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フィールド評価

5.4. 評価 ( インタビューとフィールド調査の質的データ分析 )

5.4.4 MyGlobe 使用時のユーザーの行動

今までに行った事のない場所に行く行動

ユーザーはMyGlobeMapの島を広げたり、新しい道や建物を生成する為に、普段行か ない場所にいくことがインタビューによって認められた。

「今まで、建物なかったから、できて嬉しい。こんなふうになるのかってのがわかった から、ちょっと、例えば、寄り道とかしようかなと思う、学校の帰りとか。」

鎌田が述べているように、学校の帰り道普段あまり行かない場所に寄り道をするという ことを促されている。

斉藤は「同じ道で帰らないようにするということです。海が見えるからこっちにいっ てみようかなと思って歩いたりしました。」

と述べている。このように海として表現されている場所に赴いてみようという感情をか き立てることが確認された。

また斉藤は、道のない場所を探索するという行動もとっている。

「その下ににょろにょろってあるのが雑木林です。慶應のマムシ谷から向こう側の。雑 木林をちょっと探索して、普通部の森ってを発見し、そこで道なき道を歩いていました。

いい運動になりました。」

さらに、生成される地図を予想しながら、行った事のない道を歩くという行動も認めら れた。

斉藤「目的地が決まっている場合は、どういう道が生成されるか分かってい

るので、MyGlobeはただロギングが目的でつかって、そうじゃなくて道をつ

くろうと思って書いている場合は、今まで通った道を通らないようにしたり とか、地図をこっちのほうにのばしたいなあというのを意識しながら、歩く 事で今まで入った事のない道とかすごい狭い路地とかに入ったりってのはあ ります。」

調査者「後者の場合はどういうときですか。」

斉藤「比較的時間に余裕がある時とか。あとはどっか行った帰りときに行き とは違う道に歩いてみようと思う。」

このような行動をとる時は比較的時間がある時や帰宅の時に多く認められる。梅沢のフィー

ルド調査では、友人のおすすめの店を見て、行った事のない場所に行ってみるという行 動も観察された。

「小道にいるぞってのがわかって、どうやら近くにおすすめの店があるらし いということがわかって、じゃあとりあえず行ってみようということを思っ た。地図を見ながら、地図にあるお店を探そうかなと思って歩いたと。」

鎌田も同様に、梅沢やひとみのMyGlobeMapの建物を目的地として、街を歩いてい る。次の鎌田のコメントは、梅沢のMyGlobeMapの中で大きく表示されていた鞄専門店 (5.4)を目指して見つけた際のものである。

「この先、渋谷に帰る途中に大きな建物があって自分が行った事ないからいっ てみたいとおもった。

(中略)

でもうちょっと行くとあるとわかった。

(中略)

一直線だったからわかりやすいなと思った。この鞄屋さんは梅沢っぽいなと おもった。梅沢て鞄とか好きでしょ。あっ誕生日プレゼントとかこっそり買 う時とかにいいね。」

また、鎌田はひとみのMyGlobeMapの中の鍋専門店「ハレノヒ」を見つけて、訪れてい る。鎌田は目的地の店舗の場所は知らなかったが、「ハレノヒ」の知識があり、前から訪 れたいという思っていたようである。鎌田は、次のように語っている。

「ひとみちゃんの地図のなかのハレノヒがあった。ここにあるのは知らなかっ たけど、名前は聞いた事あって、ここにあるとは思ってなかった。でも時間 的にやっていなかった。ひとみちゃんにコラーゲン鍋どうだったか聞こうと 思った。これによって場所が分かったから今度友達と行ってみたいなと思っ た。青山通りからすぐなんだと思って。」

友人に地図を見せる

友人と一緒にいて時間が空いているときは、地図を見せて自分の最近の移動履歴を示 す行動をとることがあるようだ。「Yくんに待ち時間とかにMyGlobe最近増えたんだよ みたいなのを見せて、ここがこうで道がああでみたいな話とか。ここがどこだかわかる

みたいな話をしました。あとこの前、高校の友達にあったときも、MyGlobeを見せて、

こういうのであそんでるんだよって。」

友達に見せる動機としては会話のきっかけや話題提供であることが多いようだ。

「見せるのは自発的にやっている、最近こういうのやっていて、こんなに増えたんだよっ ていう。会話の種になるね。会話のネタになるなあってなんとなく出すなってのは今ま で3、4回ある。」と梅沢はコメントを述べていた。また、斉藤は生活の中であまりたい したことがなくても、行動範囲が地図になることで会話の話題として切り出す事ができ るようになるとコメントしている。

「話のネタだよね、どっか行ったて話のときに、どっか行っておもしろいこ とがあればいいんだけど、MyGlobeがあるとそこになにもなくてもネタにな る。ちょっと散歩して道にまよっちゃっただけで話のネタになるからさ。なん か例えば、けっこう迷って一時間もさまよっちゃったよ、てだけだと何のリ アリティもないけどさ、聞いた人はフーンしか思わないけど、この地図を見 せる事で、もうちょっと話ができる。」

自分の行動がきれいな形で島がレンダリングされると他人に見せたいという気持ちが芽 生えるようだ。斉藤は、街を歩く事がある種の表現になっていると感想を以下のように 述べている。

「彼女に見せたりする。三鷹と吉祥寺がくっついちゃったときに、三鷹がくっ ついちゃったというのを見せた(図5.8)。翌々日ぐらいに、吉祥寺を歩いたら、

分離されてて、わあすげーみたいになった(図5.7)。自分が歩いた結果、自 分の世界ができるわけじゃないですか、その世界がかわいいMapになってる から人にみせたいなって思った。多分、これが普通の地図に自分の歩いた所 がトレースされるってのはそれはそれで見せるかもしれないけど、こうやっ て、デフォルメっていうか、ある種表現になっていると、人に見せたくなる なあ。彼女はフーンって感じだった。でも彼女もやりたいって言ってたたけ ど。1223日に横浜に行った時に、あれは歩きながら見せたんだけど、デー トが終わった時に見たんだけど、すごい寂しい感じになっていて二人で笑っ てしまった。」

図5.9 斉藤の三鷹の地図

斉藤は交際相手が三鷹に住んでおり、梅沢も三鷹に実家があるため、三鷹駅周辺に地理 的な知識がある。他人のMyGlobeMapであっても、その場所の地理的な知識があれば、

その人の認知している世界を理解できるようである。以下は斉藤の地図(5.9)を斉藤 と梅沢が閲覧しながら、会話をしている様子である。

斉藤「これ吉祥寺、こっち三鷹。ぐちゃってなってるのが駅前で、ここがセ ブンイレブン、ここに今マンションが2つ建設中でちょうど穴が2つあいて いる。」

梅沢「はいはいはい。」

斉藤「ここにTSUTAYAがある。」

梅沢「おれのばあちゃんの家ここらへんだもん。吉祥寺と三鷹がこうやって 島になるのおもろいなあ。これいいじゃん。」

斉藤「このへんにヨドバシがあって、この辺が駅。」

梅沢「これなに。」

斉藤「商店街だね。」

梅沢「三鷹は、まあだいたいこの辺住んでればこうなるわな。」

斉藤「最短距離だったらこういって、こういってこういくのかな、埼玉屋っ てあるじゃん、それがここ。これセブンイレブンでしょ(クリックして)

梅沢「南口にはいかないんだね。南口はあれなんだよ、三鷹市で、こっちは 武蔵野市。」

斉藤「「かすが」(飲食店)いったことあるひと相当勇気ある人だよね。のれん がびりびりになっている。」

梅沢「あのへんは近寄れないっしょ。ちょうど木があるとこにばあちゃんの 家がある。目印(建物)があると分かるよね。」

地図を見て自分の行動を振り返る

「カフェに行ったりだとか、電車を待っている時によく見る。できてる、できてるっ てのを見る楽しさはあるよね。」

梅沢が述べているように、MyGlobeMapを見て地図の中の建物や島や道が増えることは 楽しさがあるようだ。カフェや電車をまっているときなどの空き時間に見る事が多いよ うである。

「自分のなかでMyGlobeって気にせず歩いてその後、家に帰ったりした時に、今日はこ こ歩いたんだとかを楽しく思い出すっていうような位置づけだから、あまり街を歩く時 にみるっていう捉え方はしていない。」

梅沢にとっては、この地図を見て行動を振り返るということがMyGlobeの経験の重要な ポイントのようである。

自分の地図と友人の地図の比較

梅沢が鎌田の地図を閲覧して、自分の知らない場所を確認していた。

「日吉に建物できてるじゃん。日吉に音楽屋なんてあるのか、あの「ひようら」1のとこ ろかな。フィットマンってなんだ。」

梅沢と鎌田は日吉エリアを行動範囲にあり、MyGlobeMapには島が生成されている。梅 沢は、今度「ひようら」に行く時は確かめに行きたいと感想を述べていた。

また、複数の友人と自分の地図を比べる行動も見受けられた。渋谷のフィールド調査で、

鎌田は自分のMyGlobeMapとひとみと梅沢の地図を比較して、ひとみと梅沢の地図に共 通して存在するアーティファクトギャラリーを見つけて、その場所に赴いている。

1慶応大学の学生が使う日吉商店街の呼称

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