轡麟。5第購,離錆).
赤血球変形能の検討
.虚血性脳血1管障害お.よび膠原病について
東京女子医科大学脳神経センター 神経内科(指導:丸山勝一教授)
大澤美貴夫・内山真一郎・竹宮 敏子・丸山 勝一
オオサワ ミ キ オ ウチヤ.マシンイチロウ タケミヤ トシコ マムヤマ ショウイチ
(受付 昭和56年11月24日)
Study on Erytkroc. 凾狽?Deformability, with Special Reference to Ischem量。 Cerebrovascular I)isorders and Collage耳1)iseases
Mikio OSAWA, M D.,S甑inichiro UCHIYAMA, M,D.,Toshiko TAKEMIYA, M.D.
and Shoichi MARUYAMA, M,D.
Department of Neurology(Director:Prof. Shoichi MARUYAMA), Neurological Institute Tokyo Women s雑edlcal College
Erythrocyte deformability was studied in patients su旋ring f士om ischemic cerebrovascular disord6rs within 2months after stroke, Le.9TIA patients,4RIND patients,22 cerebral thrombosis patients and l4 cerebral emboIism patients,6patients suf琵ring from collagen diseases, i.e. systemic Iupus erythcmatodes and periar・
teritis nodosa, and 33 normal subjects(acting as controls). Heparinized whole blood samp正es, drawn f士om the cubital vein of each of the patients and normal subjects, were incubated at 37。C fbr 2.5 hours. Erythrocyte defbrmability index(in terms of the volume of whole blood passed through a nudlepore membrane趾er of 5μm・pore diameter fbr l minute under a negative pressure of 25cm water)was measured by Reid s且ltration technique. Erγεhrocアte defbr】rnabilitア加dex showed a tendency to decrease with increasing hematocrit value.
Corrected erythrocyte defbrmability index(erythrocyte deformability index multipl五ed by hematocrit value)
was regarded as more express圭onable data fbr erythrocyte defbrm耳bility. Corrected erythrocyte defbrmability index in the control group sh6wed a tendency to decrease with ag量ng. It was lower in the patient group than in the control group. Though童t was lower in cerebral thrombosis patients than in cerebral embolism patients,
there was no signi且cant diffbrence of it between in the fbrmer patients and in the age matched patients among the正atter.
We emphasized an important role of erythrocyt6 defbrmability in pathogenesis not only of peripheral arte士ial occlusive diseases, such as collagen d三seases, but also ofischemic cerebrovascular disorders・.
はじめに
赤血球変形能(Erythrocyte Deformability,以下 ED)は血液粘度を規定する主要なレオロジカル な因子であるD2)が,特に微小循環動態に大きな 影響を及ぼすといわれている3).EDの低下は四 肢の慢性閉塞性動脈疾患で報告されている鋤が,
虚血性脳血管障害.(以下ischemic CVD)におい ても近年注目されつつある5)6)η8)9).
Ischemic CVDの中では脳血栓症例5)6》ゴ脳梗塞 症例7)8)(脳血栓症および脳塞栓症),および脳血
.管障害後遺症例9)においてEDの低下が報告され ているが,そのrisk factorとしての意義につい
ては明らかではない.そこで,我々はischemic
CVDを細分し, c・mpleted str・keとしての脳血 栓症ぽかりでなく,その短期治癒型としての完全回復性脳卒中(以下RIND),更にその前駆症状
としての一過【生脳虚血発作(以下TIA)の各症 例においてEDを測定し, ischemic CVD発現に対するEDのrisk factorとしての意義につき検
討した.また,脳血栓症とはその発生機序が異なると考えられる脳塞栓症例においても,EDを測
定し,レオロジカルな面からその発現機序につき 考察した.更に,若年性脳血管障害の病因の1つであり,
かつ末梢性循環障害を高率に合併し,致死的血栓 症の増加傾向も報告10)されている膠原病例におい
ても,EDを測定し,その臨床的意義について検
討した.
対象ならびに方法
対象はTable lのごとく,正常対照群(平均
年齢48±22歳の男性24{列,女性8例計32例),発 症後2ヵ月以内のischemic CVD群,即ち, TIA群9例(平均年齢67±12歳),RIND群4例(平均
Table l Corrected Erythrocyte Defor皿ability In−
dex(Ht×∀RBc)in Ischemic Cerebrovascular Disorders&Collagea Diseases
No. of
base Average Age Ht×守RBC Normal Control
froup 32 48士22 40.00士4.59*
TIA 9 67士12 24.77士ユ1.21*
RIND 4 57士17 20.88土13.79*
Cerebral ThroInbosis 22 64士11 28,17土9.44*
Cerebral Embolism 14 48士ユ4 32.32士8.76*
Collagen Diseases 6 28士14 20,34土7.49*
* :p〈0.01
年齢57±17歳),脳血栓症群22例(平均年齢64±:
11歳),心弁膜症および心房細動に合併した脳塞 栓竹群14例(平均年齢48±14丁目,および膠原病 群,即ち,全身性エリテマトーデス(以下SLE)
並びに結節性動脈周囲炎(以下PN).6例(平均 年齢28±14歳),計87例につき検討した.
測定用の血液は,朝食前,安静坐位で,前腕正
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羅訳
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ng.1 A schematic representation of apparatus (Reprinted from Reid, H.L.:Asimple method for measuring erythrocyte deformability. J. Clin.
PathoL 29(9)855〜858(1976)British MedicaI Association)
中静脈よりヘパリンを加えた注射筒に,5mlを採 取し,直ちに,37℃,2時二半incubateした,
.EDの測定はReidら11)の方法に準じてnucle−
pore membrane創ter法によって行なった(Fig.
1),即ち,プラスチック製のlml注射筒に被検
血液lm玉を入れ,25cm水柱の陰圧により1分間
吸引した際にFilter holder(FHO 1300110)に装 着したnuclepore membrane創ter(N500 CPRO 1300, poreの直径5μm,厚さ10μm,密度4×105/cm2C有効面積0・8cm2)を1分間に通過する血液 量(Erythrocyte Deformabllity Index,以下VRBc,
単位ml/min)から算出する方法である.測定中 の室温.は22から25℃とした.また,1司一検体につ き3回ずつ測定し,その平均値を求めた.同時に 全例でヘマトクリット値(以下Ht)を測定した.
Nuclepore membrane mter法(Reid et al.11))
によるEDの判定に関し,次のごとく改良した.
即ち〜1分間の血液通過量VRBGに対するHtの
影響を検討するため,10例の正常老の血液を」血漿 成分と血球成分に分離し,血漿成分を増減せしめ,Htを30%から50%の問で変動させ,各々の
Htに対するVRBCを測定した. VRBCはHt 5%
ΨRBC
(ml/min)
LO
0.5
0.1
\
§
\
30 40 50 (%)Ht
Fig.2Changes in Erythrocyte Defo㎜ability In−
dex(VRBc)at two di仔erent hematocrit values among individual patients
の増加に伴い,平均0・09ml/min減少した(Fig・
2).この成績からVRBCに対するHtの影響を
除去するために,著者らはVRBCにHtを乗じた
り値,即ち,Ht補正VRBc(Corrected Erythrocyte Deformability Index)を以て, EDの指標とし
た.
成 績
1.Ht×VRBCの正常値と加令による影響 本法におけるHt x VRBCの正常値の範囲は
サ38.11±7.43であった.加齢によるHt×VRBcの 変化を検討したところ,相関係数r=一〇・51を以て低下がみられた(F量g・3).
コ
2・iscllem置。 CV1)群におけるHt×VRBC TIA群, RIND群および脳血栓症群は正常対照 群に比し,年齢が高いため,正常対照群中50歳以 上のage matched contro1群17伊1(年齢50〜96 り歳,平均年齢64±13歳)と比較した.Ht×VRBC
はTIA群, RIND群および脳血栓症群ではおの
おの24.77±1L21,20.88±13.79および27.40±り9.66であり,age matched control(Ht×VRBG 34・06±L87)と比較し有意に低下していた(P<
0.01).脳塞栓症群では平均年齢が48±14歳で,
前記3群に比し若年であり,正常対照群の平均年
50.00
●
8
㈲
●● ●
40.00 . ●⑱o ●●●
恁。
8●
●
30.00
8
③20.00
m.00
HtxΨRBC
Age 〜29 30〜49 50〜69 70〜
Fig.3 Corrected Erythrocyte Deformability Index(Ht×VRBc)in relation to age(r=
一〇.51)
HtXΨRBC 50.00
40.0
30.00
* 20・0
*
* *
10.00
*
ControI TlA RIND Throm贈bosls Emboli㎝ Collagon
(n) (32) (9) (4) (22) (14) (6)
*Pく0.01
F且g.4Correted Erythrocyte Deformabi1三ty Index (Ht X VRBc)in Ischemic Cerebrovascular Diso−
rders&Collagen Diseases
齢48±21歳に比し有意差がなく,正常対照群全例
と比較した.Ht×VRBCは脳塞栓症群では32.32
±8.76であり,有意に低下していた(Pく0.01).
脳塞栓症群と脳血栓症群とでは,VRBCは後老の
方が前者よりもより著明な低下傾向を認めた(p<0・10).しかしながら,脳塞栓平群の平均年齢が 脳血栓:症群のそれに比し若年であり,両者をage
matchさせるため,前者の中で50歳以上のもの
のみの6例(年齢55〜77歳,平均年齢62±3歳,Ht×VRBc 28・83±4・10)と後者とを比較すると 有意差は認められなかった(Table 1, Fig・4).
3・膠原病群におけるHt×VRBC
膠原病群ではHt xVRBcは20.34±7.49で,平 均年齢が28±14歳で正常対照群より若年でありな がら,なお有意に低下していた(p<0・01)(Table
1, Fig.4).
考 按
いわゆるEDとは赤血球が外力により容易に変
形する性質を意味する.赤血球がその直径(7・5〜8μm)よりも細い毛細血管(直径:2〜3μm)
中を変形しながら通過している事実12)13)より,
EDの低下が生体の微小循環障害をもたらすこ
と3)が容易に理解される.EDはまた血液粘度に 影響を及ぼす主要な因子の1つであり1)2),EDの 低下はhyperviscosity syndromeを惹起すると予 想される.従って,EDを数量的に表現し, isch・emic CVD,および若年性脳血管障害の病因の一 つであり,かつ末梢循環障害を高率に合併すると
いわれる膠原病でその数量を比較検討すること
は,レオロジカルな面からこれらの発症機序を考 察する上で重要と考えられる.EDの測定法として各種の方法があるが,1976
年Reidら1DはSchm三dt−Schonbeinら14)の方法を 改良し,簡便かつ再現性の良いnuclepore mem−brane mter法を発表した.本法の原理は赤血球 にその直径よりも細いnuclepore(直径:5μm,長
さ:10μm)を20cm水柱の陰圧下で通過させる
もので,生体内の微小循環をin vitroにて再現さ せようと試みられたものである.彼らは本法においてはHtが20%から70%までの間で変動して
も,全血の通過量は一定であると報告している.しかし,我々の結果では,全血の通過量VRBCは
H:t30%から50%までの変動に対して影響を受けた(Fig・2).このことは全血の中でも赤血球と 血漿成分とでは,nucleporeでの通過性に差異が あり,前者の方が後者によりも通過性が劣り,全 血の中で赤血球成分の総容積,すなわちHtが大 きい程,単位時間当たりに通過すべき赤血球数が 多くなり,全血の通過性が低下することを示して いると考えられる,従って,Htの影響を除去す るために,全血の一分間の通過:量VRBCにHtを
乗じた値,すなわちHt補正VRBc(Corrected
Erythrocyte Deformability Index)を以って, ED の指標とした.望月ら15)および高橋ら7)8)も同様 の補正を行なっている,
Reidら11)は正常者においてEDが加齢により 低下すると報告しているが,我々も同様の結果を 得た(F三9・3).このことは加齢による動脈壁の 硬化の進行と共に,赤血球にも硬化が同時に生じ ていることを示していると考えられる.
近年,EDは四肢の慢性閉塞性動脈疾患におい て3)4)のみならず,ischemic CVDにおいても注 目されており5)6)7)8)9),脳」血栓症例5)6)や脳梗塞症 例7)8)(脳血栓症および脳塞栓症)でその低下が 報告されている.しかし,これらの閉塞性動脈疾 患におけるEDの低下が,その閉塞の原因すなわ
ちrisk factorとしての意義をもつ4)のか,あるい は虚血部における代謝産物の赤血球への影響によ る結果を反映している16)に過ぎないのか,二通り の考え方がある.前者の立場からは,EDの改善 が閉塞性動脈疾患の治療,更には予防に役立つと 考えられ注目される.
今回,われわれはischemic CVDにおいて,
EDのrisk factorとしての意義を検討するため,
is¢hemic CVDをcompleted strokeとしての脳血 栓症,短期治癒型としてのRIND,前駆症状とし
てのTIAの各症例においてED(Ht×VRBC)を
測定した.EDは脳血栓症例ぽかりでなく,RIND 例およびTIA例においてもage matched controlに比し,有意に低下していた(Table工,Fig.4).
このことはEDが脳血管閉塞のrisk factorの一 つとして重要な意義を持つと考えられる.尚,
RINDとTIAの症例を分けておのおののEDの差
異をみたが,おのおのの症例の年齢構成や臨床的 背景が異なるので結論を差し控え,詳細について は更に検討の予定である.Ischemic CVDの中で も,心弁膜症および心房細動をはじめとする心疾 患に合併した脳塞栓症においては,他のischemic
CVDとはその発生機序を異にしていると考えら
れている.例えば血小板機能の面からは,内山 ら17)は血小板凝集能が脳塞栓症例においては,脳 血1栓症例と異なって充摂していないと報告してい る.レオロジカルな面からの今回の研究では,脳 塞栓症例においてもEDが正常対照群と比し有意 に低下し,また,脳血栓症例と比較するとおのお の全症例間では脳血栓症例の方が脳塞栓症例より もEDの低下が著明であるが, age ma亡chした上 で推計学的に処理すると両者間に有意差は認めら れなかった(Table 1, Fig・4),脳塞栓症は比較 的若年においても発症しており,本疾患でのED の低下は加齢もしくは動脈硬化による赤血球への 影響の結果生じたものとばかりは考えられず,むしろ心弁膜症および心房細動による心腔内局所で の乱流が赤血球にもたらすレオロジカルな作用の 結果生じたものと考えられる.心弁膜症および心 房細動をはじめとする心疾患においては,EDの 低下が心腔内局所での乱流および停滞とあいまっ て,局所的な血液粘度の上昇をもたらし,心腔内 血栓形成を促進するものと考えられる.従って,
EDは心疾患に合併する脳塞栓症の発症において もrisk factorの一つとしての意義を持つと想定 される.
膠原病は四肢の末梢循環障害を高率に合併する と共に,若年性脳血管障害の基礎疾患の一つであ ることが広く知られている18)が,心疾患において レオロジカルな立場からEDを測定し検討した報 告は見当たらない.今回,我々は膠原病の中で,
SLEおよびPN症例においてEDを測定したと
ころ,本疾患群の年齢が正常対照群よりも若年で.
あるにもかかわらずEDの著明な低下を認めた
(Table 1, F19・4).膠原病においてはその病理 組織学的所見と臨床症状との間に必ずしも相関を 認めず19),特にSLEでは臨床症状が多彩である
のに比し,血管炎は軽度の場合もあり,かつその 証明は意外に少ない2のとされている.河野ら2ユ)は
SLEを血栓症の立場から検索し, SLEという疾
患は血栓症をきたす危険性が高く,今後はそれに 関与する因子の検索が重要であるとのべている.今回の我々の研究から,EDの低下もその主要な
因子の一つであると想定される.EDは膠原病などにおける末梢循環障害ぽかり
ではなく,各種の虚血性脳血管障害の発症におい ても,そのr{sk factorとして重要な意義を持つ ものと考えられ,特に後者では治療学のみならず 予防の面からも今後更に研究を進めるべきと考える,
まとめ
1)発症後2ヵ月以内の虚血性血管障害群49例
(TIA群9例, RIND群4例,脳血栓症群22例,
および脳塞栓症群14例),膠原病群6例(SLEお
よびPN),および正常対照群32例を対照として,赤血球変形能を測定し比較検討した.
2) 赤血球変形能の測定はReidらの方法に準
じてNuclepore membrane創ter法にて行なっ
た.
3) 1分間での全血通過量(Erythrocyte Def−
ormability Index, VRBc)はヘマトクリット値
(Ht)の増加に伴い減少したため, Htの影響を
除去する目的で,VBCにHtを乗じたHt補正
VRBc(Corrected Erythrocyte Deformabilsty, Ht×
VRBC)をもって,赤血球変形能の指標とした.
4)Ht×VRBCは正常対照群において加齢と共
に低下した.
5)H亡×VRBcはTIA群, RIND群,脳血栓
症群,および脳塞栓面訴の全ての虚血性脳血管障 害群で,正常対照群に比し有意に低下していた.脳血栓症群と脳塞栓症群との問においては,前者 が後老より著明に低下していたが,age matchを 行なうと両者間に有意差が認められなかった.
6).Ht x VRBGは膠原病群で,正常対照群に比 し低下していた.
7)膠原病などの末梢循環障害ならびに虚血性 脳血管障害の発症における,赤血球変形能のr三sk
factorとしての意義について論じた.
本稿の要旨は第3回日本脳卒中学会総会(秋田1978 年6月)で発表した.
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