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Swain Anthony 学 位 の 種 類

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Academic year: 2021

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全文

(1)

氏 名 すうぇいん あんそにー

Swain Anthony

学 位 の 種 類

博士(医学)

報 告 番 号

甲第

1705

学位授与の日付

平成

30

3

15

学位授与の要件

学位規則第

4

条第

1

項該当(課程博士)

学 位 論 文 題 目

DBA Lectin Binds to Highly Proliferative Mouse Erythroleukemia Cells

(DBA レクチンは増殖期マウス赤芽球性白血病細胞に結合する)

論 文 審 査 委 員 (主 査) 福岡大学 教授

白澤 専二

(副 査) 福岡大学 教授

田村 和夫

福岡大学 教授

松永 彰

福岡大学 講師

小柳 緑

内 容 の 要 旨

【目的】

白血球系細胞の分化過程において、造血幹細胞はリンパ球系、骨髄球系の造血前駆細胞 を経て、その後成熟細胞へと分化・成熟する。染色体異常や転写因子の異常は、未熟な 造血細胞の過形成もしくは異形成を引き起こし、幹細胞非依存性の急性白血病である急 性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)、幹細胞依存性の慢性白血病である、

慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病(CLL)などの疾病を誘導する。白血病細胞 は正常細胞と比べて増殖能力が高い細胞であり、増殖能力の程度によって、病態の進 行、予後予測、治療薬耐性に影響を及ぼす。

近年の主流な細胞増殖の解析法として、Ki-67 および carboxyfluorescein succinimidyl

ester (CFSE)がある。Ki-67 は G0 期以外の細胞に発現し発現量と腫瘍の悪性度には正の

相関が認められ、FACS、ICC、ICH、Immunoblotting 等、様々な使用法がある。CFSE は蛍

光色素として細胞質の中に長時間とどまり、長期的な動的挙動をトレースできる試薬と

して一般的に用いられている。しかし、以上のような解析に関しては、抗 Ki-67 抗体で

染色する為の細胞固定が原因で細胞の生存率が低下することや、CFSE は毒性を持つこと

等の問題がある。このような問題に対処するため、我々はその他の方法の探索を試み

た。レクチンは糖鎖を特異的に認識して結合するタンパク質の総称であり、様々な細胞

の表面に発現し、植物から動物まで幅広く存在するタンパク質である。レクチンはその

種類により特定の炭水化物に結合する事から、細胞表面の表現型に基づいた細胞分画に

(2)

用いられてきた。例えば、植物由来のレクチンは血液型の判定に使われる。そこで、

我々はレクチンの種類によっては、細胞増殖能の違いを毒性を抑えつつ検出できるので はないかと仮定した。本研究では、植物由来の種々のビオチン結合レクチンを利用し、

毒性が少なく、増殖能の検出が可能な分画法を検討した。

【方法】

実験にはマウス Friend 白血病細胞株 F5-5.F1 を使用した。Canavalia ensiformis (ConA)、

dolichos biflorus (DBA)、 erythrina cristagalli (ECA)、 lens culinaris (LCA)、

phaseolus vulgaris (PHA-E4)、arachis hypogaea (PNA)、 ulex europaeus (UEA) 、 triticum vulgaris (WGA)の計8種の植物由来レクチンをビオチン標識して細胞に添加後、

FACS (fluorescence-activated cell sorting)によりその結合を解析・分画した。また、

分画化した細胞を採取し、メイグリュンワルドギムザ染色による形態観察、細胞増殖関連 遺伝子である myelocytomatosis oncogene ( Myc )、 cyclin D1 ( Ccnd1 )、 cyclinD2 ( Ccnd2 ) のリアルタイム PCR による発現解析、及び Ki-67・MTS 法による増殖活性の解析を行った。

【結果】

8種類のレクチンのうち、DBA、LCA もしくは PHA-E4 について、F5-5.F1 細胞を利用した FACS 解析において、結合の強い(

High

), 中間(

Int

)および、結合しない(

Neg

)細胞のように、

異なるパターンを示した。また分画した細胞をメイグリュンワルドギムザ染色後に観察し たところ、細胞周期特異的な形態に違いが見られた。特に、DBA

High

の分画において、DBA

Int

と DBA

Neg

の分画と比べて Myc 、 Ccnd1 、 Ccnd2 の遺伝子発現が高かったが、その他の LCA と PHA-E4 の分画では、増殖関連遺伝子の発現に差は見られなかった。また、DBA 結合パ ターンと Ki-67 染色および MTS アッセイの結果が相関しており、DBA の結合が高い細胞は、

増殖活性が高い結果となった。

【結論】

DBA による F5-5.F1 細胞の標識は、フローサイトメトリー法を用いた増殖期細胞集団の分 画に有効であった。また、本法を用いる事で、細胞を生きたまま分画できる事から、将 来的な白血球細胞における増殖マーカーの理解と増殖に関する分子生物学的研究への貢 献が期待される。

審査の結果の要旨

近年の主流な細胞増殖の解析法として、例えば Ki-67 は G0 期以外の細胞に発現し発現量

と腫瘍の悪性度には正の相関が認められ、FACS、ICC、ICH、Immunoblotting 等多くのアッ

(3)

セイで用いられるが、抗 Ki-67 抗体で染色する為には細胞固定が必要である。また CFSE は蛍光色素として細胞質の中に長時間とどまり、長期的な動的挙動をトレースできる試薬 として一般的に用いられているが、毒性を持つ等の問題がある。本論文では、このような 問題に対処するため、DBA レクチンが、毒性が少なく、生細胞の増殖能の検出マーカーと して利用できるということを示した。

1.斬新さ

細胞の増殖能力の調査は、Ki-67 染色、CFSE および MTS のようないくつかのアッセイを用 いて行うことができる。 例えば、Ki-67 は、細胞生存率を測定するための有用なツールで あるが、その使用は細胞生存性を排除する細胞固定に依存する。 また、CFSE および MTS アッセイは、細胞質における代謝プロセスによって細胞増殖を測定することができるが、

これらの物質の高濃度での使用は、細胞に対して毒性を生じる可能性がある。 本論文の 方法では、生存率を損なうことなく、増殖態の高い細胞を標識・検査することが可能であ る点において斬新である。

2.重要性

白血病において、高度に増殖する悪性細胞は、疾患の進行、不良な患者の予後および治療 に対する抵抗性の原因となる。 増殖状態に基づいて白血病細胞を同定および分画する新 しい方法は、これらの細胞を生きたまま解析できるので、各画分の性質のモニタリングな ど、新たな白血病の性質を解明するために重要である。

3.実験方法の正確性

本論文のすべての実験は、同一の F5-5.F1 マウス赤白血病細胞株、計測機器、試薬で行っ た。 全てのフローサイトメトリー、RT-PCR、Ki-67 および MTS アッセイは、いずれも最低 3回は実施し、統計学的にも正確な手法を用いた。

4.表現の明確さ、および結論

本論文は、DBA レクチンで標識した F5-5.F1 細胞を 3 つの画分に分けることができること を示した。 DBA 結合リガンドを高度に発現する細胞は、DBA リガンド陰性画分と比較した 場合、F5-5.F1 マウス赤白血病細胞株では、Ki-67 核タンパク質および MTS シグナルとも に高く、 Myc 、 Ccnd1 、 Ccnd2 遺伝子の発現も高い。 以上の事より、DBA を用いて、リガン ドがより高く発現していれば、より高い増殖状態を示すことが示唆され、異なる増殖状態 の細胞を生きたまま分離することができると結論付けることができる。

5.主な質疑応答

学位申請論文の内容の発表(英語)の後、以下の質疑応答(日本語)が審査員から申請者に

対して行われた。

(4)

Q1:

この erythroleukemia は erythroid(赤血球) の precursor(前駆)細胞が癌化したもので すか?

A1:

F5.5.F1 細胞はマウスの赤白血病細胞であり、赤血球前駆細胞に近い癌細胞です。

Q2:

ギムザ染色のところに DBA

High

細胞での核の断片化のような違いははっきりと見えます。

ただ、LCA

High

細胞と PHA-E4

High

細胞も形態学的にすこし違うように見えます。サイズが少 し大きく、ブレブがあって分化しているように思いますがどうでしょうか?

A2:

私自身 LCAL

Low

細胞と LCAL

High

細胞はサイズ的に少し違いがあると思いました。LCA

High

細胞での Myc , Ccnd1 , Ccnd2 の発現は、 Myc 発現のみが違いましたが、その他の大きさに 関する遺伝子の発現も違う可能性はあります。また、LCA

High

細胞と PHA-E4

High

細胞につい て Ccnd1 と Ccnd2 の発現は統計的に違いがありませんでした。DBA

High

細胞のギムザ染色 によって形態学的に違いが見える場合は、 Myc , Ccnd1 , Ccnd2 の発現も統計的に違いがは っきり見えましたので、本論文では、DBA にフォーカスしました。

Q3:

DBA は血液型では A 型の細胞に親和性があります。F5-5.F1 は erythroleukemia だか ら、そういう意味で有効なのかもしれない。ところで、他の白血病細胞で調べたことあ りますか?

A3:

このプロジェクトには F5.5-F1 マウス erythroleukemia 細胞株を使いましたが、実は他 の細胞株でもテストしました。最初にヒトの細胞株もフローサイトメトリーでテストし ました、例えば K562(ヒトの erythroleukemia 細胞)Jurkat、MV-4-11、Kasumi、MOLM- 13 と NB4 をテストしたところ、一番綺麗な fractionation データは F5-5.F1 細胞から得 られましたので、この細胞を選んで論文を書きました。

Q4:

ヒトは A と B と O の血液型がります。DBA は A 型 specific ですから A 型に関係があるか もしれません。マウスはどうでしょう?

A4:

マウスの血液型が調べたことありませんので、F5-5.F1 は A type マウスか B type マウ

スかは調べたことがありません。

(5)

Q5:

ギムザ染色では、DBA

High

細胞以外の LCA

High

細胞や PHA-EA

High

細胞においても分断した核 が見えますが、分断した核を有する細胞はそれぞれ何パーセントぐらいでしょうか?

A5:

ギムザ染色における定量化はしていません。DBA、LCA と PHA-E4 を用いた時に、フロー サイトメトリーで違いが認められる場合に、遺伝子発現を RT-PCR で調べました。以上の 遺伝子発現の結果に基づいて DBA に関しては proliferation assay までやりました。

Q6:

レクチンで細胞を釣り上げて、viable cell としていろんな研究に使いたいということで すよね。このように、一個の細胞をダイナミックに見るような方法論は確立されている のでしょうか?

A6:

ホログラフィックマイクロスコピーを使ったやり方は有用だと思いますが、この研究で は使うチャンスがありませんでした。

Q7:

この研究は in vivo ではありません。将来、どうやって臨床までにトランスレートする のかアイデアがありますか?

A7:

今回は、一つの細胞株に Con A, DBA, ECA, LCA, PHA-E4, PNA, UEA と WGA だけを使い ました。当初は、様々な細胞株と様々なレクチンを使った方がいいと思いましたが、そ のためにはハイスループットスクリーニング(HTS)をする必要があります。このプロジ ェクトによって、DBA というレクチンが見つかったので、将来的には HTS に移行すればさ らに、面白い発見があると思います。そのような結果がでることによって将来的に患者 さんの細胞にも使えるようになると思います。

本論文の内容の斬新さ、重要性、実験方法の正確性、表現の明瞭性、及び質疑応答の結

果を踏まえ、審査員で協議した結果、申請者は学位授与に値すると評価された。

参照

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