日本の海外進 出製造企業 における 地域統括本社の研究
一地域統括本社の視点か ら‑
( 課題番号
08630107)平成
8年度 〜平成
9年度科学研究費補助金 基盤研究
(C)(2)研究成果報告書
平成
10年 3月
研究代表者 森 樹男
( 弘前大学人文学部助教授)
は じめに
本研究は, E ] 本の多国籍企業が設立 している地域統括会社 についての研究である 。 この地域統括会社 に関する研究は,従来地域統括本社の研究 として研究 されてきた ものを,発展 させた ものである 。 本研究の課題名が地域統括本社の研究 となっている のは,研究計画の段階で地域統括本社の研究がなされていたためである 。 したがって, 本研究 を遂行 していく過程で,地域統括本社 の研究か ら地域統括会社の研究 に発展 し ていった ものと考 えて もらいたい。
本研究では,アンケー ト調査 を中心 にデータを収集 し,地域統括会社 についての研 究 を深めることができた。その成果は,いくつかの学会や研究会 において報告 をお こ ない,数々の貴重な ご意見 をいただ くことができた。それ らを参考 にし,論文 として 発表す ることもできた。それ らについては,本報告書の中に納めてある 。 また,アン ケー ト調査の内容 について も,後半部分 に納めてある
。本研究 の当初 の目的はい くつかあったが,それが どれだけ達成 されたか といわれ る と完全 に達成 された とはいえない。しか しなが ら,確実 にいくつかの目的は達成 して いると考 えている 。 達成 されなかった ものについては,この研究期間が終了後 も引き 続 き研究 をお こない,何 らかの結論 を出 していきたいと考 えている 。
最後 になったが,本研究 において,アンケー ト調査,及びイ ンタビューな どにご協 力いただいたみなさまにこの場 をか りて感謝 の意 を表 したい。あ りが とうございまし た。
平成
10年
3月
研究代表者 森 樹男
研究組織
研究代表者 : 森 樹 男 ( 弘前大学 人文学部助教授)
研究経 費
研究発表
平成
8年度 平成
9年度
計
900
千 円
400
千 円
1,300
千 円
( 1) 学会誌等
森 樹 男 「日本 の海外進 出企 業 にお ける地域統括本社制 の現状 と問題点
」『 現 代経営学 の課題 経営学論集
67』日本経営学会編 ,
1997年
9月,
pp.228‑235,千倉書房
森 樹男 「 地域統括会社 の視点 か ら見 た 日本企 業 の地域統括 」 『国際 ビジネス 研究学会年報
1998年
』1988年
11月( 発表予定)
(2
) 口頭発表
森 樹 男 「 地域統括会社 の視点 か ら見 た 日本企業 の地域統括」国際 ビジネス研 究学会第
4回全 国大会 ,
1997年
11月
9日
森 樹男 「 わが国多 国籍企 業 にお ける地域統括会社」東 北学 院大学経理研究所 第
9回研 究会 ,
1997年
12月
6日
森 樹 男 「 シ ンガポール にお ける 日本企 業 の地域統括会社」多国籍企業研究会
西部部会 ,
1998年
2月
14日
目 次
は じめに
研究組織,研究経費,研究発表
研究 目的
研究成果
1.
日本 の海外進 出企業 における地域統括本社制 の現状 と問題点 …. …‥…
42.
地域統括会社 の視点か ら見た 日本企業の地域統括
3.
わが国の多国籍企業における地域統括会社 の実態
4.
シンガポール における 日本企業の地域統括会社
アンケー ト調査結果
1.
調査報告
2.
アンケー ト集計結果
研究 目的
われわれは, これ まで多国籍企業の組織 に関心 をもって研究 を進めてきた。
そのうちの一つは, 文献サーベイによる多国籍企業の多極構造 に関する研究である 。 これは,スウェーデ ンのウプサ ラ大学 を中心 とす る研究グループによる多国籍企業の 研究 を基礎 にしたものである。われわれは これを理論的な基礎 にして,日本の多国籍 企業における世界三極体制 の可能性や効果について検討をお こなってきた。
一方,われわれ寸 ま実証的な研究 もお こなってきた。その代表的な ものとして,
1995年度 にお こなった 日本 の海外進出企業における地域統括本社の研究がある。 これは, ( 卿関西生産性本部の協力を得てお こなわれた 「 海外進 出企業における地域統括本社 に かんす るアンケー ト調査」をもとにした ものである。この調査は,日本の多国籍企業 の 「 親会社」を対象に,地域統括本社制の実態 を明 らかにしようとした ものである。こ の調査か らは,①かな りの規模 をもった地域統括本社が存在 している,②地域のア ド ミニス トレー ション機能やスタッフ機能の統括な どの面で成果があがっているが,ラ イン機能の統括の面では成果があがっていない,③成果があがっていない企業の中に は,地域統括本社の位置づけが暖味であ り,地域統括本社の存在意義が問われている,
ことな どが明 らかになった。
しか しなが ら,このような研究は 日本の本社の視点か ら見た研究であ り,必ず しも 実際の現場である地域統括会社の視点 を反映 していないという限界があった。
本研究は,このような研究の限界 を克服す るために計画 されたものである。すなわ ち,地域統括会社の視点か らの研究である。これによ り,先の研究における 日本本社 の視点か らの調査 と比較が可能 とな り,本社 と地域統括会社の間の意識のギャップか ら地域統括マネジメン トにおける問題点が明確 にす ることが可能 となる。
また,研究対象 を海外進出をお こなっている製造企業に絞 り,これ までやや もすれ
ば分散 しがちだった地域統括マネジメン トにかんす るイメージを明確 にす ることも計
画 された。そ して最終的には,日本の多国籍企業における地域統括会社,とくに製造
業の地域統括マネジメン トのモデル を構築す ることを目的 としている0
2
研究成果
1
.日本の海外進出企業 における地域統括本社制の現状 と問題点
2.
地域統括会社の視点か ら見た 日本企業の地域統括
3.
わが国の多国籍企業 における地域統括会社の実態
4.
シンガポール における 日本企業の地域統括会社
【 研究成果
1】
は じめに
日本の海外進 出企業 における 地域統括本社制の現状 と問題点
1980
年代後 半よ り, 多 くの 日本 の多 国籍企業が世界経済 のブ ロック化 に対応す る形 で地域統括本社 を設立 した。世界三極体制 とは, この地域統括本社 を北米,欧州,ア ジアに設立 し,世界本社 (日本本社)がそれ らを統括す る とい うもので あった。 日本 企業 は, このよ うな構想 の もとで,地域完結型経営 を 目指 したので ある。
しか し,企業 を と りま く経営環境 が変化 し, 日本 の多 国籍企業 による地域統括本社 制 は行 き詰 ま りを見せ るよ うにな って きた。
この地域統括本社 は何 を 目的 とした ものな のだ ろうか,また,現在 どのよ うな状況 にあるのだ ろ うか。われわれ は このよ うな 問題意識 の もとに, 日本 の多 国籍企業 にお ける地域統括本社 にかんす るア ンケー ト調査 をお こな った
1。本稿 の 目的は,このア ン ケー ト調査 とそ の後 の若干 のイ ンタ ビュー調査 を もとに,日本 の多国籍企 業 にお ける 地域統括本社 の現状 と問題点 につ いて検 討す る ことで ある。
1
・アンケー ト調査か ら見た地域統括本社の概要
どれ くらいの 日本企業が地域統括本社 を設立 して いるのだ ろ うか。
われわれ のア ンケー トによる と,地域統括本社 を設立 して いる企業 は
43社 ( 回答企
褒 1 地域統 括本社 の規模 ( 社) 衰 2 地域 統 括 本社 が統 括 す る現地 法 人数 従 業 月数 北 米 欧 州 ア ジ
1 0 人未満 1 6 1 ア
5 8
2 0 人未満
4 3 1
3 0 人未満 3 1 1 4 0 人未満 0 2
0
5 0 人未満 3
0 1
1 0 0 人未満 3 1 0
1 0 0 人以上
3 2 3
不 明 3 3 5 2 4 8 1 3 7 出所 ;( 財)関西生産性本部 頼 ( 1 9 9
6 )
r日本企業
の地境統括本社 制 海
外進 出企業におけ る地境統括本社に関す るア
ンケー ト調査
報告 書Jp . 3 4
。北 米 欧 州 ア ジア 1‑ 5 社 1 5 1 2 7 6‑1 0 社 8 5
4 l l‑1 5 社 5 3
2 1 6‑2 0 社 1 2 0
21 社 以上 3
4 2
不 計 明 3 3 5 2 2 2
8 1 7
出所 : 義 ( 1 9 9 5 ) 「日本の海
業の内 37%) であった。また,この うちいわゆる世界三極体制 を構築 している企業は
12社であった。
つぎに,日本企業が地域統括本社 を設立 した時期 についてみてい く 。 われわれの調 査では,
1980年代後半か ら地域統括本社 の設立が急増 して いることが明 らかになっ た。とくにアジアにおいては
1990年代 にはいってか ら増加 していた。また,その設立 理 由は,日本企業の海外展 開が本格化 し,現地法人数が増 えた ことによる効率的な管 理 をお こな うためであるとか,
EU,
NAFIA,
AFrAといった地域主義 の台頭 に対応 す るためであった ことがわかった。
では,地域統括本社 の規模 についてはどうだろうか。表
1は, 日本企業の地域統括 本社 の規模 を従業員数か らみた ものである 。 これ をみ ると,従業員数
100人以上の地 域統括本社が北米で 3社,欧州で 2社,アジアで 3社 あ り,かな りの規模 の地域統括 本社が存在 していることがわかる 。 一方,表
2は,統括す る現地法人数か ら地域統括 本社 の規模 をみた ものである。これ をみ ると,現地法人を
21社以上統括す る大規模な 地域統括本社が北米で
3社,欧州で
4社,
アジアで 2 社あることがわか る。
最後 に,地域統括本社 の機能 につい てみてい く 。 表
3は,日本企業の地域統 括 本社 の機能 をま とめた ものであ る。
全体的 にみ ると,地域 のア ドミニス ト レー シ ョン機能 ( 当該地域 の情報収集 活動, 日本本社 のグ ローバル戦略 と地 域 戦 略 の調 整 な ど), ス タ ッ フ機 能 ( ファイナ ンス業務 の統括,人事 ・労務 業務 の統括,法務関連業務の統括な ど) が多か った。一方,アンケー ト調査で回 答 の少なかった項 目は,「 生産活動の統 括 」 な ど ライ ン機 能 に 関す る もの で あった。
喪 3 地境統括本社の機能( 複数回 答)
北米 欧州
1 .当該地域の情報収集活動 22 21 2. 日 本本社のグローバル戦略と 地域戦 22 22
略の調整
3. ファイ ナンス業務の統括 2 2 1 4 4. 傘下現地法人にたいするモニタリン 20 1 9
グ・ 提督指導
5. 持ち株会社
6. 地域内の運営に関する意思決定
7. 日 本本社‑の意見の具申
8. 人事・ 労務業務の統括
9. 法務関連業務の統括
1 0. 情報システムの統合
l l. 新規事業の立ち上げの支援
1 2. 販売活動の統括
1 3. 当該地域内にある各国政府との折衝
1 4. 当該地域内での広報活動
1 5. 地域にたいする貢献の計画,実施
1 6. 経営理念の普及活動
1 7. 物流・ 流通業務の統括
1 8,R
&D活動の統括
1 9 .原材料・ 部品調達糞務の統括
20. 生産活動の統括
21 .現地企業との産業協力や補完関係の
推 進
22 ,地域内での環境対̀ 策の計画,実施
23. 日 本本社と海外現地法人をつなぐた んなるリ エゾン・ オフィス
24. その他
0 2 7 1 r: : :
1 9 9 5 1 7 1 9 1 2 1 7 1 8 9 1 5 1 2 7 1 5 8 5 1 4 1 4 6 1 2 7 6 11 1 5 9
8 5 5
8 7 4
8 4 7 6 6 7 4 6 3 3 3 6 3 2
2 3 2 1
.4 4 2 3 3 4 3 3 0
0
00
山所 二表
2
に同 じ。p. 8 2
。2.
地域統括本社の成果
表
4,表
5は 日本企業の地域統括本社 を設立 して,成果があった点 と,成果のなかっ た点 をまとめた ものである 。
全体的にみると,地域統括本社 を設立 して成果があった点 としては,「 グローバル戦 略 と地域戦略の調整
」「 地域 内運営 にかんす る意思決定」といった ことや,「 ファイナ ンス業務 の統括
」「 販売活動の統括」な どがあげ られ る 。
一方,成果の上が らなかった点は,情報 システムの統合や原材料 ・部品調達業務の 統合であるとか,傘下現地法人のモニタ リング,グローバル戦略 と地域戦略の調整,そ
して生産活動,販売活動,
R&D活動の統括な どがあげ られ る。
このように,成果のあった点 としては,ア ドミニス トレー ション機能やスタッフ機 能が多 く,成果のなかった点 としては, ライ ン機能が多 く指摘 され る傾向にあった。
表 1 地域統括 本社 の成果 が あ った点 ( 複数回答) 北米 欧州 ア ジア 1. 日本本社 の グローバ ル戦 略 と地域戦 1 6 1 7 1 0
略 の調整
2. ファイナ ンス業務 の統 括 1 3 8 1 3. 地域 内の運営 に関す る意思決定 1 2 1 5 7 4. 傘下 現地法 人にたいす るモニ タ リン 1 0 1 2 6
グ ・軽骨指 導 5. 版 売活動 の統 括 6. 当該 地域 の情報収集 活動 7. 人事 ・労務 業務 の統 括 8. 法務 関連業務 の統括 9. 日本本社へ の意見の具 申 1 0. 持株会社 としての機能 ll.情報 システムの統合 1 2. 新規事 業 の立 ち上 げの支援 1 3. 経営理 念の普 及
1 4. 物流 ・流通業務 の統括 1 5. 当該地域 内での広報活動 1 6. 地域 に たいす る貢献 の計画,実施 1 7. 生産 活動 の統 括
1 8. 当該地域 内に あ る各 国政府 との折衝 1 9.R& D 所動 の統括
2 0 ,原材料 ・部 品調達 業務 の統括 2 1.地 域 内での環境対策 の計画,実施 2 2. 現地 企業 との産業協 力や補 完 関係 の
推進
1 0
0 0 9 8 CE) 7 7 6 5 5 5 4 4 2 2 2 2 1 1 8 5 7 2 6 2 5 3 4 2 2 2 3 3 0 2 2 2 「
2 9 7 2 9 2 9 4 4 5 4 2 1 1 3 1 1 1 1
2 3. 日本本社 と海外 現地 法 人 をつ な ぐた 2 1 0
ん な る リエ ゾン・オフィス としての機
能
2 4. その他 0
出所 :表2に同 じ
.p . 8 3 .
」 ̲ ̲」 」
喪 5
地蛾 統括本社 の成果 が でなか った点 ( 複鼓回答) 北米 欧州 ア ジア 1.情報 システムの統合
2. 原材料 ・部 品調達業者 の統括 3. 傘下現地法 人にたいす るモニ タ リン
グ ・経営婚導
4. 日本本社 の グローバ ル戦略 と地域載 略の調盤
5. 生産活動 の統括 6,R& D 活動 の統括 7. 販売活動 の統 括 8. ファイナ ンス薫藩 の統 括 9. 法務関連教 務 の統 括
1 0. 地域 内の運営 に関す る意思決定 ll.物流 ・流通業務 の統 括 1 2. 新見事業の立 ち上 げの支援 1 3. 当該地域 内での広報 活動 1 4. 持株会 社 としての機 能 1 5 ' .当該地域 の情報収集活動 1 6. 人事 ・労務 業務 の統括
1 7. 当該地城 内にあ る各 国政府 との折衝 1 8. 地域 内での環境対策 の計画, 実施 1 9. 地域 にたいす る貢献 の計画,実施 2 0. 逢管理 会の普及
2 1.日本本社 ‑ の意見 の具 申
2 2. 現地企業 との産業協 力や補 完関係 の 推進
4 2 2 1 0 1 1 1 l 1 0 1 1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0
2 2 1 1 1 1 0 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0
1 1 1 1 0 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
2 3. 日本本社 と海外現地法 人 をつ な ぐた 0
んな る L )エ ゾ ン・オ フィス と しての機 能
2 4. その他 00
出所 :表
2
に同 じ。p . 8 4
。3.
地域統括本社の抱える問題
( 1地 域完結型経営を 目指 した地域統括本社制
日本企業の地域統括本社制では,「 地域完結」という言葉がキー ワー ドになっている 。
はた して, この 「 地域完結」型経営 は うまく進んでいるのだろうか。
ホンダは,グローバルな資金移動が地域の 自立化 によって難 しくなってきていると いう 2 。ホンダは これ まで,日本で資金需要が高まった ときには,配 当性向を高めた り, 車両の輸出価格 を高 く設定 して, 日本側 に利益 を多 く割 り振 るように調整 してきた。
ところが,北米地域の 自立化が高 まるにつれて,現地社員 の側か ら,なぜそ こまで 日 本側 に貞献 しなければな らないのか という疑 問が出てきているという 0
筆者が企業へイ ンタ ビュー した結果では,「 地域完結」 型経営 という言葉は現在あま り用 い られていなかった。ある企業では,「 地域完結」型経営 という言葉か ら,「 最適 地生産」とい う言葉 に軌道修正 をしている。また,情報通信技術 の発達 によ り事業活 動のグローバルな展 開が急速 に進んだ結果,地域単位で事業 を考 えることが本 当に必 要か どうか, という疑 問も生 じてきているよ うである 。
では,なぜ 日本企業は 「 地域完結」型経営 を目指そ うとしたのか。
この背景 には,成長神話があった。すなわち,日本経済が好調であ り,また北米,吹 州,アジア といった各地域の経済 も順調 に拡大 してい くという神話である 。 そのよ う な前提 のもとに,日本企業は各地域 に地域統括本社 を設立 し,地域完結型の経営 を目 指 したのである。このような成長神話が現実 のものとな っていた場合,地域完結型経 営は非常 に容易であった。つま り,各地域が成長す るとい うことは各地域で利益 を上 げることを可能 にし,地域間での利益調整 という問題が発生す ることはなか った。こ のため地域 の独立性 を維持 しやす くなると考 え られたのである
。ところが,日本経済 が不況 に陥 り, 日本本社が苦境 に陥ると話 は単純 に進 まな くなった。すなわち,日本 本社で利益が出な い分 ,その損失 を他の地域 の利益で補 うことになったか らである。
このような ことか ら,地域の独立性 を維持す ることが困難 になったのである 。
以上のよ うに,地域統括本社制のもとでの 「 地域完結」型経営は,経営環境の変化
によって行 き詰 まっていったのである 。
(2)
あいまいな地域統括本社の位置づけ
日本企業の地域統括本社の位置づけもあいまいである
。まず,地域統括本社 と製品事業部 との関係か らみていく。
各社 とも,生産 に関 しては製品事業部の影響が非常 に強い。われわれの調査で も海 外現地法人の報告先 として地域統括本社のみ という回答は非常 に少な く,ほとんどの 会社が,地域統括本社 と海外事業部,もしくは製品事業部 に報告 をお こなっていた。ま た,地域における企業活動に関す る意思決定の面で も,地域内の運営についてすべて 地域統括本社で決定 している企業は少な く,製品事業部の影響が大 きい企業が多 く
あった。
筆者が企業にインタビュー した結果で も, 製品事業部の影響が強 いことがわかった。
ほとんどの企業ではまず製品事業部のグローバル戦略が第一であ り,地域戦略はその つぎであった。企業 によっては,製品事業部 と現地法人の間で決 まった ことが,地域 統括本社 に事後報告 され るという事態が生 じることもあるという
。また,親会社 における地域統括本社の位置づけもあいまいな ことが多い。これは地 域統括本社制 を企業全体 のプロジェク トとして進めるか,国際事業部のなかで進める かによって生 じて くる問題で もある。 企業全体のプロジェク トとして進めた場合には,
日本本社や製品事業部 において もある程度地域統括 について認知 され ることにな り, また地域統括本社 の 日本本社 における受け皿 もでき,組織的には問題は生 じない。と ころが,国際事業部において地域統括本社制 を展 開す るとさまざまな問題が生 じて く る。とくに,国際事業部が海外販売のみを担 当 していた場合,地域統括本社で地域 内 の事業 をすべて統括す るとな ると,国際事業部の守備範囲を超えて しまうのである 。 すなわち,これまで海外販売 を担 当していた組織のもとに生産 を統括す る組織 をもつ ことによる矛盾である 。 また,国際事業部主導でお こなってきたために,企業内部で の地域統括 にかんす る認知度が低 いことも問題 となる。一事業部のや っていることと 片づけ られて しまうのである。さらに,本社 において地域統括本社の受け皿がないと いう問題 も生 じて くる
。すなわち,地域統括本社の社長はどこに報告 をすればいいの かがあいまいになって しまうのである。ある企業では,そのためにわざわざ担 当役員 を作 った ぐらいである。
このように日本企業の地域統括本社 の立場は,日本本社,製品事業部,現地法人の
図 1 地域統括本社制 の イメー ジ 従来のイメージ
nQ‑本社, f
ulQ‑地域競括本社
現実のイメージ
間にあって非常にあいまいな ものとなってい
る。図 1 は,地域統括本社のイメージを あ らわ している
。左の図は従来の地域統括本社
制のイメージである
。一方,右の図は, われわれの調査の結果か ら導かれた地域統括
本社のイメージである。ただ し,ここで はさまざまなパター ンを
1つの図に表 してい
る
。また現実には,現地法人間のつなが りであるとか,地域 を越えたつなが りなどが
あるが,ここでは省略 し,地域統括本社 の位置づけがさまざまである様子 をイメージ
している。われわれはこの図で,日本企 業の地域統括本社は小さな存在なが らその役
割 を遂行 していた り ( 統括),地域のグ ループの一員 として存在 していた り ( 調整),
本社 ・製品事業部 と現地法人の情報経路 か らは じき出されて しまっている
場合 ( 疎外) もあることを描いている。
日本企業の地域統括本社はなにをす る組織
なのか,その位置づけがあいまいなまま 運営されているのが実状である。しか しなが
ら,この地域統括本社 をな くす という話 は聞かない。日本の多国籍企業はいま,この地域統括本社 をどう活用 しよう
か暗中模 索 している段階なのである まとめ 以上のような考察 を通 して,われ
。われは次のような結論 に達 した。すなわち,日本 の多国籍企業が このような問題 を抱
えることになった最大の理 由は,世界三極体制 と いう形か ら各社が入 って しまった と
いうことである。つま り,企業全体 としての実力 がともなっていないのに大きな構想
を進めて しまったのである
。日本の多国籍企業は
現状では製品事業部のグローバル化 に力をいれてお り,地域
では,地域統括本社は必要ないのだろうか。筆者は現段階では地域統括本社の必要 性はあまりないが,地域 における統括機能の必要性はあると考 えている。これには
2つの理 由がある。一つは,機能 によっては地域統括の必要性 を認めている企業が多い
ことである.もう一つは,地域統括本社制は,本社の改革 と切 り離 して考 えることは できないということか ら導かれ る。つま り,本社 のス リム化が進めば,日本以外 の場 所でお こなった方がよいと思われる統括機能は現地 に移転され る可能性がでて くると
いうことである。
このような ことか ら,われわれは地域統括の必要性は十分 にあると考 えている。た だ し,ここでいう地域統括 とは,地域統括 「 本社」による地域統括ではな く,統括 し て意味のある部分だけを統括す るというものである。
そ して,われわれは この地域 における統括機能 について検討す ることが今後の研究 課題だ と考 えている。
巻末注
1.このアンケー トの調査 目的は 「わが国の代表的な多 国籍企業 によって採用 されている地域統括本社制 の実態 を把握 し,そ の特徴 と問題点 を探る」ことにあった。また,調査 内容は 「地域統括本社の設立 状況」,「地域統括本社の概要」,「地域統括本社の成果」な どである。調査対象は,日本の海外進出企 業490社 (お もに海外現地法人を5社以上設立 している企業)である。調査時期は1995
年
4月〜5月,回収数は115社 (回収率23.47%)であった。なお,調査 の詳細 については,㈲関西生産性本部
(1996年)『日本企業 の地域統括本社制 海外進 出企業 における地域統括本社 に関す るアンケー ト調 査報告書』,森樹男 (1995年)「日本 の海外進出企業における地域統括本社制 の現状 と課題」『弘前大 学経済研究』第18号,pp.75‑89 を参照の こと。
2.日経BP社編 (1996
年)
「米国ホンダ独立宣言 そ の可能性 と限界」『日経 ビジネス』1996年
5月13日号,pp.22‑310
( 本稿は, 日本経営学会編 『 現代経営学の課題 経営学論集第 67集』に所収 された も
のである)
【 研究成果
2】地域統括会社の視点か らみた 日本企業の地域統括
は じめに
日本の多国籍企業のうち,いくつかの企業は地域統括会社 を設立 し,地域における マネジメン トをお こなっている
。われわれは この地域統括会社 にこれまで強い関心を 抱き,いくつかの研究 を行 ってきた。そ して,そ こにはさまざまな組織的な問題 を抱 えていることもわかってきた。しか しなが ら,これまでの研究は,お もに日本の親会 社 を対象 とした研究であ り,地域統括会社 自身を対象 としたものとはいえなかった。
すなわち,地域統括会社の視点か らの研究がなされてなかったのである
。そ こでわれわれは,地域統括会社の視点か ら日本企業の地域統括 について研究す る ことを計画 した。本稿は,地域統括会社 を対象 にお こなったアンケー ト調査 による データをもとに,日本の多国籍企業による地域統括 について検討 したものである
。し たがって,本稿の目的は,日本の多国籍企業の地域マネジメン トについて地域統括会 社の視点か ら検討す ることである
。なお,本稿でいう地域統括会社 とは,北米,欧州,アジアという地域 をマネジメン 1 トの対象 とし,域内の現地法人の事業活動を統括 ( 統合),調整,支援などをお/ とな う 組織のことを指 している
。1 .研究の背景
われわれは,
1995年 に 「 海外進出をお こなっている日本企業の地域統括本社に関す るアンケー ト調査」( ㈲関西生産性本部 『日本の地域統括本社制 海外進出企業におけ る地域統括本社に関す るアンケー ト調査報告書
』1996年)をお こなった。この調査は, 海外 に進出している日本企業の 「 親会社」を調査対象 とし,地域統括本社制の実態 を 明 らかにしようとしたものである
。この調査か らは,①かな りの規模 をもった地域統 括本社が存在 している,②地域のア ドミニス トレーション機能やスタッフ機能の統括 などの面で成果があがっているが,ライ ン機能の統括の面では成果があがっていない,
③成果があがっていない企業の中には,地域統括本社の位置づけが暖味であ り,地域
統括本社 の存在意義が問われている, ことな どが明 らかになった。
その後,われわれはいくつかのイ ンタビュー調査 をお こない,上述の結果 について さらに考察 を進めてきた。そ こか らわれわれは,次のような認識 を持つようになって きた。すなわち,日本企業の地域統括本社制は,世界三極体制 という形か ら入 った こ とによ り,多 くの問題 を抱えている。しか しなが ら,地域統括マネジメン トの必要性 はある。そ こで, 日本企業は地域統括 「 本社」という大がか りな組織 を設立す るよ り ち,現時点では地域統括 「 会社」を設立 し,地域単位で統括す ることによって効果の あ りそ うな部分 を統括す るという形 を指向 しているのではないか,ということである。
以上が,これ までの研究の経緯である
。しか しなが ら,これ らの研究 にはいくつか の限界 もあった。それはまず,これ らの研究はすべて 日本の親会社 を対象にお こなっ てきたものであった ということである。つま り,そ こには地域統括 をお こなっている 当事者の視点が抜けているという限界があった。また,前回のアンケー ト調査は回答 が煩雑であ り,やや回答の精度 に欠けたのではないか ということである。つま り,前 回のアンケー ト調査では,一度 にすべての地域のことについて尋ねた ということであ る。
そ こで今回,われわれは北米,欧州,アジアのそれぞれの地域 にある地域統括会社 に直接アンケー トをお こない,地域統括会社の視点か ら日本企業の地域統括 を検討す ることにしたのである
。2.
地域統括会社 に対するアンケー ト調査の概要
本調査の 目的は,日本の代表的な多国籍企業 によって設立されている地域統括会社 ( あるいは地域統括機能 をもつ現地法人)を対象 にアンケー ト調査 をお こない,地域枕 括の実態 を把握 し,その特徴 と問題点 を探 ることにある。
また,調査 の内容は地域統括会社 の概要,地域統括会社のマネジメン ト組織,地域 統括会社 の費用,地域統括会社の成果,地域統括会社の今後の展開である。
調査対象の企業は280社である 。 これ らの企業は次の方法で選択 した。まず,『 海外
進出企業総覧 ‑ 96 国別編』( 東洋経済新報社)において,事業内容 に 「 統括」が含 ま
れている企業 を選んだ。また,企業によっては持ち株会社や ファイナ ンス関連の現地
法人が統括 をお こなっている可能性 もあるので,これ らの地域統括会社の可能性 をも
表
1分析対象企業の内訳 ( 回答のあった統括会社)
北米 欧州 ア
シや
ア 調査対象 本社 統括 本社 統括
本社 統括 電気 .電子
7 5 5 5 7 6
自動車 .部品
4 3 3 3 1 0そ の他製造
11 7 9 81 2
非製造
13 3 11 5 8 4
計
35 18 28 21 17 12注)調査対象 の本社 とは
95年 の本社 に対する調査 の ことで あ り,
統括 とは 97 年 の統括会社 に対するアンケー ト調査の こと。
つ企業 も選択 した。 そ し
て同じ地域で複数の現地法人が選択 された企業は 1社に絞 り, また所在地が不明なもの
を除いた。最終的に,発送企業数は合計で
280社 となった。
この内訳は,北米地域が
112
社,欧州地域が
114社,アジア地域が
54社である
。な お, この調
査は
1997年
2月
〜3月にかけて郵送によってお こなった。
この調査の最終的な回収数
は全体で
68社 ( 回収率
24.3%)であった。地域別 に見 る と,北米地域は
22社 ( 回収率
19.6%),欧州地域は
30社 ( 回収率
26.3%)
,アジア地 域は ところで,以上の回
16社 ( 回収率
29.6%)である。
答のあった企業のうち,実際に地域統括会社はいくつあったの だろうか。表 1は回答
のあった企業のうち,地域統括会社 という回答のあった企業を 示 している。なお,表
1の調査対象にある本社 とは
95年の親会社に対するアンケー ト 調査の結果を示 したものであ り,統括 とあるのは今回の統
括会社に対す るアンケー ト 調査の結果 を示 したものである この表 1か らは,今
。回の調査 における地域統括会社 ( 分析対象企業)は,北米地域 では
18社,欧州地域では
21
社,アジア地域では
12社 となっていることがわかる
。ま た,
1995年 にお こなった調査 と同じ企業か らの回答は,北米地
域は
8社,欧州地域は
12
社,アジア地域が
3社であっ
3.
以下では,アンケー ト調査の結果か ら地域統括 アンケー ト調査の結果か らみた地域統括会社の特徴 た。
会社の特徴 を見ていくことにす る0
( 1地 域統括会社の規模 まず,地域統括会社の規模についてみていくことにす る。表
2は,地域統括会社
表
2地域統括会社の従業負数の平均 ( 人)
北米 欧州 アシ
やア
調査対象 本社 統括 本社 統括
本社 統括 統括機能
担当者のみ
統括会社全体
248.‑ 11 0122.5.0 32.1 8 37420.4 74.0 44.15.21
表
3傘下現地法人数の平均 ( 社)
北米 欧州 アシ †ア
調査対
象 本社
8.統括 本社 統括 本社 統括
4 9.8 10.6 12.4
l
l.5 16.0従業員数の平均を示 したもので
ある。また,この表 にある 「地域統括機能担当者のみ」
というのは,実際に地域統括
業務 を担当 している人数の平均を示 している
。
そ して,「地域統括会社全体」は,他の業務 も含ん
だ地域統括会社全体の従業員数の平均 を示 し ている。この表 を見 ると,地域統括 をお
こなっている人数の平均は,北米地域で22.1人,吹 州地域で37.4人,アジア地域で1
5.1人であることがわかる。このうち101人以上の 規模をもつ地域統括会社は,北
米地域では伊藤忠商事1社,欧州地域では,横河電機, 日産 自動車,本 田技研工業の
3
社であったが,アジア地域には存在 しなかった。なお, 前回調査 との数字の開きは,大規模な統括会社か
らの回答企業が少なかった ことなど も影響 している。また,前回の調査 において
も回答のあった企業同士を比較 してみると,人数は微増 してい
る企業が多 くあったが,大きな変化はみ られなかった。
つぎに統括する現地法人の
数で,地域統括会社の規模を見ていくことにする。 表3 は,地域統括会社の傘下にある
現地法人数の平均をあ らわ している。これをみると,北 米地域では9.8社,欧州地域では1
2.4社,アジア地域では16.0社であることがわか る。また,その内訳は 北米
地域では生産関連の現地法人が,欧州地域では販売関連 の現地法人が,そ してアジア地域では生産関連の現地法人が中心 となってい
ることが わかった。
( 2)
地域統括会社の設立理由つぎに,日本企業はなぜ地域統括表
4地域統括会社の設立理由 ( 複数回答)
北米 欧州 ア
調査対象 本社 統括 本社 統括 ジア
本社 統括 増大 した現地法人を効率的に管理す るため 79% 50% 71% 5
7% 82% 50%
地域単位で戦略を立案する必要が生 じたため ‑ 50
% ‑ 760 0 ‑ 67%
経営の現地化 を促進す るため 35% 5
0% 36% 29% 53% 42%
地域での経営活動 を拡大す るための拠点 を 29% 32% 39% 17% 29% 57% 43% 24% 41% 59% 25% 75%
必要 としたため 地域経済圏の形成 に対応す るため
現地法人か ら地域統括 の要望が出されたため 30 0 60 0 0
% 0% 0% 0%
その他 3% 6%
4% 10% 0% 8%
は,地域統括
会社の設立理 由をあ らわ している。これをみると,「 増大 した現地法人を 効率的に
管理す るため
」という項 目において各地域 とも前回の調査に比べ,かな り低 くなっている
ことがわかる。また,「 地域単位で戦略を立案す る必要が生 じたため
」と いう項 目において欧州地域やア
ジア地域で高い値 を示 してお り,地域戦略策定の必要 性がうかがわれた。 そ して,
「 地域での経営活動を拡大す るための拠点 を必要 としたため
」という項 目で は,アジ
ア地域において高い値が得 られた。この結果か らは,かな りアジアにおける 地域統括
会社の役割が重要であるいえる。しか しなが ら,筆者がアンケー ト調査 と平 行 してお
こなったアジアにおける地域統括会社へのイ ンタビュー調査では,や らなけ ればいけ
ないという意味での回答だ という企業 もあ り,この調査結果は注意 してみる 必要があることもわかった。すなわち,や らなければ
な らないと思っていることとと, 実際にできていることは別なのである。 そのほか,
「 地域経済圏の形成 に対応す るため
」という項 目では,前回の調査に比べ, 各地域 と
もかな り割合が低 くなっている。これは,地域経済圏に対す る重要性が減っ てきた というよ りも,地域経済圏という考え方が定着 し
てきた ことが影響 しているも のと思われる。
( 3) 地域統括会社の機能 つぎに地域統括会社の機能につい
てみていく。表
5は,地域統括会社の機能 につい
てまとめたものである。 これをみると,今
す る企業が多 くあることがわかる 。 とくに,欧州地域では生産活動や販売活動などの 統括 もかな りお こなってお り,欧州地域の多 くの統括会社がかな りの機能 をもっ こと
もわかった。
また,スタッフ機能の統括の面では,「 ファイナンス業務の統括」 「 情報 システムの 統括」などを中心、 に機能 をもっている企業の割合が高かった。
そ して地域のア ドミニス トレーションに関 しては,欧州地域において 「 地域戦略の 策定 ・実行」や 「 グローバル戦略 と地域戦略の調整」などほとんどの項 目で割合が高 かったのが特徴的であった。さらに前回の調査 と比較 しても,この地域のア ドミニス トレーション関連の項 目ではかな り割合が高 く,欧州地域における地域のア ドミニス トレーション機能が充実 してきているとみることができる 。
反対 にアジア地域では 「 地域戦略の策定 ・実行」や 「 グローバル戦略 と地域戦略の 調整」 という項 目において回答企業の割合が少なかった。 これ に関 しては,イ ンタ ビューにおいてその理 由が明確 になった。すなわち,アジアにおける地域統括会社は 日本 に近いということもあ り,日本の出先機関 となる可能性が高 く,したがって,人 事権や資金に対す る権限委譲がほとんどなされていない。そのような点か ら,地域戦 略の策定 ・実行 といった機能 をもちえないということである。
表
5地域統括会社の棲能 ( 複数回答)
北米 欧州 アシ
やア
調査対象 本社 統括 本社 統括
本社 統括 原材料 .部品調達 業務 の統括 ( Ⅰ PO) 9% 22% 11% 1
9% 18% 42%
物流 .流通業務 の統括 17% 16%
25% 43% 12% 58%
生産活動の統括 9% 1
1% 21% 48% 24% 42%
販売活動の統括
31% 28% 54% 48% 53% 58%
研究 開発活動
の統括 11% 6% 21% 33% 18% 17%
ファイナ ンス業務 の統括 63% 89% 50% 57% 41% 67%
情報 システムの統括 40% 56% 50% 52% 35% 3 3%
人事 .労務業務 の統括 43% 50% 43% 43
% 41% 50%
法務 関連 の統括 43% 56% 29% 4
3% 29% 42%
地域戦略の策定 .実行 49% 56% 68% 9
0% 71% 50%
グローバル戦略 と地域戦略調整 6
3% 44% 79% 81% 71% 33%
地域情
報 の収集 63% 61% 75% 81% 59% 58%
現地法人への情報提供
‑ 61% ‑ 81% ‑ 50%
現地法人に対す るモ ニタルげ ,経営指導 57% 56% 68% 76% 65% 58%
日本本社への意見 の具 申 49%
83% 64% 90% 53% 75%
持ち株会社機能 54% 83% 32% 48
そのほか,「 本社への意見の具 申」という項 目が前回の調査 と比べて,すべての地域 で高い割合を示 している。地域の意見 を日本の本社 に対 して伝えることが一つの機能
として充実 してきているようである。
このように,地域統括会社は地域 によってその果たす機能 に特徴があるいうことが いえるだろう。
( 4) 地域統括会社 と事業部との関係
さて,地域統括会社を論 じる場合,事業部 とどのような関係 にあるのかが問題 とな る。それは,誰が事業に関 して最終責任を持つのか ということにも関わって くるか ら である。
まず,地域統括会社の報告関係 についてみていくことにする。表
6は,地域統括会 社の報告先をまとめた ものである。ただ し,このデータは,前回のアンケー トでは調 査 をお こなっていない項 目のためデータの比較はお こな うことができなかった。
そ こで この表 をみていくと,概 して,「 本社の社長」,「 海外事業担当役員」,「 国際事 業部 ( 海外事業部
)」にたいして報告 をお こなっている地域統括会社が多 くあった。一 方で,「 製品事業部」, 「 販売事業部」への報告は少なかった。
このように,地域統括会社は組織的には,本社のもとにおかれるか,国際事業部 と
表 6 地域統括会社の報告関係 ( 複数回答)
北米 欧州 アシ
やア
調査対象 本社 統括 本社 統括
本社 統括
本社 の社長 ‑ 78%
‑ 48% ‑ 25%
海外事業担当役員 ‑ 5
6% ‑ 62% ‑ 58%
国際事業部 ( 海外事業部) ‑ 67% ‑ 48% ‑ 42%
製品事業部 6% ‑ 140 0
8%
販売事業部 6% ‑ 1
9% ‑ 17%
その他 ‑ 11% ‑ 24% ‑ 33%
表 7 傘下現地法人の報告関倭 ( 複数回答
北米 ) 欧州
アシやア調査対象 本
社 統括 本社 統括 本社 統括
統括会社 86% 78% 93%
95% 94% 75%
国際事業部 ( 海外事業部) 57% 44% 56% 57% 53% 42%
製
の強力な関係を持つ組織であ り,事業部 とは違 った立場の組織であることがわかる。
また,表
7は地域統括会社の傘下 にある現地法人の報告先をまとめた ものである。こ れ をみると, 多 くの現地法人が地域統括会社 との報告関係を持っていることがわかる
。とくに欧州地域ではほとんどの現地法人が地域統括会社 に報告 をお こなっている 。 ところが一方では,国際事業部や製品 ・販売事業部へ報告 をお こな う現地法人 も多 く存在 している
。ここでは複数回答であ り,地域統括会社 と事業部の両方へ報告 をお こなっている場合 も珍 しくないということになる
。ただ し,欧州地域においては,製 品 ・販売事業部への報告 をお こな う企業の割合が低 くなっている。これは欧州 におけ る地域マネジメン トが地域統括会社 を中心にお こなう体制が進んできている結果 と考 えることができるだろう。
なお, このデータに関 しては,前回の調査 と比べて大 きな変化はなかった。
では次に,地域内でお こなわれ る事業活動に対 して,関連す る組織はどれだけ意思 決定 に関与 しているのだろうか。われわれは,地域戦略の策定,販売活動,生産活動 に関 して,地域統括会社が どれだけ意思決定に関わっているのかを調べてみた。表
8は,それぞれの事業活動において関連す る組織が,どの程度,その意思決定に関与 し ているのかをまとめた ものである。ここでは,重要度の高いものか ら順位 をつけて も
らっている。
①地域戦略策定への関与の程度
まず,地域戦略策定への関与の程度 についてみてい く。表
8をみると,地域統括会 社 を
1位にあげる割合が高 く,北米地域で
10社,欧州地域で
15社,アジア地域で
6社あった。 しか しなが ら,アジア地域では,電機 ・電子産業 を中心に国際事業部 を
1位 にあげる企業が 3社 もあ り,アジア地域 における国際事業部の関与が強い企業があ ることもわかった。
このことか ら,北米地域 と欧州地域では地域統括会社が地域戦略策定へかな り関与 しているといえるが,アジア地域 においては国際事業部などの関与が強い企業 もかな りあるということができるだろう。
②販売活動への関与
つぎに,販売活動への意思決定の関与の程度 についてみていくことにす る。表 8で
表
8事業活動への 関与の程度
<地域 戦略策定への 関与> ( 社)
北米 欧州
アシやア
順位
1位
2位
3位 1位
2位
3位
1
位
2位
3位
地域統括会社
10 3 215 5
0
6 2 2日本本社
2 5
4
2 64
1 3 1国際事業部 ( 海外事業部)
1 1 3 1 5 5 30 4
製品事業部 0
1 2 1 1 11 1
0
販売事業部
1 100
100
2 1域内の現地法人
4
1 1 1 24 0
30
その他 00
00
00
100
<販売活動への 関与> ( 社
)
北米 欧州 アジア
順位
1位
2位
3位
1位
2位
3位
1
位
2位
3位
地域統括会社
5 5 28
6 25 3 1
日本本社
14 4
0
2 30
1 2国際事業部 ( 海外事業部) 0
1 30
34
1 1 3製品事業部
1 1 10
2 2000
販売事業部
24
2 1 2 2 1 3 2域内の現地法 人
900
10 2 0 5 20
その他 00
0 00
10
11
<生産活動への関与> (
社)
北米 欧州 アジア
順位
1位
2位
3位
1位
2位
3位 1位
2位
3位
地域統括会社
2 5 1 5 71 1 3 3
日本本社 0
3 5 2 21 1 2 1
国際事業部 ( 海
外事業部) 0
1 300
50
1 2製品事業部
5 2 10 4
33 2
0
販売事業部 0
10
1000
10
域 内の現地法人
10 1 0 70
1 50
1その他 0000
1 01
00
は,各地域 とも 「 域内の現地法人」 を
1位 にあげる企業が多かった。北米
地域では
9社,欧州地域では しか しなが
10社,アジア地域では
5社であった。
ら,欧州地域やアジア地域 においては 「 地域統括会社」をあげる企業 も
多 くあ り,欧州地域では
8社,アジア地域では同数の
5社あった。
③生産活動への関与
最後 に,生産活動に関す る意思決定への関与の度合いについてみてい く。表 8をみ ると,各地域 とも 「 域 内の現地法人」を
1位 にあげる企業が多い ことがわかる。北米 地域で
10社,欧州地域で
7社,アジア地域で
5社あった。
しか しなが ら,欧州地域 においては 「 地域統括会社」を1位 にあげる企業 も
5社あっ た。このように,欧州地域 においては,地域統括会社が生産活動への積極的に関与 し ている企業が多 くあるといえるだろう。上述 した販売活動への関与の割合 を考慮す る と,欧州地域では,地域統括会社が ライ ン機能へ も積極的に関与 しているということ ができる。
(5)