日本オペレーションズ。リサーチ学会 2005年春季研究発表会
周一6−2
制限型プ:=セッサシェアリングモデルについて
01009830 駒澤大学 小沢利久 OZAWATbshihisa mpsモデル【2】:サーバー能力の配分率にクラス依存 の制限(上限)があるモデルのことで,た=1,…,〝に 対して, 1. はじめに TCP/IPに代表されるパケット通信では,リンクな どの共通リソースを複数のコネクション(ユーザー)で シェアしながら利用しているが,そのような仕組みはひ とつのリソースに注目し,適当な時間スケールでの平均 的な挙動を考えることでプロセッサシェアリングモデル (PSモデル)のバリエーションとして近似的に表すこと ができる【2,3,4トその中のひとつに制限型PSモデル (LPSモデル)〔21がある・これは,客にクラスを設け, クラス毎にサーバー能力割り当て(配分率)の上限値を 設定するPSモデルである.パケット通信ではその上限 値が,例えばアクセスラインの帯域に相当する.よって, クラス(上限値)を変更したときに平均ファイル転送時 間などの通信性能がどのように改善(悪化)するのかは, クラス所属の選択権を持つ客にとって蒐要な関心事とな る.そこで本報告では,LPSモデルについて,配分率の 上限値の変更が性能に及ぼす影響を考察する1. 2.mpSモデル 2.1.複数クラスpSモデル ここでは複数クラスPSモデルを広く次のように定義 する.まず,客のクラス数を∬とし,クラスたの時点 壬での系内客数をズ〆り,そのベクトルを∬(りとする・ サーバーが単位時間に提供可能なサービス時間を1と し,クラスたの客一人当りへのサーバー能力の瞬間的な 配分率を7た(∬(り),そのベクトルを7(∬(り)で与える・ ここで,7た(∬(f))≧0,71(∬(り)+…+7〝(∬(り)≦1 とする・このとき,クラスたのある客が時間区間【0,f】 で受けたサービスの竜はかた(g(β))dβで与えられる・ 2.2.ⅢPSモデルとmpSモデル ここでは代表的なPSモデルであるDiscriminatory PS(DPS)モデルとLPSモデルについて示す. のpSモデル【5】‥配分にクラス依存の重みを考慮した PSモデルのことで, 7パ諾)=飢/(飢諾),た=1,…,∬・ ここで,諾=(ェ1 ,…,笹〝),鋸はクラスたの重みでgはそ のベクトル,(g,ご)は内積である.飢=COれβf.の場合が 標準的なPSモデルであり,Egali七a最am】PS岬pS)モ デルと呼ばれ,7パ昔)=1/瞳Ilとなる.ここで,瞳】l= 霊1+…+エ〝である.〈γた,
▼ ̄ 7た(諾)=min −ma)( 「.こ 1≦j≦り酬一∑崇薫
ここで,0<γた≦1はクラスたの配分率の上限(上限配 分率)であり,γ1≦γ2≦…≦r〝とする.LPSモデル はmax−min公平性(最小の配分率を最大にする)に従う. 制限値がクラスに依存しないLPSモデル(γた=CO†lβ壬・) をhLPSモデルと呼ぶことにする. 3.mPSモデルの解析(数値計算) クラスたの客は強度入たのポアソン過程に従って到着 し,サービス時間は平均1/仰の一一一一般分布に従うとする・ EPSモデルとhLPSモデルは対称待ち行列であり,系 内客数の定常分布は横形式解によって表すことができる 【3].しかし,DPSモデルとLPSモデルは対称待ち行列 の性質を満たさないため,系内客数の定常分布を簡単な 式で表すことはできない.DPSモデルについては,同 時にサービスを受けているクラスたとクラスJの客の配 分率の比が状態に依存せず常に鋸/別であることを利用 して平均応答時間を求めることができるが【1】,LPSで はそのような単純な関係は成り立たない. そこで,サービス時間を指数分布として,マルコフ連 鎖(∬(り)の定常分布を数値計算によって求めることに する.数値計算の方法は様々考えられるが,ここでは以 下の方法を用いる. 。まず,レベル乃を£れ=(霊∈Zf:l匝‖=れ) で与える.このレベル分けを基にして推移速度行 列¢をブロック行列化する.するとQは非均質 な(nonhomogeneous)ブロック3重対角行列となる ((X(t))はnonhomogeneousQBDになる)・この Qに対して縮約/非縮約法を適用して定常分布を 数値的に求める. 0ただし,¢は無限次元なので,適当なレベル以上で はレベル内での分布(条件付き分布)が多項分布に 従うとして有限次元に落とす.これは,が=「1/rll として,LPSモデルではレベルが以上での状態推 移率がEPSモデルでのそれと同じになることから, 適当なレベル以上ではレベル内での分布がEPSモ デルでのそれと十分近いという仮定に基づく. この方法では,¢のブロック対角成分が対角行列とな 1この報告の内容はNTT研究所の川原亮一氏と石橋圭介氏とのコ ミュニケーションが切っ掛けとなっており,ベースとなっている. −48 − © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.り,非対角成分も階層的な構造を持つ.また,縮約され たマルコフ連鎖は出生死滅過程になる.しかし,やはり 次元との関係で大きなモデルに適用するは困難である. 4.数値例 クラス数が∬=2の場合について,一方が上限配分 率を増加させた場合の平均応答時間lγ七,た=1,2,の変 化について調べる.どの数値例も〃1=〃2=1とした. 表1は両クラスの到着率が等しい場合に,γ2または γ1を増加させていったときの平均応答時間である.こ れらの表から, ●γ2を増加させてもⅥ1はあまり変化しない, ●γ1を増加させてもl鳩はあまり変化しない, ことが分かる.このことから,LPSモデルではあるクラ スの上限配分率の変化はその他のクラスにはあまり影響 しないことが予想される.また, ・γ2を増加させるとl仇,l鳩 とも単調に減少して いる, ●γ1を増加させるとⅣ1は単調に減少するが,l鳩は 増加の後,減少する, ことより,あるクラスが上限配分率を増加させると他の クラスの平均応答時間も減る可能性があることを示して いる.これについては次節で取り上げる. 表2■は両クラスの到着率が異なる場合に,γ2またはγ1 を増加させていったときの平均応答時間である.比較の ために到着率が等しい場合の数値例も示す.表より,両ク ラスの到着率が異なる場合もそれらが等しい場合と同様 の数値的傾向を示していることが分かる.ところで,表 2は,入1=入2=0.4であったものを入1=0.1,入2=0.7 に変えた場合の比較も示している.これは,クラス1の トラヒックを一部分,クラス2へ移したことを意味する が,そのような移行をしても平均応答時間はあまり変化 しないことが分かる.パケット通信でいえば,より広い アクセス帯域のサービスに多くの人が移行したときの状 況に対応する. 以上に示したことは文献[2】でもシミュレーションに よって確認されている. 5.考察 数値例で示したことに関連し,サンプルパスの議論を 用いて次が成立することが分かる. ● 一一一般の到着過程,一般のサービス時間分布,一般の クラス数∬であるエルゴード的なLPSモデルに おいて,最上位クラスの上限配分率γ〝を増加させ ると系内客数の定常分布は確率順序の意味で単調非 増加となる. このことより,平均系内客数及びリトルの式から平均応 時間についても同様の単調性が成り立つことが分かる. ところで,LPSモデルについて数値例で示したよう に,あるクラスの上限配分率の変化がその他のクラスに あまり影響を与えないことが確かであれば,平均応答時 間を近似するひとつの方法が導かれる.すなわち,クラ スたを注目するクラスとし,そのクラス以外のクラスの 上限配分率を全てγたにしたhLPSモデルを構成し,そ のモデルにおけるクラスたの平均応答時間をⅣたの近 似として用いるのである.文献【2]で提案された近似式 はこのようにして構成された近似式と解釈することもで きる. 6.おわりに 数値例から予想される性質がどこまで正確に成り立つ かの確認をこれからの課題としたい. 参考文献
【l]G・Fayolle andI・Mitrani,Sharing aprocessor among
manyjobclasses,J.ofACM27(3)(1980)・
【2】早・KチWahara,etal・,Amethodofbandwidthdimen−
SlOnlng and management for aggregated TCP nows
withheterogeneousaccess,Submitted(2004)・ 【3】小沢利久,プロセッサシェアリングモデルを用いた通信応 答時間の近似解析,信学技報NS2002−12(2002). 【4】J・W・RobertsandL・Massouli6,Bandwidthsharingand admissioncontrolfbrelastictrafBc,11thITCSpecial− istSeminar(1998). 【5】S・F・Yashkov,Proc讐SOr−Sharingqueues‥SOmeprOgreSS inanalysis,QueuelngSyStemS2(1987)・ 表1:平均応答時間:到着率が等しい場合