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薬物動態試験の概要文

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CTD

第 2 部

2.6 非臨床試験の概要文及び概要表

2.6.4 薬物動態試験の概要文

2.6.5 薬物動態試験概要表

グラクソ・スミスクライン株式会社

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目次

2.6.4. 薬物動態試験の概要文 ···1 2.6.4.1. まとめ ···1 2.6.4.2. 分析法 ···4 2.6.4.2.1. 被験物質 ···4 2.6.4.2.2. 分析方法 ···4 2.6.4.3. 吸収···5 2.6.4.3.1. 単回投与 ···5 2.6.4.3.1.1. ラット···5 2.6.4.3.1.1.1. 経口投与 ···5 2.6.4.3.1.1.2. 静脈内投与···6 2.6.4.3.1.2. イヌ ···7 2.6.4.3.1.2.1. 経口投与 ···7 2.6.4.3.1.2.2. 静脈内投与···8 2.6.4.3.2. 反復投与 ···9 2.6.4.3.2.1. ラット···9 2.6.4.3.2.2. イヌ ···9 2.6.4.4. 分布···11 2.6.4.4.1. 組織内放射能···11 2.6.4.4.1.1. 経口投与 ···11 2.6.4.4.1.2. 静脈内投与 ···13 2.6.4.4.2. 血漿蛋白結合···13 2.6.4.4.3. 血球移行 ···13 2.6.4.4.4. 胎盤・胎児移行 ···13 2.6.4.5. 代謝···14 2.6.4.5.1. 血漿及び尿中代謝物 ···14 2.6.4.5.1.1. マウス···15 2.6.4.5.1.2. ラット···15 2.6.4.5.1.3. ウサギ···15 2.6.4.5.1.4. イヌ ···15 2.6.4.5.1.5. ヒト ···15 2.6.4.5.2. 糞及び胆汁中代謝物 ···16 2.6.4.5.2.1. ラット···17 2.6.4.5.2.2. イヌ ···17 2.6.4.5.3. 推定代謝経路···17

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2.6.4.5.4. 代謝に関与するCYP分子種の推定 ···18 2.6.4.5.5. 肝薬物代謝酵素に及ぼす影響···19 2.6.4.5.6. N-ニトロソ誘導体への変換 ···19 2.6.4.5.6.1. In vitro試験 ···19 2.6.4.5.6.2. In vivo試験···20 2.6.4.6. 排泄···21 2.6.4.6.1. 尿糞中排泄 ···21 2.6.4.6.1.1. ラット···21 2.6.4.6.1.1.1. 経口投与 ···21 2.6.4.6.1.1.2. 静脈内投与···22 2.6.4.6.1.2. イヌ ···22 2.6.4.6.1.2.1. 経口投与 ···22 2.6.4.6.1.2.2. 静脈内投与···23 2.6.4.6.2. 胆汁中排泄 ···23 2.6.4.6.2.1. ラット···23 2.6.4.6.2.2. イヌ ···24 2.6.4.6.3. 乳汁移行 ···24 2.6.4.7. 薬物動態学的薬物相互作用···25 2.6.4.7.1. CYP分子種に及ぼす影響···25 2.6.4.7.2. MAOに及ぼす影響 ···25 2.6.4.8. その他の薬物動態試験 ···25 2.6.4.9. 考察及び結論 ···26 2.6.4.10. 図表···30 2.6.4.11. 参考文献 ···30 2.6.5. 薬物動態試験概要表 ···31 2.6.5.1. 薬物動態試験:一覧表 ···31 2.6.5.2. 分析方法 ···34 2.6.5.3. 薬物動態試験:単回投与後の吸収 ···35 2.6.5.4. 薬物動態試験:反復投与後の吸収 ···37 2.6.5.5. 薬物動態試験:分布···39 2.6.5.5.1. 経口投与 ···39 2.6.5.5.2. 静脈内投与 ···42 2.6.5.6. 薬物動態試験:蛋白結合 ···44 2.6.5.6.1. 蛋白結合 ···44 2.6.5.6.2. 血球移行 ···45

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2.6.5.7. 薬物動態試験:妊娠又は授乳動物における試験···46 2.6.5.7.1. 胎盤・胎児移行 ···46 2.6.5.7.2. 乳汁移行 ···46 2.6.5.8. 薬物動態試験:その他の分布試験 ···47 2.6.5.9. 薬物動態試験:In vivoにおける代謝 ···47 2.6.5.10. 薬物動態試験:In vitroにおける代謝 ···49 2.6.5.10.1. 代謝に関与するCYP分子種の推定 ···49 2.6.5.10.2. N-ニトロソ誘導体への変換 ···49 2.6.5.10.2.1. In vitro試験 ···49 2.6.5.10.2.2. In vivo試験···50 2.6.5.11. 薬物動態試験:推定代謝経路 ···50 2.6.5.12. 薬物動態試験:薬物代謝酵素の誘導/阻害···51 2.6.5.12.1. 肝薬物代謝酵素に及ぼす影響···51 2.6.5.13. 薬物動態試験:累積排泄 ···52 2.6.5.14. 薬物動態試験:胆汁中排泄···54 2.6.5.15. 薬物動態試験:薬物相互作用 ···56 2.6.5.15.1. CYP分子種に及ぼす影響···56 2.6.5.15.2. MAOに及ぼす影響 ···57 2.6.5.16. 薬物動態試験:その他 ···57

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【用語の説明】 略号 化学名 構造式 ナラトリプタン塩酸塩 N-Methyl-2-[3-(1- methylpiperidin-4-yl)-1H-indol-5-yl] ethanesulphonamide monohydrochloride N H S N H CH3 O O HCl N H3C 【一般的略号】 略号 内容 ARG Autoradiografy (オートラジオグラフィー)

AUC0-∞ Area under the plasma concentration-time curve from zero extrapolated to infinity time (投与

後0 時間から無限大時間までの血漿中濃度-時間曲線下面積)

AUC0-∞= AUCt + λz (λz: Ct 終末相の消失速度定数)

BA Bioavailability (経口バイオアベイラビリティ):BA = AUCAUC0-∞oral

0-∞iv ×

Dose iv

Dose oral ×100

BDC Bile duct cannulated (胆管カニュレーション処置)

CL Clearance (クリアランス):静注:CL = AUCDose iv

0-∞iv 経口:CL/F = BA×

Dose iv AUC0-∞iv

Cmax Maximum plasma concentration (最高血漿中濃度)

CYP Cytochrome P450 (チトクローム P450)

ELISA Enzyme-Linked Immunosorbent Assay (酵素免疫定量)

GLP Good laboratory practice (医薬品の安全性試験の実施に関する基準)

HPLC-FL HPLC-fluorescence (高速液体クロマトグラフィー蛍光検出)

HPLC-MS HPLC mass spectrometry (高速液体クロマトグラフィー質量分析)

HPLC-radio HPLC-radio (高速液体クロマトグラフィー放射能検出)

HPLC-UV HPLC-ultraviolet (高速液体クロマトグラフィーUV 検出)

5-HT 5-Hydroxytryptamine (serotonin) (セロトニン)

LSC Liquid scintillation counter (液体シンチレーションカウンター)

MAO Monoamine oxidase (モノアミン酸化酵素)

NAP Test Nitrosation assay procedure test (ニトロソ化試験)

T1/2 Biological half life (消失半減期):T1/2 = ln2ke = 0.693ke (ke: 消失速度定数)

TK Toxicokinetics (トキシコキネティクス)

TLC Thin layer chromatography (薄層クロマトグラフィー)

Tmax Maximum drug concentration time (最高血漿中濃度到達時間)

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2.6.4 薬物動態試験の概要文 2.6.4. 薬物動態試験の概要文 2.6.4.1. まとめ 動物でのナラトリプタン塩酸塩の薬物動態試験は、薬理試験及び毒性試験で用いたラット及び イヌを使用した。代謝試験では、毒性試験で用いたマウス及びウサギも使用した。非臨床薬物動 態試験での投与経路は臨床投与経路である経口とし、一部の試験では静脈内及び皮下投与も実施 した。なお、投与量は遊離塩基換算量で表示した。 吸 収 雌雄ラットにナラトリプタン塩酸塩の10 mg/kg、雌雄イヌに 1 mg/kg をそれぞれ単回経口投与 したときの血漿中未変化体濃度推移に性差はみられなかった。雄ラット及び雄イヌでの血漿中未 変化体のTmax はそれぞれ 4 及び 0.25~0.5 時間であったことから、イヌの方がラットよりも吸収 が速やかであると考えられた。雄ラット及び雄イヌでのCmax はそれぞれ 202 及び 316 ng/mL、 AUC0-∞はそれぞれ1670 及び 1271 ng・hr/mL であった。また、BA はラットで約 38%、イヌで約 68%(雌雄の平均値)であり、イヌの方がラットよりも高かった。更に、血漿中未変化体の T1/2 は雄ラットで3.4 時間、雄イヌで 3.5 時間であり、吸収されたナラトリプタンはいずれも速やか に体内から消失した。 雌雄ラットにナラトリプタン塩酸塩の10 mg/kg、雌雄イヌに 1 mg/kg をそれぞれ単回静脈内投 与したときの血漿中未変化体濃度はいずれも最初の採血時点である投与5 分後が最大であり、 T1/2はラットで1.6~1.8 時間、イヌで 3.4 時間であった。また、ラット及びイヌでの血漿中未変 化体のVd はそれぞれ約 6 及び 3 L/kg といずれも総体液量よりも大きかったことから、組織移行 性はいずれも良好であると考えられた。 雄ラットに14C-ナラトリプタン塩酸塩の 1 mg/kg を単回静脈内投与したときの未変化体の AUC0-∞は放射能のAUC0-∞の約67%であり、血漿中には主に未変化体が存在すると考えられた。 一方、雌雄イヌに14C-ナラトリプタン塩酸塩の 0.75 mg/kg を単回経口投与したときの未変化体の AUC0-∞は放射能のAUC0-∞の約40%であり、血漿中放射能の約 60%が代謝物であると考えられた。 雌雄ラットに10~340 mg/kg/日を 24 日間、雌雄イヌに 1~5 mg/kg/日を 43 日間経口投与したと きの曝露量(Cmax 及び AUC0-∞)は、いずれも投与量にほぼ比例して増加した。ラットでの投与 24 日の曝露量は投与初日の約 2 倍以下、イヌでの投与 43 日の曝露量は投与初日と同程度であっ たことから、ラット及びイヌで反復経口投与による蓄積性はないと考えられた。また、いずれの 動物種でも雌雄の曝露量が同程度であったことから、性差はないと考えられた。 分 布 白色ラットに14C-ナラトリプタン塩酸塩の 10 mg/kg を単回経口投与したときの放射能は、大部 分の組織で投与15 分~1 時間後に最大となった。放射能は胃及び腸管内容物で最も高く、次いで 膀胱内容物、肝臓及び腎臓の順であった。脳内放射能はいずれの時点でも定量下限(0.11 μg eq./g)未満であった。その後、放射能は経時的に低下し、投与 168 時間後にはすべての組織で定 量下限(0.11 μg eq./g)未満であったことから、放射能の残留性はないと考えられた。 有色ラットに14C-ナラトリプタン塩酸塩の 2 mg/kg を単回静脈内投与したときの放射能は経口 投与と同様に大部分の組織に広範に分布し、その後、放射能は投与168 時間後までに大部分の組 織から消失した。有色ラットでは眼球のブドウ膜に放射能が確認され、眼球内放射能のT1/2は約 90 日であったことから、放射能はメラニン含有組織に残留することが示された。更に、白色及

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2.6.4 薬物動態試験の概要文 び有色ラットの精巣で経口及び静脈内投与0.25~48 時間後に放射能がみられたが、投与 168 時間 後には消失した。また、有色ラットに経口投与したときの眼球以外の組織放射能分布に白色ラッ トと大きな違いはないと考えられた。 マウス、ラット、ウサギ、イヌ及びヒトでの14C-ナラトリプタン塩酸塩(50~1000 ng/mL)の 血漿蛋白結合率は35.2%以下といずれも低かった。ラット、イヌ及びヒトでの14C-ナラトリプタ ン塩酸塩(50~1000 ng/mL)の血球移行率は、55%以下であった。 妊娠12 及び 19 日のラットに14C-ナラトリプタン塩酸塩の 1 mg/kg を単回経口投与したときの 放射能は胎盤を通過し、胎児へ移行することが示された。 代 謝 マウス及びラットに14C-ナラトリプタン塩酸塩の 10 mg/kg、ウサギ及びイヌに 1 mg/kg、ヒト にナラトリプタン塩酸塩の2.5 mg 又は14C-ナラトリプタン塩酸塩の 10 mg をそれぞれ単回経口投 与したときの血漿及び尿中代謝物を検討した。その結果、マウス、ラット、ウサギ(1 例)及び イヌでの投与1 時間後、ヒトでの投与 8 時間後までの血漿中の主な成分はいずれも未変化体であ った。その他にウサギ(1 例)では α-水酸化体、イヌでは N-酸化体、ヒトでは N-酸化体及びピ ペリジノン体も確認された。ウサギを除き動物及びヒトでの投与24 時間後までの尿中の主な成 分は未変化体であり、その他にα-水酸化体、N-酸化体、N-脱メチル体、ピペリジノン体も少量 確認された。これらのことから、ヒトでの主代謝物は検討したこれらの動物種にも存在すること が示された。また、胆管カニュレーション処置(BDC)をしたラットに14C-ナラトリプタン塩酸 塩の1 mg/kg を単回皮下投与したときの胆汁中放射能の 1/3~1/2 が未変化体であった。イヌの胆 汁中には6 種類以上の代謝物が確認され、このうちの 1 種類は N-酸化体であり、その他に未同 定の代謝物(投与量の3~6%)も確認された。 ヒト肝S9 画分及びヒト肝ミクロソームでナラトリプタンは、ほとんど代謝されなかった。ヒ ト肝S9 画分を用いて、ナラトリプタンのピペリジノン体への代謝に関与する CYP 分子種を検討

した結果、CYP1A2、CYP2C9、CYP2D6、CYP2E1 及び CYP3A4/5 などの複数の CYP 分子種が関 与していると考えられた。 雌雄ラットにナラトリプタン塩酸塩の170~300 mg/kg/日を 1 日 1 回 13 週間経口投与したとき の雄ラットのCYP1A1 の蛋白量はナラトリプタン塩酸塩群の方が媒体群よりも高かった。また、 雌ラットのCYP3A の蛋白量は媒体群よりも低下したが、他の分子種に酵素誘導を示す変化は認 められなかった。 一般にアミン系化合物は酸性下で亜硝酸と反応し、N-ニトロソ化合物を生成することから、ヒ ト胃液を想定した生理条件下(in vitro)及び in vivo での N-ニトロソ誘導体への変換を検討した。

その結果、ナラトリプタンはヒトの生理条件下で最大12.9%が N-ニトロソ化された。また、 0.1%の亜硝酸ナトリウム添加飼料を 8 日間給餌したラットに14C-ナラトリプタン塩酸塩の 5~90 mg/kg を単回経口投与したとき、投与直後~15 分後の胃内に N-ニトロソ誘導体が確認されたが、 投与30 分後及び標準飼料を給餌したラット胃内に N-ニトロソ誘導体は検出されなかった。 排 泄 雌雄ラットに14C-ナラトリプタン塩酸塩の 10 mg/kg を単回経口投与したときの放射能の排泄は 速やかであり、投与24 時間までに大部分が尿糞中に排泄された。放射能は投与 96 時間後の尿中 に投与量の約27~33%、糞中に約 61~63%が排泄され、雌雄ラットでの放射能の排泄に性差はな

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2.6.4 薬物動態試験の概要文 いと考えられた。雄ラットに14C-ナラトリプタン塩酸塩の 2 mg/kg を単回静脈内投与したときの 放射能は、投与24 時間後までの尿中に投与量の約 70%、糞中に約 23%が排泄された。これらの ことから、ラットの体内に吸収された放射能の主排泄経路は尿であると考えられた。 雌雄イヌに14C-ナラトリプタン塩酸塩の 0.75 mg/kg を単回経口及び静脈内投与したときの放射 能は投与24 時間後までに尿中に投与量の約 50~58%、糞中に約 6~16%が排泄された。放射能は 投与96 時間後の尿中に投与量の約 64~69%、糞中に約 20~25%が排泄され、雌雄イヌでの放射 能の排泄に性差はないと考えられた。また、イヌでの放射能の主排泄経路はラットと同様に尿で あることが示された。 雄BDC ラットに14C-ナラトリプタン塩酸塩の 1 mg/kg、雄 BDC イヌに 0.75 mg/kg をそれぞれ 単回皮下投与したときの放射能は、投与24 時間後までの胆汁中に投与量の約 9%、糞中には約 10~17%排泄された。このことから、ラット及びイヌの糞中に排泄された放射能の大部分は消化 管分泌によるものと考えられた。 分娩10 日の授乳ラットに14C-ナラトリプタン塩酸塩の 10 mg/kg を単回経口投与したときの放 射能は、乳汁中へ移行することが示された。 薬物動態学的薬物相互作用 ヒト肝ミクロソームを用いて、ナラトリプタン塩酸塩の主なCYP 分子種に及ぼす影響を検討 した結果、ナラトリプタン塩酸塩はCYP1A1、CYP1A2、CYP2A6、CYP2C9 及び CYP2E1 に対し ては250 μM の濃度まで、CYP2C19 に対しては 2.5 μM の濃度まで酵素活性を阻害しなかった。 ナラトリプタン塩酸塩はCYP2D6 を 2.5 μM の濃度まで阻害しなかったが、250 μM の濃度では弱 く阻害した。また、ナラトリプタン塩酸塩はCYP3A4/5 活性を 250 μM の濃度まで阻害しなかっ たが、2500 μM の濃度では 59~70%阻害した。なお、阻害のみられなかった濃度(2.5 及び 250 μM)は日本人健康成人男性に 5 mg を単回経口投与したときの血漿中未変化体の Cmax(16.17 ng/mL)のそれぞれ約 52 及び 5200 倍であった。このことから、ナラトリプタン塩酸塩は臨床で 主なCYP 分子種の代謝を阻害する可能性は低いと考えられた。 ヒト肝ミクロソームを用いて、ナラトリプタン塩酸塩(0.25~250 μM)のモノアミン酸化酵素 (MAO)-A 及び MAO-B に及ぼす影響を検討した結果、ナラトリプタン塩酸塩は MAO-A 及び MAO-B の代謝活性に影響を及ぼさなかった。また、ナラトリプタン塩酸塩の代謝クリアランス

が低いこと並びにMAO-A 及び MAO-B に対して阻害作用を示さないことから、MAO で代謝され

る薬剤及びMAO 阻害剤と併用投与した際に薬物動態学的薬物相互作用を引き起こす可能性は低

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2.6.4 薬物動態試験の概要文 2.6.4.2. 分析法 2.6.4.2.1. 被験物質 本薬はナラトリプタンの塩酸塩である。本試験で使用した14C-ナラトリプタン塩酸塩の放射化 学的純度は95%超、比放射能は 0.8~6.25 MBq/mgであった。14C-ナラトリプタン塩酸塩の化学構 造を 図 2.6.4-1 に示す。 N H N H3C S N H CH3 O O ・HCl * *:14C 標識位置 図 2.6.4-1 14 C-ナラトリプタン塩酸塩の化学構造 2.6.4.2.2. 分析方法 4.2.2.1.1, 4.2.2.1.2, 4.2.2.1.3 血漿中ナラトリプタン(未変化体)濃度は、固相抽出後に逆相カラムを用いたHPLC-FL 法 (Ex 280 nm、Em 360 nm)で定量した。 薬物動態試験でのラット及びイヌ血漿中未変化体濃度の定量範囲は、それぞれ10~1000 ng/mL 及び 5~893 ng/mL、精密度は 12.5%未満、正確度は±14.2%未満であった(2.6.5.2 参照)。また、 反復経口投与試験(TK)でのラット及びイヌ血漿中未変化体濃度の定量範囲は、5~1000 ng/mL であった。なお、ラット及びイヌ血漿中での未変化体の安定性を検討した結果、-20℃で 28 日間 安定であった(2.6.5.2 参照)。 血漿、尿及び胆汁中放射能は直接、糞中放射能は試料を燃焼後にLSC 法で測定した。組織内 放射能は定量的全身オートラジオグラフィー法あるいは摘出後の試料を燃焼し、LSC 法で測定し た。 マウス、ラット、ウサギ及びイヌに14C-ナラトリプタン塩酸塩を単回投与したときの血漿及び 尿中代謝物はHPLC-radio 法及び HPLC-MS 法で検討し、胆汁及び糞中代謝物は HPLC-radio 法で 検討した。また、ヒト胃液を想定した生理条件下でのN-ニトロソ誘導体(GR101124X)は HPLC-UV 法で、ラット胃内の N-ニトロソ誘導体は HPLC-radio 法で測定した。なお、ヒト血漿 中代謝物は、HPLC-MS 法及び HPLC-FL 法で、尿中代謝物は HPLC-radio 法でも検討した。

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2.6.4 薬物動態試験の概要文 2.6.4.3. 吸収 ラット及びイヌにナラトリプタン塩酸塩を単回経口及び静脈内投与したときの血漿中未変化体 の薬物動態を検討した。また、ラットに14C-ナラトリプタン塩酸塩を単回静脈内投与、イヌに単 回経口投与したときの血漿中未変化体濃度及び放射能推移を検討した。更に、ラット及びイヌに ナラトリプタン塩酸塩を反復経口投与したときの血漿中未変化体の薬物動態を検討した(表 2.6.4-1)。 表 2.6.4-1 ナラトリプタン塩酸塩の薬物動態試験一覧(吸収) 動物種/系統 試験の 種類 投与 方法 性別 投与量 (mg/kg) 投与期間 GLP 適用 実施施設 資料番号 Wistar ラット 単回投与 経口 静脈内 ♂♀ 10 単回 非適 Glaxo (英国) 4.2.2.2.1 AHA ラット 単回投与 静脈内 ♂ 1 単回 適 Glaxo (英国) 4.2.2.2.2 ビーグル犬 単回投与 経口 静脈内 ♂♀ 1 単回 非適 Glaxo (英国) 4.2.2.2.3 ビーグル犬 単回投与 経口 ♂♀ 0.75 単回 適 Glaxo (英国) 4.2.2.2.4 Wistar ラット 反復投与 経口 ♂♀ 10, 40, 170, 340 24 日間 適 Glaxo (英国) 4.2.3.2.2 ビーグル犬 反復投与 経口 ♂♀ 1, 2.25, 5 43 日間 適 Glaxo (英国) 4.2.3.2.4 AHA:Allen and Hanbury Albino

2.6.4.3.1. 単回投与 2.6.4.3.1.1. ラット 2.6.4.3.1.1.1. 経口投与 4.2.2.2.1 雌雄ラットにナラトリプタン塩酸塩の10 mg/kg を単回経口投与したときの血漿中未変化体の 薬物動態を検討した。

雄ラットの血漿中未変化体のTmaxは 4 時間、Cmaxは 202 ng/mL、T1/2は3.4 時間、AUC0-∞は

1670 ng・hr/mLであり、BAは 38.7%であった(表 2.6.4-2)。雌雄の薬物動態パラメータはいずれ も同程度であったことから、雌雄ラットにナラトリプタン塩酸塩を単回経口投与したときの血漿 中未変化体の薬物動態に性差はないと考えられた。 表 2.6.4-2 雌雄ラットにナラトリプタン塩酸塩の 10 mg/kg を単回経口投与したときの 血漿中未変化体の薬物動態パラメータ 4.2.2.2.1 の Table 4 から作成

性別 (ng/mL) Cmax Tmax (hr) AUC0-∞ (ng・hr/mL) T1/2 (hr) BA (%) ♂ 202±70.3 #1 4 1670 3.4 38.7 ♀ 268±10.0 #1 3 1700 4.0 38.2 血漿中濃度の平均値より算出(n=3) #1:Tmax の時点での平均値±標準偏差

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2.6.4 薬物動態試験の概要文 2.6.4.3.1.1.2. 静脈内投与 4.2.2.2.1, 4.2.2.2.2 雌雄ラットにナラトリプタン塩酸塩の10 mg/kg を単回静脈内投与したときの血漿中未変化体 の薬物動態を検討した。 雌雄ラットの血漿中未変化体濃度は最初の採血時点である投与5 分後が最大となった(雌: 4150 ng/mL、雄:4120 ng/mL)。雌雄の血漿中未変化体の T1/2はそれぞれ1.8 及び 1.6 時間、 AUC0-∞はそれぞれ4410 及び 4320 ng・hr/mL、CL は 37.7 及び 38.6 mL/min/kg であった。また、雌 雄のVd はそれぞれ 5.8 及び 5.5 L/kg であった(2.6.5.3 参照)。 以上のことから、雌雄ラットにナラトリプタン塩酸塩を単回静脈内投与したときの血漿中未変 化体の薬物動態に性差はないと考えられた。また、Vdが総体液量(0.67 L/kg)1)よりも大きな値 を示したことから、ナラトリプタンの組織移行性が高いことが考えられた。 雄ラットに14C-ナラトリプタン塩酸塩の 1 mg/kgを単回静脈内投与したときの血漿中未変化体 及び放射能の薬物動態を検討した(図 2.6.4-2)。 血漿中未変化体濃度は最初の採血時点である投与 5 分後が最大(305 ng/mL)となり、その後、 体内から速やかに消失した。AUC0-∞は289 ng・hr/mL、T1/2は1 時間であり、投与 6 時間後には血 漿中に未変化体は検出されなかった。血漿中放射能も未変化体濃度と同様に投与5 分後が最大

(365 ng eq./mL)となった。血漿中放射能の AUC0-∞は434 ng eq.・hr/mL であり、投与 24 時間後

の血漿中に放射能は検出されなかった。 血漿中未変化体のAUC0-∞は放射能のAUC0-∞の約67%であったことから、ラットに14C-ナラト リプタン塩酸塩を単回静脈内投与したときの血漿中には主に未変化体が存在すると考えられた。 1 10 100 1000 0 1 2 3 4 5 6 投 与 後 時 間 (hr) 血 漿 中 濃 度 (ng/mL 又 は ng eq. /mL) ナ ラ ト リ プ タ ン 放 射 能 平均値±標準偏差(n=3~4) 図 2.6.4-2 雄ラットに14 C-ナラトリプタン塩酸塩の 1 mg/kg を単回静脈内投与したときの 血漿中未変化体及び放射能推移 4.2.2.2.2 の Appendix 2 及び 3 から作成

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2.6.4 薬物動態試験の概要文 2.6.4.3.1.2. イヌ 2.6.4.3.1.2.1. 経口投与 4.2.2.2.3, 4.2.2.2.4 雌雄イヌにナラトリプタン塩酸塩の1 mg/kg を単回経口投与したときの血漿中未変化体の薬物 動態を検討した。

雄イヌの血漿中未変化体のTmaxは 0.25~0.5 時間、Cmaxは 316 ng/mL、T1/2は3.5 時間、AUC

0-∞は1271 ng・hr/mLであり、雌でもほぼ同程度の値を示した(表 2.6.4-3)。雌雄のBAはそれぞれ 61.9%(範囲:46.6~73.9%)及び 74.8%(範囲:63.8~91.5%)であり、雌雄の平均値は約 68%で あった。 以上のことから、雌雄イヌにナラトリプタン塩酸塩を単回経口投与したときの血漿中未変化体 のBA の個体差は大きかったが、薬物動態に性差はないと考えられた。 表 2.6.4-3 雌雄イヌにナラトリプタン塩酸塩の 1 mg/kg を単回経口投与したときの 血漿中未変化体の薬物動態パラメータ 4.2.2.2.3 の Table 4 及び 5 から作成 性別 Cmax (ng/mL) Tmax (hr) AUC0-∞ (ng・hr/mL) T1/2 (hr) BA (%) ♂ 316 ± 84.3 0.25~0.5 1271 ± 207 3.5 ± 0.99 (63.8~91.5) 74.8 ± 11.9 ♀ 201 ± 49.7 0.75~1 1014 ± 337 3.3 ± 0.78 (46.6~73.9) 61.9 ± 13.8 平均値±標準偏差(n=4) Tmax 及び括弧内は範囲 雌雄イヌに14C-ナラトリプタン塩酸塩の 0.75 mg/kgを単回経口投与したときの血漿中未変化体 及び放射能の薬物動態を検討した(図 2.6.4-3)。

雌雄イヌの血漿中未変化体のTmaxは 1.5 及び 1.0 時間、Cmaxは 171 及び 188 ng/mL、AUC0-∞は

870 及び 1111 ng・hr/mL、T1/2は約4.2 及び 2.8 時間であった。雌雄での血漿中放射能のTmaxは 3.0

及び2.0 時間、Cmaxは 215 及び 233 ng eq./mL、AUC0-∞は3168 及び 2213 ng eq.・hr/mL、T1/2は約

3.7 及び 2.5 時間であった(表 2.6.4-4)。

雌雄イヌの血漿中未変化体のAUC0-∞は放射能のAUC0-∞のそれぞれ約35 及び 39%であったこ

とから、血漿中放射能の約60%が代謝物であると考えられた。また、雌の血漿中未変化体及び放

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2.6.4 薬物動態試験の概要文 1 10 100 1000 0 6 12 18 24 投与後時間 (hr) 血漿中濃度 (ng/m L又 は ng eq./mL) ナラトリプタン 放射能 平均値±標準偏差(n=4) 図 2.6.4-3 雄イヌに14 C-ナラトリプタン塩酸塩の 0.75 mg/kg を単回経口投与したときの 血漿中未変化体及び放射能推移 4.2.2.2.4 の Table 3 及び 4 から作成 表 2.6.4-4 雌雄イヌにナラトリプタン塩酸塩の 0.75 mg/kg を単回経口投与したときの 血漿中未変化体及び放射能の薬物動態パラメータ 4.2.2.2.4 の Table 3~5 から作成 性別 Cmax (ng/mL) Tmax (hr) AUC0-∞ (ng・hr/mL) T1/2 (hr) ♂ 188 ± 106 1.0 ± 0.0 870 ± 128 2.8 ± 0.42 未変化体 ♀ 171 ± 68 1.5 ±0.0 1111 ± 366 4.2 ± 0.59 ♂ 233 ± 50 2.0 ± 0.0 2213 ± 403 #2 2.5 ± 0.54 放射能#1 ♀ 215 ± 65 3.0 ± 0.0 3168 ± 901 3.7 ± 0.91 平均値±標準偏差(n=3~4)、#1:Cmax は ng eq/mL、AUC0-∞はng eq・hr/mL、#2:n=3

2.6.4.3.1.2.2. 静脈内投与 4.2.2.2.3 雌雄イヌにナラトリプタン塩酸塩の1 mg/kg を単回静脈内投与したときの血漿中未変化体の薬 物動態を検討した。 雌雄イヌの血漿中未変化体濃度は最初の採血時点である投与5 分後が最大となった(雌:1006 ng/mL、雄:1063 ng/mL)。雌雄の血漿中未変化体の T1/2はいずれも3.4 時間,AUC0-∞は1612 及 び1705 ng・hr/mL、CL は 10.6 及び 9.9 mL/min/kg であった。また、雌雄での Vd は 3.2 及び 2.9 L/kg であった(2.6.5.3 参照)。 以上のことから、雌雄イヌにナラトリプタン塩酸塩を単回静脈内投与したときの血漿中未変化 体の薬物動態に性差はないと考えられた。また、Vd が総体液量(0.60 L/kg)1)よりも大きな値 を示したことから、イヌでもラットと同様に組織移行性が高いことが考えられた。

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2.6.4 薬物動態試験の概要文 2.6.4.3.2. 反復投与 2.6.4.3.2.1. ラット 4.2.3.2.2 雌雄ラットにナラトリプタン塩酸塩の10、40、170 及び 340 mg/kg/日を 24 日間反復経口投与 したときの血漿中未変化体濃度を測定した。 雌雄ラットの投与初日及び24 日の血漿中未変化体のTmaxは 0.5~4.0 時間と個体差が大きかっ たが、投与量との間に関連性はみられなかった。血漿中未変化体のCmax及びAUC0-∞は10~340 mg/kg/日の範囲で投与量にほぼ比例して増加した。投与 24 日の曝露量(Cmax及びAUC0-∞)は投 与初日の約2 倍以下であった。また、T1/2は2.4~8.9 時間であり、投与量及び投与期間に伴う変 化を示さなかった(表2.6.4-5)。 以上のことから、ラットにナラトリプタン塩酸塩を反復投与したときに蓄積性はないと考えら れた。また、雌雄ラットの曝露量が同程度であったことから、性差はないと考えられた。 表 2.6.4-5 雌雄ラットにナラトリプタン塩酸塩の 10~340 mg/kg/日を 24 日間反復経口投与したときの血漿中未変化体の薬物動態パラメータ 4.2.3.2.2 の APPENDIX 9 Table 10~13 から作成 投与日 投与量 (mg/kg/日) 性別 Cmax (μg/mL) Tmax (hr) (μg・hr/mL) AUC0-∞ T(hr) 1/2 ♂ 0.250 4.0 2.25 6.1 10 #1 ♀ 0.439 3.0 2.73 4.4 ♂ 2.26 2.0 8.48 3.5 40 #1 ♀ 2.23 2.0 8.66 2.4 ♂ 6.24 0.5 45.5 3.6 170 ♀ 9.39 1.0 48.1 3.4 ♂ 10.3 1.5 104 7.1 投与初日 340 ♀ 13.3 1.5 91.4 5.0 ♂ 0.513 3.0 3.58 5.9 10 #1 ♀ 0.396 3.0 4.22 5.3 ♂ 2.31 3.0 15.1 8.9 40 #1 ♀ 2.05 1.5 11.2 6.6 ♂ 9.49 0.5 77.4 4.0 170 ♀ 9.95 2.0 55.4 3.0 ♂ 13.8 3.0 153 5.5 投与24 日 340 ♀ 17.1 1.5 141 4.1 各時点1~2 例の血漿中濃度より算出 #1:n=1/時点 2.6.4.3.2.2. イヌ 4.2.3.2.4 雌雄イヌにナラトリプタン塩酸塩の1、2.25 及び 5 mg/kg/日を 43 日間反復経口投与したときの 血漿中未変化体濃度を測定した。 雌雄イヌの投与初日の血漿中未変化体のTmaxの平均値は 0.8~1.8 時間であり、曝露量は投与 量に比例して増加した。2.25 及び 5 mg/kg/日群の投与初日のT1/2は、それぞれ3.9~5.9 及び 4.1~ 4.9 時間と 1 mg/kg/日群(2.3~2.7 時間)と比べて延長した。また、投与 43 日の曝露量及びT1/2は 投与初日とほぼ同程度であった(表2.6.4-6)。

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2.6.4 薬物動態試験の概要文 以上のことから、イヌにナラトリプタン塩酸塩を反復投与したときに蓄積性はないと考えられ た。また、雌雄イヌの曝露量が同程度であったことから、性差はないと考えられた。 表 2.6.4-6 雌雄イヌにナラトリプタン塩酸塩の 1~5 mg/kg/日を 43 日間反復経口投与したとき の血漿中未変化体の薬物動態パラメータ 4.2.3.2.4 の APPENDIX2 Table 5~7 から作成 投与日 投与量 (mg/kg/日) 性別 Cmax (ng/mL) Tmax (hr) (ng・hr/mL) AUC0-∞ T(hr) 1/2 ♂ 275, 194 235 1.5, 2.0 1.8 1390, 893 1142 2.8, 2.5 2.7 1 ♀ 153, 396 275 2.0, 0.5 1.3 721, 1120 921 2.4, 2.1 2.3 ♂ 1290, 374 832 0.5, 1.0 0.8 3550, 2770 3160 2.6, 5.1 3.9 2.25 #1 ♀ 420, 1500 960 2.0, 0.5 1.3 2520, 5930 4225 6.9, 4.8 5.9 ♂ 1660, 2220 1940 1.0, 1.0 1.0 6010, 66606335 4.8, 5.0 4.9 投与初日 5 #2 ♀ 1560, 1550 1555 2.0, 1.5 1.8 6960, 7880 7420 3.6, 4.5 4.1 ♂ 248, 194 221 1.0, 0.5 0.8 1330, 860 1095 2.6, 2.7 2.7 1 ♀ 212, 322 267 1.0, 0.5 0.8 876, 929 903 2.6, 2.3 2.5 ♂ 832, 746 789 1.0, 0.5 0.8 3690, 2830 3260 8.0, 6.6 7.3 2.25 ♀ 510, 782 646 2.0, 0.5 1.3 3000, 5270 4135 5.6, 7.7 6.7 ♂ 1530, 1330 1430 0.5, 2.0 1.3 7660, 7540 7600 8.1, 9.4 8.8 投与43 日 5 ♀ 942, 1720 1331 4.0, 0.5 2.3 7090, 9630 8360 6.2, 7.3 6.8 上段:個別値、下段:平均値(n=2)、#1:4 日目のデータ、#2:8 日目のデータ

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2.6.4 薬物動態試験の概要文 2.6.4.4. 分布 ラットに14C-ナラトリプタン塩酸塩を単回経口及び静脈内投与したときの組織内放射能分布を 検討した。また、動物及びヒトでの14C-ナラトリプタン塩酸塩のin vitro血漿蛋白結合及び血球移 行、妊娠ラットに14C-ナラトリプタン塩酸塩を単回経口投与したときの放射能の胎児移行を検討 した(表2.6.4-7)。 表 2.6.4-7 ナラトリプタン塩酸塩の薬物動態試験一覧(分布) 動物種/系統 など 試験の種類 投与 方法 性別 投与量 (mg/kg) 投与 期間 GLP 適用 実施 施設 資料 番号 Wistar ラット RH ラット 組織内放射能 経口 ♂ 10 単回 適 Glaxo (英国) 4.2.2.3.1 RH ラット 組織内放射能 静脈内 ♂ 2 単回 適 Glaxo (英国) 4.2.2.3.2 Harefield マウス RH ラット Stride-Dutch ウサギ ビーグル犬 ヒト 血漿蛋白結合 In vitro - 50~1000 ng/mL - 適 Glaxo (英国) 4.2.2.3.3 RH ラット ビーグル犬 ヒト 血球移行 In vitro - 50~1000 ng/mL - 適 Glaxo (英国) 4.2.2.3.4 妊娠Wistar ラット 胎盤・胎児移行 経口 ♀ 1 単回 非適 Glaxo (英国) 4.2.2.3.5 RH:Random bred Hooded (有色)

-:該当なし 2.6.4.4.1. 組織内放射能 2.6.4.4.1.1. 経口投与 4.2.2.3.1 雄白色及び有色ラットに14C-ナラトリプタン塩酸塩の 10 mg/kg を単回経口投与したときの組織 内放射能を全身オートラジオグラフィーで検討した。なお、有色ラットの眼球内放射能は組織を 摘出後にLSC で測定した。 白色ラットでの放射能は投与15 分後には広く組織に分布した(表 2.6.4-8)。放射能は胃及び 腸管内容物(>70 μg eq./g)で最も高く、次いで膀胱内容物(16.15 μg eq./g)、肝臓(6.38 μg eq./g)及び腎臓(3.11 μg eq./g)の順であった。その他の大部分の組織で放射能は約 0.4~1 μg eq./gであり、血液中放射能(0.17~0.41 μg eq./g)よりも高かった。大部分の組織で放射能は投与 15 分~1 時間後に最大(約 1~4 μg eq./g)となり、その後、経時的に減少した。投与 24 時間後に は胃内容物(15.44 μg eq./g)及び腸管内容物(21.14 μg eq./g)で比較的高い放射能が、肝臓 (0.96 μg eq./g)、腎臓(0.05 μg eq./g)では低い放射能が確認された。精巣での放射能は投与 24 時間後に最大(1.29 μg eq./g)となった。投与 168 時間後には、いずれの組織でも放射能は定量 下限(0.11 μg eq./g)未満となったことから、組織での残留性はないと考えられた。また、脳内 放射能は、いずれの時点でも定量下限(0.11 μg eq./g)未満であった。

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2.6.4 薬物動態試験の概要文 表 2.6.4-8 雄白色ラットに14 C-ナラトリプタン塩酸塩の 10 mg/kg を 単回経口投与したときの組織内放射能 4.2.2.3.1 の APPENDIX3 Table 1~5 から作成 放射能 (μg eq./g) 組織 / 器官 0.25 hr 1 hr 6 hr 24 hr 168 hr 血液 0.17~0.41 0.15~0.21 <0.16 <0.79 <0.11 脳 <0.34 <0.16 <0.16 <0.79 <0.11 脳下垂体 0.72~0.95 0.62~0.73 1.06 ± 0.21 <0.79 <0.11 唾液腺 1.11 ± 0.21 2.54 ± 0.48 2.54 ± 0.33 <0.79 <0.11 甲状腺 <0.34 <0.16 <0.16 <0.79 <0.11 胸腺 0.07~0.36 0.75 ± 0.25 0.28 ± 0.07 <0.79 <0.11 心臓 1.01 ± 0.26 1.01 ± 0.20 0.23~0.28 <0.79 <0.11 肺 0.73 ± 0.24 0.68 ± 0.33 0.16~0.21 <0.79 <0.11 肝臓 6.38 ± 0.57 3.46 ± 1.09 1.30 ± 0.65 0.96 ± 1.02 <0.11 腎臓 3.11 ± 1.51 2.56 ± 0.78 0.63 ± 0.35 0.05~0.81 <0.11 副腎 0.81~0.86 2.32 ± 0.98 1.55 ± 0.16 <0.79 <0.11 脾臓 0.81 ± 0.31 0.91 ± 0.29 0.30 ± 0.11 <0.79 <0.11 膵臓 0.31~0.42 3.14 ± 0.82 0.32~0.42 <0.79 <0.11 褐色脂肪 0.62~0.67 1.00 ± 0.33 0.12~0.23 <0.79 <0.11 骨 0.39~0.49 0.10~0.21 0.07~0.18 <0.79 <0.11 骨格筋 0.89 ± 0.75 1.15 ± 0.25 0.33 ± 0.11 <0.79 <0.11 骨髄 0.66~0.76 0.82 ± 0.31 0.17~0.23 <0.79 <0.11 膀胱壁 <0.34 <0.16 <0.16 <0.79 <0.11 膀胱内容物 16.15 ± 8.70 <0.16 <0.16 <0.79 <0.11 精巣 0.39~0.50 0.14~0.19 0.53 ± 0.10 1.29 ± 1.79 <0.11 胃壁 <0.34 3.62~3.68 2.86 ± 1.87 <0.79 <0.11 胃内容物 >69.96 >38.31 1.54 ± 1.10 15.44 ± 18.89 <0.11 小腸壁 0.43~0.54 2.03 ± 0.63 0.43~0.54 <0.79 <0.11 大腸壁 <0.34 0.83~0.88 0.66~0.77 <0.79 <0.11 腸管内容物1 >70.14 >38.36 >9.20 21.14 ± 24.43 <0.11 腸管内容物2 >70.14 >36.95 >18.24 4.17 ± 5.40 <0.11 平均値±標準偏差又は範囲(n=3/各時点)、<:定量下限(0.11 μg eq./g)未満、>:定量上限を超える値 有色ラットでの投与1 時間後の組織内放射能分布は眼球内で放射能(2.01 μg eq./g)が確認さ れたことを除き、白色ラットとほぼ同じであった。眼球内放射能はブドウ膜に分布し、投与24 時間後には最大(2.56 μg eq./g)であったが、投与 7 日後には 1.83 μg eq./g、投与 3 ヵ月後には 1.17 μg eq./g に低下したこと(2.6.5.5.1 参照)から、T1/2は約90 日と算出された。 以上のことから、白色ラットに14C-ナラトリプタン塩酸塩を単回経口投与したときの放射能は 速やかに体内に吸収され、広く組織に分布した後に体内から速やかに消失すると考えられた。ま た、有色ラットのブドウ膜で投与3 ヵ月後にも放射能が確認されたことから、メラニン含有組織 での放射能の残留性が示された。

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2.6.4 薬物動態試験の概要文 2.6.4.4.1.2. 静脈内投与 4.2.2.3.2 雄有色ラットに14C-ナラトリプタン塩酸塩の 2 mg/kg を単回静脈内投与したときの組織内放射 能を全身オートラジオグラフィーで検討した。なお、有色ラットの眼球内放射能は組織を摘出後 にLSC で測定した。 放射能は大部分の組織に広く分布し、膀胱、腎臓、肝臓、腸管、膵臓及び唾液腺で最大(3.47 ~>6.34 μg eq./g)となり、胃壁でも放射能が確認された。脳での放射能は痕跡量であった。また、 投与2~48 時間後の精巣(0.21~0.35 μg eq./g)でも放射能が確認された。投与 48 時間後には腎 臓、甲状腺、肝臓及び膀胱で放射能(0.02~0.47 μg eq./g)がみられたが、投与 168 時間後までに 大部分の組織から放射能が消失した。また、有色ラットの眼球では経口投与と同様に放射能(投 与168 時間後で 0.75 μg eq./g)が確認された(2.6.5.5.2 参照)。 以上のことから、有色ラットに14C-ナラトリプタン塩酸塩を単回静脈内投与したときの放射能 は組織に広く分布すること、放射能の消化管分泌及びメラニンとの結合が示された。 2.6.4.4.2. 血漿蛋白結合 4.2.2.3.3 マウス、ラット、ウサギ、イヌ及びヒト血漿に14C-ナラトリプタン塩酸塩の 50~1000 ng/mL (目標濃度)を添加したときの in vitro 血漿蛋白結合率を平衡透析法で検討した。 血漿蛋白結合率は、マウスで25.8%、ラットで 25.7%、ウサギで 21.5%、イヌで 35.2%及びヒ トで29.0%と低く、いずれの濃度でも、ほぼ一定の値を示した(2.6.5.6.1 参照)。 以上のことから、動物及びヒトの体内でナラトリプタンは主に非結合型として存在しているこ とが示された。また、ナラトリプタンは蛋白の結合置換に起因する薬物相互作用を引き起こす可 能性は低いと考えられた。 2.6.4.4.3. 血球移行 4.2.2.3.4 ラット、イヌ及びヒト血液に14C-ナラトリプタン塩酸塩の 50~1000 ng/mL(目標濃度)を添加 したときの in vitro 血球移行率を検討した。 血球移行率はラットで55%、イヌで 49%及びヒトで 52%であり、14C-ナラトリプタン塩酸塩の 濃度で変化しなかった(2.6.5.6.2 参照)。また、血球に結合した放射能は血漿で洗浄することに より血漿中に回収されたことから、放射能の血球結合は可逆的であると考えられた。 2.6.4.4.4. 胎盤・胎児移行 4.2.2.3.5 妊娠12 及び 19 日のラットに14C-ナラトリプタン塩酸塩の 1 mg/kg を単回経口投与したときの 放射能の胎盤・胎児移行を検討した。 妊娠12 日の投与 30 分後の胎児内放射能は 22.8 ng eq./g であり、母動物の血漿中放射能(12.0 ng eq./mL)よりも高かった。妊娠 19 日の胎児内放射能は投与 2 時間後に最大(6.2 ng eq./g)と なったが、母動物の血漿中放射能(25.5 ng eq./mL)よりも低かった。投与 24 時間後の胎児内放

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2.6.4 薬物動態試験の概要文 射能(1.8 ng eq./g)は、母動物の血漿中放射能(1.9 ng eq./mL)と同程度であった(2.6.5.7.1 参 照)。 以上のことから、妊娠ラットに14C-ナラトリプタン塩酸塩を経口投与したときの放射能は、胎 盤を通過し、胎児に移行することが示された。 2.6.4.5. 代謝 動物及びヒトに14C-ナラトリプタン塩酸塩又はナラトリプタン塩酸塩を単回投与したときの血 漿及び尿中代謝物、ラット及びイヌに14C-ナラトリプタン塩酸塩を単回投与したときの胆汁及び 糞中代謝物を検討した。また、ヒト肝S9 画分及びヒト肝ミクロソームでのin vitro代謝、ラットに 反復経口投与したときの肝薬物代謝酵素に及ぼす影響を検討した。更に、ヒト胃液を想定した生 理条件下(in vitro)における胃内でのN-ニトロソ誘導体の生成及びラットに亜硝酸ナトリウム添 加飼料を給餌した後に14C-ナラトリプタン塩酸塩を単回経口投与したときの胃内でのN-ニトロソ 誘導体の生成についても検討した(表2.6.4-9)。 表 2.6.4-9 ナラトリプタン塩酸塩の薬物動態試験一覧(代謝) 動物種/系統など 試験の種類 投与 方法 性別 投与量 (mg/kg) 投与 期間 GLP 適用 実施施設 資料 番号 B6C3F1 マウス ♂♀ 10 Wistar ラット ♂♀ 10 Han Wistar ラット ♂♀ 10 NZW ウサギ ♀ 1 ビーグル犬 ♂♀ 1 ヒト ♂♀ 2.5mg 単回 非適 Wellcome (英国) 4.2.2.4.1 ヒト 血漿及び 尿中代謝物 経口 ♂ 10mg 単回 非適 Glaxo (英国) 5.3.3.1.6 Wistar ラット 糞中代謝物 経口 ♂♀ 10 単回 適 Glaxo (英国) 4.2.2.4.2 AHA ラット (BDC) 胆汁中代謝物 皮下 ♂ 1 単回 適 Glaxo (英国) 4.2.2.4.3 ビーグル犬 糞中代謝物 経口 ♂♀ 0.75 単回 適 Glaxo (英国) 4.2.2.2.4 ビーグル犬 糞中代謝物 静脈内 ♂♀ 0.75 単回 非適 Glaxo (英国) 4.2.2.4.4 ビーグル犬 (BDC) 胆汁中代謝物 皮下 ♂ 0.75 単回 適 Glaxo (英国) 4.2.2.4.5 ヒト肝S9 分画 ヒト肝ミクロソーム 代謝に関与する

CYP 分子種の推定 In vitro - 2.5 μM - 非適 Glaxo (英国) 4.2.2.4.6 Han Wistar ラット 肝代謝酵素に 及ぼす影響 経口 ♂♀ 170, 225, 300 13 週間 非適 4.2.2.4.7 ヒト胃液 (想定) N-ニトロソ誘導体 の生成 In vitro - 0.5 mM - 非適 Glaxo (英国) 4.2.2.4.8 Han Wistar ラット N-ニトロソ誘導体 の生成 経口 ♂♀ 5, 20, 90 単回 非適 Glaxo (英国) 4.2.2.4.9 NZW:New Zealand White

AHA:Allen and Hanbury Albino

2.6.4.5.1. 血漿及び尿中代謝物

マウス、ラット、ウサギ及びイヌに14C-ナラトリプタン塩酸塩を、ヒトに14C-ナラトリプタン

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2.6.4 薬物動態試験の概要文 2.6.4.5.1.1. マウス 4.2.2.4.1 雌雄マウスに14C-ナラトリプタン塩酸塩の 10 mg/kgを単回経口投与したときの投与 1 時間後の 血漿中には未変化体のみが検出され、代謝物は検出されなかった(表2.6.4-10)。投与 24 時間後 までの尿中には少なくとも13 種類のピークが確認された。尿中の主な成分は未変化体(試料中 放射能の80%)であり、少量の代謝物として、α-水酸化体(6.4%)、N-酸化体(3.1%)、N-脱 メチル体(2.8%)及びピペリジノン体(2.6%)が確認された。更に、尿中にはピリドン体(推 定)、α-水酸化 N-脱メチル体も検出された(表 2.6.4-11 及び 図 2.6.4-4)。 2.6.4.5.1.2. ラット 4.2.2.4.1 雌雄ラットに14C-ナラトリプタン塩酸塩の 10 mg/kgを単回経口投与したときの投与 1 時間後の 血漿中には未変化体のみが検出され、代謝物は検出されなかった(表2.6.4-10)。投与 24 時間後 までの尿中には少なくとも10 種類のピークが検出された。尿中主成分は未変化体(87%)であ り、少量の代謝物として、α-水酸化体(4.9%)、ピペリジノン体(2.2%)、N-脱メチル体(推 定)の成分(1.6%)及びN-酸化体(1.5%)が確認された(表 2.6.4-11 及び 図 2.6.4-4)。 2.6.4.5.1.3. ウサギ 4.2.2.4.1 雌ウサギに14C-ナラトリプタン塩酸塩の 1 mg/kgを単回経口投与したときの投与 1 時間後の血 漿中には1 例で未変化体のみが、もう 1 例ではα-水酸化体のみが検出された(表 2.6.4-10)。投 与24 時間後までの尿中には少なくとも 6 種類のピークが検出された。尿中の主な成分は、α-水 酸化体(41%)であり、α-水酸化 N-脱メチル体(28%)及び未変化体(27%)も確認された。ま た、尿中にはN-酸化体及びピリドン体(推定)の存在も考えられた(表 2.6.4-11 及び 図 2.6.4-4)。 2.6.4.5.1.4. イヌ 4.2.2.4.1 雌雄イヌに14C-ナラトリプタン塩酸塩の 1 mg/kgを単回経口投与したときの投与 1 時間後の血 漿中放射能の約90%は未変化体であり、約 10%のN-酸化体も確認された(表 2.6.4-10)。投与 24 時間後までの尿中の主な成分は、未変化体(雄58%、雌 47%)であった。また、その他に 6 種類 の代謝物が検出され、そのうちN-酸化体(雄 34%、雌 28%)、α-水酸化体(雄 0.9%、雌 1.1%)、 N-脱メチル体(雄 0.7%、雌 0.9%)及びピペリジノン体(雌雄いずれも 1%未満)が確認された (表2.6.4-11)。また、未変化体よりも質量数が 32 大きい代謝物も検出され、水酸化インドール カルボニル体と推定された(図 2.6.4-4 及び 2.6.5.9 参照)。 2.6.4.5.1.5. ヒト 4.2.2.4.1, 5.3.3.1.6 ヒトにナラトリプタン塩酸塩の2.5 mg を、あるいは14C-ナラトリプタン塩酸塩の 10 mg を単回 経口投与したときの血漿及び尿中代謝物を検討した。

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2.6.4 薬物動態試験の概要文 ナラトリプタン塩酸塩を投与したときの血漿中の主な成分は未変化体であり、N-酸化体、ピペ リジノン体も確認され(表2.6.4-10)、水酸化ピペリジノン体も検出された。14C-ナラトリプタ ン塩酸塩を投与したときの血漿中放射能及び未変化体の濃度比から、血漿中放射能の50%以上が 未変化体であることが示された(2.7.2.2.2.2 参照)。 14C-ナラトリプタン塩酸塩を投与したときの投与 24 時間後までの尿中放射能の 61.0~66.0%は 未変化体であり、その他の主な成分はN-酸化体(13.2~14.4%)及びピペリジノン体(9.1~ 9.4%)であった(表 2.6.4-11)。更に、数種類の成分(構造未同定)が尿中放射能のそれぞれ 1.4 ~5.7%検出された。 表 2.6.4-10 マウス、ラット、ウサギ、イヌ及びヒトにおける投与 1 時間後の血漿中代謝物 4.2.2.4.1 の Table 1 及び 5.3.5 項から作成 血漿中放射能対する割合 (%) 動物又は ヒト 未変化体 N-酸化体 α-水酸化体 ピペリジノン体 マウス 100 ✗ ✗ ✗ ラット 100 ✗ ✗ ✗ ウサギ 100/0#1 0/100#1 ♂ 90 10 ✗ ✗ イヌ ♀ 89 11 ✗ ✗ ♂ ✓ ✓ ✗ ✓ ヒト#2 ♀ ✓ ✓ ✗ ✓ #1:1 例で未変化体のみが、もう 1 例では α-水酸化体のみが検出された #2:投与 5、6 及び 8 時間後のプールした血漿を定性分析した ✓:存在を確認 ✗:検出されず 表 2.6.4-11 マウス、ラット、ウサギ、イヌ及びヒトにおける投与 0~24 時間後の尿中代謝物 4.2.2.4.1 の Table 1 及び 5.3.3.1.6 の Table 6 から作成 尿中放射能に対する割合 (%) 動物 (n) 又はヒト 未変化体 N-酸化体 α-水酸化体 N-脱メチル体 水酸化インドール カルボニル体#1 α-水酸化 N-脱メチル体 ピペリジノン体 マウス 80 3.1 6.4 2.8 ✗ ✓ 2.6 ラット 87 1.5 4.9 1.6 ✗ ✗ 2.2 ウサギ 27 <1 41 ✗ ✗ 28 ✗ ♂ 58 34 0.9 0.7 5.8 ✗ <1 イヌ ♀ 47 28 1.1 0.9 3.7 ✗ <1 No.1 66.0 13.2 ✓ ✗ ✗ ✗ 9.1 ヒト (♂) No.2 61.0 14.4 ✓ ✗ ✗ ✗ 9.4 平均値、イヌ及びヒトは個別値 #1:推定構造 ✓:存在を確認 ✗:検出されず 2.6.4.5.2. 糞及び胆汁中代謝物 ラットに14C-ナラトリプタン塩酸塩を単回経口投与、イヌに単回経口及び静脈内投与したとき の糞中代謝物、BDC ラット及びイヌに14C-ナラトリプタン塩酸塩を単回皮下投与したときの胆汁 中代謝物を検討した。

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2.6.4 薬物動態試験の概要文 2.6.4.5.2.1. ラット 4.2.2.4.2, 4.2.2.4.3 雌雄ラットに14C-ナラトリプタン塩酸塩の 10 mg/kg を単回経口投与したときの投与 24 時間後 までの糞中の主な成分は未変化体(投与量の38%)であり、その他に 4 種類の代謝物(1 種類は 投与量の約6%、残りの 3 種類は 2%未満)が確認された。 また、雄BDC ラットに14C-ナラトリプタン塩酸塩の 1 mg/kg を単回皮下投与したときの胆汁中 に排泄された放射能の約1/3~1/2 が未変化体であり、その他に少なくとも 6 種類の代謝物が少量 (20%未満)確認された。 2.6.4.5.2.2. イヌ 4.2.2.2.4, 4.2.2.4.4, 4.2.2.4.5 雌雄イヌに14C-ナラトリプタン塩酸塩の 0.75 mg/kg を単回経口投与したときの投与 24 時間後 までの糞中に排泄された放射能は雄で約9%、雌で約 6%と低く、代謝物は同定できなかった。 雌雄イヌに14C-ナラトリプタン塩酸塩の 0.75 mg/kg を単回静脈内投与したときの投与 24 時間 後までの糞中の主な成分は未変化体(投与量の約20%)であり、N-酸化体も確認された。 雄BDC イヌに14C-ナラトリプタン塩酸塩の 0.75 mg/kg を単回皮下投与したときの胆汁中には 6 種類以上の代謝物が確認され、このうちの1 種類は N-酸化体であった。また、未変化体はわず かであり、その他に未同定の代謝物が約50%(投与量の 3~6%)確認された。 2.6.4.5.3. 推定代謝経路 ナラトリプタンはN-酸化、α-水酸化、N-脱メチル化など複数の経路で代謝され、ヒトで生成が 確認された代謝物は動物でも存在が確認された(図 2.6.4-4)。また、マウス、ラット、イヌ及び ヒト血漿及び尿中の主な成分はいずれも未変化体であったことから、これらの動物種及びヒトで のナラトリプタンの代謝クリアランスは低いと考えられた。

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2.6.4 薬物動態試験の概要文 N N CH3 S N O O H3C ナラトリプタン P: D,Rb,M,R,Ha) U: D,Rb,M,R,Ha) N N CH3 S N O O H3C N-酸化体 P: D,H U: D,Rb,M,R,H N N CH3 S N O O H3C α-水酸化体 P: Rb U: D,Rb,M,R,H N N CH3 S N O O H3C ピペリジノン体 P: H U: D,R,M,H N N CH3 S N O O H3C インドールカルボニル体 U: H N N CH3 S H2N O O N-脱メチル体 U: D,M,R O OH O N N CH3 S N O O H3C 水酸化ピペリジノン体 P: H U: H,D O HO 水酸化インドールピペリジノン体 P: H U: H,D N N CH3 S N O O H3C O OH 水酸化インドールカルボニル体 U: D O N N CH3 S N O O H3C HO O 水酸化ピペリジンインドールカルボニル体 U: D N N CH3 S N O O H3C O HO 〔〕 : 推定構造 a) : 認められた試料及び動物種 P 血漿, U 尿, D イヌ, Rb ウサギ, M マウス, R ラット, H ヒト N N CH3 S N O O H3C ピリドン体 U: M,Rb O N N CH3 S H2N O O α-水酸化 N-脱メチル体 U: Rb,M OH 図 2.6.4-4 マウス、ラット、ウサギ、イヌ及びヒトにおける推定代謝経路 4.2.2.4.1 の Figure 22 から作成 2.6.4.5.4. 代謝に関与する CYP 分子種の推定 4.2.2.4.6 ヒト肝 S9 画分に14C-ナラトリプタン塩酸塩(最終濃度 2.5 μM)及び各 CYP 分子種(CYP1A2、 CYP2C9、CYP2D6、CYP2E1、CYP3A4/5)の阻害剤を添加し、37℃で 60 分間インキュベートし たときのピペリジノン体への代謝阻害を in vitro で検討した。また、ヒト肝ミクロソーム (100,000×g)での14C-ナラトリプタン塩酸塩のピペリジノン体への代謝に関与する CYP 分子種 を検討した。

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2.6.4 薬物動態試験の概要文 ヒト肝S9 画分及びヒト肝ミクロソームでナラトリプタンは、ほとんど代謝されなかった(ヒ ト肝S9 画分でのピペリジノン体への変換率:約 0.8%)。しかしながら、ピペリジノン体への代 謝はCYP1A2、CYP2C9、CYP2D6、CYP2E1、CYP3A4/5 の阻害剤で 17~51%阻害されたこと (2.6.5.10.1 参照)から、本薬の代謝には CYP1A2、CYP2C9、CYP2D6、CYP2E1 及び CYP3A4/5 などの複数のCYP 分子種が関与していると考えられた。また、ヒト肝ミクロソームでのピペリ ジノン体の生成量と CYP 分子種(CYP1A2、CYP2A6、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、 CYP3A4/5)との間に相関が認められなかったことから、この代謝は非特異的であると考えられ た。 以上のことから、本薬はヒト肝臓でピペリジノン体へほとんど代謝されないが、代謝には多く の種類のCYP 分子種が関与することが示された。 2.6.4.5.5. 肝薬物代謝酵素に及ぼす影響 4.2.2.4.7 雌雄ラットにナラトリプタン塩酸塩の170、225 及び 300 mg/kg/日を 1 日 1 回 13 週間反復経口 投与したときの肝臓の各CYP 分子種に対する影響を検討した。 CYP1A1 の蛋白量はナラトリプタン塩酸塩群の方が媒体群よりも概して高く、雄ラットでは投 与量に依存して増加した(媒体群の4.9~7.0 倍)。雌ラットでは媒体群の 0.3~2.3 倍であり、投 与量に依存した増加は認められなかった。CYP3A の蛋白量は媒体群よりも低下した(雄:0.5~ 0.8 倍、雌:0.3~0.6 倍)が、他の分子種に酵素誘導を示す変化は認められなかった。また、 CYP1A1 の蛋白量を ELISA 法で測定した結果、雄ラットの 170 mg/kg/日群は媒体群の 2 倍に増加 したが、投与量に依存した増加は認められなかった(2.6.5.12.1 参照)。 以上のことから、本薬はラットのCYP1A1 活性に影響を及ぼすが、予定 1 回最大臨床用量 (2.5 mg/ヒト 50 kg)の 3400 倍と極めて高い投与量での変化であったことから、ヒトの薬物代 謝酵素に影響を及ぼす可能性は低いものと考えられた。 2.6.4.5.6. N-ニトロソ誘導体への変換 2.6.4.5.6.1. In vitro 試験 4.2.2.4.8 一般にアミン系化合物は酸性下で亜硝酸と反応し、遺伝毒性を示すN-ニトロソ化合物を生成す る2)。このため、ナラトリプタンのN-ニトロソ誘導体(GR101124X:図 2.6.4-5)への変換をヒ ト胃液を想定した生理条件下及びNAP test条件下で検討した。なお、使用薬物の濃度として、ナ ラトリプタン塩酸塩は0.5~10 mM、亜硝酸ナトリウムは 0.03~40 mMとし、pH1.9~3.9 で検討 した。 ナラトリプタンは、NAP test 条件(10 mM ナラトリプタン塩酸塩、40 mM 亜硝酸ナトリウム、 pH2.8)下で最大 62.1%が GR101124X に変換された。一方、ヒト胃液を想定した生理条件(0.5 mM ナラトリプタン塩酸塩、0.3mM 亜硝酸ナトリウム)下での変換率を検討した結果、pH1.9 で は10.6%、pH2.8 では 12.9%であったが、pH3.9 では変換は認められなかった(2.6.5.10.2.1 参照)。 以上のことから、ナラトリプタンは生理条件下で最大12.9%が N-ニトロソ化されるが、変換率 はNAP test 条件下での変換率よりも低いことが示された。

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2.6.4 薬物動態試験の概要文 N N C H3 S N H CH3 O O N O N H N C H3 S N H CH3 O O ナラトリプタン GR101124X 図 2.6.4-5 ナラトリプタン及び N-ニトロソ誘導体(GR101124X)の化学構造 4.2.2.4.8 の Figure 1 から作成 2.6.4.5.6.2. In vivo 試験 4.2.2.4.9 雌雄ラットに標準飼料を7 日間又は 0.1%の亜硝酸ナトリウム添加飼料を 8 日間給餌し、14C-ナ ラトリプタン塩酸塩の5、20 及び 90 mg/kg をそれぞれ単回経口投与したときの投与 30 分後まで の胃内GR101124X 濃度を検討した。 標準飼料を与えたラット胃内に14C-GR101124X は検出されなかった。亜硝酸ナトリウム添加 飼料を給餌した大部分のラットの投与直後及び5 分後の胃内に14C-GR101124X が検出された。投 与15 分後では半数のラット胃内に14C-GR101124X が検出されたが、投与 30 分後には検出されな かった。また、GR101124X への変換率は胃内放射能の 0.2~1.2%と低く、5、20 及び 90 mg/kg 群 ではそれぞれ3、7 及び 31 μg/mL であった(2.6.5.10.2.2 参照)。 以上のことから、亜硝酸添加飼料を給餌したラットにナラトリプタン塩酸塩を投与したときの 胃内でGR101124X がわずかに生成することが示された。なお、ナラトリプタン塩酸塩のニトロ ソ化に対する安全性を確認するために、ラット6 ヵ月経口投与毒性試験で亜硝酸ナトリウム添加 群を設け(2.6.6.3.2 参照)、更に追加ラットがん原性試験(2.6.6.5.2.2 参照)を実施した。その結 果、N-ニトロソ誘導体に直接曝露される胃腸管及び肝臓で発がん性を示す所見は認められなかっ た。本剤は片頭痛発作時の使用であること(1.8.2 参照)を考慮すると、ナラトリプタン塩酸塩 のN-ニトロソ化がヒトで発がん性を引き起こす可能性は低いと考えられた。

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2.6.4 薬物動態試験の概要文 2.6.4.6. 排泄 ラット及びイヌに14C-ナラトリプタン塩酸塩を単回投与したときの放射能の尿糞中排泄、BDC ラット及びイヌでの放射能の胆汁中排泄を検討した。また、授乳ラットに14C-ナラトリプタン塩 酸塩を単回経口投与したときの乳汁移行も検討した(表2.6.4-12)。 表 2.6.4-12 ナラトリプタン塩酸塩の薬物動態試験一覧(排泄) 動物種/系統 試験の種類 投与 方法 性別 投与量 (mg/kg) 投与期間 GLP 適用 実施施設 資料番号 Wistar ラット 尿糞中排泄 経口 ♂♀ 10 単回 適 Glaxo (英国) 4.2.2.4.2 RH ラット 尿糞中排泄 静脈内 ♂ 2 単回 適 Glaxo (英国) 4.2.2.3.2 ビーグル犬 尿糞中排泄 経口 ♂♀ 0.75 単回 適 Glaxo (英国) 4.2.2.2.4 ビーグル犬 尿糞中排泄 静脈内 ♂♀ 0.75 単回 適 Glaxo (英国) 4.2.2.5.1 4.2.2.4.3 AHA ラット (BDC) 胆汁中排泄 皮下 ♂ 1 単回 適 Glaxo (英国) 4.2.2.5.2 ♂ 0.75 単回 適 Glaxo (英国) 4.2.2.4.5 ビーグル犬 (BDC) 胆汁中排泄 皮下 ♂♀ 0.75 単回 適 Glaxo (英国) 4.2.2.5.1 Wistar ラット 乳汁移行 経口 ♀ 10 単回 適 4.2.2.5.3 RH:Random bred Hooded (有色)

AHA:Allen and Hanbury Albino

2.6.4.6.1. 尿糞中排泄 2.6.4.6.1.1. ラット 2.6.4.6.1.1.1. 経口投与 4.2.2.4.2 雌雄ラットに14C-ナラトリプタン塩酸塩の 10 mg/kg を単回経口投与したときの放射能の尿糞中 排泄率を検討した。 雄ラットで放射能は投与24 時間後までの尿及び糞中に投与量のそれぞれ約 31 及び 52%が、投 与96 時間後までにそれぞれ約 33 及び 63%が排泄された。また、雌では投与 24 時間後までの尿 及び糞中に投与量のそれぞれ約24 及び 44%が、投与 96 時間後までにそれぞれ約 27 及び 61%が 排泄された(表2.6.4-13)。

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2.6.4 薬物動態試験の概要文 表 2.6.4-13 雌雄ラットに14 C-ナラトリプタン塩酸塩の 10 mg/kg を単回経口投与したときの 放射能の尿糞中排泄率 4.2.2.4.2 の Table 2 から作成 投与量に対する割合 (%) 試料 採取時間 (hr) ♂ ♀ 0~24 30.99 ± 2.77 24.22 ± 1.84 24~48 1.69 ± 0.49 2.08 ± 0.95 48~72 0.39 ± 0.24 0.31 ± 0.10 72~96 0.17 ± 0.10 0.11 ± 0.08 尿 小計 (0~96) 33.25 ± 2.73 26.72 ± 2.71 0~24 52.48 ± 7.37 44.09 ± 15.15 24~48 9.54 ± 4.37 16.54 ± 12.95 48~72 0.48 ± 0.16 0.51 ± 0.19 72~96 0.13 ± 0.12 0.22 ± 0.10 糞 小計 (0~96) 62.63 ± 4.66 61.35 ± 4.21 ケージ洗液 0~96 0.30 ± 0.13 0.67 ± 0.51 死体 96 0.10 ± 0.21 0.21 ± 0.14 合計 96.27 ± 2.88 88.94 ± 2.04 平均値±標準偏差(n=4) 2.6.4.6.1.1.2. 静脈内投与 4.2.2.3.2 雄有色ラットに14C-ナラトリプタン塩酸塩の 2 mg/kg を単回静脈内投与したときの放射能の尿 糞中排泄率を検討した。 放射能は投与24 時間後までの尿及び糞中に投与量のそれぞれ約 70 及び 23%が、投与 168 時間 後までにそれぞれ約81 及び 27%が排泄された(2.6.5.13 参照)。 以上のことから、ラットに14C-ナラトリプタン塩酸塩を単回経口及び静脈内投与したときの放 射能の排泄は速やかであることが示された。雌雄ラットでの放射能の尿糞中排泄率が同程度であ ったことから、性差はないと考えられた。また、ラットに経口投与したときのBA は約 38%(雌 雄の平均値)であり、静脈内投与したときの放射能の主排泄経路が尿であったことから、経口投 与したときの糞中に排泄された放射能の大部分(2.6.4.6.1.1.1 参照)は未吸収の成分であると考 えられた。更に、ラットに14C-ナラトリプタン塩酸塩を投与したときの体内に吸収された放射能 の主排泄経路は尿であると考えられた。 2.6.4.6.1.2. イヌ 2.6.4.6.1.2.1. 経口投与 4.2.2.2.4 雌雄イヌに14C-ナラトリプタン塩酸塩の 0.75 mg/kg を単回経口投与したときの放射能の尿糞中 排泄率を検討した。 雄イヌで放射能は投与24 時間後までの尿及び糞中に投与量のそれぞれ約 55 及び 9%が、投与 96 時間後までにそれぞれ約 64 及び 24%が排泄された。雌では、投与 24 時間後までの尿及び糞中 に投与量のそれぞれ約58 及び 6%が、投与 96 時間後までにそれぞれ約 69 及び 20%が排泄された (表2.6.4-14)。

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2.6.4 薬物動態試験の概要文 表 2.6.4-14 雌雄イヌに14 C-ナラトリプタン塩酸塩の 0.75 mg/kg を単回経口投与したときの 放射能の尿糞中排泄率 4.2.2.2.4 の Table 2 から作成 投与量に対する割合 (%) 試料 採取時間 (hr) ♂ ♀ 0~24 54.47 ± 4.16 57.73 ± 5.92 24~48 7.64 ± 5.48 8.09 ± 1.80 48~72 1.31 ± 1.27 2.25 ± 0.75 72~96 0.54 ± 0.18 0.66 ± 0.31 尿 小計 (0~96) 63.95 ± 9.53 68.73 ± 6.53 0~24 9.38 ± 6.77 6.13 ± 10.07 24~48 13.23 ± 8.86 8.70 ± 3.24 48~72 1.13 ± 0.52 3.38 ± 2.68 72~96 0.39 ± 0.29 2.07 ± 2.00 糞 小計 (0~96) 24.12 ± 3.75 20.27 ± 5.65 ケージ洗液 96 1.16 ± 0.66 1.88 ± 0.54 合計 89.23 ± 7.91 90.88 ± 2.23 平均値±標準偏差(n=4) 2.6.4.6.1.2.2. 静脈内投与 4.2.2.5.1 雌雄イヌに14C-ナラトリプタン塩酸塩の 0.75 mg/kg を単回静脈内投与したときの放射能の尿糞 中排泄率を検討した。 雄イヌで放射能は投与24 時間後までの尿及び糞中に投与量のそれぞれ約 50 及び 8%が、投与 96 時間後までにそれぞれ約 64 及び 21%が排泄された。雌では、投与 24 時間後までの尿及び糞中 に投与量のそれぞれ約57 及び 16%が、投与 96 時間後までにそれぞれ約 66 及び 25%が排泄され た(2.6.5.13 参照)。 以上のことから、イヌに14C-ナラトリプタン塩酸塩を単回経口及び静脈内投与したときの放射 能の排泄は速やかであること、放射能の主排泄経路は尿であることが示された。また、雌雄イヌ での放射能の尿糞中排泄率が同程度であったことから、イヌでの放射能の排泄に性差はないと考 えられた。 2.6.4.6.2. 胆汁中排泄 2.6.4.6.2.1. ラット 4.2.2.4.3, 4.2.2.5.2 雄BDC 及び無処置ラットに14C-ナラトリプタン塩酸塩の 1 mg/kg をそれぞれ単回皮下投与した ときの放射能の胆汁及び尿糞中排泄率を検討した。 放射能はBDC ラットの投与 24 時間後までの胆汁中に投与量の約 9%が、尿及び糞中にはそれ ぞれ約54 及び 17%が排泄された(2.6.5.14 参照)。また、無処置ラットでは投与 24 時間後まで の放射能の尿糞中排泄率は、それぞれ投与量の約63 及び 25%であった。 以上のことから、ラットの体内に吸収された放射能の主排泄経路は尿であることが示された。 また、糞中に排泄された放射能の大部分は消化管分泌によるものと考えられた。なお、ラットに

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2.6.4 薬物動態試験の概要文 静脈内投与したときの胃内、胃壁及び腸管内に放射能が確認されたこと(2.6.4.4.1.2 参照)から、 放射能は胃内に分泌された後に糞中に排泄されると考えられた。 2.6.4.6.2.2. イヌ 4.2.2.4.5, 4.2.2.5.1 雄BDC イヌ及び雌雄イヌ(無処置)に14C-ナラトリプタン塩酸塩の 0.75 mg/kg をそれぞれ単 回皮下投与したときの放射能の胆汁及び尿糞中排泄率を検討した。 BDC イヌで放射能は投与 8 時間後までの胆汁中に投与量の約 9%が排泄された。投与 24 時間 後までの放射能の尿及び糞中排泄率はそれぞれ約55 及び 10%であった(2.6.5.14 参照)。また、 無処置イヌでは投与24 時間後までの放射能の尿及び糞中排泄率は、それぞれ投与量の約 56 及び 15%であった。 以上のことから、イヌの体内に吸収された放射能の主排泄経路は尿であることが示された。ま た、糞中に排泄された放射能の大部分はラット(2.6.4.6.2.1 参照)と同様に消化管分泌によるも のであると考えられた。 2.6.4.6.3. 乳汁移行 4.2.2.5.3 分娩10 日の授乳ラットに14C-ナラトリプタン塩酸塩の 10 mg/kg を単回経口投与したときの放 射能の乳汁移行を検討した。 乳汁中放射能は投与2 時間後に最高値(1.946 μg eq./mL)を示し、血漿中放射能(0.535 μg eq./mL)よりも高かった。その後、乳汁中放射能は経時的に減少し、投与 24 時間後には 0.081 μg eq./mL となった(2.6.5.7.2 参照)。 以上のことから、ラットに14C-ナラトリプタン塩酸塩を経口投与したときの放射能は乳汁中へ 移行することが示された。

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2.6.4 薬物動態試験の概要文 2.6.4.7. 薬物動態学的薬物相互作用 ヒト肝ミクロソームを用いて、ナラトリプタン塩酸塩のCYP分子種に及ぼす影響並びにMAO に及ぼす影響をin vitroで検討した(表 2.6.4-15)。 表 2.6.4-15 ナラトリプタン塩酸塩の薬物動態試験一覧(薬物動態学的薬物相互作用) 動物種/系統など 試験の種類 投与 方法 性別 投与量 (μM) GLP 適用 実施 施設 資料 番号 ヒト肝ミクロソーム CYP 分子種 に及ぼす影響 In vitro ♂♀ 0.25~250, CYP2D6:0.25~1000, CYP3A4/5:0.25~2500 非適 Glaxo (英国) 4.2.2.6.1 ヒト肝ミクロソーム MAO に及ぼす影響 In vitro ♂♀ 0.25~250 非適 Glaxo (英国) 4.2.2.6.2

2.6.4.7.1. CYP 分子種に及ぼす影響

4.2.2.6.1 ヒト肝ミクロソーム(男女)を用いて、ナラトリプタン塩酸塩(0.25~250 μM、CYP2D6 では 0.25~1000 μM、CYP3A4/5 では 0.25~2500 μM)の主な CYP 分子種(CYP1A1、CYP1A2、 CYP2A6、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP3A4/5)に対する阻害作用を in vitro で 検討した。

ナラトリプタン塩酸塩は250 μM の濃度まで CYP1A1、CYP1A2、CYP2A6、CYP2C9、

CYP2C19 及び CYP2E1 活性を阻害しなかった。ナラトリプタン塩酸塩は男性の CYP2D6 活性を 2.5 μM の濃度まで阻害しなかったが、250 μM では 35%阻害した。また、女性の CYP2D6 活性を 0.25~250 μM の濃度で用量依存的に阻害(8~36%)した。CYP3A4/5 活性は 250 μM の濃度まで 阻害されなかったが、2500 μM では 59~70%阻害された(2.6.5.15.1 参照)。なお、阻害のみられ なかった濃度(2.5 及び 250 μM)は日本人健康成人男子に 5 mg を単回経口投与したときの血漿 中未変化体のCmax のそれぞれ約 52 及び 5200 倍であった。 以上のことから、ナラトリプタン塩酸塩は臨床で主なヒトCYP 分子種の代謝を阻害する可能 性は低いと考えられた。 2.6.4.7.2. MAO に及ぼす影響 4.2.2.6.2 ヒト肝ミクロソーム(男女)を用いてナラトリプタン塩酸塩(0.25、2.5 及び 250 μM)の MAO-A 及び MAO-B に及ぼす影響を in vitro で検討した。なお、MAO-A 及び MAO-B の基質とし

て、それぞれ3H-セロトニン及び14C-ベンジルアミンを、陽性対照群として、クロギリン及びデ プレニルを使用した。 ナラトリプタン塩酸塩はMAO-A 及び MAO-B の代謝活性に影響を及ぼさなかった。一方、陽 性対照群はMAO-A 及び MAO-B の代謝活性を約 60%以上阻害した(2.6.5.15.2 参照)。 以上のことから、ナラトリプタン塩酸塩をMAO で代謝される薬剤と併用投与した際に薬物動 態学的薬物相互作用を引き起こす可能性は低いと考えられた。 2.6.4.8. その他の薬物動態試験

参照

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