• 検索結果がありません。

FRP 補 強さ れ た 柔軟 構 造 物の 最 適 設計 に 関 する 研究

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "FRP 補 強さ れ た 柔軟 構 造 物の 最 適 設計 に 関 する 研究"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 ( 工 学 ) 中 西 光 章

学 位 論 文 題 名

FRP 補強された柔軟構造物の最適設計に関する研究 学位論文内容の要旨

  工業製品の軽量化や性能向上の要求に伴い,構造の高効率化を図ることが機械設計において重 要となっている.しかし安易な軽量化は,各種の静的な荷重に対して構造の強度不足を招き,また 動的な荷重に対しても共振などの振動問題を誘起し,変位や加速度が設計上の許容値を超え,疲 労や破壊の原因を生み出す危険性がある.そこで機械構造物の安全性を確保しながら,一方でそ の軽量化や静特性および動特性の改善を合理的に行える設計はきわめて望ましいものと考えられ る,構造物に所定の安全性や機能性を与え,一っまたは複数の目的量の最適化をはかるような設 計に関する研究は最適設計と呼ばれ,古くから研究が進められてきた.最適設計の対象が拡大し,

本格的な研究が進められたのは1950年代以後のコンピュータの発展に伴ってであり,さらに実設 計ーの展開が可能となり始めたのは,近年のコンピュータとその周辺技術の急速な発達に負うと ころが大きい.

  一方で繊維強化プラスチック(FRP)に代表される繊維強化複合材は,厚さや繊維配向角を適切 に選択することで,設計要求に対してカ学特性を改善できることが知られている.FRPの最大の 特徴は,軽くて強いことである.航空機や宇宙機器の場合,軽いと言うことが決定的に重要であ り,比強度や比剛性の値で材料の性能を評価することが多い.従来は,この異方性が現れないよ うに繊維を積層して疑似等方性のFRPを作ることが多かった,しかし近年はこの性質を逆に利用 して,その構造物に望ましい特性を与えるために繊維の配向角を最適化し,積極的にこの異方性 を利用しようという動きが見られる.

  最近では,複合材料が土木構造物や建築構造物の補強材として用いられている.1995年1月17 臼早朝,明石海峡付近を震源とした兵庫県南部地震(マグニチュードMニニ7.2)が発生し,多く の鉄筋コンクリート構造物が従来の地震被害とは比較にならないほどの大きな被害を受けた.わ が国は環太平洋地震帯に属する世界有数の地震国であり,これからも大地震の発生が避けられず,

既設構造物の耐震性向上が急務となっている,それを受け,近年ではシート状の連続炭素繊維シー トを用いる補修・補強工法が, 軽量 , 高強度 , 高耐久性 と優れた性能を生かし,既設の橋 脚 躯体,高 架橋柱,地下鉄中柱などのRC構造物に巻き付けて補強するという方法が注目を集め ている.連続炭素繊維シートとは,炭素繊維をー方向に並べてシート状にしたもので,これにエ ポ キ シ 樹 脂 な ど を 常 温 で 含 浸 , 硬 化 さ せ て 鉄 筋 コ ン ク リ ー ト の 補 強 に 用 い る .   連続炭素繊維による補強は,土木構造物や建築構造物への適用がほとんどであり,既存の金属 構造物への適用は著者らの知る限りではあまりなされていない,機械構造物の多くは金属から構 成されており,強度や振動問題を考慮して設計がなされる,しかしながら,使用条件や使用環境 により設計段階では考慮しなかった外乱が生じ,共振などの振動を誘起することがある.そこで

930

(2)

本研究では,繊維強化プラスチックが持つ特徴を生かし,振動特性の最適化を目的として,コン クリート構造物の補強材としてではなく,既存の金属からなる構造物への補強を試みる,金属か らなるはりや板構造物に,シートの繊維配向角,板厚,補強長さを適切に選択し,部分的に補強 することにより振動特性の改善を行う,炭素繊維シートによる補強は現場での施工性に優れてい るため,既存金属構造物への適用が拡張されれば,振動問題を解決するーつの手段になり得る.

  このような状況を踏まえ,本論文では施工性に優れた炭素繊維シートを,コンクリート構造物 の補強材としてではなく,既存の金属からなるはりや板への補強材として用いる.部分的にFRP 補強されたはりや板のモデリングを提案し,数値計算を行い,その振動特性を明らかにする.ま た,FRPシートにより補強された柔軟構造物の動特性を考慮した設計において,構造物の固有振 動数を最大化し,理論通りに施工することは重要である.しかしながら,既存構造物を使用現場 においてFRPシートを用いて補強する際,設計変数には製作誤差が生じ易く,理論どおりに施工 することが困難であり,固有振動数も変動し得る.そこで,望む振動特性を実現するため,製作 誤差に対して固有振動数の変動が鈍感となるロバスト性を考慮した設計手法を提案する.さらに,

シートを用いて補強する際,減衰特性の改善を考慮して設計を行えば,振動特性の大幅な改善が 期待できる,減衰特性と振動特性を同時に考慮した設計手法を示し,最後に実験を行い本研究の 有効性を検証する,、

  本 論 文 は5章 で 構 成 さ れ て い る , 以 下 に そ れ ぞ れ の 章 の 概 要 を 具 体 的 に 示 す .   第1章 は 序 論 で あ り , 本 研 究 の 目 的 と 意 義 お よ び 各 章 の 概 要 に つ い て 述 べ て い る .   第2章で は,FRP補強されたはりのモデリングを示す.ここでは古典積層理論,多層積層理論 に基づきりッツ法により自由振動解析を行う.この際,古典積層理論においては,断面が変化す る位置での,変位とたわみ角の連続性を満足した変位関数と,さらにカ学的連続条件まで満足し た変位関数を用いる,強制振動実験を行い,固有振動数と振動モードを求め計算結果と比較する ことにより,モデリングの検証を行う,

  第3章で は,2章で提 案したモ デリング を用いて,振動特性の最適化を行う,FRPシートによ り補強された構造物の動特性を考慮した設計において,構造物の固有振動数を最大化し,理論ど おりに施工することは重要である.しかしながら,既存構造物を使用現場においてFRP補強する 際,設計変数には製作誤差が生じ易く,固有振動数も変動しうる.そこで,製作誤差に対する固 有振動数の変化を,設計者が指定した許容値に収め,構造物の固有振動数を最大化するロバスト 設計手法を提案する.最後に,実験によルロバスト性を考慮した場合としなぃ場合とで比較を行 い,本研究の有効性を示す.

  第4章は ,スチール板にFRPシートを貼付した変厚ステップ板の自由振動に関する振動数方程 式を,複素剛性係数を仮定しりッツ法によって導出する.その際,リッツ法の試験関数として,断 面が変化する位置での変位とたわみ角の連続性を満足した変位関数を用いる.そして複素固有値 問題を解くことにより,固有振動数,モード減衰比,固有ベクトルを求める.FRP補強された平 板を3枚 製作し, 強制振動実験から固有振動数を,自由振動実験から減衰比を求め,FRPシート の剛 性パラ メータと減衰パラメータを遺伝的アルゴリズム(GA)を用いて同定する.同定した値 を用いて質量一定という条件のもと,補強位置,長さ,厚さ,繊維配向角を変え,振動と減衰特 性を数値計算により検討する,減衰特性と振動特性を同時に考慮した評価関数を提案し,評価関 数を最小化する設計変数を最適化手法を用いて決定する.最適化された構造物は基本振動数を最 大化した構造物や,板全体にシートを貼付した構造物に比べ,減衰特性と剛性特性に優れている

‑ 931

(3)

ことを示す,既存のスチールからなる初期構造物にシートを設計どおりに貼り付け,実験を行い その有効性を検証する.

  第5章は,各 章の結 果をまとめた結論であり,本研究で得られた成果を取りまとめている,

932

(4)

学位 論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 助教授

山田 鍵和田 城 小林

学 位 論 文 題 名

    兀 忠男     攻 幸徳

FRP 補 強さ れ た 柔軟 構 造 物の 最 適 設計 に 関 する 研究

  工 業 製 品 の 軽 量 化 や 性 能 向 上 の 要 求 に 伴 い 、 構 造 の 高 効 率 化 を 図 る こ と は 機 械 設 計 に お い て 重 要 と な っ て い る 。 し か し 安 易 な 軽 量 化 は 、 各 種 の 静 的 な 荷 重 に 対 し て 構 造 の 強 度 不 足 を 招 き 、 ま た 動 的 な 荷 重 に 対 し て も 共 振 な ど の 振 動 問 題 を 誘 起 し 、 疲 労 や 破 壊 の 原 因 を 生 み 出 す 危 険 性 が あ る 。 そ こ で 機 械 構 造 物 の 安 全 性 を 確 保 し つ つ 、 そ の 軽 量 化 や 静 特 性 お よ び 動 特 性 の 改 善 を 合 理 的 に 行 え る 設 計 は き わ め て 望 ま し い も の と 考 え ら れ る 。 一 方 、 繊 維 強 化 プ ラ ス チ ッ ク(FRP)に 代 表 さ れ る 繊 維 強 化 複 合 材 は 、 厚 さ や 繊 維 配 向 角 を 適 切 に 選 択 す る こ と で 、 設 計 要 求 に 対 し て カ 学 特 性 を 改 善 で き る こ と が 知 ら れ て い る 。

  最 近 、 複 合 材 料 が 土 木 構 造 物 や 建 築 構 造 物 の 補 強 材 と し て 用 い ら れ て い る 。 す な わ ち 、 炭 素 繊 維 を 一 方 向 に 並 べ て シ ー ト 状 に し た 、 連 続 炭 素 繊 維 シ ー ト を 用 い る 補 修 ・ 補 強 工 法 が 、 軽 量 、 高 強 度 、 高 耐 久 性 な ど のFRPの 優 れ た 性 能 を 生 か し 、 既 設 の 橋 脚 躯 体 、 高 架 橋 柱 、 地 下 鉄 中 柱 な ど のRC構 造 物 に 巻 き 付 け 、 工 ポ キ シ 樹 脂 な ど を 常 温 で 含 浸 、 硬 化 さ せ て 鉄 筋 コ ン ク リ ー ト を 補 強 す る と い う 方 法 が 注 目 さ れ て い る 。   本 論 文 で は 柔 軟 構 造 物 の 一 例 と し て 金 属 か ら な る は り や 板 構 造 を 考 え 、 施 工 性 の 優 れ た 炭 素 繊 維 シ ー ト を 補 強 材 と し て 用 い 、 部 分 的 にFRP補 強 さ れ た は り や 板 の カ 学 的 モ デ リ ン グ を 提 案 し 、 数 値 計 算 を 行 い 、 そ の 振 動 特 性 を 明 ら か に す る 。 ま た 、FRP シ ー ト に よ り 補 強 さ れ た 柔 軟 構 造 物 の 動 特 性 を 考 慮 し た 設 計 に お い て 、 構 造 物 の 固 有 振 動 数 を 最 大 化 し 、 理 論 通 り の 施 工 を 実 現 す る た め 、 製 作 誤 差 に 対 し て 固 有 振 動 数 の 変 動 が 鈍 感 と な る ロ バ ス 卜 性 を 考 慮 し た 設 計 手 法 を 提 案 す る 。 さ ら に 、 減 衰 特 性 と 振 動 特 性 を 同 時 に 考 慮 し た 設 計 手 法 を 提 案 す る と と も に 、 模 型 実 験 を 行 い 本 手 法 の 信 頼 性 を 検 証 し た も の で あ り 、 そ の 主 要 な 成 果 は 次 の 3点 に 要 約 さ れ る 。   (1) FRP補 強 さ れ た は り の モ デ リ ン グ 。  こ こ で は 古 典 積 層 理 論 、 多 層 積 層 理 論 に 基 づ き り ッ ツ 法 に よ り 自 由 振 動 解 析 を 行 う 。 こ の 際 、 古 典 積 層 理 論 に お い て は 、FRP の 補 強 に よ り 断 面 が 変 化 す る 位 置 で の 、 変 形 の 連 続 性 を 満 足 し た 変 位 関 数 と 、 さ ら に

(5)

カの連続条件まで満足した変位関数を用いる。強制振動実験を行い、固有振動数と振 動モードを求め計算結果と比較することにより、モデリングの妥当性を検証した。

  (2) 振動特性の最適化。   FRP シートにより補強された構造物の動特性を考慮した 設計において、構造物の固有振動数を最大化し、理論どおりの性能を得るように施工 することは重要である。そこで、製作誤差に対する固有振動数の変化を、設計者が指 定した許容値に収め、構造物の固有振動数を最大化する口バスト設計手法を提案する とともに、実験により口バスト性を考慮した場合としない場合とで比較を行い、その 有効性を実証した。

  (3) 減衰を 考慮 した 平板の最適化。   スチール板にFRP シートを貼付した変厚ス テップ板の自由振動に関する振動数方程式を、複素剛性係数を仮定しりッツ法によっ て導出する。そして、複素固有値問題を解くことにより、固有振動数、モード減衰比、

固有ベクトルを求める。一方、 FRP 補強された平板を製作し、強制振動実験から固

有振動数を、自由振動実験から減衰比を求め、FRP シートの剛性バラヌータと減衰

バラヌータを遺伝的アルゴリズムを用いて同定する。同定した値を用いて質量一定と

いう条件のもとに、補強位置、長さ、厚さ、繊維配向角を変え、振動特性と減衰特性

を数値計算により検討する。さらに、減衰特性と振動特性を同時に考慮した評価関数

を提案し、 評価関数を最小化する設計変数を最適化手法を用いて決定する。最適化さ

れた構造物は基本振動数を最大化した構造物や、板全体にシートを貼付した構造物に

比べ、減衰特性と剛性に優れていることを示すとともに、既存のスチールからなる初

期 構 造物 にシ ートを 設計 どお りに貼 付し 、実 験を 行いそ の有 効性 を検 証した 。

   これを要するに、著者は、FRP 補強された柔軟構造物のモデリングと最適化手法

の提案を行い、柔軟構造物の最適補強設計に関して有益な知見を得たものであり、振

動工学の進歩に貢献するところ大なるものがある。よって著者は、北海道大学博士(工

学)の学位を授与される資格あるものと認める。

参照

関連したドキュメント

地震動に対する振動 x x o m K 相対変位 質点 質量 剛性 地動加速度 質点での応答値 変位 速度

慮した測定結果の振動数と振動モー ド図を示す.表−2 に固有振動数をま とめて示す.表−3 にモード減衰比の 結果を示す.解析結果から, 7 次まで

アイソグリッド構造とは,正三角形の格子状の

65 第 6 章 まとめ 以下に本論文のまとめを述べる。

Relative disp.. 3.11 地震における固有振動数および減衰定数の変化 まず,3.11 地震を対象に,震動中の固有振動数および減

Fi g.3 は,境界条件が固定の場合の 1次対称振動の 非線形 自由振動 曲線 をライズ比 をパ ラメー ター に示 す.減衰定数 h‑0..

中間試験 10.減衰のある1自由度系の自由振動の取り扱い

   続い てこの 論文では ,FRP が 引張面 に接着補 強され たRC はり の曲げ 挙動の シミュレ亠ションが