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溶射手法と皮膜厚の違いに着目した耐久性比較試験 長崎大学大学院

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Academic year: 2022

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(1)I‑005. 土木学会西部支部研究発表会 (2015.3). 溶射手法と皮膜厚の違いに着目した耐久性比較試験 長崎大学大学院. 正 会 員. 中村聖三. 長崎大学大学院 学生会員 ○原田宗育. フジエンジニアリング. 正 会 員. 村山康雄. 長崎大学大学院 正 会 員. 長崎大学大学院. 正 会 員. 西川貴文. 奥松俊博. 1.はじめに 現在,鋼橋の防食には,最も一般的に塗装が用いられており,そのほかに溶融亜鉛メッキ,金属溶射など が用いられている.しかし,塗装は塗膜自体が経年劣化し,10 年程度での塗り替えが必要となるため,近年 では,高い防食性を持つ金属溶射などを用いる事例も増 加している.しかし,金属溶射など比較的最近普及して きた防食方法は,その防食性能に及ぼす各種条件の影響 が十分解明されているとは言い難い.そこで,本研究で は金属溶射の溶射手法と皮膜厚の違いに着目した耐久性 比較試験として,複合サイクル試験機による腐食促進試 験を行い,その結果に基づいて各溶射仕様の防食性能を. 図-1 サイクル D の条件. 評価した.. 表-1 平板試験体の使用. 2.試験概要. 溶射手法. 溶射材料. 皮膜厚さ (μm). 2.1 促進試験条件. 50-60. 本研究で用いた促進試験条件は,JIS K5600 に規定され. Zn-Al. ているサイクル D1)である.このサイクルは図-1 に示す. 100-110 200-210. ガスフレーム. 50-60. ように 5%濃度の塩化ナトリウム水溶液の噴霧,95%の Al-Mg. 湿潤,および温度が異なる二種類の乾燥サイクルからな る.試験期間は 6000 時間(1000 サイクル)とし,1000. 50-60. 時間毎(約 167 サイクル)に外観の写真撮影を行い,現. アーク. Al-Mg. 50-60. プラズマ. 中である.. Al-Mg. アーク. 2.2 金属溶射仕様 本研究で用いた試験体は平板にガスフレーム・アー. 的には Al-Mg 合金を使用し、ガスフレーム溶射のみ Al-Mg と Zn-Al 合金の 2 通りの溶射材料で比較した(表 -1) .. 100-110 200-210. 4 腐食レベル. 100μm・200μm の皮膜厚さで溶射した.溶射金属は基本. 100-110 200-210. 在までに 3000 時間(500 サイクル)の試験が終了し継続. ク・プラズマアークの 3 種類の溶射手法を用い,50μm・. 100-110 200-210. 3 2 1 0. 0. 3.試験結果. 1000. 2000. 3000. 経過時間(h). 3.1 外観観察結果 ガスフレーム溶射を除く溶射手法・皮膜厚さ別に 1000. ガスフレーム. 青. 50μm. ○. 時間毎の外観評価結果を図-2 に,ガスフレーム溶射の溶. アーク. 赤. 100μm. □. 射材料別に 1000 時間ごとの外観評点結果を図-3 に,溶. プラズマアーク. 緑. 200μm. △. 射試験体の外観写真の皮膜厚 50μm 代表として図-4 に示 す.複合サイクル試験における外観状況は,アルミニウ ム系の劣化モデル 2)に従って腐食レベルを評価した.腐 ‑9‑. 図-2 溶射方法別の外観評価.

(2) I‑005. 土木学会西部支部研究発表会 (2015.3). 食レベルが高いほど,腐食がより進行していることを意味 4. 皮膜厚さ 50μm のものが 1000 時間後に腐食レベルが2とな. 3. り,2000 時間後には4および3に達したことがわかる.プ ラズマアーク溶射の皮膜厚さ 50μm のものは 1000 時間後に 腐食レベルが1に達し,2000 時間後には2になった.皮膜. 腐食レベル. する.図-2 および 3 からガスフレーム溶射・アーク溶射の. 厚が 200μm のものは,溶射方法による腐食レベルの変化は. 2 1 0. なかった.図-3 に示すガスフレーム溶射の材料別に腐食レ. 0. 1000. 2000. 3000. 経過時間(h). ベルをみると,Zn-Al 合金を溶射したものは,1000 時間後 に腐食レベル 2 となっており, 付着物も見受けられる.2000. Zn-Al. 青. 50μm. ○. 時間後には皮膜厚さ 50μm のものは腐食レベル 4 に,皮膜. Al-Mg. 赤. 100μm. □. 200μm. △. 厚さが 100μm のものと 200μm のものは腐食レベル 3 と なった.Al-Mg 合金を溶射したものは,2000 時間後まで腐. 図-3 溶射材料別の外観評点. 食レベルに変化は見られなかった. 3.2 防食性能評価. ガスフレーム溶射 (50μ m). Zn-Al 合金溶射における複合サイクル試験と大気暴露試. Zn-Al. 験の相関性については,腐食減耗量等をもとに研究されて. Al-Mg. アーク溶 射 (50μ m). Al-Mg. プラズマ アーク (50μ m). Al-Mg. いる.例えば,溶融亜鉛メッキでは複合サイクル試験 1000 時間が大気暴露 25 年に相当 (約 200 倍程度の加速効果)し, プラズマアーク溶射皮膜では 6000 時間が 100 年以上に相当 するという報告がある 3).それに基づくと,アーク溶射・. 0 時 間. プラズマアーク溶射の溶射金属が Al-Mg で皮膜厚さ 50μm のものと,ガスフレーム溶射で溶射金属が Zn-Al のものは, 1000 時間でさびが発生したため, 25 年程度の防錆効果があ ると考えられる.その他,1000 時間でさびが発生しなかっ たものについては,25 年以上の防錆効果があると考えられ る. 4.まとめ 本研究では,金属溶射の溶射手法と皮膜厚の違いに着目 した複合サイクル試験機を行った.その結果,1000 時間の 試験では,腐食レベルは最大でも 2 であり,大気暴露中で あれば 25 年程度は健全性を保つことができると考えられ. 1 0 0 0 時 間 2 0 0 0 時 間. た.しかし,現段階では,試験期間は 6000 時間(1000 サ イクル)の半分の 3000 時間(500 サイクル)であり,今後, 試験を進めていくことにより,現在腐食レベルが変化して いないものについても,防食性能を調べていく必要がある. 参考文献. 3 0 0 0 時 間. 1) 日本規格協会:JIS K5621 一般用さび止めペイント 2) 鋼道路橋塗装・防食便覧 〔金属溶射編〕 3) 伊藤義人,清水善行,小山明久:酸性雨と塩水噴霧複合サ. 図-4 外観写真. イクル環境促進実験による金属皮膜防食の耐久性に関する研究,土木学会論文集 A,Vol.63,No.4,pp.795-810, 2007.12 ‑10‑.

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