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Title My globe : 都市における移動経験を拡張するソーシャルナビゲーションサービスのデザイン Sub Title My globe : a social navigation service to enhance city traveling experience

Author 尾崎, 史享(Ozaki, Fumitaka) 奥出, 直人(Okude, Naohito) Publisher 慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 Publication year 2009 Jtitle Abstract Notes

Genre Thesis or Dissertation

URL https://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/detail.php?koara_id=KO40001001-0000200 9-0010

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KMD-80835216

修士論文

MyGlobe:

都市における移動経験を拡張する

ソーシャルナビゲーションサービスのデザイン

尾崎 史享

2009年度 (平成21年度) 慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科

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本論文は慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科に 修士(メディアデザイン学) 授与の要件として提出した修士論文である。 尾崎 史享 指導教員: 奥出 直人 教授 (主指導教員) 稲見 昌彦 教授 (副指導教員) 審査委員: 奥出 直人 教授 (主査) 稲見 昌彦 教授 (副査) 加藤 朗 教授 (副査)

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MyGlobe:

都市における移動経験を拡張する

ソーシャルナビゲーションサービスのデザイン

尾崎 史享

内容梗概 「MyGlobe」は、GPSとスマートフォン端末で取得した移動履歴を活用し、人々の移 動に都市探検という経験をもたらし、街歩きを楽しくするサービスであり、本論文ではこ のサービスのデザインと評価について述べる。MyGlobeは、都市で生活する人々の行動 履歴をもとに、その人々独自の都市のイメージを反映した認知地図を生成し、友達同士で 共有し、街歩きに活用できる機能を有したサービスである。MyGlobeで使用する地図は、 MyGlobeMapと呼ばれ、よく通る道は太く、通らない道は細く表現され、よく訪れる場所 は大きく、あまり行った事のない場所は小さく表され、行動領域が島の形状としてデフォ ルメされて表示される。さらにMyGlobeは、このMyGlobeMapをユーザー間で共有、 活用するソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を提供する。このMyGlobeMapと SNSを活用することで、自分の行った事のない未知の場所に積極的に繰り出し、都市の 新しい一面を発見する都市探検という経験を提供し、人々の街歩きを楽しくする。本論文 では、MyGlobeのプロトタイプとMyGlobeによって人々が得られる経験を、ユーザー を対象に行った参与観察と質的データ分析法によって評価する。 キーワード ユビキタス・コンピューティング,アーバン・コンピューティング,経験デザイン,地図, ビジュアライゼーション 慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科 修士論文, KMD-80835216, 2009年度 (平成21年度).

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MyGlobe:

A Social Navigation Service

to Enhance City Traveling Experience

Fumitaka Ozaki

Abstract

MyGlobe is a social navigation service that enables users to share each cognitive Map with using smart phone and GPS. Cognitive Map, which is named MyGlobeMap, is a personalized Map, shape of which is emphasized according to user’s preference and activity in the city. In MyGlobeMap, routes you walk very often are indicated broadly. Routes you have walked only once are quite narrow. Landmarks you spent your time are expressed larger than usual. The user’s territory assumed by his/her activity record will be shaped like islands. MyGlobe also provides users social networking service, which enable users to share their own MyGlobeMaps. It facilitates users to explore city and have a new understanding by using an MyGlobe application in smart phones.This paper present MyGlobe service to enhance city traveling experience and field evaluation of the MyGlobe prototype.

Keywords:

Ubiquitous Computing,Urban Computing, Experience Design,Map,Visualization

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第1章 序論 1 第2章 関連研究 6 2.1. 地図 . . . . 6 2.1.1 認知地図. . . . 6 2.1.2 都市のイメージ . . . . 7

2.1.3 Automatic generation of tourist Maps . . . . 8

2.1.4 ユーザーの行動を反映した位置履歴表示システムの構築. . . . 8

2.2. ナビゲーションサービス . . . . 9

2.2.1 Social Navigation: Techniques for Building More Usable Systems 10 2.2.2 City Flocks: Designing Social Navigation for Urban Mobile In-formation Systems . . . . 11

2.2.3 Activity-Based Serendipitous Recommendations with the Magitti Mobile Leisure Guide . . . . 12

2.3. 位置情報の活用 . . . . 13 2.3.1 Location Based SNS . . . . 14 2.3.2 ジオタグ. . . . 14 2.3.3 位置ゲー. . . . 14 2.3.4 GPS ドローイング . . . . 15 第3章 フィールドワークとコンセプト 16 3.1. タクシードライバーへのフィールドワーク調査. . . . 16 3.1.1 調査内容. . . . 17 3.1.2 分析とモデリング. . . . 18 3.2. ペルソナとシナリオの構築 . . . . 19 3.2.1 ペルソナ. . . . 21

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3.2.2 シナリオ. . . . 21 3.2.3 要件の定義 . . . . 23 第4章 設計 25 4.1. MyGlobeアプリケーションのコンセプト . . . . 25 4.2. MyGlobeの使い方 . . . . 26 4.2.1 モード . . . . 27 4.3. プロトタイプの実装 . . . . 30 4.3.1 システム構成 . . . . 30 4.3.2 システム概要 . . . . 31 4.3.3 MyGlobeアプリケーション . . . . 32 4.3.4 MyGlobeエンジン . . . . 33 第5章 フィールド評価 40 5.1. 調査課題(リサーチクエスチョン) . . . . 40 5.2. 調査対象(インフォーマント) . . . . 40 5.3. データの獲得方法 . . . . 41 5.3.1 インタビュー . . . . 41 5.3.2 フィールド調査 . . . . 42 5.4. 評価(インタビューとフィールド調査の質的データ分析) . . . . 49 5.4.1 データのコーディングと分析 . . . . 49 5.4.2 MyGlobeMapがユーザーの認知している世界と街での行動を反映 しているか。 . . . . 50 5.4.3 各モードの動作確認 . . . . 53 5.4.4 MyGlobe使用時のユーザーの行動 . . . . 55 第6章 結論と今後の課題 60 付録A 研究発表 66

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2.1 Automatic Generation of Tourist Maps . . . . 9

2.2 ユーザーの行動を反映した位置履歴表示システムの強調表示モード . . . 10 3.1 フィールドワークの様子 . . . . 19 3.2 モデル分析 . . . . 20 4.1 iPhoneでMyGlobeアプリケーションを使っている様子 . . . . 25 4.2 MyGlobeMapのコンセプト . . . . 26 4.3 MyGlobeアプリケーションのログイン画面 . . . . 26 4.4 MyGlobeアプリケーションのインタフェース . . . . 27 4.5 ロギングモードのインターフェース . . . . 28 4.6 地図表示のインタフェース . . . . 29 4.7 友人のリストと島のリストのインタフェース . . . . 29 4.8 カスタマイズのインタフェース . . . . 30 4.9 システムの概要 . . . . 31 4.10 島のアルゴリズム . . . . 35 4.11 島のレンダリング . . . . 36 4.12 道生成のアルゴリズム . . . . 37 4.13 道のレンダリングの例 . . . . 37 4.14 建物推定のシステム . . . . 39 5.1 梅沢のフィールド調査 . . . . 44 5.2 梅沢の移動した場所と生成された地図. . . . 44 5.3 ひとみの地図と修正した梅沢の地図 . . . . 45 5.4 鎌田が梅沢のMyGlobeMapの鞄屋を発見した様子. . . . 49 5.5 鎌田の移動した場所と生成された地図. . . . 50 5.6 学校と自宅を結ぶ道が太くなっている例と道の問題点である白い点の例 . 51

(9)

5.7 斉藤の三鷹と吉祥寺の島の地図 . . . . 52 5.8 島がくっついている例(左図)と改善案(右図) . . . . 53 5.9 斉藤の三鷹の地図 . . . . 58

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1

「MyGlobe」は、GPSとスマートフォン端末で取得した移動履歴を活用し、人々の移 動に都市探検という経験をもたらし、街歩きを楽しくするサービスであり、本論文ではこ のサービスのデザインと評価について述べる。MyGlobeは、都市で生活する人々の行動 履歴をもとに、その人々独自の都市のイメージを反映した認知地図を生成し、友達同士で 共有し、街歩きに活用できる機能を有したサービスである。MyGlobeで使用する地図は、 MyGlobeMapと呼ばれ、よく通る道は太く、通らない道は細く表現され、よく訪れる場所 は大きく、あまり行った事のない場所は小さく表され、行動領域が島の形状としてデフォ ルメされて表示される。さらにMyGlobeは、このMyGlobeMapをユーザー間で共有、 活用するソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を提供する。このMyGlobeMapと SNSを活用することで、自分の行った事のない未知の場所に積極的に繰り出し、都市の 新しい一面を発見する都市探検という経験を提供し、人々の街歩きを楽しくする。 本論文では、MyGlobeのプロトタイプとMyGlobeによって人々が得られる経験を、 ユーザーを対象に行った参与観察と質的データ分析法によって評価する。 MyGlobeは、自分の行った事のない未知の場所に積極的に繰り出し、都市の新しい一 面を発見するという経験をデザインすることを目的とする。本論文では、この経験を都 市探検と名付ける。 MyGlobeは人々の移動に都市探検という経験を提供する事で、近代的都市計画で作ら れた街の上でも、大通りや有名な建物だけを訪れるだけではなく、寄り道をしたり、小 道に入って素敵な店や雰囲気の良い街路を発見したりすることができる。近代的都市計 画で作られた街とは、プランナーによってトップダウンで計画された都市であり、大通 りがあり、明快な構造を持った街である。建築家のクリストファー・アレグザンダーは 『A city is not a tree』[1]のなかで「人間生活の垢がしみこんでいる古い都市と比較した ときヒューマンな観点から見ると我々の人工的に都市をつくるという行為は完全に失敗

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した」と主張し、近代的都市計画で作られた街を批判している。また、ジャーナリスト であり都市研究家のジェーン・ジェイコブスは、『アメリカ大都市の死と生』[2](39)の中 で、自動車交通を優先し大通りを中心とした構造で都市をつくる近代的都市計画が、都 市に中にある人間性や多様性を衰亡させると批判している。MyGlobeは、こうした街で もユーザーが人々の生活を反映した地図を持って都市探検をすることで、近代的な都市 のインフラストラクチャーに左右されない、人間中心の豊かな都市経験を実現する。 近年、GPS搭載のスマートフォン端末の普及により、様々なモバイルナビゲーション サービスが登場し、都市の移動経験に転換をもたらしている。iPhoneでは、ぐるなび[3] をはじめ数多くのナビゲーションアプリが提供されている。どのサービスも目的の場所 をリストや現在位置の地図の周辺の店舗を選び、その目的地までの最短距離をルートと して表示する利便性を追求したデザインになっている。現在位置と目的地が直接結ばれ、 その間の道程は短ければ短い程良く、その道程(街路)を楽しむという視点では作られて いない。建築家のバーナード・ルドフスキーは、『人間のための街路』[4](15-17)のなか で、近代的都市計画は街路の存在を無視していると批判し、豊かな都市生活実現するに は街路の再建が必要だと主張している。また、ジェイコブスは、『アメリカ大都市の死と 生』[2](39)の中で「都市の街路がおもしろく見えれば、その都市もおもしろく見える。 街路がつまなければ都市そのものが退屈である。」と述べ、都市の中での街路の重要性を 主張している。ナビゲーションアプリは、現在地と目的地だけに焦点があり、間の街路 は無視されている。対照的に、MyGlobeは、最短のルートではなく、人々の経験や痕跡 が残った街路に焦点を当て、つまらない街路でも人々の経験を可視化することで、街路 の移動が楽しくなることを目指している。 都市は、人々の生活を中心とした多様性が必要である。ジェイコブスは、「ロンドンに 住む一人一人の目には、ロンドンの街がどんな風に違って映るのだろうかと考えて一人 楽しくなることがあります。」と劇作家ジェームズ・ボズウェルの発言を引用し、都市に おける多様性の重要性を主張している[2](165)。MyGlobeの地図は都市に対する人々の 多様な視点が反映されている。同じ街でも、人それぞれ認知の仕方があり、人々の対し てさまざまな視点が存在している。例えば、渋谷をファッションの街と認識している人も いれば、レコード店やクラブが集まる音楽の街として捉えている人もいる。これは、都 市が一つの視点では捉えきれない多面的な側面を持っているからである。この都市の多

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様で複雑な構造をアレグザンダーは『A city is not a tree』[1]のなかでセミラチス構造 と呼び、都市は、階層的に構成されるツリー構造ではなく、様々な要素が絡み合って形 成されるセミラチスの構造をもっていると主張している。Google Mapsなどの提供する 最短距離のルートを指示するナビゲーションは、何通りのルートもあるなかで、最短距 離のルートだけ示す。これは、都市の持つセミラチス構造をツリーに還元してしまって いるといえるだろう。MyGlobeMapの示す地図には、同じ目的地で、人の実際に通った 道を表示するので、多様なルートが表示される。人々の嗜好や経験が反映されたルート が表示されることで、都市の多様な側面が浮き上がることを意図している。 MyGlobeでは、利便性を追求したデザインではなく、思いがけない店との出会いや寄 り道や狭い路地の散歩などの街歩きの経験をデザインする。前述のように、本論文では この経験を「都市を探検しているような経験」、「都市の探検」と呼んでいる。 「都市を探検しているような経験」とは、自分の行った事のない未知の場所に積極的 に繰り出す経験である。都市社会地理学者の原口剛は、地理学者のデイヴィッド・レイと ウィリアム・バンギの研究を参照して、都市の「探検」という言葉をキーワードに都市 の未知の領域を発見することについて述べている[6](85-98)。「探検」とは、未知の場所 に実際に赴き、その場所を経験することで、その場所の意味を新たに獲得することであ る。あたかも18 世紀までの西欧人が、航海にでて、未知の大陸に到達し、さまざまな発 見をしたことに似ていることから「探検」というメタファーを用いている。MyGlobeの 「探検」で発見するのは都市の今まで知らなかった側面やイメージである。例えば、なじ みの街でも脇道を入れば、知らなかった店や人たちがいる新しい世界が広がっていたり する。 「探検」では、地図が重要な道具になる。『地図の想像力』[5](158-160)によれば、18 世紀の探検家は、地図製作技師や測量師や風景画家を探検に同行させ、発見した場所を 地図として記させた。地図は、自分の功績の証拠となったし、他の探検家の道標となっ た。同様に「都市の探検」にも地図が必要である。「都市の探検」では、限られた探検家 だけではなく、都市で生活する人すべてが、都市の探検家、地図制作者となる。地図の 交換によって未知の場所の存在に気づき、その場所に繰り出すことによって、地図に新 たな場所が記され、交換によって、その場所をさらに広めることができる。このような サイクルを持つ事で、日常的に都市の探検をする。入った事のない路地に寄り道をして

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思いがけない素敵な店を発見する。それを地図として残し、友達に教える。このように して、MyGlobeは「都市を探検しているような経験」を実現する。都市研究者のケヴィ ン・リンチは、『都市のイメージ』[6](11)のなかで「(地図の)イメージは、未完結で、変 化に適応できるものであることが望ましい。各個人が現実を探検し組み立てつづけるこ とができるようにするものでなければならない。地図には自分で描き加えて行くことが できる空白が必要なのである。」と地図について記述している。MyGlobeは、都市探検 を行い、自分の地図の空白部分に新しい場所を描き加えて行く未完結の地図であるとい えるだろう。 MyGlobeでは「都市を探検しているような経験」を実現する為のメディアとして、人 それぞれが持っている認知地図を利用する。「探検」には地図が必要である。18世紀の地 図には、南大西洋など直接的な経験を持つ事のなかった場所は空白であった。空白の空間 は憶測や部分的な情報のイメージで埋め合わせるしかなかった。一方、現在ではGoogle Mapsにすべての情報が載っていて空白は存在しない。しかし、すべての情報が載ってい るからこそ自分の直接的な経験をしていない未知の場所を発見することが難しくなって いる。ユーザーは地図上に付加された膨大な情報の中から、自分に必要な情報を発見し選 択する必要がある。その選択の際に、重み付けが必要である。MyGlobeはこの重み付け を都市で生活する人々のそれぞれの経験や認知している世界をもとに行う。その重み付け をもとに地図を生成する。例えば、洋服買いに行く人の地図は衣料品店が強調された地 図が生成される。渋谷に行く際に、どこで洋服を買うか決める時はおしゃれな人の地図 を見れば分かるであろう。また、おいしい店を探している時は食通の人の地図を見れば 発見できる可能性が高まる。このように、嗜好や過去にとった行動を利用して、ナビゲー ションすることをDiebergerとDourishはSocial Navigation[7]と呼んでいる。MyGlobe を認知地図を用いたSocial Navigationといえる。

MyGlobeでは、人々の認知地図を共有するSocial Navigationによって、人々が街での 経験を共有し都市探検に繰り出す事で、街の多様性や街路が発見され浮かび上がり、豊 かな都市生活が実現することを目指す。

本論文では、MyGlobeのプロトタイプ制作及びプロトタイプを用いた質的調査の実施、 そしてその考察を通して、友人や都市で出会う不特定多数のユーザーの間で使用するこ

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とにより、都市を探検するような感覚を味わえ、街歩きが楽しくなることを証明する。 第2章では関連研究の考察をもとにMyGlobeが貢献する研究領域を定める。第3章で はMyGlobeのコンセプトの構築過程とコンセプトを提示してデザインの要件を示す。第 4章ではMyGlobeのプロトタイプの操作方法とシステムの設計及びデザインについて言 及する。第5章では、MyGlobeを検証する為の質的調査について言及する。第6章では 検証結果からプロトタイプの有効性とMyGlobeが与える経験について議論し、今後の展 望と研究課題を提示した上で結論とする。

(15)

2

関 連 研 究

2.1.

地図

MyGlobeは、ユーザーの行動履歴を分析し、ユーザーの都市に対するイメージを地図 (MyGlobe Map)として表現し、街歩きの経験をデザインする。この節では、人間が都市 環境を把握する際に用いられる認知地図という概念やイメージの研究について概観し、こ の知見を元に地図を生成する関連研究を考察する。

2.1.1 認知地図

MyGlobeは都市で暮らす人々の認知世界を表現し共有するために、認知地図という概 念を利用している。認知地図とは、さまざまな定義があるが、本研究では「人間が空間を 把握する際の心象表現のことであり、当人の環境の認知やイメージの強弱が反映された 地図である」とする。『認知地図の空間分析』[8](9-16)によると、地理学で主に受容され ている定義では、「個人の日常的な空間環境における現象の相対的位置に関する情報の獲 得、コード化、貯蔵、想起、コード解読という一連の心理的変換からなるひとつの過程」 としての認知地図形成によって生み出されたものであるとされている。MyGlobeでは、 獲得された「個人の日常的な空間環境における現象の相対的位置に関する情報」をユー ザーの移動履歴を分析し、推定する。当人が空間環境に滞在した時間と頻度が多いもの が「コード化、貯蔵、想起」されやすいと判断し、認知地図生成を行う。また、「地理学 や地図学では、地図を介した情報伝達過程で、認知地図が重要な構成要素となる」[8](10) としている。MyGlobeでは、認知地図を街歩きのなかでのユーザーの環境で獲得した情 報の伝達の手段として用いる。

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2.1.2 都市のイメージ

 都市研究者であるケヴィン・リンチは、その著作『都市のイメージ』[6]のなかで、 都市に対して人々が抱く認知世界を「都市のイメージ」として分析している。リンチは、 人の都市空間のイメージを構成する要素として、パス、ランドマーク、ノード、エッジ、 ディストリクトをあげている。 パスpathとは、「観察者が日ごろあるいは時々通る、もしくは通る可能性のある道筋 のことである。街路、散歩道、運送路、運河、鉄道などである。」[6](56) MyGlobe Map では、ユーザーが頻繁に通る道をパスとして生成する。 エッジedgeとは、「観察者がパスとして用いない、あるいはパスとはみなさない、線 上のエレメントをいう。(中略)人々が領域を知るために横から参照するものである。」 [6](76)MyGlobe Mapは、ユーザーが訪れた事の或る領域を島として表現し、行った事の ない場所を海として表現している。この島と海の境界である海岸線が、ユーザーのなじ みのある世界と未知の世界のエッジとなる。 ディストリクトdistrictとは、「中から大の大きさをもつ都市の部分であり、2次元の 広がりをもつものとして考えられ、観察者は心の中で ”その中に ”はいるものであり、ま た何か独自な特徴がその内部の各所に共通して見られるために認識されるものである。」 [6](82)ディストリクトは、MyGlobe Mapでは、ユーザーの行動領域である島にあたる。 ノードnodeは「都市内部にある主要な点である。」[6](90)MyGlobe Mapでは、パス が交差したり密集している場所がノードとなる。 ランドマークlnadmarkとは「点を示すものであるが、この場合は観察者はその中に入 らず、外部から見るのである。」[6](98)MyGlobe Mapのランドマークは、外部から見る のではなく、建物の内部に滞在する事で生成される。これは外部からの視覚的なイメー ジではなく、ユーザーの行動を重視するからである。 以上のように、この5つの要素を、強調表現する事で、MyGlobeはユーザーの認知地 図であるMyGlobe Mapを生成する。リンチは、都市に暮らす人々の共通のイメージの 構成物として、この5つをあげているが、MyGlobe Mapでは個人固有の都市に対する イメージとしてこれらの構成物を用いる。

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2.1.3 Automatic generation of tourist Maps

”Automatic Generation of Tourist Maps”[9]は地図を構成しているランドマークとス トリートを強調、再構成しビジュアライズする先行研究である。

この研究では、旅行者が必要な情報を入手することを容易にする為に、図2.1のよう に強調された地図のレンダリングを実現している。

この研究の強調表現は、SimplificationとDisplacementとDeformationとRemovalと いう4つの方法を利用している。Simplificationは、重要ではないランドマークはファサー ドのテクスチャや建物の形は単純化して表示する方法である。Displacementは、重要な 道を太く強調して表示することで、ランドマークが配置されているスペースと重なった 場合は、ランドマークを取り除くことである。Deformationは重要でない建物は小さく 表示することである。Removalは、特に重要でない建物は、大きく表示する建物のため に取り除くことである。この4つの方法を用いて地図上の建物や道を再構成し、旅行者 が理解しやすい地図を実現している。 地図上のランドマークのサイズは、3つの旅行関連のWebサイトを分析して抽出した セマンティックな情報をもとに算出されたスコアに応じて重み付けがなされ、大きさが決 められる。これに対して、MyGlobeの重み付けは個人の移動履歴を分析して行い、その 重み付けに応じてランドマークのサイズとストリートの太さを決めて地図をビジュアラ イズしている。

2.1.4 ユーザーの行動を反映した位置履歴表示システムの構築

”ユーザーの行動を反映した位置履歴表示システムの構築”[10]は、ユーザーの行動を 空間の重みに変換し、重みが表現された地図を生成する手法について論じている。 この手法では初めにユーザーの位置履歴からノードとパスからなる構造を抽出する。 ノードは、ユーザーにとって印象に残るような行動をとった地点のことであり、パスは、 ノード同士をつなぐユーザーの移動経路である。ノードの生成は、移動軌跡の交差した 場合、写真撮影などのイベントが発生した場合と滞在時間が長い場合とランドマークと して利用されている場所を通過した場合に行われる。パスの生成は、通過する頻度が多 い場合と速度が遅い場合に行われる。 このようにして構造化されたユーザーの行動を重みに変換する。この重みを元に強調 表現を行う。まず地図を細かな矩形に区切り、重みに応じて矩形毎の縮尺を変えること

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図2.1 Automatic Generation of Tourist Maps で強調表現がなされる。図2.2のようにノードとパスとなった矩形は拡大され、それ以外 の矩形は縮小される。単一の矩形のなかでは同一の縮尺で地図が表示されるため、通常 の地図と同様に読む事ができる。この手法は、行動中のユーザーが自分自身の行動を把 握する際に利用できる。 MyGlobeは、パスとランドマークをそれぞれ個別に強調表現を行う。MyGlobeのパス の生成はこの研究と同様に通過する頻度が多い場合と速度が遅い場合に行われるが、パ スの太さの縮尺を変える事で、ノードはランドマークの縮尺を変える事によって強調さ れる。また、ユーザーの行動の重み付けが低い場所は、地図の上に青色のマスクをかけ て、海に見えるように表現する。MyGlobeは行動履歴を正確に把握する事はできないが、 ユーザーの行動したエリアのイメージを印象として感じられるようなデザインを行って いる。

2.2.

ナビゲーションサービス

MyGlobeはユーザーの行動履歴を利用して生成した地図を用いたソーシャルナビゲー ションサービスである。この節では、ナビゲーションの関連研究について考察する。

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図2.2 ユーザーの行動を反映した位置履歴表示システムの強調表示モード

2.2.1 Social Navigation: Techniques for Building More Usable Systems

”Social Navigation: Techniques for Building More Usable Systems[7]”のなかで、 DiebergerとDourishは、他の人の嗜好や過去にとった行動を利用してナビゲーションす ることをSocial Navigationと呼び、ユーザーの意思決定に役立つと主張している。例え ば、本に残されたドッグイア(ページのマーキングのための本や雑誌のページの隅が折れ た状態)は、たくさんの人が読んだことを示唆し、目的の情報へのショートカットになり うる。また、飲食店を探しているとき、店にどれだけの人がならんでいるかは、その店 がおいしいのかどうかの指標になりうる。MyGlobeはこの指標を地図として表現して、 ユーザーの意思決定に役立てている。例えば、友人のよく行くカフェが大きく表示され るので、ユーザーはその地図をみて時間をつぶす場所を決めることができる。MyGlobe はユーザーが過去にどのように移動し、どんな店舗に滞在したかを地図として表現し共 有することでSocial Navigation Serviceを提供している。

また、この論文ではSocial NavigationにはSocial Affordanceという特徴があると主 張している。他の人の履歴が残った環境には、ユーザーに他人の気配を感じさせて、社会 的な経験に貢献する。この他人の気配は、環境がより生き生きとして、環境の中に自分が

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招き入れられているような感覚をもたらす。これをSocial Affordanceと呼ぶ。MyGlobe では、人の移動履歴が残った地図を見ながら歩く事で、友人のかつて訪れたという気配 を感じさせ、Social Affordanceの実現を図っている。

2.2.2 City Flocks: Designing Social Navigation for Urban Mobile

In-formation Systems

City Flocks[11]は、focus group methodと呼ばれるContextual inquiry[12]の手法を 用い、Social Navigationのアプリケーション開発を行い、その有効性をフォーマルイン タビューという質的方法で検証している。City Flocksは、新しく街に来た訪問者や居住 者が、地元の人が持つその街についての知識や経験にアクセスできるようにするシステ ムである。

このシステムを構築する際に、地元の知識を得る時のユーザーのニーズを探る為にfocus group methodと呼ばれるContextual inquiryの手法を用いて調査を行っている。focus group methodは、ユーザーに既存のシステムの問題点や利用について自由に議論しても らい、その議論からシステムのデザインについてアイデアを得る方法である。City Flocks のfocus group methodでは、the scenario-based usability approachの採用している。こ れは、問題のあるシナリオを提示して、ユーザーに問題を解決をする為にどのような行 動をとるかをインタビューする方法である。例えば、「あなたは、この街に来たばかりで、 どんな店舗があるかわかりません。どのようにおいしいレストランを探しますか。」とい うシナリオを提示するものである。focus group methodにより、Social Navigationには 直接的なナビゲーションと間接的なナビゲーションの2つがあることが明らかになった。 直接的なナビゲーションは、店舗を地元の人に直接尋ねることであり、間接的なナビゲー ションは人が行列をなしている店舗をみつけることである。

City Flocksはfocus group methodで得た直接的なナビゲーションと間接的なナビゲー ションのアイデアを取り入れて携帯電話のアプリケーションをデザインした。以下の機 能を実装する事で、直接的なナビゲーションと間接的なナビゲーションを実現している。

店舗にコメントと評価をつける機能とコメントと評価とそれらを残したユーザーの 情報を閲覧する機能(間接的ナビゲーション)

コメントを残した人へ電話をかけることができるVoice LinkとText Messageを送 受信することができる機能(直接的ナビゲーション)

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このシステムを評価する為に、Kelvin Grove Urban Villageというオーストラリアの 都市再開発特区でユーザーテストを実施している。店舗のコメントと評価を増やす為に 二ヶ月間地元の人にデータを入力してもらっている。その後に六人の参加者に、シナリ オに従い、システムを使用してもらいテストを行っている。シナリオの例として「あな たは、大学の新入生です。あなたは空腹ですが、次の授業まで20分しかありません。授 業開始までに値段の安いレストランを探してください。」というものである。 このユーザーがシステムを使用してタスクをこなす過程を観察し、その後インタビュー を実施した。その結果、間接的なナビゲーションは、すぐに店舗の様子が分かり便利で よく使うが、直接的ナビゲーションは、SMSや電話をかけるのがわずらわしくあまり使 わない事が判明した。

MyGlobeは、同じContextual Inquiryでも、focus group methodではなく、「師匠/ 弟子モデル」[12][13]による調査からアプリケーションの開発した。focus group method は、今あるシステムを改善するには有効であるが、新しい経験をデザインする際には適 してない。MyGlobeでは、新しい経験を提供するSocial Navigationを創出するために 「師匠/弟子モデル」を用いた。詳しくは第3章で述べる。MyGlobeの評価手法は、City Flocksを参考にしてシナリオをユーザーに提示してフィールド調査を行っているが、こ れに加えてVideo Cued-Recalled Method[14]を用いている。これは、ユーザービティだ けではなく、システムを利用している時にユーザーが考えている事や気持ちを明らかに する為である。この手法については、第5章で詳述する。また、MyGlobeは直接的なナ ビゲーションは実現していないが、ユーザーの行動履歴が反映されたMyGlobe Mapを 通して間接的なナビゲーションを実装している。

2.2.3 Activity-Based Serendipitous Recommendations with the Magitti

Mobile Leisure Guide

Magitti[15]は、Context-awareと機械学習を用いた推薦システムである。Magittiは、 現在のユーザーのコンテクストから、ユーザーに適したアクティビティを推論して、そ のアクティビティに対応したコンテンツと場所を推薦する。

このMaggitiを開発するにあたって、東京の若者に対して、インタビューとオンライ ン調査やフィールドワークを行った。その結果を5つの行動パターン(Eat食事とBuy ショッピングとSee見ることとDoすることとRead読む事)に分類した。

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開発チームはこのフィールドワークを元にMagittiをデザインした。Maggittiは、ユー ザーの状況にあった20のアイテムをリスト表示し、行きたい店を推薦する。フィール ドワークで得た5つの行動パターンをもとに、Eat、Buy、See、Do、Readの5つのモー ドがあり、Anyモードではユーザーの状況を鑑みて、ユーザーが5つのモードの状態で あるか判断し、自動的に推薦のアイテムを選び出してくれる。これは、ユーザーが新し い場所に移動する度にアップデートされる。ユーザーは詳細のコメントをその場所への 地図を閲覧することができ、五段階の評価を残す事ができる。

Magittiのシステムは、Context Sensing ModuleとActivity Prediction Moduleと Recommendation Moduleによって構成されている。Context Sensing Moduleがphysical context (GPSと時間とユーザーのインプットと天気)とdata context(emailの内容、カ レンダー、閲覧されたWebページやドキュメント、アプリケーションの使用履歴)を集 める。集められたデータをActivity Prediction ModuleとRecommendation Moduleが 分析して、ユーザーの現在の興味を予測して、候補となる場所を推薦してくれる。 Magittiプロジェクトは、ユーザーにインタビューとアンケートを用いて、セレンディ ピティのある発見をしたかを評価した。セレンディピティのある発見とは、行った事の ない場所で、ユーザーの好みの店舗を見つけることである。インタビューとアンケート の結果、ユーザーが今までに行った事のない場所にいくことを促した事が判明した。ま たユーザーの多くは発見したときに喜びを感じていた事が分かり、Magittiはセレンディ ピティのある推薦をすることができるアプリケーションであることを証明した。 MyGlobeは、同様に都市のなかで発見を促すメディアである。現在地に登録されてい るユーザーのMyGlobe Mapのビジュアライズによって、発見を促す。MyGlobe Map は、Magittiのリスト表示とは対照的に、正確な情報を提供しないが、島と海のビジュア ライゼーションが行った事のない場所と自分の行動範囲を明確に理解できるようにする ことで、未知の場所へ行く動機を与え発見を促す。

2.3.

位置情報の活用

都市のなかで自分の存在する位置情報の価値が高まっている。位置情報を提供する事で さまざまなサービスを受けることができる。例えば、ユーザーはスマートフォン端末に搭 載されているGPSを用いて自分の現在位置をGoogle Maps[16]などのサービスに送信す る事で、リアルタイムのナビゲーションサービスを享受することができる。また、地図サー ビスだけではなく、Twitter[17]やflickr[18]などのサービスも自分たちの提供する情報に、

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ジオタグと呼ばれるユーザーの位置情報を付加し始めている。さらに、brightkite[19]な どの位置情報の共有に特化したLocation Based SNSと呼ばれるソーシャル・ネットワー キング・サービスも数多く登場している。この節では、近年の位置情報を活用したサー ビスについて述べる。

2.3.1 Location Based SNS

Googleは、Google Latitude[20]という自分の現在位置を、友人や家族と共有するサー ビスを公開している。Brightkite[19]やloopt[21]はこのような現在位置の共有をソーシャ ル・ネットワーキング・サービス(Location Based SNSと呼ばれる)として展開している。 Brightkiteは、自分の現在位置を「チェックイン」と呼ばれる機能で、ユーザー間で共有 できる。さらに、現在位置の近くにいるユーザーにメッセージを送ったり、場所情報と ひもづいて登録されている写真を閲覧したり、投稿する事ができる。looptやyahoo[22] が展開するFire eagle[23]も同様なサービスを行っている。これらのサービスは短期的な 位置情報の共有にフォーカスしていて、ユーザーがどのように移動したかやどれくらい その場所に滞在したかなどの中長期的な位置情報の共有のサービスは提供していない。 MyGlobeは、点としての位置情報は共有に加えて、地図上に道という線を表示すること で、そこをどのように移動したかという経験と長期的な位置情報の蓄積を共有すること ができる。

2.3.2 ジオタグ

位置情報をライフログとして活用しようとするサービスも登場してきている。「つぶ やき(ツイート)」と呼ばれる短いコメントを投稿するTwitter[17]や写真共有サイトの flickr[18]のサービスに場所情報を付加するジオタグという機能は、位置情報をライフロ グとして利用することを促進している。しかし、移動情報に特化して、ライフログとし て記録できるサービスは登場していない。MyGlobeは移動した履歴を、地図として表現 してライフログとしての利用する事ができる。

2.3.3 位置ゲー

「位置ゲー」と呼ばれる携帯電話のGPS機能を使ったゲームも生まれてきている。こ の「位置ゲー」とは2003年からこのジャンルのゲームを提供しているコロプラ[24]が提

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唱している呼び名である。最近ではマピオンの「ケータイ国盗り合戦」[25]や本田技研工 業の「ケートラ」[26]など、複数のゲームが登場している。位置情報を用いて「楽しい」 経験を与えるエンターテイメントに利用するサービスといえる。このサービスでは位置 情報は、入力値としての位置づけで、携帯電話のインタフェースの中の楽しさに重きを 置いている。MyGlobeでは、移動経験の中に「楽しさ」を付加することを意図している。

2.3.4 GPS ドローイング

GPSを用いて自分の移動した軌跡で地図上に絵を描くというGPSドローイングとい う表現行為がある。ランドスケープデザイナーである石川初は地図上にタレントのタモリ の顔の絵やペンギンの絵を描画してWeb上で公開している[27]。MyGlobeは、移動する 事によって地図が作成するという点で、移動経験を表現行為にしているといえる。GPS ドローイングでは、純粋な表現行為であるが、MyGlobeは表現した地図をユーザー間で 交換する事でナビゲーションとして利用できる。

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3

フィールドワークとコンセプト

MyGlobeサービスの開発にあたって、街のなかで今まで知らなかった場所を発見でき るナビゲーションサービスのデザインというビジョンを掲げた。このビジョンを実現す るアイデアの創出のために『デザイン思考の道具箱』[13]で紹介されているフィールド ワークを行い、アイデアから基本コンセプトを構築するために『About face 3.0』[28]の なかで紹介されているペルソナベースのシナリオという方法を用いた。

3.1.

タクシードライバーへのフィールドワーク調査

MyGlobeサービスのアイデア創出にあたって、Hugh Beyerの著書Contextual Design[12] のなかで紹介されている「師匠/弟子モデル」による調査を行った。「師匠/弟子モデル」 は、調査対象者を師匠と見立てて、調査者が弟子の視点にたって調査対象者を観察する 方法である。奥出直人は、『デザイン思考の道具箱』[13]の中で「単純な観察ではなく、 その道のプロは普通の人がうまくやれないことを無意識にやっている、という視点から 見ることで、自分たちが頭ではまったくわからかったことを知る。つまり自分の経験が 拡大していくということだ。」と述べ、経験の拡大がアイデア創出につながると主張して いる。「師匠/弟子モデル」による調査によって、経験の拡大をして、アイデアの創出を 行った。 本研究では、人が知らない場所やルートを発見する過程を調査するために、東京都で 仕事をしているタクシードライバーを調査対象として選んだ。タクシードライバーは、仕 事の特性上、目的地までのルートや街の知識を豊富に持っていると考え、フィールドワー クをすることによってその知識を獲得する方法を明らかにできると考えたからである。 調査の結果、タクシードライバーは客を目的地まで送り届ける過程でのコミュニケー ションの中で、客の認知している目的地までの道順やイメージを会話の中で理解し共有 する事で、自分の案内する範囲の地理情報を獲得していることが分かった。ドライバーだ

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けでなく客もまた、会話の中で新たな道順やイメージを獲得している事が判明した。こ の街のイメージの獲得、共有の方法に新たなSocial Navigationの可能性を見いだした。

3.1.1 調査内容

調査対象 調査対象として、東京23区で営業を行っているタクシードライバーのKさんを選んだ。 内容 2008年4月29日に、タクシードライバーのKさんにフィールドワークを行った。フィー ルドワークの記録に際して、デジタルカメラを使用した。慶応大学の三田キャンパスの 東門から、東京タワー→六本木ヒルズ→ミッドタウン→赤坂→溜池山王→六本木麻布十 番→慶応大学の順番でタクシーを運転してもらった。運転手に調査の趣旨を説明し、赤 坂まで行ってまた戻ってくるという指示をした。調査者は、助手席に一人と後部座席に 二人に乗車した。運転手は、ナビゲーションを見ずにそのまま車を出発させた。知らな い場所や遠方に行く際にしかナビゲーションシステムは使わないそうだ。助手席に座っ た調査者は、六本木周辺の地理的な知識を持っていたため、走行中運転手と目的地まで の会話を行った。後部座席の調査者は、タクシードライバーの弟子の立場で、どのよう に目的地までのヒントを得ているか、どのように客から会話を行っているかを観察した。 運転手は、往路は大きい道路を通って目的地まで向かった。助手席の調査者が「そこ入 ると実は早いんですよね。」と大通りへ抜ける裏道を示唆したが、「そうなんですか、で もこの時間はあんまり混まないんで、メインの通りでもそんなに時間かからないと思い ます。」と言って、六本木通りなどのメインの通りを運転した。道中のインタビューで、 運転手はこの職業を始めて一年しかなっていないということが分かった。一方、調査者 はかつて六本木に勤務をしていた事があり、裏道を含め、目的地までのルートを複数知っ ていた。裏道は知っているのか質問すると、まだ六本木周辺の裏道は知らないことがわ かった。客からの要望があれば、裏道を通っていくが、あまり六本木周辺の裏道は通っ た事がないということだった。杉並区や練馬区などの住宅地と隣接しているエリアは裏 道の要望がよくあるので詳しいということもわかった。まだ、Kさんは運転手歴が短い ので、積極的に裏道を見つけるということもしないそうだ。

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六本木ヒルズの近くで、調査者の勤務していた会社Aが入居しているビルの前を通っ た。その事を伝えると、会社Aが入居している事は知らなかったが、「B社も入っていま すよね」というような返答があった。運転する場所の建物などの情報は、客の情報から 得る事が多いということを言っていた。芸能人の自宅も何軒か知っているということも 教えてくれた。六本木ヒルズの前に来た時に、六本木ヒルズが調査者共通の行った事の ある場所だったので、「ORFという慶応大学のイベントで毎年展示してるんですよ。」な どと話が盛り上がった。 溜池山王まで来たところで、慶應義塾大学に引き返すように、Kさんに指示をした。 復路では、メインの通りではなく、細い裏道を通るように指示した。Kさんは六本木周 辺の裏道の知識があまりないため、助手席の調査者の指示をうけて運転する事になった。 助手席の調査者は、「その道行くとオーストリア大使館のほうです。」などと目立つ建物 を指示していた。裏道を通っている時は、往路でほとんど見なかったナビゲーションの 地図を確認していた。裏道を通った復路と往路の所要時間はあまり変わらなかった。 道中のインタビューのなかで、運転手は、自ら裏道を覚える機会は無いことと目印に なる有名な建物の位置関係を覚え、次にそれを結ぶメインの道の構造を覚えることと裏 道は客の要望から情報を得ることがわかった。

3.1.2 分析とモデリング

フィールドワークで記述した成果を分析してモデル化した結果、人が知らない場所や ルートを発見するには客との街の知識やイメージを共有する事が重要で、その方法には 会話や窓から見える外の景色やカーナビゲーションが役立つということが分かった。仕 事をおこなうにあたって必要なコミュニケーションの流れを表すフローモデル[図3.2]に 街のイメージの共有の仕方がうまく表れている。街のイメージの共有は、窓から見える 外の建物の景色とナビゲーションに映っている地図を媒介にして、客と運転手もしくは 客との会話が促されて行われる。 タクシードライバーにとって知らない場所やルートの発見とは、裏道の発見である。こ の裏道を自ら発見する機会はあまり無く、裏道は客の要望から情報を得たり、客と場所に ついての会話を進める事で獲得している。タクシードライバーは乗客を乗せる度に、街 の知識やイメージを獲得するので、街や裏道の知識が豊富なのである。また、裏道の知 識や街の知識はただ情報を聞くだけではなく、実際にそのルートを運転するので場所の 知識が定着するのである。比喩的にいえば、タクシードライバーと乗客はそれぞれ頭の

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図3.1 フィールドワークの様子 中に地図のようなものを持っていて、タクシードライバーはその乗客の地図を見ながら その場所を運転する。実際に乗客の地図に記された場所を走る事で、乗客の地図が加わっ て、タクシードライバーの地図は詳細になり大きくなっていく。 乗客の頭の中の地図を、タクシードライバーがイメージする際にカーナビゲーション に表示されている地図が役に立っている。乗客に教えられた道を通るときには、乗客の 指示している場所を、カーナビゲーションの地図を見て自分の知っている通りと建物の 位置と照らし合わせながら走行していた。このようにカーナビゲーションの地図は純粋 にナビゲーションとして使うというより、客と場所の知識を共有する時の補助的なツー ルとして使われているといえるだろう。

3.2.

ペルソナとシナリオの構築

フィールドワークの分析とモデリングで明らかになった街のイメージの共有の仕方を 参考にペルソナベースのシナリオを構築し、シナリオからMyGlobeの要件を導きだす。 『About face 3.0』[28]のなかで紹介されているペルソナベースのシナリオのなかのコン

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テキストシナリオという方法を用いる。ペルソナベースのシナリオは、「一人以上のペル ソナが、製品を使って特定のゴールを達成するようすを物語として記述したものである。」 [28](129-130)。そのなかで、コンテキストシナリオは、デザインの作業が進む前の段階 で、「高い水準で、製品がペルソナのニーズに応えるにはどうすればよいかを探る」のに 有効である。このコンテキストシナリオを分析して、MyGlobeのデザインに必要な要件 を導きだす。 本研究では、ペルソナのゴールは今まで知らなかった場所の発見とする。そして、この ゴールをニーズとして持っているようなペルソナを設定した。このペルソナを元に、タク シードライバーと客がそれぞれ持っている頭の中の地図というメタファーとそのイメー ジの共有というアイデアをベースにシナリオを構築した。

3.2.1 ペルソナ

ペルソナ:木田良隆(25)メーカー勤務 日常は東京郊外の東村山市から品川までの通勤の往復で、たまに早く帰る事が出来る日 には渋谷で一杯飲んで帰るという生活をしている。趣味は映画鑑賞で、映画を観る時は、 誰かに語りたいという欲求もあるらしいが、一人で観ることの方が多い。おいしい食べ 物屋やおしゃれな店を見つけて、彼女と一緒に行くという期待がある。

3.2.2 シナリオ

ある週末18:00 今日も上司の山本に仕事のことで怒られたが、何とか会社から出てくる ことができた。いつもは残業があるが仕事が18時に終わったので、映画で も見ることにしようと思う。 しかし、品川プリンスでやっている映画は観てしまった。とりあえず渋 谷へ行ってみて何を観るかはそこで決めようと思い、山手線にのって渋谷 に向かう。渋谷にある東急ハンズで買い物もしたいと思っていたので、都 合がよい。 渋谷駅に到着18:40 ケータイ(iPhone)を取り出し、映画と上映時間を検索する。『エヴァン ゲリヲン2.0』の映画を見ようと思うが、20:45開始でまだ時間がある。

(31)

そこで、iPhoneのMyGlobeを起動する。画面には、今までこの町で行っ た場所が記録された自分の世界が表示される。 この画面の横には、小山、井上、山本という友人や知り合いの地図が表 示されている。その中でも、友達のなかで一番渋谷に詳しい小山の地図が 気になった。「そういえば小山は、普段何をしに渋谷に来ているんだろう?」 「これだけ渋谷に行っているのであれば、暇つぶしの場所は知っていそう だ」「ついでに、ちょっと腹ごしらえできると良いのだが」 と思いながら、小山の地図を選択する。小山の地図が大きく表示される。 「ユーロスペース(映画館)は、小山も行っているんだな」 「ハンズに行っておいて、まんだらけ(古本屋)に行かないとは人生を損し ている男だ。まあいいけど。」 と素直な感想が出てくる。このように小山の地図を眺めていると、東急ハ ンズとまんだらけの近くに、非常に大きく強調されている食べ物屋がある とのことに気付かされる。ちょうど東急ハンズとまんだらけに寄る予定だっ たので、行ってみる事にする。実際に行ってみると、汚いビルの中にある ことがわかる。3Fには『カニちゃーはんの店』と看板がでている。注文 したメニューが出てくるまでちょっと待たされたので、映画上映までの時間 が無く、急いで食べることになってしまったが、「これは良い店だ。他の人 に勧めても良い。また来よう。」と思う。 これは、MyGlobeの中の地図に反映させる良い機会でもあると思いこの店 の位置にタグを付けることにする。上映時間が迫っていたので、走って映 画に到着する。予定通り『エヴァンゲリヲン2.0』を見る。この映画館は何 度も来ているので、自分の地図のなかでも強調されて表現されている。 帰りの電車23:15 暇つぶしに、MyGlobeアプリケーションを起動して、もう少し俯瞰した 地図を見る。小山はMyGlobeを最近始めたらしいが、彼のMyGlobeはも う既に渋谷・原宿・恵比寿の密度が濃いことが地図から見て取れる。彼の MyGlobeは面白いし、木田はあまり、原宿・恵比寿に行った事がないので 非常に勉強になる。今度、彼女とのデートで原宿・恵比寿に行く時に参考に しようと思う。小山の地図は服を買いに行った跡も多く残されている。渋 谷近辺へ行くときには、服屋にも寄って、オシャレを気にするのもよいか

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もしれないと思う。小山の地図だけではなく井上の地図も続けて見る。 帰宅00:45 家の明かりを付けて、風呂に入る。ベッドで寝そべりながらiPhoneで ネットサーフィンをする。しばらくしてMyGlobeを起動して自分の地図を 閲覧する。今日行った、東急ハンズ、まんだらけ、映画館、そして、かに チャーハンの店が特に強調されている。俯瞰した地図にしても、渋谷がよ り、主張された地図になっている。「今日は、仕事も遊びも充実していたな。 明日は土曜。どこへ行こうか。」と一日を振り返り明日の予定をなんとなく 考えながら、眠りにつく。

3.2.3 要件の定義

シナリオを分析して、以下の要件を導きだした。 自分の行動を反映したユーザーオリジナルの地図を生成する。 各ユーザーの地図を共有、閲覧できる仕組み。 ユーザーが生成した地図を利用したナビゲーションの仕組み。 地図の中に表示されている店にタグをつけて評価する仕組み。 これらは、次章で述べる設計のための基本的な要件となる。 自分の行動を反映したユーザーオリジナルの地図を生成する ペルソナの木田が閲覧している地図は、渋谷で歩いたり、店に寄ることによって生成 される。この事から、ユーザーの街での歩いたり、店に滞在したりする行動が地図とい う形で表現される仕組みが必要である。また、何度も通っている場所は強調されて表現 される。 各ユーザーの地図を共有、閲覧できる仕組み 電車の中で木田は友人である小山や井上の地図を閲覧している。この事から、複数人 のユーザーの認知地図を選んで閲覧する仕組みが必要である。

(33)

ユーザーが生成した地図を利用したナビゲーションの仕組み 木田は、小山の地図の中にあるかにチャーハンの店を発見して、店まで行く事ができ る。そのために、友人のおすすめの場所が強調表現されてその場所までのルートを閲覧 する仕組みが必要である。 地図の中に表示されている店にタグをつけて評価する仕組み 木田は、かにチャーハンの店で食事をとったとき、感想を抱いてタグをつけている。 ユーザーが訪れた店舗に感想を抱いた時に、その感想をタグという形で残せる仕組みが 必要である。 以上の要件をもとに、実際のデザインを行った。

(34)

4

本章では、3章で述べたフィールドワークをもとに制作したMyGlobeのアプリケー ションのプロトタイプについて述べる。

4.1. MyGlobe

アプリケーションのコンセプト

MyGlobe(図4.1)は、iPhoneのブラウザSafariから利用できる、GPSから取得した ユーザーの行動履歴を元に認知地図を生成し共有できるWebアプリケーションである。 この認知地図は、MyGlobeMapといい、図4.2に示しているように、(1)よく通る道は 太く、(2)通らない道は細く表現され、(3)よく訪れる場所は大きく、行った事のない場 所は小さく表され、(4)行動領域が島の形状としてデフォルメされて表示される。さらに MyGlobeは、このMyGlobeMap をユーザー間で共有、活用するソーシャルネットワー クサービスを提供する。 図 4.1 iPhoneでMyGlobeアプリケーションを使っている様子

(35)

図4.2 MyGlobeMapのコンセプト

4.2. MyGlobe

の使い方

MyGlobeはiphoneに標準インストールされているSafari上でWebアプリケーション にアクセスしてログインする事で利用できる。ログイン画面は図4.3に示している。(1) ユーザーの移動履歴を記録するロギングモードと(2)地図を閲覧できる地図表示モード と(3)ユーザー同士がつながることができるSNSモードと(4)地図上の建物を修正、タ グづけのできるカスタマイズモードの4つの機能を提供する。 図 4.3 MyGlobeアプリケーションのログイン画面  

(36)

ロギングモードを利用して、約10分以上屋外を歩くと、自身のMyGlobeMapが生成 される。MyGlobeMap上の歩いた道は太く表示され、歩いた範囲は島として表示される。 建物に入り、そこに3分以上滞在するとGoogleMap上に建物が配置される。 地図表示モードで生成されたMyGlobeMapを閲覧することができる。自分の MyGlobe-Mapだけでなく、他のユーザーのMyGlobeMapを閲覧しながらナビゲーションに使う ことができる。さらに、カスタマイズモードを利用して自分のMyGlobeMapを見て、建 物アイコンにタグをつけることができる。例えば、ラーメン屋のアイコンが地図に配置 されており、ユーザーがおいしいと感想を抱いたりした場合、おいしいなどとラーメン 屋の感想や特徴をタグとして残す事ができる。また、配置されている建物がユーザーの 認知と違う場合、その建物アイコンを違うアイコンに変更する事ができる。 SNSモードでは、他のユーザーのMyGlobeMapを閲覧する事ができる。

4.2.1 モード

図4.4 MyGlobeアプリケーションのインタフェース  

(37)

ロギングモード ロギングモードによって、ユーザーの位置情報をiPhoneのSafari内蔵のローカルデー タベースに位置履歴として保存する。アップロードボタンを押すことで、ローカルデー タベースに溜めたデータをサーバーに送信する。図4.4に示されているボタン1を押す 事でこのモードに切り替える。図4.5に示してあるように、現在位置のGoogle Mapが 表示され、画面の下部には、現在位置の緯度、経度、位置情報の取得時間と精度が表示 されている。 図 4.5 ロギングモードのインターフェース 地図表示機能では、ユーザーのMyGlobeMapを表示する。閲覧できるMyGlobeMap は、(1)ユーザーのいる現在位置の地図と(2)他のユーザーの地図と(3)各島毎の地図と (4)最後に滞在した場所の地図である。 現在位置の地図の閲覧は、現在位置ボタン(図4.4に示されているボタン2)を押す と、現在位置の地図表示に切り替わる。このモードでは、常にユーザーの現在位置が地 図の中心にくるように表示される。また、図4.6の選択リストから閲覧したいユーザーを 選んで、そのユーザーのMyGlobeMapを切り替え、閲覧しながら街を歩く事ができる。 これはナビゲーションとして利用できる。 他のユーザーのMyGlobeMapは、図4.4に示されているボタン3を押して切り替え、 友人のリスト(図4.7左)から閲覧したい地図を選択して、表示する事ができる。 島毎の地図の閲覧は、図4.4に示されているボタン5を押して切り替えると各島の住 所がリスト表示される。リスト(図4.7右)から閲覧したい地図を選択するとその島周辺

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図4.6 地図表示のインタフェース の地図を表示する。 最後に滞在した場所の認知地図は、MyGlobe Web アプリケーションにログインした ときに表示される地図である。 図4.7 友人のリストと島のリストのインタフェース SNSの機能 ソーシャルネットワーク機能によって、他のユーザーの地図を閲覧をすることができ る(図4.7左)。プロトタイプでは、ユーザー数が少ないのでユーザー登録しているすべ

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てのユーザーのMyGlobeMapを閲覧する事ができる。 カスタマイズモード 図4.8 カスタマイズのインタフェース MyGlobeによって推定された建物がユーザーの認知とずれていた場合、ユーザーはカ スタマイズモードを使って建物を変更する事ができる。地図上の建物をクリックすると、 建物の名前の吹き出しが表示されて、建物の名前をさらにクリックすると建物選択のリ ストが表示される。リストから建物種類を選び、名前を記入して、更新ボタンを押すと 建物が変更される。また、認知していない建物が生成されていた場合は、削除ボタンを 押す事で、その建物を地図上から消去する事ができる。

4.3.

プロトタイプの実装

4.3.1 システム構成

MyGlobeサービスのシステムは、MyGlobeアプリケーションとMyGlobeエンジンに よって構成される。MyGlobeアプリケーションは位置情報取得と地図表示機能とSNSの 機能の提供に用いるスマートフォンのWebアプリケーションである。MyGlobeエンジ ンはユーザーの位置情報の履歴を分析しMyGlobeMapを生成するMyGlobeエンジンに よって構成される(図4.9)。本システムは、Webアプリケーション開発のフレームワーク

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であるRuby On Railsを用いて実装した。位置情報取得にhtml5を、地図表示はGoogle Maps APIとJavascriptを、認知地図生成にはrubyを用いた。

4.3.2 システム概要

MyGlobe ApplicationがiPhone搭載のA-GPSで取得した位置情報を、iPhone内蔵の SQLiteに格納する。ユーザーが送信ボタンを押すと、位置情報がサーバーに送信され、 サーバーのデータベースであるmySQLに格納される。mySQLに格納された位置情報を MyGlobeエンジンが分析し、MyGlobe Mapに必要な情報を生成し、Google Maps API に送信する。Google Maps APIによって生成された地図はiPhoneに表示される。尚、建 物情報はドコイク? API[29]を用いている。

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4.3.3 MyGlobe アプリケーション

MyGlobeアプリケーションは、スマートフォンのブラウザ上で動作するWebアプリ ケーションである。プロトタイプの実装に際して、スマートフォンはiPhoneを、ブラウ ザはiPhoneに標準搭載されているSafariを使用した。尚、Android搭載のスマートフォ ンであるHT-03Aでの動作確認もしている。MyGlobeアプリケーションは位置情報取得 と地図表示とSNSと地図のカスタマイズに用いられる。

位置情報取得

MyGlobeはiPhoneに内蔵されているA-GPSの通知によって、ユーザーの経度と緯度 と精度からなる位置情報取得を行う。位置が変化していない場合は、A-GPSから位置情 報は通知されない。通知された位置情報は、iPhoneに標準搭載されているSafariのデー タベースエンジンであるSQLiteを用いて、iPhone内部のデータベースに、取得した時 刻(以下、取得時刻)と精度と共に保存する。これは、データの量を減らす為に、前に保 存されたデータと比較して15秒の間隔が空いている場合のみ実行される。iPhone内部 のデータベースに保存されたデータは、3Gネットワークを通じて、ユーザーがアップ ロード機能を使うことによってサーバーに送信される。 地図表示

地図表示機能では、ユーザーのMyGlobeMapを表示する。MyGlobeMapは、Google Maps API[30]とMyGlobeエンジンから送信される建物アイコンと道と島のデータを利 用する。Google Maps上に、各アイコンの大きさと経度と緯度からなる位置情報を取得 して配置する。各道は、道の太さと位置情報を取得してPolylineと呼ばれる線を描画す る機能を用いてGoogle Map上に配置する。各島は、島の中心の位置情報と半径の情報 を取得して、Polygonと呼ばれる図形を描画する機能を用いてGoogle Map上に配置す る。表示されるMyGlobeMapの種類は、以下の4つである。

1. ユーザーのいる現在位置の地図 2. 各島毎の地図

図 2.1 Automatic Generation of Tourist Maps で強調表現がなされる。図 2.2 のようにノードとパスとなった矩形は拡大され、それ以外 の矩形は縮小される。単一の矩形のなかでは同一の縮尺で地図が表示されるため、通常 の地図と同様に読む事ができる。この手法は、行動中のユーザーが自分自身の行動を把 握する際に利用できる。 MyGlobe は、パスとランドマークをそれぞれ個別に強調表現を行う。 MyGlobe のパス の生成はこの研究と同様に通過する頻度が多い場合と速度が遅い
図 2.2 ユーザーの行動を反映した位置履歴表示システムの強調表示モード 2.2.1 Social Navigation: Techniques for Building More Usable Systems
図 3.1 フィールドワークの様子 中に地図のようなものを持っていて、タクシードライバーはその乗客の地図を見ながら その場所を運転する。実際に乗客の地図に記された場所を走る事で、乗客の地図が加わっ て、タクシードライバーの地図は詳細になり大きくなっていく。 乗客の頭の中の地図を、タクシードライバーがイメージする際にカーナビゲーション に表示されている地図が役に立っている。乗客に教えられた道を通るときには、乗客の 指示している場所を、カーナビゲーションの地図を見て自分の知っている通りと建物の 位置と照らし合わ
図 3.2 モデル分析
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