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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 獣 医 学 ) 三 好 正 浩

     学位論文題名

イヌヘルベスウイルスの潜伏感染ならびに 前初期および初期蛋白質遺伝子に関する研究

学位論文内容の要旨

  

イヌヘルベスウイノレス( canineherpesvirus :CHV) はアル′ファヘルペスウイルス亜 科、 ワリ セロ ウイ ルス 属の2 本鎖

D NA

ウイ ルス であ る。CHV は

3

週齢 以下の子犬に致死 的な 全身 感染 を起 こす 。一方 、3 週齢 以上 の子 犬お よび成 犬に は、 気管支炎を伴う上 気道 感染 およ ぴ持 続性 の生殖 器感 染を 起こすが、殆どが軽症である。急性感染期を過 ぎる とC HV は 宿主 の神 経節お よび りン バ節に遺伝子の形で潜伏し、ストレスや免疫機 能の 低下 等に 伴っ て再 活性化 する 。再 活性化したウイルスは胎盤あるいは産道を介し て胎 子お よぴ 新生 子犬 に感染 する 。成 犬には、接触、飛沫および交尾によって感染す る。 した がっ て、 潜伏 感染犬 がウ イル スに汚染されていない飼育場に導入されると、

再活 性化 したC HV/Js 蔓延する危険があるため、繁殖施設における被害は大きい。した がっ て、

C HV

の潜 伏と 再活性 化の 機構 を解 明す るこ とは 、CHV 感染 症の制圧に極めて 重要である。

  C HV

の 潜伏 と再 活性 化はウ イル スと 宿主との相互作用の結果である。本研究では、

その 機構 の解 明を 目的 として 、最 初に 実験感染犬で潜伏感染細胞の同定を行った。続 いて 、ウ イル スの 増殖 に必須 な前 初期 (IE )蛋白質遺伝子およびウイルス遺伝子の転 写制御に重要な役割を果たす単純ヘルベスウイルス1 (HSV‑1 )のIC PO に相同なCI( ニPO の遺 伝子 構造 を決 定し 、その 予測 アミ ノ酸配列から機能を推定した。さらに、潜伏の 維 持 お よ び 再活 性化 に深 く関 与す ると 考えら れる 潜伏 関連 転写 物(

LAT)

を実 験感 染 犬の潜伏感染組織中に検出し、その転写領域の決定を試みた。

  

ま ず 、

C HV

を イヌ に実 験感 染さ せ、 潜伏感 染細 胞を 同定 した 成績 を第 一章 に述 べ

る。 鼻腔 内、 鼻腔 と静 脈内、 なら びに 膣粘 膜に

C HV

を接 種し た成 犬8 頭は、いずれも

接種 後4 〜

6

日 間鼻 汁中 にウイ ルス を排 泄し た。

CHV

を腔粘 膜に 接種 したイヌは膣粘液

から もウ イル スが 回収 された 。こ れら の実験感染犬は、接種後4 〜8 週で中和抗体価が

最 高 値 を 示 し、 以 降 漸 減 し た 。 感 染

2

カ 月以 上を 経た 後、 全身 諸臓 器か ら抽 出し た

D NA

を鋳 型と して 、nestedP くR に よっ てCHV ゲノムを検索した。その結果、全8 頭の三

又神 経節 およ び7 頭 の咽 頭後 リン バ節 にC HV ゲ ノム が検出 され た。 これらの組織中に

感染 性ウ イル スお よぴ ウイル ス抗 原は 検出 され なか った 。ま た、

C HV

ゲノムDNA を標

的にしたin situ ハイブリダイゼーションによって、三叉神経節の神経細胞および咽頭後

リン バ節 のり ンバ 球の 核にウ イル スゲ ノムが検出された。以上の成績から、C HV は接

種経 路に 関わ らず 、実 験感染 犬の 三叉 神経節の神経細胞ならぴに咽頭後リンパ節のり

ンバ球に潜伏感染することが判明した。

(2)

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 助教授

橋 本    晃 喜 田    宏 平 井 克 哉 岡 崎 克 則

     学位論文題名

イ ヌ ヘ ル ベ ス ウ イ ル ス の 潜 伏 感 染 なら びに 前初期および初期蛋白質遺伝 子に関する研究

  イ ヌ ヘ ル ペ ス ウ イ ル ス(CHV)は 、 新 生 子 犬 に 全 身 性 の 出 血 と 壊 死 を 特 徴 と す る 致 死 的 感 染 を 起 こ す 。 成 犬 は 、 軽 症 で 耐 過 す る が 、 ウ イ ル ス は 体 内 に 潜 伏 す る 。 潜 伏 し た ウ イ ル ス は 宿 主 の 免 疫 機 能 の 低 下 や ス ト レ ス な ど に よ っ て 再 活 性 化 し 、 新 た な 感 染 源 と な る 。 本 研 究 で は 、CHVの 潜 伏 と 再 活 性 化 の 機 構 の 解 明 を 目 的 と し て 、 分 子 生 物 学 的 検 索 を 行 い 以 下 の 成 果 を 得 た 。

  最 初 に 、 実 験 感 染 犬 で 潜 伏 感 染 細 胞 の 同 定 を 行 っ た 。CHVに 潜 伏 感 染 し た 成 犬 の 全 身 諸 臓 器 に お い て 、 感 染 性 ウ イ ル ス は 検 出 さ れ な か っ た が 、 三 叉 神 経 節 や 咽 頭 後 リ ン バ 節 な ど に ウ イ ル ス 遺 伝 子 が 検 出 さ れ た 。 こ れ ら の 臓 器 で 血situハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン を 行 い 、 神 経 細 胞 お よ び り ン バ 球 の 核 がCHVの 潜 伏 部 位 で あ る こ と を 明 ら か に し た 。   次 に 、 ウ イ ル ス の 増 殖 に 必 須 な 前 初 期 蛋 白 質 の 遺 伝 子 構 造 を 決 定 し た 。CHV前 初 期 遺 伝 子 の オ ー プ ン リ ー デ ィ ン グ フ レ ー ム(ORF)4152塩 基 か ら な り 、CHV前 初 期 蛋 白 質 は 1383ア ミ ノ 酸 残 基 で 構 成 さ れ る と 予 測 さ れ た 。 そ の ア ミ ノ 酸 配 列 は 他 の ア ル フ ァ ヘ ル ベ ス ウ イ ル ス 前 初 期 蛋 白 質 と の 比 較 か ら 、 酸 性 ト ラ ン ス 活 性 化 領 域 、DNA結 合 領 域 、 核 移 行 シ グ ナ ル お よ び ト ラ ン ス 活 性 化 領 域 が 認 め ら れ 、 転 写 因 子 と し て 機 能 す る と 考 え ら れ た 。

  さ ら に 、 ヒ ト 単 純 ヘ ル ベ ス ウ イ ル ス1の 感 染 細 胞 内 蛋 白 質O(ICPO)に 相 同 なCICPOの 遺 伝 子 構 造 を 決 定 し た 。CICPO遺 伝 子 は 初 期 に 転 写 さ れ 、 そ のORF1002塩 基 か ら な り 、 CICPO333ア ミ ノ 酸 残 基 で 構 成 さ れ る と 予 測 さ れ た 。 そ の ア ミ ノ 酸 配 列 に は り ン グ フ イ ン ガ ー 、 酸 性 ト ラ ン ス 活 性 化 お よ び 高 セ リ ン 領 域 が 認 め ら れ た こ と か ら 、CICPOは 転 写 調 節 に あ ず か る と 考 え ら れ た 。

  最 後 に 、 潜 伏 の 維 持 と 再 活 性 化 に 関 与 す る と 考 え ら れ るCHVの 潜 伏 関 連 転 写 物 を 潜 伏 感 染 組 織 か ら 検 出 し 、 そ の 転 写 領 域 を 決 定 し た 。CHV潜 伏 関 連 転 写 物 はCICPOお よ び 前 初 期 遺 伝 子mRNAに 相 補 的 なRNAで あ る こ と を 明 ら か に し た 。

  以 上 の よ う に 、 申 請 者 はCHVの 潜 伏 と 再 活 性 化 の 機 構 の 解 明 に 必 要 と 思 わ れ る い く つ

(3)

かの新しい知見を明らかにした。これらの成績はへルベスウイルス感染症研究の進展に 大きく貢献する。よって、審査員一同は、上記博士論文提出者三好正浩の博士論文を、

北海道大学大学院獣医学研究科規程第6 条の規定による本研究科の行う博士論文の審査

等に合格と認めた。

参照

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