2軸圧縮条件下における粒状体内ひずみの空間自己相関特性
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(2) 個別要素法(DEM)を. は、剛体 と仮定 し. こ こ で は 、Delaunay分 割 に よ り粒 子 中心 を 頂 点 とす る三. た粒子 の接 触点 において法線 方 向にはバネ とダ ッシ ュポ. 用いた。DEMで. 角 形 に 関す るひ ず み を用 い るが 、Delaunay分 割 と双 対 関係. ッ トを、接線方 向にはバネ、ダ ッシュポ ッ ト及び スライ ダ ーを仮 定 し、各粒 子の運動方程 式を時 間領域で差分近似す. Voronoi分 割 に よ る手 法 で は、 間 隙 を含 め た粒 子 の もつ領. ることに より、各時間での粒子 の位置 を数値 解析で追跡す. 域 を定 め る こ とが で き、粒 状 体 のVoronoi分 割 と も呼 ばれ. る。本研 究では粒 状集合体 の圧縮条件 下にお ける基礎的な. て い る。. に あ るVoronoi分 割 を用 い る手 法 もあ る(佐 武200213))。. 挙動 を調べ るため、粒 子形状は 円と し、2次 元での2軸 圧 縮 のシ ミュ レー シ ョンを実施 した。解析で用いたパ ラメー タ と物 性を表‑1に 示す。岩 下and小 田(1999)10)の 研 究で用 い られたパ ラメー タをここでは用いた。これ らの値 は具体 的 な材料 において実験的 に計測 された ものではないが、粒 状体 の定性 的な挙動 を調 べ るこ とを 目的 とした研 究 にお い て実績 のあるパ ラメータであ ると考 えられ る。ただ し、 本研究 で は基本 的な条件 下で の粒子 の動 きの空間分布 を 調べ るこ とを 目的 とし、転 が り抵抗 は考慮 してお らず、上 下載荷盤 と粒子の摩擦 は0と してい る。 供試体は0.8mm,1.0mm,1.2mmの. 直径の粒 子 より 購 成さ. れてい る。粒 子数は約3800個 で ある。粒 子の圧密 前の初 期配置は以下の手 順で行 った。 約50mm×100mmの. 領域 に、. 粒子同士が重な らない よ うに、擬似乱数 を用いて ランダム に粒子座標 を設定す る。擬 似乱数 の生成 は、一般 的に よく 用い られてい る乗算合 同法を用いたcそ の後 、DEMに り、上下左 右の境 界をそれ ぞれ8mm、4mm圧. 図‑1側. 方 圧 縮 後 の 供 試 体(Case1). よ. 縮方 向に移. 動 させ た状況 をシミュ レーシ ョンす る。この状態 を初期配. ui: Displacement in x direction vi: Displacement in y direction. 置 とす る。初期 配置後 、供試 体の側方方 向に100kPaの 拘 束圧 を負荷 す る。 この際、側 方境界 に はstress‑controlled boundary(Bardetand Proubet19918))を用い る。側 方圧縮 後 の供試体の状況 を図‑1に 示す。側 方圧 縮 後、1×10‑2mm/s の速度の変位 制御 で上下方向に載荷 を行 う。 2.2ひ ずみの算定 DEM解. 析 よ り得 られ た粒子 の変位 を用 いて、供試体 内. のひずみ 分布 を算定 した。粒 子の 中心座 標 を頂 点 とす る Delaunay三 角形分割 を実施 し(谷 口199212))、 各三角形 要素 の頂 点 の変位 よ り線形 の形状 関数 を用 いてひずみ を. 図‑2ひ ずみ の計算方 法. 計算 した(図‑2参 照)。 要素分割 され た供試体を図‑3に 示す。粒 子 中心に関す るDelaunay分 割に よ り算 定 され る ひずみは、個 々の粒状体間の相対変位 を表す指標 といえる。 本研 究では個々の粒 状体間の相対変位 の空 間分布 を、上記 手法で算定 され るひずみ を用いて議論す る。. 表‑1DEM解. 析 で用 い た パ ラ メー タ10). 図‑3Delaunay分. ―498―. 割 さ れ た 供 試 体(Case1).
(3) 2.3空 間統 計 解 析 DEM解. 3.解 析 結 果. 析 に よ り得 られ た 、ひ ず み に関 して 空 間 統 計 解. 析 を実 施 し、粒 子 挙 動 の空 間 自己相 関特 性 を調 べ た 。ひ ず. 3.1個 別 要 素 法 の 解 析 結 果. み 分 布 の グ ロー バ ル な 空 間 自己 相 関 性 はMoran's. (1)解 析 ケー ス. Iと. Geary's cを 用 い て 評 価 した(Fortin and Dale 200514))。 Moran's I,I(d)は次 式 に よ り表 され る。. 解 析 ケ ー ス を表‑2に 示 す 。初 期 配 置 の異 な る2つ の ケ ー ス につ い て 約3800個. の粒 子 の 挙 動 を調 べ た 。 供 試 体 高 さ. と幅 はy軸 方 向 に載 荷 前 の 値 で あ る。. (2)マ ク ロな応 カ ー ひ ずみ 関係. (1). 軸 方 向載 荷 過 程 にお け る、供 試 体 上 下境 界 の変 位 よ り算 定 したマ ク ロ な応 力‑ひ ず み 関 係 を図4に 示 す。応 力 は拘 束 圧 で 正 規化 して い る。2ケ ー ス と も載 荷 初 期 に お い て 、. こ こで 、xiはデ ー タ値 で 、xはxiの 平 均 値 、nは デ ー タ数 、. 応 カ ー ひず み 関係 は ほ ぼ 線形 関 係 とな って お り、応 力 比 が. dは 離間 距 離 ク ラ ス、wij(d)は重 み で あ る。 本 研 究 で は 、等. 1.5を 超 え た あ た りよ り、非 線 形 性 が 大 き くな っ て い る こ. 間 隔 の離 間 距 離 ク ラ ス を設 定 し、2地 点の離間 距 離 が該 当. とが わ か る。 そ して 、応 力 比 が1.7程 度 まで は、2ケ ー ス. す る離 間距 離 ク ラ ス 内 に あ る場 合wij(d)=1と し、離 間 距 離. の応 力‑ひ ず み 関係 は ほ ぼ 同 じと な っ て い る。 応 力 比 が. ク ラ ス 内 に な い場 合wij(d)=0と し、Moran's Iを 算 定 した 。. 1.7を 超 えた あ た りよ りケ ー ス 間 に 差 が 生 じ、Case2で は、. Moran's. Iは ピア ソ ン相 関係 数 に対 応 す る指 標 で 、正 の相. 応 力 比 が1.9を 超 えた あ た りよ り、 一 時 的 な軟 化 挙 動 が 生. 関 を示 す 場 合は1以 下 の正 の値 を 、負 の相 関 を示 す 場 合は ‑1以 上 の 負 の 値 を、 無 相 関 の 場 合 は0を 示 す 。. じる よ うに な る。た だ し、一 時 的 な 軟化 後 応 力 は 回復 して. Moran's Iは デ ー タの 平 均 値 を用 い て い るが 、平 均 値 を用 い な い 空 間 自己相 関 を表 す 指 標 と して は 、Geary's cがあ る。. い る。この 軟 化 挙 動 を繰 り返 しな が ら応 力 は徐 々 に 増加 す る。 ピー ク荷 重 時 の 応 力 比 は 各 ケ ー ス ともほ ぼ 同 じで 、2.1 程度 とな っ て い る。. Geary's c,c(d)は次 式 に よ り表 され る。. 表‑2解. 析 ケー ス. (2). Geary'cは. 標 本 バ リオ グ ラ ム(Wackernagal. 200315))を 分 散. で 正 規 化 し た 値 と な っ て お り、一 般 に デ ー タ 間 の 距 離dが 大 き く な る に つ れ て1に. 近 づ く。c(d)の 値 は0か. 変 動 し 、 正 の 相 関 が 最 大 で0、 大 で2を. 無 相 関 で1、. ら2ま. で. 負 の相 関 が最. 示 す。. ひ ず み 分 布 の ロ ー カ ル な 空 間 自 己 相 関 性 はLISA(Local indicators for spatialassociadion)と い て 評 価 した(Anselin. し てLocal. 199516))。Local. Moran's. Moran's Iを. 用. I,Ii(d)は次 式. に よ り表 さ れ る。. (3). Local Moran's Iは 各 要 素 にお い て 算 定 され 、 そ の 分布 を 調 べ る こ とに よ りデ ー タ 間 の相 関 が 強 い領 域 を特 定 で き る。 そ の よ うな 自己相 関 の 強 い領 域 は局 所 化 領 域 と考 え られ るた め、Local Moran's Iに よ り局 所 化領 域 を明確 に検 出す る こ とが 可 能 と な る。. Axial strain εy(%) 図‑4マ. ―400―. ク ロ な 応 カ ー ひ ず み 関 係(供. 試 体 全 体).
(4) (3)ひ ずみ分布 Case1の 応 力‑ひ ず み関係 の各段 階にお ける、y方 向ひ ずみ増分△εyの 分布 を図‑5に 示す。各段 階の番 号は図‑4の 応 力‑ひ ずみ関係 に示 した番 号 と対応 してい る。 ここで、 y方 向変位増分 が0.1mm、 グローバル なy方 向ひずみ増分 が約0.117%に 対応す るひずみ増分 を示 してい る。 図‑5よ り、載荷初期 、2‑3段 階 よ り局所的に大 きなあ るいは小 さ な△εyが生 じている箇所 が点在 してお り、載荷初期段 階で あって も供試 体 内に均 質 なひずみ が生 じてい ない こ とが わかる。ただ し、大 きな△εyが 集 中 した場所 は存在 しない。 そ して、載荷 が進 むにつれ供試 体内にお ける大 きなあるい. 2‑3. 4‑5. 8‑9. 10‑11. 6‑7. は小 さな△εyの 分布範囲が広 がってい る。応力 がピー クに 達 した後の10‑11段 階 では、左 下端 か ら右側 にかけて大 き な△εyが 集 中 している領域 が生 じてい るこ とが わか る。 図‑5と 同 じ段階 にお ける、体積ひずみ増分△4の分布 を 図‑6に 示す。載 荷初期段 階において も、△ε νの分布は 一様 で はな く、応力 が ピー クに達 した後 の10‑11段 階では、左 下端か ら右側 にかけて正負 の△εν が集 中 してい る領域 が生 じてい る。 図‑5と 同 じ段階 にお ける、偏差ひずみ第2不 変量増分の 平方根. の分布 を図‑7に 示す。△εyの 分布 と同様 に、. 載荷初期2‑3段 階 よ り局所 的に1%を 超 える大 きな偏 差ひ ずみ生 じてい る箇所が点在 してい る。応力が ピー クに近づ き応 力‑ひ ずみ関係の非線 形性 が大き くな る6‑7段階では、. 図‑5y方. 向 ひ ず み 増 分△εy分 布Case1. 右 中央 か ら左上 にか けておお きなひずみ集 中 してい る箇 所 が生 じてい る。その後 、そのひずみの集 中領域 は消え る が(8‑9段 階)、10‑11段 階で は、新たに左 下端か ら右側 に か けて ひずみ の集 中領域 が帯状 とな るい わゆるせん断 帯 が生 じてい ることがわか る。 ピー ク応 力前 にお け るひず み増分 の局所 化領域 の形成 と発生箇所 の変化 は砂の平 面ひずみ圧 縮試験 で も観察 さ れ てお り(Fino et al. 19974),Desrnes and Viggiani20046))、 本 解 析結果 はプ レピー ク時 の局所化領域 の形成 を裏 付 ける もの となった。 また、ひず み増分 の局所化 が顕 著 となる 6‑7段 階は、各ケースの応 力‑ひ ず み関係 の差が大 き くな る段 階 と一致 してお り(図‑4参 照)、 本解析結果 よ りプ レ ピー ク時 の局所化領域 の形成 がマ ク ロな応カ ーひずみ 関. 2‑3. 4‑5. 8‑9. 10‑11. 6‑7. 係 に影響 を与え ることが推測 できる。 本研究 では、ひずみ増分量の空間分布 のみにつ いて検討 を行 い、主ひずみの方 向についての議論は行わない。主ひ ず みの方 向に 関 して も空 間分布 特 性を把握す る ことが重 要である と考 え られ るが今後 の課題 とす る。 (4)ひ ずみの基本統計量 Case1の 各要 素のひずみ増分△εy、. の平均 値及 び分. 散 な どの基本 統計量 を表‑3に 示す。 各段階 の番 号は図4 の応 力‑ひ ずみ関係 に示 した番号 と対応 してい る。 また、 同ケー スの2‑3段 階での△εy、 に示す。. の ヒス トグラムを図‑8. 図‑6体. ―500―. 積 ひ ず み 増 分△εν 分 布Case1.
(5) くなってお り、偏差ひずみ増分 にお いては個 々の粒状体間 の相 対変位 よ り算定 され るひず みの平均値 がマ ク ロなひ ずみ とは一致 しない こ とがわか る。この ことは、プ レピー ク挙動 において も、マクロな応力‑ひ ずみ 関係 が粒子 レベ ル での挙動 の平均値 となってい ない ことを示 してい る。 表‑3(a)y方 向 ひず み増 分△εyの 統計 量. 2‑3. 4‑5. 6‑7. 表‑3(b)偏差 ひずみ増分. 8‑9. 図‑7偏. の統計 量. 10‑11. 差ひずみ増分. 分 布Case1. 本研 究 では粒 子 の 中心点 を頂点 と した 三角 形要 素 を Delaunay分割 に より生成 したため、各要素 の面積 は異な る。 また、線 形の形状 関数 を用 いてひずみ を算定 してい るた め、 要素内ひずみの一様 性を仮定 してい る。 このため、ひずみ の平均値や ば らつ きを算定す る場合、各要素 の面積 を考慮 す る必要 が ある と考 え られ るが、本研究 では各要素の面積 は考慮 してい ない。要素面積 の影響 に関 しては付録で議論 してい る。 表‑3よ り、全ての載荷段 階にお いて△εyの 尖度17)は30 以上で正規分布(尖 度0)に 比較 して尖 りの程 度 が非常 に 大 きい こ とが わかる。尖 りの程 度 が大 きい こ とは、図‑8の ヒス トグラムか らも確認で きる。 この尖度 よ り△εyの 分布 が正規分布で はない ことがわか る。. の分布は。各段. 階 とも正規分布 とは大 きく異な ってお り、歪度17)が3以 上 と右の裾が長い分布 とな ってい る。 また、△εyと 同様 に尖 度 も15以 上 と正規分布 よ り尖 りの程 度 が非常に大きい分 布 となってい る。これ らのこ とは、図‑8の ヒス トグラムか らも確認で きる。 表‑3に は各境 界変位 よ り算定 され るマ クロなひず み を 併せて示 してい る。個 々の粒状体間の相対変位 よ り算定 さ れ る△εyの 平均値は、マ クロな△εyと ほぼ一致 している。一 方、個 々の粒状体間の相対変位 よ り算定 され る 平均値は、載荷初期 よ りマ クロな. の. 万 よ りかな り大き. ―501―. 図‑8ひ. ず み増 分 の ヒス トグ ラ ムCase12‑3段. 階.
(6) 3.2空 間統計解析. は 大 き く変 化 して お り、マ ク ロな応 カ ー ひず み 関係 にお い. (1)ひ ずみのグ ローバルな空間 自己相関特性. て 非線 形 性が卓 越 し始 め る6‑7段 階 で は 、d<10mmの. の空間 自己相 関関係 を調べ るた め、各荷重段 階 でのMoran's I,I(d)を 算定 した。離間距離 クラスdに 対す る のI(d)を図‑9に示 す。各要素の離間距離は要素中心. 範囲. で 正 の相 関 関係 が見 られ る。 た だ し、そ の 後 の8‑9段 階 で は 、 正 の相 関 を示 す 範 囲 がd<5mm程. 度 に縮 小 して い る。. そ して 、 ピー ク応 力 後 の10‑11段 階 で は 、d<20mmの. 範囲. 間の距離 と した。また、図中の番号 は図4の 応 力‑ひ ず み. に お い てI(d)>0と. 再 び 自己相 関 を示 す 領 域 が拡 大 してい. 関係 中の位置 を示す ものであ る。 図‑9よ り、載荷初期2‑3. る。 この よ うに 、. のI(d)は プ レ ピー ク状 態 よ り載 荷. 段階において、. に伴 い大 き く変 化 して い る こ とが わ か る。. のI(d)は 平均 粒 径 の2倍. 程度 の. 2.0mmの 範囲 で正の相関 を示 し、それ 以上の距離 でほぼ d< 0の 無相 関を示 している。 その後載荷 に伴い. 図‑9偏. のI(d). 離 間 距 離 ク ラスdに 対す る のGeary's c(d)を図 ‑10に 示 す 。 載 荷 初 期 、2‑3段 階 に お い て 、d=2mm程 度で. Distance d(mm). Distance d(mm). Distance d(mm). Distae. Distance d(mm). Distance d(mm). 差 ひ ず み 増 分 のMoran's I. Case1. 図‑10偏. ―502―. d(kmm). 差 ひ ず み 増 分 のGeary's c. Case1.
(7) c(d)の値 は ほ ぼ1と な って お り、 この 段 階 で の 自 己相 関 の. の ケー ス 間 の差 が大 き くな るが 、こ の段 階 で はマ ク ロな応. 範 囲 は2mm程. 力‑ひ. 度 あ る こ とが わ か る。 この値 は 、Moran's I. ず み 関係 にお い て も ケ ー ス 間 で顕 著 な差 が 生 じは. にお い て 無 相 関 を示 す 範 囲 とほ ぼ一 致 して い る。 そ の 後 、. じめ て い る(図‑4参. Moran'Iと. 己相 関 の範 囲 が20mmと. 同様 に載 荷 に伴い、. Moran's IとGeary's. のc(d)は 変 化 す る。. cと 比較 した場 合 、相 関 を示 す 範 囲 が. (約43mm)の. 照)。Case2に. 約50%程. お い て6‑7段 階 で は 自. な って い る が、こ の値 は供 試 体 幅 度 に相 当す る。この 段 階 にお い て 、. 両者 で異 な る もの の 、定 性的 に は ほ ぼ 同 じ傾 向 を示 して い. Case1に 比 較 しCase2で は マ ク ロな応 力 が 明 らか に小 さ く. る こ とが わ か る。. な っ て い る(図‑4)。. これ らの 結 果 は 、初 期 配 置 の違 い に. よ り供 試 体 内 に 形 成 され るひ ず み の空 間 分 布 特 性 に違 い (2)ひ ず み の 自 己相 関 を示 す 距 離 Moran's Iの 結 果 を用 い て. が 生 じ、これ に よ りマ ク ロな応 力‑ひ ず み 関 係 に違 い が 生 の 自己相 関距 離 を算. じる こ とを示 唆 して い る。. 定 した。 前述 した よ うにMoran's IはI(d)=0で 無 相 関 とな るが 、図‑9に 示 す よ うに ひず み分 布 よ り算 定 され るI(d)は 厳 密 に0と な る こ とは な い。そ こで 、デ ー タ を ラ ンダ ム に 再配 置 し、 そ の 自己相 関 の な い配 置 で のMoran's Iと. の比. 較 よ り、各 距 離 ク ラス で の 自 己相 関 に 対 す る有意 性 の判 断. (3)ひ ず み の ロー カル な 空 間 自己 相 関 特 性 ひ ず み が集 中 して い る領 域 を調 べ る た め 、 Moran's I,Ii(d)を算 出 した 。Case1の2‑3,6‑7,10‑11段. のLocal 階にお. を した(Fortin and Dale 200514))。こ こで 、 乗 算 合 同 法 に よ. け る。Ii(d)を 図‑13に 示す。 こ こで 、Ii(d)は距 離 ク ラス4 ‑6mmの 値 を示 して い る。 距 離 ク ラ ス が異 なIi(d)に つ い. る擬 似 乱数 に よ り配 置 の入 れ替 え箇 所 を選 定 し、順 次 デ ー. て は 後 述 す る。. タ を入 れ替 え る手 法 に よ りラ ンダ ム配 置 を行 った。 ラ ンダ ム 再 配 置 の 回数 は1000回. と した。. ラ ンダ ム 配 置 に よ り得 られ る て 検 討 す る。 例 え ば 、Case1,2‑3段 2.0mmで. の. のI(d)の 分布 に つ い. 自己相関の範囲. 階 の 距 離 ク ラ ス1.5‑. のI(d)の 分布 の場 合、歪 度 は0.19、 尖 度. は0.049で あ っ た。 これ よ り、 ラ ン ダム 配 置 に よ り得 られ るI(d)は ほ ぼ正 規 分 布 で あ る こ とが わ か る。 そ こで 、 ラ ン ダ ム配 置 に よ り得 られ るI(d)は正 規 分 布 で あ る と仮 定 し、 自 己相 関 性の 有 無 に 関 す る検 定 を行 っ た。 と こで 、 の 空 間 分 布 に 自己 相 関 性 が な い とい う帰 無 仮 説 に対 し有 意 水 準5%の. 検 定 を行い、 仮 説 が棄 却 され る場 合. の 空 間 分 布 に 自 己相 関 性が あ る と判 断 した。 自 己相 関 性の 検 定 例 を図‑11に 示 す 。これ はCase1,2‑3段 階 の 結 果 で あ る。図 に は 、ラ ン ダ ム配 置 か ら設 定 され た 有 意 水 準5%の. 基 準 を破 線 で示 してい る。 また 、 自 己相 関 が Distance. あ る と判 定 され た 距 離 ク ラ スは 黒 塗 りで 、自 己相 関 が ない と判 定 され た 距 離 ク ラス は 白抜 きで 示 して い る。距 離 ク ラ. 図‑11自. d(mm). 己 相 関 の 有 意 性 の 判 定Case12‑3段. ス に よ り自 己相 関 性の 有 無 が 変 化 して い るが 、距 離 が 長 く な る と相 関 が あ る と判 定 され て も基 準 との 差 は わず か で あ る。そ こで 本 研 究 で は、自己相 関 が 無 くな る最 小 距 離(図 ‑11で は2mm)を 自己相 関 の範 囲 と した。 上 記 方 法 で 算 定 した 各 ケ ー ス に お け る. の空 間 自. 己相 関 の範 囲 の変 化 を 図‑12に 示す 。 こ こで 、横 軸 は 図4 に示 す 各 載 荷 段 階 で あ る。各 ケー ス とも載 荷 に伴 い 自 己相 関 を示 す 距 離 は増 加 す る傾 向 に あ る。た だ し、自 己相 関 の 範 囲 は単 調 に増 加 す るの で な く、増 減 しな が ら増 加 して い る。特 に、 自 己相 関 の 範 囲 は5‑6段 階 あた りよ り急 激 に大 き くな っ て い る が 、これ はマ ク ロ な応 力‑ひ ず み 関 係 にお い て非 線 形性 が顕 著 とな る段 階 と一 致 して い る。 また 、ケー ス 間 に よ り 自己相 関 の範 囲 の変 化 に差 が あ り、 ほ ぼ 同 じ粒 子 数 及 び 密 度 で あ っ て も配 置 が 異 な る こ と に よ り載 荷 過 程 で の ひ ず み 増 分 の 空 間 相 関特 性が 異 な る こ とが わ か る。 そ して 、5‑6段 階 あ た りか ら自 己相 関 の 範 囲. ―503―. State 図‑12偏 差 ひ ず み 増 分 の 自己相 関 の範 囲. 階.
(8) 図‑13よ り、載荷初期2‑3段 階にお いてはIi(d)が大 きな 値 を示 してい る箇所 は分散 している ことがわか る。 一方、 マ クロな応 力‑ひ ずみ関係 の非線 形性 が大 き くなる6‑7段 階では、供試体右 中央部 にIi(d)が大 きな値 を示す箇所 が 集 中 してい る。 この領域 は⊿√J2'の 分布(図‑7)に お いて 大きなひず みが発 生 している領域 と対応 してお り、大 きな ひず みの集 中領域 である といえる。 ピー ク荷重後の10‑11 段 階では6‑7段 階 とは異 なる左下か ら右 中ほどにかけて、 が大きな値 を示す領域 が帯状 に伸 びている。この領域Ii(d) も⊿√J2'の 分布(図‑7)に おいて大 きなひずみ が発生 し ている領域 と対応 してお り、大きなひずみ が集 中す る領域 が帯状 に伸び ているこ とがわかる。この領域 はせん断帯 に 相 当す る といえる。これ らLocalMoran's Iの結果は、プ レ ピーク時 よ り供試体 内に は大 きなひずみ が集 中す る領 域. 4‑6mm. 6‑8mm. 8‑10mm. が発生す るこ と、集 中領域 は載荷 に ともない変化 しポス ト ピー ク時 にはせ ん断帯 を示唆す る帯状 の領 域が発 生す る. 図‑14偏. こ とを明確 に示 してい る。. 差 ひず み増 分 のLocal Momm's. Iが. 大 きな値 を示 す 領 域(着 色 部)Case16‑7段. 階. 次 に距離 クラスによる集 中領域の違い を図‑14に 示す。 図 には(Case1の6‑7段階 にお ける距離 クラス4‑6mm,6‑8mm, 8‑10mmで のIi(d)が(平 均値)+(標. 上. グローバルな 自己相 関 性を検討 する場 合、供 試体内ひず. の値 を示す要素 を示 してい る。前述 した よ うに距離 クラス. 準偏差の2倍)以. 4‑6mmで は供試体 右中央 部にIi(d)が大 きな値 を示す箇所. み分布の定常 性が前提 となるが、ひずみの集 中領域 が生 じ るこ とに よ り定 常 性の仮 定が成立 しな くな ってい る可能. が生 じてい る。そ して、距離 クラスが変わ って も大 きな値. 性 もある。供試体内ひずみ分布 の定常 性は供 試体変形の均. を示す領域は あま り変化 しない ことがわか る。この ことは、. 質 性を示す指標 と考え られ 、載 荷過程におけ るひず みの集. 4‑10mmの 距離 で強 い相 関性を示す領域 は供試体右 中央部. 中が生 じる状況 での空間分布 の定 常 性の検討 は今後 の課 題 とい える。. で あるこ とを示唆 してい る。 図‑9に示すMoran's Iよ り、Case1の6‑7段 階で は10mm 程度 の距離 まで グローバ ル な 自己相 関性 を示 して い るこ とがわか るが、この相関 性は供試体右 中央部 に生 じてい る. 4.ま とめ. ひずみの集 中領域に大 きく起因 してい ると考 えられ る 個 別 要 素 法 に よ る 二 軸 圧 縮 条 件 の シ ミュ レー シ ョン を実 施 し、得 られ た粒 状 体 の動 き か ら個 々 の粒 状 体 間 の 相対 変位 よ りひず み 増 分 分 布 を算 定 した。 ひ ず み 増 分 分 布 の統 計 量 の 算 出及 び 空 間 統 計 解 析 を実 施 す る こ とに よ り、以 下 の こ とが 明 らか とな っ た。 ・ 個 々 の粒 状 体 間 の相 対 変 位 よ り算 定 され る軸 ひず み増分及 び偏差 ひずみ増 分 の度 数分布 は正規 分布 では ない。 ・ 個 々の粒状体 間の相対変位 よ り算定 され る偏差 ひず み 増分の平均 値はマク ロな偏差ひずみ増分 とは異 なる。 ・ 偏差ひずみ増分 の空間 自己相 関 を示す距離 は載荷 に と もない変化す る。特 にマ クロな応 力‑ひ ず み関係 におい て非線形性 が顕 著 とな る段階 で、偏差ひず み増 分の 自己 相関距離は大き くな る傾 向にある。 ・ プ レピー ク時において も、マ クロな応力‑ひ ず み関係 図‑13偏. 差 ひ ず み 増 分 のLocal Case1距. において非線 形性 が顕著 となる段階 では、大 きなひずみ. 10‑11. 6‑7. 。 2‑3. が集 中す る領域 が生 じる。ポス トピーク時 にはプ レピー. Moran's I. ク時 とは異 なる位 置 にせ ん断帯 を示す 帯状 のひずみ集. 離 ク ラ ス4‑6mm. ―504―.
(9) 中領域 が生 じる。. 表‑4面 績を考慮 した偏差ひずみ増分の統計量Case1. 本研 究 によ り、2軸 圧縮過程の粒 状体内の偏差ひずみ増 分分布の空間分布特 性が変化す ることが明 らか となった。 この よ うな空間分布 特 性の変化は、プ レピー ク時 よ りマ ク ロな応力‑ひ ずみ関係に影響を与え ると考え られ る。. 謝辞 Delaunay三 角 形 分 割 にお い て(株)竹 中工 務 店 重 野 喜 政 氏 か ら提 供 して頂 い た プ ログ ラ ム を使 用 し ま した。 こ こ に感 謝 の意 を表 します 。. 付録 要素面積 が個 々の粒状 体 間の相対 変位 よ り算 定 され る ひずみ の統計 量に与 え る影 響 につい て検 討す る。 表‑3(b) に示すCase1の 偏差ひずみ増分の統計量に関 して、要素面 積 を考慮 した場合の平均値 と分散 を表4に 示す。要素面積 を考慮 した平均値 と分散 は次式で算 定 した。. Distance d(mm). 図‑15Moran's. Iへ の 要 素 面 積 の 影 響Case1. 6‑7段 階. (4). こ こで 、Aiは 要 素iの 面 積 、Aは 要 素 面積 の 平均 値 で あ る。 表‑3(b)との比 較 よ り、偏 差 ひ ず み の統 計 量 に 関 して 、要 素 面 積 考慮 の影 響 は ほ とん どない こ とが 分 か る。表‑4に は 各 要 素 の 要 素 面積 とひ ず み と要 素 面積 の相 関係 数 も合 わ せ て示 して い る。 ひ ず み と要 素 面 積 の 相 関 係 数 もほ ぼ0で. 、. 無 相 関 で あ る とい え る。 次 に 、要 素 面 積 がMoran's Iに. 与 え る影 響 につ い て 検 討. す る。 式(1)に お い て 、 重 み を 次 式 で 算 定 す る こ と で 、 Moran's Iに 要 素 面積 を 考 慮 した。. (5) Case1の6‑7段. 階 で のMoran's Iに つ い て 、要 素 面 積 を考 慮. しな い場 合 と考慮 す る場 合 の比 較 を図‑15に 示 す 。 両者 は ほ ぼ 一 致 して お り、 要 素 面積 がMoran's. Iに 与 え る影 響 は. ほ とん どな い こ とが わ か る。 以 上 の検 討 結果 よ り、本 研 究 に お け るひず み の統 計 解 析 に 要 素 面積 が 与 え る影 響 は ほ とん どな い とい え る。. 参考文献 1) Han, C., Vardoulakis, I.G.: Plane-strain compression experiments on water-saturated fine-grained sand, GeotechniqueVol.41,No.1,pp.49-78,1991. 2) Han, C., Drescher,A.: Shearbands in biaxialtests on dry coarsesand,Soilsand Foundations,Vol.33,No.1, pp.118-132, 1993. 3) Yoshida,T., Tatsuoka,F., Siddiquee,M.S.A., Kamegai,Y., Park, C.S.: Shearbanding in sands observedin plane strain compression,Localizationand BifuractionTheory for Soils and Rocks,pp.165-179,1994. 4) Finno, R.J., Harris, W.W., Mooney, M.A., Viggiani,G.: Shear bands in plane strain compressionof loose sand, Geotechnique,Vol.47,No.1,pp.149-165,1997. 5) Alshibli,K.A.,Sture,S.: Shearband formationin plane strain experiments of sand, Journal of Geotechnical and GeoenvironmentalEngineering,Vol.126,No.6, pp.495-503, 2000. 6) Desrues,J., Viggiani,G.: Strain localizationin sand: an overview of the experimentalresults obtained in Grenoble using stereophotogrammetry,International Journal for Numericaland AnalyticalMethodsinGeomechanics,Vol.28, pp.279-321,2004. 7) Cundall,P.A., Strack,O.D.L.: A discretenumericalmodel for granular assemblies. Geotechnique, Vol.29,No.1, pp.47-65,1979.. •\ 505•\.
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(11)
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