新保険法の課題と展望:はじめに
⎜⎜ 平成21年度大会シンポジウム ⎜⎜
総合司会 竹 濵 修
本シンポジウムは,2008年5月30日に成立し,6月6日に公布された 保 険法 の2010年4月1日施行に向けて,今後検討されることを要するいくつ かの重要論点を取り上げ,法的な考察とともに,保険学の見地からも考察を 加え,新法の実施をより実りあるものにすることを目的とする。日本保険学 会においては,平成19年度大会の共通論題 保険契約法の現代化と保険事 業 (総合司会・井口富夫教授)が開催され,ここでも保険法が検討されて いる。この段階では,法制審議会保険法部会の中間試案が公表され,なお保 険法の内容の審議が進められていた。今回は,成立した保険法に関する議論 を行なうものであり,その意味で,本学会では,新保険法に関する初めての シンポジウムである。
保険法は,民事基本法の一つとして,多くの市民が日常的に関係する保険 契約について,現代的な法のルールにするべく抜本的な改正を行った。従来,
重要な保険種目でありながら,法典上に十分な規律がなかった責任保険や傷 害疾病保険が明確に条文化され,消費者保護の観点や高齢化社会への対応を はじめ,保険の健全性の維持を図ることを目的とするルールなど,新しい考 え方や制度を導入して,これまで議論されてきた課題について現代的な解決 を示している。しかし,保険法は,保険契約のすべての問題について,その 解決を法律の規定として作り上げてはおらず,なお本法の解釈や実務の進展 に委ねている問題もある。この部分については,実務の考え方が当面は先行
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*平成21年10月24日の日本保険学会大会(龍谷大学)報告による。
/平成21年11月25日原稿受領。
【平成21年度日本保険学会大会】シンポジウム 新保険法の課題と展望
して実施されることとなろうが,今後は,その適否が裁判例となって法的に 審査されることもありうる。本シンポジウムでは,そのように解釈上問題と なりうるポイントをいくつか取り上げるともに,新保険法の経済的観点から の評価も加えて,検討を深めることとしている。
本シンポジウムの報告は,報告者の関心にしたがって重要問題を取り上げ,
総論的課題,損害保険の課題,生命保険・傷害疾病定額保険の課題,そして 保険理論から見た保険法の課題が順に論じられる。その上で,保険法の立案 担当官を務められた方の意見を交えて,まず,報告者間の議論をし,さらに シンポジウムに参加された会員諸氏との質疑を行い,議論を深めることを目 指している。本シンポジウムが,保険法の課題と今後の展開について学問上 および実務上,多少とも寄与することができれば幸いである。
最後に,この企画段階からシンポジウムの実施に至るまで,いろいろご協 力,ご配慮を頂いた日本保険学会大会関係者各位,ならびに当日,熱心に参 加を頂いた会員の皆様に,改めて厚く謝意を表したい。
(筆者は立命館大学法学部教授) 新保険法の課題と展望:はじめに
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