(2) 鍔旺ω昌と呼ぱれて現に存在することを指摘する識論も︵特に︑アメリ. ぱしぱ議論されている箏柄であリ︑権利を主張する連動は概して多く. かったわが国においては﹁人権﹂という観念が育たなかったことはし. 七四. カにおいて︶兄られる︒. 能しているのである︒たとえぱ︑企業や官庁で行われている一枠定年. によってのみ成立ちうる制度が疑閉を呈示されることもなく存在し機. じ年齢にあるひとぴとは同じ能力水準や資質を有すると前提すること. 国においても︵わが国においてこそ︶非常に顕著である︒しかも︑同. 経済効率という価仇基準で甘⁝齢者の能力を査定してしまう傾向はわが. 在が確認できるか否かについてはさらなる調査研究が必要だろうが︑. いひとぴとにたいして何がしかの人格的円熟佳やおおらかさを要求す. 知れない︒そしてさらには︑わが固の社会規範のなかには︑年齢の商. することに閑しては︑苅齢者の布する保守性は大きな陣害であるかも. 構造を否定することから出発するからである︒旧来の社全構造を否定. 灼な意識を有する作在であリ︑権利の拡大を目指す運動は旧来の祉会. 文化においても多かれ少なかれそうであろうが︑高齢者が概して保守. ということが不利な点であるかも知れない︒すなわち︑いずれの社全・. 女性の閉魎と比較したとき︑運動の主体となる当箏者が荷齢者である. はないのであるが︑高齢者の場合には特に消板惟が目立つのである︒. 退職制度や応募資格のひとつとして年齢制限を明示している求人広告 ^1− が樹行していることなどはその典型である︒. る力が強く働いているように思われるのである^﹁大人■ぴる﹂という形. わが国においても︑たとえぱアメリカにおけるように︑晶9ω∋の存. 近代社会においても残存している属惟によるひとぴとの評価と社全. 盛リ上がリが指摘できるが︑年齢に基づくひとぴとの弁別という班柄 ^!一 に関しては必ずしも一般的な運動となっていないようである︒わが国. る︒女性の差別に閑しては昨今はわが国においても少なからぬ運動の. 鮒に対する差別に対しては世界的に権利拡大運動が繰リ広げられてい. る差別に対しては女性の側から厳しい批判の声が上がっているし︑年. する社全運動の組織化が行われていることも知られている︒性別によ. 互行為は社全的に統制されている︒ある祉全灼な役割にいく通リかの. ω壱訂目ω︶は︑社全的構成要素として形成されている︒年齢集団閉の柵. 級︵鍔①〇一鶉ω霧︶︑年齢段階^鍔①管邑窃︶︑年齢灼地位制度一鍔①−ω訂gω. 学上の時間は祉全的な意味を付与された単位へと区分される︒年齢階. わち︑﹁. 形成され祉全が紐繊化されている側而を観察することはできる︒すな. わが国に限らず︑すべての社全において︑年齢を基軸にして制度が. 容︶︒. においては︑一般的に権利意識が希薄であることはしぱしば指摘され. 年齢にあるひとぴとを割リ当てる方法は︑背後にある年齢的な地位制. 的位置づけについては︑今日︑さまざまな地域でその非合理性を糾弾. る箏であり︑商鮒者の閉で社全運動が一般化しないこともそれと同じ. 度のもたらすものである︒年齢規範は︑支配的な社全統制のネットワ. ⁝すべての社全において︑人生︵ミニ弐①︶あるいは生物. 脈絡の問題のひとつではある︒市民革命という歴史的体験を経てこな.
(3) 化的特性が存在すると予見することは無理ではないであろう︒. 消極性の背後にもそういった意識を形成せしめる︑わが固の社全・文. あろう︒とするならぱ︑先に述べたわが国商齢者の示す社会連動への. 動様式なとに大きな影響を与えることになる︑と考えることは白然で. ある︒こういった祉全の年齢依存の構造化は個人の意識の持ち方や行. ークを形成している﹂^2gひq胃け8曽庄︸品窃訂らL彗9巾鶉︶ので. もの泄代の㎜の人間閑係であるが︑親と子どもという関係性は年齢塞. 閑係の形成様式﹂という視点である︒世代㎜⁝関係は︑親の世代と子ど. 閉魎に閑わってみたいと思う︒それは︑﹁世代閉閑係を範型とした人㎜. 照することができる︶︒しかし木稿ではいまひとつ別の視点から︑この. プローチすることが考えられる^たとえぱ︑雪一2ρ㊤ぎ︶の議論を参. ライフ・ステージごとにどのように様式化されているかに着目してア. だということができるだろう︒たとえぱそれは︑大まかには幼年期・. 生活旧川期はいくつかのライフ・ステージが連なった時㎜の移動モデル. 縁閑係を基礎とする集団逃営の方法が与える作川がきわめて大きいと. の理念であろうが︑その祉全運営に閑わって家族という︵疑似的︶血. 個人の権利を批大限に認めることが近代社会の運鴬に閑するひとつ. を前提にしなけれぱ考えられない閑係である︒. 少年期・・背年期・泄年期・巾年期・老年期といったライフ・ステージ. いうことがいえるであろう︒とくにH本においては︑いわゆる集団主. 個人の生涯の平均惚は︑﹁生活旧川期﹂という形でモデル化されうる︒. を︑そして綱かくみれぱそれぞれのステージごとに含まれる平均的手. 義︵αq;ξげ昌︶的な思考様式が優越した社全であリ︑集団のなかでも. 今日に至るまでの時点では︑わが固の家族主義的社全の運営方式が. 続きを︑加齢にともなって経過していくことである︑と述べることが. 然と年齢と連動しているものとがある︒どのような班象がどのように. 少なくとも経済次元での成功を生み山したように兄られているのであ. 特に家族︵あるいは︑イエ︶の占めてきた位置づけが大きいといわれ. 年齢と閑わるかは︑それぞれの社全で︑またそれぞ札の時代で変動し. るが︑こういった社金の構遣化はわが固の文化を背景として初めて可. できるだろう︒そして︑それらのライフ・ステージ閉の移行ならぴに. うるのである︒年齢規範の活発な文化・社全では︑それぞれのライフ・. 能とされる文化的現象であるのか︵2岸膏巴艘8q︶︑あるいはそれぞ. ている︒. ステージがかなリ㎜確な適齢によって規定されている︒わが国におい. れの社全がその近代化のブロセスの中で経過してきた一段階をわが固. 所定手統きの履行については︑年齢が社全的に碓定している箏.項と漠. てもかつては︵今日でも︑地域によっては︶︑結婚や元服の適齢や隠居. も現在辿リつつあるのか^8昌①轟g8︸8q︶︒こういった異なった. 一−−. の遮齢︑あるいは祝い班などを行うべき年齢段附が閉確に櫛習化され. 2つの見解について加齢という班象への社会的兄方を手がかリにアプ. ローチすることが必要である︒. 七五. ていたわけである︒. 社全の年齢による構造分化については︑ひとぴとの生活が一般的に 年齢と祉全概造.
(4) 2. わが国におけるひとびとの行動様式と年齢. 先ほども2g窪ユ彗曽o葭墨①gぎ︵畠お︶の論述をもとにして︑. 七六. 意識のなかに大きなウエイトを占めてきたことは認めなけれぱならな. いだろう︒ペネディクトが描いた価位規範の多くはすでに実質的に機. 能しなくなっていることも事実であるが︑反面今日のわが国でも依然. として年齢規範意識の強さを班付ける経験的事象をあげることは困難. 述ぺたのであるが︑わが国の社全においては集団や組織の運営方法の. かに関しては慎重に検討しなけれぱならないのであるが︑わが国の年. わが国の年功制度が英語でいう器邑oユξ望ω8昌と同義であるか否. な作業ではない︒. なかに︑その構成員の年齢を考慮に入れ︵重視し︶て行われる方法が. 功制度には︑ある組織に勤統した年数の長短で勤労条件を変えるとい. 年齢による社全の構造化はいずれの社全のなかでもおこリうることを. 観察される︒わが国社全の特性としてヒエラルヒー構造が特に顕著で. う側面ぱかリではなく︑役職による偏リを別にすれぱ︑年齢の同じも. 事務系の公務員に典型的に兄られるように︑ある年度に組織︵特に︑. あることを指摘したのはペネディクトの﹃菊と刀﹄であったが︑ベネ. といった年齢規範に基づく上下関係が含まれている︒﹁階級間の差異は. 大きな組織︶に入社︵入局︶したひとぴとは﹁同期のさくら﹂なので. の︵あるいは︑同期入社のもの︶は同じ条件にするという思想が色濃. 重要な事柄ではあるが︑ふさわしい行動が現しているのは階級間の違. あリ︑彼らには一律の賃金ランクが割リ当てられる︒もちろん︑同期. ディクトが指摘した日本人が重視するヒエラルヒー構造のなかには集. いという箏柄だけではない︒性︑年齢︑家族関係︑そしてふたりの間. のひとぴとの間では熾烈な出世競争が展開され︑その競争に勝つもの. いように思われる︒. で以前に受けた処遇などすぺてが必要な計算のなかに取り入れられる. と破れるものとの区別が招来するのであるが︑こういった役職従事に. 団や組織の内部での上下関係︑年齢や性などの個人属性︑世代間関係. ⁝﹂葛雪①29畠望一〇﹄O︒︑翻訳は和田︶. かしそうであったとしても︑わが国において年齢規範を重視する規範. 国民に教示してきた生活の内容であったと理解すべきだと思うが︑し. 府が国民の理想とすべき価位基準として^主として初等教育を通して︶. れた大衆の閉の習俗の内容であったというよリは︑明治以来日本の政. ベネティクトが描いた日本文化の型は︑日本社全のなかに引き継が. よいだろう︒それに反して︑異なった年齢集団の間では賃金の格差を. ういった施策は同一年齢には同一賃金というポリシーの現れだとみて. るから︑同期入社︵局︶者はほぽ同じ年齢だとみてよいのであリ︑こ. る際の年齢は︵1−2歳ほどの違いは見受けられるが︶ほぽ均一であ. れないような施策が施されている︒わが国の場合では︑学校を卒業す. 伴う賃金の変化は存在するものの︑同期の間ではなるべく格差が生ま. のである︒. 意識が^たとえ︑上からの強制の結果であったとしても︶ひとぴとの.
(5) 明瞭にするのである︒. きだという叱責を耳にするだろう︒この言葉の裏には当然︑それぞれ. の年齢に兄合った行動のタイプがあるのだという規範意識が存在する. わけである︒﹁子どもは子どもらしく﹂振舞い︑﹁大人は大人らしく﹂. 年齢の差は賃金の差ぱかリではなく︑組織内での人間閑係の形成の 仕方にも微妙な陰を落としている︒そのひとつが︑いわゆる﹁先輩・. 振舞うことが期待される︒. 青年時代には容認された行動でも︑中年期に行うことは好ましくな. 後輩﹂関係である︒この﹁先輩・後輩﹂閑係は﹁同期の桜﹂閑係とは 裏腹の閑係である︒つまリ︑先輩・後輩関係というのは︑形を変えた. いと思われていることもけっこう存在する︒派手な服装︑軽々しい言. 動︑自曲な感情の表出. 世代間関係であると捉えることができるのではないだろうか︒事実︑. 先輩・後輩関係のなかには︑兄弟関係に同定しうるような比較的年齢. は若い人々の特権なのである︒. ⁝等々︒こういった行動が白曲に行えるの. 差の小さな関係と親子関係と類似した比較的年齢差の大きな関係の二. わが国の組織経営においては年齢に基づくひとびとの評定が大きな. タイプとはどのようなものであろうか︒老年学においてはかなn・しぱ. の人格が形成されるとする考えが根強いように思われる︒その人格の. このようにわが国においては︑年齢を加えることによって︑ある種. ウエイトを占めていることに関しては︑たとえばドーアは﹁会社内で. しば使川されている︑高齢者の生活満足度を測定するLSI︵巨①窒け−. 種類が指摘できる︒. も地位も仕事で実級をあげることによって手に入れねぱならない︒た. 一ω守g昌一邑婁一という尺度が存在する︒この尺度を作るときに. 2①長胃8貝︸彗河巨易け一曽o↓oげヲ︵H㊤呂︶は︑︵A︶物事に対して. だし︑この場合︑年齢という帰属性の要素が一役を演じるが︑ある地 位につくにはある年齢を越えていなけれぱならない︵同じことは向向社. 興味をかんじていること︵S3︑︵B︶決断力や忍耐力を有すること. ^︷o﹃津巨①︶︑︵C︶望んだ目標と現実に達成しえた目標との間の隔た. でもいえるが︑それほど定式化されておらず︑許容範囲も大き ⁝﹂θO﹃①L署ω.翻訳︑ω8ぺージ︶という観察結果を展閑. リ︑︵o昌口q昌g8げg婁①竃宗ω一﹃&国目庄胃巨雲&σqo巴ω︶が小さいこ. い︶︒. している︒こういったことからも︑わが国の組織では︑その成員を統. と︑︵D︶肯定的自己観︵需罵o昌8貝︶︑︵E︶楽観的な心理︵ヨoa8烏︶. を有すること︑という4つの条件を充していることがモラールの商い. 括するうえで成員の年齢を重視せざるをえないのである︒. さらに︑組織のなかでも行動様式ぱかリではなく︑より一般的な日. 高齢者であると想定した︒. この4つの商齢者イメージは︑当時のアメリカ社会のなかで抱かれ. 常行動に閑しても︑わが国では年齢との閑わリを強調する表現に班欠 かない︒まずわれわれは︑年齢段階に応じた行動様式があるとのだと. ていた一般的な高齢者への認識様式を反映したものであると思われる︒. 七七. いう認識を強く有している︒われわれはよく﹁とし柵応に振舞う﹂べ 年齢と 社 全 構 造.
(6) として定着していたように思われるのである︒つまリ︑巾年期をその. ると︑とにかく活動灼である︵碧享①︶ことが望ましい商齢者イメージ. これら4つの条作の詳細な説閉として彼らが述べていることを兄てみ. 面ではない︑家族の成貝を慈愛で束ねていくという側面︶が見えてく. という集団のなかに掘えたとき︑家長の反而︵権力の掌握者という側. ージが得られるのではなかろうか︒そしてこういったイメージを家族. の表情にもあるような︑温やかな人格がすべてを包み込むようなイメ. 七八. まま維持し統けている商齢者こそ望ましいという考え方である︒活動. るのではないだろうか︒. 人間関係を形成していく際にしぱしば兄られる﹁パターナリズム﹂. すなわち︑本稿では︑日本社全における年齢構造に関してはさらに︑. 理論と離脱理論との㎜の論箏が︑巾年期をなるぺく長く継続すること を生活適応の条件と考える連統理論︵8ま⁝ξ艘①oq︶によって一 応の決着をえたということも︑その奥付けとなるであろう︒. ︵寝8;きω昌︶の存在に着目したいのである︒日米の勤労者の意識調. 査を通して2つの社全の労働問題を扱った=篶〇一コ彗庄宍竺σ艘σq. 以上の高齢者イメージを日本にも適用することはあながち誤った手 統きだとはm心わないが︑わが国の高齢者にはいまひとつ別のイメージ. ︵畠o.o︶は︑わが国の企菜運営の方式のなかに現れるパターナリズム. について次のような振摘を行っている︒﹁. 形成のメカニズムが存在するように思われるのである︒それは︑より 日本社会の歴史的文脈のなかで育まれてきたメカニズムであリ︑した. ズムは︑雁用契約が単なる市場交換の城を越えて被腿用者と企業との. ⁝したがってパターナリ. がってわが国の伝統的な祉全の構造分化の様式に深く関わっているの. 閉のより広い範囲に及ぷ互恵的な権利と義務をも含むものであるとい. さらに︑いまひとり︑日本研究のオウソリティーの論述に着目すれ. う︒﹂一雪さ︶. の互酬関係という︑パターナリズムの有する3つの側而に注目しよ. 係でのパターナリズム^豊肩;尿o︷寝8∋彗ω昌︶︑企業と労働者の間. う考え方に閑わっている︒われわれは︑企業家族主義︑上役−部下閑. である︒. 3 イエ祉会とパターナリズム. z①奏害けg達が想定した^好ましい︶老人イメージに対応するわが. 国の伝統の老人イメージを求めるとするならぱ︑ひとつには︑それは. か︒語のもともとの意味からすれぱ︑それらは単に蝪性の老人︵そし. 充分に論議したところの能力︵8∋og窒8︶と権力を有するひとの普. めに発展された2つの条件が存在することをわたしは述ぺた︒すでに. ぱ︑ドーアは次のように桁摘している︒﹁権威者の正当性を受容するた. て︑女性の老人︶を指す言葉であったのであろうが︑今日の目からそ. 意^遷o巳暮g9昌︶を信じるこころ︑すなわち蝋純に権力者は利己灼. ﹁翁﹂︵そして︑﹁概﹂︶という言葉が醸し出すイメージではなかろう. れらの言葉の現すイメージを求めると︑翁面︵そして︑蝸面︶の能而.
(7) これら2つの条件のなかで︑ 従属者の福祉に気を配る・ということ. であるといってよいのではないかとm心われるのである︒以上のように. いう支配の形態が︑家族集団の外側へまでも一般化した関係性の形態. まれてくる心理作用であることは大方の認めることである︒つまリわ. は︑英国の場合には︑日本におけるほど効力をあげることはできない︒. 考えてくるとわが国のパターナリズムが生まれてくる母胎としては︑. ではなく︑従属者の福祉あるいは権カ者とその従属者がともに属する. その条件はパターナリズムの臭いがするのだ︒パターナリズムは︑平. 伝統的な﹁イエ﹂制度を想定することができるだろう︒つまリ︑慈悲. が国のパターナリズムは︑廿えの心理を基盤に据えた家父長的支配と. 等主義的な英国では︑そう振舞っていると論難されたくないのであリ︑. 深い折導者のイメージを形成する上で用いられたのが﹁家族^イエ︶﹂. 組織全体の福祉に気を配っているという信念である︒. またそれを受ける立場に立つことはわが身をおとしめたような感じに. の父槻︵家長・族長︶という指導者のイメージであった︒. 他の一面では支配・被支配の閑係でもある︒バターナリズムという関. 親子閑係は一面においてピエテートの閑係︵廿えの閑係︶であるが︑. なるのである︒^英国人は依然として次のように言ってるように思われ る︒﹃︿よい将校は部下の面倒を兇る﹀﹄がしかし﹃︿よい将校は部下の 父親のようなものだろうか?V﹄と︒︶﹂θO﹃9畠O︒べ︑勺.Hミ︶. 一面があるのである︒神島^岩2年︶は︑わが国の明治以来の近代化. 係性の価値基準のなかには︑包み込む慈悲の一面と冷徹な統制主義の. は︑父親と家族員との閉の閑係へと拡大してもよいだろう︒ところで︑. ︵一面では欧米の文物を櫛極的に輸入し欧米に追いつき追い越せとす. パターナリズムの原型は父親と子どもとの閉の閑係である︒さらに. こういった家族のなかでの父糊は慈悲深い顔ぱかりではなく︑家族の. る欧米化であリながら︑反面旧来の封控遣徳を国家主義的に改編した. 的工ートスと一般庶民が持っていた自然村的秋序感覚という2つの国. 成員を支配する家長としての顔︵支配者としての顔︶を持っていた︒. ︵考gp岩畠︶とも通じるものである︒. 民常識が存在したと考える︒後に述べるようにヴィクトリア時代の英. 倫理で社全を統合化していこうとする日本主義でもあった︑相矛盾す. このピェテートに関しては︑大塚久雄が土居健郎の展開した﹁廿え﹂. 国におけるパターナリズムが︑その思想の源泉としては︑広大な土地. パターナリズムの成立は︑一面では支配閑係が存在することを条件と. の感情と極めて近い性質のものであることを述べているが^大塚・川. を所有していた地方の貴族とその領民との間の関係を律するうえでの. る2つの流れからなる︶を支えた背姑には︑支配層の理想とした武士. 島.土居︑畠ぎ年︶︑このことは︑われわれの議論にとって大変興味深. 倫理的価値であったように︑わが国においても封建領主としてのサム. しているのであリ︑それは﹁ピエテートに裏打ちされた家父長的支配﹂. いことである︒すなわち︑廿えという言葉が日本語独特の言い回しで. ライとその領民の閉の閑係性を律するうえでの武士的工ートスに起源. 七九. あるのか否かは別としても︑それがわが国の家族閑係のあリ方から生 年齢と社 全 構 造.
(8) 八O. では︑人員の補給の仕方が㎜題なのであリ︑ある閉じられた集団のな. をそのまま受げ継いでいる側面が見られるのではないだろうか︒そこ. 神島は︑庶民の抱いた自然村的秩序という意識を構成する原理は︑. かで年齢構成を変化させるような横からの補充は嫌われるのである. を持っている側面も兄いだせるであろう︒. ^1︶神遭主義^シントーイズム︶︑︵2︶長老主義︵ジェロントクラ. れぱ若いものも支配層のなかに組み入れられて行くわけであリ︑横か. ^企業の人員採用の仕方を想定せよ!︶︒つまリ︑時間が経過しさえす. ズム︶︑︵5︶自給自足主義︵トータル・オーターキー︶という5つの. らの新人の参入はこういった秩序を乱す侵入と兄られるわけである. シー︶︑︵3︶家族主義^ファミリズム︶︑^4︶身分主義︵フユーダリ. 原理に帰着できるという︒ここでわれわれは︑第二の原理としてあげ. であリ︑これら指導者のグループは︑いうまでもなく︑その社全の正. 序原理であリ︑これはその社全における年とった世代が支配すること. ﹁長老主義は︑これ^神道主義−和田︶とおなじく︑古くからの秩. いう︑タテ社全︶︒つまリ︑わが国のパターナリズムは年齢に依拠する. ラルヒー構造に依拠した行動様式が生まれることになる︵巾根千枝の. にした上で︑その集団へ所属しているという事実と集団内部でのヒエ. このように自然村的秩序意識からは︑自らの所属集団の境界を鮮明. ︵企業の年功制を想定せよ!︶︒. 式の構成員にかぎられる︒知識と実証との蓄械がもっぱら記憶と体験. 社全の秩序維持原理のひとつの現れであると解釈することもできので. られ て い る 長 老 主 義 に 着 目 し た い と 思 う ︒. に依存する社全では︑年齢の高さは︑それだけそれらの蓄械の豊當さ. ある︒. 能者とはいえないであろう︒しかしこの体系のもとでは︑ひとは︑は. げられていることは周知の班柄であリ︑ここで改めて触れる必要もな. 日本的な企業組織の経営に関してはこれまでも優れた研究成果があ. 組織運営とパターナリズム. じめ被支配者の立場におかれても︑待ってさえおれば︑やがて支配者. いし︑また本稿の筆者にはその力量はない︒ただ︑極めて不完全では. 4. を示すものだから︑年長者は同時に有能者である︒社会が﹁閉じた社 全﹂で︑外から正式の構成員を補給されることがなけれぱ︑支配者は. 最年長者であリうるが︑正式の構成員が外から補給される場合は︑支. になりあがることができる︒その意味で︑服従は支配と循環し補完さ. あるものの︑本稿のテーマである年例規範が具体的に組織の形態とし. 配者はかならずしも最年長者ではあリえず︑また︑かならずしも最有. れるから︑長老主義のもとでは︑かえって若い世代のなかに根強い保. て結実した例として﹁福祉的企業集団主義﹂︵ξ①罵胃①8︷O蟹募昌︶. ^爵−畠ぺージ︶わが国の生活感覚のなかにす. 守意識が見出される︒﹂. には触れておいたほうがよいだろう︒. ^5−. くっているパターナリズムの価値感党には︑この長老主義の秩序原理.
(9) 社の間にみられる柵連はかなリの一貫性を保持しており︑それらを異. あるが︑そのなかでドーアは次のように述べている︒﹁:・日立と向向. ドーアの行った日本とイギリスの㎜の工場経営の比較研究は著名で. っと業繍の高い労働者だけを求め︑労働者はもっとも商額に支払う雇. の兄地からすれぱ帰属原理への逸脱である︒業繍原理では︑雇主はも. もあろう︒こういうことはすべて︑業繍原理︵胃巨2①昌①算肩まO亘①ω︶. 自分の親族だからとか宗教が同じだからということで︑人を雇う場合. 用者だけを求めると考えられている︒. なった二つの雇用システムと呼んでもおかしくはない︒終身雇州︑実 繍を加昧した年功賃金システム︑企業内でのキャリアー︑企業による. える︒雇主は被雇胴者の﹁面倒を兄る﹂が︑被雇州者の側ではこれに. ︵2︶雇州閑係は︵たとえぱ労働と貨幣の交換のごとくに︶限定化. なイギリスの諦特微についても同じことがいえるであろう︒たとえぱ︑. 対して全而的な忠誠をもって報いる︒これは︑場合によっては︑雇主. 研修︑企業内組合︑企業福祉の充実︑企業意識の酒養︑などはすべて. 転職がかなリ多いこと︑市場を基盤とした賃金・條給システム︑他枠. の指示通リに投票したり︑家庭内の雑事をやるようなところまでいく︒. ^名8曇o︶しておらず無限定的︵2津易o︶であリ︑全人的な影響を与. 的ではなく自立的・流動的なキャリアーコース︑公共機閑による職葉. ^3︶雇用閑係は普遍原理︵昌才雪竃一一邑ooユ弓一わε︑つまリ約束は. 同系統の理象であリ︑お互いにうまく噛み合っている︒そ札と対象的. 訓練︑産業別あるいは職能別組合︑社全保陣の拡充︑専門的・職能的・. 忠実に守るべきであるとか︑契約上定められた義務は遂行すべきであ. 生活費は自分で稼ぐべきである︑というような原理に立脚してはいな. 地域別的ないし階級的惹識がよリ強固であることなどがそうである︒﹂. 以上のようにイギリスの工場経當と日本のそれとの閉に存在する和. い︒承認されている唯一の義務は個別的^寝〜εすユ邑o︶なものであ. るとか︑自己の利益を最大化するよう努力すべきであるとか︑自己の. 連点を確認したうえでドーアは︑それらの和違点が生まれる背景にパ. って︑つまリ︑雇主もしくは上司への忠誠の義務と白己に忠誠を尽く. θo員H署ω.翻訳︑N竃ぺージ︶. ターナリズムが預かっているか否かを問題にする︒ドーアはホーゼリ. す者を庇護する義務である︒. ^4︶両者の閑係は感情的︵良︷8巨き︶であって︑感情中立的. ッツが推示した︑パターナリズムを規定するための4つの基準にした. がって日立のシステムがパターナリズムといえるものであるか否かを. ^黒ぼo巨き亨目ε言巴︶ではない︒雇主と従業員の脚には単に市場での. きがある︒︵Uo員畠轟.翻訳︑N湯〜S㊤ぺージ︶. 八一. 非人格的な貨幣的つながリだけではなく︑血のかよった人間的結ぴつ. 検討している︒4つの基準とは次のごとくである︒ ^1︶帰属的諾特微^易ρ旨&g胃碧冨ユg一8︶︵親放︑カースト︑世 エエテイト. 襲的﹁身分﹂︶が雇用閑係に影響を与えている︒雇主は︑世襲的地位が. よリ優れていることを自己の権威のよりどころにする場合もあるし︑ 年齢と社全構造.
(10) 八二. まず第一の条件である個人の帰属的性質が大きなウエイトを占めると. をパターナリズムと断定してよいかどうか検討しているのであるが︑. よリ大きな精力を企業組織内での活動に費やしているのである︒とい. 部分を企業組織に捧げている︒白らの家族へ向ける意識と労力よリも. あろう︒全世界で胴知のことく︑わが国の勤労者はその生活の大きな. で械極的に採凧され︑かつ有効に機能している理曲を説明することで. いう性質に閑してであるが︑たとえぱ︵極く少ない例外を別にすれぱ︶. うことは︑わが国の企業が㎜いている労務管理の戦略は成功している. この4つの基準それぞれに照らして︑ドーアは日立の経営システム. 従業貝採州には縁故や世襲が幅をきかすことはまずないということか. ということの証でもあるわけである︒つまリ︑日本の企業の経営方法. は日本人の価位意識の琴線に触れうる資質を保有しているということ. らしても︑パターナリズムではない︑という︒第二の条件に関しては ⁝職長や班長が病気の従業員を訪問したり︑仲人をやったリす. でもある︒このこともまた︑わが国祉全の構造が持つ伝統的側面のひ. ﹁. るのは︑小さな職場仲閉の閑係にのっとた個人的家父長主義^パター. とつである年齢構造に︑本稿が敢えて拘る所以なのである︒. ︵パターナリズムの比較歴史的研究へ向けて︶. 文化灼棚対論と収飲理論. ナリズムの訳語として使㎜されている1和田︶という昔ながらの形が 直按現代へと引きつがれたもの﹂︵翻訳︑ωOHぺージ︶であり︑こうい. った形でのパターナリズムは観察されるが︑大企業では巾小企業に比. ぺてパターナリズムの入リ込む余地は少ないと断じている︒さらに第. ヨ彗鍔①ユ巴寝冨∋竺ω∋という言葉をも否定した上で︶﹁福祉国家制. ターナリズムと解釈するのではなく︑ドーアは︵﹁経営的家父長主義﹂. 日本の企業紐織を運営する方法のなかに現れている日本的特徴をパ. いして消極的な立場をとっている︒. 価位理念として家族主義であるとかパターナリズムをとリあげてきた. れまでに述べてきた世代間閑係を基軸とするような社会構造を支える. それぞれの文化・社全の間で微妙な差異が観察される︒たとえぱ︑こ. その構造化が具体的にどのような形態で表われているかについては︑. 響を及ぽす要因であることはすぺての社全に共通の事象ではあっても︑. 以上検討してきたように︑年齢は社全の構造化にたいして大きな影. 度﹂〜賢胃①9きω冒︶という類比から導かれた﹁福祉企菜集団主義﹂. のであるが︑こういったわが国社全の秩庁形成原理が近代化に取リ残. 三︑第四の条件に閑してもドーアの結論はパターナリズムの働きにた. ︵奉①旨弩①8︷o轟豪冒︶という表現を採凧している︵翻訳︑ω8ぺー. の事柄であるのか︑あるいはわが国文化に固有の原理であって日本文. されたいわゆる﹁封建遺制﹂であって︑いずれは消滅してしまう性質. しかし仮にわが国の大企業が州いている経営戦略が禍祉的企業集団. 化の個性として生き残っていくのか︑ということが問題になってくる︒. ジ︶︒. 主義と呼ぱれるものであっても︑問題はそのような戦略が日本の社全.
(11) うが︑豊かな社全に特微的な価伍の佃人主義化︵ぎ2く己畠=墨饒昌︶や. えないように︑それぞれの社全のなにがしかの特性は生き残るであろ. 去る運命にあるのだろうか︒個人の個性はどのような時代にも否定し. たかつてのわが国の社全の構造化を規定してきた伝統的な要囚は消え. な高度経済成長を達成し︑世界布数の工菜国になった現在︑こういっ. かつてわが国が目標とした欧米のどの国も成しえなかったような急速. うと努めてきた︒Lθo員岩お.翻訳︑ω昌ぺージ︶. ともに高めるとともに︑賃金外給付の運営に閑する発言権を確保しよ. 素を補強し︑そのことによって経営者から引き出す賃金外給付を質且盟. しまった︒これに対して日立では︑組合は交渉の中で﹁無限定的﹂要. 金労働者を手なずける手段となっている︑としてその働きを破壊して. 期の家父長主義的様式は雇用関係を無限定化させることによって低賃. は労働力の市場価格という限定的な交渉項目に関与していたので︑初. かつて英国でもパターナリズムが代表的な秩序形成の価値基準であ. 個別化︵召才き畠ユ昌︶の波がわが国にも打ち寄せていることを兄ると. き︑近代社全の大枠はひとつのパタンヘと収赦していくようにも思わ. ーナリズムと呼んだ社会的特性︵ωo庁巴o鼻一〇〇5ほど根強い社全的基. ったという︒﹁ヴィクトリア時代初期の英国では20世紀の歴史家がパタ. こういったテーマについては︑わが国と他の社会とを比較検討しな. 盤を持ち︑広い祉全的支持を得たものはなかった︒それは︑地主︑実. れる︒. けれぱならないことは周知の班実である︒本稿の筆者はいま︑英国の. 業家︑聖職者︑政治家︵ヨ①昌悪易o︷勺胃憲昌①巨︶︑治安判事︑公務. 者︑職人︑そして清貧に廿んじるひとぴと^9①老oユ耳ooo﹃︶の示し. 社会との㎜でこの比較研究を逃行中である︒そこでここでは︑その比. 先に兄たように︑ドーアはわが国にパターナリズムが機能している. た特性でもあった︒パターナリズムは︑社全のすべての水準での社会. 員︑新閉編集者︑小説家︑詩人︑そして大学の学部長が所有していた. 現実を認めながらも︑大企菜の経営戦脇はパターナリズムの原理では. 的態度の情報を与えてくれているし︑またそれ自身無数の形態で現れ. 較研究の際の基本となる視点について︑これまでの議論を踏まえて検. なく福祉的企業集団主義とでも呼ぴうるような経鴬施策であると主張. ていたのである︒パターナリズムは︑出現範囲が広くかつ一般灼であ. 祉全灼特性である︒それはまた︑服従するものの常として︑農業労働. している︒つまリ︑ドーアは日本の企業経営は︑彼の言う後発効果の. ったと同じように暖昧であり変化に寓んでいた社全的特性であった︒﹂. 討 しておこう︒. 影響で︑先逃国である英国よリもよリ逃んだ経営雌脇を採州している. ︵宛〇一︺①ユ9H①べ㊤.甲−︶. ロバーツの述べるところによれぱ︑かくのことく初期ヴィクトリア. と主張しているのである︒英国と日木では歴史灼に歩んできた方向が ことなっているのである︒﹁19世紀イギリスにみられた労働組合の発展. 時代の極めて多くの社会生活の場而でパターナリズムは観察できたこ. 八三. は︑初期の家父長主義的様式の解体を促進する一要囚であった︒組含 年 齢 と社全概造.
(12) 八四. 全の枠紐みに閑わるパターナリズムの基本灼な考え方^σ邑o. は3つの側而が考慮されなけれぱならないという︒すなわち︵1︶社. 検討してみよう︒まず︑パターナリストの社会特性を規定するために. のような価仇原理を指すのであろうか︒ロバーツの著述を手がかりに. 神的な指導は当然なこととして指摘できるであろう︒援助はまずは︑. 核となっている︒パターナリズムは聖職者の価値基準でもあるから精. る︒指導という班柄のなかには遭徳的な指導︵ωξ①ユ巨①邑彗8︶が巾. の寓と権力から導かれるが︑それと同時に被統治者の保護をも意昧す. 義務がパターナリズムに指摘される︒パターナリストの統治能力はそ. ^;;σq︶﹁指導する﹂︵管曇畠︶﹁援助する﹂一訂亘長︶という3つの. 蕩窒冒呂o冨︶︑︵2︶當者・特権者・権力者の義務に関わるパターナリ. 救貧であリ︑医療や福祉施策の供給である︒. とになる︒それでは︑英国社会でいわれているパターナリズムとはど. ズムの教義︵ま9﹃ε︑^3︶パターナリズムに関連する社全特性︑の. が存在する必要があるという︒たとえぱ︑パターナリストは新しい思. そして最後に︑パターナリズムを周辺から支える支配的な時代思潮. まず︑第一の側而では︑すぺてのヴィクトリア朝のパターナリスト. 潮を械極的に受け入れる革新的姿勢を示すよリは︑守旧的であリ︑常. 3つである︒. は社全の仕組みに閑して︑︵1︶権威主義的でなければならない︑︵2︶. って社全閉題の解決を図るのではなく︑ひとぴとの価値意識や考え方. に古い時代を懐かしむ傾向があったという︒さらに︑制度の変革によ. 多面的︵o巨s=邑o︶でなければならない︑という考えを有していた︒. へ直接働きかけるといった精神主義に傾くことが一般的であるという︒. 階統的でなけれぱならない︑︵3︶有機的でなけれぱならない︑︵4︶. パターナリズムは父子関係を原型としている価位意識であるから︑そ. 英国における︑以上のようなパターナリズムはその起源を巾世的な. こういった精神主義は︑社全の統治手段として道徳律を重視し︑経済. 作った階統社全の存在︑必要性︑■有効性を信じているという︒さらに︑. 社会構造ならぴに封建制的な社全構造のなかに有しているのであるが︑. して父親の立場が﹁統治﹂ということとほとんど同義であるから︑権. パターナリストは伝統的な人閉関係の絆に裏打ちされ︑すべての部分. ヴィクトリア時代にピークを迎え︑徐々に衰退に向かうのである︒先. 取引をも含むすべての人閉関係を倫理的視点から割リ切ってしまう︒. がしかるべき立場を守っている国家を理想としている︒最後に︑有機. に引胴したドーアの論述のなかにも兄えるように︑今日の英国では個. 威主義の崇拝は当然であるという︒さらに︑パターナリストは︑神が. 的な社全はさまざまな部分が織リ成す社金であることを認める意識と. 人主義︵ま庄く己;豪昌︶が優位な地位を占めているので︑パターナリ. 第二の義務意識では︑﹁財産は権利と同時に義務をも生み出す﹂とい. こうなった背景には19−20世紀英国における工業化の波が大きな影響. ズムは最早社全関係を律する価侃基準とはなっていないのであるが︑. ^〒︺. 共通する︒. う標語がパターナリストの閉で通念となっていたという︒﹁統治する﹂.
(13) を与えているようである︒そこでは︑自曲な経済活動︵宇8竃8︷ま①︶. というイデオロギーがパターナリズムに取ってかわったのである︒自. 曲契約一オ88巨冨gという思想が優勢になったのである︒ 今日の日本は︑高度の経済生産力を誇る経済構造を有しながらも︑ 伝統的な^﹁ユニークな﹂とも言われる︶部族社金的な人間関係様式を. 温存していることはしぱしぱ指摘されているが︑わが国の祉全の構造. こういったからといって︑現在わが国の高齢者の多くが︑不遇をかこつ日常. を得て行なわれた研究の一部である︒記して︑感謝致します︒. 変動と高齢者の社全的位置づけに閑する思想史的研究﹂の援助. 本稿は︑一九九〇年度早稲田大学特定課題研究﹁わが国の社全. 的特性を比較社全・文化的に明らかにしていくことを今後の課題とし たい︒. 追記. 注 ^1︶. 生活を余儀なくされているというわけではない︒たとえぱ︑荷原眞理子^H竃↓︶. は次のように述べている︒﹁高齢老というと︑収入が少なく貧しいというイメー. ジが強いが︑近頃それは急速に変わリつつある︒高齢者世帯^捌65歳以上︑女. ;口でいえぱストックは平均よ1︺は多く︑フローはやや平. 60歳以上の者のみで糀成するか︑またはこれらに18歳未満の者が加わった世 帯︶の経済状況は︑. 均よリは劣っている︒ ﹂ ︵ 崖 ム ペ ー ジ ︶. 年齢を唯一の判断雄準としてひとぴとを評価するような祉全制度は業絨主義 という価他理念に脳らしてみれぱ閉魎を含んでいるということであリ︑高齢者 が不当に差別されている存在であるか否かはさしあたっては出面の問魎閑心. 年齢と社全構造. に含まれてはいない︒. 和田^畠8年︶の論文のなかで︑アメリカと比較した場合に︑わが国では商. 齢者による権利拡大運動はきわめて希少であることについて触れておいた︒な. ^2︶. たとえぱ︑﹁結婚適齢﹂という観念に閑しては︑かなリ大きな変化を兄て取る. お︑そこにあげた文献をも参照されたい︒ ^3︶. この4つの条件は︑和㎜ρ竃−年︶︑22ぺージからの引州であるが︑訳語を若. ことができるだろう︒ ^4︶. この箇所へ付された注のなかで︑神嶋は﹁若いうちは︑青年の意気をもって. 干変えて引州している︒ ^5︶. 人﹂になってそういう運動にいつまでもかかずらっているようではいけない︑. 革新迎動に挺身するぐらいでなけれぱ駄目だが︑年をとリ経験をつんだら︑﹁大. というような教え︵〜︶がよく説かれた︒﹂と記しているが︑これなども先に指. 摘したわが国の年齢規範的意識の現れとしての教説であるといえよう︒. ヴィクトリア時代に家父長制一寝巨害く︶的制度が︑祉全の構造次元で︑そ. 巾根千枝^岩雪年︶︒. 吻ミoミ事ミ§県富§. 竃. の価位次元で重視されたのは︑16−17世紀の家父長制の再評価であった︑とい. ぐ砺§き§ミ§§︑き. う主張もある^oo↓昌p岩ミ︑を参照︶︒. ミ︶ξぎき︸︑§ミミ完. 肪︑おoo司年︶. ミ. §き︹ざミ§︑ミ§8雨きミoミ§雨o爵. 婁ミ. §鼻C三く①邑ξo︷Oo⁝o;討軍鶉眈^山之. 八五. 内端・永易浩一訳﹃イギリスの工場・日本の工場一労使閑係の比較社全学L筑摩書. きざミ︑b. ﹈︺o﹃p内o冨δ︑.一岩轟−氏ミ. よリ畠ε年︶︑長谷川松治訳﹃定訳菊と刀﹄現代教養文庫︑祉全思想祉︑畠竃年. ○ミミミ.Oぎ二〇彗向.↓冒巨oOo昌寝ξ一↓o禾さ^初出は︑=〇一﹄庁q巨昌一雲薫=目Oo.. ︸雪o2g肉暮Fε蟹.ミー雨o. 文献. 76.
(14) −︺o﹃①i. 肉o目凹−o. 勺.. −岨o〇一.. §沖︸嵩崎ミ亀曽. O. 黒コ.o−含㌻一... §ミ︑O︑§一. −①H. ㌧. −ωムーH︷ω. 9慧^︹. 昌︑. き喜軸h. ︑. 竜. oミ. H蜆oo−−oooo.. ︑>町q①饅コ〇一ゴ①−罵①. 4↓=①﹃コ而凹ω目﹃而﹃コΦコ一〇︷. ㎜.一社全の原理﹄講談社現代新北.H︑講談社︑岩雪. ︸ミ肉ミ的ざミ︑. ト軸亀︑ 嵩崎専o嵩o︑嵩︑︹>−︸︑巾吻■一﹁ゴo>一す−o目o勺﹃①㎝㎝一﹈﹁o自ooコ. ω§萬ミ︑↑ざ⁝.曇. 神島二郎 ﹃近代口本の柵神概造﹂山︑仙波班︑H店︑岩2年. ωRoコ而﹈﹁四一く﹃o目︹oi −㊤↓︑. §籟き§︑㌻. ﹃ タ テ 社 全 の 人閉閑係. >一︺﹃−o胴Φ﹄向o−↓−oコ. H岨司↓. 勺﹃自σq自−コ団oo片ω−ド↓o.. 巾根千枝. O︐. −.−−印く︸胴ブ目﹃㎝戸凹目﹂ω.ω.一﹁oσ−=一 −o①一.. ︑>帽o. ω一﹃凹一凹. −コ. き︑. ミー昌︑︑︸§. ⁝.曽 専喜. ω︸ω一〇ヨコ眈.... −コ. 宛oσ①﹃一. カ■一閑而﹃眈. ⊂目甘−. ︑き軸ω︹︸〜曽︹o防.<凹目. 向ミ内ざ曽︑.. o︑㌧帽︸ミ的亀暑︑. ωoo︸凹−. ︐﹁廿え﹂と社全科学﹄弘文堂︑Ho豪年. §ミ︑ ミωミ︑ミ吻竈.ミミε く四コZo9轟コo完①︐=o50oヨo国コきZoξくo†片. −o↓①.. − ㊤ 一㊤■. ミ︹︑oミ.亀s. ωブー剋コ剋ω︵o﹂㎝.︺i︸ぎミ︑︸ooや. 一くブ﹂R〇一. 大塚久雄・川蝸武宣・土 居 鍵 郎. 刃=o く 一 ン ー 国 巨 − α 凹. ︸︸=ω片o︹斤 国自o向一7o−. ︼︺四く−o.. ZoωR凹目匝カ9コブo−000コ一〇国コきZ而奉<O﹃斥. 刃oσ①﹃一ω. く①﹃ω︸□く勺﹃①ωω−zo≠︑︸﹃巨コ㎝ く⁝o斤一zωξ−而﹁ω①︸. H−.. O〇一﹄冨o︑ヲ勾oσ①昌=−匝︐9oo斥団コo両叶ブ9ωプ凹目凹ω^ooω.︶一きミ︑吐oo沖県㌧畑︸︸︸内. Z2﹄胴凹﹃8P団①﹃目斥o﹇−胆目oΩ目コ三50.=螂帽①ω冨〇一冨↓①. =︷① ω 印 一 甘 ㎝ ︸ 凹 〇 一 ﹂ O 目 ■ . . 旨 ミ ミ ︸ 亀 ︑. z而自胴凹﹃↓o目i団.﹈﹁.. 年. 菅原真理子︑﹃新家族の時代﹄小公新光︑H︑巾央公弘﹂珊祉︑−竃↓年. 八⊥ハ. 和⁝⁝修一︑﹁﹃人生満足度尺度﹄の分析﹂﹃祉全老年学﹄14口一刀︑21−35ぺージ︑−竃H年. ミ︑. oo吻軸︑汀昏亀■. ︵⁝ミ︷ミ︑ミ.吻︸. け一﹂﹃祉全学年誌﹄第31n一巧︑1−18ぺージ︑冨9年. 一ミ.δミ. ︑雨︑. ︑軸;. 軸き. ミき冨. 和田修一︑﹁>o雪zoイメージ研究庁説ーわが国の近代化と高齢老の社全的位置づ. Hoo㎝①.. く−o﹃一〇一コ①oすo﹃凹巨眈胴o胴①一U而目^⁝>冒︷−剋囚o1一︺而mo﹃因斤くoコ﹄oブ芭ココ而m婁−コo−︷o−−. ンー︸嵩一 o︑橿︸. 孝①げ①﹃− ωo〜. ヨ彗目.宍若ま=×・ωoN一〇一〇包o宗二庁;㎝訂p一世良晃志郎訳﹃支配の社全︷︐†﹄創. 文社︑岩8年︶.
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