• 検索結果がありません。

嚢胞壁に発生した肺腺癌の1手術例 利用統計を見る

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "嚢胞壁に発生した肺腺癌の1手術例 利用統計を見る"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

     山梨県立中央病院外科 天白典秀 高橋章弘 武藤俊治 奥田純一 三井照夫 芦沢一喜 千葉成宏 中沢美知雄        同、病理科 高瀬優 小山敏雄      井上内科小児科医院 井上利男 要旨  症例は76歳の男性、平成9年10月の検診にて胸部X線上の異常陰影を指摘 されていた。平成10年7月、近医にて施行した胸部CT上、右S3区域に充実性 の結節状陰影をみとめ、また、当院にて施行したTBLB(経気管支肺生検)、気管 支洗浄細胞診にて肺癌の診断を得、平成10年11月19日右肺上中葉切除を施行 した。病理学的所見では、嚢胞壁に沿って発育した肺腺癌であった。本例では、 嚢胞内に出血を伴っていたため特徴的な画像所見を呈した。 KEY WORDS;嚢胞壁、肺腺癌、 はじめに  気腫性肺嚢胞を有する症例に、肺癌を合併する頻度は、肺嚢胞を有しない症 例に比して有意に高いといわれている。そのなかで、肺癌が嚢胞壁に沿って発 育したという報告例は散見するものの比較的稀であるといえる。今回、我々は 通常の気腫性肺嚢胞とは異なる特徴的な画像所見を呈した、肺嚢胞に合併した 肺腺癌の稀な1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。

(2)

症例 山梨肺癌研究会会誌 12巻2号 1999  症例;76歳男性  主訴;symptom free  現病歴;平成9年10月の検診にて胸部X線上の異常陰影を指摘されていた。 平成10年6月に近医受診し、胸部CT上右S3区域に結節状陰影を認め、精査加 療目的で9月3日当科紹介受診となる。外来にて、TBLB,気管支洗浄細胞診を 施行し、肺癌の診断を得たため、平成10年11月14日手術目的で入院となった。  家族歴;特記すべき事なし  既往歴;特記すべき事なし  入院時現症;全身状態良好、眼球結膜、眼瞼結膜にそれぞれ黄疸、貧血を認 めず、体表リンパ節は触知せず、胸部聴診所見に異常を認めず。  入院時検査所見;血算、生化学検査に異常値はなく、血液ガス、呼吸機能は 正常範囲内で、腫瘍マーカーにも有意な上昇は認められず。  胸部単純X線;右中肺野に径3cm大の円形で境界明瞭な腫瘤陰影と、その外 側下方に径1cm大の結節状陰影を認める。腫瘤陰影は均一で、 X線透過性は低い ものと考えられた(図1)。胸部造影CT;右S3区域に径3cm大の境界明瞭で、 不整形の結節状陰影が存在し、大部分がmuscleとiso densityで、内部に一 部low densityな部分を認め、不均一にenhanceされている。なお、縦隔リ ンパ節の腫大はみられない(図2)。  経過;肺癌の診断にて、平成10年11月19日右肺上中葉切除、R2b廓清を 施行した。開胸所見で、胸水(一)、胸膜面への露出は認めず。右上葉に3cm 大のmain tumorと、そのすぐ前方に1cm大のdaughter noduleを触知。肺 は上中葉分離不全であったため、上中葉切除を行った。  切除標本;右上葉S3区域に3.7×3.5×2. O c mの大cyst(main tumorとして 触知)が存在し、内部には暗赤色調の凝血塊が貯留していた。そのすぐ近傍に1.0 ×0.5cmの小cystが存在していた(図3)。  大cystの横断像で、壁在性に内腔の4/5周性に渡って、厚さ約2mmの白色 の癌が存在しているのを認めた。また、周囲肺組織には気腫性変化が見られた (図4)。  病理組織学的所見;腫瘍は充実性の増殖を示し、癌胞巣内には炎症細胞浸潤も みとめ、腺腔形成ははっきりしないが、微絨毛形成や粘液産生を少量伴った低 分化型腺癌を認めた(図5)。なお、嚢胞内の出血の原因となるものに関しては、 病理組織学的には確認できなかった。

(3)

 気腫性肺嚢胞を有する症例に肺癌を合併する頻度は、肺嚢胞を有しない症例 に比べて32倍高いとする報告1)もあり、気腫性肺嚢胞は肺癌の危険因子の一っ と考えられている。  肺嚢胞と肺癌の因果関係については、空気中の汚染物質や、タバコなどの原 因物質が嚢胞内に長くとどまること、嚢胞内の疲痕からの発生、嚢胞内の扁平 上皮化生からの発癌の可能性などがあげられるが2)、定かではない。また、肺嚢 胞と肺癌の合併例のなかでも、本症例のごとく、肺癌が嚢胞壁に沿って発育す るというのは比較的稀であるといえる。一般的に、気腫性肺嚢胞に合併した肺 癌は、胸部X線上肺野の気腫性変化に伴う複雑な所見を呈するため診断が遅れ る傾向にあるとされている3)−5)。本症例に認められた嚢胞内の出血の原因、お よびどの時点で出血が起こっていたのか、癌の浸潤によって起こったものか否 かについては定かではないが、本症例においては、嚢胞内に出血を伴っていた ため通常の気腫性肺嚢胞とは異なる充実性の腫瘤陰影を呈し、当初より癌の存 在を念頭に施行したTBLB,気管支洗浄細胞診にて肺癌の診断を得ることができ た。 結語 肺嚢胞壁に発生した肺腺癌の一例を経験したので、若干の文献的考察を加えて 報告した。       文献 1)    Stoloff IL, et a1 :The risk of cancer in males with bullous disease  of the lung. Arch Environ Health 22 :163−−167, 1971. 2)  上吉原光弘、他:気腫性嚢胞壁に接した原発性肺癌の1手術例。肺癌  38 :29 一一35, 1998 3) 守尾篤、他:気腫性肺嚢胞に発生した胸壁浸潤肺癌の1切除例。肺癌  38 :37−42, 1998 4)  山崎芳彦、他:切除肺嚢胞から診断された微小肺癌の1手術例。日胸 5   3:751−754,1994 5)  小池道子、他:原発巣の局在診断に難i渋した気腫性嚢胞合併腺癌の1切  除例。肺癌 31:265−273,1991

(4)

山梨肺癌研究会会誌 12巻2号 1999

図1

図2

(5)

図4

図5

参照

関連したドキュメント

[r]

単変量解析の結果,組織型が境界域ではあった

We herein report a surgical case of primary lung cancer which showed a unique growth pattern of spreading predominantly within the interlobular pleura.. A 65-year-old male patient

F1+2 やTATが上昇する病態としては,DIC および肺塞栓症,深部静脈血栓症などの血栓症 がある.

, Graduate School of Medicine, Kanazawa University of Pathology , Graduate School of Medicine, Kanazawa University Ishikawa Department of Radiology, Graduate School of

 肺胞肺組織ハー般皇血液二宮ミ,肺胞内出血モ可ナリ廣汎ナル㍉7賠問ノモノニ比シ輕崖ナリ。筑

3 Department of Respiratory Medicine, Cellular Transplantation Biology, Graduate School of Medicine, Kanazawa University, Japan. Reprints : Asao Sakai, Respiratory Medicine,

にて優れることが報告された 5, 6) .しかし,同症例の中 でも巨脾症例になると PLS は HALS と比較して有意に