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アンケー ト結果の分析

ここでは,これ まで述べてきたアンケー トの結果 を横断的に分析す ることによ り地 域統括会社の特徴 を論 じていくことにす る

(1)地域統括会社 アンケー トにおける横断的分析

まず,今回のアンケー ト調査 において,多 くの地域統括会社が もつ と回答があった 機能のうち,成果が十分でないと考 えているものが多 くあったということである

た とえば,欧州 における 「地域戦略の策定 ・実行」という機能であるすなわち,今 回のアンケー ト調査では,欧州の地域統括会社では地域戦略の策定をお こな う傾向が 強かった。それは,地域統括会社の設立理 由,機能,そ して地域の事業における意思 決定への関与などのデータをみて も明 らかである しか しなが ら,その成果に関 して は意見が分かれている。今回の調査では 「地域戦略の策定 ・実行」において,「成果あ り」 と答えた企業が50% (7社), 「やや成果があった」 と答えた企業が50% (7社) であった。このように,半数の企業は 「地域戦略の策定 ・実行」はまだ不十分 と考 え ているのである

また,北米では,「情報 システムの統括」をお こな うという企業が多 くみ られたが (8 社),その成果は 「成果あ り」と答えた企業が 50% (4社),「やや成果あ り」と答えた 企業が 25% (2社),「どち らともいえない」と答えた企業が 13% (1社),そ して 「や や成果な し」 と答えた企業が 13% (1社)であった。このように,北米における 「情 報 システムの統括」においても十分成果がでていないと考 える企業が多 くあることが わかる

以上のように,地域統括会社のもつ機能 とその成果の関係をみていくと,機能 とし てはもっているが,まだその成果は不十分であるものがあることがわかる。

つぎに,欧州地域における地域統括会社の内容 について若干論 じていくことにす る。

われわれの調査において,欧州地域の地域統括会社は多 くの機能 をもつ ことが明 らか になった。とくにライン機能の統括 をお こな う点 において,他の地域 との差があ らわ れた。この欧州地域 における地域統括会社のうちライン機能の統括 をお こな う地域統 括会社 をさらに詳 しくみてみると,つぎのような特徴 を持つ ことがわかった。すなわ ち,それ らの企業の多 くは,傘下 におさめる現地法人の数 も多いということである。し たがって,欧州の地域統括会社のうち,いくつかの企業においては地域統括会社 を中 心、とした経営が進んでお り,地域 としてのまとまりをもつようになってきた といえる だろう。別の言い方 をすれば,本当の意味での地域統括会社ができつつあるというこ とである。

(2)日本本社 と地域統括会社の意識の相違

つぎに,本社を対象にお こなった前回のアンケー ト調査 と地域統括会社 を対象にお こなった今回のアンケー ト調査の結果 を比較 し,本社 と地域統括会社 との間の意識の 違いについてみていくことにす る

① 日本本社への意見の具 申

まず,われわれが ここで論 じたい項 目は 「日本本社への意見の具申」という項 目で ある。今回われわれが地域統括会社か らえ られたデータでは,それぞれの地域で 「日 本本社への意見の具 申」をお こなっているとす る企業が多 くみ られた。しか しなが ら, 本社か ら得 られたデータでは,地域統括会社が この機能 を果た していると考 えている

企業は少なかった。ちなみに,地域統括会社ではお こなっているとしたものの,本社 ではお こなっていないという形で回答が異なった企業の数は,北米地域で2社,欧州 地域で 3社あった。

このように,この 「日本本社への意見の具 申」に関 しては,本社 と地域統括会社の 間で意識のギャップが存在 している可能性がある。

②地域戦略の策定 ・実行

つぎに 「地域戦略の策定 ・実行」についてみていく。とくにこの項 目は,欧州地域 の地域統括会社でお こなっていると答えた企業が多かった。しか しなが ら,前回の本 社か ら得 られたアンケー ト調査のデータでは,この機能 をもつと答えた企業はあま り 多 くなかった。今回,この項 目において本社 と地域統括会社の間で意識の違いがみ ら れたのは,欧州地域の統括会社2社であった。

ところが,アジア地域 においては逆のパター ンがみ られた。すなわち,本社では 「地 域戦略の策定 ・実行」を期待 しているにもかかわ らず,地域統括会社側ではそのよう な機能 をもたないと回答があったのである。そのような企業の数は少ないものの,こ のような意識の相違は将来何 らかのコンフリク トを生む可能性があ り,問題 といわざ るを得ないだろう。

③地域統括会社の成果の理 由

ここでは,地域統括会社の成果があった理 由のうち,もっとも意識が異なった項 目 についてみていく。この地域統括会社の成果があった理 由としてもっとも意識の違い がみ られたのは,「コス トの削減」である。これ を成功理 由としてみるのは 「地域統括 会社」であ り,本社の方はこれ を成功理 由としてあげる企業はほとんどなかった。

これにはいくつかの理 由がみ られ るが,もっとも大きな理 由は,地域統括会社 とし ては 「コス トの削減」がなされた ことによ り存在理 由を示 したいという意識があると 思われる。すなわち,地域統括会社は基本的にコス トセ ンターであ り,その費用は現 地法人か ら得ていることが多い。また,本社や事業部 との間におかれる組織であるこ

とか ら,管理階層が増えるという批判 もある。そのような状況 にある地域統括会社は, 自らの存在 によって何 らかの貢献ができた と考 える意識が強いと考え られる。

(3)シンガポール における地域統括会社 に対するインタ ビュー調査 との比較

われわれは,今回のアンケー ト調査 と平行 して,シンガポールにおける地域統括会 社においてインタビュー調査 をお こなった。ここでは,そのインタビュー調査の結果

とアンケー ト調査の結果 を比較 してみることにする。

① アジアにおける地域統括会社の位置づけ

まず,アジアにおける地域統括会社の位置づけについてみていく。アンケー ト調査 では,アジアにおける地域統括会社の設立理 由としては,「地域 における経営拡大の拠 点」というものが多 くあった。しか しなが ら,インタビュー調査では,アジアにおけ る地域統括会社は,支援会社,助言機構,求め られるサー ビスの提供,といった位置 づけで しかないことが明 らかになった。すなわち,実際にはあま り強い位置づけはな されていないのである。

② アジアにおける地域統括の実態

つぎに,アジアにおける地域統括の実態 についてみていく 今回のインタビュー調 査では,サー ビスすれ ど統括せず,人事権 もお金 もないところが統括できるか,事業 の調整は役員でないと無理,といった否定的な意見が多 くきかれた。これはすなわち, 地域統括会社が統括会社 というものの,統括 をお こなっていない組織だということで ある。このことか ら,アジアにおける地域統括会社に関 していえば,統括会社にな り 切れていない組織だといえるだろう。

③oHQのステータスと日系地域統括会社

われわれはシンガポールにおける地域統括会社 といった場合,とくにOHQのステー タスとの関係でみる傾向にある。新聞などを見 ると,日本企業においてもかな りの企 業が このステータスを取得 しているという。しか しなが ら,シンガポールで聞いてみ るとあま り人気がないことがわかる。

このステータスを取得 している企業は,かな りの大 きな企業であ り,シンガポール 政府の熱心な誘いによって取得す るケースが多 く見 られた。逆 に,取得 をしていない 企業は,その魅力の低下 を指摘 している。すなわち,ステータスの取得による義務が

大変である,また法人税が下がってきていることか ら優遇税制の魅力が落ちてきてい ることなどを指摘 している

このように,OHQのステータスに関 しては,魅力がな くなってきているとも考え ら れるただ し,このOHQのステータスはあくまで税制の問題である したがって,こ のステータスを取得 しているかどうかは,統括 をお こな うことと全 く別の次元 として とらえることが必要になって くる

まとめ

これ までわれわれは,地域統括会社にかんす るアンケー ト調査の結果 をもとにその 特徴 を指摘 してきた。また,過去のアンケー ト調査の結果や,イ ンタビュー調査の結 果 と比較す ることによ り,地域統括会社 にかんす るいくつかの問題についても論 じる

ことができた。

そ こで最後に,地域統括会社の現状に関 してつぎのようにまとめ,本稿の結論 とし たい

まず第一に,本社 と地域統括会社の意識の大きなギャップのある部分があった,と いうことである

また第二に,欧州地域では,地域統括会社を中心 とした経営が進展 していた。

そ して,第三 に,アジア地域における地域統括会社はその位置づけが とても弱 く,自 分たちの存在意義をアピールす る努力を現在お こなっているということである。

以上が本稿の結論である しか しなが ら,本稿において地域統括会社に関 してすべ てを論 じることはできなかった。今回論 じきれなかった ことについては,別の機会 に 論 じることとしたい。

※本研究は文部省科研費 基盤研究(C)(2)「日本の海外進出製造企業 における地域統括本社 の研究 一地域統括会社 の視点か ら‑」 (平成8‑9年度)の研究成果の一部である.

※※本稿は,国際 ビジネス研究学会第4回全国大会 (1997119日)においてお こなった報告をもとに作成 し たものである。