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Ⅰ Ⅰ . 保険業者 と金融業者の展開

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(1)

米国生保 の業務展開 と金融保証

中 浜 隆

( 九州大学大学院)

I. は じめに‑⊥対象 と課題‑

Ⅰ Ⅰ . 保険業者 と金融業者の展開

( 1)1 9 6 0・7 0 年代

( 2)1 9 7 0 年代末以降 I l l .金融保畜E 業務の展開

(1 )金融保証業の発展

(2)生命保険会社の金融保証

(3 )生命保険業の史的展開 と金融保証業務

Ⅰ Ⅴ . 結び

J.は L ' めに‑ 線 と諌瞳‑

近年、進展 している金融革新の もとで、先進資本主義諸国、 とりわ 1 )

けア メ リカでは、生命保険会社の保険業者 と金融業者 に大 きな変化が 生 じている。

生命保 険会社の保 険業務 と金融業者 に大 きな変化が生 じたのは、第

2 次大戦後、二つの時期 においてである。第 1 の時期 は 、1 9 5 0 年代 に

始 ま り 、1 9 6 0 年代後半か ら 7 0 年代初めにかけて本格化す る。第 2 の時

(2)

米国生保の業者展開と金融保証

期は、 1 9 7 0 年代末以降である。本稿では、第 2 の時期 における保険業 務 と金融業務の展開のなかで行われるようになった金融保証業務につ いて考察する。生命保険会社は、その子会社 に対 して金融保証 を行 う

とともに、さらに子会社や他の保険会社 などと共同で設立 した新会社 を通 じて第三者に対 して金融保証 を行 っている。本稿では、生命保険 会社が業務の展開 として行 っている後者 を対象にす る。 また前者 も、

生命保険会社の金融業者 にかかわ りをもっているので、それにもふれ るこ とに したい。本論 を論 じるにあたって、二つの時期 における生命 保険会社の保険業務 と金融業務の展開を対比す るとともに、金融保証 業務が生命保険会社に入 り込んで きたルー トを示すために、 まず第 1 の時期 における保険業者 と金融業者の展開 を述べ ることか ら始めよ う。

(1 )筆者は、生命保険会社が遂行 している業務 を保険業務 と金融業者 に大別 し ている。前者には、生命保険や年金、損害保険業務が含 まれ る。これ を生 命保険会社の収入源泉 として とらえるならば、保険料が対応す る。後者に は、伝統的な資産運用業務だけでな く、後 にふれる ミューチュアル ・ファ ン ドや不動産投資信託、 さらには証券ブローカー ・デ イ‑ラ‑、ノンバ ン ク ・パンク業務 など伝統的な資産運用業務の枠 を超えた業務が含 まれ る。

これを収入源泉 として とらえるならば、投資収益 ( 利子 ・配当、手数料) が対応す る。

l l .保険業務 と金融兼務の展開 1 )

( 1)1 9 6 0・7 0 年代

第 1 の時期 における保険業務の変化は、まずホールセール部 門であ

る団体年金のシェア低下であった。第 2 次大我後、公的年金、私的年

(3)

●米国生保の葉番展開と金融保証

金 ともに大 きな伸び率 を示 したに もかかわらず、 1 9 5 0 年代以降、生命 保険会社が受託する保険型年金の伸び率は、商業銀行 などが受託する 非保険型年金のそれに対 して低下 していった。それは、保険型年金 に は投資に対 して厳 しい制限が親定 されてお り、 しか も投資収益 に対 し

2 )

て所得税が課せ られていたためである。そのために保険型年金は、お もに安全性 の高い社債や抵当貸付 に投資 していたのに対 して、非保険 型年金は、普通株 に棟庵的に投資 し、戦後の経済成長 に基づ く株式の 高配当やキャピタル ・ゲインを得 ることによって、年金掛金の軽減 を はかったのである。

ホールセール部門である団体年金に生 じた変化は、 リテール部門で ある個人生命保険にも波及することになった。個人可処分所得の伸 び 率 は 、1 9 5 0 年以降、一貫 して上昇 したにもかかわ らず、個人生命保険 の新契約高のそれは、 1 9 5 5 年か ら 7 0 年 まで低下 し、 さらに 1 9 6 5 年以降 には個人可処分所得のそれを下回ることになった。 また保険種類別に よる個人生命保険の新契約高では、高貯蓄性保険の比重が低下 し、非 貯蓄性保険の比重が上昇 した。すなわち、保険契約の定期化が進展 し

たのである。 これ らは、生命保険会社の資金吸収力の低下をもたらし た。 さらに 1 9 6 0 年代後半 における高金利の時期には、契約者貸付が増 大 した。保険契約者は、生命保険会社か ら貸付 を受け、それ を短期 自 由金利商品に投資 したのである。つ ま り、契約者貸付 とい う形態 で デイスインター ミディエーションが発生 したのである。 これは、生命 保険会社の投資可能資金の減少 をもたらした。

このように 1 9 6 0 年代後半には、個 人生命保険の新契約高の伸び率が

個人可処分所得のそれ を下回 り、 さらに契約者貸付が増大することに

なった。 したがって保険業者で大 きなウェイ トを占め る個人生命保険

に対する対応は、 この時期 に採 られ ることになる。

(4)

米国生保の業務展開と金融保証

上述 した事態に対 して生命保険会社が採った対応策が、保険業務 と 金融業者の両面にわたる業務の展開であった。金融業者では、資産運 用において資産の大半 を占める社債や抵当貸付のエ クイティ参加 を積 極化す るとともに、従来の資産運用の枠 を超 えて、子会社 を通 じて ミューチュア ル .ファン ドや 不 動 産 投 資信 託、証 券 ブ ローカー ・ ディーラー、消費者信用などの業務 に連出 した。 これ らによって資金 吸収手段 を多様化 し、投資収益 ( 利子 ・配当、手数料収入)の増大 を

はかった。これは、上述 した保険契約における伸び率の低下や定期化 の進展によって、保険業務か ら生 じる死差益や賛差益の相対的な減少 を補 うために、金融業者 を展開することによって投資収益 を増大 させ、

利差益 を拡大 させ ることをめ ざしたものであった と考えられる。

保険業務では、ホールセール部門である団体年金 に対 して、エ クイ

ティ ・ファンデイングや変額年金 を創設することによって、団体年金

の シェアを改善 し、資金吸収力の回復 をはかろ うとした。 リテール部

門である個人生命保険に対 しては、 まず損害保険業務に進出すること

によって、多様化 した家計の保険需要に対応 しようとした。ア メリカ

では 、1 9 5 0 年代以降、家計の所得が上昇 し、また消費者信用や信用生

命保険が発展す るのに伴 って、住宅や 自動車 などの耐久消費財が家計

部門に急速に普及 していった。 これによって火災保険や 自動車保険な

どの家計損害保険が尭展す ることになった。つ ま り、生命保険 と損害

保険が家計保険市場 として同質化 していったのである。 こうした状況

の もとで生命保険会社は、上述 した個人生命保険に生 じた事態に対応

するために 、1 9 6 0 年代後半には損害保険商品 を生命保険商品 と並亮す

ることによって、生命保険商品の販売 を促進 しようとした。 しか しそ

れだけではないo上述 した ミューチュアル ・7アン ドや不動産投資信

託業務への進出は、それ らによって投資収益の増大 をはかるとともに、

(5)

米国生保の業務展開と金融保証

ミューチュアル ・ファン ドや不動産投資信託 といった金融商品をも生 命保険商品 と並売す ることによって、生命保険商品の販売 を一層促進 しようとしたのである。つ まり、 リテール部門で保険契約 における伸 び率の低下や定期化の進展 に対 して採 られた措置が、損害保険商品や 金融商品の販売であった。実際、生命保険会社の外務月が生命保険商 品だけを販売することは、丙難になってきたことが言われていたので

3 )

ある。 このことは、 とくに金融商品の販売 とかかわっている 。1 9 6 0 年 代 には、非金融法人書肝弓 や家計部門に大量の金融資産が存在 していたC

そ してそれ ら両部門が、 とくに高 インフレ ・高金利の時期に高収益 を 求めて資産 を活発にシフ トさせ ることになった。金利選好意識の高 ま りである。それは、金融機関が保有する資産のシェアに大 きな影響 を 与えるこ とになる。被保険者の死亡 に対す る保障が定期保険によって 得 られるとともに、余裕資金が高収益 を提供する金融商品に向か うこ とになる。 このことは、 「 定期保険を買って、その残 りは投資 しよう ( " Bu yt e n a n di n v e s tt h ed i f f e r e n c e ") 」 とい う言 葉 に端 的 に表現 されている。 ミューチュアル ・ファン ドや不動産投資信託業務 への進出 という金融業者の展開は、一方で家計の貯蓄 を吸収す ること によって資金吸収力の回復 をはか り、他方で生命保険商品の販売 を促 進す るこ とによって保険業者の拡大 をはかるためであった。 こうした 事態は、保険業者の拡大が金融業者 を展開することなしには行われえ な くなって きたことを意味する。それは、非金融法人部門や家計部門 に大量 に蓄積 された金融資産 と高インフレ ・高金利に伴 う金利選好意 識の高 ま りが保険業者 を変 えてい く過程 である。そ してそれ らは、

1 9 7 0 年代末以降、 さらに生命保険商品の金融商品化へ と向かわせたの

である。

(6)

米国生保の業務展開と金融保証

( 2)1 9 7 0 年代末以降

1 9 7 0 年代未に到来 した高インフレ ・高金利 によって、家計部門の金 利選好意識は一段 と高 まり、失効や解約、契約者貸付が ドラスティッ

クに増加す ることになった。 こうした事態に直面 して生命保険会社は、

上述 した金融商品を生命保険商品 と並売す るだけでな く、生命保険商 品その もの を変革 しなければならな くなった。いわゆるニューウェー

I )

ブ商品の創設や伝統的な終身保険の改良である。それは、変額保険の 導入 を端緒 とする。 これは、すでにホールセール部門である団体年金 に導入 されていた変額年金の概念が、 リテール部門である個人生命保 険にも導入 された ものである。変額保険は、投資成果 を死亡保険金や 解約返戻金 に直接反映させ るものである。 その場合、営業保険料か ら 付加保険料 と危険保険料 を控除 した貯蓄保険料 は変穎年金 と同 じく分 離勘定で運用 されるが、保険契約者が普通株勘定のほかに TB や CD 、

CP などの短期 自由金利商品を対象 としたマネー ・マーケッ ト勘定な どの投資勘定 を自由に選択で きるとい う投資の 自在性 を有 している。

ユニバーサル保険は、従来の終身保険における死亡保障部分 と貯蓄

部分が分散 されてお り、営業保険料か ら付加保険料 を控除 した純保険

料 は、キャッシュ ・バ リュー として積 み立て られ、そのなかか ら危険

保険料が定期保険のために支払われる。そ してキャッシュ ・バ リュー

は、 TB や CD 、 CP などの短期 自由金利商 品に投資 され、キャッ

シュ ・バ リューに対 して TB レー トなどにスライ ドした実勢金利が付

与 されている。 またユニバーサル保険は、保険契約者が保険料額や保

険金額、保 険料払込方法 を自由 に変 更で き、 しか もキャッシュ ・バ

リュー を自由に引き出す ことがで きるとい う柔軟性 をもっている。 し

たがってそれは、生命保険商品における貯蓄部分・

従来のそれか ら分

馳するとともに、同 じ生命保険商品のなかに存在 している姿であると

(7)

米国生保の葉番展開と金融保証

言 って よい。 それは上述 した時期 と対比すれば、生命保険商品 ( 定期 保険) と金融商品 (ミューチュアル ・ファン ド)が別々に存在 してい た ものが、両者が結合 し一つの生命保険商品になったもの と見 ること がで きる。 さらに、ユニバーサル保険に変蔚保険の投資の 自在性 を取

り入れた変額ユニバーサル保険 も開発 されている。

またこれ までの伝統的な終 身保険の改良 も行 われ、保険料率算定の 基礎 を一定期間ごとに変更す る不確定保険料終身保険、平準保険料方 式を修正 し、契約締結当初 は保険料 を橿めて低 く設定 し、その後一定 期間に保険料 を段階的に逓増 させ てい く修正保険料式終身保険、保険 料 を定期的に払い込む点 とキャッシュ ・バ リュー に対 して付与され 声 道過利息が定期保険の買増 しに充 当され るなどの点 を除 いてはユニ バーサル保険 と同 じ内容 をもつ金利感応型保険などが開発 されている。

表 1 普通生命保険薪契約高構成比 ( 年払換算保険料ベース) ( 単位 : %)

ユニバーサル 一変鋲保検 変額ユニバー カレン ト.ア

伝 統的 なキヤ

定期保険 保 険 サル保険 終身保険 サンプ シヨン ュー型の保険 ツシユ . バリ

1 9 8 0 辛 * * * * 8 2 1 8

1 9 8 1 2 1 * * * 7 8 1 9

1 9 8 2 9 2 * * 1 7 0 1 8

1 9 8 3 1 8 2 ** 3 6 2 1 5

1 9 8 4 33 3 * * 1 2 4 3 1 2

1 9 8 5 3 8 3 1 1 4 3 3 l l

辛1% 未満、 **販売実演なし。

( 出所) L if eI n s u r a n c eMa r ke t i n ga n dRe 詑a r C hA s S o c i a t i o n

(8)

米国生保の業務展開と金融保証

こうしたニューウェーブ商品や改良版終身保険は、一般 に低 い付加 保険料 と高い実勢金利の付与 を特徴 としている。 したがって、前者に よって伝統的な終身保険 と比較 して費差益が減少することにな り、ま た後者によって利差益 も減少することになった。 しか も上述 した新商 品の成長 は、既存の保険契約か らの乗 り換 えによるところが大 きいこ ともあって、保険業務の拡大が収益のそれに直接結び付かな くなって いる。

またユニバーサル保険や金利感応型保険は、金利 リスクや流動性 リ スクをもたらすことになった。そのために、これまでは貸借対, %表上 で負債 を所与 とし、資産だけを管理す る資産管理から資産 と負債の双

5 )

方 を管理 す る、資産 ・負債捻合管理 ( ALM) を必要 とさせ るにい たった。

こうした事態に直面 して、生命保険会社は、セグメンテー ションや イ ミュナ イゼ‑ ションなどの手法によって ALM を遂行 し、金利 リス クや泳動性 リス クを回避 しなが ら、投資収益の拡大 をはか らなければ ならな くなった.すなわち、貸借対照表上の資産側 ( 資産運用)では、

TB や CP の保有によって短期資産の掛合を上昇 させ、長期資産 につ いてはこれまで資産の大半 を占めていた社債や抵当貸付の割合 を低下 させ るとともに、市場性のある国債のそれを上昇 させ ることによって 資産構成 を変化 させている。 また社債 については、その償還期間を短 縮化 し、直接引受による購入の割合 を低下 させてお り、その直接引受 による金利 リスクを‑ ッジするために、金融先物やオプシ ョンを利用

6 )

している。他方、負債側では、わずかではあるが、 CP や一括登藤制 の もとで社債 を発行することによって、キャッシュ ・フローの調整 を はかっている。

このように生命保険会社は、ニューウェーブ商品や改良版終身保険

(9)

米国生保の業務展開と金融保証

とい う新商品の販売によって もたらされた金利 リスクや流動性 リスク を回避す るために、資産側で資産構成や満期構成 を変化 させている。

こうした資産側での対応は、セキュ リタイゼー ションの進展 と金融保 証の発展に伴 って、長期 ・固定低金利の貸付債権 を証券化 し、金融保 証 を付けて売却す ることによって流動化 させ、短期 ・高金利の資産 と 入れ換えることによって行われるようになる。そしてさらに生命保険 会社は、子会社や他の保険会社 などと共同で新会社 を設立することに

‑ よって金融保証 を提供するまでに展開 している。 こうした背景には、

1 9 8 2 年後半以降 の金利低 下局 面の到来 に もかか わ らず、新商 品 の キャッシュ .バ リューに対 して付与 される金利が生命保険会社間の過 当な競争によって高 く設定 されたために、スプレッ ドが急激に縮小 し た とい う事態がある。そのために生命保険会社は、保有 している貸付 債権 を琵E 券化 し、金融保証 を付 けて流動化す るとともに、 さらには収 益機会の拡大 を求めて金融保証業務 を展開するようになった と考 えら れる。

(1 ) この時期 における生命保険会社の保険業者 と金融業者の展開についての 詳 しい事 実 関係 につ いては、 拙稿 「米 国生 命保 険糞 の業務 多様化

‑ 1 9 6 0・7 0 年代 を中心 として一 一 一」 『 経 済論究』 ( 九州大学)第 7 1 号 ( 昭和 6 3 年 7 月)の第I T章 と第 l I Ⅰ 章 を参照。

( 2 )生命保険会社 の投資収益 に対す る課税 は 、1 9 5 9 年生命保険会社所得税 法

( Li f el l l S u r a n C eCo mp a n yI n c o meTa xAc to f1 9 5 9 ) が 制 定 され

るまでは投 資収益全体 に対 して課税 されていたが、伺法制定以後 は利

差益 に対 してのみ課税 され ることになった。

(10)

米国生保の業務展開 と金融保証

(3 )例 えば・ 「 疑 いな く、われわれの肢売代理人は、 もし生命保険商品のみ を提供 Lているならば契約で きないであろ う常客 を獲得 している 。」

(‑ So o n:Thot ) s and sofNe w SaJ e s me nf orMut t J a】Fu ndsI U・ S・ Ne w s& Wo r l d r t ,Vo l エⅩI V No. l l( Ma r c h l l1 9 6 8 ) , p. 9 8 . ) とい うことが言われていた。

(4 )これ らについては、古瀬政 敵 lアメリカの生命保険舎利 東洋経済新報 社、昭和 6 0 年、第 2 章の 2 を春風。

( 5 )これ につ い て は 、Ti l l e y, J . A. , " TheMa t c hi n gofA ss e t sa ndLi a bi l ・ i t i e s I,Tl l a 棚 C t i o 鵬,γo l . XXXI I( 1 9 8 0 ),pp, 2 6 3 ‑3 0 0 .Ti l l e y,J.

A. a n dJa co b,D. P. , ‑ As s e t / Lj abj l i t yMana ge me ntf orl n s u r a nc e Co mpa ni e s ',Mo r ga nSt anl e y,No ve mbe r1 9 8 3 ,Wei nbe r ge r ,Al l f r e d , ‑ Ne w Sol ut i o nst ohve s t me ntMa nage me ntPr o b) e ms " , Th eEme y gz : n gFi na nc i alI ndu s t r y ,e di t e dbyAmol dW. Same t z, Le xi n gt o n,Ma s s a c hu s e t t s ,1 9 8 4 .p p. 1 0 2 ‑1 0 3 . 、小蛤 原章 「 米 国生保 会社の資産 ・負債菅 埋」 r 保険学雑誌j第 5 0 5 号 ( 昭和 5 9 年 9 月)、薮 美紀 ・木村孝之 ・山口賢二 「 米国における生保会社の ALM と銀行版 ALM につ いて 」 r 丈研静集 J ( 生命保険文化研究所) No. 7 6 ( 1 9 8 6 年 9月)、古瀬政敏 「 米国生保会社 にお ける収益 お よび リス ク管理」

r 文研静集 』 ( 生命保険文化研究所) No . 7 8( 1 9 8 7 年 3 月) を参乳 (6)Cur r y ,Ti mot hya ndWa r s haws ky,Ma r k, ' L if eI ns u r anc eCo m・

pa ni e si naCha ngl ngEnvi r o nme n t ",Fe d e r alRe s e r z J eBul l et i n ,

Vo l . 7 2No. 7 ,J u l y1 9 8 6 ,p p, 4 5 5 ‑4 5 7 .

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米国生保の業務展開と金融保証

日. 金融保証業務の展 開 (1)金融保証業の発展

金融保証 とは、証券の発行者の債務不履行 に対 して、証券の保有者 に元本 と利子の支払いを保証す ることによって証券の発行者の信用力 を高め、証券の発行者の金利 コス トを軽減 させ、また証券の市場性 を 高める手段である。 したがって金融保証は、事実上、 自身の信用格付

けが低い証券の発行者に、保険業者がそのす ぐれた信用格付けを r 栄 1 )

貸す るJ手段である。金融保証業務は、保険会社のほかに商業銀行や 投資銀行、事業会社 などが行 ってお り、 また金融保証が付 けられる証 券 も、地方債やモーゲー ジ担保証券、社債、 CP 、 リース債権証書、

企業の売掛金債権証券 など、 さまざまな証券に及んでいる。 こうした 民間 レベルによる金融保証の提供は 、1 9 7 0 年代以降に展開 されるが、

政府金融機 関による金融保証の提供は、モーゲージの分 野ですでに

1 9 3 0 年代か ら行 われていた。 まず 1 9 3 4 年 に FHA ( Fe d e r a lHo u s i ng Ad mi n i s t r a t i o n l連邦住宅局)が政府保証債 の発行 による資金調達

によって設立 された。 FHA の業務は、生命保険会社や貯蓄貸付組合 などがモーゲー ジ貸付 を行 って取得 したモーゲー ジの保証 を行 い、借 手の債務不履行に対 して貸手の姐矢 を補償することであった。 FHA

の役割は、モーゲー ジに対 して保証 を提供することによってモーゲー

ジ発行市場の育成 をはかることにあった。 FHA につづ いて 1 9 3 8 年 に

は FNMA ( Fe d e r a lNa t i o n a l Mo r t g a g eA忠O C i a t i o n 一連 邦 住 宅

抵当金庫)が FHA と同 じく政府保証債の発行 による資金調達 によっ

て設立 された。 FNMA の業務 は、当初は FHA によって保証 された

モ‑ゲー ジを購入することであったが、後 には保有 しているモーゲー

ジの売却 も行 うようになった。 FNMA の役割は、モーゲー ジを売買

(12)

米国生保の業者展開と金融保証

す ることによってモーゲー ジ流通市場の育成 をはか ることにあった。

モーゲー ジ流通市場の育成 は 、1 9 6 8 年 に設立 された GNMA ( Go v ・ e r n me n tNa t i o n a lMo r t g a g eAs s o c i a t i o n 一政 府 抵 当金庫)に よっ て一層はか られることになる。 GNMA の業務は、保証が付けられた モーゲージを購入するとともに、保証が付 けられたモーゲー ジを担保 に して発 行 され るモーゲージ担保 証 券 ( mo r t g a g e ‑b a c k e d s e cu‑

r i t i e s ) に対 して保証 を捷供す ることであった。 こうしたモーゲージ やモーゲージ担保証券に対す る金融保証は、モーゲージの貸手 ・モー

ゲージ担保証券の投資家のキャッシュ ・フロー をそれぞれの借手の元 利返済に対する依存か ら切 り能す もの となっている 。1 9 7 0 年代以降に 展開す る民間 レベルによる金融保証の提供は、 こうした政肝金融機関

による金融保証の発展に伴 って行われることになる。

民間 レベルによる最初の金融保証は 、1 9 7 0 年代初めの地方債の保証 に始 ま る。 まず、 AMBAC ( A me r i c a nMu n i c i p a lBo n dAs s u r ・ a n c eCo r p o r a t i o n) が地方債 の保証 を含 め、モーゲージ以外 の もの すべてに対 して保証 を行 う会社 として 1 9 7 1 年 に Mo r t g a g eGu a r a n t y I n s u r a n c eCo mp a n y によって設立された。 AMBAC は、さまざま

な地方債 に対 して保証 を提供 している。ただ AMBAC は、投資適格 証券だけを保証 してお り、 AMBAC によって保証 された証券はすべ て、 St a n da r d&Po o r ' Sか ら トリプル A の格付 けを与 えられている。

つづいて 1 9 7 4 年 には、マルティプル ・ラインの損害保険会社の合同会

社 として MBIA ( Mu n i c i p a lBo n dI n s u r e r sAs s o c i a t i o n ) が設立

されたが、この会社は 1 9 8 7 年に独立の会社になっている。 この会社に

出 資 し た の は、 Ae t n aCa s u a l t ya n dSu r e t y( 4 8 %) 、 Fi r e ma n' s

Fu n dl n s u r a n c e( 2 5 %) 、 C IGNA ( 1 7 %) 、 Co n t i n e n t a ll n s u r ・

a n c e( 1 0 %) で あ る。 MBIA に よって保 証 され た証券 もすべ て、

(13)

米国生保の業務展開と金融保証

血o o d y' S と St a nda r d&Poo r ' Sか ら tリプ ル A の格付 け を与 えられ 2 )

ている。 しか し 1 9 7 0 年代未 までは、地方債の保証 を塊供 したのは、こ れら二つの全社にす ぎなかった。 しか し 1 9 8 0 年代に入ってか らは、地 方債の保証 とともに、モーゲージ担保証券や社債、 CP などの保証 も 行われるようにな り、金散保証市場が著 しく発展 していった。それは、

表 2 保証料 ( 元受) ( 単位 :首万 ドル) 辛 保証料 対前年伸 び率

1 9 7 6 5 8 9 . 6 ‑

1 9 7 7 6 9 6 . 4 1 8 . 1 1 9 7 8 8 3 5 . 9 2 0 . 0 0 9 7 9 9 0 2 . 6 8 . 0 1 9 8 0 1 , 0 0 0 . 7 1 0 . 9 1 9 8 1 1 , 0 8 8 ̲ 8 a ̲ 8 1 9 8 2 1 , 2 1 6 . 6 l l . 7 1 9 8 3 1 , 4 8 8 ̲ 6 2 2 , 4 1 9 8 4 1 , 9 1 1 . 2 2 8 . 4 1 9 8 5 2 , 4 5 4 . 6 2 8 . 4

( 出 所) Hi r t l e ,Be ve r l y, ‑ TheGr o wt hof t heFi nanci a)Guar ant eeMar ket ' ', FRBNY , 伽 r l e T l yRc z l i e 抄 ,Spr i ng1 9 8 7 ,

p. l l .

金融保証料の著 しい増大にもっともよく示されている。衰 2は、全保 険会社が州保険監督官に提出する年次報告書に掲載されている保証料 ( s u r e t yp r e mi u m) を示 した ものである。 この年次報告書では、金 融保証料 と非金融保証料の区別がなされておらず、両者 を合計 したも のとなっている。そのために、前者の正確 な統計は把握で きないが、

金融保証料の増大傾向を概観することはで きる。これによると、保証

料は 1 9 80 年に 1 0 億 ドルを超えるとともに 、1 9 8 3 年以降には著 しく増大

(14)

米国生保の業務展開と金融保証

表 3 種類別保旺料 ( 元受)

金 融 地方債保証 商業投資貸付保 その他商業貸付

証 .事業債保証 保証 1 9 80 1 3. 0 n. a . 1 ) n . a .

1 9 81 46. 3 2 57. 8% n. a . ∩ . a .

1 9 82 7 6. 6 6 5. 2 n . a . n . a .

1 9 83 95. 7 2 4. 9 ∩ . a . n . a .

1 9 84 1 50. 9 5 7. 8 2. 3 1 2. 4

1 98 5 1 23. 5 ‑1 8. 2 4 3. 7 1 83 6. 5% 5 3. 9 3 3 4. 0%

( 1) ma . は 「その他金融保証」に含まれる。

( 2) %は対前年伸び率を示す。

( 出所) Hi r t l e ,o P . C 7 ' t . , p. 1 2 よ り作成。

してお り 、1 9 8 5 年の保証料 は 、1 9 7 6 年のそれのほほ 4 倍 になっている。

表 3 は、金 融保 証妾 協会 ( Su r e t yAs s o c i a t i o no fA m e r i c a ‑SA A) が公表 している金融保証料 と伝統的な保証料 ( 非金融保証料)を 示 した ものである。 これは、金融保証業協会に加入 している保険会社 だけについての統計であるが、これによると、非金融保証は 1桁の伸 び率にとどまっているのに対 して、金融保証は二合計で 1 9 8 4 年 まで著 しい伸び率 を示 している。種類別では、地方債保証が 1 9 81 年 に増大 し ているが、それ以降は 1 9 8 4 年 を除いて低下傾向にある。他方、商業投 資貸付保証 ・事業債保証 とその他商業貸付保証 を含むその他金融保証 の伸び率は 、1 9 8 2 年か ら 8 4 年 まで地方債のそれ を大 きく上回っている。

とくに 1 9 8 5 年に統計上明 らかになった商業投資貸付保証 ・事業債保証

(15)

米国生保の業務展開と金融保証

( 単位 :百万 ドル)

保 証 非金融保証

その他 金 融保 証 令

1 2 . 3 2 5 . 3 ‑ 81 3 . 6

1 7 . 8 4 4. 6 % 6 4 . 1 1 5 4. 0 % 8 9 0 . 8 9 . 5%

3 2 . 2 81 . 1 1 0 8 . 8 6 9 . 6 8 87 . 1 ‑0 . 4 9 5 . 4 1 9 6 . 3 1 9 1 . 1 7 5 . 7 9 6 6 . 9 8. 3 1 8 2. 5 91 . 3 3 4 8. 1 8 2 . 2 1 , 0 5 4 . 0 9 . 0 1 3 7 . 0 ‑2 5. 0 3 5 8 . 0 2 . 3 1 , 1 5 6 . 6 9 . 7

表 4 金融保旺料 ( 推定) ( 単位 :盲万 ドル) 全保証料 非金融保証料 金敵保証料

1 9 8 0 1 , 0 0 0 . 7 8 1 3 . 6 1 8 7 . 1

1 9 8 1 1 , 0 8 8 . 8 .8 9 0 . 9 1 9 8. 0 5 . 8 % ( 1 ) 1 9 8 2 1 , 2 1 6 . 6 8 8 7 . 1 3 2 9 . 5 6 6 . 4 1 9 8 3 1 , 4 8 8 . 6 9 6 6 . 9 5 2 1 . 7 5 8 . 3 1 9 8 4 1 , 9 1 1 . 2 1 , 0 5 4 . 0 8 5 7 . 1 6 4 . 3

(1) %は対前年伸び率を示す。

( 出所) Hi r t I e , o p. c i E . ,p. 1 2 よ り作成.

(16)

米国生保の業務展開と金融保証

とその他商業貸付保証は、地方債保証 とその他金融保証のそれがマイ ナスになっているの とは反対に、 きわめて大 きな伸び率 を示 している0 表 4 は、表 2 の保証料から表 3 の非金融保証料 を控除した ものである。

これによると、金融保証料の伸び率は 、1 9 8 2 年以降低下基調にあるが、

1 9 8 5 年の金融保証料は 、1 9 8 0 年のそれの 7 倍に増大 してお り、ほ ぼ1 3 億 ドルに達 している。

1 9 8 0 年代における金融保証市場の発展は、こうした金融保証料の増 大 とともに、い くつかの新たな保証会社の設立 となって現れている。

地 方債 で は 、1 9 8 3 年 に FG iC ( Fi na n c i a lGua r a n t e eI ns u r a nc e Co mpa n y) が、 She a s o nLe hma n/ Ame r i ca nExpr e s s 、 Me r r i l l Ly n c h 、 Ge n e r a l Re i ns u r a n c eCo r po r a t i o n の出資 によって設立 さ れ て い る。 ま た 8 4 年 に は、 B IG ( Bo n dl n v e s t o r ' sGuar a n t e e I n s ur a n c e) が、 Ame r i c a nl nt e r na t i o na IGr o up 、 Ba nke r sTr u s t Ne w Yo r kCo r p. ,Phi br o ‑Sa lo mo n Xe r o xCr e d i tCo r p. の 出 資

によって設立されている。さらに 8 6 年には、地方債の保証 を専門に行 う CG iC ( Ca pi t a lGua r a n t yI T I S u r a nC eCo r p o r a t i o n) が設 立 さ れ たo CG IC に は 、USF&G の ほ か に Co ns t e 1 1 a t i o nl n v e s t ・ me n t s 、 Fl e e tFi na n c i a l Gr o u p 、 No r s t a rBa n c o r p . 、 Sa f e c oCo r ‑ po r a t i o n 、 Si b a gFi na nc i a l が出資してお り、 USF&G の子会社が

3 ) 行 っていた保証業務 を引 き継いでいる。

( 2 )生命保険会社の金融保証

生命保険会社は、第 Ⅰ Ⅰ 章で述べたように、新商品の販売によって ち

たらされた金利 リスクや涜動性 リスクを回避するために、 ALM の一

環 として、貸付債権 を証券化 しそれに金融保証 を付けて流動化 してい

る。それはアメリカの国内市場にとどまらず、ユーロ市場においても

(17)

米国生保の業務展開と金融保証

行われている。例 えばプルデ ンシャルは 、1 9 8 4 年 1 2 月に、 ヨー ロッパ の機関投資家 に対 して、商業用モーゲー ジを担保 に した 1 3 億 ドルの固 定 レー トのユーロポン ド債 を、 ソロモンブラザーズ と合弁で設立 した

Pr u d e n t i a lRe a lt yS e c u r i t i e sI l l , I n c . を通 じて発 行 した。 そのユー ロポ ン ド債 に対す る保証 は、プ ルデンシャルが その子会社 Pr ud e n l

4 )

t i a lFu n ° i n gCo r p . を通 じて行 っている。 またプル デ ンシャル は、

1 9 8 4 年 1 月にアメリカ国内市場 において、 Pr u d e n t i a lRe a lt yS e c u ・ r i t i e sI Iに住宅用 コンベ ンショナル ・モーゲー ジを売却 し、 Pr u d e n ‑ t i a lRe a l t yS e c u r i t i e sI Iはそれ をプール し 2 億 7 1 5 0 万 ドルの CMO ( Co l l a t e r a ) i z e dMo r t g a g eOb l i g a t i o n ) を発 行 した。同年 トラベ ラ

ーズ も、子会社 の Tr a v e l e r sMo r t g a g eSe c u r ut i e s が CMO を発行 5 )6 )

している 。

さらに生命保険会社 は、上述 した金融保証業の発展 に伴 って、収益 機会の拡大 を求めて子会社や他の保険会社 などと共同で新会社 を設立 す ることによって金融保証 を提供す るまでに展開 している 。1 9 8 5 年 に は、モーゲー ジ担保証券や社債、 CP などの保証 を専F 耶こ行 う FSA

( Fi n a n c i a lS e c u r i t yAs s u r a n c e ) が、 Fo r dMo t o rGr e d i t の ほ か

にエ タイダブル や ジ ョン ・‑ ンコック、ニューイングラン ド・ミュー

チュアル といった大手生命保険会社の出資によって設立 された。 FS

A の主要 を商品は 、s t r u c t u r e df i n a n c i ng s や s e c u r it i z e dd e b t に対

す る保証 で ある。 FSA の保証 の うちおお よそ 7 5 % は、商業 用 モー

ゲー ジ担保証券や b a n k‑ b a c k e do b l i g a t i o n のよ うな資産 をベース

に した取引に対 して提供 されている。 FSA はまた、 クレジッ トカー

ド担保証券や 自動車 ロー ン担保証券のような受取勘定 を担保 に した取

引 も専門に扱 っている。 またプルデンシャルは 、1 9 8 6 年 に金融保証 を

専門に行 う子会社 として D 叩d e nGu a r a n t yTr u s t を設立 している。

(18)

米国生保の葉番展開と金融保証

プルデンシャルが金融保証 を専門に行 うこの会社 を設立 した意図は、

プルデンシャルの格付 けの変化が Dr y d e n に影響 しか 1ようにす るこ ととプルデンシャルが金融保証業務 を行 うこ とによって受けるか もし れない大 きな損害 を子会社に限定 しプルデンシャル本休に及ばないよ うにす るこ とにある。 Dr y d e n の主要 な商品は、商業銀行が保有 して い る事業貸付債権 に対す る保証であ り、これたよって商業銀行 は.

モーゲージの保証 によってそれをプール し証券化で きるの と同 じく、

7 ) 貸付のプ‑ルの売却が可能 になっている

こうした生命保険会社 などによる金融保証の捷供は、先 に述べたよ うに貸手 ・投資家のキャッシュ ・フローを、第 1次の借手のそれか ら 切 り牡す もの となっていた。 こうした金融保証の提供は、借手の債務 不履行 に対 して貸手 ・投資家に元利の返済を行 うとい う、信用供与の 一形態 としての貨幣信用の付与である。生命保険会社は、 こうした信 用供与の一形態 としての貨幣信用の付与を、揖書保険業者の一つ とし ての保証業務 として、保証証券によって提供 している。次節では、 こ うした保証証券による金融保証の捷供 を生命保険業の歴史的な展開か ら見ることによって、生命保険会社に金融保証業務が入 り込んで きた ルー トを示す とともに、保証証券 による金融保証が もつ新たな側面 を 考察す ることに したい。

( 3 )生命保険業の史的展開 と金融保証業務

保険は、1 4 世紀、イタ リアにおいて海上保険 として生成 した。海上

保険の母胎は海上貸借である。海上貸借 とは、貸手が借手に海上貿易

に必要な資金 を貸 し付 けるものであるが、 もし海上危険によって損害

が生 じた場合 には、貸付金の返済 を免除するとい う条件 を有するもの

であった。 したが って海上貸借は、信用供与 と海上危険負担 とい うニ

(19)

米国生保の業務展開と金融保証

つの機能 をもつ ものであった。つ まり海上貸借 とい う海上保険の原始 的な形態では、海上危険負担は貸付資本の運動 と結び付 いていたので ある。海上保険は、海上貸借の二つの機能の うち、後者が分社独立 し たものである。それは、海上保険による海上危険の負担が、貸付資本 の運動か ら分散 したことを意味す る。貸付業務 と保険業務の分散であ る。海上保 険の生成期 E , =おいてお もにそれ を引 き受 けたのは、マー チャン ト・バ ンカーであったが、マーチャン ト・バ ンカーは、海上保 険を引 き受 けることによって海上危険に対す る保証 を提供す るととも に、為替手形や小切手の支払いで生 じる信用危険に対 して も保証 を提 供 したのである。後者の保証 も、マーチャン ト・バ ンカーが行 ってい た信用供与 を基礎 としている。つ まり、信用危険であれ、海上危険で あれ、それ らの保証は、マーチャン ト・バ ンカーがすでに行 っていた 信用供与 を基礎 としていたのである。ただ海上保険業務 は、マーチャ ン ト・バ ンカーが商品取引業務や金融業務 とともに、一つの業務 とし て遂行 していた。それは、一面で保険業の不安定性 を示 してお り、 し たがって保険業が保険資本 とい う特殊な資本によって担われ えなかっ たことを示 している。 それは、前資本主義社会における低 い生産力の

もとで、再生産過程の外部に自立 した商業資本 によって担われた商品 流通の少量性、開 放 性 に基づ いている。 そのために商品流通は、不連 続的、不規則的にな り、保険業 自立化に必要な技術的条件 を満たすこ

8 )

とがで きなかったのである。 しか し近代資本主義社会 における生産力 の発展は、商品生産 ・流通の量的な増大 をもた らし、それが保険業 に 大量の保険需要 を規則的に与えることになる。 これによって保険業は、

大数の法則が適用できるようにな り、保険の技術的な基礎が形成 され

る。 それは同時に、保険料収入に対する保険金支払いの時間的、金額

的な把握が可能 となることで もある。保険資本が保険業者 を遂行する

(20)

米国生保の業者展開と金融保証

過程 で、企業や家計 によって支払われた保 険料がその もとに集耕 され、

いわゆる保険資金 を形成する。保険資本はそれ を貸付資本 として運動 させ ることによって利潤の拡大 をはか ることになる。 ここに保険資本 において、保険業務 を基礎 とした金顧業務 ( 信用供与)が展開 される こ とになる。そ して保険資本、なかで も保険契約が長期的で貯蓄要素 を有す る生命保険商品を挽供す る生命保険資本は、一方で家計の所得 が上昇 し、他方でそれに伴 って金融市場において資本信用の有力な供 与者 となるに したがって、貨幣資本 を吸収す る重要 な機関 とな り、保 険業務 を資金吸収手段 に転化 させ てゆ く。第 Ⅰ Ⅰ章で述べたように、煤 険契約 における伸 び率の低下や定期化の進展 による資本吸収力の低下 に対す る対応は、 こうした生命保険資本における保険業者の意義の変 化 に基づ くものであった。

他方で保険資本は、利潤の拡大 を求めて、企業や家計な どに存在す

るあ らゆる危険に対 して、保険技術が適用で きる危険に保険葉番 を拡

大 してい く。本稿で対象 としている保証業務 も、その一つである。歴

史的に保証業務 を行 う会社か初めて出現 したのは、近代的 な保険が生

成 したイギ リスにお いてである 。1 8 4 0 年 に設立 された Br it i s hGu a r ‑

a n t e eofTr us tCo mpa ny と Gua r nt e eSo c i e t yo fLo ndo n が そ

れである。アメ リカにおいて も、すでに 1 8 6 5 年 に Fi d e l i t yl ns ur a nc e

Co mpa ny が最初の保証会社 としてニュー ヨー クに設立 された。 この

会社 は、身元保証 ( f i de l i t ybo nd) を行 ったが、 ま もな く業務 を停

止 している。 しか しその後、 さまざまな保証 を行 う全社がつ ぎつ ぎに

設立 され ている。例 えば 、1 8 7 6 年 に裁判保証 ( C o ur tbo nd ) と免許

可保証 ( l i c e ns ea n dp er m i tb o n d) を最初 に行 う会社 として Fi de l ‑

i t ya ndCa s ua l t yCo mpa ny が 、1 8 8 4 年 に は 契 約 保 証 ( c ont r ac t

bo nd) を最 初 に 行 う会 社 と して A m e r i ca nSu r e t yCo mpa n y が

(21)

米国生保の業者展開と金融保証

ニュー ヨー クに設立 された。 この会社は、当初身元保証 を専門に行 っ ていたが、後 に喪約保証や法事保証 ( j u di c i a lbo n d) も行 うよ うに なった。 さ らに 1 8 9 0 年 には公務 月保証 ( pu bl i cof f i c i a l bo n d) を最 初 に行 う会社 として Fi d e l i t ya ndDe po s i tCo mpa n y が メ リー ラン

9 ) ドに設立されている。

こうして 1 9 世紀後半に生成、発展 した保証業務は 、2 0 世紀に入って アメ リカ社会に定着 してい くことになった。 またアメ リカでは、こう

した保証業務 とともに、傷害保険や 自動車保険などの新 たな保険業者 が行 われるようになった。 これ らの保険事黄は災書保険事業 と呼ばれ たが、ニュー ヨ‑ ク州では、すでに 1 8 5 3 年 に火災保険、海上保険、生 命保険事業相互間の兼営 を禁止する,いわゆるモノライン ・システム が確立 していたために、災害保険事葉は新たな会社 によって行われて いた。 しか し先に指摘 しておいた保険資本 による保険業務の拡大は、

こうした法規制の緩和 ・撤廃に伴 い、他の保険事業兼営の方向へ と進 展 してい く。 まず 1 9 4 0 年に保険法が改正 され、火災保険会社、海上保 険全社、生命保険会社、災害 ・保証会社がそれぞれ行 うことがで きる 保険事業の種類が定め られた。 これによって火災保険会社 と海上保険 会社は、火災保険 と海上保険の兼営が認め られたが、災害 ・保証保険

との兼営は認め られなかった。 また生命保険会社 と災害 ・保証会社は、

傷害 ・健康保険の兼営が認め られた。つづ いて 1 9 4 7 年には、 NAIC のマルティプル ・アンダー ライター委月会、いゆわるデ ィーマン ト委 月食 ( Di e man dCo mmi t t e e ) が、火災 ・線上保険 と災害保険の兼営 を認め るマルティプル ・ラインへの移行 を勧告 したのを受けて 、4 9 年 に保険法が改正 され、損害保険会社がマルティプル ・ラインに移行す ることが認め られた。 しか し、ニュー ヨー ク州 を含め大半の州では、

同一会社 による生損保の兼営は禁止 されていた。 ところが 1 9 5 0 年代後

(22)

米国生保の業務展開と金融保証

半以降、損害保険会社は生命保険会社 を別会社 として所有することに よって実質的に生損保 を兼営 し、オール ・ラインズへの移行 を積極的 に推進するようになった。これに対 して生命保険会社が損害保険会社 を所有することについては、ニュー ヨー ク州保険局は保険法の解釈に あた り、禁止の立場 を採 っていた。 しか し 1 9 6 2 年には保険法が改正 さ れ、生命保険会社は損害保険会社 を一定の条件の もとで所有すること が認め られた。さらに 1 9 6 8 年には、保険持株会社 に関する特別委月食

( Sp ec i a lCo mmi t t e eo n I ns u r a n c eHo l d i n gCo mp a ni e s ) 、い わ ゆ るル‑プ‑ ウゼ ン委 月食 ( Ru e b h a u s e nCo mmi t t e e ) が提 出 した 報告書のなかで、保険会社所有の緩和が勧告 され、 これを受 けて 6 9 年 に保険持株会社および保険子会社 に関す る法改正が行われるにいたっ

1 0 ) た。

弟Ⅰ Ⅰ章で述べたように、アメリカでは 、1 9 5 0 年代以降、家計の所得 が上昇 し、 また消費者信用や信用生命保険が発展す るのに伴 って、住 宅や 自動車などの耐久消費財が急速に普及 していった。 これによって 火災保険や 自動車保険などの家計損害保険が発展す ることになった。

つ まり、生命保険 と損害保険が家計保険市場 として同質化 していった のである。生命保険会社による損害保険業務への進出は、損害保険商 品を生命保険商品 と並売す ることによって、生命保険商品の販売 を促 進することにあった。 しか し生命保険会社 による損害保険業務は、先 に述べ たモーゲージ発行市場の拡大に伴 って、モーゲー ジ貸付 におけ る貸手か らさらに進んで、モーゲージ証券 を発行する際 に必要な火災 保険や タイ トル ・インシュアランスへ と展開 している。モーゲージ流 通市場 にかかわるモーゲ‑ ジ担保証券に対す る金融保証 なども、こう

した損害保険業務の展開 として とらえることがで きる。 しか しそれだ

けではない。すでに指摘 しておいたように、生命保険会社はこうした

(23)

米国生保の業務展開と金融保証

金融保証 を保証証券によって堤供 している。この場合には、伝統的な 保証証券による保証 と異なって、貸付資本の運動に対する保証 を提供 するもの となっている。 さきに筆者は、金融保証 を信用供与の一形態 としての貨幣信用 と競走 していた。 しか もそれは、商業銀行などが金 利 リスクや泳動性 リスクを回避す るために、 ALM の一環 として行 っ ている貸付債権の証券化 ・流動化 を支える役割を果たしているのであ る。つまり、保証証券による金融保証は、貸付資本の運動に対する保

表 5 信用生命保険保有奥的件数 ・保有契約高

保有契約件数 保有契約高 保有契約件数 嘩有契約高

1 9 3 0 0 . 4 0 . 1 1 9 7 4 1 0 5 . 2 1 3 6 . 8 1 9 3 5 0 . 6 0 ̲ 1 1 9 7 5 1 0 1 . 7 1 4 0 . 4 1 9 4 0 2 . 6 0 . 4 1 9 7 6 9 8 . 1 1 5 1 . 2 1 9 4 5 2 . 1 0 . 4 1 9 7 7 1 0 0 . 1 1 6 8 . 8 1 9 5 0 l l . 0 3 . 9 1 9 7 8 1 0 6 . 8 1 9 9 . 5 1 9 5 5 3 3 . 0 1 7 . 1 1 9 7 9 1 0 6 . 6 2 1 7 ̲ 3 1 9 6 0 5 5 . 7 3 4 . 8 1 9 8 0 1 0 1 , 6 2 1 0 . 0 1 9 6 5 8 2 . 2 6 4 . . 6 1 9 8 1 1 0 0 . 8 2 1 1 , 8 1 9 7 0 1 0 1 . 8 9 6 . 5 1 9 8 2 9 2 . 1 2 1 0 . 2 1 9 7 1 9 7 . 7 1 0 1 . 4 1 9 8 3 8 5 . 2 2 1 9 . 6 1 9 7 2 1 0 1 . 8 1 1 6 , 2 1 9 8 4 9 0 ー 0 2 4 6 . 3

( 1 )単位 :保有契約件数 ‑百万件、保有契約高 =1 0億 ドル。

(2)米国所在全生命保険会社の数値.貸付期間が 1 0 年以下の貸付 に対す る 保険契約のみ。再保険契約 を含む。

( 出所) Ame r i c a nCo u n c i lo fL if eI n s u r a n c e ,L i f eZ mul U nC eFa c tBo o k

より仲成。

(24)

米国生保の業務展開と金融保証

証 として、信用供与の一形態 としての貨幣信用の付与 という性格 をも つ もの となっている。それは、規書保険業務 としての保証業務の質的 な変化であ り、生命保険会社の個から見るならば、保険業務 としての 保証業務が新たに信用供与 としての金融業者の側面 をももつ もの とし てとらえることができる。 しか し、こうした保険業者が もつ金融業者 の側面だけではな く、生命保険会社の本来の保険業者である生命保険 業務において も、第 Ⅰ Ⅰ章で述べ たニューウェーブ商品や伝統的な終身 保険の改良 といった生命保険商品の金融商品化 とともに、債務者の死 亡や疾病によって生 じる債権者のキャッシュ ・フローの中断を補償す

ll ) る保険が近年成 長 して きてい る。信用生命保 険が それであ る ( 義

5) 。 これ らの生命保険の成長は、生命保険業務が貸付資本の運動 と のかかわ りを強めていることを示す ものである。

(1)Hi r t l e,Be ve r l y , ‑ TheGr o wt hoft heFi na nc i a lGuar ant e eMar l ke t ",FRBNY , Q u a r t e r か Re z J i c w ,Spr i ng1 9 8 7 ,p. 1 0 .

(2)Ha wt ho r ne,Fr an , " TheBoo m i nf i na nc i a l guar a nt e e s ",I ns t i t u・

血na lI ny e s l o y ,Fe br uar y1 9 8 5 ,pp. 1 1 9 →1 2 4 . ,Mi 】 l i gan,Jo h J lW

.,

" Thei ns u r anc ei n du s t r y' sn e w po tofgol d一,I ns t i t uE i o GII nv e s ・

t w ,I b i d. ,p p, 1 2 5 ‑1 2 7 . ,Mo r r i S ,J o hn , ltPa yst oI ns u r eDe bt "

,

Eu7 T O mO nC y ,Mar c h1 9 8 5 ,p. 1 0 7 . , Ho e y,Pe t e r E .andBue r ge r , Th e o do r e V. , ‑ Fi nanc i aJGu ar a nt e eI ns ur anc e . 'NoGu ar a nt e e ofSe c u r i t y

,TT 7 L S t & 点おお ,De c e mbe r1 9 8 5 ,p, 4 3 . ,Hi r t l e , o b.

c i t . . p ‑ 2 0 .

(3)Mo r r i s ,o P. c i t . ,p. 1 0 7 . , Fr e e dma n,Mar i a r l , } Fi nanc i alGuar a n・

t e e s :TooHo tt oHa ndl e?"& t ' sRe v i e w ( Pr o p e r t y/ Ca s ual t y

(25)

米国生保の業務展開 と金融保証

I ns u r anc eEdi t i o n) , O c t o be r1 9 8 5 ,p. 1 3 2 , ,Mi l l i ga T l ,J ohnW. , " A O ne ‑ ma nAs s au lto nt h eMu miGu a r a nt e eBu s i ne s s "Jns t i t uE i b nal l nv e s L o r ,J t me1 9 8 6 ,p, 2 4 2 .

(4)Mar t o n, Andr e w,p Mor t gagema ni ac i r cl e st hewor l d",Z ns t i t u‑

L i o n a ZI mh Z S t O r ,May1 9 8 5 , p. 1 0 8 .

(5 )生保協会 ・財務委 月食金 融調査 団報告 r 欧米各 国の生保 金融 業務 11 1 8 ペー ジ。同文 献 では、 これ らの CMO 発行 に際 して保 証 が付 け られ て い るか ど うか につ いて は述 べ られ て いない。従 来、 モー ゲー ジ ‑ ヾン カー な どの CMO の発行者 は 、CMO 発行 に際 L売却 した もの として 会計処理 を行 っていた。 ところが 、1 9 8 5 年 3 月に FASB f Fi na nc i a l Ac c o u nt i ngSt a n da r d sBo a r d 一一財務会計基準審議会)は 、CMO の 発行 は原則 としてモーゲー ジ を担保 に した借 入れ に該 当す る とい う C MO の会計処理 に関す る告示 を公表 した 。CMO は、子会社 を通 じて 発行 され るこ とが 多 く、 その場合 CMO の債務 は その子会社 にか ぎら れ、親会社 には遡及 しない。 ただ しその ままでは信用力 に欠 けるので、

CMO 発行 に際 して Mo ∝l y' S や St a n da r d&Poo r ' Sな どの格付 け機関 か ら格付 け を受 ける。 そこで生命保 険会社 は、子会社 が CMO を発行 す る際 に高 い格付 けを得 るため に、保証 を行 ってい ると思われ る。

( 6 ) また生命保険会社は、子会社 が業務 を拡 大す る際 に資金 を調達 す る場令 や、生命保 険会社が ジ ョイ ン ト ・ベ ンチ ャー として出資 して い る企業 が銀行か ら貸付 を うける場合 に も、債務 を保証 している。

(7)Hi r t l e , o b . C 2 ' E . , p. 2 2.

(8 )拙稿 「 保 険業の生成 につ いて 」 r 経 済論 究 J ( 九州大学)第 6 8 号 ( 昭和 6 2 年 8 月) 、6 9 ‑9 2 ペー ジ。

( 9)Mo r g a n ,Wi l l sD. , " TheHi s t or yandEc o no m ic sofSur e t ys hi p ' ,

TheCo me Z IL ow Q Mr i e r l y ,Vo l . X I I ( 1 9 2 6 ‑2 7 ) ,pp. 1 5 3 ‑1 7 1 ,pp.

(26)

米国生保の業務展開と金融保証

4 B 7 ‑4 9 9 . ,Lon g,J o hnD. ,a ndGz ・ e gg,Davj sW. , 叫 cr l y& Li d・

b i L i b TZ ns 〝和nC eHa ndb o o k,Home wo o d,1 9 6 5

,

p. 8 0 7 . 保証証券の種類 については、 r 凍害保 険実務講座J第 8 巻 新種保険 ( 下)、有斐閣、

1 9 8 4 年 、1 9 9 ペー ジを参冊。

( 1 0 ) 拙清 「 米国生命保険業の業務 多様化」 、8 3 ‑8 4 ページ。

( ll) 金融革新の進展 に伴 う信用生命保険の展開については、別稿で詳 しく読 じることに したい。

Ⅳ. 篇び

アメリカの生命保険会社 は、第 2 次大戦後、三つの時期において業

務の多様化 をはかっている。第 1 の時期は 、1 9 6 0 年代か ら 7 0 年代 にか

けてであ り、第 2 の時期は 、1 9 7 0 年代末以降である。 まず第 1の時期

では、保険業者のホールセール部門で団体年金のシェアが低下 し、 リ

テール部門で も個人生命保険の伸び率が低下す るとともに定期化が進

展 した。 さらに 1 9 6 0 年代後半 における高金利の時期 には、契約者貸付

が増大 した. これ らは、生命保険会社の資金吸収力や投資可能資金C)

減少 をもたらすことになった。 こうした事態に対 して生命保険会社が

採 った対応策が、金融業務 と保 険業者の両面 にわたる業務 の展開で

あった。金融業者では、社債や抵当貸付のエ クイティ参加 を積極化す

るとともに、 ミューチュアル ・ファン ドや不動塵投資信託業務 に進出

す ることによって、投資収益の拡大 をはかった。保険業者では、団体

年金に対 してエ クイティ ・ファンデイングや変額年金 を創設 し、個人

生命保険に対 しては上述 した ミューチュアル ・ファン ドや不動産投資

信託 といった金融商品や、損害保険業務 に進出す ることによって損害

保 険商品を生命保険商品 と並売 し、それによって生命保険商品の販売

(27)

米国生保の業者展開と金融保証 を促進 したのである。

しか し 1 9 7 0 年代未に到来 した高インフレ ・高金利によって、家計部 門の金利選好意識は一段 と高まり、失効や解約、契約者貸付が ドラス ティックに増大することになった。 こうした事態に直面 して生命保険 会社は、上述 した金融商品や損害保険商品を生命保険商品 と並売す る だけでな く、生命保険商品そのものを変革 しなければならな くなった。

いわゆるニューウェーブ商品や伝統的な終身保険の改良がそれである。

こうした新商品は、一般に低 い付加保険料 と高い実勢金利の付与 を特 徴 としてお り、 しか もこれ らの商品の成長は既存の保険契約か らの乗 り換 えによるところが大 きいこともあって、保険業務の拡大が収益の それに直接結び付かな くなったのである。 こうした実態に直面 して生 命保険会社は、 ALM によって金利 リスクや流動性 リスクを回避 しな が ら投資収益の拡大 をはか らなければならな くなった。資産構成の変 化や保有証券の償還期間の短縮化、 また金融先物やオプションの利用 による金利 リスクの‑ ッジがそれである。 さらに生命保険会社は、セ キュ リタイゼー ションの進展 と金融保証の発最に伴 って、子会社 を通 じて貸付債権 を証券化 ・流動化する際に金融保証 を行 うとともに、子 会社や他の保険会社 などと共同で新会社 を設立す ることによって、第 三者に対 してモーゲージ担保証券、社債、 CP 、 リース債権証書、企 業の売掛金債権証券 など、 さまざまな証券に対 して金融保証 を提供す るまでに展開 している。その場合生命保険会社は、信用供与の一形態 としての貨幣借用 を保証証券によって提供 している。

保険は、1 4 世紀、イタ リアにおいて海上保険 として生成す る。海上

保険の母胎は海上貸借であるが、それは信用供与 と海上危険負担 とい

う二つの機能 をもつ ものであった。つ まり海上貸借 という海上保険の

原始的な形態では、海上危険負担は貸付資本の運動 と結び付 いていた

(28)

米国生保の業務展開と金融保証

のである。海上保険は、上述 した海上貸借の二つの機能の うち、後者 が分散 したものである。それは、海上保険による海上危険負担が貸付 資本の運動か ら分散 したことを意味する。貸付業者 ( 信用供与) と保 険業務の分離である

しか し、保険業者は社会的に分散す るまでには いたらず、マーチャン ト・バンカーの一つの業務 として行われていた のである。 しか し資本主義社会の生成、発展によって、保険業は自立 し、保険資本 とい う特殊 な資本 によって担われるにいたる。保険資本 は、保険業者によってその もとに集積 される保険資金 を貸付資本 とし て運動 させ るこ とによって利潤の拡大 をはかる。 ここに保険資本にお いて、保険業務 を基礎 とした金融業務 ( 信用供与)が展開 される。他 方で保険資本は、利潤の拡大 を求めて、保険業務の拡大 をはかる。本 論で述べた保証業務 もその一つである。

保証業務 は、近代的な保険が生成 したイギ リスにおいて初めて行 わ

れた。ア メリカで も、すでに 1 9 世紀後半には保証業務 を行 う会社が出

現 している。保証業務は、2 0 世紀に入って一層発展 し、アメリカ社会

に定着 してい く。 しか しニュー ヨーク州では、すでに 1 9 世紀中葉に確

立されたモノライン ・システムによって、損害保険事業に属す るもの

とされた保証業務は、新たな会社 によって行われていた。上述 した保

険資本による保険業務の拡大は、法規制の緩和 ・撤廃 に伴い、他の保

険事業兼営 とい う方向に進んでい く。生命保険会社 による頻書保険業

務への進出 も、それにほかならない。生命保険会社は、第 Ⅰ Ⅰ章で述べ

たように、第 1の時期における業務の展開において、火災保険や 自動

畢保険 といった家計損害保険 を対象 とする損害保険業務に進出 してい

た。そ してそれはさらに、モーゲージ発行市場の拡大に伴 って、モー

ゲー ジ証券の発行に必要な火災保険や タイ トル ・インシュアランスへ

と展開する。モーゲ‑ ジ流通市場 にかかわるモーゲージ担保証券に対

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米国生保の業務展開と金融保証

する金融保証 なども、こうした損害保険業務の展開 として とらえるこ とがで きる。 しか しそれだけではない。 この場合 には、伝統的な保証 証券による保証の提供 とは異なって、貸付資本の運動 に対す る保証 を 堤供するもの となっている。 しか もそれは、商業銀行 などが金利 リス クや流動性 リスクを回避するために、 ALM の一環 として行 っている 貸付債権の証券化 ・流動化 を支 える役割 を果た しているのである。つ

まり、保証証券による金融保証の提供は、信用供与の一形態 としての 貨幣信用の付与 とい う性格 をもつ ものである。それは、損害保険業務 としての保証業務の質的な変化であ り、生命保険会社の側か ら見 るな らば、保険業務 としての保証業務が新たに信用供与 としての金融業務 の側面 をももつ もの ととらえることがで きる。 また生命保険会社の本 来の保険業務である生命保険業務において も、ニューウェーブ商品や 伝統的な終身保険の改良 といった生命保険商品の金融商品化だけでな く、債権者のキャッシュ ・フローの中断を補償する信用生命保険が成 長 してきている。これ らは、生命保険業務が貸付資本の運動 とのかか わ りを強めていることを示す ものである。

こうした保険業務の貸付資本の運動 との結び付 き、かかわ りの強 ま

りは、現代における米国生命保険業の特徴 を示 していると言 うことが

で きよう。

参照

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