• 検索結果がありません。

非白 血病性造 血器疾 患における赤血球フェリチンの検討

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "非白 血病性造 血器疾 患における赤血球フェリチンの検討"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 ( 医 学 ) 井 萵 一 之

     学位論文 題名

非白 血病性造 血器疾 患における赤血球フェリチンの検討

学位論文内容の要旨

    目的

  フェリ チンは鉄貯 蔵蛋白と して知ら れ、日常 臨床でも血清フェリチンが体内の貯蔵鉄 量を知 る指標とし て頻用さ れている 。しかし 、炎症、 感染症、肝障害などで上昇するた めその 解釈に困難 を感ずる ことが少 なくない 。一方、 赤血球フェリチンはそれらに影響 される ことが少な く、より 正確に体 内の鉄代 謝状態を 反映するとして注目されている。

  フェリチン分子はH(Heavy;21,OOODa)とL(Light;19,OOODa)とぃう2つのサブユニットが 24個集ま って1つの分 子を形成 し、そのHとLサブュ ニットの 割合によ り等電点電 気泳動 (IEF)上、酸 性、塩基性 などのフ ウリチン が生ずる 。したがってIEFを施行することによ り鉄代謝に関するさらに詳細な情報を知り得る可能性がある。そこで、種々の非自血病・

性造血 疾患につい て赤血球 フェリチン量を測定し、さらにIEFにて解析してこれらの疾患 におけ る病態との 関連性を 検討する ことによ り、赤血 球フェリチン検索の有用性を検討 した。

    材料および方法

  1)赤 血 球溶 血 液 :鉄 欠 乏性 貧 血18例 、 遺伝 性 球状 赤 血球症7例、巨赤 芽球性貧血8 例、真 性赤血球増 加症6例、 健常成人53例(男24例、女29例)、合計92例よりヘパリン採 血20mlを得、microcrystalline celluloseとd‑celluloseを1:1に混合したカラムにて自血球お よび血 小板を除去 し、蒸留 水を加えて溶血させ、‑80℃にて凍結、解凍後に遠心し、その 上 清を 検 体 とし た 。 フェ リ チン は 抗 ヒト 肝 フウ リ チ ンポ リ クロ ー ナ ル抗 体 を 用い た IRMA (Immunoradiometric Assay)法で測定し、別に測定しておいた赤血球数で除して赤血 球1個当たりの量として求めた。

  2)等電 点電気泳動 法(IEF):1)で得られた赤血球溶血液を70℃、15分加熱、遠心した のち上 清を透析し 、pH3.5‑10、pH4‑6のampholineを1:4に混合した密度勾配等電点分離法 で行ない、定電圧800Vで4℃にて15時間泳動した。

    結果

  1)赤血球フェリチン量:健常成人男子の値は14.3土10.3ag/cell(MV土SD; ag=ニl0‑18g)、 健常成人女子の値は7.5土3.6ag/cellであり、Student st‑testにて両者間に有意差を認めた

(pく0.01)。各疾患の平均値は鉄欠乏性貧血症例:1.9ag/ce11(0.4‑3.9ag/cell,最小値ー最大 値)、遺伝性球状赤血球症:1 15.5ag/cell(1 1.7‑204.lag/cell)、巨赤芽球性貧血:198.3 ag/

(2)

cell(3.9‑842.3ag/cell)、真性赤血球増加症:3.3ag/ce11(0.8−9.7ag/cell)をそれぞれ示した。健 常 成 人と の間 に鉄 欠乏 性貧血 と真性赤血球増加症は有意な低下(pく0.0001,pく0.02)を、遺伝 性 球 状 赤 血 球 症 と 巨 赤 芽 球 性 貧 血 で は 有 意 な 増 加 ( 両 者 と もpく0.01)を 認 め た 。   2) 赤 血 球 フ ウ リ チ ン のIEF: 健 常 成 人5例 ( 男3例 、 女2例 ) で は 、 い ず れ も ほ ぼpI 5.1‑5.7に フ ェ リ チ ン が 認 め ら れ た 。 非 自 血 病 性 造 血 疾 患39例 の う ちIEFを 施行 し得 たの は 13例であった。鉄欠乏性貧血(3例)の治療前のpI(等電点 )値は、5.6ー6.3と健常成人の値に比 較 し て 塩 基 性 に 偏 位 し て フ ェ リ チ ン が 認 め ら れ 、 治 療 後 は 、 経 口 的 鉄 剤 投 与 で は 酸 性 側 に 、 経 静 脈 的 鉄 剤 投 与 で は 酸 性 、 塩 基 性 、 両 方 の フ ェ リ チ ン が 増 加 し た 。 遺 伝 性 球 状 赤 血 球 症(4例 )で はpl4.9‑6.7の 広い 範囲 にフ ウリ チン が分 布 し、IEF上、 疾患 との間に一定の 傾 向 は認 めら れな かっ た。 巨赤 芽球 性貧 血(4例) ではpI4.9ー6.0と 、健 常成 人に比較してや や 広 い 範 囲 に フ ェ リ チ ン が 認 め ら れ た が 、 各 症 例 間 でpI値 に 大 き な 差 は 認 め な か っ な 。 ピ タ ミ ンB12治 療 後 に は 、 フ ェ リ チ ン 量 は 著 明 に 低 下 し た が 、 フ ウ リ チ ン のpl値 は 治 療 前 後 で ほ と ん ど 変 化し なか った 。真 性赤 血球 増 加症 (2例) ではpl5.2‑6.2と軽 度に 塩基 性側 に 偏 位 し た 位 置 に フ ェ リ チ ン が 認 め ら れ 、 フ ウ リ チ ン 量 の 低 下 を 考 え 合 わ せ る と 鉄 欠 乏 性 貧 血に類似した結果であった。

    考案

  健 常 成 人 の 赤 血 球 フ ェ リ チ ン 値 は 、 男 女 で 有 意 な 性 差 を 認 め た 。 こ れ は 女 性 で 月 経 、 妊 娠 な ど 鉄 の 吸 収 と 排 泄 の バ ラ ン ス が 負 に 傾 き や す い こ と を 反 映 す る 結 果 と 考 え ら れ た 。 赤 血 球 フ ェ リチ ンのIEFの 結果 では 、. 健常 成人 では 男女 ともpl5.1‑5.7にフ ェリ チン が 認 め ら れ 、IEFよ り み た フ ェ リ チ ン 蛋 白 の 泳 動 性 に 性 差 は 認 め ら れ な い と 考 え ら れ た 。   鉄 欠 乏 性 貧 血 と 真 性 赤 血 球 増 加 症 で は 、 赤 血 球 フ ウ リ チ ン 量 が 健 常 成 人 に 比 較 し て 有 意 に 低 値 を 示 し 、IEFの 結 果 で は 健 常 成 人 の 値 よ り も や や 塩 墓 陸 に 偏 位 す る と ぃ う 類 似 性 が 認 め ら れ た 。 こ れ は 前 者 で は 体 内 鉄 量 の 絶 対 的 減 少 、 後 者 で は 造 赤 血 球 能 の 亢 進 に 伴 う 鉄 の 相 対 的 減 少 を 反 映 し た 結 果 と 考 え ら れ 、 塩 基 性 へ の 偏 位 は 酸 性 フ ェ リ チ ン が 赤 血 球 新 製 に 使 わ れ て 消 費 さ れ た 結 果 と 考 え ら れ た 。 鉄 欠 乏 性 貧 血 の 鉄 剤 治 療 前 後 のIEFの 結 果 よ り 、 経 □ 的 治 療 で は 酸 性 側 の み に 、 経 静 脈 的 治 療 で は 酸 性 、 塩 基 性 の 両 方 に フ ウ リ チ ン が 認 め ら れ た 。 こ れ は 貧 血 回 復 時 点 で 、 経 口 的 治 療 で は 貯 蔵 鉄 分 の 鉄 が ま だ 投 与 さ れ て お ら ず 、 し た が っ て 造 血 に 密 接 に 関 与 す る と 考 え ら れ て い る 酸 性 フ ェ リ チ ン の み が 増 加 し 、 経 静 脈 的 治 療 で は 、 貧 血 回 復 時 点 で 既 に 貯 蔵 鉄 も 含 め た 鉄 の 投 与 が 完 了 し て い る た め 赤 血 球 造 血 を 反 映 す る 酸 性 フ ェ リ チ ン と 、 貯 蔵 鉄 量 を 反 映 す る 塩 基 性 フ ウ リ チ ン と の両方が増加したものと考えられた。

  遺 伝 性 球 状 赤 血 球 症 で は 、 赤 血 球 フ ェ リ チ ン 値 は 健 常 成 人 に 比 較 し て 有 意 に 高 値 を 示 し た も の の 症 例 間 で 一 定 の 傾 向 を 認 め ず 、IEFに よ るpl rangeの 結 果 も 症 例 間 で 関 連 性 は 認 め ら れ な か っ た 。 こ の 結 果 よ り 、 本 疾 患 で は 病 態 に よ り 種 々 の 変 化 を 示 す も の と 推 察 さ れた。

  巨 赤 芽 球 性 貧 血 で は 、 赤 血 球 フ ェ リ チ ン 値 が 高 値 を 示 す も の と 低 値 を 示 す も の と が 認 め ら れ た 。 低 値 を 示 す も の は4例 中3例 が 胃 全 摘 手 術 を 受 け た 症 例 で あ り 、 こ の た め 鉄 の 吸 収 低 下 が 合 併 し た 結 果 、 赤 血 球 フ ェ リ チ ン 値 の 増 加 が み ら れ な か っ た も の と 考 え ら れ

(3)

た。

IEF

の結果では、健常成人のpl range に比較してやや広い範囲に拡大してフェリチン が認められたが大きな差はなく、悪性貧血症例と胃全摘後の巨赤芽球性貧血症例との間 においても明らかなpI 値の差は認められなかった。

    

結語

  

非自血病性造血疾患における赤血球フェリチン量の測定ならびにIEF によるpI 値の検討

は、それぞれの疾患における病態の把握、さらには予後判定、治療効果等を知るうえに

有用な示唆を与えるものと考えられた。

(4)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

非 白血病 性造血器 疾患における赤血球フェリチンの検討

    目的

  赤 血 球 フ ェ リ チ ン は 炎症 、 感 染 症、 肝 障 害な ど に 影響 さ れ るこ と が 少な く 、 より 正 確 に 体 内 の 鉄 代 謝 状 態 を 反 映す る 指 標 とし て 注 目さ れ て きて い る 。そ こ で 、種 々 の 非自 血 病 性 造 血 器 疾 患 に つ い て 赤 血 球 フ ェ リ チ ン 量 を 測 定 し 、さ ら にIEFに て解 析 し てこ れ ら の 疾 患 に お け る 病 態 と の 関連 性 を 検 討す る こ とに よ り 、赤 血 球 フェ リ チ ン検 索 の 有用 性 を検討した。

    材料および方法

1) 赤 血 球 溶 血 液 : 鉄 欠 乏 性 貧 血18例 、 遺 伝 性 球 状 赤血 球 症7例 、 巨 赤芽 球 性 貧血8例 、 真 性 赤 血 球 増 加 症6例 、 健 常 成 人53例 ( 男24例 、 女29例 )、 合 計92例 よ りヘ パ リ ン 採血 20mlを得、microcrystalline celluloseとロ‑celluloseを1:1に混合したカラムにて自血球およ び 血 小 板 を 除 去 し て 溶 血 液を 作 製 し た。 フ ェ リチ ン は 抗ヒ ト 肝 フェ リ チ ンポ リ ク ロー ナ ル抗体を用いたIRMA (Immunoradiometric Assay)法で測定した。

2) 等 電 点電 気 泳 動法(IEF):1) で 得 ら れた 赤 血 球溶 血 液 を加 熱 、 遠心 し た 後、 透 析し 、 pH3.5‑10、pH4―6のampholineを1:4に 混合 し た 密度 勾 配 等電点 分離法を 用いて検 索した 。     結果

1)赤 血球フェ リチン 量:健常 成人男 子の値は14.3土10.3ag/cell(MV土SD; ag二二ニl0"8g)、 健常成人女子の値は7.5士3.6ag/ce11であり、StudentIst‐testにて有意差を認めた(pくO.01)。

各疾患の 平均値 は鉄欠乏 性貧血1.9ag/cell、遺伝性球状赤血球症115,5ag/cell、巨赤芽球性 貧血198.3ag/cell、真性赤血球増加症3.3ag/cellをそれぞれ示し、健常成人との間に鉄欠乏 性貧 血 と 真性 赤 血 球増 加 症 とは 有 意 な低 下 を 、 遺伝 性 球 状赤 血 球 症と 巨 赤 芽球J陸 貧血で は有意な増加を認めた。

2) 赤 血 球フ ェ リ チン のIEF: 健常 成人5例(男3例、 女2例)では 、ほぼp15.1‐5.7に フェ リチンが認められた。鉄欠乏性貧血(3例)の治療前のpI(等電点)値は、5.6−6.3と健常成人 の 値 に 比 較 し て 塩 基 性 に 偏 位 し て 認 め ら れ 、 治 療 後 は 経 口 的 鉄 剤 投 与 症 例 で は 酸性 側 に 、 経 静 脈 的 鉄 剤 投 与 症 例で は 酸 性 、塩 基 性 、両 方 の フェ リ チ ンが 増 加 した 。 遺 伝性 球 状赤血球 症(4例)で はp14.9‐6.7の広い 範囲にフェリチンが分布し、IEF上、疾患との間に

保三 彦       信邦 崎   林 宮西 小 授授 授 教教 教 査査 査 主副 副

(5)

一定の傾向は認められなかった。巨赤芽球性貧血(4例)ではpI4.9‑6.0にフェリチンが認め られ、症例間でpI値に大きな差を認めなかった。ビタミンB12治療後には、フェリチン量 は 著明に低 下したが 、フェリチンのpI値はほとんど変化しなかった。真性赤血球増加症

(2例)ではpI5.2‑6.2と軽度に塩基性側に偏位してフェリチンが認められ、鉄欠乏性貧血に 類似した結果であった。

    考案および結語

  鉄 欠乏性貧 血と真性 赤血球増加症では、赤血球フェリチン量が健常成人に比較して有 意 に低値を 示し、IEFで は健常成人 よりもや や塩基性 に偏位するとぃう類似性が認めら れ た。これ は前者で は体内鉄量の絶対的減少、後者では造赤血球能の亢進に伴う鉄の相 対 的減少を 反映した 結果と考え られた。 鉄欠乏性 貧血の鉄剤治療前後のIEFの結果、経

□ 的治療で は貧血回 復時点で貯蔵鉄分の鉄がまだ投与されておらず、したがって造血に 密 接に関与 すると考 えられる酸性フェリチンのみが増加し、経静脈的治療では、貧血回 復 時点で既 に貯蔵鉄 を含めた鉄 の投与が 完了して いるため 赤血球造 血を反映 する酸性 フ ェリチン と、貯蔵 鉄量を反映する塩基性フェリチンの両方が増加したと考えられた。

  遺 伝性球状 赤血球症 では、赤血球フェ1Jチン値は健常成人に比較して有意に高値を示 したものの症例間で一定の傾向を認めず、IEFによるpI rangeの結果も症例間でその関連 性 は認めら れなかっ た。この結果、本疾患では病期、病態により種々の変化を示すもの と推察された。  、

  巨 赤芽球性 貧血では 、赤血球フェリチン値が高値を示すものと低値を示すものとが認 め られた。 低値を示 すものの4例中3例は胃全摘手術を受けた症例であり、鉄の吸収低下 が 合併して いた結果 、赤血球フェリチン値の増加がみられなかったものと考えられた。

IEFの結果では、健常成人のpI rangeに比較してやや広い範囲に拡大してフウリチンが認 め られたが 大きな差 はなく、悪性貧血症例と胃全摘後の巨赤芽球陸貧血症例との間にお いても明らかなpI値の差は認められなかった。

    結語

  非 白血病性 造血疾患 における赤 血球フェ リチン量 の測定ならぴにIEFによるpI値の検 討 は、それ ぞれの疾 患における病態の把握、理解のみならず、治療に対する反応性を判 断する上で有用な示唆を与えるものと考えられた。

  以 上 よ り 、 本 研 究 は 博 士 〔 医 学 〕の 学 位 論文 と して 妥 当 なも の と判 断 さ れる 。

参照

関連したドキュメント

発症。高フェリチン血症および骨髄での血球貧食

2.当科で経験した先天性染色体構造異常に伴った血液 学的異常症例 金澤 崇,田村 一志,塚田 昌大 柴

母体有害事象として貯血に伴う VVR の発生を 66 症例中 8 症例(12.1%)190 採血中 11 例(5.8%)に認められた がいずれも軽症(VVR1 度)であり

 チアノーゼ性先天性心疾患患児における慢性のhypoxiaの状態が,カルニチン動態に及ぼす影響を検

今回、HGについては、HuC/D染色にて、概 ね、20個/cm  以上のHuC/D陽性細胞があれ  ば、HGの可能性は低いと考えられた。対照群 の中に、HuC/D 

2. K562 細胞の赤芽球分化過程において,鉄とALAS がHb

実験方法 採血した血液は遠心分離後,血球部分を生理食 塩水で 3 回洗浄し,直ちに 70'C

の発病経過において,貧血発生時には赤血球に対する自己抗体の付着や食食目印分子が赤