指数の族は

(η1, n2,η3)=(3,1,1)

である.

(1) r=m=3 のとき

-,Illl1114 nunU噌i nU噌inu nUハUnu nununu --nunU 「EEEIsa-BEEEEEEEL 一一 C

とする. この系は可観測であり, サーボ系の構成条件である式(7.12)は満たさ れている. このとき, 偏差系の可到達指数の族は,

(1Î1 ,合わぬ3)= (4,2,2)

であり, 制御対象の可到達指数の族より1ず、つ増えていることが分かる. 明 らかに, 最短整定時間も1増えている. また, A+SKが相似となり得るベ キ零ジヨルダン行列Jの細胞の次数 (九一.,pq)は,

nδ /11 、l,/噌EA ヴt/11 う臼PO /11 噌E4噌BA FO 、、lfqJ Fhu /11 、、,,/噌Ei ぅ“vhu 、、l/A斗A Aせ/11 、、.E/噌Ei 司、リ

ωい

ーハ ム」

i

じ る

生,

2

iI Fご

= 1ノ

.

、1

一初)

1ム T ワ臼 ワ臼

Qu f\f\ の

とする. この系は可観測であり, サーボ系の構成条件である式(7.12)は満たさ れている. このとき, 偏差系の可到達指数の族は,

(1Î!, 1Î2' 1Î3) = (3,2,2)

となる. n1 = n1であり, 最短整定時間は変わらない. また, Â+BKが相似 となり得るベキ零ジヨルダン行列Jの細胞の次数 (九..., pq) は,

(3,2,2), (3,3,1),(4,2,1), (4,3), (5, 1, 1),(5,2), (6, 1), (7) の8通りである.

(2

-

1)

(13)

とする. この系は可観測jであり, サーボ系の構成条件である式(7.12)は満たさ れている. このとき, 偏差系の可到達指数の族は,

(1Î1, 1Î2' 1Î3) == (4,2,1)

となる. 1Î1 == nl + 1であり, 最短整定時間 は1増えている. また, A+8kが 相似となり得るベキ零ジヨルダン行列jの細胞の次 数(九一.,pq) は,

(4,2,1), (4, 3), (5,1,1), (5,2), (6,1), (7)

の6通りである.

(2 -1)と(2- 2)より 明らかなように, 出力数が入力数より小さいときは,

Cが異なるため解代表元系は別なものとなっている. また,元の数も異なる. しか し入力数と出力数が等しい場合には,Cが異なっても解代表元系は同一である.

7.7 あとがき

本章では, 有限時間でステップ状外乱dを抑制し, 出力をステップ状目標 値Ydに整定させる1型デッドビートサーボ系について述べた. まず, 制御対 象の初期状態やdとYdに依存しない1型テ守ツドビートサーボ系を構成する ため, 1型デ、ッドビートサーボ系の設計問題を拡大系の偏差系におけるデ、ツ ドビートレギ、ュレータの設計問題に変換した. 次に, 偏差系のフィード、バック 系のシステム行列が相似となり得るすべてのベキ零ジヨルダン行列を求める

相補的な二つの定理を導き, これらの定理を用いて1型デ、ッドビートサーボ 系の一般形を求めた. さらに, 出力数と入力数の大小関係により, 1型デ、ッド

ビートサーボ系の性質が異なることを明らかにした. 出力数と入力数が等し い場合は, 制御対象の可到達指数の族(nl ,・・・川m)に対し, 偏差系の可到達指 数の族は(nl + 1,・ ・.,nm + 1)となる. 特に, 最短整定時間は, 制御対象の状態 を有限時間で零に整定させるデ、ッドビートレギュレータの最短整定時間nlよ り も1だけ延びる. また, このとき, システム行列が異なってもい1,. .・川m)

が同ーの制御対象に対しては, 偏差系の解代表元系は同ーとなる. 出力数が 入力数より小さい場合は, 偏差系の可到達指数の族は制御対象のシステム行 列の具体的な値によって変化し, 整定時聞が増加しない場合が起こり得る.

すなわち, 一般に, 積分特性を導入すると整定時聞が長くなると考えられて

(14)

いたが, 整定時間が変わらない場合が起こり得ることが分かつた. また, こ のとき, 偏差系の解代表元系もシステム行列の具体的な値によって変化する.

なお, ステップ状外乱とステップ状目標値がt > 0の途中から加わる場合や,

目標値や外乱が階段状に変化する場合も, その変化する間隔が整定時間より 大きければ, ここで求めたものと同じ制御器によってデ、ツドビート制御する ことができる. また, ここで示した手法は, 1型以外のデ、ツドビートサーボ 系に対しでも応用できる.

(15)

第8章 デッドビートオブザーパの設計法

8.1 まえがき

本章では, 多入力多出力線形定常ディジタル制御系に対するデ、ッドビート オブザーバの設計法を示す.

第8. 2節では, 問題の設定について述べる. 第8. 3節では, まず, デ、ッド

ビートオフ9ザーバのシステム行列が相似となり得るすべてのベキ零ジヨルダン 行列を求める定理を導く. 次に, オブザーバの標準形59)にこの定理と重複し た極の指定が 可能な極配置問題の一般解58) を適用し, デ、ッドビートオブザー

バの一般形を求める. これにより, その一般的な構造と 一般的な整定時間を明 らかにし設計の自由度を陽に示す. 第8.4節では, デッドビートオブザーバ の正準形について述べる. 第8. 5節では, 推定誤差のオーバーシュートを最 小にする最適設計法を示す. 第8.6節では, 過去や現在の入出力データを用

いて有限時間で状態を完全に再生する非再帰形デッドビートオブザーバの一 般形を, 計算遅れがない場合, 1 サンプルの計算遅れ48),49)が ある場合, さら に出力多重サンプル値系50)の一種である2-Delayシステム51)に対して求める.

8. 2 問題の設定

制御対象として, 式(4.1), (4.2)から外乱を除いた次の可観測な多入力多出 力線形定常ディジタル制御系を考える.

ここで,

x(t + 1) = Ax(t) + Bu(t) y(t) = Cx(t)

rank C = r

と する. なお, Aの正則性は仮定しない .

(8.1 ) (8.2)

(8.3)

まず, 第6章の[補題6. 1 ]と同様に, ベキ零ジヨ ルダン行列に関する補 題について簡単に述べる.

(16)

[補題8. 1] 互いに相似でないすべてのpxp ベキ零ジヨルダン行列の集 合札を代表元系と呼ぶ. このとき, 代表元系民の任意の元Jpは, ブロック 対角行列により

Jp = block diag {J(Pl)' ... ,J(Pq)} (8.4) と表わすことができる. ここで, q はベキ零ジヨルダン細胞(以後, 細胞と呼 ぶ)の数, Pi (i = 1,・・" q)は

Pl +・・・+Pq = P P ?:. Plど・・・三Pq三1

(8.5) (8.6)

なる細胞の次数, J(Pl)はPi 次の細胞である.

次に, L uenbergerの可観測正準形37)に関する補題を述べる.

[補題8.2] 可観測性とCが最大階数Tを持つという仮定より, AとC が与えられると, 可観測j指数の族と呼ばれるr個の正の整数が一意的に定ま る. この不変量を順序付けして

nl +・・・+nr = n (8.7)

(8.8) nさnl ?:. . . . �どnr 三1

とする. なお, nlを最大可観測指数, nrを最小可観測j指数と呼ぶ. さらに 制御対象式(8.1)は, 適当な座標変換

x(t) = S1文(t) (8.9)

y(t) = S2ÿ(t)

により, 次のLuenbergerの可観測正準形に変換することができる.

、、BE,,,nu tEi O6 ,,a,、、

文(t + 1) = (Jc + A*C)文(t)+ Bu(t) ÿ(t) = C文(t)

(8.11) (8.12)

ここで, Jcは式(8.4)において, p=n, Pi=ni(i=l,"',r)なる特別なηxn ベキ零ジヨルダン行列である. また, C は第(i,nl +・・・+ni)成分(i=l,...,r) のみが1で他は零なるァxn 行列である. さらに, A*と忌はそれぞれA, B

(17)

およびS1 が与えられれば定まるnxァ とηxm実定数行列である.

次 に, オブザーバの標準形59)に関する補題を述べる. なお,ni = 1 なるni が存在する場合, す なわち?

n1 �...三nhど2 nh+1 -・・・=nr = 1

のときは, オブザーバの極に無関係な設計ノ〈ラメータが存在する.

(8.13) (8.14)

[補題8. 3] z(t)をオブザーバの(n-r)x 1状態ベクトル,文(t)をx(t) の推定値とすると, オブザーバ は次の標準形で表わすことができる.

(1) h =ァのとき

z(t + 1) = (Jo + KE)z(t) + {[In-r K]p-1 A取

一(Jo+ KE)K}S2 -ly(t) + [In-r K]P-1S1-1Bu(t)

I

z(t) - KS2 -ly(t)

1

文(t)= S1P I . .

I

I

S2-1y(t)

I

(2) h手Tのとき(1 h三r-1)

(8.15) (8.16)

z(t + 1) = (Jo + KE)z(t) + {[In-r K L]P-1A本 一(Jo+ KE)[K L]}S2-1y(t) + [In-r

I

z(t) - [K L]S2 -ly(t)

1

K L]P-1S1-1Bu(t) (8.17)

文(t)= S1P

I I

I

S2-1y(t)

I

(8.18)

ここで,Joは式(8. 4)においてp = n -r, Pi = ni -1 (í = 1,..., h)なる特別な (η-r) x (η-r)ベキ零ジヨルダン行列である. また, E は第(í,η1+・・・+ni -í)

成分(í == 1,・・・,h)のみが1で他は零なる hx(n-r)行列である. さらに, 単 位行列Inから第(n1+・・・+ni)列(i = 1,・・.,r)を取り除いたnx (η-r)行列を Qとすると,n x n正則行列 Pは

P == [Q C'] (8.19)

となる. なお,KとLは, それぞれ任意に選べるい-r) xんとい- h) x (η-h) の設計ノ〈ラメータ行列である. 特に,Kはオブザーバの極に影響を与えるが,

Lは極に無関係である. また, h == rのとき,Lは存在しない.

(18)

よって, 推定誤差e(t)を とすると,

e(t) =文(t) - x( t) (8.20)

e(t) = 81 Q(J 0 + KE)t{z(O) - (Q' + Kë)81 -1X( 0)} (8.21) となる. このオブザーバがデ、ッドビートオブザーバとなるためには, Jo+KE が, 適当な(n-r)x(η-r)ベキ零ジョルタoン行列に相似でなければならない11)

8. 3 一般形と整定時間

[補題8.1 ]に お いて, p=n-rと おき, �n-rの任意の元Jn-rを簡単のた めにJとする. Jを一つ固定して, デ、ッドビートオブザーバの 設計問題を定 式化すると,

V(Jo + KE) = JV (8.22)

を満足するJとKと(η- r) x (n -r)正則行列 Vを求め る問題となる. この 問題は, 本質的には第6章のレギュレータの場合と同じである. よって, 本章 では証明は省略し 設計法を簡潔に述べる.

Vの正則性を別にすれば, 重複した 極の指定が可能な極配置問題の一般解 58)より, 式(8.22)は次のようになる.

K = V-1F

V = [Vl ・・・ Jn1-2V1 ; ... ;vh ---Jm-2vh]

F = [Jnl-1v1 ... J町一lVh]

(8.23) (8.24) (8.25)

ここで, Fはい-r) x h行列であり, vi (i=l,・・.,h)はデ、ッドビートオブザー バの唯一の固有値零に無関係な(η - r) x 1設計パラメータベクトルである.

なお, Jはベキ零ジヨルダン行列であるから, VやF成分はViの成分か零と なる. また, hヂTのときは, Lも同様な設計ノ〈ラメータ行列となる.

ところで, Vは正則でなければならないから, Vが正則となるViが存在 するようなJの集合(続n-rの部分集合)を求めなければならない. この集合 を沢;-rとし, 解代表元系と呼ぶ.

(19)

[定義8. 1] Jに対して, 次のような零または正の整数を定義する.

α'j == rank JJ-l -rank Jj (8.26)

ここで, J は正の整数 とする.

このとき, Jに含まれるj 次の細胞の数はα1一円+1 となる. なお, Jどη-7'+1 ならば恒等的にαj == 0である. さらに,

α1+・・・+αPl == n - 7' q==α1 ど・・・三αPl > 0

(8.27) (8.28) であり, J三P1+ 1ならばαj == 0となる. 明らかに, (P1'..., Pq)と(α1,. .・?αpJ は一対ーに対応する. なお, J == JOのときのαJを特別にα?とする. このと

き, (α??・・・?α:1ー1 )は制御対象の可観測指数 の族(η1,・・・川r)より 一意的に定 まる. 明らかに

αi+・・・+α;1-1=n-T h==αi三・・・三α:1-1>O

(8.29) (8.30) であり, J三n1 ならばαj= 0となる.

[定理8. 1 ] Jが解代表元系貸しTの元であるための必要十分条件は, 次 のようになる.

α1+・・・+αn-r==n- 7' (8.31)

α1ど・・・さαn-rどo (8.32 )

α1+・・・+αj三α?+・・・+αj (j= 13・・・,n1-1) (8.33)

このとき, 式(8.33)より細胞の数q(唯一の固有値零の幾何学的重複度)と細 胞の最大次 数P1(最小多項式の次 数)は, それぞれ

l�q�h

n1 - 1 P1 n - 7' となる.

(8.34) (8.35)

(20)

[証明] 省略.

[定理8.1 ]より,解代表元系提:-Tは 制御対象の可観測指数の族(n1,・・・,nr) のみに依存することが分かる. また,デッドビートオブザーバの一般形は,次 の手順で求められる.

[手順8.1]

[1 ] 次の手順で,解代表元系提;-rを求める.

(1)制御対象の可観測j指数の族(n1,・・・川r)を求め,Joを決定する.

(2) JoのJ (欠の細胞の数(=α?-α�+1)を求め,αi=hを用いてい??・・・?α丸一1) を決定する.

(3) [定理8.1]を満足する(α1,. . • ,αn-r)を求める.なお,αβ>0で αβ+1 = 0 のときß = P1となる.

(4)α3一αJ+1を j次の細胞の数とするJを求める. このとき,(P1'・・・,Pq)が 一意的に定まる.

(5) (3)と(4)を[定理8. 1 ] を満足するすべての (α1,. . . ,αn-r)に対して繰 り返す.

[2] 続;-Tの一つの元Jに対して,一般形を求める. さらに,これらの直 和を求める.

特に,整定時間が最短の場合と最長の場合には,[定理8.1 ]より 次の定理 が成立する.

[定理8.2]

[ 1 ] 整定時聞が最短であるためにJ が満足すべき必要十分条件は, 次

のようになる.

α1 +・・・+αnlー1 = n -r (8.36)

α1 ど・・・どαη1ー1> 0 (8.37)

α1 +・・・+α3三αi+・・・+α� (j=1,".,nl-2) (8.38) 明らかに, P1 = n1 - 1であるが,qやP2,・・・,Pqは一意的には定まらない.

(21)

[2] 整定時間が最長であるためにJが満足すべき必要十分条件は,

q = 1, αi = 1 (i = 1,・・" n - r) (8.39)

となる. 明らかに, Pl = n -rである.

[定理8. 1 ]や[定理8. 2 ]では, dやαiを求めなければならない. し かし, 次に示す十分条件より, 解代表元系貸しrの一部の元Jをniより すぐ に求めることができる.

[系8. 1] (十分条件) (nlーし・・,nh -1)をq個の組に分割し, 各組の 成分の和をPiとする. これらを順序付けしてい1, .. . ,Pq)とする.

[系8. 2 J (十分条件) [系8. 1 ]において,

q = h Pi = ni - 1 とする.

(8.40)

従来の設計法は, [系8. 2 ]の場合を試行錯誤的に解くか, K=O([系8.

2 ]の特別な場合)とおいている 11),12) 次に, 整定時間に関する定理を述べる.

[定理8. 3 J

[ 1 J 整定時間Plは, 式(8.35)を満たす任意の正の整数に指定できる.

[2J 最短整定時間はnl -1である11),12).[系8. 2 ]ならば最短であるが,

逆は成立しない.

[3J 最長整定時間はn-rである.[定理8. 2 ]の[2 ]のとき, そして そのときのみ最長となる.

[証明] 省略.

レギュレータの場合と同様に, この場合もJo+KEが相似となり得るベキ 零ジヨルダン行列Jを直接的に求めることができる.

(22)

[定義8.2] 細胞の次数日はq個し か存在しないが, 統一的に取り扱う

ためq < i三n-rなるtに対してPi = 0とおき, n -r個のPi を導入する. 同

様に , 可観測指数の族同(i= 1,・・・,r)に対して,

P? = ni - 1 (i = 1,・・・,r) (8.41)

と定義し , rくt三η-rなるtに対してP?= 0とおき, r個のP?を導入する.

[定理8.4] 制御対象が与えられる と ,

p� +・・・+p:-T=n-T n-rさpi三・・・さp:-T三0

(8.42) (8.43)

を満足する(p�,..・,P�-r)が求まる. このとき, Jが解代表元系貸しTの元であ るための必要十分条件は, 次のようになる.

[証明] 省略.

Pl +・・・+Pn-r :;;;; n -r (8.44)

n-rどPlど・・・どPn-rどo (8.45)

Pl +・・・+PiどP�+・・・+P? (i = 1,.・\η-r) (8.46)

[定理8.4Jより, フィードバック系のシステム行列A+BKが相似となり 得るすべてのベキ零ジヨルダン行列Jは, 次の手順で求められる.

[手順8. 2]

( 1)制御対象 の可観測指数の族(η1,・・・川r)を求め, (p�,..・,P�-r)を決定す る.

(2) [定理8.4Jを満足する(Pl'.・.,Pn-r)を求める.

( 3) (Pl'..., Pn-r )からPi = 0となる部分を除き, (Pl, . . . ,Pq)を決定する.

( 4) (2)と(3)を[定理8.4Jを満足するすべての(Pl'.・・,Pn-r)に対して繰

り返す.

(23)

8.4 正準形

デ、ッドビートオブザーバに対しでも, デ、ッドビートレギュレータと同様に正 準形を求めることができる.[系8. 2 ]の場合(J = Joの場合)に対しては,

次の定理が成り立つ.

[定理8. 5] J = Joの場合の一般形に対して, Y-1Fの成分は次のよう における.

[1] Fの第(í, j)成分が恒等的に零ならば, y-1Fの第(í, j)成分も恒等 的に零となる.

[2] Fの第(川)成分が恒等的に零でないならば, y-1Fの第(í, j)成分 を互いに独立な設計パラメータとすることができる.

よって, Kは互いに独立な設計パラメータの線形結合で表現できる.

[証明] 省略. .

J手Joで[系8. 1 ]の場合には, [系8. 1 ]においてV3にある制限を加えた 部分集合に対しては, 正準形を求めることができる. この考え方や手法は, 第 6章のデ、ッドビートレギ、ュレータの正準形と同様であるので, ここでは省略する.

8. 5 最適設計法

大まかに言って, 制御系の望ましい応答とは, 整定時間とオーバーシュート が共に小さいことで ある. デ、ッドビート制御系では, 整定時間は有限となる が, 一般にオーバーシュートは大きくなる傾向にある. そこ で, 自由に設定 できる設計パラメータを用いて, オーバーシュートをできるだけ小さくする ことが望ましい. 第8. 3節で求めた一般形を用いれば, 試行錯誤を行うこと なく推定誤差のオーバーシュートを最小化することができる.

デッドビートオブザーバの初期状態z(O)は任意に設定できる. 制御対象の 初期状態x(O)が既知の場合は推定誤差e(t)の成分の絶対値の最大値がオー ノくーシュートとなるの で, これを最小化すればよい. しかしf x(O)は一般に 未知であるため どのような初期状態に対しでもオーバーシュートがある程 度小さいことを保証する評価を用いなければならない. 推定誤差e(t)の最大

(24)

値ノルムlIe(t)11は,

Ile(t)11 ::; Ils1Q(JO + KE)tllllz(O)11 + 11- S1Q(JO + KE)t(Q' + KC)S1-111 1Ix(0)11 (8.47) そこで, 次の評価を用いる.

となるので, Z(O) = 0とする.

式(8.21)において, Z(O) = 0とおき,

[評価] x(O)の係数行列

-S1 Q(JO + KE)t(Q' + KC)S1-1 (t = 0,・・・,Pl -1)

この最小値をMoとおく.

の成分の絶対値の最大値を最小化する. なお,

-S1 Q(Jo + KE)t(Q' + KC)S1-1の第(i,j)成分をe(t,i, j) [最小化法の概略]

とおき,

(8.48) -M三e(t,i,j)三M

(8.49) の制約の下でMを最小化する. すなわち,

M,

M -e(t, i,j)さ0,

M + e(t, i, j)三0,

Minimize subject to

(t=Of--J1-1; t= 1 3...Fn; j=11・・" n)

ここではComplex法を用いて最適解Mo なる数理計画問題として定式化し,

とそのときのV3の第t成分vりを求める.

nunu--ハunununUーinununU噌inunUnU唱itinunununU

B=

。'Reilly 21)の例題を用いる.

噌inunUハUnu--nU11nU唱inU噌inUハUnU唱iTi唱inU唱inU一一2010100 nunu--nunU唱inununununununU唱iハUtinunUハUnunU

A=

[例題8. 1]

111』0111111E1・tJnununU nununU nununU nununu nunU唱inU噌inUtinUハU

一一C

(25)

ここで, (nl,n2,n3) = (3,2,2)である. なお, h =ァであるから, 設計パラメー タ行列Lは存在しない. ここでは, 一般形を用いて, 最適な最短整定時間デツ ドビートオブザーバを求める. このとき, KおよびMoはそれぞれ

r 0 0 0 1

K =

I

? -0.25 -0.75

I

I 0 0 0 I

I 0 0 0 I

Mo = 1.0

となる. なお, O'Reillyが求めた結果は, 本設計法において

とした場合に等しく, このとき

Mo=2.0

である. よって, 本設計法によりオーバーシュートを半分に減少させるこ と ができた.

8. 6 非再帰形デッドビートオブザーパの一般形

ここでは, 過去や現在の入出力データを用いて有限時間で状態を再生する 非再帰形デッドビートオブザーバの一般形を, 計算遅れがない場合, 1サン プルの計算遅れがある場合, および2-Delayシステムに対し て求める.

8.6.1計算遅れがない場合

ここでは, 状態x(t)は直接測定できないが, 出力データy(t-k),..., y(t)お よび入力データ u(t-k),...,u(t- 1)は利用できるとする. ここで, kは正の

整数である.

まず, x(t)をx(t-k) と 入力データを用いて表わす と, 式(8. 1)より I u(t -k) 1

x(t)=Akx(t-k)+[Ak-1B ... ABB]

I : I

(8.50)

l u(t - 1) J

(26)

となる. 次に, x(t)の推定値Zk(t)が, 利用可能な入出力データの線形結合と して, 次のように表現されるとする.

I

y(t -k)

1 r

u(t -k) 1 Zk (t) == Skl

I

:

I

+ Sk2

I

:

I

l y(t)

J l

u(t -1)

I

(8.51)

ここで, Sklと Sk2はそれぞれη×ァ(k+ 1)とn x mk次元の行列である. 式 (8.1 )と式(8.2)より,

[川) 1

y

t)

I =

=

[ I

CCI

k k

1 I

x(t -k)+ CB

CAkーlB を得る. ここで, 簡単のため,

CAk

l

k

1 臥=

I

r よ

1 :

CAkーlB とおき, 式(8.52), (8.53)を式(8.51)に代入すると,

(川|

u(t -1) CB

CB

fu(t-k)l Zk(t) == Skl Gはれーめ+(SklDk + Sk2)

I : I

l u(t -1)

1

(8.52)

(8.53)

(8.54)

を得る. このとき, 式(8.50)と式(8.54)より, 任意のx(t-k)と任意の入力デー タu(t-k),'・・,u(t - 1)に対して, Zk(t) == x(けとなるためには,

SklGk == Ak

SklDk + Sk2 == [Ak-1B .. AB B ]

でなければならない.

ところで, 最大可観測指数はnlであるから,

ならば

k :とnl-1

rank Gk == n (最大階数)

(8.55) (8.56)

(8.57)

(8.58)

(27)

となり, 次の式(8.59)を満たすGk の左側逆行列Gkーが必ず存在する.

Gk -Gk =

In

(8.59)

このとき, SklおよびSk2の一般解は

Skl = AkGk -+ Sk1(

Ir

(k

+

l

)

-GkGk -) (8.60) Sk2=[Ak-1B ... ABB]一{AkGk一+

(Ir(k+l) -GkGk

-)}

Dk (8.61)

となる. ここで, SklはSklと同一次元の任意行列である. ところで,

(Ir(k+l)­

GkGk -)は正則でないから, 設計パラメータSklは冗長である. そこで, 独立 な設計パラメータだけを取り出すことを考える. 式(8.57), (8.58)より,

であるから,

rank

(Ir(k+l)

-GkGk一)=γ(k+1)-n (三0) (8.62)

Ir(k+l)

-GkGk - = EkEkー (8.63)

rank Ek = rank Ekー=r(k + 1) -n

(最大階数)

(8.64)

を満足するべk+ 1) x {r(k + 1) -n}行列Ek とその右側逆行列Ek- が必ず存 在する. そこで,

SklEk = Fk (8.65)

とおくと, Fk は独立なnx{r(k+1)-n}設計パラメータ行列となる. よって,

SklとSk2は独立な設計パラメータにより,

Skl = AkGk一+ FkEk - (8.66)

Sk2 = [ A k-l B ... AB B ]一(AkGk一+ FkEk -)Dk (8.67)

と表現できる. すなわち, Zk(t)は既知の入出力データと設計パラメータを用 いて表現される. よって, 入出力データが正確に保持されるならば, 式(8.66),

(8.67)を満足する式(8.51)の右辺は時刻t における状態x(t)を表わすことにな り, デ、ッドビート特性を持つことが分かる.

よって, 次の定理が成立する.

(28)

vp

k

に4 1J 一・・・一 ソノ 内口 / 1 1

\

I

u u 一7・rill--L

、BJ 形

帰 唱B illi-

-E

再 ト

0 ・: 0コ

非 A

4

' rJt

・ ・ ・

'し

+

オ1lil--J

B 」 〉 的

B )

H お

一:・ωw

t c

k

μい y

C

~x VM

Illili-- 柵

'K A 町 づ 「 |川L

E

d

E

K L/

k

F

qJ

F

+

+

。 ーー川d e --- A 印v e -- - A pty 斗」伊 f ‘ 、 - 同llH ・''lu--

;形

「||IL

K-

]般

凶 ぺ 6一

3の=

44 守、 理サ 川w

h戸ド』 -

Lua

口 、ザ

z フ

(8.68)

となる. ここで, Fkは独立なn x {r(k+ l)-n}設計パラメータ行列, Ekーは 式(8.63), (8.64)を満足するか(k+ 1) -n} xγ(k + 1) 行列である. このとき,

t = 0から入出力データの保持を始めると, 未知の初期状態x(O)と任意の入 力に対し, 状態x(t)は有限時間後に再生され,tどんのとき

Zk(t) = x(t) (8.69)

となる. 明らかに, 整定時間はt=kである.

[系8. 3]

[定理8.6]において,k=n1一1のときが, 最短時間非再帰 形デッドビートオブザーバの一般形である. ただし,nl =・・・ =nr = n/rなら

ば,設計の自由度Fkは存在しない. .

8.6.2 1サンプルの計算遅れがある場合

ここでは, 1サンプルの計算遅れがあるため, 時刻tでの状態x(t)や出力 y(t)は利用できないが, 時刻(t- 1)以前の出力データ y(t-k),...,y(t-1)お よび入力データu(t-k),...,u(t-1)は利用できるとする.

可観測性の条件より,

k nl (8.70)

のとき,

rank Gk-1 = n (列最大階数) (8.71)

となり,

Gk-1 -Gk-1 = In (8.72)

(29)

を満足するn x rk左側逆行列 Gk-1ーが必ず存在する. さらに,

rank (Irk - Gk-1Gk-1-) =尚一η (8.73)

となるので,

Irk - Gk-1Gk-1一= EkEk­

rank Ek = rank Ek -= rk -n

(8.74) (8.75)

を満足するrkx (rk-n) 行列企kとその右側逆行列企kーが必ず存在する. よっ て, このとき次の定理が成り立つ.

[定理8.

7

]

式(8.1) , (8.2) の制御対象に対し, 1サンプル遅れ系に対す る非再帰形デッドビートオブザーバの一般形は

I C 1 r

y(t -k)

1

九(t) = (Ak

I

:

I

+ F\Êk一)

I

:

I

+{[Ak-1B ... AB B]

LCAト1 J l y(t -

1)

J

B

} B

JJ t c

k

C

《E

+ 《F

C

A

rE』t411111111i'lL C : - u

CB 0

となる. ここで, Fkは独立なnx(rk-n) 設計パラメータ行列, Ekーは式(8.74) , (8.75) を満足する(吋-n) x rk行列である. このとき, t = 0から入出力デー タが測定できるとすれば, 未知の初期状態x(O) と任意の入力データに対し,

t >んのとき

九(t)= x(t) (8.77)

となる. 特に, k =n1のときが最短時間の場合の一般形となるが, 一出力 系や, 多出力系でも可観測指数の族がすべて相等しい場合には設計の自由

度は存在しない.

なお, 付録Fにおいて, 一入力系に対し, [定理8. 7 ]で示した1サンプル 遅れ系に対する非再帰形デッドビートオブザーバの一般形が, 同一次元デッ ドビートオブザーバと等価であることの証明を示している.

(30)

次に, C=Inの場合 を考える. このときは,[定理8. 7 ]の一般形におい てyの代わりに x,C の代わりにInとおけばよい. 明らかに

である. 特に, 最短時間k== 1では

k> 1

全1 (t) == Ax(t - 1) + Bu(t - 1)

(8.78)

(8.79)

となり, 状態予測j器49)と一致する. このとき, 設計の自由度は存在しない んど2の場合には,

九(t)==泣い)+乞Fki{)仰-i) -Z�_i(t-i)} (8.80 )

&=1

となる. ここで,Fhはηxn設計パラメータ行列であり, z� (t)は

泣(t)== Akx(t -k) +乞Ak-1Bu(t-k) (8.81 ) k=l

なるkサンプル遅れ系の状態予測l器60)である. 状態予測器には設計の自由 度は存在しないが, 非再帰形デッドビートオブザーバには設計の自由度が存 在する. なお, 真のkサンプル遅れ系では,時刻t-k以前の状態や入力しか 使えないと考えるべきであるが,時刻t- 1からt-k+1までの状態や入力も 用いている式(8.81)は, 1サンプル遅れ系で最短時間でない場合 と考えるべ きである.

8. 6. 3 2 -Delayシステムの場合

ここでは,出力多重サンプル値系の一種である 2-Delayシステム51)に対し でも非再帰形デ、ッドビートオブザーバ が陰に用いられていることを示し, そ の一般形 を求める.

2-Delay出力系では, サンプリング周期T のときのサンプル点間(tTく tT + hT < (t + l)T, 0くんく1)の値

y(t, h) == CA(h)x(t) + CB(h)u(t) (8.82) も出力として用いる. ここで,A(h)とB(h)はそれぞれηxn,nxmの定数 行列であり, 一般にA(h)ヂA,B(h)ヂBとなる51)

(31)

ここでは, 出力データy(t-k),・・・,y(t-l), 入力データu(t-k),・・・,u(t-l),

およびサンプル点聞の出力データy(t-k,h)ぃ'.,y(t-l,h)が利用できるとす る51) このとき, 次の定理が成立する.

[定理8. 8] 式(8.1) , (8.2)および(8.82)の制御対象に対し, 1サンプル の計算遅れがある場合の2-Delayシステムに対する非再帰形デ、ッドビートオブ

ザーバの一般形丸(t)は,

ZK(t)={(AK-8K2G凶)Gk-1一+れ企k-} Y k (t) + Sk2 Y k (t, h)

+{Wk一(AKGK-1-+FKL-)Ok +会k2(GkhGk-l-Ók-Ókh}Uk(t) (8.83) となる. ここで,

yn Fn 11Illi--J FK 1

1

tth k』一、y...

A

dれ

y ん

・・ 川 一 「|||

L C

=

c

、Bl/ 「1111111ft'S11111」

J

=

/tk 'H 1K 1k

Y

G

-lal--EII11111」 1illit--It--J

FK 11 1K 唱I

・・・

一一

・・・

,?b

,?b ,?b

,?b

y

y u

u

「1a'BEEt-『tEt』tI12』 「111121E'111111B11」

一一一一

,?b

,?b -K 'E

Y

U

W k = [ A k-l B ... AB B ]

であり, n x (rk - n) 行列Fkとη×刊行列Sk2が独立な設計パラメータ行列

となる. .

よって, 有限時間の観測の後にZk(t)はx(t)と一致する. このとき, x(t)の 代わりにZk(t)を用いてフィード、バックを行うと, 2-Delayデ、ィジタル制御とな ることは明らかである.

(32)

[定理8. 6 J [定理8.8Jから明らかなように, 非再帰形デッドビートオ ブザーバ(以後, 非再帰形と呼ぶ)は, 第8.3節で求めた再帰形デッドビー トオブザーノく( 以後, 再帰形と呼ぶ)と同じ働きをする. しかし 次のような 利点、がある.

( 1 )再帰形の一般形は設計パラメータの複雑な非線形関係で表現される

うえに, ベキ零ジヨルダン行列に基づく多くの場合分けが必要であり, その 最適設計は複雑な非線形最適化アルゴリズムを用いなければならない. これ に対し, 非再帰形の一般形は, 設計パラメータの簡単な線形関係により 表現 できる.

( 2 )再帰形では最長整定時聞が存在する. 計算遅れがない場合, 非再帰形 では最短整定時間は再帰形と同じnl一1であるが, 最長整定時間は存在しな い. したがって, 整定時間kはnl - 1より大きい任意の整数に指定できる.

( 3 )再帰形では制御対象の可観測指数の族(nl' . . . nr)のすべてが必要で, あるが, 非再帰形では最大可観測指数nlのみが必要であり, ベキ零ジヨルダ

ン行列による場合分けも必要ない.

(4)再帰形の一般形は, 整定時聞が同じでも一つの式では表わすことが できず〉一般に複数個存在する. これに対し, 非再帰形の一般形は, 整定時 聞が同じなら一つの式で表わすことができる. さらに, どのような整定時間 に対しでも形式的に同じ式で表現でき, 整定時間に合わせて入出力データを 変えればよい.

なお, 多入力多出力系の場合は, 非再帰形では設計パラメータの数が多く なるという欠点、があるが, その一般形は設計パラメータの線形結合で表現さ れるため, 再帰形の非線形最適化より も一般に最適化は容易と思われる. し かし ハードウェアとして実現する場合には非再帰形では記憶素子の数が多 くなるので, 非再帰形で設計パラメータを決定した後, 再帰形に変換して実 現する設計法が合理的であると思われる.

8.6.4 例題

[例題8. 1 Jと同じ制御対象に対し, 計算遅れがない場合の最短時間非再 帰形デ、ッドビートオブザーバの一般形を求める. k = nl - 1 = 2 (最短時間) で, t = 0からデータを保持した場合を考える. まず, G2,D2はそれぞれ次の

(33)

nununu--nunut--1唱1

nununu--nu--nununU

nunununU噌i唱i1iハU11一一一

000201010

nunu--nunuti唱inuqL

nu--nunununU1inunU

11nununu--nunununU

G2=

と ト

ようになる.

nunUハUnununUハunU噌i

nunununununu--nUハU

nununununununU噌111

nunununUハU噌inUハU噌i

nununU唱inUハununU噌i

nunununut--inunutl

D2=

nunununUハUハUnU

nununununununU

nununu--nut-咽i

0001020

nunununU噌i句111一一

nununu--nu--nU

nunu--今,“nuqJ1i

一 一

nU唱inU唱inU唱11A

一 一 G;-,E;-はそれぞれ

tinununU唱it--i

G2-=

このとき,

12

-1 -1 0

唱iqム

一一qa E

112 122 f32 f42 152 f62 172 設計パラメータF2を

唱EA 噌EA 噌EA 噌EA 噌EA 唱EA 句EA

rハfuf何日f八f九r川f打

F2 = よって,

とおける.

S21とS22は,

とおくと,

S21 = A2G2 - + F2E2-

B]一(A2G;-+ F2G;-)D2 S22 = [AB

(34)

となる. このとき,Zk(t)

qL1i

一一u

qu u

+

・ 1||」 る

20 れ

一同

れれF

生 川WL再 -hツ 民

= 2 ハリ

= /以

t Z

ム} な hツ 状 態 x 斗ふ

8. 7 あとがき

本章では,線形定常デ、ィジタル制御系に対するデ、ッドビートオブザーバの未 解決な問題を解決するとともに, 試行錯誤を行うことなく体系的に設計する 方法を求めた. まず,可能なすべての構造を表わす一般形を求め,設計パラ メータを陽に示した. このとき, 制御対象の可観測指数の族のみから,デッ

ドビートオブザーバのシステム行列が相似となり得るすべてのベキ零ジヨル ダン行列を求めた. これより,整定時間(すなわち,最小多項式の次数), 唯 一の固有値零の幾何学的重複度(すなわち,ベキ零ジヨルダン細胞の数)な どが定まる. 次に, 設計パラメータが線形で独立となる正準形について述べ た. さらに, 一般形を用いて,整定時間とともに応答の重要な指標である推 定誤差のオーバーシュートを最小化する設計法を示した. 最後に, 状態が直 接測定できない場合,測定可能な過去や現在の入出力データを用いて状態を 再生する非再帰形デ、ッドビートオブザーバの一般形を,計算遅れがない場合,

lサンプルの計算遅れがある場合, 2-Delayシステムに対して求めた. この 一般形は, 設計パラメータの簡単な線形結合で表現され, 整定時聞が同じな ら一つの式で表わすことができる. また, ベキ零ジヨルダン行列による場合 分けが必要なく,最長整定時間による制限がない. さらに,再帰形オブザー バと同様な分離特性を持つから,状態が直接測定できない種々の場合に応用 することが可能である. 2-Delayシステムに対する手法を一般の出力多重サ ンプル値系へ拡張することは容易である.

なお,非再帰形デッドビートオブザーバの設計パラメータの決定法は, 今 後の課題である.

(35)

第9章 結 日

本論文では, デッドビート特性を用いるデ、ィジタル制御固有の線形制御則 に関する研究として, 線形定常デ、ィジタル制御系に対する固定終端最適制御 問題(広義のデ、ッドビート制御問題)の解法と狭義のデ、ッドビート制御系の 体系的設計法を示した.

本研究で得られた主な結果をまとめると 次のようになる.

( 1 )多入力系における固定終端LQ型最適レギュレータ問題に対し, 終端 状態固定条件を満足する入力が満たすべきデ、ッドビート原理を用いた解法を 示した. 正則型LQ最適制御と最小エネルギー制御は, 制御対象の初期状態 に依存しない有界な時変ゲインと一定ゲインによる状態フィード、パックで実 現でき, 最適ゲインを求めるための明確なアルゴリズムが存在する. このと き, 制御区間の後半では必然、的に狭義のデ、ッドビート制御が用いられること を明らかにした. すなわち, 狭義のデ、ッドビート制御などの極配置と自由終 端最適レギュレータが従来の線形制御における二大手法であるが, 固定終端 最適レギ、ュレータは, これら二つの手法の組合せで表現できるという結果が 得られた.

(2 )一入力系においては, テ。ィジタル制御固有の性質を用いて評価の特異 性を解消することにより, 特異型LQ最適制御が求まることを示した. これ により, 正則型LQ最適制御, 最小エネルギー制御, および特異型LQ最適 制御が統一的に表現できることが明らかとなった. これは, 自由終端の場合 にはない性質である.

(3) 1型サーボ系の固定終端正則型LQ最適制御問題と偏差入力エネル ギー最小化問題に対しでも, 有界な時変ゲインと一定ゲインによる状態フィー ド、バック形式の最適制御を求める解法を示した. 最適ゲインは, 制御対象の 初期状態, ステップ状目標値の大きさ, およびステップ状外乱の大きさに依 存しない.

(4)一般の加法性評価に対する固定終端レギュレータの基本構造を明らか

(36)

にし, 新しい最適性の条件を求めた. 固定終端レギュレータの最適性の条件 は, 特別なテ。ッドビート制御と誘導された自由終端レギ、ュレータの最適性の 条件で表現される. さらに, 終端時刻を延ばせば最適評価の値が増加する自 由終端問題とは逆に, 固定終端問題では終端時刻を延ばせば最適評価の値が 減少する(単調非増加)ことを明らかにした.

(5 )最小エネルギー制御問題に対しては, 一入力系と, 多入力系でも可 到達指数の族がすべて相等しい場合には, Luenbergerの可到達正準形に変換 することなく可到達性グラミアンを用いたオープンループ形式の最適制御か ら, 直接フィード、バック形式の最適制御を導くことができることを示した. さ らに, この場合, リカッチ方程式によらない非再帰形の最適ゲインが存在す ることを明らかにした.

( 6 )一入力系において, 自由終端の場合と無限制御時間の場合に対する 特異型LQ最適制御を求め, 無限制御時間特異型LQ最適制御は, 固定終端 特異型LQ最適制御において終端状態を無限大にした場合と考えなければな らないことを明らかにした.

( 7)デ、ッドビートレギュレータの一般形を求め, その一般的な構造と一般 的な整定時間を明らかにし 設計の自由度を陽に示した. 次に, 一般形を用 いて, オーバーシュートを最小にする最適設計法を示した. また, 設計ノくラ メータが線形で独立となる正準形を求めた. さらに, 計算遅れがあるデ、ッド ビートレギュレータと, その特別な場合である予測型デッドビートレギ、ュレー タの一般形を求め, 予測型デッドビートレギ、ュレータの限界を明らかにした.

(8) 1型デ、ッドビートサーボ系の一般形を求め, その一般的な構造と一般 的な整定時間を明らかにし 設計の自由度を陽に示した. さらに, 出力数と 入力数の大小関係により, 1型デ、ッドビートサーボ系の性質が異なることを

明らかにした.

(9 )デ、ッドビートオブザーバに対しでも, その一般形と正準形を求め, 推 定誤差のオーバーシュートを最小にする最適設計法を示した. さらに, 測定 可能な入出力データを用いて有限時間で状態を完全に再生する非再帰形デッ ドビートオブザーバの一般形を, 計算遅れがない場合, 1サンフ・ルの計算遅 れがある場合, および2-Delayシステムに対して求めた.

(37)

今後の課題としては, 以下の問題があげられる.

( 1 )多入力系に対する特異型LQ最適制御問題の解法

多入力系に対しでも, 一入力系の場合と同様な手法により評価の特異性を 解消し 最適制御を求めることができるかどうかは未解決の問題として残さ れている. この問題が解決すれば, 一入力系と同様に, 正則型LQ最適制御,

最小エネルギー制御, 特異型LQ最適制御の統一的な表現が可能かどうかが 明らかとなる.

( 2 )多入力系に対するLuenbergerの可到達正準形を用いない最適制御

多入力系の場合, 与えられた制御対象をLuenbergerの可到達正準形に変換 し, 最適制御を求めた後に再び元の座標系に変換しなければならない. しかし この方法は煩雑であるし, 誤差の問題も無視できない場合がある. L uenberger の可到達正準形に変換することなく最適制御を求めることができれば, 非常 に効果的である. さらに, 状態方程式における入力の係数行列Bが最大階数 を持つという条件を取り除くことが望まれる.

( 3)多出力系に対するテeッドビートカルマンフィルタの設計法

一出力確率系に対しては, 固定終端最適レギュレータ(固定終端正則型L Q最適制御)と双対な関係にあるデ、ッドビートカルマンフィルタがすでに求め られている61) このフィルタは, 初期状態の統計的性質が未知な場合に有効 であり, その性質についても明らかにされている. しかし, 多出力系に対し

ては, この ようなデ、ッドビートカルマンフィルタは, まだ求められていない.

(4)ロバスト性を考慮した設計法

最短時間デ、ッドビート制御における問題点の一つに, 十分なロバスト性が 得られにくいということがある. この問題は, ロバストデ、ッドビート 制御問 題として, 伝達関数法において研究されている28) 一般に, 整定時間を延ば せばロバスト性も増すと考えられるので, 本研究で求めた設計法とロバスト 性の 関係を明らかにすると共に, ロバスト性を陽に評価に取り入れた設計法 を確立する.

この他に, 非再帰形デ、ッドビート状態観測j器の一般形における設計パラメー タの決定法を求めること, デッドビート特性以外の デ、ィジタル制御固有の制

(38)

御則に関する研究, さらに, 本論文で求めた制御則の実用化を図ることも今 後の課題である.

(39)

謝 辞

本研究を行うにあたり, 終始温かいご指導, ご鞭援を賜り ました九州大学 工学部の須永照雄教授ならびに近藤英二教授に心よりお礼申し上げます. ま た, 九州大学工学部の相良節夫教授と松山久義教授には, 本論文をまとめる に際して査読の労をとっていただきました. ここに深く感謝致します. さら に, 本研究にご協力いただきました九州大学工学部生産機械工学科第五講 座所属の皆様に感謝致します. なお, 本研究の一部に対し, 昭和6 3年度に (財)九州産業技術センターより受託研究費を, 昭和6 4年度に文部省科学 研究補助金を, 平成元年度に(財)稲盛財団より助成金を, それぞれご援助 いただきました. 関係各位に対し, ここに謝意を表します.

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