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海草移植のためのコアマモ形態と底質環境に関する現地調査

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Academic year: 2022

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海草移植のためのコアマモ形態と底質環境に関する現地調査

大成建設 技術センター 正会員 ○高山百合子 大成建設 技術センター 正会員 伊藤 一教

1.目的

沿岸域の海草移植においては,生態系保全の観点から,

移植元となる藻場への影響を極力低減させた手法が不可欠 である.アマモのように大量に種子を採取できる種につい ては,種子を移植基盤に充填する等の効率的な移植方法が ほぼ確立されており 1),種子のみを採取することで既存の 藻場を保全することができる.一方,主に地下茎により繁 殖する種は,ある程度の底質層ごと株を移植する株植法が 試験的に実施され,そのノウハウが蓄積されつつある.し かしながら,現状の株植法は,大規模実施を想定した場合,

移植元藻場の地形を変える可能性もあり,その後の移植元 藻場の再生が懸念される.地下茎により繁殖する種は,主 に琉球諸島沿岸に多く生育しており,わが国の希少な亜熱 帯生態系を保全するためにも,移植元への影響を低減させ た移植方法の確立が急務と言える.そこで,移植方法確立 のためには,海草の形態的特徴を把握した上で,最適な移 植要素を検討することが重要と考え,本報では,地下茎に より繁殖するコアマモの移植方法を確立することを目的と して,コアマモの形態と生育地の底質環境に関する現地調 査を実施したので報告する.

2.コアマモおよび底質環境の現地調査

現地調査は,三重県英虞湾のコアマモが生育する

3

ヶ所で実施した(図1).調査点は,底質環境によるコ アマモ形態の差異を見るために,人工海浜(次郎六郎),人工干潟(立神),天然入り江(小別当)を選定し,

コアマモが生育する同水深点(DL -0.4m)とした.ただし,硬度の調査点は,コアマモ繁茂による地形安定 化効果を除外するために,調査点に近接したコアマモ無生育地点とした.調査項目を表

1

に示す.底質は,φ

8cm

のコアを用いて,表層から

10cm

層を採取し,コアマモを極力取り除いて分析試料とした.泥分は,シル ト・粘土分の含有率とした.硬度は,山中式土壌硬度計を用い

10

回/点の支持力強度を計測し,平均値を算 出した.コアマモについては,図

2

に示す各部位について以下の手順で試料採取,計測をした.試料は,

10cm

×20cmの矩形枠を用いて底質ごと採取した.試料採取は,できるだけ深く採取することを目標に実施し,表 層から

15cm

層まで採取した.次に,底質ごと採取した状態で,地下茎が埋没している深度(地下茎深度)の 計測と,採取層(15cm層)まで不定根が到達しているか(不定根深度)の確認を行った.そして,試料から コアマモのみを水洗いしながら取り出し,株数,草丈,地下茎径,地下茎の節間隔,乾燥重量を計測した.

3.調査結果 3.1 底質環境

調査点間における底質環境を比較する(図

3).有機物量,AVS(酸揮発性硫化物),泥分は,次郎六郎で

キーワード 亜熱帯生態系,藻場,海草移植,コアマモ

連絡先 〒245-0051 神奈川県横浜市戸塚区名瀬町 344-1 大成建設株式会社 技術センター TEL045-814-7234

1 現地調査の位置図

1

調査項目

2 コアマモの形態

COD,強熱減量(IL),泥分,

AVS(酸揮発性硫化物),硬度 地上部 株数,草丈,乾燥重量 地下部 地下茎深度,不定根深度,

地下茎径,節間隔,乾燥重量 コアマモ

底質

英虞湾

0 1 2km N

Ago Bay in Mie Ago Bay in Mie

小別当

(天然入り江)

立神干潟(人工干潟)

次郎六郎(人工海浜)

N

英虞湾

0 1 2km N

英虞湾

0 1 2km 0 1 2km

N N

Ago Bay in Mie Ago Bay in Mie

小別当

(天然入り江)

立神干潟(人工干潟)

次郎六郎(人工海浜)

N N

地下茎

不定根

地下茎の節間隔

不定根深度 地下茎深度 海底

草丈 地下茎

不定根

地下茎の節間隔

不定根深度 地下茎深度 海底

草丈

土木学会第66回年次学術講演会(平成23年度)

‑165‑

Ⅱ‑083

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低く,小別当では高かった.立神では,有機物量は中程度であったが,AVS は小別当と同様,非常に高かっ た.硬度は,次郎六郎で高く,一般的な砂泥質干潟程度の値であった.以上より,調査点間は,富栄養状態(次 郎六郎)から過栄養状態(小別当)までの底質環境であることが確認できた.

3.2 コアマモの地下茎および不定根の深度

コアマモの地下茎および不定根深度は,調査点間に大きな差異は無く,共通して以下のことが分かった.地 下茎は,必ずしも埋没しておらず,所々で海底から露出していた.地下茎深度は表層から

1cm

の間であった.

不定根は,地下茎回りに多く,15cm層まで到達が見られたものの,下端ではその量が大きく減少した.以上 より,コアマモの根系は,富~過栄養状態の底質環境では,概ね同様な鉛直的広がりを持つことが推測された.

3.3 コアマモと底質環境の関係

コアマモ形態の調査結果を図

4

に示す.図

3,図 4

より,底質環境に依存してコアマモに差異が見られた項 目として,株数と地下部の乾燥重量が挙げられる.地下部の乾燥重量は,株数に比例して増減すると考えられ ることから,ここでは株数に着目する.株数は,次郎六郎では多く,立神,小別当では少なかった.過栄養気 味な底質である立神と小別当において株数が相対的に少ないことから,底質の有機物量や硫化物がコアマモの 分岐を阻害する要因になっている可能性が示唆された.また,立神,小別当では,硬度が低いことから,底質 が軟らかすぎて葉茎を支持できない等の物理的な阻害要因も考えられる.なお,立神では,草丈,地下茎径,

節間隔が相対的に大きいという特徴が見られたが,底質環境との因果関係は不明であった.

4.結論

以上より,コアマモは,富~過栄養状態の底質環境では,密度(株数)や根系量に差異があるものの,根系 の鉛直的広がりは概ね同様であることが推測され,移植方法の要件に関する基礎的知見を得た.今後は,根系 の鉛直構造について,季節変化等の詳細な調査を加え,最適な移植要素の検討実験を進める予定である.

参考文献

1) 港湾空間高度化センター港湾・海域環境研究所(1998):港湾構造物と海藻草類の共生マニュアル,98p.

3 底質環境の比較

4 コアマモ形態の比較

0 1 2 3

次郎六郎 立神 小別当

下茎径(mm

0 1 2 3

(cm

地下茎径 節間隔

(d)地下茎 0

0.5 1 1.5

次郎六郎 立神 小別当

AVSmg/g) (b)AVS

0 20 40 60 80

次郎六郎 立神 小別当

泥分% (c)泥分

0 1 2 3

次郎六郎 立神 小別当

質硬度(kg/cm2

(d)底質硬度

0 50 100 150 200

次郎六郎 立神 小別当

株数(本/0.02m2

(a)株数

0 10 20 30

次郎六郎 立神 小別当

草丈cm

(b)草丈

0 1 2 3 4

次郎六郎 立神 小別当

乾燥重量 g/0.02m2

地上部 地下部

(c)乾燥重量 0

15 30 45 60

次郎六郎 立神 小別当

CODmg/g)

0 5 10 15 20

強熱減量%

COD IL

(a)有機物量

土木学会第66回年次学術講演会(平成23年度)

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参照

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