ここでは,イ ンタビュー調査の対象 となったをシンガポールの 日系地域統括会 社の概要 をまとめることにす る.なお,図表 1は,今回イ ンタビュー調査 をお こ なった企業の概要 について統括 を開始 した順にまとめたものである。以下では,
この表 をもとに論 じていく。
(1)ソニー ・インターナシ ョナル ・シンガポール
S on yl n t er na t i on a l ( Si n ga p or e)L t d.
ソニーのアジアにおける事業展開は,短期間にかな りの規模でお こなわれた (花田ほか
1 991 a )
. そ してソニー ・イ ンターナショナル ・シンガポール (以下,SONI S)
はそのアジアにおける急速な事業展開の要 として設立されたのである0SONI S
の設立は1 9 82
年であ り,当初はパーツセ ンター として設立された.以 徳, さまざまな機能が加 え られ,1987
年 よ り統括機能 をもつ に至 っている。SONI S
の従業員数は7 0 0
人 (内 日本人1 00
人),傘下現地法人数は40
社である( 1 997
年2
月現在).統括範囲は,ASEA
N諸国,オース トラリア,韓国,中国, イン ドなどとなっている( 1 997
年2
月現在)0図表1 インタビュー企業のシンガポール における地域統括会社概要
地域統括会社名 統括開始年(設立年) OHQステづス 統括範囲 従業員数(内 日本人) 傘下現地法人数 主な
機能 費用
SonyⅠnternational 1987年 1987年取得 ASEAN,オセアニア, 700人 40社 ①製造 .調達活動の調
整, 製品と部品の売 り上げ (Singapore) (1982年) 韓国,中国,イ ン ド,中東な ど (100人) 計画
,監督 ②販売活動の 調整 ③現法支援活動 AsiaMatsushitaElectric(S) 1989年 1989年取得 ASEAN,台湾, 631人 57社
①支援機能 (人材開発,製造能 営業活動,受益者負担, (1974年) イ ン ドオース トラリア, (41人) Ⅰ力強化な ど)②営業機能 (pO)③管理機能(AMSの 販売,
人事,
総務な ど) 本社負担,資金運用益,併設事業所負担な ど NECBusinessCoordination 1991年 1991年取得 ASE
AN 84人 12社 ①マーケテイング (公共電話通 サー ビス報酬50%, Centre(Singapore) (1990年) (24人) 信 システム&テクニカルサポー(ト),②域内人事のコンサルタⅠPO,スタ ッフサージス
ン ト,
物流) 残 りは本社か らの仕送 り○また,物流 も50%えない○ぐらいしかまかな PioneerElectronics 1992年
予定な し ASEAN,台湾, 236人 6社 ①サー ビス (マネジメン トサー 販売の差額 (8割), AsiacentrePte.ud. (1992年) イ ン
ド (60人) ② 生産,③販売EDPビス,物流,ファイナ ンス,,デザイ ンセ ンター) マーケテイング (2割) ToshibaAsiaP
acificPteLtd 1(9919955年年) (予定な しあ り)取得現法 ASEAN 47(11人人) (8+注)社 ① リージョナルセ ンター,②ⅠpO,③ 本社負担,スタッフ
物流戦略(ASEAN 全域のロジステ ィック戦略担当),④ マーケテイング (重電,
産業機械,情報制御) 併設事業所負担サー ビスの対価,(ⅠPO)
(注)東芝のアセアン内の現地法人数は45社あるが,8+というのは
国表2 SONISの組織図
出所 :また,SONIOHQS会社資料よ りのステータスに関 しては,1987
年,日本企業では最初の取得企業 となっている。 このステータスの取
得 の 目的は,節税が第一である。
SONISのお もな機能は,リージョナルプラン
ニ ングとコーディネーションセン ターである。SONISでは,これ らの機能 を次の
3つのグループにおいて遂行 され ている。このグループとは,① アジア ・エンジ
ニア リング ・アン ド・マニュファ クチュア リング ・グループ (域 内の生産 と調達
活動の調整 ・計画 ・監督,ワール ド ・リペアパーツ ・セ ンターな ど),②マーケ
テイング ・グループ (ソニー製品 の販売 とマーケテイング。対象範囲は中東,オ
セアニア,アフリカ,アジアの大 部分),③ コーポ レー ト・サポー ト・グループ
(域 内のグループ企業の事業活動 のスムースな展開を促進す る支援機能。人事,ロ
ジスティクス,財務活動,広報, 法務な ど)である。このように,SONISのお も
な業務は域内生産活動の調整や調 達活動,ソニー製品の販売,そ してスタ ッフサー
ビスの提供であることがわかる。
なお,参考 のためにSONISの
組織図を図表2に示 しておいた。
SONISの運営のための費用であるが,ここでは,製品
て賄われている。
さて,このような機能 をもつSONISだが,実際にはそれぞれの時代によって 中心 となる業務は異なってきた。つま り,それぞれの時代 によって異なる要求に 対応 してきたのである。そ してそのような要求に対応す ることによ りノウハウが 蓄積 され,それ を他の現地法人へ提供す ることができるようになった という。た とえば,かつてはIPOの活動を中心にお こなっていたが,今は情報システムの活 動をお こなっているといった具合である。この活動内容によって,人が集まった
り,戻った りしている。
また,域内の事業に対する経営責任 にかん しては,SONISの場合,ケース ・バ イ ・ケースだという。つま り,ソニーのグローバルな事業展開は,全社的な レベ ルによる戦略策定がなされてお り (コーポ レー トレベルの指導),地域ではオペ レーショナルな部分 を担当す るという形 になっている (花 田ほか 1991a)。した がって,事業部主体で事業をお こな う場合 もあれば,soNIS主体 の場合 もあ り, それぞれのケースに応 じて経営責任を負 うことになっているのである。SONISの 立場か らいえば,soNISをうまく使 っている事業部 もあれば,うまく使っていな い事業 もあるという。つまり,事業部 としていかにSONISのもつ経営資源 を活 用するか ということになるだろう。
以上のようにSONISはアジアにおけるセ ンター として活動をお こなっている。
しか しなが ら,それはオペ レー ショナルな面 においていえることである。 した がって,ソニーでは,全社的な戦略のもと地域統括会社の役割が明確 に定義 され, その時代に必要 とされるものを地域内の現地法人へ提供する統括会社だといえる だろう。「いろんな意味で地域内の現地法人にイ ンフラを提供する会社」(花 田ほ か 1991a)といえるだろう。
(2)アジア松下電器
AsiaMatsushitaElectric(S)Pte.Ltd.
松下における地域マネジメン トは,地域本部が中心 となってお こなわれている。
この地域本部 とは,1988年 に松下電器産業 と松下電器貿易が合併 した ときに,つ くられたものである。基本的には,事業本部が製造 に関 して世界的な経営責任 を 持ち,地域本部は現地政府や業界 との良好な関係づ くりな どの調整機能や,営業
図表 3 アジア松下電器㈱ の組織体制 と役割
7ゾ7松下電器 (秩) 組織体制 と役割
(人 員:1996年4月1日現在)
l 組 織 体 制 l人員 l 役 割
絵人 員'63l名 二人細 由 批軒 ′二二'∴二 二..」 11(2)ト ‑ 1 海 外 会 社 山 一.肋 フに対す る菩 度技 能訓 練 .松下 企 業文 化 の伝 道 ,紺 辞任 (内 日本人:41名) 軸 魂 鹿i如 ..≡享 圭 ll2(5)Li 7セアン地 域 製造 会 社 r=対 す る兼材 .生如 fF.島貫 管理 . 三 位 ‑休 とな った製
造 力掛 ヒ支 珪 17シーTく用 瞬 〉松下2(電羊1)
蘭 画 :営業機 能i
q I コ
軸 :.'鍬 =∴】 38(2)Li 糾 ワ1 及 びソフトウIT共 有化の為の地 域情報 通信シ行場 量 の 整鶴
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の対応 及 び為替の 集 中管 理 金敷 二尊重畿紛 …三:.∴ 】 4くl)H AN
S経 書 企画 と域内 事 業推進 支珪
前 転t:il& I..;■:議 論 ll 93:3)H 卯 外 の物充 集 約 化 I=
よる物釦 ストの 合理化 .長 期安 定 化
(^lナLJ二'ウシ.^'ホ●‑ん杜 E 218:5号 ‑1 シルト 帽 内営 業
活 動 .後背地市 場及 び再 輸 出市 場 の 開発
7./7^‑fJ=仰 げ川 卜社ll45,J4:ト 1 ィ.
JH rJJ‑営業 本 部 の7./7桝 販売 部門 1 5]時有利 ン1‑ i lo(3:Ll Ttr'地 域 での Cil静 有事 (本欄 連 の営業
革‑ 62(2汗 I ANS全社 決 算 美津 及 び内部管理 業務
29(1)H アシ■7松 下 の 人事 .紀 務 管理
ら.廃 車 ≠轟音≡士率
II言L::L;…l 1(1)
L l
7セアン地域 での広 枇 進∴1軸 錘嶺痩溢李ヰ≡==圭.r 1日;.ト1 7セアン
及 び周 辺地 域 に お ける知 材橿 確立 .保護推進
出
所
: AMS
資料よ り本部的な機能 をはた している (アジ 花 田ほか
1 991 b)
0ア松下電器 (以下,
AMS)
は,この地域本部のうちアジア大洋州本部のも とにある。このアジア大洋州本部は 日本 に置かれ その下位組織である
AMS
は 支援会社 と位置づけ られ る。この体制 のもとでは,アジア地域の経営 にかん して の決定機
能は 日本 にあるアジア大洋州本部が もつ ことになる。一方,
AMS
(支援 会社)では,現地 にあった方がいいと思われ る機能 を担 当す ることになる。したがって,厳密な意味での地域統括会社はアジア大洋州本部 ということになる。
AMS
は1 989
年,旧シンガポール松下電器貿易( METOS)
を改組設立 された。AMS
の従業員数は
6 31
人 (うち 日本人41
人)であ り,傘下現地法人数は,AMS
を含め
て
57
社である( 1 997
年2
月現在)。また,総括範囲は,アジア大洋州本 部の レベルでみると,アセアン諸国,台湾,オース トラリア,イ ンドを統括 して いる。
OHQ
図表3
のステータスはは,1 9 89
年 に取得 している。機能には,まず支援機能がある。この支援機能には,人材開発,製造力協九 為 替財務ディビジョン,物流業務,情報通信 システム,企画 ・事業推進,広報,知 財が含 まれる。また,営業機能 には,国内 ・地域営業や,匡l際商事 (IPO)な ど が含 まれる。 そ して管理機能 とは,
AMS
の人事,総務,経理 をお こな うもので ある。AMSの費用は,営業活動,受益者の費用負担,本社負担,資金運用益,そ し て併設事業所の負担などで賄われている。
松下は事業部制をとってお り,海外事業においても最終的な経営責任は事業部 にある。地域本部は地域戦略な どの方針決済 をお こない,事業部は実質決済をお こなっている。藤井氏 (松下電器 アジア大洋州本部事業推進部)の言葉を借 り れば,地域本部の役割は,「地域の中の専門的知識」を担当するというものであ
り,事業部は 「製品の専門知識」を担当す ることになっている。最近のアジア地 域における経営課題は,アジアに多数存在す る複品会社の解体である。
以上みてきたように,
AMS
は支援会社 という位置づけであ り,完全な地域統 括会社 とはいえない。 しか しなが ら,AMS
はシンガポール政府か らOHQ
のス テータスを獲得 してお り,それな りに大きな組織でもある。このAMS
のケース では,事業部を中心、とした組織にどのような形で地域統括会社が関わっているの かが明確になったケースといえよう。すなわち,事業部中心、の海外事業展開をサ ポー トす る形で地域統括会社が存在 しているのである。(3)NECビジネス ・コーデ ィネーシ ョン ・センター NECBusinessCoodinationCentre(S)Pte.Ltd.