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Multi Planer Phased Array 探触子による三次元超音波探傷

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Academic year: 2022

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Multi Planer Phased Array 探触子による三次元超音波探傷

東京工業大学大学院 正会員 ○田辺 篤史 学生員 東 壮哉 フェロー 三木千壽

1.はじめに

鋼構造物の溶接部には,溶接欠陥や疲労き裂が存在 する可能性があり1),その把握は鋼構造物の維持管理上,

重要である.しかし,実構造物の欠陥は三次元的複雑 な形状を有しており2),その探傷は容易ではない.また,

溶接部の品質管理・補修には,欠陥の検出に加え特性 の把握も必要となるなど,三次元的に高精度な探傷が 求められている.

平林ら3)は,複数の Phased Array 探触子を用いて複 雑な欠陥を高精度に画像化している.また,玉井ら 4) は振動子を平面状に配列した Planar Phased Array 探 触子(PPA 探触子)を用いた,三次元欠陥の探傷法を提案 している.これらにより,三次元欠陥を高精度に探傷 可能となるものと考えられる.しかし,扱うべきデー タと計算の量が極めて膨大となる可能性が高く,より 効率的な処理も必要となる.

本研究では,2 つの PPA 探触子を用いた三次元欠陥の 高精度探傷システムを提案し,その検証を行った.

2.システムの構成

本研究では,2つのPPA探触子を使用するシステム を構築した.本研究で使用したPPA探触子を図-1に示 す.64 個の要素を 8×8 の格子状に配置してあり,要 素サイズは0.55mm四方,ピッチは0.59mm,周波数 は5MHzである.

探傷システムを図-2 に示す.ノート PC により制御 とデータの収録を行うシステムとなっている.本シス テムでは送信・受信でそれぞれ32chを選択的に使用可 能であり,ディレイの解像度は5nsecである.

図-1 Planar Phased Array

3.探傷および画像化の方法

まず,探傷の対象とする領域をあらかじめ決定し任 意の大きさの格子に分割する.次に格子の格点それぞ れに対して順番にFocusingにより探傷を実施する.こ のとき波の伝達経路を複数考慮し,その全経路に対し て探傷を実施する.そして,各格点に対して対応する エコー高さを取得する(図-3).得られたエコーのレベル を見て,経路毎に格点を色分けし,最後に経路毎の結 果を合成し,探傷結果の画像を構築する.

図-2 探傷システム

図-3 探傷方法及び画像構築方法 探傷器

制御・データ収録用PC 供試体 Planar Phased Array探触子

キーワード: 超音波探傷,三次元,溶接欠陥,Multi Phased Array探触子,高精度化,画像化 連絡先: 〒152-8552 東京都目黒区大岡山2-12-1 Tel: 03-5734-2596 Fax:03-5734-3578

1-472 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

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図-4 T字人工欠陥を有する供試体と探傷条件

図-5 考慮した探傷経路

4.実験による検証

T 字形状の垂直面状人工欠陥を有する供試体に本シ ステムを適用し検証を行った.供試体の詳細を図-4 に 示す.供試体は 233×228×50mm の鋼塊で,底面に 25×4×30mmのT字型の溝が深さ20mmまで彫って ある.探傷領域は,欠陥を内包する40×30×26mmの 立方体とし,2mmメッシュ(格点数:20×15×13=3900) に分割した.探傷は T 字型の欠陥に対して片側からの み行った.探触子の位置とその組合せを図-4 に合せて 示す.図中の同じマークをペアとして探傷を行った.

伝播経路としては底面反射のみを考慮し,図-5に示す4 ケースを検討した.よって7×4=28パターンの探傷を 3900 の格点全てに対して実施し,約10万の探傷デー タを取得し画像化を実施した.画像化は探傷パターン 毎に行い,その結果を合成した.なお,画像化には約 25分(使用WS: Xeon3.0GHz,16GB)必要であった.

図-6:探傷結果

探傷結果を図-6 に示す.T 字型という複雑な形状で あるのにも関わらず,位置・形状・大きさともに高精 度な探傷ができている.

5.まとめ

本研究では,2つのPlaner Phased Array 探触子を 用いた探傷システムを提案し,その検証を行った.そ の結果,T字型の人工欠陥を高精度に画像化することが 可能であることを示した.三次元欠陥の高精度探傷法 の可能性を示すことができた.

本システムでは約10万パターンにも及ぶ探傷データ が収集される.これらのデータを効率的に処理し,画 像化を実施する必要がある.本システムで用いる画像 化では,探傷パターン毎に三次元画像を作成し,それ を合成するという手法を用いており,処理の並列化は 極めて容易と考えられる.そこで,画像化処理を分散 することで,画像化に必要な処理を大幅に低減する手 法を開発中である.詳細は,講演時に報告予定である.

参考文献

1)三木,平林:施工の不具合を原因とする疲労損傷,土木学会論文集 A,63(3)518-532(2007)

2)三木ほか:鋼製橋脚隅角部の板組構成と疲労き裂モード,土木学会 論文集,745/I-65,105-119(2003)

3)平林ほか:マルチフェイズドアレイ探触子を用いた高精度超 音波探傷試験,土木学会論文集A,64(1) 71-81(2008) 4)玉井ほか:Planar Phased Array超音波探傷による3次元欠

陥検出の高精度化,年次学術講演会概要集,1-310(2007) case3

case2 case1

case4 探傷領域

欠陥 26

4

4

25 30 50

(b) T字欠陥詳細 (a) 供試体,探傷領域,探触子位置

228

233 30

82 42

3@5

6@10 40

62

探触子位置

(a)平面図

(c)立面図 (b)側面図 (a)平面図

(c)立面図 (b)側面図

1-472 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

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参照

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