• 検索結果がありません。

【研究要旨】 有棘赤血球舞踏病

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "【研究要旨】 有棘赤血球舞踏病"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

95

厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患政策研究事業)  

(分担)  研究報告書

 

     

神経有棘赤血球症に関する研究 

     

研究分担者  中村  雅之   

鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科 精神機能病学分野・准教授 

     

 

【研究要旨】 有棘赤血球舞踏病 (Chorea-acanthocytosis; ChAc) は稀な常染色 体劣性遺伝性神経変性疾患であり患者数は世界で 1000 症例程と推定されてい る。日本人 ChAc については 100 症例以上の報告があり世界の中では日本人に 比較的多い疾患であるが、原因遺伝子であるVPS13A遺伝子の変異分布などは 明らかにされていない。今回、我々は ChAc と臨床診断された日本人 ChAc17 症例についてコピー数変異 (Copy Number Variation; CNV) 解析を含めた包 括的遺伝子変異解析と赤血球膜分画を用いた VPS13A遺伝子産物である

chorein のウェスタンブロット解析による分子的診断を行った。遺伝子型―表

現型の明らかな相関は認めなかったが、 ChAc 患者の多くは認知機能の低下を 含め多彩な精神症状を呈すことが明らかとなった。日本人 ChAc 患者において exon 60-61 の欠失変異と exon 37 上の c.4411C>T (R1471X) の遺伝子変異が

55.1% を占め東京と西日本に多く存在し、一部の創始者効果が示唆された。今

後は今回の解析結果もとに分子診断により診断が確定した患者の自然史を追 い、将来の診療ガイドラインの作成を目指す。

 

A.研究目的 

  有 棘 赤 血 球 舞 踏 病 (Chorea-acanthocytosis; ChAc) は 稀 な 常染色体劣性遺伝性神経変性疾患であ り患者数は世界で 1000 症例程と推定さ れている。日本人 ChAc については 100 症例以上の報告があり世界の中では日 本人に比較的多い疾患とされているが、

原因遺伝子 (VPS13A)変異の分布などは 明らかにされていない。今回、我々は日 本人 ChAc の遺伝子変異の分布と臨床症 状の関連を明らかにするために日本人 ChAc17 症例の VPS13A 遺伝子に関し て 、 コ ピ ー 数 変 異 (Copy Number Variation; CNV) 解析を含めた包括的 遺伝子変異解析と赤血球膜分画を用い た VPS13A 遺伝子産物である chorein のウェスタンブロット解析による分子 的診断を行った。また、既報 22 症例を 合わせた計 39 症例の日本人 ChAc の 

VPS13A 遺伝子変異の変異分布、臨床

症状を解析した。

 

B.研究方法 

ChAc と臨床診断された患者に対し、

文書による説明と同意を得て血液を 採取し、赤血球から赤血球膜分画、白 血球から gDNA と RNA 抽出し、

cDNA を合成した。赤血球膜分画タン

パク質をウエスタンブロット法で解

析し、免疫反応により chorein 蛋白質

を検定した。サンガー法によるシーク

エンシングと TaqMan probe を用い

た CNV 解析により、 17 名の日本人

ChAc 患者において病因遺伝子である

VPS13A の全 73 エクソン及び近傍領

域 で 遺 伝 子 変 異 解 析 を 行 っ た 。

TaqMan probe に よ っ て CNV

(duplication) 変異が 予想された領域

に関しては、long range PCR とサン

(2)

96

 

 

  ガーシークエンスを組み合わせて break points を同定した。また、これまでに 我々が ChAc の分子的診断を下した既報 22 症例を加えた日本人 ChAc39 症例に おける臨床症状の解析を行った。 

(倫理面への配慮) 

本研究はヒトゲノム・遺伝子解析研究を 含むため、鹿児島大学医学部遺伝子研究 倫理委員会での審査を経て研究を行う 承認を得た上で行った (受付番号第 101 号 ) 。 

C.研究結果 

17 症例は赤血球膜分画の chorein ウェ スタンブロット解析において chorein 蛋 白質のバンドは 1 症例では著しい減退、

他 16 症例では chorein 蛋白質のバンド を認めなかった。これら 17 症例につい て遺伝子変異解析を行ったところ、 1 種 類 の 新 規 CNV (exon36-45 の duplication) 変異を含めた 11 種類の新 規変異を同定した。chorein ウェスタン ブロット解析において chorein 蛋白質の バンドが著しい減退を示した症例にお いては、下流にストップコドンを生じる 欠失変異とターミネーションコドンを 伴わない欠失変異を複合ヘテロ接合性 に有していた。これまでに我々が ChAc の分子的診断を下した既報 22 症例を加 えた日本人 ChAc39 症例における臨床 症状の解析では運動症状に加えて、 5 例 の精神症状の詳細不明な症例を除くと 97.1 %の患者において多彩な精神症状 や認知機能低下を認めた。日本人 ChAc 患者において exon 60-61 の欠失変異と exon 37 上の c.4411C>T (R1471X) の 2 種の遺伝子変異が全体の 55.1%を占め 東京と西日本に多く存在した。一方で他 の患者は個々で異なる多種の変異を有 しており沖縄を除く全国に分布してい た。

 

D.考察 

17 症例の日本人 ChAc 患者において 1 種類の新規 CNV を含め、 11 種類の

VPS13A 遺伝子の新規疾患変異を同

定した。ChAc 患者において、ナンセ ンス変異依存 mRNA 分解と推定され る機構によって通常 chorein 蛋白質の 免疫反応は消失するが、ターミネーシ ョンコドンを伴わない変異を有した 症例においては chorein 蛋白質の免疫 反応がわずかに残存した。既報の 22 例を含めた日本人 ChAc39 例の臨床 症状の解析を行ったところ、遺伝子型

―表現型の明らかな相関は認めなか ったが、ChAc 患者の多くは認知機能 の低下を含め多彩な精神症状を呈す ことが明らかとなった。日本人 ChAc 患者において exon 60-61 の欠失変異 と exon 37 上の c.4411C>T (R1471X) の遺伝子変異が 55.1%を占め東京と 西日本に多く存在し、一部の創始者効 果が示唆された。

E.結論 

日本人 ChAc 患者における VPS13A 遺伝子変異は多彩で遺伝子上に幅広 く分布するが関東以西においては一 部創始者効果も認めた。 ChAc 患者の 多くは認知機能の低下を含め多彩な 精神症状を有する。臨床症状と変異の 間に明らかな関係性は認めなかった。

今後は今回の解析結果もとに分子診 断により診断が確定した患者の自然 史を追い、将来の診療ガイドラインの 作成を目指す。

 

 

(3)

97

 

   

  G.研究発表  1.  論文発表 

Nishida Y, Nakamura M, Urata Y, Kasamo K, Hiwatashi H, Yokoyama I, Mizobuchi M, Sakurai K, Osaki Y, Morita Y,

Watanabe M, Yoshida K, Yamane K, Miyakoshi N, Ryouichi Okiyama R, Ueda T, Wakasugi N, Saitoh Y, Sakamoto T, Takahashi Y, Shibano K, Tokuoka H, Hara A, Monma K, Ogata K, Kakuda K,

Mochizuki H, Arai T, Araki M, Fujii T, Tsukita K, Sakamaki-Tsukita H, Sano A:

Novel pathogenic VPS13A gene mutations in Japanese patients with

chorea-acanthocytosis. Neurol. Genet., 5:

e332, 2019

H.知的財産権の出願・登録状況 1. 特許取得

なし

2. 実用新案登録 なし

3.その他

   

 

参照

関連したドキュメント

  A 型: SLC3A 1 の両アリルに変異を有する    B 型: SLC7A9 の両アリルに変異を有する    AB 型: SLC3A1 と SLC7A9

  SCN1A 遺伝子に変異を持つ、Dravet 症候群の患 者日本人 285 人(男性 144 人と女性 141 人)を対

神経有棘赤血球症とは神経症候と有棘赤血球症を併せ持つ病態に対して包括的に使用される用語であ

  HTLV-1 関連ぶどう膜炎(HAU)を発症した HTLV-1 キャリア 200 例の全身的予後 について検討した。2 例が ATL を発症し、うち1例は HAU 発症時の内科検査でく

Shwachman-Diamond 症候群(SDS)は、膵外分 泌異常と造血不全による血球減少を主徴とする先天

  今年度は既報の HBV 出芽に関する宿主因子を 中心として検討を行った。 HBV 出芽への ESCRT の関与は明確であったが、 ESCRT

  生体適合性に優れた MEA/HEMA 系材料と その他の対照材料に吸着する蛋白質量を 標的プロテオミクス解析により比較検討 し、平成 24

  2000Hz 以上の聴力レベルが 70dBHL 以上で ある高音急墜型の難聴者 5 名(症例 A〜E)を 対象とした。語音聴取については、 2000Hz