九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
リチウムビームプローブを用いた周辺プラズマの密 度分布と揺動に関する研究
森崎, 友宏
九州大学総合理工学研究科高エネルギー物質科学専攻
https://doi.org/10.11501/3123086
出版情報:Kyushu University, 1996, 博士(理学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
第4立
コンパクトヘリカノレシステムの
周辺プラズマの振る舞い
4-1 序論
本研究では中性サーマルリチワムビームプローブを, 文部省核融合科学研究 所のコンパクトヘリカルシステム(CHS)に取り付けて実験を行った. CHSは 広い意味で のステラレーターで, 外部導体だけで閉じ込め磁場配位を形成する
ことが可能である. トカマク装置のようにプラズマ電流を必要としないため,
現象がより明確な形で現れることが期待される. 従ってCHSにおける実験結果 とトカマク装置 における実験結果を相互に補間すること により, トーラス閉じ 込め に共通する物理の理解が深まるものと思われる.
本章ではCHSにおける 高ベータ放電実験, Hモード放電実験, 周辺プ ラズ、マ 制御実験 時の周辺プラズ、マの振る舞いについて述べる. 高ベータ放電実験では,
2%以上の ベータ値が得られた典型的な高ベータ放電を中心に, 特に密度分布 の変化 に着目してそのベータ値依存性を調べる. Hモード放電 実験では, 非常
に短いタイムスケールで起こるしH遷移時の周辺密度分布および揺動の変化,
ならびに密度揺動のMHD不安定性との関連について述べる. 周辺プラズマ 制御 実験では, リミターの挿入や高周波の印加等, 積極的に 周辺プラズマを 制御す ることを試み, その時の周辺密度計測および, 他の計測から 周辺プ ラズマの制 御と主プラズマの閉じ込め特性との関係を明らかにする.
4-2 実験装置
CHSの概要を表4.2.1に示す[37,38]. CHSは主半径R = 100 cnl , 平均小半径
a = 20 cm, ポロイダノレ周期数C= 2, トロイダル周期数m = 8の中型 のヘリオ
トロン/トノレサトロン型装置である . 閉じ込め磁場は最大2Tで, 2本のヘリ カルコイノレ, 4組のボロイ夕、ノレコイノレによって発生させる. それぞれのコイル の配置を図4.2.1に示す.
46
Parameter
M勾or radius R Helical coil radisu a
Average plasma radius a
Plasma aspect ratio Ap Multipolarity 1
N umber of field period fll
Pi tch parameterγc Pitch modulation α*
Field strength on axis Bt
Central rotational transform (in vacuum) [(0) /2p Edge rotational tranSf0Il11 (in vacuum) l (0) /2p Pulse length
N umber 0 f ports
ECH power frequency pulse length ICRF power
仕equency NBI power
pulse length
表4.2.1 CHSの概要.
Value 100αn 31.3αn
20αn 5 2
8 1.25
0.3 2T 0.3 0.8 - 1.0
1 sec 68 500kW 53 GHz 100 msec
1.5 MW 6 - 28 MHz
# 1 1.1恥臥1 at 40 kV
#2 0.7恥れ入1at 36 kV 1 sec
図4.2.1 コイノレの配邑.
48
主なヘリオトロン/トルサトロン型の装置はCHSの他に, 京都大学のヘリオ トロンE, 米国オークリッジ国立研究所のATF (Advanced Toroidal Facility; 1994 年閉鎖)があるが, CHSはその低アスペクト比
�
=5を特徴としている. 低ア スペクト比を有する装置の特徴としては, MHD的に安定していること, 将来の 商用炉を考えた場合コスト面で有利なこと等が挙げられる反面, 粒子の軌道損 失が比較的大きいという不利な要素も持ち合わせている.プラズマの生成は, 基本波/2次高調波の電子サイクロトロン共鳴加熱 (ECH, 53 GHz)またはNagoyaType-IIIアンテナを用いたイオンパーンシュ タ イン波加熱(IBW, 7.5 MHz)で行う. 加熱には2基の中性粒子入射装置(NBI) およびハーフターンアン テナを用いたイオンサイクロトロン加熱装置(ICRF) を用いる. NBI2号機のビーム 入射は接線方向に固定されているが, 1号機は 入射方向を 接線方向から垂直方向まで任意に変えることが可能である. また1 号機と 2号機はビームの入射方向が互いに逆向きであるため, 同時運転を行う ことによりバランス入射の加熱実験を行うことが可能である. 本研究では, ト ロイダル磁場Bt = 0.6 - 2 T, 磁気軸の位置R以=88.8 - 99.5 cm , 平均電子密度
R59×10i3m-3で実験を行った.
周辺プラズマの制御用として, プラズマが横長になる位置にステンレス製の 可動リミターを取り付けた. また直径約50 cmの円形コイルがヘリカルの各セ クタ上下に計16個設置してある. これらのコイルはプラズマ中心部で, トロイ
ダル磁場強度に対して約0.10/0の大きさの摂動磁場を発生させ, 最外殻磁気面 近傍にポロイダル/トロイダノレモード数n7/n= 1/1の磁気島を生成する. 磁気島 の存在を確認するために電子ビームと蛍光メッシュを用いた磁気面マッピング を行ったが, 蛍光メッシュは前述の可動リミターのヘッ ド部を交換して取り付
けた.
表4.2.2に, CHSに現在設置されている計測器の一覧を, 図4.2.2に加熱装置も 含めた各計測器, リミター, 摂動磁場コイノレの配置をそれぞれ示す.
Quantity
口c
T
T
Atom density no
Potential φ
Impurity
Radiation power Prad Diffusion
Fast ion loss Plasma cu汀ent I Stored energy �ia
Bθ Shape
Diagnostics
HCN Laser interferometer Thomson scattering Lithium beam probe Langmuir probe Thomson scatterin日
Electron cycrotron el1lission (ECE) Soft X-ray detector a汀ay (SX) Langmuir probe
Charge exchange recombination spectroscopy (CXRS) Fast neutral particle analyzer (FN A )
Time-of-f1ight neutral particle analyzer (TOF) Hαlight monitor
CXRS
Heavy ion beam probe (HIBP)
Langmuir probe VUV spectroscopy Bolometer
Instrumented limiter FNA
Rogowskii coil Diamagnetic loop coil 恥1agneticprobe array 1v camera
表4.2.2 計測機器の一覧.
50
Profile
possible possible possible possible possible
possible possible possible
possible possible possible possible
山amp
y
beωーraThomson scattering
FIR Interferometer
Perturbation coil
図4.2.2 加熱および計測機器の配直.
4-3 高ベータ放電実験
4-3-1 研究の背景
高ベータのプラズ〉マを実現しその性質を調べることは, 将来の燃焼プラズマ を実 現させる上で非常に重要である. CHSは低アスペクト比(=5)のヘリカ ノレ装置であるため, 高ベータ般電時には大きなシャフラノフシフトが起こり [39J, 広い範囲で磁気井戸配位となり, It(タト,i!{磁気面位置の移動, 周辺磁場構 造の変化による周辺の密度分布の変化等が予怨される. 平衡限界に近いこのよ うな高ベータ放電時に, プラズマ周辺部で儲気面が安定に存在するか否かは実 験的にのみ確か めらる問題である. また, プラズマの位置変化は, リミターや アンテナ, ダイパータ, 計測器などの真空容器壁に設置される機器の設計を行 う上で問題となるため, ベータ値の上昇に伴う周辺プラズ戸マの位置変化を実験 的に明らかにすることは重要である.
CHSの最高到達ベータ値は, 理論的には体積平均で5%以上と予想されてい
るが[38], これまでの最高値は2.1%である[40J.
4-3-2 周辺密度分布と密度居留J
実験はイオンバーンスタイン(IBW)波によって生成された水素プラズ、マを,
2基の中性粒子入射装置(NBI)で加熱することにより行った[40-42]. 2基の
NBIはともに接線入射で入射方向は互いに逆向きである. NBIのポート通過出 力は合計1.8 MWで, 最高到達平均電子密度は6.5 X 1013 cnl.3であった. トロイ ダノレ磁場Btは, 高ベータ実験では通常より低く0.57 Tに設定した.
図4.3.1に, 典型的な高ベータ放電時の反磁性ノレープで計測した体積平均ベー タ値<ßwa>およびHCNレーザー干渉計で計測した線平均密度えの時開発展を示 す. 電子 密度はガスパフを行っている問上昇を続けるが, ベータ値はt= 120 msec付近で飽和する傾向を示し, その後若干減少する. しかしt= 142 msecで
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200 150
100
t
(msec)
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。
典型的な高ベータ放電時のベータ値<ßJJJ>および線平均密度万sの時間 NBIの入射のタイミングも示しである.
発展. ガスパフおよびIBW,
図4.3.1
ガスパフを停止すると, 万Jは減少するが<ßJI�>は急激に増加し最高値に達する.
ガスパフ停止後の くん司>の急激 な増加は「再加熱(reheat)Jと呼ばれる[43]・
くんa>つまり蓄積エネルギーの増加は, 荷電交換損失の減少によるNBIパワー 吸収の増加と, 中性水素原子と不純物イオンとの荷電交換を介した放射損失の 低減により, 特に規格化半径p>0.7の領域でイオン温度ならびに電子温度が増 加したためであ ると考えられている. この現象は同時に, 密度分布のピーキン グと中心部への不純物の蓄積を伴う. これはガスパフ停止により, プラズ戸マ周 辺部で中 性粒子による粘性が減少しプラズマの回転速度が増加することにより 生じる と考えられている[43J. プラズマの回転速度が増加すると, 不純物イオ ンに内向きの速度を与える負のポテンシヤノレが形成される.
高ベータ放電時の周辺密度分布の変化を, リチウムビームプローブで 計測し た結果を図4.3.2に示す. ガスパフ停止後は周辺部におけるプラズマの生成が減 少し分布が 急激に変化するため, ここではガスパフ中の密度分布の変化のみを 示している MAGNコードを用いて計算した真空中の最外殻磁気面の位置は
z= 12cmである[44J. この位置は極めて低ベー タ 時(<ßwa> = 0.02 0/0)に, 密 度勾配が変化して分布 が折れ曲がる場所(変曲点)とほぼ一致 している.
くんa>が上昇して0.8 0/0になると, 変曲点はlcm以上も外側へシフトし, これ より内側の 領域で密度勾配が急峻になることがわかる. さらに<ßJja>が上昇し
て1.75%になると, 変曲点のシフト量は2cm以上に達する.
図4.3.3(a)に揺動のスベクトルを示す. NB的日熱中に観測された揺動のパワー スペクトルは, 図から わかるようにf > 50 kHzの範囲でほぼfに比例す る.
この傾向は, ATF (米国オークリッジ国立研究所)のr:tl に比例するとい う 結 果を除くと[45] , 他のトーラス装置で得られている結果にほぼ一致する[3]. 揺 動の性質をさらに詳しく調べるために, ZI紬方向の波数k/を隣接す る2チャン ネノレの揺動信号から(2-4-7)式を用いて計算した. 結果を図4.3.3(b)に示す.
kzは, 揺動が中心から壁に向かつて伝播する方向を正にとっている. 図より,
揺動はkz~3-5m-lで壁に向かつて伝播していることがわかる.
8
九 % ~
万
11 、、 、
- V E \
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11211 1、、
EEEEZ EEEEE li t-- ハU %
<ßdia>=
0.02 7(14
( 門1 5υ 口 。-)
ω ロ
。
14 1 6
高ベータ放電時の周辺密度分布の変化.
z
(cm) 1
210
図4.3.2
1
0-2ヨ10-4
ロコ
..D い4
"-" 1 �
0-6
αつ
1000 1 00
(kHz) Frequency
10 1
0-8
0.1
6
(a)パワースペクトルおよび(b)周波数fと波数k/の関係.
56
一 一
一
at三 会為。
ハfも - Ctß
04
I
2
T
oi o
kr (cm-1)
一『
。 。
。
。 T
。|
-2
T
OQP -4
I
。
\、,ノ''O /,,‘\ ト
'
80←
ト
ド
20ド
ト
O
-6 100
60
40
揺動の
(NEUA)λυ口一ωコゲω』'山
図4.3.3
4 - 3 - 3 VMEC コードによる平衡計釘d
ベータ値が上昇すると, 低アスペクト比のCHSでは, 図4.3.4に示すようにシャ フラノフシフトによる磁気軸および最外殻磁気面位置の変化が顕著になる[39].
このシフト量は恥凹D平衡計算によって理論的に予測することが可能である. 本 節では, 3次元のMHD平衡計算コー ド(白由境界VMECコード)を用いて計算 した最外殻磁気面のシフト量を[46], リチウムビームプロープで計測した実験 値と定量的に比較する.
トムソン散乱などの分布計測および計算値から, 磁気軸のシフト 量 は,
<ßω>=2 0/0の時, 平均半径の4070近くに達ーす ることがわかっているが, 最外殻 磁気面のシフト量は, ヘリカルコイルが上下に位置し, プラズ〉マが横長になる 所で最大(平均半径の約300/0) となり, ヘリカルコイノレが左右に位置しプラズ マ が縦長に なる所では非常に小さい(平均半径の数%程度)ことがわかってい る[40]. リチウムビームフロープで観測してい る 場所は, およそこの中間に位 置している.
実験において最外殻磁気面のシフト量を評価す るには, まず最外 殻磁気面の 位置を定義しなければならない. 最タト殻依気面の内側と外側で磁力線 の接続長
(connection length)は大きく変化するので, 密度プロファイノレは最外殻磁気面
近傍でその勾配 が大きく変化する. シャフラノフシ フト で最外殻磁気面 の位置 が移動する 時, 勾配が変化する位置も最外殻磁気面のシフトに対応して シフト するはずである. そこで本実験では, シャフラノフシフトによって 変化する最 外殻磁気面の絶対的な位置を直接計算結果と 比較するのではなく, 最外殻磁気 面のシフト量が密度 勾配が変化する位置のシフト量に等しいと仮定した上で,
このシフト量の相対的な変化を計算結果と比較する方法をとった.
図4.3.5に, ベータ値<ßJia>が00/0から20/0まで上 昇した時の最外殻磁気面の 変化量ðzを示す. 実線がVMECによる計算値, 白丸が実験値である. ðzは,
V肘1ECの場合, 真空の最外殻磁気面からのシフト量を, 実験値 の場合, 極めて
低ベータ放電時<ßJja>二0.02 % (--- 0 0/0)からのシフト量を示しである.
40
origin of z-axis
。dia>二0.0
0/0一一一一てßdia>二1.07r 20
。
(gυ)N
vacuum vessel
-20
140
V恥伍Cコードを用いて計算した真空および<Ap=2%時の磁気面.
120 100
R (cm) 80
-40 60
図4.3.4
58
(50)N勺
。
。 。
3
2
2
<ßdia> 0/0
。
。
<良Jia>上昇時の最外殻磁気面位置の変化量.ð.z .
F f 一一一
実線はVMECによる計算値.
S9
図4.3.5
シャフラノフシフトによる最外殻儲気面のシフト量は, ベータ値の上昇とと もに単調に増加し, <ßJi<l> = 2 70の�Lf, 約2cI11に達する. 実験値と理論値は図か らほぼ一致していることがわかる.
4-3-4 動的ポロイダノレ磁場制御実験
前節までに述べたよう に, ベータ値が上昇する につれて最外殻磁気面は外側 へシフトする. シャフラノフシフトによるこのような最外殻磁気面位置の変化 は, 磁気面周辺部のエノレゴディシティー, MHD的な安定性および閉じ込めに影 響を与える可能性がある. この変化は, MHDの思論計算からは予測できず, 実 験からのみ知ることが可能である. また, 高ベー タ放電中に周辺プラズマが 外 側へシフトしてくると, プラズ、マと加熱アンテナ, 真空容器との距離が 変化し,
電磁波の吸収効率やプラズ、マからアンテナおよび真空容器へ流入する熱負荷分 布が変化するため, プラズ、マのシフトは周辺機器設置の観点からも好ましくな い. そこで, ベータ値の上昇に伴う最外殻綴気面 のシフトを, ポロイダル磁場 を時間的に変化させることにより抑制する実験を行った. 本節では, 周辺密度
プロファイル の計測により動的ポロイダル磁場制御の有効性を検証し, この時 の閉じ込め特性を通常の高ベータ放電時の閉じ込め特性と比較した結果につい て述べる[41].
実験 はCHSの3組の ポロイダノレコイノレに通電する電流を, 時間的に変化させ ることにより行った. この実験では, 加熱ノミワーとガスパフの量が前節までに 述べた放電より若干少ないために, 52-高到達ベータは<ßJIU> = 1.6 0/0であった.
図4.3.6にポロイダ、ノレコイルの通電ノミターンをベータ値の時間変化とともに示す.
放電開始時の磁気軸の設定位置は通常の高ベータ放電と同じく , Rax=92.1cm とし, ベータ値が上昇する問にポロイタマルコイルの電流設定を変えて, 磁気軸 の設定位置を内寄せ配位のRux= 90cI11まで連続的に変化させた• Rax= 90cmの設 定で <ßJia> = 1.5 %の時, 最外殻儲気面は人=9�.lcm設定時の真空の最外殻磁 気面と1mm以下の精度で一致することがVMECの計算から予測されている.
60
Rax == 90 cm
Rax = 92 cm
1 .5
0.5 2
。
(ポ)の}む囚OニωCOのE50}Cむとコ。
。 ιコの力一O一O牛
0.25 0.15 0.2
ポロイダノレコイルの通電パターン.
0.1
Time(sec)
0.05
。
図4.3.6
ー0.05
従って, こ のようなオペレーションを行うと最外殻磁気面の位置 は放電中 一定 の場所にとどまって 動か ないことが期待される.
図4.3.7 (a)に 動的ポロイダル磁場制御 を行った放電時 の周辺密度分布 の時 間変化を示す. 図4.3.7(b)は制御を行わない通常の放電時の密度分布である.
動的ポロイ ダル磁場制御によりt二81 - 135 msecの問, 周辺密度分 布は ほとん ど変化せず, 最外殻磁気面が一定の場所に固定されていることがわ かる. ただ し, ポロイ ダルコイノレ電源の制御系の問題から細かな 時開設定が不可能である ため, これ以外の時間では密度分布は変化する. リチウムビームプローブはプ ラズ、マが横長になる位置で計測したが, 縦長になる位置で計測し た真空紫外光 の分布計測からも同様な結果が得られており, 動的ポロイダル磁場制御により,
高ベータ放電中プラズ、マの境界を一定位置にとどめておくことが可能である こ
とがわかった. 動的ポロイダル磁場制御で最外殻 磁気面位置を固定したことに よる主プラズ、マの閉じ込め特性の変化を調べるため, 図4.3.8にベータ値の密度 依存性を動的ポロイタツレ磁場制御の有無で 比較した結果 を示 す . t= 70- 135
msecの動的ポロイダル磁場制御中, 最外殻磁気面位置が固定されている間は,
同一密度で比較すると制御を行わない放電に比べて ベータ値が約10%増加して いることが わかる. 一方, プ ラズ、マの正味の蓄積エネルギーは両者でほとんど 差がない. この理由は, 動的ポロイダル磁場制 御 を行わない場合, 最 外殻磁気 面のシフト とともにプラズ、マの体積が増加するた め であると考えら れる. 磁気 軸の 位置がRJX= 92.1cmの配位では, 最外殻磁気面は真空容器のトーラス内側 の壁で決定されている(トロ イダルリミター配位). シャフラノフ シフトでプ ラズ戸マ柱が外側へ移動すると, 最外殻磁気面は真 空容器内壁で新たに決定され ることになり, 結果としてプラズ、マ体積の増加をもたらす.
以上の実験結果から, 動的ポロイダル磁場制御により高ベータ放電中プラズ マ境界を一定の位置にとどめておくことが可能であることが示され , ベータ値 が約100/0増加することがわかった.
62
ρし
epδ
mO0 5
1i ハU 勺ん今、〕
06 ti ti --
(a) 10
一一一30 msec
-
- -40ーーーー・
60一一-
81一一ー100 135 5
0 10
5
( 刊l gQ N -。-)
ω ロ
�
( 門 t EO N -2) ω ロ
0
10 14 1 6
z
(cm)
12
(a)動的ポロイダ、ル磁場制御 (b)制御を行わない通常の放電.
周辺密度分布の時間変化.
を行った放電,
図4.3.7
1 .5
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(1013 cm-3)
図4.3.8 動的ポロイダル磁場制御の有無で比較したくんa>の密度依存性.
64
.ーー- ーーーー ー |
4-4 Hモード放電実験
4-4-1 研究の背景
トカマク装置では, オーミックプラズマに中性粒子を入射(NBI)して追加
熱する際, 閉じ込 め特性が劣化(Lモード)する現象に悩まされてきた[5,6] .
1982年, ドイツ, マックスプランクプラズマ物埋研究所のASDEX装置における
ダイパータ放電で, 閉じ込め時間がしモード日、ltの2-3倍改善されるモード(H
モード)が発見された[7]. トカマク1UJRと同じくヘリカノレ系の装置でも追加熱 による閉じ込めの悪化が観測されており, トカマク装置のHモードのような閉
じ込めの改善が重要な研究開Eとなっていたが, 1992年, 2つのヘリカル 装置,
CHSとマックスプランクプラズマ物理研究所のvVenderstein7-AS (モジュラー・ ステラレーター)で, あいついでHモードが発見された[47,48]. トカマク装置 におけるHモードの最初の発見からt5年近く経過した現在でもその物理機構は 十分には解明されていない. この点におい て, 無電流系のヘリカノレ装置で得ら れる知見はHモードに関する理解を加速する可能性がある.
リチウムビームプローブは, 速い時間分解能で密度分布と揺動分布を計測す ることが可能であ るため, 非常に短時間の遷移現象を伴うHモードの研究に適
した計測手段で、あるといえる.
4 -4 -2 CHSにおけるしH 遷移
CHSのHモードは[49,50], 誘導コイノレ(ポロイダノレコイルで代用)によりプ
ラズ、マ 中に電流を誘起し, 回転変換(l /2π)分布を外部導体コイルのみによ る分布から変化させることにより達成される. 通常の内寄せの磁場配位におけ
る回転変換は, 磁気軸上で、l /2π�0.25, 最外殻磁 気面上で、l
/2π�O.9である.プラズマ電流
4
は回転変換を増加させる向きに誘起す る. 約2Vの1周電圧に より4
は最高40 kA程度まで流れるが, オー ミック電流による加熱パワーはNBIによる加熱ノξワーと上ヒ較して無視できる. 回転変換は,
4
により磁気軸上で、l/2π,....___0.8, 最外殻依気面上でL/ '2π� 1.1まで増加する.
実験は, トロイダル磁場強度B,= l.2 Tで, Nagoya Type-IIIアンテナ(イオ ン ・ パーンシュタイン波, IBW)により生成された水素Hまたは重水素Dプラ
ズFマを順方向入射の NBI (,....___ 700 kW) で追加熱することにより行った(図
4.4.1 (心) . 平均密度は万.c= (し53)×lOlJC111J である. プラズマが生成すると,
ポロイダルコイルに流す電流の変化で生じた誘導電圧(� 2 V)により, プラ ズ、マ中にオーミック電流
4
が流れ(1叱14斗1 (h) ) , Ir はガスパフを停止する に130ms巴cまで増加し続ける. ニiミプラスマからの外向き粒子束の量をある程度 反映していると考えられているH((/D((の発光強度は, 図4.4.1 (c)に示すよう に, プラズ マ生成直後から徐々に上昇するが, �、� 28 kAに達するとL-H遷移 が起こり急激に減少する. 民/0((光の減点時聞から得られるL-H選移の典型的 な時定数は0.2 n1sec以下である. 図斗4.1 (d)に, プラズ、マの中心および周辺 部(規格化半径p= 0.9の場所)における線積分密度げを示す. ガスパフをt=130111secまで連続的に行っているにもか かわらず, L-H 遷移以前はりに.ほと
んど変化が見られないが, L-H遷移以降は, 中心部, 周 辺部ともに急激に増加 する. 同様な傾向はプ ラズ、マ中心における軟X線の信号にも見られる. 刀lはt
,....___ 50 msec 以前も上昇している が, これはHモードのような粒子閉じ込めの改
善によるものではない t,....___ 50 IllSèC以前の密度の上昇は, NBIの入射 と ガスパ フレートの増加によって電離が促進したためであると考えられる. CHSで観測 されるこれらのL-H遷移に関する現象は, トカマク装置におけるしH遷移時の プラズマの仮る舞いに非常によ く 似ている.
t= 148 msecのNBI停止による密度の減少に伴って, H((/Dα光も減少に転じる.
プラズマ電流んも減少し, NBI停止のあ( Il1SèC後(t = 1 S4 msec)にんが,....___ 30 kA まで減少したと ころで逆(H-L) 遷移が起こる. 図4.4.1から, t= 154 msec以降
Hα/0.α光が急激に増加し, 線積分密度 n Jが減少してLモードに戻ったことがわ かる. 尚, CHSのHモード放電では, ノk素と重水素の違いによる遷移現象の顕 著な相違は見られなかった.
66
ー,ノa /''\
NBI一一一一-
,Gas Puff I
(c)
(d)
50
25
0 2
0 2
(〈vcJ
( Nl a r-2) \ δ出 δ(同 (.D.5
150 200 100
t
(msec) 50
。
。
ガスパフのJJtナシー
NB[, IBW,
\ω 〆rtt、、
典型的なHモード放電における
図4.4.1
(d)中心および
Hc) Dα光,
プラズマ電流�)
, (c)、、lj Lu fft、
周辺の線積分密度n Jの時間発 ケンスと
4 -4 -3 L-H遷移時の密度分イfîの公化
L-H遷移時の周辺プラズ、マの密度変化を詳しく調べるため, リチウムビーム
プローブで得られた電子密度の時開発展を図4.4.2'こ示す. この図で(a), (b),
(c)は最外殻磁気面(LCFS)近傍の小半径方向に並んだ3点における電子密 度の 時間発展を示している. この放電におけるLCFSの位置は, 自由境界3次 元平衡計算コード(VMEC)の計算によると, z"-' 12 co1である. ただし, プラ ズマ電流が存在する条件下ではVMECの計計a結果は, 必ずしも信頼性の高いも のではない. 図から, L-Hill移時にLCFSのいJ'íJllJと外側で密度は正反対の仮る舞
し\をすることがわかる. LCFS内似IJのぷ二11.3 CJllでは, nが3 X 1012 cm-3から 4 X 1012 c01-3 ,こ増加するが, LCFS外側のz = 12.7 cmでは, 刀、が1.5 X 1012 c01-3 から0.3 X 1012∞1・3に急激に減少する.
図4.4.3(a)に, L-H遷移時の周辺プラズマ密度分布の時開発展を示す. Lモー ド時(95 - 100 msec)の密度分布は, 選=移直前(100 O1sec)にz= 12.7 co1近傍 でわずかに増加し平たん部が形成される他はほとんど変化し ない. この特徴的 な過渡現象はCHSにおいてしばしば観測されるが, これがL-H遷移の必要条 件かどうかは明らかでない.
L-H遷移直後t= 101 Dlsecの密度分布は , 遷移直前の分布と比較すると,
LCFSより外側のz>12cmの領域で宿皮が減少し内側で密度が上昇している.
このためLCFS近傍の密度勾配が位、111交になる また密度分布の急峻化と同時に,
図4.4.1(c)に示したようにH(,IDf'たが二i、政に減少する. 本実験において計測 されたH((ID,α光は, 周辺部の〉!とではなくプラズマ全体からの光であるが, 放電 時間内にソース項がほとんど変化しないと仮定すると, HCLID('tの発光強度は外 向き粒子束fの量を反映していると与えられる.
上に述べた, LCFS外側領域(乙>12cl11)の密度の減少とHa/Da光の減少お よびLCFS内側領域における密度分布の急�俊化は, Hモードが達成されると LCFS内側に「輸送障壁」が形成されることを示唆している. 図4.4.2より, 輸
送障壁は非常に短時間(0.1 O1sec以下)で形成されることがわかる.
68
z==11.3
cm (a)
8
H-mode 4
0
8
( 門l gυ 2 2) ω 口
Z二12
cm
、、,ノ'hU /'・1、
4
0 8
..--.
C'rJ
にJ
g
01
o
�\ー_./
ロ
Q)105 110 100
t
(msec)
z==12.7 CTI1
95 (c)
4
0 90
rη
日
υ?寸
o
�\ー_./
口
ωz =
11.3
cm ,z =
12.7
C111における密度の時開発展.最外殻磁気面(LCFS)近傍の3点(a) (C)
z =
1
2 C111 ,、、t,ノhu r,,、、
図4.4.2
一一 - 95 msec
- - 98 --- 100
101 - 103 一一一105 一一ーー135
8
4
(門15υN-。-)ωロ
0 8
ー75 msec
- - - 85 一 - 98 - - - 103
- 135
4
/占、\
c"i
g
υ守、j
。
� '-""
ロ(j)
0
10 1
314 1
5z
(cm) 1
21 1
(a) L-H遷移時の周辺プラズ、マ密度分布の時開発展, 電流を流さない放電の密度分布の時開発展.
、、』,/
〆'tt\ LU 図4.4.3
70
L-H遷移以降, プラズマ境界部は凶斗.斗ス(a) �rのl= 105 msecおよび l= 135 msecの分布からわかるように, 急峻な密度勾配を保ったまま外側に膨張する.
この現象は次に述べるように, Hモード達成による閉じ込め改善の効果として 説明することができる. Hモード放電の実験は内寄せの磁場配位で行うため,
LCFSが真空容器内壁で決定されるリミター配位になっている. Hモード達成 によって閉じ込めが改善されると, プラズ、マの圧力が上昇して磁気面が外側に シフトする. その ためLCFSは真空容器内壁で新たに 決定されることになり,
結果とし てプラズ、マ体積の鼎加をもたらす 従ってしH遷移以降プラズ、マ境界
部は急峻な密度勾配を保ったまま 外 i!lJJに膨 張する
円14.4.3 (b)は, 比較のために誘導電流を流さずに放電を行 ったショ ットで
計測した周辺密度分布の時開発展である. 電流の有無(回転変換分布の違い) 以外, 他の実験条件は図4.4.3(a)と同じである. この放電では, Hα /Du光お よび りの信 号にしH遷移は見られない. 周辺密度分布も, 図からわかるよう
に放電中ほぼ一定で, 突然急峻になる等の遷移は見られない. また, 電流を流 したと きに比べて全体に密度勾配が緩やかなことがわかる.
4-4-4 スクレープオフ層のモデノレ
4-4-5節以降, L-H遷移時の密度出動と拡散との関係について議論するため,
まず径方向の拡散係数と密度分布との関係を、 スクレープオフ層(SOL)の簡
単な2次元モデル(図4.4.4)を肘いて導く[:2,25,51 ].
SOLの厚さはプラズ、マ の小、い径に比べて卜分に小さいとし, イオンは磁力線
方向に音速C, ( = ( kT.. / M) I/� )のr1ì与の述皮で運動する と仮定す る fの値は
0.3程度である. SOL中の粒子束をr (=�+九九 プラズマの密度をη=nこん
中性粒子密度をnりとすると, 定常状態におけるSOLの粒子バランスは,
δr. m,
一一(Jr ム+一éJL Iι=n n'.; '(1 . <' -汀"' > -
(4-4-1)
となる. ここで[, Lはそれぞれ径方向, 協力線方向を表す. また<σ\1>は水 素原子の電離のレート係数である. (斗-4-1 )式にFickの法則
仁 二-DVn_C =-D
生と
(4-4-2)ëJr を代入すると(D径方向の拡散係数)
。217 n tC
-Dーでと+よ土 s 二17/1" <σγ>
。Irl. L ..: 11
(4-4-3)
となる. ここでSOL中の磁力線の特徴的な長さとしてL (接続長)を用いてい る. さらに密度のスケール長をL11, lLC町二G とおいて, SOLの密度分布を次 式のように仮定する.
nか) = n,.( α)cxp
(
-7 )
(4-4-4)式を(4-4-3)式に代入すると
D 同C
ーー
L
で�!
+二一ーム
と=
17,H
‘<σγ>'. L2 11 =
-
fCべ-LL17(1 < σ1 ここで, fC>>L仁川<σ\1>を仮定すると,L
�厚
となる
.
72
(4-4-4)
(4-4-5)
(4-4-6)
Wall
SOL plaSnla
Confined Pla�ma
図4.4.4 スクレープオフ層の2次元モデ、ル.
4 - 4 - 5 L-H遷移における密 度揺!日Jと拡 散の関係
図4.4.2からわかるように, L-H遷移後, LCFS外側(z = 12.7 cm)の密度揺動 は小さくなる. 4-4-3節で述べたように, L-H遷移により粒子輸送は改善され ていると考えられる が, さらに密度揺動と径方向の拡散係数との関係も検討し てみる. 径方向の粒子束rは直接計測していない が, LCFS外側の拡散係数D は, リチウ ム ビームプロ ーブで計測した密度分布から , 密度のスケール長Ln
(二11c;(d nj drrl )を求め, (4-4-6)点をf↑jし1ることにより定性的に評価するこ
とができる. ただしリチウムビームプロープによって得られるスケール長L併 は, 厳密には径方向のスケール長 LII と 具 な るが, Dの定性的な評価には影響
しないと考えられる.
図4.4.5に密度揺動の振|幅<九>および密度のスケール長L
J
の時開発展を示 す <ふ>は0.2 msec間平均した密度揺動の ffilS 値である. 図よりHモー ド 遷 移が起こると密度揺動が500/0以上減少し, 同時にスケール長Ln*が短くなることがわかる. この結果は, L-H遷移が起こると密度揺動 が抑制され, 径方向の 粒子拡散係数Dが減少することを示唆している.
Hモード、に入って十分時間がたつと, く九>, LJJとも徐々に増加する. 不 安定性の成長の原因は今の所明らかではない が, <ñじ>が大きいとLn*が長く なる, すなわちDが大きくなるという関係、は遷移直後と同じである. いずれに しても, Hモード中に成長するこの不交定↑/主によって, Hモードが崩壊してLモー
ドに戻ることはない.
密度揺動について詳しく調べるため, どこ1'2.7cmにおける揺動のパワースJ O
クトルをFFTを用いて計算した. [三|斗斗6 (a)にLモードおよびHモード、時のパ
ワースペクトノレを示す. FFTの計算には, それぞれl = 95 - 97.6 msecおよびt=
10ト103.6 msecの時系列データを使用した. スペクトルは非常にプロードであ
るが, L-H遷移 が起 こ るとすべての周波数領域で振幅が減少していることがわ かる. さらに径方向(実際はz軸方向)に離れた2チャンネル聞のコヒーレン スを求めた. 図4.4.6 (b)はLモード時, (c)はHモード時の z= 11.3 Clnと
74
1 .5
当ー
H-mode z=12.7
cm
(a)
1.0
0.5
( 門 t gυ 2 0円)八ぜ〉
0 4
2
(Eυ)~-1H
一一--'へ�
z=12.7
cm (c)
0 4
2
(gυ)\-J
ハ〉
密度揺動の振幅<久>および密度のスケール長Ln*の時間発展
105 100
t
(lTISec)
95 0
90
図4.4.5
1 0-4
1 0-6 1 0-5
1 0-7 1 0-8 (∞コロロ.2見)∞
L-mode
0.5
。
0.5
ωυロω-Hω40h)
ωωロω'Hωぷ。ハ)
1 00 1 50 200
Frequency
(kHz)
50
。
。
(a) Hé�Jのパワースペクトル,
図4.4.6
Lモード時のコヒーレンス,
Hモード時のコヒーレンス.
76
、、IノLu ffth、
(c)
Z二12.7cmのチャンネル間のコヒーレンスである. コヒーレンスは径方向の粒 子輸送に密僚に関係していると考えられている. Hモードに入ると特に30kHz 以下の揺動のコヒーレンスが小さくなっており, この周波数領域の揺動が粒子 拡散に影響していると考えられる.
4-4-6 周辺密度揺動とMHD不安定性との関係
これまで、述べたように, L-H 遷移はt= 100.7 lllsecで起こり, 密度分布および 揺動の振|隔が変化す る. ところが図斗斗2カ=らIYJらかなように, L-H遷移以前の
t "'-' 8 0 msecで、も密度分布が変化し伝動が大きく抑制されており, 一種の遷移が
起こったように見える. しかしt"'-' 80 I1lばCの遷移の場合, Hα/Dαの発光強度 の減少とLCFS内側の密度の上昇は見られず, t二100.7 msecで見られるような
L-H遷移とは異なる現象であると思 われる.
本実験の場合, 放電中に電流が増加して行き回転変換分布も時間とともに変 化する. 従ってMHD不安定性に関係する特定の有理面が 現れたり消滅したりす ると考えられる. そこでプラズマ中に電流が流れた場合の回転変換l / 2πの分 布を調べ る ために, 実際に計測したプラズ、マ電流値4を用いてVMECによ る 計 算を行った. 計算に用いた電流分布はφ を ト ロイ ダノレフラッ クスとして次 式で 仮定した. 圧力 分布も同 様にパ ラ ホ リ ッ ク の 2 来 分布を用いた.
) = )1) ( 1 _ p2 )2 (p =φ112 ) (4-4-7)
図4.4.7に計算結果を示す. 実線が般電直後, 点線がL-H遷移直後の回転変換
l / 2πの分布である. 主な低177の有J1U而の位iiiを償線で示している. 放電直後 はnl/刀二2/1, 3/2, 4/3の有理面が存花するが, 1/1の面は存在しない. プラズ マ電流
4
が増加していくと, まず2/1の面が消滅し, L-H遷移の直前で3/2 の面 も消滅することがわかる. 一方, 新たにl/I面が現れてくる. MHD揺動のモード数はV孔伍Cの計算結果から, 放電l直後はη7/η= 2/1, 3/2, 4/3で, 途中2/1
1.2
n m
0.8
,
, 1/1
,
,
,
- ーー
ー ーーー ー ーーー ー ー ー 一一 ー一一 ーーー 4/3
付日 3/2
、、、
� 2/1
0.4
一一一一L-n1ode
- 一一一 -H-mode
0.0
0.0 0.5
r/
1.0
図4.4.7 V恥伍Cを用いて計算した, L-H遷移時の回転変換( l / 21C )分布.
78
の揺動が安定化され, L-H遷移直前に3/2も安定化されると予怨される.
図4.4.8に(a) リチワムビームプロープの信号, (b) 磁気フ。ロープ の信号,
(c) rmsによる磁場揺動の辰幅の時開発展を示す. 揺動の振|幅は, 全周波数領
域とコヒーレントな揺動成分に分けて計算した. さらにコヒーレントな揺動に 関しては, ポロイダノレアレーおよびトロイダルアレーを用いてモード数を同定 しである. 図中に示したモード数は, コヒーレントな成分とし て観測される不
安定揺動のモード数が時間 的に変化することを表している. v加æcによる計算 で予想した通り, 放電直後に励起している177/η二2/1の揺動は途中で安定化され,
L-H遷移直前に3/2も安定化され るが, 新たに1/1, 2/2といったモードの揺動が 励起し てくる. nl/η= 2/1の怪動が安定化されるのはt� 80 msecで, これは図 4.4.8 (a) で周辺部の密度揺動が安定化されるタイ ミングに一致している. 従っ てt�80 msec以前の密度揺動は, 刀7/刀=2/1のl\1HD不安定性に関係した揺動で,
プラズ戸マ中心近くのL / 2π=0.5の有理面で発生した不安定性が周辺部まで伝わっ ている可能性がある. この推測の傍証として, ショットは異なるがプラズ、マ中 心付近の不安定性がプラズ、マ周辺まで伝播している実験結果を図4.4.9に示す.
これはl/2π=0.5の有理面で発生した温度の鋸歯状振動を, 軟X線検出器で測 定したものである. この鋸歯状振動は周辺に向かつて伝搬しており , リチワム ビームで計測した密度の信号にも軟X線検出器の信号 と同期し た揺動が検出さ れていることがわかる.
η1/ η= 2/1のMHD不安定性に関述した周辺密度揺動の抑制がL-H遷移の必要条
件ではないが, 少なくともこの不安定性が抑制されると非常に明瞭なL-H遷移 が観測された. 現在, L-H遷移のJ�、民条件と考えられているものは, NBIの関 値(320 kW) と電流の関値(30 A) (し\ずれもBI = 1.2 Tの時) である.
4
。
0
2 2
フ」pb
3
,-._
ぐず3
5
にJ P寸o
� '_./
(l)
口
(∞コロロ.手同河川) φ凶(∞コロコ.2・5)八 。∞v
160 140
1 00 1 20
t(ITISeC) 80
0 60
リチウムビームプロープの信号
、、EJノ勺ufi‘、
図4.4.8
(b)綴気プロープの信号
(b)綴気出動の娠中高の時開発展
80
SX (center)
(c)
。 2
2
。 2
�ーヘ ...
,...J '-" Cぢ
�
(. コ . 5 H (. コ . 5 H
Li (z= 12.4cm)
120 130 t
(n1sec)
ハU
0100
(b)周辺部 リチウムビームプローブで計測した周辺部の密度揺動.
(a)中心部,
軟X線検出器で測定した不安定波動.
(c) 図4.4.9
4-5 周辺プラズマ 制御実験
4-5-1 研究の背景
これまで述べたように, 一般にHモードや再加熱モードのよ うな良い閉じ込 め状態が実現しているとき, 周辺プラズマの不安定制は抑制されている. また,
これに関連して電場の大きなシアがプラズマ周辺部に形成されるこ ともわかっ てい る. 従って周辺プラズ、マを制御することによって, 揺動の抑制や電場の形 成を行うことが可能であれば, 主プラズ マの閉じ込め性能を向上させることが 可能になると考えられる
周辺プラズマはまた, 主プラズマと真空容器壁あるし\はダイパータ板との境 界をな すものである. 従ってプラズマとこれら材料の相互作用が問題となる将 来の燃焼炉の設計や, プラズ、マ近傍に設置する加熱アンテナの設計等, 工学的 な見地からもその制御方法を確立することは今後重要になってくると考えられ る[25].
4 - 5 - 2 ICRF加熱による周辺プラズ、マ制御
これまでに行われた直線装置やトーラス装置におけるRF (高周波)リミター
の実験結果から, 周辺プラズマのilJlJ佐11にRFの印力11が効果的で あることが指摘さ れている[52J. 本節で は, イオン力11洲夫!駄における周辺プラズ、マの観測結果か ら, 高周波(ICRF)が周辺プラズ、マにらえる彫智を明らかにする[53,54].
実験はNBIプラズマにICRFをiUltすることにより行っ た. 図4_5_lに z=
13_6cmで計測したLiIの発光強度J(ノヲ11、!?川交化を、 線平均密度万およびプラズ
マの蓄積エネノレギ� V1(l!Jとともにぷす Iは, 卜分低密度領域の信号であるため 密度の時間変化を反映している. 邑lから, ICRF印加直後より数msecの間, 非 常に大振幅の低周波揺動が励起し, その後突然揺動の振|福が減少して時間平均 した値(DCレベル)も小さくなっていることがわかる. この低周波揺動は,
82
� αコ 2
・ +F-44
ロ;:j
,C L4 '._/ Cて3
』吋 。
� 4
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くg
Jぐ� 2
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\、_./
i ロ江主
。
3.0
f炉」、、「辺-ーヘノ
ト(c)
1.5 レ、r-、.,--、/一一
ICRF尽3
己主
冒---ーー・ ・・・ ・・・ ・・・。
50 100 150
t
(msec)
図4.5.1 z =13.6cmで計測したい) Li
1の発光強度!,
(b)線平均密度万, (c)蓄積エネルギーl九の時間変化.
ICRF印加直後常に観測され, 通常1� 2)1り月の間継続する. 線平均密度 万は
ICRF を印加する以前から上昇 し ているが, ICRF印加後は, 直後の僅かな減少 を除くと印加前より大きな割合で上昇を続ける. 蓄積エネルギーWdiaもICRF印 加後約250/0増加するが, t� 100 msecからはICRFの印加中にもかかわらず減少 に転ずる Wùia減少の理由としては, アンテナ表面 からの不純物の放出に伴う 放射損失の増大が考えられる• ICRFの印加を止めると密度揺動の振幅は再び大 きくなる. しかしICRF印加前ほどには成長せず, DCレベルも印加中とほとん
ど 変化しない.
密度揺動レベル五/n の減少が, lCRFの印))[1によってもたらされたものか否
かを確かめるために, ICRFのパワーをショ ットごとに変化させてñ./ n の大き さを調べた. 図4.5.2に, ICRF印加後の低周波居留Jが安定化さ れ1み〈jluが最大に なる時刻の五/n を, 印加直前(NBIプラズ、マ)の長ゐ/n で規格化した値を,
ICRFパワー PRFの関数として整理 した結果を示す PRF が大きくなると (PRF>
300 kW )揺動レベノレñ.. / 11.. の減少が顕著になることから, ICRFによって
え/nc が抑制されたと考えることができる. またICRF印加直前と印加中の揺動 のスペクトルを示した図4.5.3から, ICRFによって主に� 10 kHz以上の揺動が 特に抑制されていることがわかる. ICRFの印加によって周辺プラズ、マが安定化 されるメカニズムは現時点で は明らかではないが, ポンドラモーティブ力が重 要な役割を演じていると考えられる[5255-581
ICRF印加直後の低周波揺動についてさらに詳 しし叶軌庁を行った. 図4.5.4 (a)
は低周波揺動が励起している時の),'fJ辺密度分布である. ICRF印加直前(t=
84.5 msec)のNB[プラズマの分イUもノj之してある. 区|中の矢印はICRFアンテナ の前面の位置を示しており, 1改タト�=.J�r,;�気r(rÎはアンテナ前面位置より約lCl1l内側 に存在する•t = 85.5 msecの分イIJからわかるように, ICRF印加直後はまず, 周 辺プラズ、マ全体が外側へ膨らむ その後t= 86.5 111sec ではt= 84.5 msecの分布 と比較すると, 11.Scm < z < 13.5c111の範凶で密度が増加す る 1 msec後のt=
87.5 msecでは, 一転 して11.5cIl1< Z < 13.Scmおよび, さ らに内側(Z<11.Scm) 領域で密度が減少 し, 反 対にz>13.5 cll1の外側領域で 密度が増加する.
84
トー『
2
Z
∞
,..-._
C 込J
、、、、
I\』ロd/ qJ
、、、、
L E円 伺
Z」ピ +
一
,..-._ロ<1)
、、、、
l\』ロ_./
。 。
。
ム 去
一一ー す 一一-
-0-一一一- 5 2 一一
ム ロ ハロ
。。〕) 口Oム
ム
200 400
PRF
(kW)
600
図4.5.2 ICRF印加直後, bRluが最大になる時刻の局、/n、を 印加直前(NBIプラズマ)の白/11 で規格化した値の ICRFパワーp町依存性.
�
� αつ
. ",ロ『
コ ..D い司
\、ー〆�
αつ
�
。�υつ
- ロコ�
,C c』可4
\、_"
αぅ
10
5
。 10
5
。
。 (a)
(b)
100 200
Frequency (kHz)
NBI
NBI+RF
300
図4.5.3 ICRF印力日直前と印加中の, 揺動のスペクトル.
86
c e
m 戸、J戸、J戸、J戸、J戸、JA斗《J/O勺/00000606060δ(a)‘
10
5 ( 門 1 5υ
2 2)
ω ロ
Antennal
ハし
e
nb m 5200 4仁ノ120δ 1i1i
\,ノ'hU 〆'aau、、
0 10
5
/"ー\
('f)
5 ()
P寸
o
1"""""'1 '-'"
ロ
(])。
c e cd
m22 0 ω 89Uじ
(c)
0.5 ωロ \ ωロ
1 6 z (cm) 1 3
0 10
(a) ICRF印加直後, 低�7Jü5i揺動が励起している時の周辺密度分布.
図4.5.4
(b)密度分布および(c)密度揺動レベル 後の
ICRF印加前, 中,
分布. 矢印はICRFアンテナの前面位置. 最外殻磁気面位置(真空) はz=
10.8
cm .このことは , z< 13.5cmの領域のプラズマが外側へ帰き出されたことを示して いる. 周辺プラズ、マが低周波で1 胤別分J反動した直後のt= 88.5 msecでは , ほ ぼ全領域で密度が下がってい ることから, プラズマの流れは完全に壁まで到達 したことがわ かる. 実際, 線平均密度万も図4.5.1からわかるように, t二88.5 msec でわずかに減少している.
周 辺プラズ、マの掃き出しを伴うICRF印hlll直後の低周波揺動は, t '"'-' 92 msec
で安定化され, さらに印加以前より励起していた比較的高周波の揺動の振幅も
著しく小さくなる. その後, 図4.5.4 (b)にノ]ミすように, 最外殻依気面(LCFS) 近傍(z<11.5 cnl)で密度勾配が急峻になり, その外側の領域であるz> 11.5 cmで密度が減少する. ICRFアンテナの存店範囲に相当する 12 cm < z < 14 cm の密度分布が平坦な領域は, t '"'-' 100 Illsec 以降, ICRF印加前に比べて著しく 密 度が減少する. これは 揺動の安定化とともに外向きの粒子束が減少したことを 示唆している. アンテナとプラズ、マの相互作用のために, z> 12 cnlのアンテ
ナによるスクレーフオフ層の領域では, 図4.5.4 (c)からわかるように, 密度 揺動レベルは比較的高い値を示す. この密度揺動に起因する粒子束のために,
アンテナによるスクレープオフ層では密度の平坦化が起こると考えられる.
ICRFの印加による周辺プラズマの変化で重要なことは, 図4.5.4 (b)からわ かるように, ICRFを切った後もLCFS近傍のz< 11.5 cmの領域で密度勾配はさ らに急峻になり, z > 11.5 cmの外側領域では密度が減少し続けると言うことで
ある. また, 図4.5.4 (c)に示すように, 性J皮揺1:1J長/1'1 はICRFを切った後,
スクレ ープオフ層( z> 11.5cm)では再び増加に転じるが, LCFS近傍のz<
11.5 cmでは低い値を保ったままである. これらの結果から, LCFS近傍の密度 分布および密度揺動レベルは, ICRFを切った後も印加前の状態に戻ることなく,
印加中の, 揺動が抑えられタトド1JきのhL千点が減少した状態を保っていることが
わかる. さらに, 万がICRFを切った後も印)]日中と同じ増加率で上昇し続ける
と い う事実からも, ICRF印力日中および切った後の粒子閉じ込めは, 印加以前に 比べて改善されている可能性があると与えることができる. ICRFを切った後の 粒子閉じ込めの改善は, LCFSより外似IJのエ/レゴディックな領域に存在する,
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温度の低いプラズマがICRFによってはぎ取られたた効果であると考えられる.
上に示した実験結果は, 一度エノレゴディックな領域に存在するプラズ〉マが何ら かの方法ではぎ取られて閉じ込 めの改善された状態が得られると, はぎ取った 原因が無くなった後に再び生成されて元の状態に戻ることはない, と言うこと を示している.
以上のことから, ICRFは密度陪到の抑制, 密度分布の制御]を通じて, 周辺プ ラズマ全体の閉じ込め状態等を制御できる1fT能'1"1:を持っていることが示された.